低分子核酸の検出方法
本発明は、マイクロRNA(miRNA)および低分子干渉RNA(siRNA)のような干渉RNAならびに他の短い核酸分子の検出および特徴付けのための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、干渉RNA発現の検出および定量化のための改善された方法に関する。本発明はさらに、miRNAおよびsiRNAの変異体ならびに型の検出を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、マイクロRNA(miRNA)のような干渉RNAおよび低分子干渉RNA(siRNA)および他の短い核酸分子の検出ならびに特徴付けのための、組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、干渉RNA発現の検出および定量のための改善された方法に関する。本発明はさらに、miRNAおよびsiRNAの変異体および型の検出について提供する。
なお、本出願は、2002年12月18日に出願された米国仮出願第60/434,518号、および2003年1月30日に出願された米国出願第60/443,814号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロRNA(miRNA)は、非コードRNAの新しいクラスであり、無脊椎動物および脊椎動物のゲノムにおいて短い逆方向反復としてコードされている(Ambros, (2001) Cell 107, 823-826; Moss (2002) Curr. Biol. 12, R138-R140)。miRNAは、標的mRNA翻訳および安定性のモジュレーターであるが、たいていの標的mRNAは、同定されていないままである。miRNAは、3'非翻訳領域(UTR)におけるアンチセンス相補性の部位への結合により標的mRNAの翻訳を配列特異的に制御する(Ambros、前記; Moss、前記; Lagos-Quintana et al., (2001) Science 294, 853-858; Lau et al., (2001) Science 294, 858-862; Lee et al., (2001) Science 294, 862-864)。
【0003】
let-7 RNA、miR-1、miR-34、miR-60およびmiR-87のようないくつかのmiRNAは、無脊椎動物と脊椎動物の間で高く保存されており、それらが、おそらく保存されたと思われる機能の複数の部位および/または複数の標的を認識しうることを含意している(Lagos-Quintana et al.、前記; Lau et al、前記; Lee et al.、前記; Pasquinelli et al., (2000) Nature 408:86)。低分子の時間的RNA(stRNA)lin-4およびlet-7は、シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)における遺伝子解析により同定されたmiRNAのサブクラスを表し、発生的に制御され、それ自身、ニューロンの再配線のタイミング、耐性幼虫(Dauer larva)の形成、陰門形成、および皮下組織細胞の最終分化のような発生プログラムを制御する。
【0004】
miRNAは、典型的には、時々、miRNA前駆体発現の開始時点で(Grishok et al., (2001) Cell 106, 23-24; Hutvagner et al., (2001) Science 93, 834-838; Ketting et al., (2001) Genes Dev. 15, 2654-2659)または非常に大量のmiRNAの発現中に(Lagos-Quintana et al., 前記; Lau et al., 前記; Lee et al., 前記)検出される、60〜70ヌクレオチドの折り返すことのできるRNA前駆体構造から切除される。一般的に、ヘアピン前駆体分子の鎖のうちの1つのみが切除されて、蓄積するが、おそらく、それが、会合したタンパク質によりRNA分解から保護されているためと思われる。これらの推定上のタンパク質は、翻訳の抑制を仲介することができる。miRNA前駆体プロセシング反応は、ダイサーリボヌクレアーゼIII(Dicer RNase III)およびアルゴノート(Argonaute)ファミリーのメンバーを必要とする(Grishok et al., 前記; Hutvagner et al., 前記; Ketting et al., 前記)。
【0005】
遺伝子発現へのそれらの影響に加えて、これらの低分子RNAは、しばしば、21〜22ヌクレオチドの範囲にあるのだが、治療学および薬物発見の領域に、例えば、薬物標的としてまたは医薬品として、有用性を見出すことができる。従って、いくつかの状況において、およそどれくらいの各miRNAが細胞に存在しているかを知ることは重要でありうる。ある場合には、異なる組織型において、または刺激の適用、例えば、化学的または物理的介入、の前と後で、miRNAのレベルを比較することがさらに重要でありうる。関連したsiRNAおよびmiRNAは細胞において低量で存在している可能性があるため、検出の方法は、高感度および特異的の両方であることが望ましい。さらに、特定の適用に関して、高処理量スクリーニングに適した方法、例えば、均一な方法、多重化方法、または高度に並行した自動化操作および制限された温度変化に適したものを同定することが有益でありうる。
【0006】
miRNAは、遺伝子発現の制御に重要な役割を果たしているが、miRNA発現の検出および定量化に効果的な技術が欠けている。今日まで、miRNAの定量化に使用された主な方法は、ゲル電気泳動に基づいている。miRNAは、ノーザンブロッティングによるかまたは放射性リボヌクレアーゼ耐性二重鎖の存在によるかのいずれかで検出される。ノーザンブロッティングおよびチップハイブリダイゼーション方法は、比較的低い分析感度であるので(Krichevsky et al., 2003)、RNAのマイクログラム量が分析のために必要とされる;また、低分子RNAのフィルターへの転写は、定量化の再現性に問題を持ち込む可能性があり、高処理量に典型的に修正できない。また、リボヌクレアーゼ耐性に基づく検出方法は、高放射性のプローブを必要とする。さらに、プローブハイブリダイゼーションのみに基づくアッセイ法は、配列において密接に関連したアイソタイプ間に十分な識別を与ええない。代替アプローチは、miRNAをクローニングし、その後、挿入断片をシーケンシングすることを含む。このアプローチは密接に関連したmiRNA腫間の一塩基差を識別するのに適しうるが、時間がかかり、かつ面倒である。
【0007】
miRNAのように、低分子干渉RNA(siRNA)は、RNA干渉と呼ばれる応答を通しての、例えばウイルスRNAに対する、細胞防御に関与する小さなRNA分子である(Cullen, B.R., Nature Immunology, 3:597-599 (2002))。siRNAの1つのクラスは、ダイサー酵素の作用により生成され、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)タンパク質が、細胞における二本鎖RNAの存在に対するRNAi応答の一部として複合体化する(Khvorova, A. et al., Cell 115:209-216 (2003))。siRNAのもう一つのクラスは合成であり、導入されたベクターからのトランスフェクションまたは発現を通して細胞へ直接的に導入された特徴的なジヌクレオチドオーバーハング(Elbashir, S.M. et al., EMBO J. 20:6877-6888 (2001))をもつ通常21〜23ヌクレオチドの、短い二重鎖を含む(Paul, C.P. et al., Nature Biotechnology 20:505-508 (2002), US Patent Application Publication No. 2003/0148519A1、すべての目的のために完全に参照として本明細書に組み入れられる)。ある場合には、siRNAは、定義された配列として固執するように思われ、それらをmiRNAと機能および組成物において類似したものにさせている(Elbashir, S.M. et al., 前記)。必要とされるものは、miRNAおよびsiRNAレベルを検出ならびに定量化する効率的かつ正確な方法である。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、干渉RNAおよび他の短い核酸分子のような低分子核酸の検出および特徴付けのための組成物ならびに方法に関する。より具体的には、本発明は、干渉RNA発現の検出および定量化のための改善された方法に関する。
【0009】
例えば、本発明は、検出構造を生じるように、少なくとも1つの核酸(例えば、干渉RNAに相補的ではない配列を含む)を干渉RNA標的にハイブリダイズさせる段階、および検出構造を検出する段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、干渉RNA標的は、miRNAである。他の態様において、干渉RNA標的はsiRNAである。いくつかの態様において、siRNAは二本鎖である。
【0010】
いくつかの態様において、検出構造は侵入性切断構造を含む。例えば、いくつかの態様において、核酸は、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一および第二のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、核酸は、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、第一オリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、その3'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつその5'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成されている。第二オリゴヌクレオチドを用いるいくつかの態様において、第二オリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、その5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつその3'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成されている。いくつかの態様において、検出段階は、インベーダー(INVADER)アッセイ法の使用を含む。
【0011】
いくつかの態様において、検出構造は、環状検出構造を生じるように低分子RNAにハイブリダイズした環状オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、検出段階は、ローリングサークル複製アッセイの使用を含む。
【0012】
いくつかの態様において、検出段階は、限定されるものではないが、シーケンシングアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、突然変異に相補的なプローブを用いるハイブリダイゼーションアッセイ、マイクロアレイアッセイ、ビーズアレイアッセイ、プライマー伸長アッセイ、酵素ミスマッチ切断アッセイ、分岐型ハイブリダイゼーションアッセイ、NASBAアッセイ、分子ビーコンアッセイ、サイクリングプローブアッセイ、リガーゼ連鎖反応アッセイ、侵入性切断構造アッセイ、ARMSアッセイ、およびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイを含む検出アッセイの使用を含む。いくつかの好ましい態様において、検出段階は、細胞可溶化物において行われる。
【0013】
いくつかの態様において、本発明の方法は、第二の核酸標的を検出する段階を含む。いくつかの好ましい態様において、第二の核酸標的はRNAである。いくつかの特に好ましい態様において、第二の核酸標的は、U6 RNAまたはGAPDH mRNAである。
【0014】
いくつかの態様において、検出構造を形成するために用いられる核酸は、RNAが鋳型にハイブリダイズして、伸長反応において伸長されることを可能にするために低分子RNAと十分に相補的である1つまたは複数の部位を有する鋳型を含む。いくつかの態様において、伸長反応は、1つまたは複数のRNAがポリメラーゼ連鎖反応におけるプライマーとして用いられる、ポリメラーゼ連鎖反応である。いくつかのそのような態様において、単一型のRNAは、ポリメラーゼ連鎖反応プライマーを供給するように鋳型における2つの位置に結合する。他の態様において、2つまたはそれ以上のRNAは、プライマーとして用いられる。そのような態様において、増幅産物の検出は、試料において2つまたはそれ以上のRNAの存在を示す(すなわち、miRNA多重アッセイ法)。類似した方法を、miRNAがライゲーションされたオリゴヌクレオチドとして用いられる場合に、リガーゼ連鎖反応において用いてもよい。
【0015】
いくつかの態様において、方法は、複数のmiRNAの検出を含む。いくつかのそのような態様において、複数のmiRNAは、同じmiRNAの多型を含む。他の態様において、複数のmiRNAは、異なるmiRNA(例えば、Let-7、miR-1、miR-1d、miR-135、miR-15、miR-16、miR-124a、またはmiR-125b)を含む。
【0016】
本発明はまた、上の方法のいずれかを行うためのキットを提供する。例えば、いくつかの態様において、本発明は、RNA標的配列にハイブリダイズした場合、検出構造を形成するために構成された核酸を含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、miRNAを検出するように構成される。いくつかの好ましい態様において、キットは、Let-7、miR-1、miR-135、miR-15、miR-16、miR-1b、miR-124a、またはmiR-125b miRNAを検出するように構成される。いくつかの好ましい態様において、キットは、miRNA標的と共に第二のRNA標的を同時検出するように構成される。
【0017】
定義
本発明の理解を容易にするために、多数の用語および句が以下に定義されている。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「miRNA」は、マイクロRNAを指す。本明細書で使用される場合、用語「miRNA標的配列」は、検出される(例えば、他の核酸の存在下において)miRNAを指す。いくつかの態様において、miRNA標的配列は、miRNAの変異体である。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「RNA検出構造」は、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)をRNA標的、例えば、miRNAまたはsiRNA、にハイブリダイズさせることにより形成される構造を指す。いくつかの態様において、核酸は、たった1つの核酸(例えば、miRNAとの相同性をもつ小さな領域を含むより大きな核酸)である。他の態様において、核酸は、2つの核酸(例えば、ヘアピン(例えば、一重または二重ヘアピン)構造を形成するようにmiRNAにハイブリダイズする)を含む。好ましい態様において、miRNA検出構造は、限定されるものではないが、本明細書に開示されたものを含む、既知の核酸検出方法を用いて検出が可能である。
【0020】
いくつかの態様において、RNA検出構造は、ハイブリダイゼーション段階後にさらに改変される。例えば、いくつかの態様において、RNAにハイブリダイズする核酸は、核酸ポリメラーゼによるRNAの伸長のための鋳型を提供する。RNAは、核酸にハイブリダイズし、その後、ポリメラーゼを用いて伸長される。他の態様において、核酸は、ハイブリダイゼーションおよびRNAへの追加の核酸のライゲーションのための鋳型として働く。
【0021】
用語「siRNA」は、短い干渉RNAを指す。いくつかの態様において、siRNAは、二重鎖、または二本鎖領域であって、二本鎖領域の各鎖が約18〜25ヌクレオチド長である;二本鎖領域は、16塩基対長ほど短く、かつ29塩基対長ほど長くあってよく、長さはアンチセンス鎖により決定される。しばしば、siRNAは、各鎖の3'末端に約2個から4個までの不対ヌクレオチドを含む。siRNAは、無脊椎動物および脊椎動物でRNA干渉を引き起こす工程において、ならびに植物で転写後遺伝子サイレンシング中の配列特異的RNA分解を引き起こす工程において、重要な中間体として機能するように思われる。siRNAの二重鎖または二本鎖領域の少なくとも1つの鎖は、標的RNA分子と、実質的に相同的である、または実質的に相補的である。標的RNA分子に相補的な鎖は、「アンチセンス」鎖である;標的RNA分子に相同的な鎖は、「センス」鎖であり、siRNAアンチセンス鎖に相補的でもある。二本鎖領域の1つの鎖は、反対側の鎖と完全に同じ長さである必要はなく、従って、1つの鎖は、反対側の相補的鎖より少なくとも1個少ないヌクレオチドを有してもよく、結果として、反対側の鎖に「バブル」または少なくとも1個のマッチされない塩基を生じる。二本鎖領域の1つの鎖は、反対側の鎖と正確に相補的である必要はない;従って、鎖(好ましくはセンス鎖)は少なくとも1個のミスマッチの塩基対を有しうる。
【0022】
siRNAはまた、付加配列を含んでもよい;そのような配列の非限定的例は、二重鎖領域の2つの鎖を繋ぐ連結配列またはループを含む。この型のsiRNAは、「si様RNA」、「短いヘアピンsiRNA」と呼ばれる場合があり、短いとは、siRNAまたは「ヘアピンsiRNA」の二重鎖領域を指す。siRNAに存在する付加配列の追加の非限定的例は、ステムおよび他の折り畳み構造を含む。付加配列は、既知の機能をもつ場合もあり、またはもたない場合もある;そのような機能の非限定的例は、siRNA分子の安定性を増加させること、または細胞の行き先シグナルを供給することを含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は、植物、微生物および動物(例えば、イヌ、ネコ、家畜およびヒトのような哺乳動物)を含む任意の生物体を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「インベーダー(INVADER)アッセイ試薬」または「侵入性切断アッセイ試薬」は、標的配列を検出するための1つまたは複数の試薬を指し、その試薬は、標的配列の存在下において侵入性切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、侵入性切断構造の存在を検出するための試薬をさらに含む(例えば、切断剤)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、第一および第二オリゴヌクレオチドを含み、その第一オリゴヌクレオチドは、標的核酸の第一領域に相補的な5'部分を含み、かつその第二オリゴヌクレオチドは、3'部分および5'部分を含み、その5'部分が、第一部分の下流かつ隣接した、標的核酸の第二領域に相補的である。いくつかの態様において、第二オリゴヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に相補的ではない3'末端ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、第二オリゴヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に相補的ではない単一のヌクレオチドからなる。いくつかの態様において、第一および第二オリゴヌクレオチドは、互いに共有結合性に結合している(例えば、リンカーを介して)。
【0025】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、固体支持体をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、アッセイ試薬の1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(例えば、架橋か非架橋かにかかわらず、第一および/または第二オリゴヌクレオチド)は、固体支持体に付着している。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、緩衝溶液をさらに含む。いくつかの好ましい態様において、緩衝溶液は、二価陽イオン(例えば、Mn2+および/またはMg2+イオン)の供給源を含む。ひとまとめにしてインベーダーアッセイ試薬を構成する個々の材料(例えば、オリゴヌクレオチド、酵素、緩衝剤、標的核酸)は、「インベーダーアッセイ試薬構成要素」と名付けられる。
【0026】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、第一標的核酸の第一部分の上流の標的核酸の第三部分と相補的な第三オリゴヌクレオチドをさらに含む。さらに他の態様において、インベーダーアッセイ試薬は、標的核酸をさらに含む。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、第二標的核酸をさらに含む。さらに他の態様において、インベーダーアッセイ試薬は、第二標的核酸の第一領域に相補的な5'部分を含む第三オリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの特定の態様において、第三オリゴヌクレオチドの3'部分は、第二標的核酸に共有結合性に連結されている。他の特定の態様において、第二標的核酸は、5'部分をさらに含み、第二標的核酸の5'部分は第三オリゴヌクレオチドである。なおさらに他の態様において、インベーダーアッセイ試薬は、アレスター(ARRESTOR)分子(例えば、アレスターオリゴヌクレオチド)をさらに含む。
【0027】
すべての目的のために完全に参照として本明細書に組み入れられた、Eis et al., Nature Biotechnology, 19:673-676 (2001)に記載されているように、各プローブの標的特異的領域に完全に、かつそれの5'-フラップ領域に部分的に、塩基対形成されている、2'O-メチル化アレスターオリゴヌクレオチドの包含は、切断されていないプローブを封鎖し、二次反応におけるX構造形成を防ぐ。
【0028】
いくつかの好ましい態様において、インベーダーアッセイ試薬は、核酸切断生成物を検出するための試薬をさらに含む。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬における1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは標識を含む。いくつかの好ましい態様において、第一オリゴヌクレオチドは標識を含む。他の好ましい態様において、第三オリゴヌクレオチドは標識を含む。特に好ましい態様において、試薬は、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)効果を生じる部分で標識された第一および/または第三オリゴヌクレオチドを含む。
【0029】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬の1つまたは複数は、あらかじめ分配された形式(すなわち、再測定または再分配なしに、工程の段階における使用についてあらかじめ測定されている)で供給されうる。いくつかの態様において、選択されたインベーダーアッセイ試薬構成要素は、共に混合され、あらかじめ分配されている。好ましい態様において、あらかじめ分配されたアッセイ試薬構成要素は、あらかじめ分配され、反応容器(限定されるものではないが、反応チューブ、または例えばマイクロタイタープレートのようなウェルを含む)において供給される。特に好ましい態様において、あらかじめ分配されたインベーダーアッセイ試薬構成要素は、反応容器内で乾燥される(例えば、乾燥(desiccated)または凍結乾燥(lyophilized)される)。
【0030】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、キットとして提供される。本明細書で使用される場合、用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイとの関連において、そのような送達システムは、一つの場所から別の場所へ、反応試薬(例えば、適切な容器におけるオリゴヌクレオチド、酵素など)および/または支援材料(例えば、緩衝剤、アッセイを実施するための書面による使用説明書など)の保管、輸送または送達を可能にするシステムを含む。例えば、キットは、関連した反応試薬および/もしくは支援材料を含む、1つまたは複数の封入物(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される場合、用語「細分化キット」は、全キット構成要素の下位部分をそれぞれに含む2つまたはそれ以上の別々の容器を含む送達システムを指す。容器は、所定の受け手へ一緒にまたは別々に送達されうる。例えば、第一容器は、アッセイに使用する酵素を含んでよいが、第二容器は、オリゴヌクレオチドを含む。用語「細分化キット」は、それに限定されるものではないが、米連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)のセクション520(e)により規制された検体特異試薬(Analyte specific reagents)(ASR's)を含むキットを包含することを意図される。実際、全キット構成要素の下位部分をそれぞれに含む2つまたはそれ以上の別々の容器を含む任意の送達システムは、用語「細分化キット」に含まれる。対照的に、「組み合わせキット」は、単一の容器に反応アッセイのすべての構成要素を含む送達システムを指す(例えば、望ましい構成要素のそれぞれを収容した単一の箱に含む)。用語「キット」は、細分化および組み合わせの両方のキットを含む。
【0031】
いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するのに必要な構成要素の1つまたは複数を含むインベーダーアッセイ試薬キットを提供する。例えば、本発明は、インベーダーアッセイを実施するために必要な酵素および/または反応構成要素を保管または送達するためのキットを提供する。キットは、限定されるものではないが、試薬自体、緩衝剤、対照試薬(例えば、組織試料、陽性および陰性対照標的オリゴヌクレオチドなど)、固体支持体、標識、文面によるおよび/または絵で表された使用説明書ならびに製品情報、阻害剤、標識および/または検出試薬、パッケージ環境制御(例えば、氷、乾燥剤など)などを含む、アッセイに必要または望ましいあらゆる構成要素を含んでもよい。いくつかの態様において、キットは、必要とされる構成要素のサブセットを提供し、ユーザーは残りの構成要素を供給することが求められる。いくつかの態様において、キットは、各容器が送達されるべき構成要素のサブセットを収容している、2つまたはそれ以上の別々の容器を含む。例えば、第一容器(例えば、箱)は酵素を含んでよく(例えば、適した保存緩衝剤および容器における構造特異的切断酵素)、第二の箱は、オリゴヌクレオチドを含んでよい(例えば、インベーダーオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチド、対照標的オリゴヌクレオチドなど)。
【0032】
本明細書に用いられる用語「標識」は、検出可能な(好ましくは定量化可能な)効果を与えるために使用されることができ、および核酸またはタンパク質に付着することができる、任意の原子または分子を指す。標識は、限定されるものではないが、色素;32Pのような放射性標識;ビオチンのような結合部分;ジゴキシゲニンのようなハプテン;発光性、リン光発生性または蛍光発生性部分;質量タグ;および単独、または蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)による発光スペクトルを抑制もしくはシフトすることができる部分と組み合わせての、蛍光色素を含む。標識は、蛍光、放射能、比色、重量測定、X線回折または吸収、磁性、酵素活性、質量の特徴または質量により影響を及ぼされる挙動(例えば、MALDI飛行時間型質量分析;蛍光偏光)などによる検出可能なシグナルを与えることができる。標識は、荷電部分(正または負電荷)であり得、または電荷中性であり得る。標識は、標識を含む配列が検出可能である限り、核酸またはタンパク質配列を含んでよく、または核酸またはタンパク質配列からなり得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、シグナルに関する用語「別個の」とは、例えば、蛍光放射波長、色、吸光度、質量、大きさ、蛍光偏光性質、電荷などにより、または化学試薬、酵素、抗体などとのような、別の部分との相互作用の能力により、別のものから識別されたものでありうるシグナルを指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「相補的な」または「相補性」は、塩基対形成ルールにより関係づけられたポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドまたは標的核酸のようなヌクレオチドの配列)に関して用いられる。例えば、配列「5'-A-G-T-3'」について、配列「3'-T-C-A-5'」に相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対形成ルールに従ってマッチしている「部分的」でありうる。または、核酸間に「完全な」もしくは「全体の」相補性がありうる。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に有意な効果を生じる。これは、増幅反応、および核酸間の結合に依存する検出方法において、特に重要である。どちらの用語もまた、個々のヌクレオチドに関して、特に、ポリヌクレオチドの関係の中で、使用することができる。例えば、オリゴヌクレオチド内の特定のヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよび核酸鎖の残りの間での相補性と対比または比較して、もう一つの核酸鎖内のヌクレオチドとのそれの相補性またはその欠如について注目されてもよい。
【0035】
用語「相同性」および「相同的な」は、同一性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性があり得る。部分的に相同的な配列は、もう一つの配列と100%未満のを有するものである。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸の対形成に関して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関係している条件のストリンジェンシー、および形成されたハイブリッドのTmのような因子により影響を受ける。「ハイブリダイゼーション」方法は、一つの核酸のもう一つの相補的な核酸、すなわち、相補的ヌクレオチド配列を有する核酸へのアニーリングを含む。相補的なヌクレオチド配列を含む核酸の2つのポリマーの互いに見出して塩基対形成を通してアニールする能力は、よく認識された現象である。Marmur and Lane, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:453 (1960)およびDoty et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:461 (1960)による「ハイブリダイゼーション」過程の最初の観察は、その後、この過程の、現代生物学の必須のツールへの改良に引き継がれた。
【0037】
本明細書で使用される場合の核酸配列の相補体は、一方の配列の5'末端が他方の3'末端と対形成されるように核酸配列と整列する場合、「逆平行会合」にあるオリゴヌクレオチドを指す。天然の核酸に一般には見出されない特定の塩基が、本発明の核酸に含まれてよく、例えば、イノシンおよび7-デアザグアニンを含む。相補性は完全である必要はない;安定的二重鎖は、ミスマッチされた塩基対またはマッチされていない塩基を含んでよい。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度、ならびにミスマッチされた塩基対の出現率を含む多数の変数を経験的に考慮して、二重鎖安定性を決定することができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「Tm」は、「融解温度」に関して用いられる。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団が半分だけ、一本鎖へ解離している温度である。核酸のTmを計算するためのいくつかの方程式は当技術分野においてよく知られている。標準的な参照文献により示されているように、Tm値の単純推定値は、核酸が1 M Naclでの水溶液中にある場合、方程式:Tm=81.5+0.41(%G+C)により計算されうる(例えば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照)。他の参照文献(例えば、Allawi and SantaLucia, Biochemistry 36:10581-94 (1997))は、Tmの計算のために構造的および環境的、加えて配列の特徴を考慮に入れる、より精巧な計算を含む。
【0039】
用語「遺伝子」は、非コード機能を有するRNA(例えば、リボソームRNAまたはトランスファーRNA)、ポリペプチドまたは前駆体の産生に必要な制御配列およびコード配列を含むDNA配列を指す。RNAまたはポリペプチドは、完全長コード配列により、または望ましい活性または機能が保持されている限りは、コード配列の任意の部分により、コードされうる。
【0040】
用語「野生型」は、天然に存在する源から単離された場合のその遺伝子もしくは遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、集団において最も頻繁に観察され、したがって、遺伝子の「正常」型または「野生型」と適宜名付けられるものである。対照的に、用語「改変された」、「突然変異体」または「多型の」は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した場合、配列および/もしくは機能的性質における改変(すなわち、変化した特徴)を示す遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する突然変異体が単離されうることに留意されたい;これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した場合、それらが変化した特徴をもつという事実により同定される。
【0041】
本明細書で使用される場合の用語「組換えDNAベクター」は、所望の異種性配列を含むDNA配列を指す。例えば、その用語は、発現産物をコードする発現される配列の使用に限定されないが、いくつかの態様において、異種性配列は、コード配列、および宿主生物体におけるコード配列の複製かまたは特定の宿主生物体における実施可能に連結されたコード配列の発現のいずれかに必要な適切なDNA配列である。原核生物における発現に必要なDNA配列は、プロモーター、任意でオペレーター配列、リボソーム結合部位および場合により他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
【0042】
本明細書で使用される場合の用語「オリゴヌクレオチド」は、2個またはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは少なくとも5個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜15個のヌクレオチド、およびより好ましくは少なくとも約15〜30個のヌクレオチドを含む分子として定義される。正確な大きさは、多くの因子に依存し、それらの因子もまた、オリゴヌクレオチドの究極的な機能または使用に依存すると考えられる。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCRまたはそれらの組み合わせを含む、任意の方法で作製されてもよい。
【0043】
モノヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5'リン酸がホスホジエステル結合を介して一方向にそれの隣の3'酸素に付着しているような方式でオリゴヌクレオチドを作製するように反応させられるため、オリゴヌクレオチドの末端は、それの5'リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3'酸素に連結されていない場合には、「5'末端」と呼ばれ、それの3'酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5'リン酸に連結されていない場合には「3'末端」と呼ばれる。また、本明細書で使用される場合、核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドに対して内部であったとしても、5'末端および3'末端を有するように呼ばれてもよい。核酸鎖に沿っての第一領域は、5'から3'方向に核酸の鎖に沿って移動させる場合、第一領域の3'末端が、第二領域の5'末端の前にある場合には、もう一つの領域の上流であると呼ばれる。
【0044】
2つの異なる、重複していない、オリゴヌクレオチドが同じ直鎖状相補的核酸配列の異なる領域にアニールし、かつ一方のオリゴヌクレオチドの3'末端が他方の5'末端の方角を指す場合、前者は「上流」オリゴヌクレオチド、後者は「下流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。同様に、2つの重複するオリゴヌクレオチドが、同じ直鎖状相補的核酸配列にハイブリダイズし、第一オリゴヌクレオチドが、それの5'末端が第二オリゴヌクレオチドの5'末端の上流であり、かつ第一オリゴヌクレオチドの3'末端が第二オリゴヌクレオチドの3'末端の上流であるように位置している場合、第一オリゴヌクレオチドを、「上流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができ、第二オリゴヌクレオチドを、「下流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。
【0045】
用語「プライマー」は、プライマー伸長が惹起される条件下に置かれた場合、合成の開始の点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、精製された制限消化物に存在するように、天然に存在してもよく、または合成的に作製されてもよい。
【0046】
プライマーは、鋳型の特定の配列の鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。プライマーは、プライマー伸長が起こりうるために鋳型鎖とハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片が、プライマーの5'末端に付着され、プライマー配列の残部が、鎖と実質的に相補的であってよい。プライマー配列が、ハイブリダイズし、それによりプライマーの伸長産物の合成のための鋳型プライマー複合体を形成するのに、鋳型の配列と十分な相補性を有するという条件で、非相補的塩基またはより長い配列が、プライマーへ散在されてもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合の用語「切断構造」は、二重鎖を含む構造を形成し、その結果生じた構造が、限定されるものではないが、酵素を含む切断手段により切断可能である、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドと標的核酸との相互作用により形成される構造を指す。切断構造は、二次構造に関係なく(すなわち、二重鎖構造の形成が必要とされない)核酸分子を切断するホスホジエステラーゼのような作用物質による非特異的な切断についての基質である核酸分子とは対照的に、切断手段による特異的切断についての基質である。
【0048】
本明細書で使用される場合の用語「切断手段」または「切断剤」は、限定されるものではないが、酵素を含む、切断構造を切断することができる任意の手段を指す。「構造特異的ヌクレアーゼ」または「構造特異的酵素」は、核酸分子における特異的二次構造を認識し、これらの構造を切断する酵素である。本発明の切断手段は、切断構造の形成に応答して核酸分子を切断する;切断手段が切断構造内のどこか特定の位置で切断構造を切断することは必要ではない。
【0049】
切断手段は、CLEAVASE酵素(Third Wave Technologies, Madison, WI)、FEN-1エンドヌクレアーゼ(RAD2およびXPGタンパク質を含む)、Taq DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIを含む様々な源から供給されるヌクレアーゼ活性を含んでもよい。切断手段は、5'ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含んでもよい(例えば、Taq DNAポリメラーゼ(DNAP)、大腸菌DNAポリメラーゼI)。切断手段はまた、5'ヌクレアーゼ活性を有するが、合成活性を欠く改変されたDNAポリメラーゼを含んでもよい。本発明の方法およびキットにおける使用に適した切断手段の例は、U.S. Patent Nos. 5,614,402; 5,795,763; 5,843,669; PCT Appln. Nos. WO 98/23774; WO 02/070755A2;およびWO 0190337A2に提供されており、それぞれは、完全に参照として本明細書に組み入れられる。
【0050】
5'ヌクレアーゼのような酵素に関して用いられる場合、用語「耐熱性の」は、酵素が高温で、すなわち、約55℃またはそれ以上(例えば、限定されるものではないが、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、または90℃)で、機能しうるまたは活性がある(すなわち、触媒作用を行うことができる)ことを示す。
【0051】
本明細書で使用される場合の用語「切断生成物」は、切断構造との切断手段の反応(すなわち、切断構造の切断手段での処理)により生じた生成物を指す。
【0052】
用語「非標的切断生成物」は、標的核酸由来ではない切断反応の生成物を指す。上記で考察されているように、本発明の方法のいくつかにおいて、切断構造の切断は、一般的に、プローブオリゴヌクレオチド内で起こる。この標的核酸依存性切断により生成したプローブオリゴヌクレオチドの断片は、「非標的切断生成物」である。
【0053】
インベーダーアッセイ反応との関連において、用語「プローブオリゴヌクレオチド」は、インベーダーオリゴヌクレオチドの存在または非存在下で切断構造を形成するように標的核酸と相互作用するオリゴヌクレオチドを指す。標的核酸にアニールされる場合、プローブオリゴヌクレオチドおよび標的は、切断構造を形成し、切断は、プローブオリゴヌクレオチド内に生じる。
【0054】
用語「インベーダー(INVADER)オリゴヌクレオチド」は、プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションの領域の近くの位置で標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指し、インベーダーオリゴヌクレオチドは、プローブと標的との間のハイブリダイゼーションの領域と重複する部分(例えば、化学的部分、または標的に相補的であってもなくてもよいヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、インベーダーオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドの5'末端に位置した配列と実質的に同じであるその3'末端での配列を含む。
【0055】
用語「アレスター(ARRESTOR)分子」は、1つまたは複数の反応構成要素がその後の作用または反応に関与するのを妨げるために、侵入性切断反応に添加されるまたは含まれる作用物質を指す。これは、いくつかの反応構成要素を封鎖または不活性化することにより(例えば、核酸構成要素を結合もしくは塩基対形成することにより、またはタンパク質構成要素に結合することにより)行われてもよい。用語「アレスター(ARRESTOR)オリゴヌクレオチド」は、任意の反応の1つまたは複数の局面(例えば、第一反応および/または任意のその後の反応もしくは作用;アレスターオリゴヌクレオチドが何か特定の反応または反応段階に限定されることは意図されない)を停止または抑止するために侵入性切断反応に含まれるオリゴヌクレオチドを指す。これは、いくつかの反応構成要素を封鎖すること(例えば、もう一つの核酸に塩基対形成すること、またはタンパク質構成要素に結合すること)により行われてもよい。しかし、その用語が、反応構成要素が封鎖される状況だけにのように限定されることは意図されない。
【0056】
本明細書で使用される場合の用語「カセット」は、インベーダーアッセイにおいてプローブオリゴヌクレオチドの切断に応答して検出可能なシグナルを生じるように構成されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組み合わせを指す。好ましい態様において、カセットは、プローブオリゴヌクレオチドの切断からの非標的切断生成物にハイブリダイズして、第二の侵入性切断構造を形成し、そのため、カセットはその後、切断されうる。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい態様における二次切断反応は、FRETカセットの使用を含む。そのような分子は、二次標的(二次反応標的(Secondary Reaction Target)またはSRT)およびFRET標識された切断可能配列の両方を供給し、逐次的侵入性切断反応の均一な検出(すなわち、反応後の生成物分離または他の操作なしに)を可能にする。他の好ましい態様は、FRETプローブおよび合成標的が別々のオリゴヌクレオチドとして供給される二次反応系を用いる。一次反応から切断された5'-フラップは、二次反応において侵入性オリゴヌクレオチドとして働き、それらは、適切な二次反応標的(SRT)に結合する。
【0058】
いくつかの態様において、カセットは、ヘアピン部分(すなわち、カセットオリゴヌクレオチドの1つの部分が二重鎖を形成するように反応条件下で同じオリゴヌクレオチドの第二部分にハイブリダイズしている領域)を含む単一のオリゴヌクレオチドである。他の態様において、カセットは、反応条件下において二重鎖を形成することができる相補的部分を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様において、カセットは標識を含む。特に好ましい態様において、カセットは、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)効果を生じる標識部分を含む。
【0059】
核酸基質に関して用いられる場合の用語「実質的に一本鎖の」とは、基質分子が、鎖間の塩基対形成相互作用により共に保持されている核酸の2つの鎖として存在する二本鎖基質とは対照的に、主に核酸の一本鎖として存在することを意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、標的配列のコピーを作製することなく、増幅されていない(例えば、PCRにより)特定の標的配列(例えば、miRNA、SNP、反復配列など)の存在または非存在を検出するように構成された検出アッセイを指す。「非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、例えば、標的配列がコピーされない限りは、特定の標的配列または標的配列内の多型の存在または非存在を示すために使用されたシグナルを増幅することができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「非増幅(non-amplifying)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、標的配列のコピーを作製することなく、標的配列(例えば、miRNA、SNP、反復配列など)の存在または非存在を検出するように構成された検出アッセイを指す。「非増幅(non-amplifying)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、例えば、標的配列がコピーされない限りは、特定の標的配列または標的配列における多型の存在または非存在を示すために使用されたシグナルを増幅することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合の用語「配列変異」は、2つの核酸間の核酸配列における差を示す。例えば、野生型構造遺伝子およびこの野生型構造遺伝子の突然変異型は、単一の塩基置換および/または1個もしくは複数のヌクレオチドの欠失もしくは挿入の存在により配列において異なっていてもよい。構造遺伝子のこれらの2つの型は、互いに配列において異なると言われる。構造遺伝子の第二の突然変異型が存在してもよい。この第二突然変異型は、配列において、野生型遺伝子およびその遺伝子の第一突然変異型の両方と異なるといわれる。
【0063】
本明細書で使用される場合の用語「遊離させること」は、オリゴヌクレオチドのようなより大きな核酸断片から、放出された断片がオリゴヌクレオチドの残りにもはや共有結合性に付着しないように、例えば、5'ヌクレアーゼの作用によって、核酸断片を放出することを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合の用語「Km」は、酵素についてのミカエリス-メンテン定数を指し、所定の酵素が酵素触媒反応においてそれの最大速度の2分の1を生じる特定の基質の濃度として定義される。
【0065】
本明細書で使用される場合の用語「ヌクレオチド類似体」は、限定されるものではないが、7-デアザプリン(すなわち、7-デアザ-dATPおよび7-デアザ-dGTP);代替の水素結合立体配置をもつ塩基類似体(S. BennerによるU.S. Patent No. 6,001,983に記載され、かつ参照として本明細書に組み入れられた、イソ-Cおよびイソ-Gならびに他の非標準的塩基対);非水素結合類似体(例えば、B.A. Schweitzer and E.T. Kool, J. Org. Chem., 1994, 59, 7238-7242, B.A. Schweitzer and E.T. Kool, J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, 1863-1872(それぞれが参照として本明細書に組み入れられる)により記載された、2,4-ジフルオロトルエンのような非極性、芳香族ヌクレオチド;5-ニトロインドールおよび3-ニトロピロールのような「ユニバーサル」塩基;ならびにユニバーサルプリンおよびピリミジン(それぞれ、「K」および「P」ヌクレオチドのような;P. Kong, et al., Nucleic Acids Res., 1989, 17, 10373-10383, P. Kong et al., Nucleic Acids Res., 1992, 20, 5149-5152)のようなスタッキング相互作用を変化させた類似体を含む改変された、または天然に存在しないヌクレオチドを指す。ヌクレオチド類似体は、ジデオキシヌクレオチドおよび2'-O-メチルヌクレオチドのような糖部分に改変をもつヌクレオチドを含む。ヌクレオチド類似体は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの改変型を含む。
【0066】
用語「多型座」とは、集団のメンバー間で変異を示す集団に存在する座である(最もよくある対立遺伝子は0.95未満の頻度をもつ)。対照的に、「単型座」は、集団のメンバー間でほとんどまたは全く変異が見られない遺伝子座である(一般的に、最もよくある対立遺伝子が集団の遺伝子プールにおいて0.95の頻度を超える座であると解釈される)。
【0067】
本明細書で使用される場合の用語「微生物」は、小さすぎて裸眼で観察され得ない生物体を意味し、限定されるものではないが、細菌、ウイルス、原生動物、真菌および繊毛虫を含む。
【0068】
用語「微生物遺伝子配列」は、微生物由来の遺伝子配列を指す。
【0069】
用語「細菌」は、真正細菌および古細菌種を含む任意の細菌種を指す。
【0070】
用語「ウイルス」は、自律複製ができない(すなわち、複製が宿主細胞の機構の使用を必要とする)偏性超顕微鏡的細胞内寄生体を指す。
【0071】
本明細書および特許請求の範囲における用語「試料」とは、それの最も広い意味で用いられる。一方では、検体または培養物(例えば、微生物学的培養物)を含むことが意図される。他方では、生物学的および環境的の両方の試料を含むことが意図される。試料は、合成起源の検体を含んでもよい。
【0072】
生物学的試料は、ヒトを含む動物の、液体、固体(例えば、便)または組織、加えて乳製品種目、野菜、肉および食肉処理された獣の肉以外の有用物のような液体および固体の食物および飼料の製品ならびに材料、ならびに廃棄物であってもよい。生物学的試料を、限定されるものではないが、有蹄動物、クマ、魚類、ウサギ目の動物、齧歯類などを含む、あらゆる様々な科の家畜、加えて、野生動物から得ることができる。
【0073】
環境的試料は、表面物質、土壌、水のような環境的材料および産業的試料、加えて、食物および乳加工道具、装置、設備、器具、使い捨ておよび非使い捨て商品から得られる試料を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料型を限定すると解釈されるべきではない。
【0074】
用語「標的核酸の供給源」は、核酸(RNA(例えば、miRNA)またはDNA)を含む任意の試料を指す。標的核酸の特に好ましい供給源は、限定されるものではないが、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰および精液を含む生物学的試料である。
【0075】
オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドが他方のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)より高いモル濃度で存在する場合には、もう一つのオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)に対して「過剰」に存在すると言われる。プローブオリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列の濃度に対して過剰に、切断反応において存在する場合、反応は、存在する標的核酸の量を示すために使用されうる。典型的には、過剰に存在する場合、プローブオリゴヌクレオチドは、少なくとも100倍のモル過剰で存在するものである;典型的には、標的核酸配列が約10 fmoleまたはそれ未満で存在する場合、各プローブオリゴヌクレオチドの少なくとも1 pmoleが用いられるものと思われる。
【0076】
第一および第二の標的核酸を「含むと疑われる」試料は、標的核酸分子のいずれかを含む、両方を含む、またはいずれも含まない場合がある。
【0077】
用語「反応物」は、それの最も広い意味で本明細書で使用される。反応物は、例えば、酵素的反応物、化学的反応物、または光(例えば、紫外線、特に短波長紫外線はオリゴヌクレオチド鎖を切断することが知られている)を含むことができる。オリゴヌクレオチドと反応して、オリゴヌクレオチドを短くする(例えば、切断する)かまたは伸長するかのいずれかをすることができる任意の作用物質は、用語「反応物」内に含まれる。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」または「精製するために」とは、試料からの夾雑物の除去を指す。例えば、いくつかの態様において、組換えCLEAVASEヌクレアーゼは細菌の宿主細胞で発現され、これらのヌクレアーゼは、宿主細胞タンパク質の除去により精製される;これらの組換えヌクレアーゼのパーセントは、それにより、試料において増加する。
【0079】
本明細書で使用されるように、タンパク質に関する場合の用語「部分」(「所定のタンパク質の部分」のような)は、そのタンパク質の断片を指す。断片は、4個のアミノ酸残基から全アミノ酸配列マイナス1個のアミノ酸までの大きさの範囲であってよい(例えば、4個、5個、6個、・・・、n-1個)。
【0080】
本明細書で使用される場合の用語「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびそれらの断片または部分、ならびに一本鎖または二本鎖であって、かつセンス鎖またはアンチセンス鎖を示しうるゲノムもしくは合成起源のDNAまたはRNAを指す。同様に、本明細書で使用される場合の「アミノ酸配列」は、ペプチドまたはタンパク質の配列を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」または「実質的に精製された」は、それらの天然の環境から取り出され、単離または分離され、かつそれらが天然で付随している他の成分を少なくとも60%含まない、好ましくは75%含まない、および最も好ましくは90%含まない分子(核酸またはアミノ酸の配列)を指す。したがって、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は、実質的に精製されたポリヌクレオチドである。
【0082】
本明細書で使用される場合の用語「核酸の連続鎖」は、切れ目または他の破損なしに、連続的な、共有結合性に連結されたバックボーン構造をもつ核酸の鎖を意味する。各ヌクレオチドの塩基部分の配置は、塩基対形成されていようが、一本鎖であろうが、ミスマッチされていようが、連続鎖の定義における要素ではない。連続鎖のバックボーンは、天然に存在する非改変の核酸において見出されるリボース-リン酸またはデオキシリボース-リン酸組成物に限定されない。本発明の核酸は、限定されるものではないが、ホスホロチオエート残基、ホスホネート残基、2'置換型リボース残基(例えば、2'-O-メチルリボース)および代替糖(例えば、アラビノース)含有残基を含む、バックボーンの構造における改変を含んでもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合の用語「連続二重鎖」は、二重鎖内に塩基対の連鎖に破損がない(すなわち、二重鎖に沿う塩基対は、連続二重鎖の領域の限局に関するギャップ、隆起またはミスマッチに適応するために歪められていない)二本鎖核酸の領域を指す。本明細書で使用される場合、その用語は、核酸鎖のバックボーン部分における連続性の含意なしに、二重鎖内の塩基対の配列のみを指す。連続した塩基対形成をもつが、一方または両方の鎖に切れ目を含む二重鎖核酸は、連続二重鎖の定義内である。
【0084】
用語「二重鎖」は、1つの鎖におけるヌクレオチドの塩基部分が第二鎖に配列されたそれらの相補的塩基を水素結合を通して結合している核酸の状態を指す。二重鎖型であることの条件は、核酸の塩基の状態に反映する。塩基対形成によって、核酸の鎖はまた、一般的に、メジャーおよびマイナーグルーブをもつ二重らせんの三次構造を仮定する。らせん型の仮定は、二重鎖になることの作用に内在する。
【0085】
用語「鋳型」は、その上に相補的コピーが鋳型依存性核酸ポリメラーゼの活性によりヌクレオシド三リン酸から構築される、核酸の鎖を指す。二重鎖内での鋳型鎖は、慣例により、「下部」鎖として描写および記載される。同様に、非鋳型鎖は、しばしば「上部」鎖として描写および記載される。
【0086】
発明の説明
本発明は、マイクロRNA(micro RNA:miRNA)または他の短い核酸分子(例えば、siRNA)の検出および特徴付けのための組成物ならびに方法に関する。本発明は、miRNA発現を検出、特徴付け、かつ定量化する改善された方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、検出を助けるために、核酸をmiRNAに付加する段階を含むmiRNA発現を検出する方法を提供する。結果として生じる「miRNA検出構造」は、その後、限定されるものではないが、本明細書に開示されたものを含む、任意の適する方法を用いて検出される。以下の説明は、miRNAの検出および定量化に焦点を合わせているが、本発明はまた、他の短い核酸分子(例として、例えば、50、40、30または20ヌクレオチド長未満のDNAおよびRNA)での使用が見出されることは理解されるべきである。
【0087】
I. miRNA検出構造の形成
いくつかの態様において、本発明は、miRNAの検出を助けることが可能なmiRNA検出構造を作製する方法を提供する。miRNAは、大きさが小さく(約21ヌクレオチド)、それゆえに、標準化ハイブリダイゼーション方法を用いて検出するには困難である。いくつかの態様において、本発明の方法は、検出構造を作製するために核酸分子をmiRNAに付加する(例えば、ハイブリダイゼーション、伸長またはライゲーションにより)段階を含む。そのような検出構造を、その後、任意の適した方法を用いて検出することができる。
【0088】
一つの特定の態様において、図2に記載された検出構造は、miRNAの検出のために作製される。この態様において、2つのオリゴヌクレオチドは、二重ループまたは「ダンベル」様構造を形成するようにmiRNAにアニールされる。ダンベル構造は、オリゴヌクレオチドの二本鎖領域でmiRNAの末端を伸長することにより二本鎖核酸のより大きな領域を作製する。いくつかの態様において、miRNAの各末端は、2ヌクレオチドと5ヌクレオチドの間で伸長される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、miRNAにハイブリダイズしない付加的な核酸配列を含む。いくつかの態様において、これらの付加的な配列は、侵入性切断構造(例えば、インベーダーアッセイ侵入性切断構造)を形成する。いくつかの態様において、侵入性切断構造は、インベーダーアッセイにより検出される(例えば、下部の説明を参照)。
【0089】
他の態様において、図3に記載された検出構造は、miRNAの検出のために作製される。この態様において、1つのオリゴヌクレオチドは、アーチ構造を作製するようにmiRNAにアニールされる。miRNAは、miRNAの非存在下の場合よりも高い効率性を以て、オリゴヌクレオチドの末端を結合させる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、miRNAを超えて伸長し、かつmiRNAにハイブリダイズしない付加的な配列を含む。いくつかの態様において、これらの付加的な配列は、侵入性切断構造(例えば、インベーダーアッセイ侵入性切断構造)を形成する。いくつかの態様において、侵入性切断構造は、インベーダーアッセイにより検出される(例えば、下部の説明を参照)。他の態様において、インベーダーアッセイ侵入性切断構造の切断後、その結果生じた末端は、環状構造を形成するようにライゲーションされる。他の態様において、1つのオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの末端が極めて接近してもたらされるようにmiRNAにハイブリダイズし(例えば、miRNAの隣接ヌクレオチドにハイブリダイズする)、その後、ライゲーションされる。
【0090】
なおさらなる態様において、図16および図17に記載された検出構造が作製される。この態様において、プローブかまたはインベーダーオリゴヌクレオチドのいずれかが、単一のヘアピンループまたは「半ダンベル」構造を作製するように伸長される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、miRNAにハイブリダイズしない付加的な核酸配列を含む。いくつかの態様において、これらの付加的な配列は、侵入性切断構造(例えば、インベーダーアッセイ侵入性切断構造)を形成する。いくつかの態様において、侵入性切断構造は、インベーダーアッセイにより検出される(例えば、下部の説明を参照)。
【0091】
他の態様において、これらの付加的な配列は、切断構造、例えばインベーダーアッセイ侵入性切断構造を安定化するために反応混合物に加えられる追加のオリゴヌクレオチドに相補的である(図4)。
【0092】
いくつかの態様において、上記のように作製された環状構造は、ローリングサークル複製アッセイを用いて検出される(例えば、ローリングサークル複製の下部の説明を参照)。
【0093】
なおさらなる態様において、検出構造は、miRNAに相同的な短い領域を含む長いオリゴヌクレオチド(例えば、50個、100個、1000個またはそれ以上のヌクレオチドより大きい)から作製される。1つまたは複数のmiRNAは、検出構造を作製するようにオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの態様において、これらの検出構造は、miRNAの伸長(例えば、ライゲーションまたはRT-PCRのような重合反応による)により検出される。いくつかの態様において、これらの検出構造は、ミクロスフィアのような固体支持体、または他の表面もしくは構造に結合したオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによりさらに検出される。
【0094】
いくつかの態様において、検出構造を形成するために使用されたオリゴヌクレオチドは、1個または複数のヌクレオチド類似体を含む。例えば、いくつかの態様において、2'-O-メチルヌクレオチドが利用される。本発明は、特定の機構に限定されない。実際、機構の理解は、本発明を実施するのに必要ではない。とはいえ、2'-O-メチル塩基の存在は、ハイブリダイズされた検出構造の安定性を増加させ、さらなる検出方法において助けることが企図される。
【0095】
II. 干渉RNAの検出
いくつかの態様において、本発明は、miRNAを検出する方法を提供する。本発明は、特定の検出アッセイに限定されない。任意の適する方法を利用してよく、限定されるものではないが、本明細書に開示された方法を含む。
【0096】
本発明のいくつかの好ましい態様において、miRNA検出方法は定量的である。本発明は、特定の機構に限定されない。実際、機構の理解は、本発明を実施するのに必要ではない。とはいえ、体内の特定のmiRNAのレベルがそれらの同族遺伝子からの遺伝子発現のレベルと関連していることが企図される。従って、本発明は、miRNAを特定の遺伝子(例えば、疾患状態または代謝に関与する遺伝子)の遺伝子発現と相関させる方法を提供する。例えば、いくつかの態様において、本発明の方法は、特定のmiRNAの異常な(例えば、高いまたは低い)レベルの存在を測定するために、またはmiRNA発現への介入(例えば、薬物)の効果を測定するために利用される。他の態様において、異種性miRNA(例えば、発現ベクター、トランスジェニック構築物、トランスフェクションなど由来)は、miRNA発現系の効率を特徴付けするために検出される。
【0097】
いくつかの態様において、本発明は、特定のmiRNA(例えば、mir-1またはmir-135のようなmiRNA)を検出する方法を提供する。他の態様において、本発明の方法は、特定のmiRNAにおいて変異体(例えば、多型または突然変異)間を区別するために用いられる。なおさらなる態様において、本発明は、miRNAの存在について試験される細胞を溶解する方法を提供する。
【0098】
A. インベーダーアッセイ
いくつかの態様において、インベーダーアッセイは、miRNAの検出のために用いられる。いくつかの態様において、インベーダーアッセイは、標的核酸の存在に依存する核酸切断構造を形成する段階、および特有の切断生成物を放出するように核酸切断構造を切断する段階を含む。例えば、5'ヌクレアーゼ活性は、標的依存性切断構造を切断するために使用され、その結果生じた切断生成物または切断構造の切断は、試料における特定の標的核酸配列の存在を示している。核酸またはオリゴヌクレオチドの1つまたは2つ(またはそれ以上)の鎖が、以下に記載されているように、それらが重複している侵入性切断構造を形成するように両方ともに標的核酸鎖にハイブリダイズする場合、侵入性切断が生じうる。切断剤(例えば、5'ヌクレアーゼ)と上流オリゴヌクレオチドの相互作用を通して、切断剤は、特有の断片が生成されるような方式で内部部位で下流オリゴヌクレオチドを切断するように作製されてもよい。そのような態様は、インベーダーアッセイ(Third Wave Technologies)と名付けられ、U.S. Patent Nos. 5,846,717, 5,985,557, 5,994,069, 6,001,567, 6,090,543, 6,348,314, および6,458,535, WO 97/27214 WO 98/42873, Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17:292 (1999), Hall et al., PNAS, USA, 97:8272 (2000)に記載されており、これらはそれぞれ、参照としてそのすべてが本明細書に完全に組み入れられている。
【0099】
インベーダーアッセイは、構造特異的酵素による特定の構造の酵素的切断によりプローブの標的へのハイブリダイゼーションを検出する(インベーダーアッセイ、Third Wave Technologiesを参照;例えばU.S. Patent Nos. 5,846,717; 6,090,543; 6,001,567; 5,985,557; 5,994,069; 6,090,543; 6,348,314; 6,458,535; U.S. Patent App.Nos. 20030186238 (Ser.No.10/084839); 20030104378A1 (Ser.No.09/864636) ; Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17: 292 (1999), Hall et al., PNAS, USA, 97: 8272 (2000)、W0 97/27214およびW0 98/42873を参照のこと。これらはそれぞれ、参照としてそのすべてが本明細書に完全に組み入れられている)。
【0100】
インベーダーアッセイは、重複しているオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションにより形成された複合体を切断する構造特異的酵素(例えば、FENエンドヌクレアーゼ)を用いることにより特定のDNAおよびRNA配列を検出する(例えば、図1を参照)。高温およびプローブのうちの1つの過剰が、温度サイクリングなしに、複数のプローブが存在する各標的配列について切断されるのを可能にする。いくつかの態様において、これらの切断されたプローブは、その後、第二の標識プローブの切断を導く。第二プローブオリゴヌクレオチドを、内部色素により消光されるフルオレセインで5'末端標識してもよい。切断された場合、脱消光されたフルオレセイン標識生成物を、標準的蛍光プレートリーダーを用いて検出することができる。
【0101】
インベーダーアッセイは、非増幅の、加えて増幅されたRNA、およびゲノムDNAを含むDNAにおいて、特定の配列、突然変異およびSNPを検出する。図1に概略的に示された態様において、インベーダーアッセイは、標的特異的シグナルを発生するため、およびその後にそのシグナルを増幅するための2つのカスケード段階(一次および二次反応)を用いる。便宜上、以下の考察における対立遺伝子は、野生型(WT)および突然変異体(MT)として記載されるが、この用語がすべての遺伝的変異に適用されるわけではない。一次反応において(図1、パネルA)、WT一次プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドは、重複している構造を形成するように標的核酸に直列にハイブリダイズする。不対の「フラップ」は、WT一次プローブの5'末端上に含まれる。構造特異的酵素(例えば、CLEAVASE酵素、Third Wave Technologies)は、重複を認識し、不対のフラップを切断し、それを標的特異的生成物として放出する。二次反応において、この切断された生成物は、WT蛍光共鳴エネルギー移転(WT-FRET)プローブ上でインベーダーオリゴヌクレオチドとして働き、構造特異的酵素により認識される構造を再び生成する(パネルA)。単一のFRETプローブ上の2つの色素が、切断(図1において矢印により示されている)により分離される場合、バックグラウンド蛍光の上の検出可能な蛍光シグナルを生じる。従って、この第二構造の切断は、結果として、蛍光の増加を生じ、WT対立遺伝子(または、アッセイが、突然変異対立遺伝子について検出可能なシグナルを生じるように構成される場合には、突然変異対立遺伝子)の存在を示している。いくつかの態様において、異なる標識(例えば、発光もしくは励起波長における差により分解可能、または時間分解型蛍光検出により分解可能)を有するFRETプローブは、異なる対立遺伝子または遺伝子座が単一反応で検出されうるように、検出される各対立遺伝子または遺伝子座について提供される。そのような態様において、一次プローブセットおよび異なるFRETプローブを、単一アッセイと組み合わせることができ、同じ試料において各対立遺伝子または遺伝子座からのシグナルの比較を可能にする。
【0102】
一次プローブオリゴヌクレオチドおよび標的ヌクレオチド配列が切断部位で完全にはマッチしない場合には(例えば、MTプライマープローブおよびWT標的についてのような、図1、パネルB)、重複した構造は形成せず、切断は抑制される。用いられる構造特異的酵素(例えば、CLEAVASE VIII酵素、Third Wave Technologies)は、重複していない構造よりも効率的に(例えば、少なくとも340倍)重複した構造を切断し、対立遺伝子の優れた識別を可能にする。
【0103】
プローブは、標的あたり多くのシグナルを生じるように(すなわち、直線的シグナル増幅)、温度サイクリングなしに回転する。同様に、各標的特異的生成物は、多くのFRETプローブの切断を可能にすることができる。
【0104】
一次インベーダーアッセイ反応は、検出される標的DNA(またはRNA)に対して向けられる。インベーダーおよび一次プローブはモル過剰に供給されるため、標的DNAが、第一侵入性切断における制限的構成要素である。第二侵入性切断において、制限するのは、放出されるフラップである。これらの2つの切断反応が連続して行われる場合、複合反応からの蛍光シグナルは、標的DNA量に対して直線的に集積する。
【0105】
特定の態様において、インベーダーアッセイ、または他のヌクレオチド検出アッセイは、接近可能な部位を設計されたオリゴヌクレオチドおよび/または架橋オリゴヌクレオチドを用いて行われる。そのような方法、工程および組成物は、U.S. Pat. 6,194,149, 6,358,691, 6,355,437, U.S. Pat. Application Ser. No. 09/882,945ならびにPCT Applications WO 9850403およびWO 0198537に記載されており、それらのすべては参照として完全に具体的に組み入れられている。
【0106】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階は、標的配列がその試料に存在する場合には、侵入性切断構造が標的配列とオリゴヌクレオチドの間に形成され、その侵入性切断構造がその切断剤により切断されて切断生成物を形成する条件下において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階を含む。
【0107】
いくつかの態様において、標的配列は、第一領域および第二領域を含み、第二領域が第一領域の下流でかつ近接しており、オリゴヌクレオチドは第一および第二オリゴヌクレオチドを含み、第一オリゴヌクレオチドの少なくとも部分が標的配列の第一部分と完全に相補的であり、かつ第二オリゴヌクレオチドが3'部分および5'部分を含み、5'部分が標的核酸の第二部分と完全に相補的である。
【0108】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階は、標的配列がその試料に存在する場合には、侵入性切断構造が標的配列とオリゴヌクレオチドの間に形成され、その侵入性切断構造がその切断剤により切断されて切断生成物を形成する条件下において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階を含む。
【0109】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階は、標的配列がその試料に存在する場合には、侵入性切断構造が標的配列とオリゴヌクレオチドの間に形成され、その侵入性切断構造がその切断剤により切断されて切断生成物を形成する条件下において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階を含む。
【0110】
いくつかの特に好ましい態様において、標的配列は、第一領域および第二領域を含み、その第二領域がその第一領域の下流でかつ近接しており、そのオリゴヌクレオチドは第一および第二オリゴヌクレオチドを含み、その第一オリゴヌクレオチドの少なくとも部分がその標的配列のその第一部分と完全に相補的であり、かつその第二オリゴヌクレオチドが3'部分および5'部分を含み、その5'部分がその標的核酸のその第二部分と完全に相補的である。
【0111】
特定の態様において、本発明は、インベーダー検出試薬(例えば、一次プローブ、インベーダープローブおよびFRETカセット)を用いてプールされた試料(例えば、プールされた血液試料またはプールされた細胞可溶化物)をアッセイするためのキットを提供する。好ましい態様において、キットは、インベーダーアッセイを行う方法、およびいくつかの態様において、インベーダー検出アッセイを多くの個体由来のプールされた試料に適用する方法、または単一の被験体からの多くの細胞から(例えば、生検試料から)の「プールされた」試料に適用する方法についての使用説明書をさらに含む。
【0112】
本発明は、標的核酸が、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションおよびプローブの切断の複数のラウンド中に、温度サイクリング(すなわち、標的核酸鎖の周期的な変性のための)または核酸合成(すなわち、標的またはプローブ核酸鎖の重合に基づく置換のための)を用いる必要性なしに、再使用またはリサイクルされるアッセイをさらに提供する。切断反応が、プローブが標的鎖上で連続的に置換される条件下で実行される場合(例えば、プローブ-プローブ置換を通して、またはプローブ/標的の会合と解離の間の平衡を通して、またはこれらの機構を含む組み合わせを通して(Reynaldo et al., J. Mol. Biol. 97:511-520 (2000)))、複数のプローブが、同じ標的にハイブリダイズすることができ、複数の切断および複数の切断生成物の生成を可能にする。
【0113】
インベーダーアッセイ反応:
インベーダーDNAアッセイの好ましい態様において、2つのオリゴヌクレオチド(判別可能な一次プローブ(Primary Probe)およびインベーダーオリゴ)は、重複している構造を形成するように標的DNAに直列にハイブリダイズする。一次プローブの5'末端は、標的DNAにハイブリダイズしない5'-フラップを含む(図1)。結合したインベーダーオリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドは一次プローブと重複するが、標的DNAにハイブリダイズする必要はない。CLEAVASE酵素は、この重複している構造を認識し、一次プローブの不対の5'-フラップを切断し、それを標的特異的生成物として放出する。一次プローブは、反応温度に近い融解温度をもつように設計されている。従って、等温アッセイ条件下において、一次プローブは過剰に供給されているのだが、標的DNA上で循環する。これは、各標的DNAについて一次プローブ切断の複数ラウンド、および放出された5'-フラップの数の増幅を可能にする。
【0114】
二次反応において、それぞれの放出された5'-フラップは、CLEAVASE酵素により認識かつ切断されるもう一つの重複している構造を生じるように蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)カセット上でインベーダーオリゴヌクレオチドとして働くことができる(図1)。FRETカセットが切断される場合、蛍光部位(F)および抑制部位(Q)が分離され、検出可能な蛍光シグナルを生じる。最初の反応と同様に、放出された5'-フラップおよびFRETカセットは循環し、結果として増幅された蛍光シグナルを生じる。最初および二次反応は、同じウェル内で同時に実行される。
【0115】
インベーダーDNAアッセイの二重形式は、単一のウェル内で2つのDNA配列の同時検出を可能にする。ほとんどの場合、これは、特定の多型の2つの変異体の検出を含む(例えば、miRNAにおいて)。二重形式は、それぞれが固有の5'-フラップを含む2つの異なる判別可能な一次プローブ、およびそれぞれがスペクトル的に別個の蛍光部位を含む2つの異なるFRETカセットを用いる。設計により、放出された5'-フラップは、標的特異的シグナルを生じるようにそれらのそれぞれのFRETカセットへのみ結合する。
【0116】
いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するのに必要な構成要素の1つまたは複数を含むキットを提供する。例えば、本発明は、切断アッセイ(例えば、インベーダーアッセイ)を実施するために必要な本発明の酵素および/または反応構成要素を保管または送達するためのキットを提供する。例のつもりであって、本発明のキットを何か特定の構成要素の構成または組み合わせに限定することを意図することはなく、以下の節は、本発明を実施するためのキットの一つの態様を記載している。
【0117】
いくつかの態様において、本発明のキットは、以下の試薬を提供する:
【0118】
他の態様において、本発明のキットは、RNAの直接的検出のために構成される。これらのキットは以下の試薬を提供することができる:
【0119】
さらに考慮して、単一反応におけるオリゴヌクレオチドの特定の組み合わせに起因する望ましくない影響について対処しなければならない。1つのそのような影響は、バックグラウンドシグナルの標的非依存性発生である。他のものとの組み合わせにおけるある特定のオリゴヌクレオチドは、検出される特定の標的の非存在下で、インベーダーアッセイにおいてシグナルを生じることができる。これらのオリゴヌクレオチド組み合わせの異なるプールへの分離を、この影響を軽減するために使用することができる。同様に、ある特定のオリゴヌクレオチド組み合わせは、所望の標的からのシグナル発生を人工的に抑制することができる。この場合もやはり、これらの組み合わせの異なるプールへの分離がこの影響を軽減することができる。
【0120】
プローブセット(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/またはそれらの配列)の設計は、本明細書に提供された反応設計および最適化のためのガイドライン(例えば、実験の部を参照)を用いてmiRNA検出アッセイでの使用に適応される。例えば、いくつかの態様において、反応温度は、ハイブリダイゼーションの小さい方の領域を考慮するように低下される(例えば、50〜60℃まで)。
【0121】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法を行うためにユーザーにより供給される追加の構成要素(例えば、試薬、供給材料、および/または装置)のリストを提供する。例えば、そのような追加の構成要素を何か特定の構成要素に限定するつもりはないが、そのようなリストの一つの態様は以下のものを含む:
・透明CHILLOUT-14液体ワックス(MJ Research)またはリボヌクレアーゼを含まない光学級ミネラルオイル(Sigma、カタログ番号M-5904)
・96ウェルのポリプロピレンマイクロプレート(MJ Research、カタログ番号MSP-9601)
・滅菌1.5-mlまたは2.0-mlの微量遠心管
・滅菌、デオキシリボヌクレアーゼ/リボヌクレアーゼを含まない使い捨てエアゾールバリアピペットチップ
・マルチチャンネルピペット(0.5〜10 μl、2.5〜20 μl)
・サーマルサイクラーまたは他の熱源(例えば、実験室用オーブンまたは加熱ブロック)
・種々雑多な実験装置(試験管立て、マイクロピペッタ、マルチチャンネルピペット、微量遠心機、ボルテックスミキサー)
・蛍光マイクロプレートリーダー(好ましいプレートリーダーは、最高の読み取りで、かつ以下の特性を有する光フィルターを備えている):
【0122】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーにより供給される任意の構成要素(例えば、試薬、供給材料、および/または装置)のリストを提供する。例えば、そのような任意の構成要素リストを何か特定の構成要素に限定するつもりはないが、そのようなリストの一つの態様は以下のものを含む:
・滅菌8チューブストリップまたはマイクロプレート(任意)
・使い捨てプラスチック桶(任意)
・プレートシールテープ(任意)
【0123】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーにより供給される必要な構成要素のリストを提供し、複数の代替物が受け入れられる(例えば、試料調製キット)。例えば、そのような任意の構成要素リストを何か特定の構成要素に限定するつもりはないが、そのようなリストの一つの態様は以下のものを含む:
・QIAGEN QIAAMP血液キット
・Gentra Systems PUREGENEキット
・Gentra Systems GENERATIONプロダクツ
【0124】
キットのいくつかの態様において、詳細なプロトコールが提供される。好ましい態様において、インベーダーアッセイ反応の構築についてのプロトコール(例えば、反応混合物を作製するための策定および好ましい方法)が提供される。特に好ましい態様において、反応混合物の構築についてのプロトコールは、本発明の方法の実施においてエラーのリスクを低減させるために計算的または図式的補助を含む(例えば、複数の反応に必要とされる試薬の容量の計算を容易にするための表、および多数のアッセイ反応を含むようにマルチウェルアッセイプレートを設定するにおいて助けとなるプレート配置ガイド)。
【0125】
いくつかの態様において、補助的な方法について、例えば、追加の試薬の調製について、または本発明の方法での使用のための試料の調製について、のプロトコールのような補足書類が提供される。好ましい態様において、補足書類は、未熟練または経験の浅いユーザーによる方法およびキットの使用の成功を助けるために提供されるガイドラインおよび事前注意のリストを含む。特に好ましい態様において、補足書類は、トラブルシューティングガイド、例えばユーザーが遭遇しうる起こり得る問題を記載し、そのような問題を解決または回避するにおいてユーザーを助けるように意図された、提案されている解決法または修正を提供するガイドを含む。
【0126】
好ましい態様において、試料は、反応あたり10-μl添加に対応する濃度まで希釈される。100-ng試料の濃度は、15 ng/μlであるはずである。
【0127】
B. ローリングサークル複製
他の態様において、ローリングサークル複製方法(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)は、miRNA検出構造の検出のために利用される(例えば、U.S. Patents 6,344,329; 6,143,495; 6,316,229; 6,210,884, 6,183,960および6,235,502を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。いくつかの態様において、ローリングサークル複製は、miRNAにアニールされた単一のオリゴヌクレオチドの末端のアニーリングから生じた環状miRNA検出構造を検出するために用いられる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、重複なしにmiRNAにハイブリダイズする。このオリゴヌクレオチドを、miRNAの存在または非存在下においてライゲーションすることができる。しかし、ライゲーション反応は、miRNAの存在下においてより効率的である。そのような態様において、ゆっくり時間をかけて検出された環状分子のレベルは、miRNAを欠く対照反応と比較される。
【0128】
他の態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、侵入性切断構造を生じる重複している末端をもつように、miRNAにハイブリダイズする。そのような構造は、ライゲーションの前に切断され、従って、環状検出構造の生成の特異性を向上させる。
【0129】
ローリングサークル増幅(RCA)は、環状一本鎖DNA分子の複製を含む。RCAにおいて、ローリングサークル複製プライマーは、環状核酸分子にハイブリダイズし、続いて、鎖置換DNAポリメラーゼを用いる核酸分子のローリングサークル複製を行う。増幅は、単一反応サイクルにおけるローリングサークル複製中に起こる。ローリングサークル複製は、結果として、核酸配列の直列型反復を含む大きなDNA分子を生じる。このDNA分子は、直列型配列DNA(TS-DNA)と呼ばれる。
【0130】
いくつかの態様において、複製の前にライゲーション操作を含むライゲーション仲介型ローリングサークル増幅(LM-RCA)が利用される。ライゲーション操作において、プローブは、存在する場合には、それの同族の標的核酸配列にハイブリダイズし、続いて、共有結合性に閉じた一本鎖核酸を形成するように、ハイブリダイズしたプローブの末端のライゲーションが起きる。ライゲーション後、ローリングサークル複製プライマーは、プローブ分子にハイブリダイズし、続いて、鎖置換DNAポリメラーゼを用いる環状分子のローリングサークル複製が起きる。一般的に、LM-RCAは、開環プローブを標的試料と混合し、結果としてプローブ-標的試料混合物を生じ、開環プローブと標的配列の間のハイブリダイゼーションを促進する条件下でプローブ-標的試料混合物をインキュベートする段階、リガーゼをプローブ-標的試料混合物と混合し、結果としてライゲーション混合物を生じ、増幅標的サークル(ATC)を形成するように開環プローブのライゲーションを促進する条件下でライゲーション混合物をインキュベートする段階、ローリングサークル複製プライマー(RCRP)をライゲーション混合物と混合し、結果としてプライマー-ATC混合物を生じ、増幅標的サークルとローリングサークル複製プライマーの間のハイブリダイゼーションを促進する条件下でプライマー-ATC混合物をインキュベートする段階、DNAポリメラーゼをプライマー-ATC混合物と混合し、結果としてポリメラーゼ-ATC混合物を生じ、増幅標的サークルの複製を促進する条件下でポリメラーゼ-ATC混合物をインキュベートする段階であって、増幅標的サークルの複製が結果として、直列型配列DNA(TS-DNA)の形成を生じる段階を含む。
【0131】
C. 追加の検出方法
本発明は、インベーダーアッセイまたはローリングサークルアッセイ検出に限定されない。miRNA検出構造の検出を可能にする任意の方法を利用することができる。例示的には、本発明の方法に使用を見出す非限定的検出アッセイは、以下に記載されている。
【0132】
1. ハイブリダイゼーションアッセイ
本発明のいくつかの態様において、検出構造は、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出される。ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、所定の核酸配列の存在または非存在は、相補的DNA分子(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)にハイブリダイズする試料由来のDNAの能力に基づいて測定される。ハイブリダイゼーションおよび検出についての様々なテクノロジーを用いる様々なハイブリダイゼーションアッセイが利用可能である。アッセイの選択の説明は、以下に提供されている。
【0133】
a. ハイブリダイゼーションの直接的検出
いくつかの態様において、プローブと対象となる配列(例えば、SNPまたは突然変異)とのハイブリダイゼーションは、結合したプローブを可視化することにより直接的に検出される(例えば、ノーザンまたはサザンアッセイ;例えば、Ausabel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY [1991]を参照)。これらのアッセイにおいて、ゲノムDNA(サザン)またはRNA(ノーザン)は被験体から単離される。DNAまたはRNAを、その後、ゲノムにおいてまれな頻度で、アッセイされるマーカーのいずれの近くでもない一連の制限酵素により切断する。その後、DNAまたはRNAを分離し(例えば、アガロースゲル上で)、膜へ転写する。検出されるSNPまたは突然変異に特異的な標識された(例えば、放射性ヌクレオチドを取り込むことにより)プローブは、低い、中度、または高いストリンジェントな状態の条件下で膜に接触するようにさせておく。結合していないプローブを除去し、結合の存在を、標識されたプローブを可視化することにより検出する。
【0134】
b. 「DNAチップ」アッセイを用いるハイブリダイゼーションの検出
本発明のいくつかの態様において、変異体配列を、DNAチップハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出する。このアッセイにおいて、一連のオリゴヌクレオチドプローブを、固体支持体に付着させる。オリゴヌクレオチドプローブは、所定の標的配列(例えば、miRNA標的配列)に固有であるように設計される。対象となるDNA試料を、DNA「チップ」と接触させ、ハイブリダイゼーションを検出する。
【0135】
いくつかの態様において、DNAチップアッセイは、GeneChip(Affymetrix, Santa Clara, CA;例えば、U.S. Patent Nos. 6,045,996;5,925,525;および5,858,659を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)アッセイである。GeneChipテクノロジーは、「チップ」に付着したオリゴヌクレオチドプローブの小型化された高密度アレイを用いる。プローブアレイは、固相化学合成を半導体工業で用いられるフォトリソグラフィー製造技術と組み合わせるAffymetrixの光定方向性化学合成過程により作製される。チップ曝露部位を定めるために一連のフォトリソグラフィーのマスクを用い、続いて特定の化学合成段階を行って、その過程により、各プローブがアレイにおけるあらかじめ定められた位置にある、オリゴヌクレオチドの高密度アレイが構築される。複数のプローブアレイは、大きなガラスウェーハー上で同時に合成される。ウェーハーは、その後、ダイスカットされ、個々のプローブアレイは、環境からそれらを保護し、かつハイブリダイゼーションのためのチャンバーとしての役割を果たす、射出成形されたプラスチックカートリッジにパッケージングされる。
【0136】
分析される核酸を、単離し、PCRにより増幅し、蛍光レポーター基で標識する。その後、標識されたDNAを流体工学ステーションを用いてアレイとインキュベートする。その後、アレイはスキャナーへ挿入され、ハイブリダイゼーションのパターンが検出される。ハイブリダイゼーションデータは、プローブアレイに結合している、標的へすでに取り込まれた蛍光レポーター基から放射される光として収集される。標的に完全にマッチするプローブは、一般的に、ミスマッチをもつものより強いシグナルを生じる。アレイにおける各プローブの配列および位置がわかっているので、相補性により、プローブアレイに適用された標的核酸の同定を測定することができる。
【0137】
他の態様において、電子的に捕獲されたプローブを含むDNAマイクロチップ(Nanogen, San Diego, CA)を利用する(例えば、U.S. Patent Nos. 6,017,696; 6,068,818;および6,051,380を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。マイクロエレクトロニクスの使用により、Nanogenのテクノロジーは、それの半導体マイクロチップ上に設計された試験部位を往復する電荷分子の活発な運動および濃度を可能にする。所定の標的配列に固有のDNA捕獲プローブは、マイクロチップ上の特定の部位に電子的に配置されるか、または「アドレス指定される」。DNAは強い負電荷をもつため、それは正電荷の領域に電子的に移動させることができる。
【0138】
まず、マイクロチップ上の試験部位または試験部位の列は、正電荷で電子的に活性化される。次に、DNAプローブを含む溶液は、マイクロチップ上へ導入される。負に帯電したプローブは、正に帯電した部位へ迅速に移動し、それらは、マイクロチップ上の部位に集中し、かつ化学的に結合する。マイクロチップは、その後、洗浄され、特異的に結合したDNAプローブのアレイが完成するまで、別個のDNAプローブのもう一つの溶液が添加される。
【0139】
試験試料は、その後、DNA捕獲プローブのどれが標的配列とハイブリダイズするかを測定することにより標的配列の存在について分析される。電子電荷はまた、マイクロチップ上の1つまたは複数の試験部位へ標的分子を移動かつ集中するために用いられる。各試験部位における試料DNAの電子濃度は、試料DNAと相補的捕獲プローブとの迅速なハイブリダイゼーションを促進する(ハイブリダイゼーションは、数分内で起こりうる)。各部位から任意の結合していないまたは非特異的に結合したDNAを除去するために、部位の極性または電荷は、陰性へ逆転され、それにより任意の結合していないまたは非特異的に結合したDNAを捕獲プローブから離れて溶液へ戻るように強制する。レーザーに基づく蛍光スキャナーは、結合を検出するために用いられる。
【0140】
なおさらなる態様において、表面張力における差による平面(チップ)上の流動体の分離に基づくアレイテクノロジー(ProtoGene, Palo Alto, CA)を利用する(例えば、U.S. Patent Nos. 6,001,311; 5,985,551;および5,474,796を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。Protogeneのテクノロジーは、流動体が、化学的コーティングにより与えられた表面張力における差により平面上で分離されうるという事実に基づいている。そのように分離された場合、オリゴヌクレオチドプローブは、試薬のインクジェット印刷によりチップ上で直接的に合成される。反応部位が表面張力により定義されているアレイは、4つの圧電性ノズルのセット、4つの標準DNA塩基のそれぞれについて1つ下に、X/Y翻訳段階で組み込まれる。翻訳段階は、アレイの列のそれぞれに沿って移動し、適切な試薬は、反応部位のそれぞれに送達される。例えば、Aアミダイトは、アミダイトAがその合成段階などの間に結合することになっている部位へのみ送達される。一般的な試薬および洗浄は、表面全体を灌水し、その後、スピニングによりそれらを除去することにより遂行される。
【0141】
対象となる標的配列(例えば、miRNA標的配列)に固有なDNAプローブを、Protogeneのテクノロジーを用いてチップに付着させる。その後、チップを対象となるPCR増幅された遺伝子に接触させる。ハイブリダイゼーション後、結合していないDNAを除去し、ハイブリダイゼーションを、任意の適した方法を用いて検出する(例えば、取り込まれた蛍光性基の蛍光脱消光化により)。
【0142】
さらに他の態様において、「ビーズアレイ」を、多型の検出に用いる(Illumina, San Diego, CA;例えば、PCT Publications WO 99/67641およびWO 00/39587を参照、それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。Illuminaは、アレイへと自己集合する光ファイバー束およびビーズを組み合わせたBEAD ARRAYテクノロジーを用いる。各光ファイバー束は、束の直径に依存して何千から何百万もの個々のファイバーを含む。ビーズは、所定のSNPまたは突然変異の検出に特異的なオリゴヌクレオチドでコーティングされる。ビーズのバッチを、アレイに特異的なプールを形成するように結合させる。アッセイを行うために、BEAD ARRAYを、調製された被験体試料(例えば、核酸試料)に接触させる。ハイブリダイゼーションを、任意の適した方法を用いて検出する。
【0143】
c. ハイブリダイゼーションの酵素的検出
本発明のいくつかの態様において、ハイブリダイゼーションは、特異的な構造の酵素的切断により検出される。
【0144】
いくつかの態様において、結合したプローブのハイブリダイゼーションは、TaqManアッセイ(PE Biosystems, Foster City, CA;例えば、U.S. Patent Nos. 5,962,233および5,538,848を参照、それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)を用いて検出される。アッセイはPCR反応中に行われる。TaqManアッセイは、AMPLITAQ GOLD DNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を利用する。所定の対立遺伝子または突然変異に特異的なプローブが、PCR反応に含まれる。プローブは、5'-レポーター色素(例えば、蛍光色素)および3'-クエンチャー色素をもつオリゴヌクレオチドからなる。PCR中、プローブがそれの標的に結合する場合には、AMPLITAQ GOLDポリメラーゼの5'-3'核酸分解活性が、プローブをレポーターとクエンチャーの色素の間で切断する。レポーター色素のクエンチャー色素からの分離は、結果として、蛍光の増加を生じる。シグナルを、PCRの各サイクルで蓄積し、蛍光計でモニターすることができる。
【0145】
なおさらなる態様において、多型は、SNP-ITプライマー伸長アッセイ(Orchid Biosciences, Princeton, NJ;例えば、U.S. Patent Nos. 5,952,174および5,919,626を参照、それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)を用いて検出される。このアッセイにおいて、SNPは、疑わしいSNP位置における1塩基だけDNA鎖を選択的に伸長するように特異的に合成されたDNAプライマーおよびDNAポリメラーゼを用いることにより同定される。対象となる領域におけるDNAを、増幅かつ変性させる。ポリメラーゼ反応を、その後、マイクロ流体工学と呼ばれる小型化系を用いて行う。検出は、標的配列位置にあると疑われるヌクレオチドへ標識を付加することにより達成される。標識のDNAへの取り込みは、任意の適した方法により検出されてもよい(例えば、ヌクレオチドがビオチン標識を含む場合には、検出はビオチンに特異的な蛍光標識された抗体を介する)。
【0146】
2. 他の検出アッセイ
miRNA検出構造の検出に有用な追加の検出アッセイは、限定されるものではないが、酵素ミスマッチ切断方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、Variagenics, U.S. Pat. Nos. 6,110,684, 5,958,692, 5,851,770);ポリメラーゼ連鎖反応;分岐型ハイブリダイゼーション方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、Chiron, U.S. Pat. Nos. 5,849,481, 5,710,264, 5,124,246および5,624,802);NASBA(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. No. 5,409,818);分子ビーコンテクノロジー(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. No. 6,150,097);E-センサーテクノロジー(Motorola、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. Nos. 6,248,229, 6,221,583, 6,013,170および6,063,573);サイクリングプローブテクノロジー(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. Nos. 5,403,711, 5,011,769および5,660,988);Dade Behringシグナル増幅方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. Nos. 6,121,001, 6,110,677, 5,914,230, 5,882,867および5,792,614);リガーゼ連鎖反応(Barnay, Proc. Natl. Acad. Sci USA 88, 189-93 (1991));およびサンドイッチハイブリダイゼーション方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. No. 5,288,609)を含む。
【0147】
実験
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を実証かつさらに例証するために提供されるものであって、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0148】
実施例1
材料および方法
・以下の最終濃度(特に言及されない限り)を、すべての反応において使用した:
プローブ=1 μM
インベーダー=1 μM
アレスター=2.67 μM
CLEAVASE XII酵素=30 ng
すべての合成miRNAオリゴヌクレオチドは、Dharmaconから購入され、20%変性アクリルアミド上でゲル精製された。合成miRNAは、温度最適条件(下記参照)およびLODを測定するために使用された。
・インベーダー、プローブおよびアレスターオリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(IDT)またはThird Wave Technologiesのいずれかにより合成され、他に規定がない限り、20%変性アクリルアミド上で精製された。
・以下の2.5 X一次反応緩衝液をすべての反応に使用した(特に断りのない限り):
25 mM MOPS pH 7.5
62.5 mM KCl
0.125% ツイーン(Tween)20
0.125% Nonidet NP40
62.5 mM MgSO4
5% PEG
・特に断りのない限り、すべての反応は、最初の熱インキュベーションの前に10 μl ミネラルオイルで表面を覆われた。
・特に断りのない限り、合成miRNAは5'OHを含んだ。5'リン酸化対非リン酸化合成miRNA標的の検出を比較する実験は、合成分子のこれらの2つの異なる型を検出するインベーダーアッセイの能力に有意差はないことを示した。
【0149】
実施例2
let-7およびmir-1についての温度最適化実験
let-7についてのオリゴヌクレオチド設計は、図5に示されている。mir-1についてのオリゴヌクレオチド設計は、図5に示されている。以下の一次混合物を作製し、96ウェルプレートにおいて50℃±10℃で30分間インキュベートした。さらに、標的なしのマスター混合物を調製した(RNAの代わりにH2Oの添加)。すべての反応は、蒸発を防ぐためにミネラルオイルで覆われた。
【0150】
一次反応の完了後、以下の二次反応混合物の5 μlを添加し、その後、反応は、60℃で10〜15分間インキュベートして反応させた。
【0151】
反応の完了後、プレートを、CYTOFLUOR 4000蛍光マイクロプレートリーダーで485 nmの励起波長および530 nmの発光波長を用いて読んだ。結果は、図6および図7に示される。インベーダーオリゴヌクレオチドの5'末端のmiRNAの3'末端へのスタッキングは、インベーダーオリゴヌクレオチドの3'末端が2'-O-メチル化されている場合、増強される。さらに、インベーダーオリゴヌクレオチドの5'末端の2'-O-メチル化は、反応温度を上昇させる。インベーダーオリゴヌクレオチドの2'-O-メチル化塩基を、それらがmiRNA(let-7aの設計配列番号:9(1496-96-01R)における配列番号:8(1496-96-02))対配列番号:23(1496-96-03))の最初の2個の塩基と塩基対形成するように拡張することは、記載された反応の温度最適条件を上昇させるが、検出を向上させない。
【0152】
実施例3
let-7およびmiR-1についてのLOD実験
プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの各セットについての最適な反応温度を決定し、最良の作業設計を決定した(温度最適化正味シグナルから)後、合成RNAを用いて設計のLODを測定するために以下の実験を設定した。以下の反応混合物を、各ウェルが含むように96ウェルプレートへ等分した(以下のプレート設定を参照):
【0153】
以下のmiRNA濃度の2.5 μlを、以下の設定を用いて3連または4連で添加した:
【0154】
プレートを、ミネラルオイル(10 μl)で表面を覆い、50℃で2時間インキュベートした。一次反応の完了後、以下の5 μlを各ウェルに添加し、プレートを60℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、上記の設定を用いて読んだ(実施例2参照)。
【0155】
let-7およびmir-1についてのLODを、次にヒトRNA試料において試験した。上記のプロトコールを利用した。組織特異的全ヒトRNA試料(Clonetech, Palo Alto, CA)の50〜100 ngを使用した。結果は図8および図10に示される。全RNAを用いるlet-7a インベーダーアッセイは、組織の源に依存するlet-7a発現レベルについて前に見られたのと同じ組織発現プロファイルを検出する(Pasquinelli et al., 408:86 [2000])。
【0156】
実施例4
let-7 a、c、eおよびfについての交差反応性実験
本実施例は、let-7の一つのサブタイプに対して作製されたプローブおよび/またはインベーダーオリゴヌクレオチドの、もう一つのサブタイプへの交差反応性の分析を記載する。実施例3に記載された合成let-7a miRNA設定についてのプロトコールを利用した。図5は、オリゴヌクレオチド設計を示す。以下のプレート設定を使用した:
【0157】
結果は図9に示される。let-7a設計について、交差反応性は、miRNAが、切断部位から離れた1塩基変化を有する同じ長さである場合、最大である。換言すれば、インベーダーオリゴヌクレオチド/miRNAハイブリダイズ領域におけるミスマッチは、結果として、ミスマッチが切断部位から最も遠い場合(let-7c)、高交差反応性を生じる。交差反応性は、塩基変化が切断部位の反対の位置に(または、に近い)場合、最も低い。let-7aについて最悪の交差反応性は、let-7cに対してであり、結果として25%のシグナルを生じる。この例は、インベーダーアッセイが非常に類似したmiRNA間を区別することができることを実証している。
【0158】
実施例5
CLEAVASE IX酵素対CLEAVASE XII酵素
本実施例は、miRNAアッセイにおける使用のためのCLEAVASE酵素の最適化を記載する。上記の温度最適化についてのプロトコールを利用した。20 ngのCLEAVASE IX酵素(Third Wave Technologies, Madison, WI)かまたは30 ngのCLEAVASE XII酵素(Third Wave Technologies, Madison, WI)のいずれかを使用した。以下の緩衝液は、CLEAVASE IX酵素について使用された:
2.5 X 一次反応緩衝液:25 mM MOPS pH 7.5、250 mM KCl、0.125% ツイーン20、0.125% Nonidet NP40、31.25 mM MgSO4、10% PEG。
7.5 X 二次反応緩衝液:87.5 mM MgSO4
【0159】
以下の緩衝液は、CLEAVASE XII酵素について使用された:
2.5 X 一次反応緩衝液:25 mM MOPS pH 7.5、62.5 mM KCl、0.125% ツイーン20、0.125% Nonidet NP40、62.5 mM MgSO4、5% PEG。
7.5 X 二次反応緩衝液:H2O
【0160】
LOD実験プロトコールを、CLEAVASE IXまたはXII酵素のいずれかについて使用した。LODを両方の酵素について測定した。結果は図11に示される。
【0161】
CLEAVASE IX酵素かまたはCLEAVASE XII酵素のいずれかでアッセイされた場合、シグナルは直線的に増加し、let-7 miRNAの量が増加した。しかし、R2値は、CLEAVASE XII酵素においてより大きく、より大きい直線性を示した。さらに、LODは、CLEAVASE XII酵素についてより低い。2.5 amolesの検出についての正味シグナルは、CLEAVASE IX酵素に関して20カウント、およびCLEAVASE XII酵素に関して66.75であった。
【0162】
実施例6
miR-135、GAPDHおよびU6 RNA
A. miR135を検出するためのオリゴヌクレオチドの設計
本実施例は、miRNA miR135についてのアッセイ設計およびLOD測定を記載する。実験は、miR-1についての実施例2および実施例3において記載されているように行われた。オリゴヌクレオチド設計は、図5において記載されている。設計(A〜D)のそれぞれは、mir-135 miRNAの検出について異なるインベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドを利用する。すべての設計の性能を比較する温度最適化実験の結果は、図13に示される。設計Dが最高シグナルを与えた。アッセイ設計Dを用いるLOD実験の結果は、図14に示される。
【0163】
図14Aは、示された標的濃度のそれぞれにおける4つの複製アッセイから生じた生カウントを示す。各標的濃度について得られた平均カウントは、正味シグナルで、ゼロに対する倍数(fold-over-zero)(FOZ)として示されている。この実験におけるmiR-135標的の検出の限界は、98,743個の分子と等価である164 zmoleであった。図14Bは、各濃度で得られた平均カウントのグラフ表示を含み、インベーダーアッセイが試験された濃度範囲のほとんどを通して直線的であることを示している。
【0164】
B. GAPDHおよびU6 RNAを検出するためのオリゴヌクレオチドの設計
いくつかの状況において、例えば二重アッセイにおいて組織特異的方式で発現されうる1つまたは複数のmiRNA種と共に、一定レベルですべての細胞に一般的に存在するRNAを同時検出することが望ましい場合がある。したがって、インベーダーアッセイは、すべての細胞型で一般的に見出される2つの別個のRNA:ヒトグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(hGAPDH)およびU6 RNAを検出するように設計された。
【0165】
hGAPDHの場合、以下のオリゴヌクレオチドが二重miRNA検出アッセイにおいて使用された:インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号:41);プローブ(配列番号:42);アレスターオリゴヌクレオチド(配列番号:43);SRTオリゴヌクレオチド(配列番号:49)、FRETオリゴヌクレオチド(赤色色素)(配列番号:48)。
【0166】
U6の場合、「ユニバーサル」インベーダーアッセイの設計に適した領域を同定するためのC.エレガンス(C. elegans)からマウス、シロイヌナズナ、ヒトまでの8つの多様な種のU6 RNAの配列アラインメント。アラインメントは図12に示されている;この配列を検出するために作製されたオリゴヌクレオチド配列は、配列番号:93〜95である。
【0167】
配列番号:45〜47を用いて細胞可溶化物においてこれらのオリゴヌクレオチドで行われた最初の実験は、U6反応からのシグナルが、おそらく細胞における大量のU6 RNAのせいで、miRNAシグナルの前に十分飽和に達したことを実証した。したがって、滴定反応は、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド濃度を希釈することが、このプローブセットを、1 μMから12.5 nMまでの範囲であるインベーダーおよびプローブ最終濃度での二重miRNA検出アッセイにおける使用に適するようにするかどうかを決定するために行われた。12.5〜50 nMの間のインベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドの最終濃度は、miR-1dおよびlet-7aについての二重miRNA検出に適していた。アレスター、SRTおよびFRETプローブ濃度は、前の実施例に記載されているとおりであった。さらなる実験は、「ユニバーサル」U6 RNAオリゴヌクレオチド(配列番号:93〜95)でのU6 RNAの検出が、配列番号:45〜47での検出に匹敵することを実証している。
【0168】
実施例7
細胞可溶化物におけるlet-7、GAPDHおよびU6 RNAの検出
A. 細胞可溶化物におけるlet 7aの検出
本実施例は、全細胞RNAにおける、およびヒト骨肉腫細胞系、MG63(Third Wave Technologies, Madison, WI;カタログ番号CRL-1427)由来の非誘導型線維芽細胞におけるlet-7 miRNAの直接的な検出を記載する。全細胞RNAは、以前に記載されているように(Chomczynski et al., Anal. Biochem. 162:156-156 (1987))、TRIZOL(Gibco-BRL)を用いて抽出され、細胞可溶化物は、Eis et al., Nature Biotechnology, 19:673-6 (2001)により記載されているように調製された;両方の刊行物は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0169】
反応を以下のように設定した。細胞可溶化物、示された濃度での溶解緩衝液における合成miRNA標的(Eis et al., Nature Biotechnology, 19:673-6 (2001))の5 μlか、または20 ng/μlのtRNAの5 μl(標的なしの対照として)のいずれかのアリコートが、マイクロタイタープレートの適切なウェルへピペッティングされた。一次反応マスター混合物を、以下の試薬を含む96個の反応のために作製した。
【0170】
一次反応マスター混合物の5 μlのアリコートを、適切な標的または対照を含むウェルへ添加した。プレートを、ミネラルオイル(10 μl)で表面を覆い、53℃で2時間インキュベートした。一次反応の完了後、以下の5 μlを各ウェルへ添加し、プレートを60℃で1.5時間インキュベートした。プレートを上記の設定を用いて読んだ(実施例2参照)。
【0171】
すべての標的を4連でアッセイした。全RNAおよび細胞可溶化物の両方についてアッセイされた異なる数の細胞に対して得られた平均カウントは、図15にプロットされた。既知量の合成let-7a miRNAにおいてインベーダーアッセイから得られた標準曲線が、細胞あたりのlet-7aコピー数を推定するために使用された。細胞可溶化物が作製された細胞の数は、参照として本明細書に組み入れられるEis et al., Nature Biotechnology, 19:673-6 (2001)に記載されているように、細胞溶解の前に接種工程中に測定された。この実験では、156個の細胞から得られた全RNA抽出物において、細胞可溶化物における検出の限界に達した。
【0172】
B. Mg++の非存在における溶解
代替の溶解工程が以下のように開発された。上の溶解工程が用いられる場合、長いmRNA(すなわち、GAPDH由来)は予測された量で検出されないことになっていることが知られていた。実験は、可溶化物におけるRNAの抽出へのMg++の効果を調べるために行われた。MgCl2の存在または非存在において溶解された抽出物を、この実施例における上記のようなTRIZOLを用いて調製された全細胞RNA抽出物と比較した。
【0173】
Hela細胞(7.5 X 106個の細胞)を、100 mM KClを含む、10 mM MOPS緩衝液、pH 7.5の溶液の100 μlに懸濁した。10 μlのアリコートを別々のチューブに加え、以下のように調製された2つの異なる溶解緩衝液の100 μlに溶解した:
【0174】
その後、すべてのチューブを、細胞を溶解するように80℃で15分間インキュベートし、ペレット細片のために遠心分離した。様々な可溶化物の5 μlのアリコートを以下のようにインベーダー反応に添加した。
【0175】
一次インベーダー反応は、let-7aについて上記されているとおりであった;PIオリゴヌクレオチド混合物はまた、GAPDHについて(配列番号:41〜43)およびU6について(50 nM最終濃度において配列番号:45〜47)作製された。
*一次インベーダー反応は、let-7aについて上記されているとおりであった;PIオリゴヌクレオチド混合物はまた、GAPDHについて(配列番号:41〜43)およびU6について(50 nM最終濃度において配列番号:45〜47)作製された。
【0176】
一次反応混合物を49℃で1時間インキュベートした。その後、以下の二次反応混合物のアリコートを添加した:
【0177】
二次反応混合物は、実施例7Aに示された濃度でのSRT(let-7について配列番号:22;GAPDHおよびU6について配列番号:49)標的、FRETオリゴヌクレオチド(let-7について配列番号:21;GAPDHおよびU6について配列番号:48)、アレスター(let-7について配列番号:7、GAPDHについて配列番号:43、およびU6について配列番号:47)を含んだ。
【0178】
二次反応は、60℃で1時間実行された。反応は、実施例2に記載されているようにCYTOFLUORマイクロプレートリーダーで読まれた。結果は、図16に示されており、GAPDHシグナルの存在が溶解緩衝液からのMg++の非存在に依存し、一方、U6 RNAシグナルはMg++の存在にかかわらず、比較的一定のままであることを示している。追加の実験は、すべてのRNAが、Mg++の非存在下における溶解から得られたものに匹敵するレベルで、全細胞RNAにおいて検出できることを確認した。
【0179】
実施例8
様々なmiRNAの検出のための代替のインベーダーアッセイ設計
A. let-7Aの検出のための代替設計
本実施例は、let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計の作製および試験を記載する。一連の実験において、インベーダーオリゴヌクレオチドおよびプローブオリゴヌクレオチドの両方の標的特異的領域が11ヌクレオチド長である、1セットの代替設計が作製された。プローブオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が10ヌクレオチド長であり、インベーダーオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が12ヌクレオチド長である、設計の第二セットが作製された。
【0180】
1. オリゴヌクレオチド設計
a. 11-merプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド設計
図5は、プローブおよびインベーダーの両方のオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が11ヌクレオチド長である、let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計のセットを示す。配列番号:50〜51は、インベーダーおよびプローブの両方のオリゴヌクレオチドが直鎖状である設計を提供する。配列番号:6は、ステムループ構造を形成するプローブオリゴヌクレオチドを含む;配列番号:5、ステムループ構造を形成するインベーダーオリゴヌクレオチド;配列番号:5〜6、ステムループを含むプローブおよびインベーダーの両方のオリゴヌクレオチド。
【0181】
b. 10-merプローブおよび12-mer インベーダーオリゴヌクレオチド設計
図5は、プローブの標的特異的領域が10ヌクレオチドを含み、かつインベーダーオリゴヌクレオチドのそれらが12ヌクレオチドを含む、let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計の1セットを示す。配列番号:52〜53は、インベーダーおよびプローブの両方のオリゴヌクレオチドが直鎖状である設計を提供する。配列番号:2は、ステムループ構造を形成するプローブオリゴヌクレオチドを含む;配列番号:1、ステムループ構造を形成するインベーダーオリゴヌクレオチド。
【0182】
2. let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計の温度最適化プロファイル
温度最適化実験を以下のように行った。マスター混合物を24個の反応のために作製した。各反応は以下を含んだ:
*プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの様々な組み合わせが、図16〜17に示されているように、この実験に使用された。
【0183】
二次反応混合物は、let-7について実施例3に記載されているとおりである。適切な場合には、アレスター配列は、プローブのループ全体および標的特異的領域を補完し、プローブの5'末端へ6塩基伸長するように作製された。
【0184】
11-mer温度最適化実験の場合、一次反応は、実施例2に記載されているように、50±9℃で1時間実行され、続いて、60℃で15分の二次反応が行われた。12-mer インベーダーオリゴとの10-merプローブに関しては、一次反応は、50±9℃で15分間実行され、続いて、60℃で15分の二次反応が行われた。
【0185】
インベーダーおよびプローブのオリゴヌクレオチドの標的特異的部分が11ヌクレオチド長である設計についての結果は、図18に示される。図18Aは、各設計の温度最適化プロファイルを示す。図18Bは、それぞれについての最適温度を含む、各設計の標準化された最大性能を示す。プローブオリゴヌクレオチドの標的特異的部分が10塩基であり、かつインベーダーオリゴヌクレオチドのそれが12個である設計についての結果は、図19に示される。図19Aは、温度最適化プロファイルを示し、図19Bは、各設計の標準化された最大性能を示す。
【0186】
これらの結果の試験は、どの設計が結果として、反応条件および形成されたmiRNA-オリゴヌクレオチドハイブリッドの相対的安定性の両方に依存して変化する最大性能を生じるかを示唆する。例えば、両方のオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が11塩基長である場合、プローブ標的特異的領域は49℃の予測Tmを、インベーダーのそれは37℃の予測Tmをもつ。この場合、インベーダーオリゴヌクレオチド-miRNA相互作用の安定化は、この設計に向上したアッセイ性能を与える。しかし、プローブが10-mersであり、かつインベーダーオリゴヌクレオチドが12-mersであるlet-7a設計について、その2つのオリゴヌクレオチドの標的特異的領域は、およそ等価のTmをもつ。この場合、両方のオリゴヌクレオチドがループを形成している設計が最も良く作用する。
【0187】
3. 2つの代替設計を用いるlet-7aのLOD
インベーダーオリゴヌクレオチドがステムループ構造を形成する、二重ループ設計および単一ループ設計のLODを比較するために、実験は実施例3に記載されているように設定された。
【0188】
LODを測定する反応は4連で実行された。反応混合物は、以下の試薬(最終濃度)を含んだ:
【0189】
miRNAの5 μlのアリコートを、図20に示された最終濃度で反応混合物を含むウェルに添加した。一次反応は、実施例8Bで測定された各設計についての最適温度で1.5時間実行された(ループ化インベーダーオリゴヌクレオチド設計について50℃、および二重ループ設計について53℃)。二次反応は、実施例2および実施例3に記載されているように設定され、60℃で1時間実行された。
【0190】
図20における結果は、正味シグナルがmiRNAのモルの関数として生じたことを示している。プロットの直線範囲は、二重ループ設計からよりも、インベーダーループ設計を用いる所定量のmiRNAから多くのシグナルが生じていることを示した。同様に、図20の表の試験は、各miRNAレベルにおけるゼロに対する倍数(fold-over-zero)値が、単一ループ設計について、より大きいことを示している。両方の設計は、結果として、試験された最低濃度、2.68 X 10-20モル、すなわち、26.8ゼプトモル(約16,000個の分子に等価)において十分なFOZを生じた。
【0191】
4. 完全長対短縮化アレスターオリゴヌクレオチド
実験は、例えば図4および図12に示されているような、アレスター分子が、ループ近くのそれらの5'末端で、プローブのmiRNA特異的領域の長さ全体に渡って5'フラップ領域へと伸長する、完全長アレスター分子対プローブのmiRNA特異的領域および5'フラップの一部にのみ相補的であるが、ループ領域へまたは超えて伸長しない短縮化アレスター分子の相対的性能を評価するために行われた。反応は、合成let-7a miRNAを検出するために以下のように設定された:
【0192】
一次反応混合物の6 μlのアリコートを、マイクロタイタープレートの適切なウェルに添加し、以下の表に示された最終濃度で、dH2Oにおける合成let-7a miRNAの4 μlまたは10 ng/μl tRNAの4 μlのアリコートを添加した。一次インベーダー反応を物53℃で1.5時間インキュベートした。
【0193】
二次反応混合物のアリコートを以下のように添加した:
【0194】
二次反応は、60℃で1.5時間インキュベートされた。マイクロタイタープレートを実施例2に記載されているように読んだ。結果は図17に示される。
【0195】
これらの結果は、プローブのmiRNA特異的部分に相補的な完全長または短縮化アレスターオリゴヌクレオチドが二次インベーダー反応に用いられる場合、シグナル発生または検出の限界に有意差はないことを示している。
【0196】
B. 直鎖状プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドを用いる代替設計
プローブおよびインベーダーの両方のオリゴヌクレオチドがユニバーサル配列を含み、どちらのオリゴヌクレオチドもヘアピンを形成しない代替設計が試験された。設計の概略図は、図4に示される。ユニバーサル配列は、インベーダーオリゴヌクレオチドの5'末端上およびプローブオリゴの3'末端上に存在する。短い相補的な「捕獲」オリゴヌクレオチドが加えられ、2'-O-メチル残基から構成され、それがmiRNA(例えば、配列番号:60)の存在下において共軸のスタッキングを促進するのを可能にする。設計は、miR-15(配列番号:58〜59および61)ならびにmir-135(配列番号:63〜65)の両方について作製された。最初の設計は、miRNA標的の非存在下において高い非特異的バックグラウンドシグナルを導くが、それでもなお、そのようなユニバーサル捕獲オリゴヌクレオチドでmiRNAを検出することが可能であることを示している。
【0197】
実施例9
ループにおけるヌクレオチド残基の2'-O-メチル化の効果
本実施例は、miRNAを検出するために用いられるプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドに取り込まれる2'-O-メチル残基の一部または全部の代わりに2'-デオキシ残基を用いる影響を評価することを試みた。上記の実施例に示されたすべての設計は、実施例2に記載されているようにループ領域に2'-O-メチル残基を含む。実験は、let-7a miRNAを検出するために設計されたインベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドにおける2'-O-メチル残基の一部または全部の代わりに2'デオキシ残基を用いる影響を試験するために行われた。
【0198】
図5は、改変されたlet-7a設計を示す。配列番号:5〜6は、実施例2に記載されているように2'-O-メチル残基を含む。配列番号:73〜74における設計は、すべての位置に2'デオキシ残基を含む;配列番号:75〜76における設計は、標的に隣接したステムの部分に2'-O-メチル残基を含む。
【0199】
インベーダー反応を、3つの異なる設計のシグナル発生および温度最適条件を比較するように設定した。反応は、実施例8のLOD実験に記載されているとおりであり、100 pM 合成miRNA、1 μM プローブおよび10 μM インベーダーオリゴヌクレオチドを含んだ。一次反応は、示された温度で15分間実行された;二次反応は、60℃で5分間実行された。
【0200】
インベーダーアッセイの結果は図21に示されており、ステムループ構造が2'-O-メチル残基から構成されている設計が、最大シグナルを生じ、続いて、標的に隣接した塩基が2'-O-メチル残基から構成されている設計であることを示している。2'-デオキシ残基から構成されたオリゴヌクレオチドは全て、最低レベルのシグナルを生じた。
【0201】
実験のさらなるセットを、以下のように追加の設計バリエーションを試験するために設計した:より短いヘアピンを含むプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド、より安定なループを含む、もしくは代わりにより短いループを含む、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド、または3個のみの2'-O-メチル残基を含むプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド。一次反応は、以下のようにmiR-15の検出を試験するように設定された。
【0202】
以下のプローブ/インベーダーオリゴヌクレオチド組み合わせを試験した。
【0203】
一次反応混合物を以下のように作製した。
【0204】
一次反応混合物の5 μlのアリコートを、以下の最終量で、合成miR-15 RNAの5 μlに添加した:0、0.1 amole、0.33 amole、1.09 amole。一次反応は、52.5℃で2時間インキュベートされた。
【0205】
二次反応混合物を以下のように作製した。
【0206】
5 μlのアリコートを添加し、反応物を60℃で45分間、インキュベートした。相対蛍光単位(RFU)における結果を以下に示す。
【0207】
これらの結果は、最初のインベーダーオリゴヌクレオチド設計(2'-O-メチル残基、TTTTループ、長いヘアピン)と組み合わせて、プローブオリゴヌクレオチドが、短縮化ヘアピン、および2'-O-メチル残基から構成された高度に安定した4ループを含んだ設計が、幾分か高いFOZ値を生じうることを示唆している。それ以外は、代替設計オリゴヌクレオチドのいずれも、最初の設計を超える向上を少しも表さなかった。全部DNAのインベーダーオリゴヌクレオチドの、最初のキメラプローブオリゴヌクレオチドとの組み合わせが、両方ともキメラのプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドで得られたものとおよそ等価のFOZ値を与えたことは、注目すべきである。いくつかの適用において、全部DNA インベーダーオリゴヌクレオチドの代用は、オリゴヌクレオチド合成費用を低減するために望ましい可能性があり、検出の限界を犠牲にすることなく行うことができる。
【0208】
さらなる実験は、より多くのRNA(例えば、可溶化物、精製された全RNA、合成miRNA)を反応に加えることにより、特定のオリゴヌクレオチドでの最適下限のシグナル発生を補うことが可能であることを実証した。同様に、様々なオリゴヌクレオチド(すなわち、プローブ、インベーダー、アレスター、またはそれらの様々な組み合わせ)が実施例1に記載されているように、ゲル精製された追加の実験は、オリゴヌクレオチドのすべての3つの型の標準ゲル精製が最大シグナルを与えることを示した。ゲル精製されたプローブで、最大レベルにほぼ等しいシグナルレベルを達成することは、その残りのオリゴヌクレオチド、すなわち、インベーダーおよびアレスターオリゴヌクレオチド、が合成後脱塩される場合には、可能である。
【0209】
実施例10
複数の組織型由来の全RNAにおけるmiRNA発現の検出
本実施例は、多様な組織型から抽出された全RNAにおいて異なるmiRNA種を検出するためにインベーダーアッセイの適合性を試験するのに行われる実験を記載する。組織特異的遺伝子発現を評価するために、温度最適条件およびLODが、各設計について最初に測定された。
【0210】
1. インベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチド設計
インベーダーアッセイオリゴヌクレオチドを、miR-15、miR-16、およびmiR-125b miRNA種を検出するために設計した。これらのアッセイについての設計は、図5に示される。let-7aおよびmiR-135についての設計は、実施例2および実施例6にそれぞれ記載されている。
【0211】
2. 温度最適条件およびLODの測定
温度最適化実験は、実施例8に記載されているように、これらのオリゴヌクレオチドセットのそれぞれについて行われた。各一次反応は、1 nMの標的とされるmiRNAを含み、50±9℃の範囲である温度で15分間、行われた。二次反応は、実施例2に記載されているとおりであり、60℃で1〜1.5時間実行された。最適温度は以下のとおりである:
【0212】
温度最適条件が得られた後は、LODが、実施例8に記載されているように、各miRNA種について測定された。すべてのLODは、30ゼプトモルであった。
【0213】
3. 遺伝子発現プロファイリング
遺伝子発現プロファイリングは、20個の異なる組織型から抽出された全RNAにおいて行われた。全RNAは、Clontech(Palo Alto、CA、カタログ番号K4008-1、Human Total RNA Master Panel II )から購入された。let-7aについて、50 ngの全RNAが各反応において試験された;残りのmiRNA種について、100 ngの全RNAが試験された。すべての反応は、実施例8に記載されているように設定された;一次反応は温度最適条件で1.5時間実行された;二次反応は上記のとおりであった。各miRNA種についての遺伝子発現プロファイルは、図23に示されている。これらの結果は、インベーダーアッセイが異なる組織型においてmiRNA発現を調べるために使用可能なことを示している。これらのデータはさらに、let-7aおよびmiR-125bが幅広い種類の組織において発現されており;残りのmiRNA種は、限られた数の組織型により特異的であるように考えられることを示唆している。
【0214】
実施例11
miRNAのインベーダーアッセイ検出における様々なオリゴヌクレオチドの長さの影響
本実施例は、let-7a 22ヌクレオチドmiRNAの検出におけるプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの長さにおける変化の影響を記載する。特に、これらの実験は、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの末端間の完全なスタッキング相互作用を形成するmiRNAの検出を、5'および3'の両方の重複を形成するmiRNAの検出と、加えて結果として5'末端および3'末端の両方において単一ヌクレオチドギャップを生じるものと比較する。
【0215】
図24は、設計の3つの異なる型を解析する結果を示す。配列番号:5〜6は、22ヌクレオチドの標的と、ループ化プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの隣接する末端の間に完全なスタックを示す。配列番号:83〜84において、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの両方は、一塩基伸長されており、結果として、5'および3'の両方の重複を生じる。配列番号:85〜86において、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドは、配列番号:5〜6における設計と比較して、一塩基短縮されており、結果として、両末端において単一ヌクレオチドギャップを生じる。
【0216】
インベーダーアッセイは、合成let-7a miRNAの検出のためのこれらのオリゴヌクレオチドセットの性能を試験するために設定された。反応は、実施例8に記載されているように行われ、100 pM 合成let-7a miRNA、1 μM プローブおよび10 μM インベーダーオリゴヌクレオチドを含んだ。一次反応は、53℃で15分間実行された;二次反応は、実施例2に記載されているように、60℃で5分間実行された。結果は、図24に示されている。
【0217】
これらのデータは、この実験において、miRNA標的の両末端における単一ヌクレオチド重複が、結果として、シグナル発生において約30%の減少、加えて最適温度において2℃の低下を生じたことを示している。しかし、標的の両末端における単一ヌクレオチドギャップは、最適反応温度を5℃低下させたが、シグナル発生を低減させなかった。
【0218】
実施例12
前駆体RNAからおよびコードDNAからのmiRNAの識別
実験は、インベーダーmiRNAアッセイが、miRNA標的自身を前駆体RNAおよびmiRNAをコードするDNAの両方から識別するかどうかを測定するために行われた。
【0219】
A. 前駆体交差反応性試験
前駆体let-7 RNA(配列番号:87)は、インビトロで転写され、それがlet-7a miRNAを模倣しうる任意の断片を含むかどうかを測定するために、キャピラリー電気泳動により分析された。最短の混入している断片は、約45ヌクレオチドであると推定された。LOD反応は、以下の表に示されている前駆体または合成5'P let-7a mi-RNA濃度で、本質的には実施例3に記載されているように実行された。PI混合物は、10 μM プローブ配列番号:6および100 μM インベーダーオリゴヌクレオチド配列番号:5を含んだ。一次反応は、53℃で1時間実行された;二次反応は、本質的には実施例3に記載されている二次反応混合物(FRETプローブ配列番号:21、SRT配列番号:22およびアレスター配列番号:7)で、58℃1時間実行された。この実験の結果により、このmiRNAアッセイが前駆体RNAに対して約4%交差反応することが示された。
【0220】
B. RNA対DNAのシグナルの識別
反応は、実施例7に記載されているように、細胞可溶化物においてlet-7a miRNAを検出するために実行された。インベーダーアッセイでの検出の前に、8 μg/μl リボヌクレアーゼA(Qiagen, Inc.)の1 μlのアリコートが80 μlの細胞可溶化物へ添加され、37℃で2.25時間インキュベートされた。リボヌクレアーゼA処理された試料は、バックグラウンドを上回るシグナル如何なるシグナルも生じず、リボヌクレアーゼAを欠くアッセイで生じたシグナルがmiRNA標的の検出に起因し、コードDNAに起因していないことを示した(図16)。リボヌクレアーゼAが、一次反応の前かまたは二次反応の前のいずれかに添加される、さらなる実験が行われた。リボヌクレアーゼAが一次反応の前に添加される場合、シグナルは生じず、前の結果と一致している。リボヌクレアーゼAが一次反応の後に添加される場合、シグナルの損失は観察されず、検出されるシグナルがRNAに起因すること、およびリボヌクレアーゼAが他の反応構成要素(例えば、CLEAVASE酵素)に有害な影響がないことをさらに示した。
【0221】
実施例13
二重型miRNAの検出
オリゴヌクレオチド設計はmiR-124aについて作製された。これらのオリゴヌクレオチドを、2つの天然に存在するmiRNA(一方は長さが21ヌクレオチドおよび他方は22ヌクレオチド)を検出するために使用することができる。
【0222】
温度最適化反応は、1 nMの合成miRNA標的、25分の一次反応および15分の二次反応を用いて、本質的には実施例3に記載されているように設定された。これらの反応に用いられるオリゴヌクレオチドは、図5に列挙されている(配列番号:90〜92)。2つの異なる長さのmiRNA標的についての温度プロファイルは図22に示されており、同じオリゴヌクレオチド設計が両方の標的を検出するのに使用可能なことを示している。
【0223】
実施例14
siRNAの検出のためのオリゴヌクレオチド設計
上記の実施例に記載されたものと類似したアプローチもsiRNAを検出するために同様に使用することができる。図25は、β-アクチンsiRNAの検出のための2つの代替的なインベーダーアッセイ設計を例示している。このsiRNAは、Harborth, J. et al., Journal of Cell Science, 114:4557-4565 (2001)に記載されている。1つの設計は、各センスおよびアンチセンス鎖について示されている;このsiRNAを検出するための典型的なオリゴヌクレオチドは、図26、配列番号:101〜106に列挙されている。
【0224】
上の明細書に挙げられたすべての刊行物および特許は、参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記載された方法および系の様々な改変ならびに変化は、本発明の範囲および真意から逸脱することなく、当業者に明らかであると思われる。本発明は、特定の好ましい態様に関連して記載されているが、主張されている本発明は、そのような特定の態様に不当に限定されるものではないことを理解されるべきである。実際、分子生物学、遺伝子学、または関連分野における業者にとって明らかである、本発明を行うための記載された様式の様々な改変は、特許請求の範囲の範囲内であるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】単一反応における2つの異なる対立遺伝子(例えば、単一ヌクレオチドだけ異なる)を検出するためのインベーダーオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチドおよびFRETカセットの概略図を示す。
【図2】本発明のいくつかの態様において利用される例示的検出構造を示す。
【図3】本発明のいくつかの態様において利用される第二の例示的検出構造を示す。
【図4】本発明のいくつかの態様において用いられる第三の例示的検出構造を示す。
【図5】本発明とともに使用するための例示的オリゴヌクレオチドを示す。標的miRNAの塩基は、小文字で下線が引かれている。プローブまたはインベーダーオリゴヌクレオチドにおけるDNA残基は、標準型で示されている。小文字型は、2'-O-メチル残基を示す。
【図6】let-7についての温度最適化実験の結果を示す。
【図7】let-7についての温度最適化実験の結果を示す。
【図8】let-7についての検出の限界(LOD)実験の結果を示す。
【図9】let-7 miRNAを用いる交差反応性実験の結果を示す。
【図10】miR-1についてのLOD実験の結果を示す。
【図11】let-7 miRNAを用いるCLEAVASE酵素IXおよびXIIの比較の結果を示す。
【図12】様々な生物体由来のU6 RNA配列の部分的配列アラインメントを示す。
【図13】mir-135についての温度最適化実験の結果を示す。
【図14】mir-135についてのLOD実験の結果を示す。
【図15】細胞可溶化物におけるlet-7の検出について得られた平均カウントのグラフ表示を含む。
【図16】リボヌクレアーゼA処理有りおよび無しでの、細胞可溶化物におけるmiRNAおよびmRNAの結果を示す。
【図17】完全長対短縮化アレスターオリゴヌクレオチドの含むことの効果を比較する侵入性切断アッセイの結果を示す。
【図18】図16に記載されたアッセイ設計を用いる温度最適化実験の結果を示す。
【図19】10-merプローブおよび12-mer インベーダーオリゴヌクレオチド設計を用いる温度最適化実験の結果を示す。
【図20】2つの代替オリゴヌクレオチド設計のLODを比較する実験の結果を示す。
【図21】プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドにおける2'-O-メチル残基の一部または全部の代わりに2'-デオキシ残基を用いることの影響を比較した結果を示す。
【図22】miR-124aを検出する侵入性切断アッセイの結果を示す。
【図23】20個の異なる組織型から単離された全RNAにおいて5つの異なるmiRNA種を検出する実験の結果を示す。
【図24】プローブおよびオリゴヌクレオチドの長さの変化のmiRNA検出に対する影響を試験する実験の結果を示す。
【図25】siRNAの検出のための例示的な侵入性切断オリゴヌクレオチド設計を示す。小文字残基は2'-O-メチルを示す。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、マイクロRNA(miRNA)のような干渉RNAおよび低分子干渉RNA(siRNA)および他の短い核酸分子の検出ならびに特徴付けのための、組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、干渉RNA発現の検出および定量のための改善された方法に関する。本発明はさらに、miRNAおよびsiRNAの変異体および型の検出について提供する。
なお、本出願は、2002年12月18日に出願された米国仮出願第60/434,518号、および2003年1月30日に出願された米国出願第60/443,814号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロRNA(miRNA)は、非コードRNAの新しいクラスであり、無脊椎動物および脊椎動物のゲノムにおいて短い逆方向反復としてコードされている(Ambros, (2001) Cell 107, 823-826; Moss (2002) Curr. Biol. 12, R138-R140)。miRNAは、標的mRNA翻訳および安定性のモジュレーターであるが、たいていの標的mRNAは、同定されていないままである。miRNAは、3'非翻訳領域(UTR)におけるアンチセンス相補性の部位への結合により標的mRNAの翻訳を配列特異的に制御する(Ambros、前記; Moss、前記; Lagos-Quintana et al., (2001) Science 294, 853-858; Lau et al., (2001) Science 294, 858-862; Lee et al., (2001) Science 294, 862-864)。
【0003】
let-7 RNA、miR-1、miR-34、miR-60およびmiR-87のようないくつかのmiRNAは、無脊椎動物と脊椎動物の間で高く保存されており、それらが、おそらく保存されたと思われる機能の複数の部位および/または複数の標的を認識しうることを含意している(Lagos-Quintana et al.、前記; Lau et al、前記; Lee et al.、前記; Pasquinelli et al., (2000) Nature 408:86)。低分子の時間的RNA(stRNA)lin-4およびlet-7は、シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)における遺伝子解析により同定されたmiRNAのサブクラスを表し、発生的に制御され、それ自身、ニューロンの再配線のタイミング、耐性幼虫(Dauer larva)の形成、陰門形成、および皮下組織細胞の最終分化のような発生プログラムを制御する。
【0004】
miRNAは、典型的には、時々、miRNA前駆体発現の開始時点で(Grishok et al., (2001) Cell 106, 23-24; Hutvagner et al., (2001) Science 93, 834-838; Ketting et al., (2001) Genes Dev. 15, 2654-2659)または非常に大量のmiRNAの発現中に(Lagos-Quintana et al., 前記; Lau et al., 前記; Lee et al., 前記)検出される、60〜70ヌクレオチドの折り返すことのできるRNA前駆体構造から切除される。一般的に、ヘアピン前駆体分子の鎖のうちの1つのみが切除されて、蓄積するが、おそらく、それが、会合したタンパク質によりRNA分解から保護されているためと思われる。これらの推定上のタンパク質は、翻訳の抑制を仲介することができる。miRNA前駆体プロセシング反応は、ダイサーリボヌクレアーゼIII(Dicer RNase III)およびアルゴノート(Argonaute)ファミリーのメンバーを必要とする(Grishok et al., 前記; Hutvagner et al., 前記; Ketting et al., 前記)。
【0005】
遺伝子発現へのそれらの影響に加えて、これらの低分子RNAは、しばしば、21〜22ヌクレオチドの範囲にあるのだが、治療学および薬物発見の領域に、例えば、薬物標的としてまたは医薬品として、有用性を見出すことができる。従って、いくつかの状況において、およそどれくらいの各miRNAが細胞に存在しているかを知ることは重要でありうる。ある場合には、異なる組織型において、または刺激の適用、例えば、化学的または物理的介入、の前と後で、miRNAのレベルを比較することがさらに重要でありうる。関連したsiRNAおよびmiRNAは細胞において低量で存在している可能性があるため、検出の方法は、高感度および特異的の両方であることが望ましい。さらに、特定の適用に関して、高処理量スクリーニングに適した方法、例えば、均一な方法、多重化方法、または高度に並行した自動化操作および制限された温度変化に適したものを同定することが有益でありうる。
【0006】
miRNAは、遺伝子発現の制御に重要な役割を果たしているが、miRNA発現の検出および定量化に効果的な技術が欠けている。今日まで、miRNAの定量化に使用された主な方法は、ゲル電気泳動に基づいている。miRNAは、ノーザンブロッティングによるかまたは放射性リボヌクレアーゼ耐性二重鎖の存在によるかのいずれかで検出される。ノーザンブロッティングおよびチップハイブリダイゼーション方法は、比較的低い分析感度であるので(Krichevsky et al., 2003)、RNAのマイクログラム量が分析のために必要とされる;また、低分子RNAのフィルターへの転写は、定量化の再現性に問題を持ち込む可能性があり、高処理量に典型的に修正できない。また、リボヌクレアーゼ耐性に基づく検出方法は、高放射性のプローブを必要とする。さらに、プローブハイブリダイゼーションのみに基づくアッセイ法は、配列において密接に関連したアイソタイプ間に十分な識別を与ええない。代替アプローチは、miRNAをクローニングし、その後、挿入断片をシーケンシングすることを含む。このアプローチは密接に関連したmiRNA腫間の一塩基差を識別するのに適しうるが、時間がかかり、かつ面倒である。
【0007】
miRNAのように、低分子干渉RNA(siRNA)は、RNA干渉と呼ばれる応答を通しての、例えばウイルスRNAに対する、細胞防御に関与する小さなRNA分子である(Cullen, B.R., Nature Immunology, 3:597-599 (2002))。siRNAの1つのクラスは、ダイサー酵素の作用により生成され、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)タンパク質が、細胞における二本鎖RNAの存在に対するRNAi応答の一部として複合体化する(Khvorova, A. et al., Cell 115:209-216 (2003))。siRNAのもう一つのクラスは合成であり、導入されたベクターからのトランスフェクションまたは発現を通して細胞へ直接的に導入された特徴的なジヌクレオチドオーバーハング(Elbashir, S.M. et al., EMBO J. 20:6877-6888 (2001))をもつ通常21〜23ヌクレオチドの、短い二重鎖を含む(Paul, C.P. et al., Nature Biotechnology 20:505-508 (2002), US Patent Application Publication No. 2003/0148519A1、すべての目的のために完全に参照として本明細書に組み入れられる)。ある場合には、siRNAは、定義された配列として固執するように思われ、それらをmiRNAと機能および組成物において類似したものにさせている(Elbashir, S.M. et al., 前記)。必要とされるものは、miRNAおよびsiRNAレベルを検出ならびに定量化する効率的かつ正確な方法である。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、干渉RNAおよび他の短い核酸分子のような低分子核酸の検出および特徴付けのための組成物ならびに方法に関する。より具体的には、本発明は、干渉RNA発現の検出および定量化のための改善された方法に関する。
【0009】
例えば、本発明は、検出構造を生じるように、少なくとも1つの核酸(例えば、干渉RNAに相補的ではない配列を含む)を干渉RNA標的にハイブリダイズさせる段階、および検出構造を検出する段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、干渉RNA標的は、miRNAである。他の態様において、干渉RNA標的はsiRNAである。いくつかの態様において、siRNAは二本鎖である。
【0010】
いくつかの態様において、検出構造は侵入性切断構造を含む。例えば、いくつかの態様において、核酸は、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一および第二のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、核酸は、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、第一オリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、その3'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつその5'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成されている。第二オリゴヌクレオチドを用いるいくつかの態様において、第二オリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、その5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつその3'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成されている。いくつかの態様において、検出段階は、インベーダー(INVADER)アッセイ法の使用を含む。
【0011】
いくつかの態様において、検出構造は、環状検出構造を生じるように低分子RNAにハイブリダイズした環状オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、検出段階は、ローリングサークル複製アッセイの使用を含む。
【0012】
いくつかの態様において、検出段階は、限定されるものではないが、シーケンシングアッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、突然変異に相補的なプローブを用いるハイブリダイゼーションアッセイ、マイクロアレイアッセイ、ビーズアレイアッセイ、プライマー伸長アッセイ、酵素ミスマッチ切断アッセイ、分岐型ハイブリダイゼーションアッセイ、NASBAアッセイ、分子ビーコンアッセイ、サイクリングプローブアッセイ、リガーゼ連鎖反応アッセイ、侵入性切断構造アッセイ、ARMSアッセイ、およびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイを含む検出アッセイの使用を含む。いくつかの好ましい態様において、検出段階は、細胞可溶化物において行われる。
【0013】
いくつかの態様において、本発明の方法は、第二の核酸標的を検出する段階を含む。いくつかの好ましい態様において、第二の核酸標的はRNAである。いくつかの特に好ましい態様において、第二の核酸標的は、U6 RNAまたはGAPDH mRNAである。
【0014】
いくつかの態様において、検出構造を形成するために用いられる核酸は、RNAが鋳型にハイブリダイズして、伸長反応において伸長されることを可能にするために低分子RNAと十分に相補的である1つまたは複数の部位を有する鋳型を含む。いくつかの態様において、伸長反応は、1つまたは複数のRNAがポリメラーゼ連鎖反応におけるプライマーとして用いられる、ポリメラーゼ連鎖反応である。いくつかのそのような態様において、単一型のRNAは、ポリメラーゼ連鎖反応プライマーを供給するように鋳型における2つの位置に結合する。他の態様において、2つまたはそれ以上のRNAは、プライマーとして用いられる。そのような態様において、増幅産物の検出は、試料において2つまたはそれ以上のRNAの存在を示す(すなわち、miRNA多重アッセイ法)。類似した方法を、miRNAがライゲーションされたオリゴヌクレオチドとして用いられる場合に、リガーゼ連鎖反応において用いてもよい。
【0015】
いくつかの態様において、方法は、複数のmiRNAの検出を含む。いくつかのそのような態様において、複数のmiRNAは、同じmiRNAの多型を含む。他の態様において、複数のmiRNAは、異なるmiRNA(例えば、Let-7、miR-1、miR-1d、miR-135、miR-15、miR-16、miR-124a、またはmiR-125b)を含む。
【0016】
本発明はまた、上の方法のいずれかを行うためのキットを提供する。例えば、いくつかの態様において、本発明は、RNA標的配列にハイブリダイズした場合、検出構造を形成するために構成された核酸を含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、miRNAを検出するように構成される。いくつかの好ましい態様において、キットは、Let-7、miR-1、miR-135、miR-15、miR-16、miR-1b、miR-124a、またはmiR-125b miRNAを検出するように構成される。いくつかの好ましい態様において、キットは、miRNA標的と共に第二のRNA標的を同時検出するように構成される。
【0017】
定義
本発明の理解を容易にするために、多数の用語および句が以下に定義されている。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「miRNA」は、マイクロRNAを指す。本明細書で使用される場合、用語「miRNA標的配列」は、検出される(例えば、他の核酸の存在下において)miRNAを指す。いくつかの態様において、miRNA標的配列は、miRNAの変異体である。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「RNA検出構造」は、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)をRNA標的、例えば、miRNAまたはsiRNA、にハイブリダイズさせることにより形成される構造を指す。いくつかの態様において、核酸は、たった1つの核酸(例えば、miRNAとの相同性をもつ小さな領域を含むより大きな核酸)である。他の態様において、核酸は、2つの核酸(例えば、ヘアピン(例えば、一重または二重ヘアピン)構造を形成するようにmiRNAにハイブリダイズする)を含む。好ましい態様において、miRNA検出構造は、限定されるものではないが、本明細書に開示されたものを含む、既知の核酸検出方法を用いて検出が可能である。
【0020】
いくつかの態様において、RNA検出構造は、ハイブリダイゼーション段階後にさらに改変される。例えば、いくつかの態様において、RNAにハイブリダイズする核酸は、核酸ポリメラーゼによるRNAの伸長のための鋳型を提供する。RNAは、核酸にハイブリダイズし、その後、ポリメラーゼを用いて伸長される。他の態様において、核酸は、ハイブリダイゼーションおよびRNAへの追加の核酸のライゲーションのための鋳型として働く。
【0021】
用語「siRNA」は、短い干渉RNAを指す。いくつかの態様において、siRNAは、二重鎖、または二本鎖領域であって、二本鎖領域の各鎖が約18〜25ヌクレオチド長である;二本鎖領域は、16塩基対長ほど短く、かつ29塩基対長ほど長くあってよく、長さはアンチセンス鎖により決定される。しばしば、siRNAは、各鎖の3'末端に約2個から4個までの不対ヌクレオチドを含む。siRNAは、無脊椎動物および脊椎動物でRNA干渉を引き起こす工程において、ならびに植物で転写後遺伝子サイレンシング中の配列特異的RNA分解を引き起こす工程において、重要な中間体として機能するように思われる。siRNAの二重鎖または二本鎖領域の少なくとも1つの鎖は、標的RNA分子と、実質的に相同的である、または実質的に相補的である。標的RNA分子に相補的な鎖は、「アンチセンス」鎖である;標的RNA分子に相同的な鎖は、「センス」鎖であり、siRNAアンチセンス鎖に相補的でもある。二本鎖領域の1つの鎖は、反対側の鎖と完全に同じ長さである必要はなく、従って、1つの鎖は、反対側の相補的鎖より少なくとも1個少ないヌクレオチドを有してもよく、結果として、反対側の鎖に「バブル」または少なくとも1個のマッチされない塩基を生じる。二本鎖領域の1つの鎖は、反対側の鎖と正確に相補的である必要はない;従って、鎖(好ましくはセンス鎖)は少なくとも1個のミスマッチの塩基対を有しうる。
【0022】
siRNAはまた、付加配列を含んでもよい;そのような配列の非限定的例は、二重鎖領域の2つの鎖を繋ぐ連結配列またはループを含む。この型のsiRNAは、「si様RNA」、「短いヘアピンsiRNA」と呼ばれる場合があり、短いとは、siRNAまたは「ヘアピンsiRNA」の二重鎖領域を指す。siRNAに存在する付加配列の追加の非限定的例は、ステムおよび他の折り畳み構造を含む。付加配列は、既知の機能をもつ場合もあり、またはもたない場合もある;そのような機能の非限定的例は、siRNA分子の安定性を増加させること、または細胞の行き先シグナルを供給することを含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は、植物、微生物および動物(例えば、イヌ、ネコ、家畜およびヒトのような哺乳動物)を含む任意の生物体を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「インベーダー(INVADER)アッセイ試薬」または「侵入性切断アッセイ試薬」は、標的配列を検出するための1つまたは複数の試薬を指し、その試薬は、標的配列の存在下において侵入性切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、侵入性切断構造の存在を検出するための試薬をさらに含む(例えば、切断剤)。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、第一および第二オリゴヌクレオチドを含み、その第一オリゴヌクレオチドは、標的核酸の第一領域に相補的な5'部分を含み、かつその第二オリゴヌクレオチドは、3'部分および5'部分を含み、その5'部分が、第一部分の下流かつ隣接した、標的核酸の第二領域に相補的である。いくつかの態様において、第二オリゴヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に相補的ではない3'末端ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、第二オリゴヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に相補的ではない単一のヌクレオチドからなる。いくつかの態様において、第一および第二オリゴヌクレオチドは、互いに共有結合性に結合している(例えば、リンカーを介して)。
【0025】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、固体支持体をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、アッセイ試薬の1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(例えば、架橋か非架橋かにかかわらず、第一および/または第二オリゴヌクレオチド)は、固体支持体に付着している。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、緩衝溶液をさらに含む。いくつかの好ましい態様において、緩衝溶液は、二価陽イオン(例えば、Mn2+および/またはMg2+イオン)の供給源を含む。ひとまとめにしてインベーダーアッセイ試薬を構成する個々の材料(例えば、オリゴヌクレオチド、酵素、緩衝剤、標的核酸)は、「インベーダーアッセイ試薬構成要素」と名付けられる。
【0026】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、第一標的核酸の第一部分の上流の標的核酸の第三部分と相補的な第三オリゴヌクレオチドをさらに含む。さらに他の態様において、インベーダーアッセイ試薬は、標的核酸をさらに含む。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、第二標的核酸をさらに含む。さらに他の態様において、インベーダーアッセイ試薬は、第二標的核酸の第一領域に相補的な5'部分を含む第三オリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの特定の態様において、第三オリゴヌクレオチドの3'部分は、第二標的核酸に共有結合性に連結されている。他の特定の態様において、第二標的核酸は、5'部分をさらに含み、第二標的核酸の5'部分は第三オリゴヌクレオチドである。なおさらに他の態様において、インベーダーアッセイ試薬は、アレスター(ARRESTOR)分子(例えば、アレスターオリゴヌクレオチド)をさらに含む。
【0027】
すべての目的のために完全に参照として本明細書に組み入れられた、Eis et al., Nature Biotechnology, 19:673-676 (2001)に記載されているように、各プローブの標的特異的領域に完全に、かつそれの5'-フラップ領域に部分的に、塩基対形成されている、2'O-メチル化アレスターオリゴヌクレオチドの包含は、切断されていないプローブを封鎖し、二次反応におけるX構造形成を防ぐ。
【0028】
いくつかの好ましい態様において、インベーダーアッセイ試薬は、核酸切断生成物を検出するための試薬をさらに含む。いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬における1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは標識を含む。いくつかの好ましい態様において、第一オリゴヌクレオチドは標識を含む。他の好ましい態様において、第三オリゴヌクレオチドは標識を含む。特に好ましい態様において、試薬は、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)効果を生じる部分で標識された第一および/または第三オリゴヌクレオチドを含む。
【0029】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬の1つまたは複数は、あらかじめ分配された形式(すなわち、再測定または再分配なしに、工程の段階における使用についてあらかじめ測定されている)で供給されうる。いくつかの態様において、選択されたインベーダーアッセイ試薬構成要素は、共に混合され、あらかじめ分配されている。好ましい態様において、あらかじめ分配されたアッセイ試薬構成要素は、あらかじめ分配され、反応容器(限定されるものではないが、反応チューブ、または例えばマイクロタイタープレートのようなウェルを含む)において供給される。特に好ましい態様において、あらかじめ分配されたインベーダーアッセイ試薬構成要素は、反応容器内で乾燥される(例えば、乾燥(desiccated)または凍結乾燥(lyophilized)される)。
【0030】
いくつかの態様において、インベーダーアッセイ試薬は、キットとして提供される。本明細書で使用される場合、用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイとの関連において、そのような送達システムは、一つの場所から別の場所へ、反応試薬(例えば、適切な容器におけるオリゴヌクレオチド、酵素など)および/または支援材料(例えば、緩衝剤、アッセイを実施するための書面による使用説明書など)の保管、輸送または送達を可能にするシステムを含む。例えば、キットは、関連した反応試薬および/もしくは支援材料を含む、1つまたは複数の封入物(例えば、箱)を含む。本明細書で使用される場合、用語「細分化キット」は、全キット構成要素の下位部分をそれぞれに含む2つまたはそれ以上の別々の容器を含む送達システムを指す。容器は、所定の受け手へ一緒にまたは別々に送達されうる。例えば、第一容器は、アッセイに使用する酵素を含んでよいが、第二容器は、オリゴヌクレオチドを含む。用語「細分化キット」は、それに限定されるものではないが、米連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)のセクション520(e)により規制された検体特異試薬(Analyte specific reagents)(ASR's)を含むキットを包含することを意図される。実際、全キット構成要素の下位部分をそれぞれに含む2つまたはそれ以上の別々の容器を含む任意の送達システムは、用語「細分化キット」に含まれる。対照的に、「組み合わせキット」は、単一の容器に反応アッセイのすべての構成要素を含む送達システムを指す(例えば、望ましい構成要素のそれぞれを収容した単一の箱に含む)。用語「キット」は、細分化および組み合わせの両方のキットを含む。
【0031】
いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するのに必要な構成要素の1つまたは複数を含むインベーダーアッセイ試薬キットを提供する。例えば、本発明は、インベーダーアッセイを実施するために必要な酵素および/または反応構成要素を保管または送達するためのキットを提供する。キットは、限定されるものではないが、試薬自体、緩衝剤、対照試薬(例えば、組織試料、陽性および陰性対照標的オリゴヌクレオチドなど)、固体支持体、標識、文面によるおよび/または絵で表された使用説明書ならびに製品情報、阻害剤、標識および/または検出試薬、パッケージ環境制御(例えば、氷、乾燥剤など)などを含む、アッセイに必要または望ましいあらゆる構成要素を含んでもよい。いくつかの態様において、キットは、必要とされる構成要素のサブセットを提供し、ユーザーは残りの構成要素を供給することが求められる。いくつかの態様において、キットは、各容器が送達されるべき構成要素のサブセットを収容している、2つまたはそれ以上の別々の容器を含む。例えば、第一容器(例えば、箱)は酵素を含んでよく(例えば、適した保存緩衝剤および容器における構造特異的切断酵素)、第二の箱は、オリゴヌクレオチドを含んでよい(例えば、インベーダーオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチド、対照標的オリゴヌクレオチドなど)。
【0032】
本明細書に用いられる用語「標識」は、検出可能な(好ましくは定量化可能な)効果を与えるために使用されることができ、および核酸またはタンパク質に付着することができる、任意の原子または分子を指す。標識は、限定されるものではないが、色素;32Pのような放射性標識;ビオチンのような結合部分;ジゴキシゲニンのようなハプテン;発光性、リン光発生性または蛍光発生性部分;質量タグ;および単独、または蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)による発光スペクトルを抑制もしくはシフトすることができる部分と組み合わせての、蛍光色素を含む。標識は、蛍光、放射能、比色、重量測定、X線回折または吸収、磁性、酵素活性、質量の特徴または質量により影響を及ぼされる挙動(例えば、MALDI飛行時間型質量分析;蛍光偏光)などによる検出可能なシグナルを与えることができる。標識は、荷電部分(正または負電荷)であり得、または電荷中性であり得る。標識は、標識を含む配列が検出可能である限り、核酸またはタンパク質配列を含んでよく、または核酸またはタンパク質配列からなり得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、シグナルに関する用語「別個の」とは、例えば、蛍光放射波長、色、吸光度、質量、大きさ、蛍光偏光性質、電荷などにより、または化学試薬、酵素、抗体などとのような、別の部分との相互作用の能力により、別のものから識別されたものでありうるシグナルを指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「相補的な」または「相補性」は、塩基対形成ルールにより関係づけられたポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドまたは標的核酸のようなヌクレオチドの配列)に関して用いられる。例えば、配列「5'-A-G-T-3'」について、配列「3'-T-C-A-5'」に相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対形成ルールに従ってマッチしている「部分的」でありうる。または、核酸間に「完全な」もしくは「全体の」相補性がありうる。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に有意な効果を生じる。これは、増幅反応、および核酸間の結合に依存する検出方法において、特に重要である。どちらの用語もまた、個々のヌクレオチドに関して、特に、ポリヌクレオチドの関係の中で、使用することができる。例えば、オリゴヌクレオチド内の特定のヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよび核酸鎖の残りの間での相補性と対比または比較して、もう一つの核酸鎖内のヌクレオチドとのそれの相補性またはその欠如について注目されてもよい。
【0035】
用語「相同性」および「相同的な」は、同一性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性があり得る。部分的に相同的な配列は、もう一つの配列と100%未満のを有するものである。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸の対形成に関して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関係している条件のストリンジェンシー、および形成されたハイブリッドのTmのような因子により影響を受ける。「ハイブリダイゼーション」方法は、一つの核酸のもう一つの相補的な核酸、すなわち、相補的ヌクレオチド配列を有する核酸へのアニーリングを含む。相補的なヌクレオチド配列を含む核酸の2つのポリマーの互いに見出して塩基対形成を通してアニールする能力は、よく認識された現象である。Marmur and Lane, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:453 (1960)およびDoty et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:461 (1960)による「ハイブリダイゼーション」過程の最初の観察は、その後、この過程の、現代生物学の必須のツールへの改良に引き継がれた。
【0037】
本明細書で使用される場合の核酸配列の相補体は、一方の配列の5'末端が他方の3'末端と対形成されるように核酸配列と整列する場合、「逆平行会合」にあるオリゴヌクレオチドを指す。天然の核酸に一般には見出されない特定の塩基が、本発明の核酸に含まれてよく、例えば、イノシンおよび7-デアザグアニンを含む。相補性は完全である必要はない;安定的二重鎖は、ミスマッチされた塩基対またはマッチされていない塩基を含んでよい。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度、ならびにミスマッチされた塩基対の出現率を含む多数の変数を経験的に考慮して、二重鎖安定性を決定することができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「Tm」は、「融解温度」に関して用いられる。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団が半分だけ、一本鎖へ解離している温度である。核酸のTmを計算するためのいくつかの方程式は当技術分野においてよく知られている。標準的な参照文献により示されているように、Tm値の単純推定値は、核酸が1 M Naclでの水溶液中にある場合、方程式:Tm=81.5+0.41(%G+C)により計算されうる(例えば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照)。他の参照文献(例えば、Allawi and SantaLucia, Biochemistry 36:10581-94 (1997))は、Tmの計算のために構造的および環境的、加えて配列の特徴を考慮に入れる、より精巧な計算を含む。
【0039】
用語「遺伝子」は、非コード機能を有するRNA(例えば、リボソームRNAまたはトランスファーRNA)、ポリペプチドまたは前駆体の産生に必要な制御配列およびコード配列を含むDNA配列を指す。RNAまたはポリペプチドは、完全長コード配列により、または望ましい活性または機能が保持されている限りは、コード配列の任意の部分により、コードされうる。
【0040】
用語「野生型」は、天然に存在する源から単離された場合のその遺伝子もしくは遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、集団において最も頻繁に観察され、したがって、遺伝子の「正常」型または「野生型」と適宜名付けられるものである。対照的に、用語「改変された」、「突然変異体」または「多型の」は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した場合、配列および/もしくは機能的性質における改変(すなわち、変化した特徴)を示す遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する突然変異体が単離されうることに留意されたい;これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較した場合、それらが変化した特徴をもつという事実により同定される。
【0041】
本明細書で使用される場合の用語「組換えDNAベクター」は、所望の異種性配列を含むDNA配列を指す。例えば、その用語は、発現産物をコードする発現される配列の使用に限定されないが、いくつかの態様において、異種性配列は、コード配列、および宿主生物体におけるコード配列の複製かまたは特定の宿主生物体における実施可能に連結されたコード配列の発現のいずれかに必要な適切なDNA配列である。原核生物における発現に必要なDNA配列は、プロモーター、任意でオペレーター配列、リボソーム結合部位および場合により他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
【0042】
本明細書で使用される場合の用語「オリゴヌクレオチド」は、2個またはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは少なくとも5個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜15個のヌクレオチド、およびより好ましくは少なくとも約15〜30個のヌクレオチドを含む分子として定義される。正確な大きさは、多くの因子に依存し、それらの因子もまた、オリゴヌクレオチドの究極的な機能または使用に依存すると考えられる。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCRまたはそれらの組み合わせを含む、任意の方法で作製されてもよい。
【0043】
モノヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5'リン酸がホスホジエステル結合を介して一方向にそれの隣の3'酸素に付着しているような方式でオリゴヌクレオチドを作製するように反応させられるため、オリゴヌクレオチドの末端は、それの5'リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3'酸素に連結されていない場合には、「5'末端」と呼ばれ、それの3'酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5'リン酸に連結されていない場合には「3'末端」と呼ばれる。また、本明細書で使用される場合、核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドに対して内部であったとしても、5'末端および3'末端を有するように呼ばれてもよい。核酸鎖に沿っての第一領域は、5'から3'方向に核酸の鎖に沿って移動させる場合、第一領域の3'末端が、第二領域の5'末端の前にある場合には、もう一つの領域の上流であると呼ばれる。
【0044】
2つの異なる、重複していない、オリゴヌクレオチドが同じ直鎖状相補的核酸配列の異なる領域にアニールし、かつ一方のオリゴヌクレオチドの3'末端が他方の5'末端の方角を指す場合、前者は「上流」オリゴヌクレオチド、後者は「下流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。同様に、2つの重複するオリゴヌクレオチドが、同じ直鎖状相補的核酸配列にハイブリダイズし、第一オリゴヌクレオチドが、それの5'末端が第二オリゴヌクレオチドの5'末端の上流であり、かつ第一オリゴヌクレオチドの3'末端が第二オリゴヌクレオチドの3'末端の上流であるように位置している場合、第一オリゴヌクレオチドを、「上流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができ、第二オリゴヌクレオチドを、「下流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。
【0045】
用語「プライマー」は、プライマー伸長が惹起される条件下に置かれた場合、合成の開始の点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、精製された制限消化物に存在するように、天然に存在してもよく、または合成的に作製されてもよい。
【0046】
プライマーは、鋳型の特定の配列の鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。プライマーは、プライマー伸長が起こりうるために鋳型鎖とハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片が、プライマーの5'末端に付着され、プライマー配列の残部が、鎖と実質的に相補的であってよい。プライマー配列が、ハイブリダイズし、それによりプライマーの伸長産物の合成のための鋳型プライマー複合体を形成するのに、鋳型の配列と十分な相補性を有するという条件で、非相補的塩基またはより長い配列が、プライマーへ散在されてもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合の用語「切断構造」は、二重鎖を含む構造を形成し、その結果生じた構造が、限定されるものではないが、酵素を含む切断手段により切断可能である、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドと標的核酸との相互作用により形成される構造を指す。切断構造は、二次構造に関係なく(すなわち、二重鎖構造の形成が必要とされない)核酸分子を切断するホスホジエステラーゼのような作用物質による非特異的な切断についての基質である核酸分子とは対照的に、切断手段による特異的切断についての基質である。
【0048】
本明細書で使用される場合の用語「切断手段」または「切断剤」は、限定されるものではないが、酵素を含む、切断構造を切断することができる任意の手段を指す。「構造特異的ヌクレアーゼ」または「構造特異的酵素」は、核酸分子における特異的二次構造を認識し、これらの構造を切断する酵素である。本発明の切断手段は、切断構造の形成に応答して核酸分子を切断する;切断手段が切断構造内のどこか特定の位置で切断構造を切断することは必要ではない。
【0049】
切断手段は、CLEAVASE酵素(Third Wave Technologies, Madison, WI)、FEN-1エンドヌクレアーゼ(RAD2およびXPGタンパク質を含む)、Taq DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIを含む様々な源から供給されるヌクレアーゼ活性を含んでもよい。切断手段は、5'ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含んでもよい(例えば、Taq DNAポリメラーゼ(DNAP)、大腸菌DNAポリメラーゼI)。切断手段はまた、5'ヌクレアーゼ活性を有するが、合成活性を欠く改変されたDNAポリメラーゼを含んでもよい。本発明の方法およびキットにおける使用に適した切断手段の例は、U.S. Patent Nos. 5,614,402; 5,795,763; 5,843,669; PCT Appln. Nos. WO 98/23774; WO 02/070755A2;およびWO 0190337A2に提供されており、それぞれは、完全に参照として本明細書に組み入れられる。
【0050】
5'ヌクレアーゼのような酵素に関して用いられる場合、用語「耐熱性の」は、酵素が高温で、すなわち、約55℃またはそれ以上(例えば、限定されるものではないが、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、または90℃)で、機能しうるまたは活性がある(すなわち、触媒作用を行うことができる)ことを示す。
【0051】
本明細書で使用される場合の用語「切断生成物」は、切断構造との切断手段の反応(すなわち、切断構造の切断手段での処理)により生じた生成物を指す。
【0052】
用語「非標的切断生成物」は、標的核酸由来ではない切断反応の生成物を指す。上記で考察されているように、本発明の方法のいくつかにおいて、切断構造の切断は、一般的に、プローブオリゴヌクレオチド内で起こる。この標的核酸依存性切断により生成したプローブオリゴヌクレオチドの断片は、「非標的切断生成物」である。
【0053】
インベーダーアッセイ反応との関連において、用語「プローブオリゴヌクレオチド」は、インベーダーオリゴヌクレオチドの存在または非存在下で切断構造を形成するように標的核酸と相互作用するオリゴヌクレオチドを指す。標的核酸にアニールされる場合、プローブオリゴヌクレオチドおよび標的は、切断構造を形成し、切断は、プローブオリゴヌクレオチド内に生じる。
【0054】
用語「インベーダー(INVADER)オリゴヌクレオチド」は、プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションの領域の近くの位置で標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指し、インベーダーオリゴヌクレオチドは、プローブと標的との間のハイブリダイゼーションの領域と重複する部分(例えば、化学的部分、または標的に相補的であってもなくてもよいヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、インベーダーオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドの5'末端に位置した配列と実質的に同じであるその3'末端での配列を含む。
【0055】
用語「アレスター(ARRESTOR)分子」は、1つまたは複数の反応構成要素がその後の作用または反応に関与するのを妨げるために、侵入性切断反応に添加されるまたは含まれる作用物質を指す。これは、いくつかの反応構成要素を封鎖または不活性化することにより(例えば、核酸構成要素を結合もしくは塩基対形成することにより、またはタンパク質構成要素に結合することにより)行われてもよい。用語「アレスター(ARRESTOR)オリゴヌクレオチド」は、任意の反応の1つまたは複数の局面(例えば、第一反応および/または任意のその後の反応もしくは作用;アレスターオリゴヌクレオチドが何か特定の反応または反応段階に限定されることは意図されない)を停止または抑止するために侵入性切断反応に含まれるオリゴヌクレオチドを指す。これは、いくつかの反応構成要素を封鎖すること(例えば、もう一つの核酸に塩基対形成すること、またはタンパク質構成要素に結合すること)により行われてもよい。しかし、その用語が、反応構成要素が封鎖される状況だけにのように限定されることは意図されない。
【0056】
本明細書で使用される場合の用語「カセット」は、インベーダーアッセイにおいてプローブオリゴヌクレオチドの切断に応答して検出可能なシグナルを生じるように構成されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組み合わせを指す。好ましい態様において、カセットは、プローブオリゴヌクレオチドの切断からの非標的切断生成物にハイブリダイズして、第二の侵入性切断構造を形成し、そのため、カセットはその後、切断されうる。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい態様における二次切断反応は、FRETカセットの使用を含む。そのような分子は、二次標的(二次反応標的(Secondary Reaction Target)またはSRT)およびFRET標識された切断可能配列の両方を供給し、逐次的侵入性切断反応の均一な検出(すなわち、反応後の生成物分離または他の操作なしに)を可能にする。他の好ましい態様は、FRETプローブおよび合成標的が別々のオリゴヌクレオチドとして供給される二次反応系を用いる。一次反応から切断された5'-フラップは、二次反応において侵入性オリゴヌクレオチドとして働き、それらは、適切な二次反応標的(SRT)に結合する。
【0058】
いくつかの態様において、カセットは、ヘアピン部分(すなわち、カセットオリゴヌクレオチドの1つの部分が二重鎖を形成するように反応条件下で同じオリゴヌクレオチドの第二部分にハイブリダイズしている領域)を含む単一のオリゴヌクレオチドである。他の態様において、カセットは、反応条件下において二重鎖を形成することができる相補的部分を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様において、カセットは標識を含む。特に好ましい態様において、カセットは、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)効果を生じる標識部分を含む。
【0059】
核酸基質に関して用いられる場合の用語「実質的に一本鎖の」とは、基質分子が、鎖間の塩基対形成相互作用により共に保持されている核酸の2つの鎖として存在する二本鎖基質とは対照的に、主に核酸の一本鎖として存在することを意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、標的配列のコピーを作製することなく、増幅されていない(例えば、PCRにより)特定の標的配列(例えば、miRNA、SNP、反復配列など)の存在または非存在を検出するように構成された検出アッセイを指す。「非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、例えば、標的配列がコピーされない限りは、特定の標的配列または標的配列内の多型の存在または非存在を示すために使用されたシグナルを増幅することができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「非増幅(non-amplifying)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、標的配列のコピーを作製することなく、標的配列(例えば、miRNA、SNP、反復配列など)の存在または非存在を検出するように構成された検出アッセイを指す。「非増幅(non-amplifying)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、例えば、標的配列がコピーされない限りは、特定の標的配列または標的配列における多型の存在または非存在を示すために使用されたシグナルを増幅することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合の用語「配列変異」は、2つの核酸間の核酸配列における差を示す。例えば、野生型構造遺伝子およびこの野生型構造遺伝子の突然変異型は、単一の塩基置換および/または1個もしくは複数のヌクレオチドの欠失もしくは挿入の存在により配列において異なっていてもよい。構造遺伝子のこれらの2つの型は、互いに配列において異なると言われる。構造遺伝子の第二の突然変異型が存在してもよい。この第二突然変異型は、配列において、野生型遺伝子およびその遺伝子の第一突然変異型の両方と異なるといわれる。
【0063】
本明細書で使用される場合の用語「遊離させること」は、オリゴヌクレオチドのようなより大きな核酸断片から、放出された断片がオリゴヌクレオチドの残りにもはや共有結合性に付着しないように、例えば、5'ヌクレアーゼの作用によって、核酸断片を放出することを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合の用語「Km」は、酵素についてのミカエリス-メンテン定数を指し、所定の酵素が酵素触媒反応においてそれの最大速度の2分の1を生じる特定の基質の濃度として定義される。
【0065】
本明細書で使用される場合の用語「ヌクレオチド類似体」は、限定されるものではないが、7-デアザプリン(すなわち、7-デアザ-dATPおよび7-デアザ-dGTP);代替の水素結合立体配置をもつ塩基類似体(S. BennerによるU.S. Patent No. 6,001,983に記載され、かつ参照として本明細書に組み入れられた、イソ-Cおよびイソ-Gならびに他の非標準的塩基対);非水素結合類似体(例えば、B.A. Schweitzer and E.T. Kool, J. Org. Chem., 1994, 59, 7238-7242, B.A. Schweitzer and E.T. Kool, J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, 1863-1872(それぞれが参照として本明細書に組み入れられる)により記載された、2,4-ジフルオロトルエンのような非極性、芳香族ヌクレオチド;5-ニトロインドールおよび3-ニトロピロールのような「ユニバーサル」塩基;ならびにユニバーサルプリンおよびピリミジン(それぞれ、「K」および「P」ヌクレオチドのような;P. Kong, et al., Nucleic Acids Res., 1989, 17, 10373-10383, P. Kong et al., Nucleic Acids Res., 1992, 20, 5149-5152)のようなスタッキング相互作用を変化させた類似体を含む改変された、または天然に存在しないヌクレオチドを指す。ヌクレオチド類似体は、ジデオキシヌクレオチドおよび2'-O-メチルヌクレオチドのような糖部分に改変をもつヌクレオチドを含む。ヌクレオチド類似体は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの改変型を含む。
【0066】
用語「多型座」とは、集団のメンバー間で変異を示す集団に存在する座である(最もよくある対立遺伝子は0.95未満の頻度をもつ)。対照的に、「単型座」は、集団のメンバー間でほとんどまたは全く変異が見られない遺伝子座である(一般的に、最もよくある対立遺伝子が集団の遺伝子プールにおいて0.95の頻度を超える座であると解釈される)。
【0067】
本明細書で使用される場合の用語「微生物」は、小さすぎて裸眼で観察され得ない生物体を意味し、限定されるものではないが、細菌、ウイルス、原生動物、真菌および繊毛虫を含む。
【0068】
用語「微生物遺伝子配列」は、微生物由来の遺伝子配列を指す。
【0069】
用語「細菌」は、真正細菌および古細菌種を含む任意の細菌種を指す。
【0070】
用語「ウイルス」は、自律複製ができない(すなわち、複製が宿主細胞の機構の使用を必要とする)偏性超顕微鏡的細胞内寄生体を指す。
【0071】
本明細書および特許請求の範囲における用語「試料」とは、それの最も広い意味で用いられる。一方では、検体または培養物(例えば、微生物学的培養物)を含むことが意図される。他方では、生物学的および環境的の両方の試料を含むことが意図される。試料は、合成起源の検体を含んでもよい。
【0072】
生物学的試料は、ヒトを含む動物の、液体、固体(例えば、便)または組織、加えて乳製品種目、野菜、肉および食肉処理された獣の肉以外の有用物のような液体および固体の食物および飼料の製品ならびに材料、ならびに廃棄物であってもよい。生物学的試料を、限定されるものではないが、有蹄動物、クマ、魚類、ウサギ目の動物、齧歯類などを含む、あらゆる様々な科の家畜、加えて、野生動物から得ることができる。
【0073】
環境的試料は、表面物質、土壌、水のような環境的材料および産業的試料、加えて、食物および乳加工道具、装置、設備、器具、使い捨ておよび非使い捨て商品から得られる試料を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料型を限定すると解釈されるべきではない。
【0074】
用語「標的核酸の供給源」は、核酸(RNA(例えば、miRNA)またはDNA)を含む任意の試料を指す。標的核酸の特に好ましい供給源は、限定されるものではないが、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰および精液を含む生物学的試料である。
【0075】
オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドが他方のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)より高いモル濃度で存在する場合には、もう一つのオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)に対して「過剰」に存在すると言われる。プローブオリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列の濃度に対して過剰に、切断反応において存在する場合、反応は、存在する標的核酸の量を示すために使用されうる。典型的には、過剰に存在する場合、プローブオリゴヌクレオチドは、少なくとも100倍のモル過剰で存在するものである;典型的には、標的核酸配列が約10 fmoleまたはそれ未満で存在する場合、各プローブオリゴヌクレオチドの少なくとも1 pmoleが用いられるものと思われる。
【0076】
第一および第二の標的核酸を「含むと疑われる」試料は、標的核酸分子のいずれかを含む、両方を含む、またはいずれも含まない場合がある。
【0077】
用語「反応物」は、それの最も広い意味で本明細書で使用される。反応物は、例えば、酵素的反応物、化学的反応物、または光(例えば、紫外線、特に短波長紫外線はオリゴヌクレオチド鎖を切断することが知られている)を含むことができる。オリゴヌクレオチドと反応して、オリゴヌクレオチドを短くする(例えば、切断する)かまたは伸長するかのいずれかをすることができる任意の作用物質は、用語「反応物」内に含まれる。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」または「精製するために」とは、試料からの夾雑物の除去を指す。例えば、いくつかの態様において、組換えCLEAVASEヌクレアーゼは細菌の宿主細胞で発現され、これらのヌクレアーゼは、宿主細胞タンパク質の除去により精製される;これらの組換えヌクレアーゼのパーセントは、それにより、試料において増加する。
【0079】
本明細書で使用されるように、タンパク質に関する場合の用語「部分」(「所定のタンパク質の部分」のような)は、そのタンパク質の断片を指す。断片は、4個のアミノ酸残基から全アミノ酸配列マイナス1個のアミノ酸までの大きさの範囲であってよい(例えば、4個、5個、6個、・・・、n-1個)。
【0080】
本明細書で使用される場合の用語「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびそれらの断片または部分、ならびに一本鎖または二本鎖であって、かつセンス鎖またはアンチセンス鎖を示しうるゲノムもしくは合成起源のDNAまたはRNAを指す。同様に、本明細書で使用される場合の「アミノ酸配列」は、ペプチドまたはタンパク質の配列を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」または「実質的に精製された」は、それらの天然の環境から取り出され、単離または分離され、かつそれらが天然で付随している他の成分を少なくとも60%含まない、好ましくは75%含まない、および最も好ましくは90%含まない分子(核酸またはアミノ酸の配列)を指す。したがって、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は、実質的に精製されたポリヌクレオチドである。
【0082】
本明細書で使用される場合の用語「核酸の連続鎖」は、切れ目または他の破損なしに、連続的な、共有結合性に連結されたバックボーン構造をもつ核酸の鎖を意味する。各ヌクレオチドの塩基部分の配置は、塩基対形成されていようが、一本鎖であろうが、ミスマッチされていようが、連続鎖の定義における要素ではない。連続鎖のバックボーンは、天然に存在する非改変の核酸において見出されるリボース-リン酸またはデオキシリボース-リン酸組成物に限定されない。本発明の核酸は、限定されるものではないが、ホスホロチオエート残基、ホスホネート残基、2'置換型リボース残基(例えば、2'-O-メチルリボース)および代替糖(例えば、アラビノース)含有残基を含む、バックボーンの構造における改変を含んでもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合の用語「連続二重鎖」は、二重鎖内に塩基対の連鎖に破損がない(すなわち、二重鎖に沿う塩基対は、連続二重鎖の領域の限局に関するギャップ、隆起またはミスマッチに適応するために歪められていない)二本鎖核酸の領域を指す。本明細書で使用される場合、その用語は、核酸鎖のバックボーン部分における連続性の含意なしに、二重鎖内の塩基対の配列のみを指す。連続した塩基対形成をもつが、一方または両方の鎖に切れ目を含む二重鎖核酸は、連続二重鎖の定義内である。
【0084】
用語「二重鎖」は、1つの鎖におけるヌクレオチドの塩基部分が第二鎖に配列されたそれらの相補的塩基を水素結合を通して結合している核酸の状態を指す。二重鎖型であることの条件は、核酸の塩基の状態に反映する。塩基対形成によって、核酸の鎖はまた、一般的に、メジャーおよびマイナーグルーブをもつ二重らせんの三次構造を仮定する。らせん型の仮定は、二重鎖になることの作用に内在する。
【0085】
用語「鋳型」は、その上に相補的コピーが鋳型依存性核酸ポリメラーゼの活性によりヌクレオシド三リン酸から構築される、核酸の鎖を指す。二重鎖内での鋳型鎖は、慣例により、「下部」鎖として描写および記載される。同様に、非鋳型鎖は、しばしば「上部」鎖として描写および記載される。
【0086】
発明の説明
本発明は、マイクロRNA(micro RNA:miRNA)または他の短い核酸分子(例えば、siRNA)の検出および特徴付けのための組成物ならびに方法に関する。本発明は、miRNA発現を検出、特徴付け、かつ定量化する改善された方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、検出を助けるために、核酸をmiRNAに付加する段階を含むmiRNA発現を検出する方法を提供する。結果として生じる「miRNA検出構造」は、その後、限定されるものではないが、本明細書に開示されたものを含む、任意の適する方法を用いて検出される。以下の説明は、miRNAの検出および定量化に焦点を合わせているが、本発明はまた、他の短い核酸分子(例として、例えば、50、40、30または20ヌクレオチド長未満のDNAおよびRNA)での使用が見出されることは理解されるべきである。
【0087】
I. miRNA検出構造の形成
いくつかの態様において、本発明は、miRNAの検出を助けることが可能なmiRNA検出構造を作製する方法を提供する。miRNAは、大きさが小さく(約21ヌクレオチド)、それゆえに、標準化ハイブリダイゼーション方法を用いて検出するには困難である。いくつかの態様において、本発明の方法は、検出構造を作製するために核酸分子をmiRNAに付加する(例えば、ハイブリダイゼーション、伸長またはライゲーションにより)段階を含む。そのような検出構造を、その後、任意の適した方法を用いて検出することができる。
【0088】
一つの特定の態様において、図2に記載された検出構造は、miRNAの検出のために作製される。この態様において、2つのオリゴヌクレオチドは、二重ループまたは「ダンベル」様構造を形成するようにmiRNAにアニールされる。ダンベル構造は、オリゴヌクレオチドの二本鎖領域でmiRNAの末端を伸長することにより二本鎖核酸のより大きな領域を作製する。いくつかの態様において、miRNAの各末端は、2ヌクレオチドと5ヌクレオチドの間で伸長される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、miRNAにハイブリダイズしない付加的な核酸配列を含む。いくつかの態様において、これらの付加的な配列は、侵入性切断構造(例えば、インベーダーアッセイ侵入性切断構造)を形成する。いくつかの態様において、侵入性切断構造は、インベーダーアッセイにより検出される(例えば、下部の説明を参照)。
【0089】
他の態様において、図3に記載された検出構造は、miRNAの検出のために作製される。この態様において、1つのオリゴヌクレオチドは、アーチ構造を作製するようにmiRNAにアニールされる。miRNAは、miRNAの非存在下の場合よりも高い効率性を以て、オリゴヌクレオチドの末端を結合させる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、miRNAを超えて伸長し、かつmiRNAにハイブリダイズしない付加的な配列を含む。いくつかの態様において、これらの付加的な配列は、侵入性切断構造(例えば、インベーダーアッセイ侵入性切断構造)を形成する。いくつかの態様において、侵入性切断構造は、インベーダーアッセイにより検出される(例えば、下部の説明を参照)。他の態様において、インベーダーアッセイ侵入性切断構造の切断後、その結果生じた末端は、環状構造を形成するようにライゲーションされる。他の態様において、1つのオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの末端が極めて接近してもたらされるようにmiRNAにハイブリダイズし(例えば、miRNAの隣接ヌクレオチドにハイブリダイズする)、その後、ライゲーションされる。
【0090】
なおさらなる態様において、図16および図17に記載された検出構造が作製される。この態様において、プローブかまたはインベーダーオリゴヌクレオチドのいずれかが、単一のヘアピンループまたは「半ダンベル」構造を作製するように伸長される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、miRNAにハイブリダイズしない付加的な核酸配列を含む。いくつかの態様において、これらの付加的な配列は、侵入性切断構造(例えば、インベーダーアッセイ侵入性切断構造)を形成する。いくつかの態様において、侵入性切断構造は、インベーダーアッセイにより検出される(例えば、下部の説明を参照)。
【0091】
他の態様において、これらの付加的な配列は、切断構造、例えばインベーダーアッセイ侵入性切断構造を安定化するために反応混合物に加えられる追加のオリゴヌクレオチドに相補的である(図4)。
【0092】
いくつかの態様において、上記のように作製された環状構造は、ローリングサークル複製アッセイを用いて検出される(例えば、ローリングサークル複製の下部の説明を参照)。
【0093】
なおさらなる態様において、検出構造は、miRNAに相同的な短い領域を含む長いオリゴヌクレオチド(例えば、50個、100個、1000個またはそれ以上のヌクレオチドより大きい)から作製される。1つまたは複数のmiRNAは、検出構造を作製するようにオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの態様において、これらの検出構造は、miRNAの伸長(例えば、ライゲーションまたはRT-PCRのような重合反応による)により検出される。いくつかの態様において、これらの検出構造は、ミクロスフィアのような固体支持体、または他の表面もしくは構造に結合したオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによりさらに検出される。
【0094】
いくつかの態様において、検出構造を形成するために使用されたオリゴヌクレオチドは、1個または複数のヌクレオチド類似体を含む。例えば、いくつかの態様において、2'-O-メチルヌクレオチドが利用される。本発明は、特定の機構に限定されない。実際、機構の理解は、本発明を実施するのに必要ではない。とはいえ、2'-O-メチル塩基の存在は、ハイブリダイズされた検出構造の安定性を増加させ、さらなる検出方法において助けることが企図される。
【0095】
II. 干渉RNAの検出
いくつかの態様において、本発明は、miRNAを検出する方法を提供する。本発明は、特定の検出アッセイに限定されない。任意の適する方法を利用してよく、限定されるものではないが、本明細書に開示された方法を含む。
【0096】
本発明のいくつかの好ましい態様において、miRNA検出方法は定量的である。本発明は、特定の機構に限定されない。実際、機構の理解は、本発明を実施するのに必要ではない。とはいえ、体内の特定のmiRNAのレベルがそれらの同族遺伝子からの遺伝子発現のレベルと関連していることが企図される。従って、本発明は、miRNAを特定の遺伝子(例えば、疾患状態または代謝に関与する遺伝子)の遺伝子発現と相関させる方法を提供する。例えば、いくつかの態様において、本発明の方法は、特定のmiRNAの異常な(例えば、高いまたは低い)レベルの存在を測定するために、またはmiRNA発現への介入(例えば、薬物)の効果を測定するために利用される。他の態様において、異種性miRNA(例えば、発現ベクター、トランスジェニック構築物、トランスフェクションなど由来)は、miRNA発現系の効率を特徴付けするために検出される。
【0097】
いくつかの態様において、本発明は、特定のmiRNA(例えば、mir-1またはmir-135のようなmiRNA)を検出する方法を提供する。他の態様において、本発明の方法は、特定のmiRNAにおいて変異体(例えば、多型または突然変異)間を区別するために用いられる。なおさらなる態様において、本発明は、miRNAの存在について試験される細胞を溶解する方法を提供する。
【0098】
A. インベーダーアッセイ
いくつかの態様において、インベーダーアッセイは、miRNAの検出のために用いられる。いくつかの態様において、インベーダーアッセイは、標的核酸の存在に依存する核酸切断構造を形成する段階、および特有の切断生成物を放出するように核酸切断構造を切断する段階を含む。例えば、5'ヌクレアーゼ活性は、標的依存性切断構造を切断するために使用され、その結果生じた切断生成物または切断構造の切断は、試料における特定の標的核酸配列の存在を示している。核酸またはオリゴヌクレオチドの1つまたは2つ(またはそれ以上)の鎖が、以下に記載されているように、それらが重複している侵入性切断構造を形成するように両方ともに標的核酸鎖にハイブリダイズする場合、侵入性切断が生じうる。切断剤(例えば、5'ヌクレアーゼ)と上流オリゴヌクレオチドの相互作用を通して、切断剤は、特有の断片が生成されるような方式で内部部位で下流オリゴヌクレオチドを切断するように作製されてもよい。そのような態様は、インベーダーアッセイ(Third Wave Technologies)と名付けられ、U.S. Patent Nos. 5,846,717, 5,985,557, 5,994,069, 6,001,567, 6,090,543, 6,348,314, および6,458,535, WO 97/27214 WO 98/42873, Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17:292 (1999), Hall et al., PNAS, USA, 97:8272 (2000)に記載されており、これらはそれぞれ、参照としてそのすべてが本明細書に完全に組み入れられている。
【0099】
インベーダーアッセイは、構造特異的酵素による特定の構造の酵素的切断によりプローブの標的へのハイブリダイゼーションを検出する(インベーダーアッセイ、Third Wave Technologiesを参照;例えばU.S. Patent Nos. 5,846,717; 6,090,543; 6,001,567; 5,985,557; 5,994,069; 6,090,543; 6,348,314; 6,458,535; U.S. Patent App.Nos. 20030186238 (Ser.No.10/084839); 20030104378A1 (Ser.No.09/864636) ; Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17: 292 (1999), Hall et al., PNAS, USA, 97: 8272 (2000)、W0 97/27214およびW0 98/42873を参照のこと。これらはそれぞれ、参照としてそのすべてが本明細書に完全に組み入れられている)。
【0100】
インベーダーアッセイは、重複しているオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションにより形成された複合体を切断する構造特異的酵素(例えば、FENエンドヌクレアーゼ)を用いることにより特定のDNAおよびRNA配列を検出する(例えば、図1を参照)。高温およびプローブのうちの1つの過剰が、温度サイクリングなしに、複数のプローブが存在する各標的配列について切断されるのを可能にする。いくつかの態様において、これらの切断されたプローブは、その後、第二の標識プローブの切断を導く。第二プローブオリゴヌクレオチドを、内部色素により消光されるフルオレセインで5'末端標識してもよい。切断された場合、脱消光されたフルオレセイン標識生成物を、標準的蛍光プレートリーダーを用いて検出することができる。
【0101】
インベーダーアッセイは、非増幅の、加えて増幅されたRNA、およびゲノムDNAを含むDNAにおいて、特定の配列、突然変異およびSNPを検出する。図1に概略的に示された態様において、インベーダーアッセイは、標的特異的シグナルを発生するため、およびその後にそのシグナルを増幅するための2つのカスケード段階(一次および二次反応)を用いる。便宜上、以下の考察における対立遺伝子は、野生型(WT)および突然変異体(MT)として記載されるが、この用語がすべての遺伝的変異に適用されるわけではない。一次反応において(図1、パネルA)、WT一次プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドは、重複している構造を形成するように標的核酸に直列にハイブリダイズする。不対の「フラップ」は、WT一次プローブの5'末端上に含まれる。構造特異的酵素(例えば、CLEAVASE酵素、Third Wave Technologies)は、重複を認識し、不対のフラップを切断し、それを標的特異的生成物として放出する。二次反応において、この切断された生成物は、WT蛍光共鳴エネルギー移転(WT-FRET)プローブ上でインベーダーオリゴヌクレオチドとして働き、構造特異的酵素により認識される構造を再び生成する(パネルA)。単一のFRETプローブ上の2つの色素が、切断(図1において矢印により示されている)により分離される場合、バックグラウンド蛍光の上の検出可能な蛍光シグナルを生じる。従って、この第二構造の切断は、結果として、蛍光の増加を生じ、WT対立遺伝子(または、アッセイが、突然変異対立遺伝子について検出可能なシグナルを生じるように構成される場合には、突然変異対立遺伝子)の存在を示している。いくつかの態様において、異なる標識(例えば、発光もしくは励起波長における差により分解可能、または時間分解型蛍光検出により分解可能)を有するFRETプローブは、異なる対立遺伝子または遺伝子座が単一反応で検出されうるように、検出される各対立遺伝子または遺伝子座について提供される。そのような態様において、一次プローブセットおよび異なるFRETプローブを、単一アッセイと組み合わせることができ、同じ試料において各対立遺伝子または遺伝子座からのシグナルの比較を可能にする。
【0102】
一次プローブオリゴヌクレオチドおよび標的ヌクレオチド配列が切断部位で完全にはマッチしない場合には(例えば、MTプライマープローブおよびWT標的についてのような、図1、パネルB)、重複した構造は形成せず、切断は抑制される。用いられる構造特異的酵素(例えば、CLEAVASE VIII酵素、Third Wave Technologies)は、重複していない構造よりも効率的に(例えば、少なくとも340倍)重複した構造を切断し、対立遺伝子の優れた識別を可能にする。
【0103】
プローブは、標的あたり多くのシグナルを生じるように(すなわち、直線的シグナル増幅)、温度サイクリングなしに回転する。同様に、各標的特異的生成物は、多くのFRETプローブの切断を可能にすることができる。
【0104】
一次インベーダーアッセイ反応は、検出される標的DNA(またはRNA)に対して向けられる。インベーダーおよび一次プローブはモル過剰に供給されるため、標的DNAが、第一侵入性切断における制限的構成要素である。第二侵入性切断において、制限するのは、放出されるフラップである。これらの2つの切断反応が連続して行われる場合、複合反応からの蛍光シグナルは、標的DNA量に対して直線的に集積する。
【0105】
特定の態様において、インベーダーアッセイ、または他のヌクレオチド検出アッセイは、接近可能な部位を設計されたオリゴヌクレオチドおよび/または架橋オリゴヌクレオチドを用いて行われる。そのような方法、工程および組成物は、U.S. Pat. 6,194,149, 6,358,691, 6,355,437, U.S. Pat. Application Ser. No. 09/882,945ならびにPCT Applications WO 9850403およびWO 0198537に記載されており、それらのすべては参照として完全に具体的に組み入れられている。
【0106】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階は、標的配列がその試料に存在する場合には、侵入性切断構造が標的配列とオリゴヌクレオチドの間に形成され、その侵入性切断構造がその切断剤により切断されて切断生成物を形成する条件下において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階を含む。
【0107】
いくつかの態様において、標的配列は、第一領域および第二領域を含み、第二領域が第一領域の下流でかつ近接しており、オリゴヌクレオチドは第一および第二オリゴヌクレオチドを含み、第一オリゴヌクレオチドの少なくとも部分が標的配列の第一部分と完全に相補的であり、かつ第二オリゴヌクレオチドが3'部分および5'部分を含み、5'部分が標的核酸の第二部分と完全に相補的である。
【0108】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階は、標的配列がその試料に存在する場合には、侵入性切断構造が標的配列とオリゴヌクレオチドの間に形成され、その侵入性切断構造がその切断剤により切断されて切断生成物を形成する条件下において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階を含む。
【0109】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階は、標的配列がその試料に存在する場合には、侵入性切断構造が標的配列とオリゴヌクレオチドの間に形成され、その侵入性切断構造がその切断剤により切断されて切断生成物を形成する条件下において、試料をオリゴヌクレオチドおよび作用物質に曝露する段階を含む。
【0110】
いくつかの特に好ましい態様において、標的配列は、第一領域および第二領域を含み、その第二領域がその第一領域の下流でかつ近接しており、そのオリゴヌクレオチドは第一および第二オリゴヌクレオチドを含み、その第一オリゴヌクレオチドの少なくとも部分がその標的配列のその第一部分と完全に相補的であり、かつその第二オリゴヌクレオチドが3'部分および5'部分を含み、その5'部分がその標的核酸のその第二部分と完全に相補的である。
【0111】
特定の態様において、本発明は、インベーダー検出試薬(例えば、一次プローブ、インベーダープローブおよびFRETカセット)を用いてプールされた試料(例えば、プールされた血液試料またはプールされた細胞可溶化物)をアッセイするためのキットを提供する。好ましい態様において、キットは、インベーダーアッセイを行う方法、およびいくつかの態様において、インベーダー検出アッセイを多くの個体由来のプールされた試料に適用する方法、または単一の被験体からの多くの細胞から(例えば、生検試料から)の「プールされた」試料に適用する方法についての使用説明書をさらに含む。
【0112】
本発明は、標的核酸が、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションおよびプローブの切断の複数のラウンド中に、温度サイクリング(すなわち、標的核酸鎖の周期的な変性のための)または核酸合成(すなわち、標的またはプローブ核酸鎖の重合に基づく置換のための)を用いる必要性なしに、再使用またはリサイクルされるアッセイをさらに提供する。切断反応が、プローブが標的鎖上で連続的に置換される条件下で実行される場合(例えば、プローブ-プローブ置換を通して、またはプローブ/標的の会合と解離の間の平衡を通して、またはこれらの機構を含む組み合わせを通して(Reynaldo et al., J. Mol. Biol. 97:511-520 (2000)))、複数のプローブが、同じ標的にハイブリダイズすることができ、複数の切断および複数の切断生成物の生成を可能にする。
【0113】
インベーダーアッセイ反応:
インベーダーDNAアッセイの好ましい態様において、2つのオリゴヌクレオチド(判別可能な一次プローブ(Primary Probe)およびインベーダーオリゴ)は、重複している構造を形成するように標的DNAに直列にハイブリダイズする。一次プローブの5'末端は、標的DNAにハイブリダイズしない5'-フラップを含む(図1)。結合したインベーダーオリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドは一次プローブと重複するが、標的DNAにハイブリダイズする必要はない。CLEAVASE酵素は、この重複している構造を認識し、一次プローブの不対の5'-フラップを切断し、それを標的特異的生成物として放出する。一次プローブは、反応温度に近い融解温度をもつように設計されている。従って、等温アッセイ条件下において、一次プローブは過剰に供給されているのだが、標的DNA上で循環する。これは、各標的DNAについて一次プローブ切断の複数ラウンド、および放出された5'-フラップの数の増幅を可能にする。
【0114】
二次反応において、それぞれの放出された5'-フラップは、CLEAVASE酵素により認識かつ切断されるもう一つの重複している構造を生じるように蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)カセット上でインベーダーオリゴヌクレオチドとして働くことができる(図1)。FRETカセットが切断される場合、蛍光部位(F)および抑制部位(Q)が分離され、検出可能な蛍光シグナルを生じる。最初の反応と同様に、放出された5'-フラップおよびFRETカセットは循環し、結果として増幅された蛍光シグナルを生じる。最初および二次反応は、同じウェル内で同時に実行される。
【0115】
インベーダーDNAアッセイの二重形式は、単一のウェル内で2つのDNA配列の同時検出を可能にする。ほとんどの場合、これは、特定の多型の2つの変異体の検出を含む(例えば、miRNAにおいて)。二重形式は、それぞれが固有の5'-フラップを含む2つの異なる判別可能な一次プローブ、およびそれぞれがスペクトル的に別個の蛍光部位を含む2つの異なるFRETカセットを用いる。設計により、放出された5'-フラップは、標的特異的シグナルを生じるようにそれらのそれぞれのFRETカセットへのみ結合する。
【0116】
いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するのに必要な構成要素の1つまたは複数を含むキットを提供する。例えば、本発明は、切断アッセイ(例えば、インベーダーアッセイ)を実施するために必要な本発明の酵素および/または反応構成要素を保管または送達するためのキットを提供する。例のつもりであって、本発明のキットを何か特定の構成要素の構成または組み合わせに限定することを意図することはなく、以下の節は、本発明を実施するためのキットの一つの態様を記載している。
【0117】
いくつかの態様において、本発明のキットは、以下の試薬を提供する:
【0118】
他の態様において、本発明のキットは、RNAの直接的検出のために構成される。これらのキットは以下の試薬を提供することができる:
【0119】
さらに考慮して、単一反応におけるオリゴヌクレオチドの特定の組み合わせに起因する望ましくない影響について対処しなければならない。1つのそのような影響は、バックグラウンドシグナルの標的非依存性発生である。他のものとの組み合わせにおけるある特定のオリゴヌクレオチドは、検出される特定の標的の非存在下で、インベーダーアッセイにおいてシグナルを生じることができる。これらのオリゴヌクレオチド組み合わせの異なるプールへの分離を、この影響を軽減するために使用することができる。同様に、ある特定のオリゴヌクレオチド組み合わせは、所望の標的からのシグナル発生を人工的に抑制することができる。この場合もやはり、これらの組み合わせの異なるプールへの分離がこの影響を軽減することができる。
【0120】
プローブセット(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/またはそれらの配列)の設計は、本明細書に提供された反応設計および最適化のためのガイドライン(例えば、実験の部を参照)を用いてmiRNA検出アッセイでの使用に適応される。例えば、いくつかの態様において、反応温度は、ハイブリダイゼーションの小さい方の領域を考慮するように低下される(例えば、50〜60℃まで)。
【0121】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法を行うためにユーザーにより供給される追加の構成要素(例えば、試薬、供給材料、および/または装置)のリストを提供する。例えば、そのような追加の構成要素を何か特定の構成要素に限定するつもりはないが、そのようなリストの一つの態様は以下のものを含む:
・透明CHILLOUT-14液体ワックス(MJ Research)またはリボヌクレアーゼを含まない光学級ミネラルオイル(Sigma、カタログ番号M-5904)
・96ウェルのポリプロピレンマイクロプレート(MJ Research、カタログ番号MSP-9601)
・滅菌1.5-mlまたは2.0-mlの微量遠心管
・滅菌、デオキシリボヌクレアーゼ/リボヌクレアーゼを含まない使い捨てエアゾールバリアピペットチップ
・マルチチャンネルピペット(0.5〜10 μl、2.5〜20 μl)
・サーマルサイクラーまたは他の熱源(例えば、実験室用オーブンまたは加熱ブロック)
・種々雑多な実験装置(試験管立て、マイクロピペッタ、マルチチャンネルピペット、微量遠心機、ボルテックスミキサー)
・蛍光マイクロプレートリーダー(好ましいプレートリーダーは、最高の読み取りで、かつ以下の特性を有する光フィルターを備えている):
【0122】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーにより供給される任意の構成要素(例えば、試薬、供給材料、および/または装置)のリストを提供する。例えば、そのような任意の構成要素リストを何か特定の構成要素に限定するつもりはないが、そのようなリストの一つの態様は以下のものを含む:
・滅菌8チューブストリップまたはマイクロプレート(任意)
・使い捨てプラスチック桶(任意)
・プレートシールテープ(任意)
【0123】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーにより供給される必要な構成要素のリストを提供し、複数の代替物が受け入れられる(例えば、試料調製キット)。例えば、そのような任意の構成要素リストを何か特定の構成要素に限定するつもりはないが、そのようなリストの一つの態様は以下のものを含む:
・QIAGEN QIAAMP血液キット
・Gentra Systems PUREGENEキット
・Gentra Systems GENERATIONプロダクツ
【0124】
キットのいくつかの態様において、詳細なプロトコールが提供される。好ましい態様において、インベーダーアッセイ反応の構築についてのプロトコール(例えば、反応混合物を作製するための策定および好ましい方法)が提供される。特に好ましい態様において、反応混合物の構築についてのプロトコールは、本発明の方法の実施においてエラーのリスクを低減させるために計算的または図式的補助を含む(例えば、複数の反応に必要とされる試薬の容量の計算を容易にするための表、および多数のアッセイ反応を含むようにマルチウェルアッセイプレートを設定するにおいて助けとなるプレート配置ガイド)。
【0125】
いくつかの態様において、補助的な方法について、例えば、追加の試薬の調製について、または本発明の方法での使用のための試料の調製について、のプロトコールのような補足書類が提供される。好ましい態様において、補足書類は、未熟練または経験の浅いユーザーによる方法およびキットの使用の成功を助けるために提供されるガイドラインおよび事前注意のリストを含む。特に好ましい態様において、補足書類は、トラブルシューティングガイド、例えばユーザーが遭遇しうる起こり得る問題を記載し、そのような問題を解決または回避するにおいてユーザーを助けるように意図された、提案されている解決法または修正を提供するガイドを含む。
【0126】
好ましい態様において、試料は、反応あたり10-μl添加に対応する濃度まで希釈される。100-ng試料の濃度は、15 ng/μlであるはずである。
【0127】
B. ローリングサークル複製
他の態様において、ローリングサークル複製方法(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)は、miRNA検出構造の検出のために利用される(例えば、U.S. Patents 6,344,329; 6,143,495; 6,316,229; 6,210,884, 6,183,960および6,235,502を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。いくつかの態様において、ローリングサークル複製は、miRNAにアニールされた単一のオリゴヌクレオチドの末端のアニーリングから生じた環状miRNA検出構造を検出するために用いられる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、重複なしにmiRNAにハイブリダイズする。このオリゴヌクレオチドを、miRNAの存在または非存在下においてライゲーションすることができる。しかし、ライゲーション反応は、miRNAの存在下においてより効率的である。そのような態様において、ゆっくり時間をかけて検出された環状分子のレベルは、miRNAを欠く対照反応と比較される。
【0128】
他の態様において、オリゴヌクレオチドの末端は、侵入性切断構造を生じる重複している末端をもつように、miRNAにハイブリダイズする。そのような構造は、ライゲーションの前に切断され、従って、環状検出構造の生成の特異性を向上させる。
【0129】
ローリングサークル増幅(RCA)は、環状一本鎖DNA分子の複製を含む。RCAにおいて、ローリングサークル複製プライマーは、環状核酸分子にハイブリダイズし、続いて、鎖置換DNAポリメラーゼを用いる核酸分子のローリングサークル複製を行う。増幅は、単一反応サイクルにおけるローリングサークル複製中に起こる。ローリングサークル複製は、結果として、核酸配列の直列型反復を含む大きなDNA分子を生じる。このDNA分子は、直列型配列DNA(TS-DNA)と呼ばれる。
【0130】
いくつかの態様において、複製の前にライゲーション操作を含むライゲーション仲介型ローリングサークル増幅(LM-RCA)が利用される。ライゲーション操作において、プローブは、存在する場合には、それの同族の標的核酸配列にハイブリダイズし、続いて、共有結合性に閉じた一本鎖核酸を形成するように、ハイブリダイズしたプローブの末端のライゲーションが起きる。ライゲーション後、ローリングサークル複製プライマーは、プローブ分子にハイブリダイズし、続いて、鎖置換DNAポリメラーゼを用いる環状分子のローリングサークル複製が起きる。一般的に、LM-RCAは、開環プローブを標的試料と混合し、結果としてプローブ-標的試料混合物を生じ、開環プローブと標的配列の間のハイブリダイゼーションを促進する条件下でプローブ-標的試料混合物をインキュベートする段階、リガーゼをプローブ-標的試料混合物と混合し、結果としてライゲーション混合物を生じ、増幅標的サークル(ATC)を形成するように開環プローブのライゲーションを促進する条件下でライゲーション混合物をインキュベートする段階、ローリングサークル複製プライマー(RCRP)をライゲーション混合物と混合し、結果としてプライマー-ATC混合物を生じ、増幅標的サークルとローリングサークル複製プライマーの間のハイブリダイゼーションを促進する条件下でプライマー-ATC混合物をインキュベートする段階、DNAポリメラーゼをプライマー-ATC混合物と混合し、結果としてポリメラーゼ-ATC混合物を生じ、増幅標的サークルの複製を促進する条件下でポリメラーゼ-ATC混合物をインキュベートする段階であって、増幅標的サークルの複製が結果として、直列型配列DNA(TS-DNA)の形成を生じる段階を含む。
【0131】
C. 追加の検出方法
本発明は、インベーダーアッセイまたはローリングサークルアッセイ検出に限定されない。miRNA検出構造の検出を可能にする任意の方法を利用することができる。例示的には、本発明の方法に使用を見出す非限定的検出アッセイは、以下に記載されている。
【0132】
1. ハイブリダイゼーションアッセイ
本発明のいくつかの態様において、検出構造は、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出される。ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、所定の核酸配列の存在または非存在は、相補的DNA分子(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)にハイブリダイズする試料由来のDNAの能力に基づいて測定される。ハイブリダイゼーションおよび検出についての様々なテクノロジーを用いる様々なハイブリダイゼーションアッセイが利用可能である。アッセイの選択の説明は、以下に提供されている。
【0133】
a. ハイブリダイゼーションの直接的検出
いくつかの態様において、プローブと対象となる配列(例えば、SNPまたは突然変異)とのハイブリダイゼーションは、結合したプローブを可視化することにより直接的に検出される(例えば、ノーザンまたはサザンアッセイ;例えば、Ausabel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY [1991]を参照)。これらのアッセイにおいて、ゲノムDNA(サザン)またはRNA(ノーザン)は被験体から単離される。DNAまたはRNAを、その後、ゲノムにおいてまれな頻度で、アッセイされるマーカーのいずれの近くでもない一連の制限酵素により切断する。その後、DNAまたはRNAを分離し(例えば、アガロースゲル上で)、膜へ転写する。検出されるSNPまたは突然変異に特異的な標識された(例えば、放射性ヌクレオチドを取り込むことにより)プローブは、低い、中度、または高いストリンジェントな状態の条件下で膜に接触するようにさせておく。結合していないプローブを除去し、結合の存在を、標識されたプローブを可視化することにより検出する。
【0134】
b. 「DNAチップ」アッセイを用いるハイブリダイゼーションの検出
本発明のいくつかの態様において、変異体配列を、DNAチップハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出する。このアッセイにおいて、一連のオリゴヌクレオチドプローブを、固体支持体に付着させる。オリゴヌクレオチドプローブは、所定の標的配列(例えば、miRNA標的配列)に固有であるように設計される。対象となるDNA試料を、DNA「チップ」と接触させ、ハイブリダイゼーションを検出する。
【0135】
いくつかの態様において、DNAチップアッセイは、GeneChip(Affymetrix, Santa Clara, CA;例えば、U.S. Patent Nos. 6,045,996;5,925,525;および5,858,659を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)アッセイである。GeneChipテクノロジーは、「チップ」に付着したオリゴヌクレオチドプローブの小型化された高密度アレイを用いる。プローブアレイは、固相化学合成を半導体工業で用いられるフォトリソグラフィー製造技術と組み合わせるAffymetrixの光定方向性化学合成過程により作製される。チップ曝露部位を定めるために一連のフォトリソグラフィーのマスクを用い、続いて特定の化学合成段階を行って、その過程により、各プローブがアレイにおけるあらかじめ定められた位置にある、オリゴヌクレオチドの高密度アレイが構築される。複数のプローブアレイは、大きなガラスウェーハー上で同時に合成される。ウェーハーは、その後、ダイスカットされ、個々のプローブアレイは、環境からそれらを保護し、かつハイブリダイゼーションのためのチャンバーとしての役割を果たす、射出成形されたプラスチックカートリッジにパッケージングされる。
【0136】
分析される核酸を、単離し、PCRにより増幅し、蛍光レポーター基で標識する。その後、標識されたDNAを流体工学ステーションを用いてアレイとインキュベートする。その後、アレイはスキャナーへ挿入され、ハイブリダイゼーションのパターンが検出される。ハイブリダイゼーションデータは、プローブアレイに結合している、標的へすでに取り込まれた蛍光レポーター基から放射される光として収集される。標的に完全にマッチするプローブは、一般的に、ミスマッチをもつものより強いシグナルを生じる。アレイにおける各プローブの配列および位置がわかっているので、相補性により、プローブアレイに適用された標的核酸の同定を測定することができる。
【0137】
他の態様において、電子的に捕獲されたプローブを含むDNAマイクロチップ(Nanogen, San Diego, CA)を利用する(例えば、U.S. Patent Nos. 6,017,696; 6,068,818;および6,051,380を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。マイクロエレクトロニクスの使用により、Nanogenのテクノロジーは、それの半導体マイクロチップ上に設計された試験部位を往復する電荷分子の活発な運動および濃度を可能にする。所定の標的配列に固有のDNA捕獲プローブは、マイクロチップ上の特定の部位に電子的に配置されるか、または「アドレス指定される」。DNAは強い負電荷をもつため、それは正電荷の領域に電子的に移動させることができる。
【0138】
まず、マイクロチップ上の試験部位または試験部位の列は、正電荷で電子的に活性化される。次に、DNAプローブを含む溶液は、マイクロチップ上へ導入される。負に帯電したプローブは、正に帯電した部位へ迅速に移動し、それらは、マイクロチップ上の部位に集中し、かつ化学的に結合する。マイクロチップは、その後、洗浄され、特異的に結合したDNAプローブのアレイが完成するまで、別個のDNAプローブのもう一つの溶液が添加される。
【0139】
試験試料は、その後、DNA捕獲プローブのどれが標的配列とハイブリダイズするかを測定することにより標的配列の存在について分析される。電子電荷はまた、マイクロチップ上の1つまたは複数の試験部位へ標的分子を移動かつ集中するために用いられる。各試験部位における試料DNAの電子濃度は、試料DNAと相補的捕獲プローブとの迅速なハイブリダイゼーションを促進する(ハイブリダイゼーションは、数分内で起こりうる)。各部位から任意の結合していないまたは非特異的に結合したDNAを除去するために、部位の極性または電荷は、陰性へ逆転され、それにより任意の結合していないまたは非特異的に結合したDNAを捕獲プローブから離れて溶液へ戻るように強制する。レーザーに基づく蛍光スキャナーは、結合を検出するために用いられる。
【0140】
なおさらなる態様において、表面張力における差による平面(チップ)上の流動体の分離に基づくアレイテクノロジー(ProtoGene, Palo Alto, CA)を利用する(例えば、U.S. Patent Nos. 6,001,311; 5,985,551;および5,474,796を参照;それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。Protogeneのテクノロジーは、流動体が、化学的コーティングにより与えられた表面張力における差により平面上で分離されうるという事実に基づいている。そのように分離された場合、オリゴヌクレオチドプローブは、試薬のインクジェット印刷によりチップ上で直接的に合成される。反応部位が表面張力により定義されているアレイは、4つの圧電性ノズルのセット、4つの標準DNA塩基のそれぞれについて1つ下に、X/Y翻訳段階で組み込まれる。翻訳段階は、アレイの列のそれぞれに沿って移動し、適切な試薬は、反応部位のそれぞれに送達される。例えば、Aアミダイトは、アミダイトAがその合成段階などの間に結合することになっている部位へのみ送達される。一般的な試薬および洗浄は、表面全体を灌水し、その後、スピニングによりそれらを除去することにより遂行される。
【0141】
対象となる標的配列(例えば、miRNA標的配列)に固有なDNAプローブを、Protogeneのテクノロジーを用いてチップに付着させる。その後、チップを対象となるPCR増幅された遺伝子に接触させる。ハイブリダイゼーション後、結合していないDNAを除去し、ハイブリダイゼーションを、任意の適した方法を用いて検出する(例えば、取り込まれた蛍光性基の蛍光脱消光化により)。
【0142】
さらに他の態様において、「ビーズアレイ」を、多型の検出に用いる(Illumina, San Diego, CA;例えば、PCT Publications WO 99/67641およびWO 00/39587を参照、それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)。Illuminaは、アレイへと自己集合する光ファイバー束およびビーズを組み合わせたBEAD ARRAYテクノロジーを用いる。各光ファイバー束は、束の直径に依存して何千から何百万もの個々のファイバーを含む。ビーズは、所定のSNPまたは突然変異の検出に特異的なオリゴヌクレオチドでコーティングされる。ビーズのバッチを、アレイに特異的なプールを形成するように結合させる。アッセイを行うために、BEAD ARRAYを、調製された被験体試料(例えば、核酸試料)に接触させる。ハイブリダイゼーションを、任意の適した方法を用いて検出する。
【0143】
c. ハイブリダイゼーションの酵素的検出
本発明のいくつかの態様において、ハイブリダイゼーションは、特異的な構造の酵素的切断により検出される。
【0144】
いくつかの態様において、結合したプローブのハイブリダイゼーションは、TaqManアッセイ(PE Biosystems, Foster City, CA;例えば、U.S. Patent Nos. 5,962,233および5,538,848を参照、それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)を用いて検出される。アッセイはPCR反応中に行われる。TaqManアッセイは、AMPLITAQ GOLD DNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を利用する。所定の対立遺伝子または突然変異に特異的なプローブが、PCR反応に含まれる。プローブは、5'-レポーター色素(例えば、蛍光色素)および3'-クエンチャー色素をもつオリゴヌクレオチドからなる。PCR中、プローブがそれの標的に結合する場合には、AMPLITAQ GOLDポリメラーゼの5'-3'核酸分解活性が、プローブをレポーターとクエンチャーの色素の間で切断する。レポーター色素のクエンチャー色素からの分離は、結果として、蛍光の増加を生じる。シグナルを、PCRの各サイクルで蓄積し、蛍光計でモニターすることができる。
【0145】
なおさらなる態様において、多型は、SNP-ITプライマー伸長アッセイ(Orchid Biosciences, Princeton, NJ;例えば、U.S. Patent Nos. 5,952,174および5,919,626を参照、それぞれは参照として本明細書に組み入れられる)を用いて検出される。このアッセイにおいて、SNPは、疑わしいSNP位置における1塩基だけDNA鎖を選択的に伸長するように特異的に合成されたDNAプライマーおよびDNAポリメラーゼを用いることにより同定される。対象となる領域におけるDNAを、増幅かつ変性させる。ポリメラーゼ反応を、その後、マイクロ流体工学と呼ばれる小型化系を用いて行う。検出は、標的配列位置にあると疑われるヌクレオチドへ標識を付加することにより達成される。標識のDNAへの取り込みは、任意の適した方法により検出されてもよい(例えば、ヌクレオチドがビオチン標識を含む場合には、検出はビオチンに特異的な蛍光標識された抗体を介する)。
【0146】
2. 他の検出アッセイ
miRNA検出構造の検出に有用な追加の検出アッセイは、限定されるものではないが、酵素ミスマッチ切断方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、Variagenics, U.S. Pat. Nos. 6,110,684, 5,958,692, 5,851,770);ポリメラーゼ連鎖反応;分岐型ハイブリダイゼーション方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、Chiron, U.S. Pat. Nos. 5,849,481, 5,710,264, 5,124,246および5,624,802);NASBA(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. No. 5,409,818);分子ビーコンテクノロジー(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. No. 6,150,097);E-センサーテクノロジー(Motorola、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. Nos. 6,248,229, 6,221,583, 6,013,170および6,063,573);サイクリングプローブテクノロジー(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. Nos. 5,403,711, 5,011,769および5,660,988);Dade Behringシグナル増幅方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. Nos. 6,121,001, 6,110,677, 5,914,230, 5,882,867および5,792,614);リガーゼ連鎖反応(Barnay, Proc. Natl. Acad. Sci USA 88, 189-93 (1991));およびサンドイッチハイブリダイゼーション方法(例えば、完全に参照として本明細書に組み入れられる、U.S. Pat. No. 5,288,609)を含む。
【0147】
実験
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を実証かつさらに例証するために提供されるものであって、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0148】
実施例1
材料および方法
・以下の最終濃度(特に言及されない限り)を、すべての反応において使用した:
プローブ=1 μM
インベーダー=1 μM
アレスター=2.67 μM
CLEAVASE XII酵素=30 ng
すべての合成miRNAオリゴヌクレオチドは、Dharmaconから購入され、20%変性アクリルアミド上でゲル精製された。合成miRNAは、温度最適条件(下記参照)およびLODを測定するために使用された。
・インベーダー、プローブおよびアレスターオリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(IDT)またはThird Wave Technologiesのいずれかにより合成され、他に規定がない限り、20%変性アクリルアミド上で精製された。
・以下の2.5 X一次反応緩衝液をすべての反応に使用した(特に断りのない限り):
25 mM MOPS pH 7.5
62.5 mM KCl
0.125% ツイーン(Tween)20
0.125% Nonidet NP40
62.5 mM MgSO4
5% PEG
・特に断りのない限り、すべての反応は、最初の熱インキュベーションの前に10 μl ミネラルオイルで表面を覆われた。
・特に断りのない限り、合成miRNAは5'OHを含んだ。5'リン酸化対非リン酸化合成miRNA標的の検出を比較する実験は、合成分子のこれらの2つの異なる型を検出するインベーダーアッセイの能力に有意差はないことを示した。
【0149】
実施例2
let-7およびmir-1についての温度最適化実験
let-7についてのオリゴヌクレオチド設計は、図5に示されている。mir-1についてのオリゴヌクレオチド設計は、図5に示されている。以下の一次混合物を作製し、96ウェルプレートにおいて50℃±10℃で30分間インキュベートした。さらに、標的なしのマスター混合物を調製した(RNAの代わりにH2Oの添加)。すべての反応は、蒸発を防ぐためにミネラルオイルで覆われた。
【0150】
一次反応の完了後、以下の二次反応混合物の5 μlを添加し、その後、反応は、60℃で10〜15分間インキュベートして反応させた。
【0151】
反応の完了後、プレートを、CYTOFLUOR 4000蛍光マイクロプレートリーダーで485 nmの励起波長および530 nmの発光波長を用いて読んだ。結果は、図6および図7に示される。インベーダーオリゴヌクレオチドの5'末端のmiRNAの3'末端へのスタッキングは、インベーダーオリゴヌクレオチドの3'末端が2'-O-メチル化されている場合、増強される。さらに、インベーダーオリゴヌクレオチドの5'末端の2'-O-メチル化は、反応温度を上昇させる。インベーダーオリゴヌクレオチドの2'-O-メチル化塩基を、それらがmiRNA(let-7aの設計配列番号:9(1496-96-01R)における配列番号:8(1496-96-02))対配列番号:23(1496-96-03))の最初の2個の塩基と塩基対形成するように拡張することは、記載された反応の温度最適条件を上昇させるが、検出を向上させない。
【0152】
実施例3
let-7およびmiR-1についてのLOD実験
プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの各セットについての最適な反応温度を決定し、最良の作業設計を決定した(温度最適化正味シグナルから)後、合成RNAを用いて設計のLODを測定するために以下の実験を設定した。以下の反応混合物を、各ウェルが含むように96ウェルプレートへ等分した(以下のプレート設定を参照):
【0153】
以下のmiRNA濃度の2.5 μlを、以下の設定を用いて3連または4連で添加した:
【0154】
プレートを、ミネラルオイル(10 μl)で表面を覆い、50℃で2時間インキュベートした。一次反応の完了後、以下の5 μlを各ウェルに添加し、プレートを60℃で1.5時間インキュベートした。プレートを、上記の設定を用いて読んだ(実施例2参照)。
【0155】
let-7およびmir-1についてのLODを、次にヒトRNA試料において試験した。上記のプロトコールを利用した。組織特異的全ヒトRNA試料(Clonetech, Palo Alto, CA)の50〜100 ngを使用した。結果は図8および図10に示される。全RNAを用いるlet-7a インベーダーアッセイは、組織の源に依存するlet-7a発現レベルについて前に見られたのと同じ組織発現プロファイルを検出する(Pasquinelli et al., 408:86 [2000])。
【0156】
実施例4
let-7 a、c、eおよびfについての交差反応性実験
本実施例は、let-7の一つのサブタイプに対して作製されたプローブおよび/またはインベーダーオリゴヌクレオチドの、もう一つのサブタイプへの交差反応性の分析を記載する。実施例3に記載された合成let-7a miRNA設定についてのプロトコールを利用した。図5は、オリゴヌクレオチド設計を示す。以下のプレート設定を使用した:
【0157】
結果は図9に示される。let-7a設計について、交差反応性は、miRNAが、切断部位から離れた1塩基変化を有する同じ長さである場合、最大である。換言すれば、インベーダーオリゴヌクレオチド/miRNAハイブリダイズ領域におけるミスマッチは、結果として、ミスマッチが切断部位から最も遠い場合(let-7c)、高交差反応性を生じる。交差反応性は、塩基変化が切断部位の反対の位置に(または、に近い)場合、最も低い。let-7aについて最悪の交差反応性は、let-7cに対してであり、結果として25%のシグナルを生じる。この例は、インベーダーアッセイが非常に類似したmiRNA間を区別することができることを実証している。
【0158】
実施例5
CLEAVASE IX酵素対CLEAVASE XII酵素
本実施例は、miRNAアッセイにおける使用のためのCLEAVASE酵素の最適化を記載する。上記の温度最適化についてのプロトコールを利用した。20 ngのCLEAVASE IX酵素(Third Wave Technologies, Madison, WI)かまたは30 ngのCLEAVASE XII酵素(Third Wave Technologies, Madison, WI)のいずれかを使用した。以下の緩衝液は、CLEAVASE IX酵素について使用された:
2.5 X 一次反応緩衝液:25 mM MOPS pH 7.5、250 mM KCl、0.125% ツイーン20、0.125% Nonidet NP40、31.25 mM MgSO4、10% PEG。
7.5 X 二次反応緩衝液:87.5 mM MgSO4
【0159】
以下の緩衝液は、CLEAVASE XII酵素について使用された:
2.5 X 一次反応緩衝液:25 mM MOPS pH 7.5、62.5 mM KCl、0.125% ツイーン20、0.125% Nonidet NP40、62.5 mM MgSO4、5% PEG。
7.5 X 二次反応緩衝液:H2O
【0160】
LOD実験プロトコールを、CLEAVASE IXまたはXII酵素のいずれかについて使用した。LODを両方の酵素について測定した。結果は図11に示される。
【0161】
CLEAVASE IX酵素かまたはCLEAVASE XII酵素のいずれかでアッセイされた場合、シグナルは直線的に増加し、let-7 miRNAの量が増加した。しかし、R2値は、CLEAVASE XII酵素においてより大きく、より大きい直線性を示した。さらに、LODは、CLEAVASE XII酵素についてより低い。2.5 amolesの検出についての正味シグナルは、CLEAVASE IX酵素に関して20カウント、およびCLEAVASE XII酵素に関して66.75であった。
【0162】
実施例6
miR-135、GAPDHおよびU6 RNA
A. miR135を検出するためのオリゴヌクレオチドの設計
本実施例は、miRNA miR135についてのアッセイ設計およびLOD測定を記載する。実験は、miR-1についての実施例2および実施例3において記載されているように行われた。オリゴヌクレオチド設計は、図5において記載されている。設計(A〜D)のそれぞれは、mir-135 miRNAの検出について異なるインベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドを利用する。すべての設計の性能を比較する温度最適化実験の結果は、図13に示される。設計Dが最高シグナルを与えた。アッセイ設計Dを用いるLOD実験の結果は、図14に示される。
【0163】
図14Aは、示された標的濃度のそれぞれにおける4つの複製アッセイから生じた生カウントを示す。各標的濃度について得られた平均カウントは、正味シグナルで、ゼロに対する倍数(fold-over-zero)(FOZ)として示されている。この実験におけるmiR-135標的の検出の限界は、98,743個の分子と等価である164 zmoleであった。図14Bは、各濃度で得られた平均カウントのグラフ表示を含み、インベーダーアッセイが試験された濃度範囲のほとんどを通して直線的であることを示している。
【0164】
B. GAPDHおよびU6 RNAを検出するためのオリゴヌクレオチドの設計
いくつかの状況において、例えば二重アッセイにおいて組織特異的方式で発現されうる1つまたは複数のmiRNA種と共に、一定レベルですべての細胞に一般的に存在するRNAを同時検出することが望ましい場合がある。したがって、インベーダーアッセイは、すべての細胞型で一般的に見出される2つの別個のRNA:ヒトグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(hGAPDH)およびU6 RNAを検出するように設計された。
【0165】
hGAPDHの場合、以下のオリゴヌクレオチドが二重miRNA検出アッセイにおいて使用された:インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号:41);プローブ(配列番号:42);アレスターオリゴヌクレオチド(配列番号:43);SRTオリゴヌクレオチド(配列番号:49)、FRETオリゴヌクレオチド(赤色色素)(配列番号:48)。
【0166】
U6の場合、「ユニバーサル」インベーダーアッセイの設計に適した領域を同定するためのC.エレガンス(C. elegans)からマウス、シロイヌナズナ、ヒトまでの8つの多様な種のU6 RNAの配列アラインメント。アラインメントは図12に示されている;この配列を検出するために作製されたオリゴヌクレオチド配列は、配列番号:93〜95である。
【0167】
配列番号:45〜47を用いて細胞可溶化物においてこれらのオリゴヌクレオチドで行われた最初の実験は、U6反応からのシグナルが、おそらく細胞における大量のU6 RNAのせいで、miRNAシグナルの前に十分飽和に達したことを実証した。したがって、滴定反応は、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド濃度を希釈することが、このプローブセットを、1 μMから12.5 nMまでの範囲であるインベーダーおよびプローブ最終濃度での二重miRNA検出アッセイにおける使用に適するようにするかどうかを決定するために行われた。12.5〜50 nMの間のインベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドの最終濃度は、miR-1dおよびlet-7aについての二重miRNA検出に適していた。アレスター、SRTおよびFRETプローブ濃度は、前の実施例に記載されているとおりであった。さらなる実験は、「ユニバーサル」U6 RNAオリゴヌクレオチド(配列番号:93〜95)でのU6 RNAの検出が、配列番号:45〜47での検出に匹敵することを実証している。
【0168】
実施例7
細胞可溶化物におけるlet-7、GAPDHおよびU6 RNAの検出
A. 細胞可溶化物におけるlet 7aの検出
本実施例は、全細胞RNAにおける、およびヒト骨肉腫細胞系、MG63(Third Wave Technologies, Madison, WI;カタログ番号CRL-1427)由来の非誘導型線維芽細胞におけるlet-7 miRNAの直接的な検出を記載する。全細胞RNAは、以前に記載されているように(Chomczynski et al., Anal. Biochem. 162:156-156 (1987))、TRIZOL(Gibco-BRL)を用いて抽出され、細胞可溶化物は、Eis et al., Nature Biotechnology, 19:673-6 (2001)により記載されているように調製された;両方の刊行物は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0169】
反応を以下のように設定した。細胞可溶化物、示された濃度での溶解緩衝液における合成miRNA標的(Eis et al., Nature Biotechnology, 19:673-6 (2001))の5 μlか、または20 ng/μlのtRNAの5 μl(標的なしの対照として)のいずれかのアリコートが、マイクロタイタープレートの適切なウェルへピペッティングされた。一次反応マスター混合物を、以下の試薬を含む96個の反応のために作製した。
【0170】
一次反応マスター混合物の5 μlのアリコートを、適切な標的または対照を含むウェルへ添加した。プレートを、ミネラルオイル(10 μl)で表面を覆い、53℃で2時間インキュベートした。一次反応の完了後、以下の5 μlを各ウェルへ添加し、プレートを60℃で1.5時間インキュベートした。プレートを上記の設定を用いて読んだ(実施例2参照)。
【0171】
すべての標的を4連でアッセイした。全RNAおよび細胞可溶化物の両方についてアッセイされた異なる数の細胞に対して得られた平均カウントは、図15にプロットされた。既知量の合成let-7a miRNAにおいてインベーダーアッセイから得られた標準曲線が、細胞あたりのlet-7aコピー数を推定するために使用された。細胞可溶化物が作製された細胞の数は、参照として本明細書に組み入れられるEis et al., Nature Biotechnology, 19:673-6 (2001)に記載されているように、細胞溶解の前に接種工程中に測定された。この実験では、156個の細胞から得られた全RNA抽出物において、細胞可溶化物における検出の限界に達した。
【0172】
B. Mg++の非存在における溶解
代替の溶解工程が以下のように開発された。上の溶解工程が用いられる場合、長いmRNA(すなわち、GAPDH由来)は予測された量で検出されないことになっていることが知られていた。実験は、可溶化物におけるRNAの抽出へのMg++の効果を調べるために行われた。MgCl2の存在または非存在において溶解された抽出物を、この実施例における上記のようなTRIZOLを用いて調製された全細胞RNA抽出物と比較した。
【0173】
Hela細胞(7.5 X 106個の細胞)を、100 mM KClを含む、10 mM MOPS緩衝液、pH 7.5の溶液の100 μlに懸濁した。10 μlのアリコートを別々のチューブに加え、以下のように調製された2つの異なる溶解緩衝液の100 μlに溶解した:
【0174】
その後、すべてのチューブを、細胞を溶解するように80℃で15分間インキュベートし、ペレット細片のために遠心分離した。様々な可溶化物の5 μlのアリコートを以下のようにインベーダー反応に添加した。
【0175】
一次インベーダー反応は、let-7aについて上記されているとおりであった;PIオリゴヌクレオチド混合物はまた、GAPDHについて(配列番号:41〜43)およびU6について(50 nM最終濃度において配列番号:45〜47)作製された。
*一次インベーダー反応は、let-7aについて上記されているとおりであった;PIオリゴヌクレオチド混合物はまた、GAPDHについて(配列番号:41〜43)およびU6について(50 nM最終濃度において配列番号:45〜47)作製された。
【0176】
一次反応混合物を49℃で1時間インキュベートした。その後、以下の二次反応混合物のアリコートを添加した:
【0177】
二次反応混合物は、実施例7Aに示された濃度でのSRT(let-7について配列番号:22;GAPDHおよびU6について配列番号:49)標的、FRETオリゴヌクレオチド(let-7について配列番号:21;GAPDHおよびU6について配列番号:48)、アレスター(let-7について配列番号:7、GAPDHについて配列番号:43、およびU6について配列番号:47)を含んだ。
【0178】
二次反応は、60℃で1時間実行された。反応は、実施例2に記載されているようにCYTOFLUORマイクロプレートリーダーで読まれた。結果は、図16に示されており、GAPDHシグナルの存在が溶解緩衝液からのMg++の非存在に依存し、一方、U6 RNAシグナルはMg++の存在にかかわらず、比較的一定のままであることを示している。追加の実験は、すべてのRNAが、Mg++の非存在下における溶解から得られたものに匹敵するレベルで、全細胞RNAにおいて検出できることを確認した。
【0179】
実施例8
様々なmiRNAの検出のための代替のインベーダーアッセイ設計
A. let-7Aの検出のための代替設計
本実施例は、let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計の作製および試験を記載する。一連の実験において、インベーダーオリゴヌクレオチドおよびプローブオリゴヌクレオチドの両方の標的特異的領域が11ヌクレオチド長である、1セットの代替設計が作製された。プローブオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が10ヌクレオチド長であり、インベーダーオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が12ヌクレオチド長である、設計の第二セットが作製された。
【0180】
1. オリゴヌクレオチド設計
a. 11-merプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド設計
図5は、プローブおよびインベーダーの両方のオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が11ヌクレオチド長である、let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計のセットを示す。配列番号:50〜51は、インベーダーおよびプローブの両方のオリゴヌクレオチドが直鎖状である設計を提供する。配列番号:6は、ステムループ構造を形成するプローブオリゴヌクレオチドを含む;配列番号:5、ステムループ構造を形成するインベーダーオリゴヌクレオチド;配列番号:5〜6、ステムループを含むプローブおよびインベーダーの両方のオリゴヌクレオチド。
【0181】
b. 10-merプローブおよび12-mer インベーダーオリゴヌクレオチド設計
図5は、プローブの標的特異的領域が10ヌクレオチドを含み、かつインベーダーオリゴヌクレオチドのそれらが12ヌクレオチドを含む、let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計の1セットを示す。配列番号:52〜53は、インベーダーおよびプローブの両方のオリゴヌクレオチドが直鎖状である設計を提供する。配列番号:2は、ステムループ構造を形成するプローブオリゴヌクレオチドを含む;配列番号:1、ステムループ構造を形成するインベーダーオリゴヌクレオチド。
【0182】
2. let-7a miRNAの検出のための代替オリゴヌクレオチド設計の温度最適化プロファイル
温度最適化実験を以下のように行った。マスター混合物を24個の反応のために作製した。各反応は以下を含んだ:
*プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの様々な組み合わせが、図16〜17に示されているように、この実験に使用された。
【0183】
二次反応混合物は、let-7について実施例3に記載されているとおりである。適切な場合には、アレスター配列は、プローブのループ全体および標的特異的領域を補完し、プローブの5'末端へ6塩基伸長するように作製された。
【0184】
11-mer温度最適化実験の場合、一次反応は、実施例2に記載されているように、50±9℃で1時間実行され、続いて、60℃で15分の二次反応が行われた。12-mer インベーダーオリゴとの10-merプローブに関しては、一次反応は、50±9℃で15分間実行され、続いて、60℃で15分の二次反応が行われた。
【0185】
インベーダーおよびプローブのオリゴヌクレオチドの標的特異的部分が11ヌクレオチド長である設計についての結果は、図18に示される。図18Aは、各設計の温度最適化プロファイルを示す。図18Bは、それぞれについての最適温度を含む、各設計の標準化された最大性能を示す。プローブオリゴヌクレオチドの標的特異的部分が10塩基であり、かつインベーダーオリゴヌクレオチドのそれが12個である設計についての結果は、図19に示される。図19Aは、温度最適化プロファイルを示し、図19Bは、各設計の標準化された最大性能を示す。
【0186】
これらの結果の試験は、どの設計が結果として、反応条件および形成されたmiRNA-オリゴヌクレオチドハイブリッドの相対的安定性の両方に依存して変化する最大性能を生じるかを示唆する。例えば、両方のオリゴヌクレオチドの標的特異的領域が11塩基長である場合、プローブ標的特異的領域は49℃の予測Tmを、インベーダーのそれは37℃の予測Tmをもつ。この場合、インベーダーオリゴヌクレオチド-miRNA相互作用の安定化は、この設計に向上したアッセイ性能を与える。しかし、プローブが10-mersであり、かつインベーダーオリゴヌクレオチドが12-mersであるlet-7a設計について、その2つのオリゴヌクレオチドの標的特異的領域は、およそ等価のTmをもつ。この場合、両方のオリゴヌクレオチドがループを形成している設計が最も良く作用する。
【0187】
3. 2つの代替設計を用いるlet-7aのLOD
インベーダーオリゴヌクレオチドがステムループ構造を形成する、二重ループ設計および単一ループ設計のLODを比較するために、実験は実施例3に記載されているように設定された。
【0188】
LODを測定する反応は4連で実行された。反応混合物は、以下の試薬(最終濃度)を含んだ:
【0189】
miRNAの5 μlのアリコートを、図20に示された最終濃度で反応混合物を含むウェルに添加した。一次反応は、実施例8Bで測定された各設計についての最適温度で1.5時間実行された(ループ化インベーダーオリゴヌクレオチド設計について50℃、および二重ループ設計について53℃)。二次反応は、実施例2および実施例3に記載されているように設定され、60℃で1時間実行された。
【0190】
図20における結果は、正味シグナルがmiRNAのモルの関数として生じたことを示している。プロットの直線範囲は、二重ループ設計からよりも、インベーダーループ設計を用いる所定量のmiRNAから多くのシグナルが生じていることを示した。同様に、図20の表の試験は、各miRNAレベルにおけるゼロに対する倍数(fold-over-zero)値が、単一ループ設計について、より大きいことを示している。両方の設計は、結果として、試験された最低濃度、2.68 X 10-20モル、すなわち、26.8ゼプトモル(約16,000個の分子に等価)において十分なFOZを生じた。
【0191】
4. 完全長対短縮化アレスターオリゴヌクレオチド
実験は、例えば図4および図12に示されているような、アレスター分子が、ループ近くのそれらの5'末端で、プローブのmiRNA特異的領域の長さ全体に渡って5'フラップ領域へと伸長する、完全長アレスター分子対プローブのmiRNA特異的領域および5'フラップの一部にのみ相補的であるが、ループ領域へまたは超えて伸長しない短縮化アレスター分子の相対的性能を評価するために行われた。反応は、合成let-7a miRNAを検出するために以下のように設定された:
【0192】
一次反応混合物の6 μlのアリコートを、マイクロタイタープレートの適切なウェルに添加し、以下の表に示された最終濃度で、dH2Oにおける合成let-7a miRNAの4 μlまたは10 ng/μl tRNAの4 μlのアリコートを添加した。一次インベーダー反応を物53℃で1.5時間インキュベートした。
【0193】
二次反応混合物のアリコートを以下のように添加した:
【0194】
二次反応は、60℃で1.5時間インキュベートされた。マイクロタイタープレートを実施例2に記載されているように読んだ。結果は図17に示される。
【0195】
これらの結果は、プローブのmiRNA特異的部分に相補的な完全長または短縮化アレスターオリゴヌクレオチドが二次インベーダー反応に用いられる場合、シグナル発生または検出の限界に有意差はないことを示している。
【0196】
B. 直鎖状プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドを用いる代替設計
プローブおよびインベーダーの両方のオリゴヌクレオチドがユニバーサル配列を含み、どちらのオリゴヌクレオチドもヘアピンを形成しない代替設計が試験された。設計の概略図は、図4に示される。ユニバーサル配列は、インベーダーオリゴヌクレオチドの5'末端上およびプローブオリゴの3'末端上に存在する。短い相補的な「捕獲」オリゴヌクレオチドが加えられ、2'-O-メチル残基から構成され、それがmiRNA(例えば、配列番号:60)の存在下において共軸のスタッキングを促進するのを可能にする。設計は、miR-15(配列番号:58〜59および61)ならびにmir-135(配列番号:63〜65)の両方について作製された。最初の設計は、miRNA標的の非存在下において高い非特異的バックグラウンドシグナルを導くが、それでもなお、そのようなユニバーサル捕獲オリゴヌクレオチドでmiRNAを検出することが可能であることを示している。
【0197】
実施例9
ループにおけるヌクレオチド残基の2'-O-メチル化の効果
本実施例は、miRNAを検出するために用いられるプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドに取り込まれる2'-O-メチル残基の一部または全部の代わりに2'-デオキシ残基を用いる影響を評価することを試みた。上記の実施例に示されたすべての設計は、実施例2に記載されているようにループ領域に2'-O-メチル残基を含む。実験は、let-7a miRNAを検出するために設計されたインベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドにおける2'-O-メチル残基の一部または全部の代わりに2'デオキシ残基を用いる影響を試験するために行われた。
【0198】
図5は、改変されたlet-7a設計を示す。配列番号:5〜6は、実施例2に記載されているように2'-O-メチル残基を含む。配列番号:73〜74における設計は、すべての位置に2'デオキシ残基を含む;配列番号:75〜76における設計は、標的に隣接したステムの部分に2'-O-メチル残基を含む。
【0199】
インベーダー反応を、3つの異なる設計のシグナル発生および温度最適条件を比較するように設定した。反応は、実施例8のLOD実験に記載されているとおりであり、100 pM 合成miRNA、1 μM プローブおよび10 μM インベーダーオリゴヌクレオチドを含んだ。一次反応は、示された温度で15分間実行された;二次反応は、60℃で5分間実行された。
【0200】
インベーダーアッセイの結果は図21に示されており、ステムループ構造が2'-O-メチル残基から構成されている設計が、最大シグナルを生じ、続いて、標的に隣接した塩基が2'-O-メチル残基から構成されている設計であることを示している。2'-デオキシ残基から構成されたオリゴヌクレオチドは全て、最低レベルのシグナルを生じた。
【0201】
実験のさらなるセットを、以下のように追加の設計バリエーションを試験するために設計した:より短いヘアピンを含むプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド、より安定なループを含む、もしくは代わりにより短いループを含む、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド、または3個のみの2'-O-メチル残基を含むプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド。一次反応は、以下のようにmiR-15の検出を試験するように設定された。
【0202】
以下のプローブ/インベーダーオリゴヌクレオチド組み合わせを試験した。
【0203】
一次反応混合物を以下のように作製した。
【0204】
一次反応混合物の5 μlのアリコートを、以下の最終量で、合成miR-15 RNAの5 μlに添加した:0、0.1 amole、0.33 amole、1.09 amole。一次反応は、52.5℃で2時間インキュベートされた。
【0205】
二次反応混合物を以下のように作製した。
【0206】
5 μlのアリコートを添加し、反応物を60℃で45分間、インキュベートした。相対蛍光単位(RFU)における結果を以下に示す。
【0207】
これらの結果は、最初のインベーダーオリゴヌクレオチド設計(2'-O-メチル残基、TTTTループ、長いヘアピン)と組み合わせて、プローブオリゴヌクレオチドが、短縮化ヘアピン、および2'-O-メチル残基から構成された高度に安定した4ループを含んだ設計が、幾分か高いFOZ値を生じうることを示唆している。それ以外は、代替設計オリゴヌクレオチドのいずれも、最初の設計を超える向上を少しも表さなかった。全部DNAのインベーダーオリゴヌクレオチドの、最初のキメラプローブオリゴヌクレオチドとの組み合わせが、両方ともキメラのプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドで得られたものとおよそ等価のFOZ値を与えたことは、注目すべきである。いくつかの適用において、全部DNA インベーダーオリゴヌクレオチドの代用は、オリゴヌクレオチド合成費用を低減するために望ましい可能性があり、検出の限界を犠牲にすることなく行うことができる。
【0208】
さらなる実験は、より多くのRNA(例えば、可溶化物、精製された全RNA、合成miRNA)を反応に加えることにより、特定のオリゴヌクレオチドでの最適下限のシグナル発生を補うことが可能であることを実証した。同様に、様々なオリゴヌクレオチド(すなわち、プローブ、インベーダー、アレスター、またはそれらの様々な組み合わせ)が実施例1に記載されているように、ゲル精製された追加の実験は、オリゴヌクレオチドのすべての3つの型の標準ゲル精製が最大シグナルを与えることを示した。ゲル精製されたプローブで、最大レベルにほぼ等しいシグナルレベルを達成することは、その残りのオリゴヌクレオチド、すなわち、インベーダーおよびアレスターオリゴヌクレオチド、が合成後脱塩される場合には、可能である。
【0209】
実施例10
複数の組織型由来の全RNAにおけるmiRNA発現の検出
本実施例は、多様な組織型から抽出された全RNAにおいて異なるmiRNA種を検出するためにインベーダーアッセイの適合性を試験するのに行われる実験を記載する。組織特異的遺伝子発現を評価するために、温度最適条件およびLODが、各設計について最初に測定された。
【0210】
1. インベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチド設計
インベーダーアッセイオリゴヌクレオチドを、miR-15、miR-16、およびmiR-125b miRNA種を検出するために設計した。これらのアッセイについての設計は、図5に示される。let-7aおよびmiR-135についての設計は、実施例2および実施例6にそれぞれ記載されている。
【0211】
2. 温度最適条件およびLODの測定
温度最適化実験は、実施例8に記載されているように、これらのオリゴヌクレオチドセットのそれぞれについて行われた。各一次反応は、1 nMの標的とされるmiRNAを含み、50±9℃の範囲である温度で15分間、行われた。二次反応は、実施例2に記載されているとおりであり、60℃で1〜1.5時間実行された。最適温度は以下のとおりである:
【0212】
温度最適条件が得られた後は、LODが、実施例8に記載されているように、各miRNA種について測定された。すべてのLODは、30ゼプトモルであった。
【0213】
3. 遺伝子発現プロファイリング
遺伝子発現プロファイリングは、20個の異なる組織型から抽出された全RNAにおいて行われた。全RNAは、Clontech(Palo Alto、CA、カタログ番号K4008-1、Human Total RNA Master Panel II )から購入された。let-7aについて、50 ngの全RNAが各反応において試験された;残りのmiRNA種について、100 ngの全RNAが試験された。すべての反応は、実施例8に記載されているように設定された;一次反応は温度最適条件で1.5時間実行された;二次反応は上記のとおりであった。各miRNA種についての遺伝子発現プロファイルは、図23に示されている。これらの結果は、インベーダーアッセイが異なる組織型においてmiRNA発現を調べるために使用可能なことを示している。これらのデータはさらに、let-7aおよびmiR-125bが幅広い種類の組織において発現されており;残りのmiRNA種は、限られた数の組織型により特異的であるように考えられることを示唆している。
【0214】
実施例11
miRNAのインベーダーアッセイ検出における様々なオリゴヌクレオチドの長さの影響
本実施例は、let-7a 22ヌクレオチドmiRNAの検出におけるプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの長さにおける変化の影響を記載する。特に、これらの実験は、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの末端間の完全なスタッキング相互作用を形成するmiRNAの検出を、5'および3'の両方の重複を形成するmiRNAの検出と、加えて結果として5'末端および3'末端の両方において単一ヌクレオチドギャップを生じるものと比較する。
【0215】
図24は、設計の3つの異なる型を解析する結果を示す。配列番号:5〜6は、22ヌクレオチドの標的と、ループ化プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの隣接する末端の間に完全なスタックを示す。配列番号:83〜84において、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドの両方は、一塩基伸長されており、結果として、5'および3'の両方の重複を生じる。配列番号:85〜86において、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドは、配列番号:5〜6における設計と比較して、一塩基短縮されており、結果として、両末端において単一ヌクレオチドギャップを生じる。
【0216】
インベーダーアッセイは、合成let-7a miRNAの検出のためのこれらのオリゴヌクレオチドセットの性能を試験するために設定された。反応は、実施例8に記載されているように行われ、100 pM 合成let-7a miRNA、1 μM プローブおよび10 μM インベーダーオリゴヌクレオチドを含んだ。一次反応は、53℃で15分間実行された;二次反応は、実施例2に記載されているように、60℃で5分間実行された。結果は、図24に示されている。
【0217】
これらのデータは、この実験において、miRNA標的の両末端における単一ヌクレオチド重複が、結果として、シグナル発生において約30%の減少、加えて最適温度において2℃の低下を生じたことを示している。しかし、標的の両末端における単一ヌクレオチドギャップは、最適反応温度を5℃低下させたが、シグナル発生を低減させなかった。
【0218】
実施例12
前駆体RNAからおよびコードDNAからのmiRNAの識別
実験は、インベーダーmiRNAアッセイが、miRNA標的自身を前駆体RNAおよびmiRNAをコードするDNAの両方から識別するかどうかを測定するために行われた。
【0219】
A. 前駆体交差反応性試験
前駆体let-7 RNA(配列番号:87)は、インビトロで転写され、それがlet-7a miRNAを模倣しうる任意の断片を含むかどうかを測定するために、キャピラリー電気泳動により分析された。最短の混入している断片は、約45ヌクレオチドであると推定された。LOD反応は、以下の表に示されている前駆体または合成5'P let-7a mi-RNA濃度で、本質的には実施例3に記載されているように実行された。PI混合物は、10 μM プローブ配列番号:6および100 μM インベーダーオリゴヌクレオチド配列番号:5を含んだ。一次反応は、53℃で1時間実行された;二次反応は、本質的には実施例3に記載されている二次反応混合物(FRETプローブ配列番号:21、SRT配列番号:22およびアレスター配列番号:7)で、58℃1時間実行された。この実験の結果により、このmiRNAアッセイが前駆体RNAに対して約4%交差反応することが示された。
【0220】
B. RNA対DNAのシグナルの識別
反応は、実施例7に記載されているように、細胞可溶化物においてlet-7a miRNAを検出するために実行された。インベーダーアッセイでの検出の前に、8 μg/μl リボヌクレアーゼA(Qiagen, Inc.)の1 μlのアリコートが80 μlの細胞可溶化物へ添加され、37℃で2.25時間インキュベートされた。リボヌクレアーゼA処理された試料は、バックグラウンドを上回るシグナル如何なるシグナルも生じず、リボヌクレアーゼAを欠くアッセイで生じたシグナルがmiRNA標的の検出に起因し、コードDNAに起因していないことを示した(図16)。リボヌクレアーゼAが、一次反応の前かまたは二次反応の前のいずれかに添加される、さらなる実験が行われた。リボヌクレアーゼAが一次反応の前に添加される場合、シグナルは生じず、前の結果と一致している。リボヌクレアーゼAが一次反応の後に添加される場合、シグナルの損失は観察されず、検出されるシグナルがRNAに起因すること、およびリボヌクレアーゼAが他の反応構成要素(例えば、CLEAVASE酵素)に有害な影響がないことをさらに示した。
【0221】
実施例13
二重型miRNAの検出
オリゴヌクレオチド設計はmiR-124aについて作製された。これらのオリゴヌクレオチドを、2つの天然に存在するmiRNA(一方は長さが21ヌクレオチドおよび他方は22ヌクレオチド)を検出するために使用することができる。
【0222】
温度最適化反応は、1 nMの合成miRNA標的、25分の一次反応および15分の二次反応を用いて、本質的には実施例3に記載されているように設定された。これらの反応に用いられるオリゴヌクレオチドは、図5に列挙されている(配列番号:90〜92)。2つの異なる長さのmiRNA標的についての温度プロファイルは図22に示されており、同じオリゴヌクレオチド設計が両方の標的を検出するのに使用可能なことを示している。
【0223】
実施例14
siRNAの検出のためのオリゴヌクレオチド設計
上記の実施例に記載されたものと類似したアプローチもsiRNAを検出するために同様に使用することができる。図25は、β-アクチンsiRNAの検出のための2つの代替的なインベーダーアッセイ設計を例示している。このsiRNAは、Harborth, J. et al., Journal of Cell Science, 114:4557-4565 (2001)に記載されている。1つの設計は、各センスおよびアンチセンス鎖について示されている;このsiRNAを検出するための典型的なオリゴヌクレオチドは、図26、配列番号:101〜106に列挙されている。
【0224】
上の明細書に挙げられたすべての刊行物および特許は、参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記載された方法および系の様々な改変ならびに変化は、本発明の範囲および真意から逸脱することなく、当業者に明らかであると思われる。本発明は、特定の好ましい態様に関連して記載されているが、主張されている本発明は、そのような特定の態様に不当に限定されるものではないことを理解されるべきである。実際、分子生物学、遺伝子学、または関連分野における業者にとって明らかである、本発明を行うための記載された様式の様々な改変は、特許請求の範囲の範囲内であるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】単一反応における2つの異なる対立遺伝子(例えば、単一ヌクレオチドだけ異なる)を検出するためのインベーダーオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチドおよびFRETカセットの概略図を示す。
【図2】本発明のいくつかの態様において利用される例示的検出構造を示す。
【図3】本発明のいくつかの態様において利用される第二の例示的検出構造を示す。
【図4】本発明のいくつかの態様において用いられる第三の例示的検出構造を示す。
【図5】本発明とともに使用するための例示的オリゴヌクレオチドを示す。標的miRNAの塩基は、小文字で下線が引かれている。プローブまたはインベーダーオリゴヌクレオチドにおけるDNA残基は、標準型で示されている。小文字型は、2'-O-メチル残基を示す。
【図6】let-7についての温度最適化実験の結果を示す。
【図7】let-7についての温度最適化実験の結果を示す。
【図8】let-7についての検出の限界(LOD)実験の結果を示す。
【図9】let-7 miRNAを用いる交差反応性実験の結果を示す。
【図10】miR-1についてのLOD実験の結果を示す。
【図11】let-7 miRNAを用いるCLEAVASE酵素IXおよびXIIの比較の結果を示す。
【図12】様々な生物体由来のU6 RNA配列の部分的配列アラインメントを示す。
【図13】mir-135についての温度最適化実験の結果を示す。
【図14】mir-135についてのLOD実験の結果を示す。
【図15】細胞可溶化物におけるlet-7の検出について得られた平均カウントのグラフ表示を含む。
【図16】リボヌクレアーゼA処理有りおよび無しでの、細胞可溶化物におけるmiRNAおよびmRNAの結果を示す。
【図17】完全長対短縮化アレスターオリゴヌクレオチドの含むことの効果を比較する侵入性切断アッセイの結果を示す。
【図18】図16に記載されたアッセイ設計を用いる温度最適化実験の結果を示す。
【図19】10-merプローブおよび12-mer インベーダーオリゴヌクレオチド設計を用いる温度最適化実験の結果を示す。
【図20】2つの代替オリゴヌクレオチド設計のLODを比較する実験の結果を示す。
【図21】プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドにおける2'-O-メチル残基の一部または全部の代わりに2'-デオキシ残基を用いることの影響を比較した結果を示す。
【図22】miR-124aを検出する侵入性切断アッセイの結果を示す。
【図23】20個の異なる組織型から単離された全RNAにおいて5つの異なるmiRNA種を検出する実験の結果を示す。
【図24】プローブおよびオリゴヌクレオチドの長さの変化のmiRNA検出に対する影響を試験する実験の結果を示す。
【図25】siRNAの検出のための例示的な侵入性切断オリゴヌクレオチド設計を示す。小文字残基は2'-O-メチルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)検出構造を生じるように、干渉RNA標的を、該干渉RNA標的に相補的ではない配列を含む少なくとも1つの核酸にハイブリダイズさせる段階;および
b)該検出構造を検出する段階
を含む方法。
【請求項2】
干渉RNA標的がmiRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
干渉RNA標的がsiRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
siRNAが二本鎖である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
検出構造が侵入性切断構造を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
検出構造が、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一および第二オリゴヌクレオチドを含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
検出構造が、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一オリゴヌクレオチドを含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
第一オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該3'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該5'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
第二オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該3'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項6記載の方法。
【請求項10】
検出段階が侵入性切断アッセイ法の使用を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
検出構造が、環状検出構造を生じるようにmiRNAにハイブリダイズした環状オリゴヌクレオチドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
検出段階がローリングサークル複製アッセイ法の使用を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
検出段階が、シーケンシングアッセイ法、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ法、ハイブリダイゼーションアッセイ法、突然変異に相補的なプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ法、マイクロアレイアッセイ法、ビーズアレイアッセイ法、プライマー伸長アッセイ法、プライマー酵素ミスマッチ切断アッセイ法、分岐型ハイブリダイゼーションアッセイ法、NASBAアッセイ法、分子ビーコンアッセイ法、サイクリングプローブアッセイ法、リガーゼ連鎖反応アッセイ法、侵入性切断構造アッセイ法、ARMSアッセイ法、およびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ法からなる群より選択される検出アッセイ法の使用を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
検出段階が細胞可溶化物において行われる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
複数の異なるmiRNAが検出される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
複数のmiRNAが、第一miRNA、および多型をもつ該第一miRNAである第二miRNAを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第二核酸標的を検出する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
第二核酸標的がRNAである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第二核酸標的がU6およびGAPDHからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
miRNAが、Let-7、miR-1、miR-135、miR-15、miR-16、miR-125b、miR-1d、およびmiR-124aからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項21】
干渉RNA標的配列にハイブリダイズする場合に検出構造を形成するように構成された核酸を含むキットであって、該核酸が該干渉RNA標的配列に相補的ではない配列を含む、キット。
【請求項22】
検出構造が侵入性切断構造を含む、請求項21記載のキット。
【請求項23】
第一オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該3'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該5'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項22記載のキット。
【請求項24】
第二オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該3'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項22記載のキット。
【請求項25】
検出構造が、環状検出構造を生じるようにmiRNAにハイブリダイズした環状オリゴヌクレオチドを含む、請求項21記載のキット。
【請求項26】
検出構造がローリングサークル複製アッセイ法のための検出構造である、請求項25記載のキット。
【請求項27】
干渉RNA標的がmiRNAである、請求項21記載のキット。
【請求項28】
干渉RNA標的がsiRNAである、請求項21記載のキット。
【請求項29】
miRNAが、Let-7、miR-1、miR-135、miR-15、miR-16、miR-1b、miR-124a、およびmiR-125bからなる群より選択される、請求項27記載のキット。
【請求項30】
miRNA標的および少なくとも1つの他のRNA標的を検出するように構成される、請求項21記載のキット。
【請求項31】
細胞可溶化物において干渉RNA標的配列を検出するように構成される、請求項21記載のキット。
【請求項1】
a)検出構造を生じるように、干渉RNA標的を、該干渉RNA標的に相補的ではない配列を含む少なくとも1つの核酸にハイブリダイズさせる段階;および
b)該検出構造を検出する段階
を含む方法。
【請求項2】
干渉RNA標的がmiRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
干渉RNA標的がsiRNAである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
siRNAが二本鎖である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
検出構造が侵入性切断構造を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
検出構造が、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一および第二オリゴヌクレオチドを含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
検出構造が、miRNAと組み合わせて侵入性切断構造を形成するように構成された第一オリゴヌクレオチドを含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
第一オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該3'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該5'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
第二オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該3'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項6記載の方法。
【請求項10】
検出段階が侵入性切断アッセイ法の使用を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
検出構造が、環状検出構造を生じるようにmiRNAにハイブリダイズした環状オリゴヌクレオチドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
検出段階がローリングサークル複製アッセイ法の使用を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
検出段階が、シーケンシングアッセイ法、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ法、ハイブリダイゼーションアッセイ法、突然変異に相補的なプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ法、マイクロアレイアッセイ法、ビーズアレイアッセイ法、プライマー伸長アッセイ法、プライマー酵素ミスマッチ切断アッセイ法、分岐型ハイブリダイゼーションアッセイ法、NASBAアッセイ法、分子ビーコンアッセイ法、サイクリングプローブアッセイ法、リガーゼ連鎖反応アッセイ法、侵入性切断構造アッセイ法、ARMSアッセイ法、およびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ法からなる群より選択される検出アッセイ法の使用を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
検出段階が細胞可溶化物において行われる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
複数の異なるmiRNAが検出される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
複数のmiRNAが、第一miRNA、および多型をもつ該第一miRNAである第二miRNAを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第二核酸標的を検出する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
第二核酸標的がRNAである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第二核酸標的がU6およびGAPDHからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
miRNAが、Let-7、miR-1、miR-135、miR-15、miR-16、miR-125b、miR-1d、およびmiR-124aからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項21】
干渉RNA標的配列にハイブリダイズする場合に検出構造を形成するように構成された核酸を含むキットであって、該核酸が該干渉RNA標的配列に相補的ではない配列を含む、キット。
【請求項22】
検出構造が侵入性切断構造を含む、請求項21記載のキット。
【請求項23】
第一オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該3'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該5'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項22記載のキット。
【請求項24】
第二オリゴヌクレオチドが5'部分および3'部分を含み、該5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該3'部分が標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項22記載のキット。
【請求項25】
検出構造が、環状検出構造を生じるようにmiRNAにハイブリダイズした環状オリゴヌクレオチドを含む、請求項21記載のキット。
【請求項26】
検出構造がローリングサークル複製アッセイ法のための検出構造である、請求項25記載のキット。
【請求項27】
干渉RNA標的がmiRNAである、請求項21記載のキット。
【請求項28】
干渉RNA標的がsiRNAである、請求項21記載のキット。
【請求項29】
miRNAが、Let-7、miR-1、miR-135、miR-15、miR-16、miR-1b、miR-124a、およびmiR-125bからなる群より選択される、請求項27記載のキット。
【請求項30】
miRNA標的および少なくとも1つの他のRNA標的を検出するように構成される、請求項21記載のキット。
【請求項31】
細胞可溶化物において干渉RNA標的配列を検出するように構成される、請求項21記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5−1】
【図5−2】
【図5−3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5−1】
【図5−2】
【図5−3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2006−510372(P2006−510372A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561463(P2004−561463)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/041549
【国際公開番号】WO2004/057017
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(500228791)サード・ウェーブ・テクノロジーズ・インク (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/041549
【国際公開番号】WO2004/057017
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(500228791)サード・ウェーブ・テクノロジーズ・インク (10)
【Fターム(参考)】
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