説明

低圧および高圧ロータに動力取り出し手段を有するツインスプールタービンエンジン、タービンエンジンのための動力取り出しモジュール、およびタービンエンジンを組み立てる方法

【課題】機構を単純化したツインスプールタービンエンジンを提供する。
【解決手段】本発明は、高圧ロータ2および低圧ロータ1と、少なくとも1つのアクセサリギアボックスと、駆動手段と、運動をアクセサリギアボックスに伝導する駆動同軸トランスミッションシャフト11、12とを備える、ツインスプールタービンエンジンに関し、駆動手段は、高圧ロータ2に対してその上流側端近傍にて固定された高圧駆動ピニオン9と、低圧ロータ1に対して高圧ロータ2の上流側にて固定された低圧駆動ピニオン7と、トランスミッションシャフト11、12を駆動する、駆動ピニオンに直接噛み合っている動力取り出しモジュール29とを備えることを特徴とする。本発明によって、トランスミッションシャフト11、12は、互いに同軸に延びそれゆえ単一のアームを通過する。動力取り出しモジュール29の使用は、機構を単純化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧および高圧ロータに動力取り出し手段を有するツインスプールタービンエンジン、タービンエンジンのための動力取り出しモジュール、およびタービンエンジンを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空タービンエンジンによって生成される動力の一部は、推進力をタービンエンジンが与えるために、タービンエンジンと航空機との両者の種々の構成要素に、動力を供給するのに使用される。
【0003】
この動力の一部は、実際に高圧(HP)コンプレッサから引き出され、この圧縮された空気は、特に、航空機のキャビンを加圧し且つ空調するため、または除氷の目的のために使用される。この動力のさらなる一部は、タービンエンジンのケーシング上に配置されたアクセサリギアボックスの入力シャフトを駆動すべく、タービンエンジンの高圧段のシャフトから機械的に引き出される。この入力シャフトは、ケーシングの構造アームに沿って延びるトランスミッションシャフトによって回転駆動され、そしてそれ自体が、高圧シャフトに固定されたピニオンによって駆動される。
【0004】
当業者において、略語AGBで良く知られている、アクセサリギアボックスは、種々の機械またはアクセサリ、例えば発電機、スタータ、交流電源、液圧燃料、またはオイルポンプ等を備える。これら種々のアクセサリは、高圧シャフトによって機械的に駆動される。
【0005】
一方、最近の傾向は、それらの使用においてより柔軟であると一般的に言われる電気的手段により果たされる役割の増大のために、機械的動力の引き出しを増大することである。
【0006】
しかしながら、過大な量の機械的動力を引き出すことは、特にエンジンが低速で作動しているときに、コンプレッササージを引き起こしがちであるので、高圧スプールの操作に負の効果を有している。
【0007】
従来技術の教示は、低圧(LP)スプールからの機械的動力の一部を取り出すことにある。種々の解決策が考慮されてきている。仏国特許第2606077号は、タービンエンジンのロータを、それらの近傍に差動配置された2つの入力に直接結合することを提案している。そのような構成は、しかしながら、この構成がタービンエンジンの心臓部の内部に必要とする空間のために、いつも可能であるわけではない。英国特許第973388号は、産業用タービンについて、高圧シャフトおよび低圧シャフトから取り出した動力を用いて、タービンのケーシングの外部に配置された、アクセサリギアボックスを駆動することを記述している。しかしながら、シャフトの各々からの動力取り出しは、かさばるギアセットによって、アクセサリギアボックスに結合される。そのようなことは、これらのギアセットが、ケーシングの構造アームを通過しなければならないため現在のタービンエンジンでは、なされ得ない。
【0008】
本出願人の会社は、ツインスプールタービンエンジンに関する仏国特許出願第0314429号を出願し、そのアクセサリギアボックスが、トランスミッションシャフトに結合される低圧および高圧シャフトによって駆動され、トランスミッションシャフトは、各々1つの構造アームを通過し、且つアクセサリギアボックスの駆動シャフトに、その出力で作動結合された2つの入力に結合される。そのような解決策は、多大な点において有利であるが、それは、2つの構造アームを散乱させないことも時には必要であり、このことは補助物を貫通して延ばすための空間の可能性のある最大量を残すためである。補助物は、流体搬送配管、または動力もしくは情報(例えば速度センサ)を運ぶ電気ケーブルのための中継路である。
【0009】
米国特許第4776163号は、高圧および低圧シャフトが、交互にアクセサリギアボックスを駆動し得るジェットエンジンを記述しており、アクセサリギアボックスへは、それらが、同軸トランスミッションシャフトによって結合されている。それらが同軸であるので、これらのシャフトは、共通の構造アームに沿って延びることができる。しかしながら、当該文献における図面から認められ得るように、シャフトの端部におけるロータからの動力取り出しは、非常にかさばり、且つシャフトの広い領域にわたってかなりの量の空間を必要とする。
【特許文献1】仏国特許第2606077号明細書
【特許文献2】英国特許第973388号明細書
【特許文献3】仏国特許出願第0314429号明細書
【特許文献4】米国特許第4776163号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在のタービンエンジンは、トランスミッションシャフトの端部にロータからの動力取り出しのためのそのような量の空間を有していない。さらに、現在のタービンエンジンは、高圧ロータのみからの動力取り出しのために構成されており、そしてタービンエンジンの構造に著しい変化なしに据え付けられ得る、低圧および高圧ロータのための動力取り出しおよび伝達装置を提案することが望ましいであろう。動力がそれから取り出されるロータに固定されたピニオンの場合には、ギアが規定された量のスリップに噛み合うために、受容し得る最大ピニオン周速に基づいて規定された、最大直径に従うことも必要である。例えば、ロータから動力を取り出す動力取り出しピニオンの周囲における最大許容速度は、160m/secから170m/secのオーダからなっていても良い。小さなサイズおよび重量の動力取り出しおよび伝達装置を設置することもまた望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それゆえに、本発明は、高圧ロータおよび低圧ロータと、少なくとも1つのアクセサリギアボックスと、駆動手段と、運動をアクセサリギアボックスに伝導する駆動同軸トランスミッションシャフトとを備える、ツインスプールタービンエンジンであって、駆動手段は、高圧ロータに対してその上流側端近傍にて固定された高圧駆動ピニオンと、低圧ロータに対して高圧ロータの上流側にて固定された低圧駆動ピニオンと、トランスミッションシャフトを駆動する、駆動ピニオンに直接噛み合っている動力取り出しモジュールとを備えることを特徴とする、ツインスプールタービンエンジンに関連している。
【0012】
本発明によれば、トランスミッションシャフトは、互いに同軸に延び、且つそれゆえに単一のアームを通り抜ける。動力取り出しモジュールの使用は、機構を単純化し、この機構は、単純にピニオンを、低圧シャフト、動力取り出しモジュール、および同軸動力取り出しシャフトに付加することによって、高圧シャフトから動力取り出しのために予め構成されたジェットエンジンに容易に据え付けられることができる。モジュールは、また、規定によって、設置される前に予め組み立てられており、タービンエンジンにそのように組み立てられ、従ってタービンエンジンをより容易に組み立てるようにさせる。
【0013】
本発明は、また、ボックスと、ボックスに収容されたエンドピースに固定された2つの動力取り出しピニオンとを備える、上述において述べたようなタービンエンジンのための動力取り出しモジュールにも関連している。
【0014】
本発明は、また、上述において述べたようなタービンエンジンを組み立てるための方法であって、
・ 高圧ロータを取り付けるステップと、
・ 動力取り出しモジュールを取り付けるステップと、
・ トランスミッションシャフトを動力取り出しモジュールにはめ込むステップと、
・ 低圧ロータを取り付けるステップとを含む方法に関連している。
【0015】
本発明は、単一の添付図面を参照して、その望ましい実施形態の以下の記述の助けを借りてより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のターボエンジンは、タービンエンジンの軸(3)のまわりを回転するように取り付けられた、低圧(LP)ロータ1および高圧(HP)ロータ2を備えるツインスプールタービンエンジンである。このタイプのタービンエンジンは、当業者には良く知られている。それは、例えば、ジェットエンジンまたはターボプロップエンジンである。実際、ツインスプールタイプの、コンプレッサおよびタービンを備えるいかなるタービンエンジンも、低圧スプールおよび高圧スプールを有する。内部および外部、または内側および外側は、この記述においては、タービンエンジンに属する、その軸3に対して径方向における、内部または外部、あるいは内側または外側であると理解されるべきである。
【0017】
より詳細には、タービンエンジンは、機能的に、上流側から下流側端へガスが流れる方向に、ファン、コンプレッサ、燃焼エンジン、タービン、およびジェットパイプを備える。タービンエンジンは、ツインスプールエンジンであるので、それは、高圧コンプレッサの上流側に低圧コンプレッサと、低圧タービンの上流側に高圧タービンとを備える。ファンのロータは、低圧コンプレッサのシャフト4に固定されており、それ自体低圧タービンのシャフト5に固定されている。低圧ロータ1は、それゆえ、一緒に固定されたこれら3つの要素を備える。低圧タービンのシャフト5は、高圧ロータ2の内側に同軸的に延び、それは、一緒に固定された、高圧タービンおよび高圧コンプレッサのシャフトである。低圧タービンのシャフト5に固定された、低圧コンプレッサのシャフト4の下流側端は、高圧ロータ2の上流側端の直ぐ上流側に位置する。低圧コンプレッサのシャフト4は、低圧タービンのシャフト5の外側に同軸的に固定される。低圧コンプレッサのシャフト4の下流側端と高圧ロータ2の上流側端との間にはシール6があり、潤滑油の霧におおわれた外側の領域と、もっぱら空気が循環する内側の領域との間にシールを提供する。
【0018】
低圧コンプレッサのシャフト4は、その下流側端近傍に、低圧駆動ピニオン7と称される駆動ピニオン7を備える。この低圧駆動ピニオン7は、低圧コンプレッサシャフト4の下流側ベアリング8の下流側に配置される。高圧ロータ2は、その上流側端近傍に、高圧駆動ピニオン9と称される駆動ピニオン9を備える。この高圧駆動ピニオン9は、高圧ロータ2の上流側ベアリング10の上流側に配置される。低圧駆動ピニオン7の直径は、高圧駆動ピニオン9の直径よりも大きい。
【0019】
タービンエンジンは、低圧シャフトの運動を伝達し、且つ低圧トランスミッションシャフト11と称される、トランスミッションシャフト11と、高圧シャフトの運動を伝達し、高圧トランスミッションシャフト12と称されるトランスミッションシャフト12とを備える。
【0020】
低圧トランスミッションシャフト11および高圧トランスミッションシャフト12は、動力取り出しモジュール29によって、低圧駆動ピニオン7および高圧駆動ピニオン9から回転駆動される。
【0021】
高圧トランスミッションシャフト12は、その内部端において、高圧駆動ピニオン9と噛み合うように構成され、高圧動力取り出しピニオン13と称される、動力取り出しモジュール29の動力取り出しピニオン13に結合され且つ固定される。低圧トランスミッションシャフト11は、その内部端において、低圧駆動ピニオン7に噛み合うように構成され、低圧動力取り出しピニオン14と称される、動力取り出しモジュール29の動力取り出しピニオン14に結合され且つ固定される。低圧動力取り出しピニオン14は、高圧動力取り出しピニオン13と同軸であり、直径は、高圧動力取り出しピニオンよりも大きく、高圧動力取り出しピニオンに対して外側に配置される。
【0022】
動力取り出しピニオン、すなわち高圧動力取り出しピニオン13および低圧動力取り出しピニオン14の各々は、動力取り出しモジュール29のそれぞれのエンドピース15、16に固定され、エンドピースは、それが固定される対応する高圧シャフト12または低圧シャフト11に結合される。各エンドピース15、16は、外側から内側へ、円筒状部分およびフラストコニカル部分を備え、フラストコニカル部分の直径は、内側に向かって増大する。対応する高圧動力取り出しピニオン13または低圧動力取り出しピニオン14は、それぞれフラストコニカル部分の内側端部にあり、この内側端部は、それを支持するエンドピース15、16を有する一片から形成される。
【0023】
エンドピース15、16の間に取り付けられるのは、これらエンドピース15、16およびそれゆえトランスミッションシャフト12、11が、高圧ロータ2および低圧ロータ1が、どのように回転するのかの構成に応じて、共回転かまたは反回転形式かのいずれかで、互いに対して回転することを可能とする一組のベアリングである。このベアリングの組は、ここでは、外側から内方に向かって、第1のローラベアリング17と、一方が他方に対してエンドピース15、16を軸方向に位置決めするのにも関与する、ボールベアリング18と、低圧トランスミッションシャフト11のエンドピース16の内部端部に配置される、第2のローラベアリング19とを備える。
【0024】
エンドピース15、16の外部部分、すなわち動力取り出しピニオン13、14に対して外側に位置するこれらエンドピースの外部部分は、ボックス20と名付けられる、タービンエンジンの動力取り出しモジュール29のボックス20に、収納され且つ保持される。このボックス20は、管状形状からなり、且つエンドピース15、16と同軸に、そしてそれゆえそれぞれ高圧LPトランスミッションシャフト12および低圧トランスミッションシャフト11まで延びる。より詳細には、このボックス20は、フラストコニカルな全体形状からなり、その直径は、エンドピース15、16の形状に適合するように内側に向かって増大する。低圧トランスミッションシャフト11のエンドピース16とボックス20との間に、2つのベアリングがある。すなわち、ボックス20の外部端部に向かって配置され、かつボックス20に対してエンドピース16を軸方向にも位置させるべく作用するボールベアリング21と、ボックス20の内側端部に向けて配置されるローラベアリング22とである。
【0025】
ボックス20は、フランジ部分23によってタービンエンジンの固定構造に固定され、フランジ部分23は、ボックス20の上流側外部形状を抱え込む上流側部分24を示し、下流方向に延び、かつエルボー25を示し、エルボー25から、タービンエンジンの軸3に向かって横切って延びる部分26を示し、部分26は、この場合、ねじを用いてタービンエンジンの固定構造のフランジ27に固定される。上流側部分24は、その下流側の、ボックス20から突出するフランジ28にここではねじを用いて、固定されている。
【0026】
したがって、低圧トランスミッションシャフト11および高圧トランスミッションシャフト12は、それぞれ、ボックス20を介して、ジェットエンジンの固定構造に固定され、動力取り出しモジュールのエンドピース16、15も保護される。それらは、それらの軸のまわりで自由に回転する。
【0027】
さて、本発明の動力取り出しモジュール29が組み立てられる方法および作動する方法が、より詳細に説明される。動力取り出しモジュール29は、それぞれ対応するベアリング17、18、19、21、22と一緒に、高圧動力取り出しピニオン13および低圧動力取り出しピニオン14、対応するエンドピース15、16、およびボックス20を備える。
【0028】
本発明の長手方向位置と同様の長手方向位置に、高圧シャフトに動力取り出し装置を採用すべく構成された、タービンエンジンの全体の構造は、全ての必要とされることが、低圧ロータ1上の駆動ピニオン7、動力取り出しモジュール29、および2つの同軸トランスミッションシャフトの付加であるから、本発明のトランスミッションシャフト11、12を駆動するための手段の取り付けによってほとんど変化されないことは、直ちに注目されるであろう。アセンブリはコンパクトであるから、そのかさは、限定される。トランスミッションシャフト11、12を駆動する手段は、それぞれ低圧コンプレッサのシャフト4の低圧駆動ピニオン7、および低圧タービンのシャフト5の高圧駆動ピニオン9、および動力取り出しモジュール29である。
【0029】
タービンエンジンを組み立てるとき、高圧ロータ2は、最初に取り付けられる。動力取り出しモジュール29のボックス20が、次に取り付けられ、それは、トランスミッションシャフト12、11のエンドピース15、16および全ての必要なベアリング17、18、19、21、22を既に含んでおり、エンドピース15、16は、組み立てのこの段階において、それらのそれぞれのシャフト12、11に固定されない。換言すれば、動力取り出しモジュール29は、予め組み立てられており、タービンエンジン上に「ユニットとして」直接に取り付けられる。ボックス20は、タービンエンジンの固定構造のフランジ27に固定される。モジュール29の取り付けの間、高圧トランスミッションシャフト12のエンドピース15の高圧動力取り出しピニオン13が、高圧ロータ2の高圧駆動ピニオン9と噛み合う。
【0030】
トランスミッションシャフト11、12は、次にタービンエンジンの構造アームにはめ込まれ、構造アームを通って、それらが延びることが意図される。ここで考慮される特別な例においては、タービンエンジンは、ジェットエンジンであり、トランスミッションシャフト11、12は、当業者においては良く知られている、中間ケーシングとして知られる1つのアームに沿って延び、アームは、ジェットエンジンの固定構造の一部を形成する構造的ケーシングであり、アームの外部ジャケットが、ファンケーシングの継続部に存在し、アームには、ジェットエンジンが与えようとする推進力において、エンジンを航空機に固定するために概してパイロンが結合される。それらが取り付けられるとき、トランスミッションシャフト11、12は、それらの対応するエンドピース16、15に噛み合うこととなり、このように、少なくとも回転に関して、これに固定されるようになる。ここで考慮される特別なケースにおいて、高圧トランスミッションシャフト12のエンドピース15の外部部分は、その外側周囲にスプライン31を備え、このスプライン31に、この管状内部エンド部分の内部部分から延びる、高圧トランスミッションシャフト12の内側端部でスプライン32が噛み合う。これら2つのエレメントは、それゆえ、一体として回転する。
【0031】
同様に、管状である、低圧トランスミッションシャフト11のエンドピース16の外部部分は、その内周部から延びる、スプライン33を有しており、このスプライン33に、この環状内部端部部分の外部部分から延びる、高圧トランスミッションシャフト12の内側端部上のスプライン34が噛み合う。これら2つのエレメントは、それゆえ一体として回転する。
【0032】
低圧ロータ1は、それからタービンエンジンにはめ込まれる。このようにすることによって、低圧コンプレッサのシャフト4の低圧駆動ピニオン7は、低圧トランスミッションシャフト11のエンドピース16の低圧動力取り出しピニオン14に噛み合う。
【0033】
動力取り出しモジュール29、低圧ロータ1および高圧ロータ2、ならびに低圧トランスミッションシャフト11および高圧トランスミッションシャフト12は、それぞれ、このように相互に対して取り付けられ、トランスミッションシャフト11、12を駆動する手段は、正しく配置される。
【0034】
タービンエンジンが動作するとき、低圧ロータ1および高圧ロータ2は、タービンエンジンがどのように構成されているかに応じて、同一方向へまたは異なる方向へ回転する。それら低圧駆動ピニオン7および高圧駆動ピニオン9は、それぞれ、動力取り出しモジュール29の低圧動力取り出しピニオン14および高圧動力取り出しピニオン13それぞれを回転駆動し、且つこれらは、エンドピース16、15およびスプライン(31、32)、(33、34)を介して、低圧トランスミッションシャフト11および高圧トランスミッションシャフト12を回転駆動する。それらの外部端部において、トランスミッションシャフト11、12は、1つ以上のアクセサリギアボックスに結合される。それゆえ、各トランスミッションシャフト11、12は、異なるアクセサリギアボックスを駆動することができ、あるいはその代わりにシャフト11、12は、同一のアクセサリギアボックスを駆動するように結合される。このために、シャフト11、12は、例えば、差動ギアの入力を駆動しても良く、差動ギアの出力が、当業者においては良く知られている方法で、アクセサリギアボックスの駆動シャフトに結合される。
【0035】
図の実施形態においては、トランスミッションシャフト11、12の軸30は、タービンエンジンの軸3に対して直角でないことに注意することができる。ロータ1、2の駆動ピニオン7、9、および動力取り出しモジュール29の動力取り出しピニオン14、13は、構造的にしかるべく配置される。選択された実施形態に応じて、これらのピニオンは、適正な動力取り出しを確保するために当業者によって設計される、ストレートカット、ベベル、またはいくつかの他のタイプのピニオンであっても良い。トランスミッションシャフト11、12の軸30によってここに形成される角度は、これらが、構造アームを通り抜けるシャフト11、12であるという事実によって指示され、構造アームは、動力が取り出される領域に対してこれらが完全に垂直ではなく、また、高圧ロータ2の上流側端および低圧コンプレッサのシャフト4の下流側端が存在する領域に対応する。
【0036】
本発明によれば、2つのトランスミッションシャフト11、12は、同軸であり、そのことは、それらが、タービンエンジンのある単一のアームを通り抜けることが可能であることを意味する。さらに、動力取り出しモジュール29は、取り付けるのが非常に簡単であり、低圧トランスミッションシャフト11および高圧トランスミッションシャフト12は、それぞれ、低圧ロータ1および高圧ロータ2によって回転駆動されるように、単にそれらのエンドピース16、15が押される。高圧ロータ2の高圧駆動ピニオン9の直径は、運動が、最小のスリップで伝達され得るように、ピニオンの歯のための許される周速限界に合わせるために、より小さなものである。低圧ロータ1がより低いスピードで回転するので、低圧駆動ピニオン7のより大きな直径が、許容される。動力取り出しモジュール29および駆動手段のコンパクトさは、一般に、最小化された容量および質量を導く。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のタービンエンジンの動力取り出し領域の概略的な断面を描いている。
【符号の説明】
【0038】
1 低圧ロータ
2 高圧ロータ
3 軸線
4 低圧コンプレッサのシャフト
5 低圧タービンのシャフト
7 低圧駆動ピニオン
8 下流側ベアリング
9 高圧駆動ピニオン
10 上流側ベアリング
11 低圧トランスミッションシャフト
12 高圧トランスミッションシャフト
13 高圧動力取り出しピニオン
14 低圧動力取り出しピニオン
15、16 エンドピース
17 第1のローラベアリング
18 ボールベアリング
19 第2のローラベアリング
20 ボックス
22 ローラベアリング
24 上流側部分
25 エルボー
27、28 フランジ
29 動力取り出しモジュール
30 軸線
31、32、33、34 スプライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ロータ(2)および低圧ロータ(1)と、少なくとも1つのアクセサリギアボックスと、駆動手段と、運動をアクセサリギアボックスに伝導する駆動同軸トランスミッションシャフト(11、12)とを備える、ツインスプールタービンエンジンであって、駆動手段が、高圧ロータ(2)に対して高圧ロータ(2)の上流側端近傍にて固定された高圧駆動ピニオン(9)と、低圧ロータ(1)に対して高圧ロータ(2)の上流側にて固定された低圧駆動ピニオン(7)と、トランスミッションシャフト(11、12)を駆動する、駆動ピニオンに直接噛み合っている動力取り出しモジュール(29)とを備えることを特徴とする、タービンエンジン。
【請求項2】
トランスミッションシャフト(11、12)が、動力取り出しモジュール(29)にはめ込まれる、請求項1に記載のタービンエンジン。
【請求項3】
動力取り出しモジュール(29)が、高圧駆動ピニオン(9)に噛み合っている高圧動力取り出しピニオン(13)と、高圧動力取り出しピニオン(13)と同軸であり、低圧駆動ピニオン(7)と噛み合っている低圧動力取り出しピニオン(14)とを備える、請求項1または2に記載のタービンエンジン。
【請求項4】
動力取り出しピニオン(13、14)が、タービンエンジンの固定構造に固定されたボックス(20)に収容されるエンドピース(15、16)に固定されている、請求項3に記載のタービンエンジン。
【請求項5】
トランスミッションシャフト(11、12)が、スプライン((31、32)、(33、34))を介してエンドピース(15、16)に噛み合っている、請求項4に記載のタービンエンジン。
【請求項6】
高圧駆動ピニオン(9)の直径が、低圧駆動ピニオン(7)の直径よりも小さい、請求項1から5のいずれか一項に記載のタービンエンジン。
【請求項7】
高圧駆動ピニオン(9)が、高圧ロータ(2)の上流側ベアリング(10)の上流側に位置しており、且つ低圧駆動ピニオン(7)が、低圧ロータ(1)の低圧コンプレッサシャフト(4)の下流側ベアリング(8)の下流側に位置している、請求項1から6のいずれか一項に記載のタービンエンジン。
【請求項8】
トランスミッションシャフトが、中間ケーシングの1つの構造アームに沿って延びるジェットエンジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のタービンエンジン。
【請求項9】
ボックス(20)と、ボックス(20)に収容されたエンドピース(15、16)に固定された2つの動力取り出しピニオン(13、14)とを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のタービンエンジンのための動力取り出しモジュール。
【請求項10】
・ 高圧ロータ(2)を取り付けるステップと、
・ 動力取り出しモジュール(29)を取り付けるステップと、
・ トランスミッションシャフト(11、12)を動力取り出しモジュール(29)にはめ込むステップと、
・ 低圧ロータ(1)を取り付けるステップとを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のタービンエンジンを組み立てるための方法。

【図1】
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