説明

低容積で静的錯乱光および動的錯乱光を測定するための装置および方法

本発明は、散乱光を測定するための装置に関し、装置は、試料に焦点を合わせることのできる電磁放射を備えた少なくとも一つの集束要素と、検出器と、試料により散乱された電磁放射を検出器に導くことができる検出器光学システムを備える。装置は、環状ビームを形成する手段を備え、その環状ビームは、少なくとも一つの集束要素によって試料内の焦点に焦点を合わせることができる。試料により散乱された電磁放射は、環状ビームに囲まれた領域内で拡散し、検出光学システムにより検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散乱光測定のための装置、測定システムおよび方法に関し、特に、静的光散乱および動的光散乱を測定するための装置、測定システムおよび方法に関する。好ましい適用分野としては、タンパク質結晶が成長する際の結晶化プロセスの検査など、多数の測定を自動的に行うことが要求される分野が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
散乱光の測定、とりわけ、レーザ光の散乱の測定は、たとえば、コロイドの特徴付けなど、既に多くの応用分野で広く行われている。食品産業では、化粧品や、ポリマーや接着剤のために、コロイド粒子のサイズ分布や安定性が重要な役割を担っている。
【0003】
別の応用分野として、複合たんぱく質や他の生体分子構造の解明がある。それは、よく狙いを定めた新たな薬剤の開発や分子などの生化学的機能の検査などにおいて非常に重要である。X線散乱実験に基づく構造の解明は、回折特性を有する高品質の単結晶に基づいて行われる。回折特性を有する高品質の単結晶は通常、溶液から成長する。たんぱく質の単結晶の成長における重要なステップは、とりわけ、結晶化に適切な溶液の状態を見出すことにある。溶液のパラメータ、たとえば、pH値、タンパク質濃度、塩や沈殿試薬の濃度や組成、温度等を変えることによって、溶解タンパク質分子間の相互作用が変化し、吸引作用や反発作用が調整される。たんぱく質の結晶化の検査は通常、今日までの経験に基づいて行われ、タンパク質の構造解明の障害になっている。
【0004】
レーザ光の散乱を測定することにより、結晶化溶液で行われている溶解タンパク質間の相互作用を直接測定することができ、したがって、結晶化に最適な溶解パラメータを選択的に見出すことに使用することができる。いわゆる浸透ビリアル係数は、理想的な溶液の作用からのずれとして溶解粒子の実際の相互作用を表した熱力学的な量である。浸透ビリアル係数は、静的光散乱の測定により求めることができる。さまざまな粒子濃度を有するさまざまな溶液において散乱光の絶対強度を検出することが、測定プロセスには重要である。界面から反射した光は測定を非常に妨害しやすい。浸透ビリアル係数は、タンパク質の結晶化に非常に重要であることが既に知られている。結晶化を成功させる可能性は、「結晶化ウインドウ」として参照されている浸透ビリアル係数の値の範囲において特に高くなり、この「結晶化ウインドウ」の範囲外では特に低くなっている。
【0005】
動的光散乱の方法によって、溶解粒子の拡散についての情報、つまり粒子サイズを得ることができる。このサイズは、凝集のプロセスにおいて実質的に変化する。したがって、結晶化に先立って行われる核生成のプロセスを認めることができる。
【0006】
特に、静的光散乱を測定するためには、放射の好ましくない成分を最適な状態で抑制することが重要なカギになる。この好ましくない成分は主に、界面からの反射によって起こる。界面が測定容積に近ければ近いほど、効果的に抑制することが難しくなる。
【0007】
巨大分子の特徴づけにはレーザ光の散乱方法の使用が既に知られている。浸透ビリアル係数や分子量を静的光散乱により求めたり、流体力学的半径分布を動的光散乱により求めたりするさまざまな装置がある。今日、光散乱の測定に使用されている装置は、通常、ガラスのキュベットを用いており、その中に試料液を充填しなければならない。多くの場合、レーザビームの焦点をキュベットに合わせ、検査粒子により散乱した光を、入射方向に対して定めた角度(たとえば、90度)で検出する。また、検出角度を変更したり、異なる角度でいくつかの検出器を用いて同時に散乱光を収集したりすることができるシステムがある。それは、たとえば、欧州特許第0867711A2号公報に開示されている。通常、かかるシステムには、丸型のキュベットを使用する。それを、屈折率の一致した槽(屈折率の一致した液体を充填した槽)に入れて、散乱光におけるさらなる反射成分を抑制する。槽の液体とキュベットの壁の間の屈折率の違いが小さいので、レーザビームがキュベットに届く間に、比較的小さい反射放射光が生成される。
【0008】
しかしながら、キュベットを使用した周知の装置では、手動でキュベットに充填する必要があり、自動的に高いスループットで散乱光の測定を行うことができない。精密測定の場合、使用するキュベットは磨きガラスでできており、高価である。費用を抑えて使用するためには、何度も再利用しなければならず、そのために洗浄しなければならず費用がかさむ。測定プロセスの要求が高いので(たとえば、ガラス表面の汚れが、溶液中の粒子同様、散乱光の強度をゆがめる問題がある)、この洗浄ステップもまた退屈であり、自動化が難しい。洗浄の問題は、使い捨てキュベット、たとえば、プラスチックのキュベットを使用することでは解決できない。なぜならば、プラスチックの比較的低い光学特性により、散乱光が、絶対的な光強度を高い精度で求めなければならない静的光散乱の測定でゆがんでしまうからである。結局のところ、キュベットの扱い(屈折率を一致させた槽における位置付け、洗浄、補充)が手間になり時間がかかるものとなる。
【0009】
散乱光の測定に使用する通常のキュベットの容積は、少なくとも5μl−10μl(マイクロリットル)程か、しばしばそれ以上になる。より容積の小さいキュベットの製造も技術的には基本的に可能だが、マイクロリットルレベルの容積の散乱光キュベットは今のところ使用されておらず、現在、入手できない。溶液の取り扱い、これは個々の測定を手動で実行する際(手でのピペット作業、溶液の混合、溶液のキュベットへの充填)に必要であるが、それには、最低限の容積、通常、マイクロリットル範囲の容積が求められる。また、個々の測定には、キュベットの容積の実質的な縮小は求められていないようであり、さらに、商用の光散乱装置の励起・検出光学システムは、極めて容積の小さいキュベット用には最適化されていない。
【0010】
しかしながら、タンパク質の自動結晶化についての何百何千もの測定を伴う一連の研究の場合、タンパク質の再生は高価であり少量でしか利用できないことから、しばしば試料容積の更なる縮小、つまりはタンパク質消費の低減が求められている。したがって、周知の光散乱測定システムについては、試料の消費が高いために、静的光散乱の測定に基づく結晶化状態の最適化に関する体系的な研究が妨げられている。
【0011】
結晶化の実験の範囲内で、タンパク質溶液をしばしば、ガラススライドの底部から垂れる小さい溶滴の形(ハンギングドロップ)、あるいは試料担体の底部についた小さい溶滴の形(シッティングドロップ)で使用する。レーザビームをあてると、溶滴の形の曲面により制御し難い反射が起きる。そのため、現在では溶滴による静的光散乱の測定は行われておらず、あるいは不可能と思われている。
【0012】
ワイアットテクノロジー社(Wyatt Technology Corporation)は、マイクロ滴定プレート(マイクロタイタープレート)に使用する光散乱の測定装置を提供している。それは、動的な測定だけが可能であり、静的な測定はできない。動的光散乱の測定を記録するために、粒子の移動により起こる信号の変動を測定している。時間が一定であり反射により起こる信号環境により、動的な散乱光の測定が妨害されることはなく、あるいはされてもほんのわずかである。逆に、静的な測定は散乱光の絶対的な強度の記録に基づいており、この場合、散乱信号に対する反射の影響により測定が妨げられる。しかしながら、ワイアットテクノロジー社の装置では、静的な散乱光の測定を行うのに必要と考えられるほど強力には妨害反射を抑制することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第0867711A2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の目的は、散乱光の測定のための装置および方法を提供することにあり、特に、絶対的な散乱光の測定のための装置および方法を提供することにある。それによって、放射光の望ましくない成分をとりわけ効果的に抑制することができ、さらに、多くの試料を体系的に、とりわけ高度自動化により高速で検査することができ、とくに、非常に容積の小さい試料を検査し、使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この技術的な問題の解決は、特許請求の範囲における独立項による装置、測定システムおよび方法により得られる。好適な実施形態や更なる実施形態を従属項により説明するか、あるいは以下の説明や実施形態の例により理解できよう。
【0016】
本発明の散乱光を測定するための装置は、電磁放射の焦点を試料に合わせることができる少なくとも一つの集束要素と、検出器と、試料により散乱した電磁放射を検出器まで導くことができる検出光学システムとを備える。本発明によると、上記装置がさらに環状ビームを生成する手段を備え、少なくとも一つの集束要素が環状ビームの焦点を試料内の焦点に合わせることができ、検出光学システムが、環状ビームにより囲まれた空間内に伝わる試料によって散乱した電磁放射を検出することができるようにすることで、技術的な問題を解決することができると考えられる。
【0017】
これらの特徴により、逆散乱構造の静的散乱光と動的散乱光の測定が可能な焦点共有光学システムが実現できる。それは、散乱放射の検出が、励起レーザ(あるいは励起用の光源)が入射するのとほぼ同じ方向(逆散乱方向)で行われることを意味する。特に、これにより、装置を容易にとりわけコンパクトな構造にすることができ、装置で使用する試料担体に関し特に柔軟に対応させることができる。特に、これにより、光路が一つだけの測定構造で散乱光の測定を行うことができるようになる。たとえば、ガラス底部を有するマイクロタイタープレートにおいて試料、あるいは試料溶滴を検査することができる。したがって、多くの測定を一つの試料担体(たとえば、マイクロタイタープレート)で行うことができる。マイクロタイタープレートを使用することにより、個々の試料位置の充填を自動で行うピペットロボットの使用を単純にすることができる。したがって、試料の調整や散乱光の測定の包括的な自動化が得られる。これにより、一つの担体で多くの測定を実行できることになり、試料担体を使い捨て部品として使用することができて経済的であるので、従来より周知の装置に比べて実質的に節約できるという利点が得られ、従って、従来のキュベットの複雑な洗浄作業をなくすことができる。
【0018】
さらに、上記装置により環状ビームを生成することができ、かかる環状ビームを焦点合わせすることができるので、一方で、比較的狭い焦点、従って測定容積を小さくすることができる。このように、特に小さな容積(1μl未満あるいは数100nlオーダー)の試料で測定することができる。さらに、励起ビームの焦点の容積が比較的小さいので、所定の電力に対する入射の強度が特に高くなる。したがって、ボリューム要素毎に特に高い散乱放射を生成することができる。
【0019】
もう一方で、散乱放射、特に排他的に散乱された(exclusively scattered)放射だけが、環状ビームにより囲まれた空間内を伝わり、検出することができるので、同時に確実に、試料や試料担体の表面から反射した好ましくない放射を、比較的強力に抑制することができる。本発明によれば、励起放射を非常に平坦な角度で試料内に入射させることができる。したがって、空気と試料担体の界面、そして試料担体と試料の液体界面での直接の反射を非常に平坦な角度で戻すことができる。逆に、環状ビームで囲まれた空間内を伝わる散乱放射が非常に鋭い角度で検出容積を離れる。励起光と散乱放射との角度の差により反射が強く抑制される。
【0020】
環状ビームはガウス型のビームプロファイルを有する平行ビームより生成され、放射源として、好ましくはレーザが、特に半導体レーザ、連続モードの固体あるいは気体レーザが用いられる。環状ビームの整形は、環状の開口と関連してビームの拡張により行うことができる。しかしながら、特に好ましい実施形態では、光学軸に位置付けされ、互いの頂点に向かう二つのアキシコン(axicone)(円錐状プリズム)(ガラスコーン)を備えて、環状ビームの整形を行うビーム整形光学システムを備える。入口側では、それらは中心がレーザビームにより照射されている。このような配置は特に高い透過値が得られ、環状ビームの形成ロスが比較的少なくなる。
【0021】
好ましくは、集束要素は反射型であり、環状に設計される。これにより、検出光学システムを好適に配置することができる。
【0022】
好適には、容積毎にとりわけ高い強度がこのように得られるので、ほぼ放射状に対称に形成された焦点(できるだけ小さい焦点)が試料内に生成されるように、集束要素を設計する。励起と検出の焦点の重なり部分からの信号だけが、共通焦点検出により記録されるので、両方の焦点のサイズはほぼ同じようにすべきである。その性質により、開口が十分に満たされた顕微鏡対物レンズにより、環状ビームより小さな焦点を形成することができ、したがって、励起焦点が通常、検出焦点より大きくなる。このため、励起焦点をできるだけ小さく形成し、ユニット領域あたりの励起強度をできるだけ高くする場合、信号強度が高められる。なぜならば、(重複領域からの)焦点の内側だけが、信号に寄与するからである。たとえば、(環状の)放物面鏡(parabolic mirror)を集束要素として用いることもできる。かかる放物面鏡を用いることによって、原理的にはほぼ放射対称の焦点を得ることができる。しかしながら、放物面鏡に対して最適な集束要素の形を若干修正して、ガラス底部での屈折の効果を修正するように、あるいはビームが試料に入るときに、集束要素と試料の間の放射によって通過する境界層も考慮すべきである。
【0023】
集束要素の設計は、焦点の直径が30μmより小さく、好ましくは20μmより小さくなるようにすべきである(この場合、焦点の直径は、レーザ強度がその境界において、焦点の中心の最大強度の1/e倍に下がる状態により画定されるものである)。焦点のサイズが小さいことにより、1μl未満の極めて少ない試料でも検査することができ、さらに、容積毎に特に高い散乱放射と、つまり高い全体信号強度が得られる。集束度が高いことにより、界面からの距離が非常に近い状態で測定することができる。
【0024】
好ましくは、検出光学システムを環状ビームに囲まれた空間内に配置し、特に、検出光学システムをこの空間の中心に、あるいは環状ビームと集束要素により画定される光学軸の中心に配置する。検出光学システムの焦点は励起光学システムの焦点と一致する。このように配置することにより、検出光学システムが、実質的にロスなく、生成される散乱放射の成分をできるだけ集めて検出器に送ることが可能である。散乱放射を集めるためには、少なくも0.6、好ましくは少なくとも0.7の開口数を有する顕微鏡対物レンズを使用することができる。
【0025】
結晶化に関連するたんぱく質の多くにとって、確かに、分子は実質的に使用するレーザ光の波長(数100nm)より小さい(通常数nm)。したがって、最初の近似では、散乱強度が、考慮した角度とは無関係であり、多くの角度において散乱放射を集めることができるが、原則として散乱光を一つの角度においてのみ集めた実験以外の結果は得られない。このように、開口数が大きな検出光学システムは、高い信号強度が得られるので好適である。
【0026】
特に好適な実施形態では、検出光学システムを、試料から散乱した光を集めて再度平行ビームにするように設計する。この平行ビームは次いで、他の光学要素、たとえば、レンズによって、検出システムの小さな入口、たとえば、光導波路のコア、好ましくはシングルモードファイバのコアに集められる。上記システムは、あらかじめ定められた検出面内の限られた領域から発せられた放射のみで平行ビームを形成し、検出システムの小さな入口の平面、たとえばファイバの正面に集められるように設計される。検出面は、ビーム路の逆の方向にとって検出光学システムの焦面に対応する。限られた領域の寸法は、とりわけ検出軸に垂直な方向において10μm未満であり、好ましくは約5μmである。それは、完全に励起放射の焦点内である。上記あらかじめ定められた検出面以外の面からの散乱放射は、ファイバの正面をなす平面の前後の集束光学システムによって集められるので、非常に小さい量でのみファイバに入ることができる。この方法を実施するために、励起光学システム(放物面鏡)と検出光学システム(顕微鏡対物レンズ)の焦点は、あらゆる方向においてできるだけ重ならなければならない。
【0027】
この測定方法により、好ましくない反射部分は実質的に抑制することができる。このように、スペクトルの反射や広く散乱した放射がたとえば、試料担体のガラス底部の傷や欠陥に形成されるが、それらを効果的に抑制することができる。
【0028】
検出光学システムは、たとえば、適用開口数でマルチレンズからなる顕微鏡対物レンズとすることができ、あるいはそれを備えることができる。この場合、対物レンズの集角は照明が起こる角度に合わせなければならない。顕微鏡対物レンズの開口数をできるだけ大きく、しかしながら、照明の内部の限界開口数よりも若干小さくすることにより、一方では、散乱光の信号部分を確実にできるだけ高く検出することができ、他方、ガラス表面から検出ビーム路への直接的な反射が確実に起こらないようにすることができる。
【0029】
本発明の他の態様は、散乱光を測定するための測定システムであって、電磁放射の焦点を試料に合わせることのできる少なくとも一つの集束要素と、検出器と、試料により散乱した電磁放射を検出器に導くことができる検出光学システムとを有する装置を備えた測定システムである。測定システムはさらに、単一の溶滴からなる試料がそれと界面を形成することができるように設計された平坦な試料担体を備える。さらに、上記の少なくとも一つの集束要素と検出光学システムを、試料に入射した電磁放射と検出光学システムにより検出された散乱放射のビーム路が界面を横断するように配置する。
【0030】
したがって、測定システムは、電磁放射を発し散乱放射を検出することができる装置に加えて、平坦な試料担体を備える。最も単純なケースでは、担体を平坦なプレートにすることができる。それは、試料用に指定した領域において使用する電磁放射を少なくとも実質的に透過させるものでなければならない。好ましくはガラス製とする。
【0031】
励起および検出を平坦な試料担体と試料と平坦な試料担体との間に形成された界面を通じて行う。したがって、ビーム路が平坦な界面のみを横断するので、望ましくない反射に対して比較的簡単に制御することができる。
【0032】
好適な一実施形態によると、検出光学システムにより光学軸(z)を画定する。光学軸は(少なくとも実質的に)試料担体(xy平面)に垂直であり、環状ビームあるいは集束要素にとっての中心軸となる。検出光学システムは、試料により散乱した検出容積からz軸方向への放射を、z軸(広がり半角:half angle divergence)に対して48度、好ましくは44度まで検出することができる。44度の広がり半角により開口数は0.7となる。集束要素により焦点に導かれた励起放射はz軸に対して51度〜59度となる。したがって、励起放射が、検出容積から出て検出光学システムに検出される散乱放射に比べてより平坦な角度で試料担体と界面を横断する。
【0033】
集束要素により、開口数を少なくとも0.84(57.1度に対応)、好ましくは、0.86(59.3度に対応)として、あるいは開口数の下限を多くとも0.82(55.1度に対応)、好ましくは0.78(51.2度に対応)として励起環状ビームを試料上に集める。これにより、検出光学システムに対して十分な角距離(angular distace)が得られる。
【0034】
試料担体は、好ましくは、マイクロタイタープレート、たとえば、縦横の列に並んだ多数の相互に分離した測定フィールドを備える標準的な部品である。
【0035】
本発明による測定システムによって、多数の試料をそれぞれ個別の溶滴として一つの平坦な試料担体にあてて短い時間で自動操作により多数の測定を行うことができる。
【0036】
測定システムは、さらに、回折限界レーザの焦点を、好ましくは1μl未満の少ない検査たんぱく質溶液のほぼ中心に位置付けすることができる画像データに基づく自動位置付けユニットを備えることで特に有利である。これにより、再生可能な測定条件下で試料から試料へ高速で早急に変えることができ、したがって、レーザ光の散乱仮定を体系的なたんぱく質結晶化の高スループットプロセスの形で使用することが可能になる。
【0037】
たとえば、マイクロプロセッサによって制御されたステップモータやスピンドルドライブを備えた複数の精密変換段階からなるシステムを、位置付けユニットとして使用することができる。あるいは、圧電ステージも適切である。位置付け精度は試料溶滴の寸法よりかなり小さくあるべきであり、数ミクロメータの位置付け精度が有用であることがわかっている。
【0038】
本発明の他の形態は、電磁放射の焦点を試料に合わせ試料から散乱した放射を検出する散乱光の測定方法であって、試料を平坦な試料担体と界面を共有する溶滴の形とし、電磁放射の適用と散乱した放射の検出を平坦な試料担体と界面を介して実行する方法である。この方法のために、上述の装置および測定システムを使用することを提案する。
【0039】
上記の試料は、試料担体と接触している一つの溶滴の形である。これは、試料が自己完結的な位相界面であり、その表面の一部が試料担体との界面をなしている。一方、残りの部分は、気体雰囲気(空気)との液体/気体界面をなしており、安定した状態となっている。溶滴の形は、溶滴内の凝集力や試料担体の表面への接着力により周知の方法で決められる。
【0040】
好ましくは、試料、すなわち、検査たんぱく質が溶解した小さい水溶液滴を、試料に混ざることのない液体層、好ましくはオイルかパラフィン層下で平坦な要素のガラス底部に直接ピペットでとる。溶滴はパラフィンあるいはオイルをガラス底部から移動させ、直接底部に半球形で載る。これは、容積が極めて小さい場合、たとえば1μl未満でも、100nlでも可能であり、針によるピペットロボットの自動操作で行うことができる。オイルまたはパラフィン層が少量の液体を乾燥から守る。他の利点として、さらに、多数の溶滴についても試料担体の設計が単純であることが挙げられる。たとえば、個々の溶滴をすべて試料担体の個々の区画に入れなければならないとい言うわけではないので、数個の比較的大きな個別セルを含めることもできる。ある点では溶滴を囲んでいるオイルまたはパラフィンが個別の試料区画に取って代わり、個々の溶滴が癒着するのを防ぐことができる。
【0041】
試料は、とりわけ結晶化実験の範囲におけるたんぱく質溶液の場合には、しばしば小さい溶滴の形で用いられる。溶滴は、試料担体の底部に載せても(「シッティングドロップ(sitting drop)」)、ガラススライドあるいは試料担体の底部から垂らしてもよい(「ハンギングドロップ(hanging drop)」)。本発明は、試料のこのような都合の悪い形状についても散乱光の測定を可能にするものである。好ましくない干渉を効率的に抑制するために、焦点に近くの溶滴の曲面をまた許容する。
【0042】
本発明の好適な一実施形態によると、検出信号において望ましくない放射(界面の反射等)をさらに低減するために、試料に焦点を合わせた電磁放射の放射成分を異なる波長の放射成分とし、特に、この目的のために、二つの異なる光あるいはレーザ源を選択できることとする。さらに、散乱放射の異なるスペクトル成分を別々に検出する。これにより、強度差を測定することが可能になる。この精度を十分上げるために、電磁放射に好ましくは、少なくとも二つの放射成分を含め、その波長を少なくとも50nm、好ましくは少なくとも120nm異ならせる。
【0043】
放射の界面での反射は、フレネルの式により表すことができる。したがって、屈折率n,n’を有する二つの物質間での界面の反射係数は、以下の通り求められる。

R=IR/IE=(n’−n)2/(n’+n)2

ここで、
R=反射率
R=反射強度(表面に対して垂直な入射)
E=入射強度
n,n’=隣接する物質の屈折率
である。
【0044】
このように、約4%の反射係数は、レーザビームが空気中(n=1)から通常のガラス(n’=1.5)に移行する。変化が小さい場合、波長は反射係数に対し、わずかな影響しか与えない。しかし、同時に、小さい粒子の散乱強度は波長の4乗の関数となり、波長における小さな違いが明確に異なる散乱強度に表れる。ここで、二つの異なる波長における散乱強度の差を、一つの波長における絶対的な散乱強度に変えて、散乱光実験の基礎として使用する場合には、反射成分によって測定した信号のゆがみに対する比較的強度な測定量が得られる。反射光の異なる成分が同じ試料に対する連続する測定において検出光学システムに入った場合、測定結果は、一つの波長の一実験において高くゆがめられる。二つの波長を有する実験では、二つの波長の強度が同じように変わるが、二つの強度の違いの影響が弱くなる。したがって、この取り組みにより、好ましくない反射があるときでも、高精度で散乱光を測定することが可能となる。
【0045】
二つの放射源を有する実施形態では、二つの放射源からのビームを、一つのビームの波長を反射してもう一方のビームの波長を透過させるダイクロイックミラーによって重ね合わせることができる光学手段により、本発明による装置を拡張する。同じような効果を有する他の光学手段を使用することもできる。上記二つの放射成分の重ね合わせは、特に簡単にビーム整形光学システムのビーム路上流において影響を受ける。さらに、少なくとも一つのさらなる光学手段が、検出ビーム路においては互いに放射成分を分離するため、あるいはそれらを異なる検出器に導くために必要である。たとえば、ダイクロイックミラーをこの目的で使用することもできる。
【0046】
測定の最初に、散乱粒子のない標準試料、たとえば、溶媒、バッファ等を含むに過ぎず、いかなるたんぱく質も含まないブランクな(blank)溶液を測定する際に、両方の検出器に記録されている信号強度が同じになるように、二つのレーザビームを調整する。ここで、標準試料、あるいはブランク溶液を「真の試料(true sample)」、たとえば、散乱粒子としてたんぱく質を有する溶液で置き換えた場合、波長の短い検出チャネルの信号強度が、波長の長い検出チャネルに比較して強く増大する。違いは、散乱強度に比例するが、ほんのわずか反射効果でゆがむ測定信号にある。
【0047】
本発明の一実施形態として、波長の異なる二つのレーザを備えることも可能である。この場合、内部結合光学システムと外部結合光学システムを、さらなるレーザの検出器と合わせて補足する必要がある。個々の波長を別のダイクロイックミラーで重ね合わせたり分離したりする。検出器の異なるレーザ強度やスペクトル感度を補うために、散乱粒子のない試料(たとえば、たんぱく質を含まない試料)の強度測定を、まず、再度実行しなければならない。検査物質についての他の測定はすべてこの参照測定に基づいており、関連散乱強度が分離によって得られる。線形検出特性がある場合、ν4(νは励起レーザ放射の周波数)と比例増加する一連の関連散乱強度が異なる検出器に対して得られる。比例定数は、検査試料の散乱断面の大きさを表し、反射成分による歪みはわずかである。
【0048】
本発明の一実施形態として、励起光が連続スペクトル分布を有する場合も考えられる。この場合、好ましくは、スペクトロメータを検出器として用いる。試料が検討した波長範囲において吸収を示さない場合、散乱粒子を有さない試料の測定を参照すると、ν4に比例して増大する関連する強度を予想することができる。散乱粒子を有する試料の散乱スペクトルを、散乱粒子を有さない(たとえば、たんぱく質を含まない)試料の散乱スペクトルによって分ける。数学近似分析(たとえば、最小二乗法による)を続いて用いて分析表現により関連散乱強度を近似する。これにより、溶液の散乱断面の大きさを示す比例定数kが求められる。

rel(ν)=Ipr(ν)/I0(ν)=k*ν4

ここで、
rel(ν)=波長関数として関連散乱強度
0(ν)およびIpr(ν)=(散乱粒子を含まない)参照試料と検査試料の強度
ν=周波数
k=試料の散乱断面に対応する比例定数
である。
【0049】
説明してきた方法により、たんぱく質間の相互作用を、レーザ光の散乱を測定することによりマーカなしで求めることができる。非常に狭い範囲の弱い相互作用によりたんぱく質の単体結晶を形成することができる範囲を定める。この相互作用は、溶液の特性により影響を受ける。レーザ光の散乱測定により、たんぱく質の相互作用を異なる溶液の条件下で測定し、たんぱく質の結晶化に優位な溶液の組成を確立する。選択した溶液の取り組みにより、求めた結晶化ウインドウにさらなる近似が求められる新たな溶液の条件を、数学の最適化アルゴリズムにより計算することができる。一組のさらに異なるたんぱく質溶液を、計算した組成において自動的に混ぜて、レーザ光の散乱の測定によるたんぱく質間相互作用を検査する。上記の手順を反復により、サイクル毎に、たんぱく質の単結晶が形成されるまで、結晶化パラメータを結晶化窓により近似させることができる。
【0050】
以下に、本発明の実施形態の例を図面と合わせ示すが、それにより添付の特許請求の範囲により画定される保護の範囲が限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1a】一つの光源を備えた本発明の一実施形態を示した図である。
【図1b】一つの光源を備えた本発明の一実施形態を示した図である。
【図2】二つの光源を備えた本発明の一実施形態を示した図である。
【図3】三つの光源を備えた本発明の一実施形態を示した図である。
【図4】多色源を備えた本発明の一実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1aに、励起/検出光学システムのそれぞれの要素の概略を示す。図1bは、図1aの拡大図であり、マイクロタイタープレート10に載せた試料溶滴11、検出放射15と入射放射3のビーム路の概略を示す。
【0053】
平行レーザビーム1をビーム整形光学システム2により平行環状ビーム3に変換する。これは、頂点が互いに向かい合う二つの同じアキシコンの並びにより得ることができる。レーザビーム1はシングルモードファイバに結合された温度安定ダイオードレーザにより生成される。ビームをファイバ外部で結合した後、強度分布が真のガウス分布(TEM−00モード)を有する。たとえば、ビームの直径は6mmである。ビームの整形をアキシコン2で行った後、内径20mm、外径26mmの環状ビーム3が得られる。
【0054】
平行環状ビーム3が放物面鏡4に当たり、試料11に混ざることのない液体層14に覆われた試料11における焦点12に焦点が集まる。それは、マイクロタイタープレート10のガラス底部を通り、試料11の底部とマイクロタイタープレート10との界面13を横切る。励起環状ビーム3を、限定開口数0.78から0.86に対応する角度51−59度の範囲(広がり半角)で入射させる。生成した散乱放射15を、開口数0.7に対応する角度0〜44度(広がり半角)で放物面鏡4の中央に配置された顕微鏡対物レンズ5によって集め、さらに、平行ビーム6に形成される。後者のビームを他の光学システム7によってシングルモードファイバ8に集める。ファイバ8によって、散乱光信号を高感度光検出器9に導く。光検出器は、光電子増倍管あるいはアバランシェ・フォトダイオードとすることができる。
【0055】
図2は、二つの放射源18,18’を備えた本発明の装置を示す。二つのレーザビーム源18,18’(たとえば、658nmのダイオードレーザと532nmの周波数二重Nd:YAGレーザ)がそれぞれ平行なレーザビーム1,1’を発する。ダイクロイックミラー16を介して、それにより一方の波長は反射され、もう一方の波長は透過され、二つのビーム1,1’が重ね合わせられる。ビーム整形光学システム2において、両方のビームは再整形され、平行な環状ビーム3になる。二つの重ね合わされた環状ビーム3を、放物面鏡4によって、色収差が起こることなく試料11に集める。散乱放射15は彩色的に訂正された顕微鏡対物レンズ5によって集められ、平行ビーム6として外部結合ミラー17を介して別のダイクロイックミラー20にそらされる。ここで、波長を二つの別々の光学システム7,7’によって分離して二つのシングルモードファイバ8,8’に導かれ、二つの検出器9,9’に送られる。また、光電子増倍管あるいはアバランシェ・フォトダイオードを検出器9,9’として使用する。
【0056】
図3は、三つ(あるいは三つ以上)の放射源18,18’,18”を備えた本発明による装置を示す。これとは別に、別のレーザのビームを重ね合わせるダイクロイックミラー16,16’,16”の数や、散乱放射15の放射成分を分離するためのダイクロイックミラー20,20’,20”の数、光学システム7,7’,7”の数、ファイバ8,8’,8”の数および検出器9,9’,9”の数を図2より増やす。
【0057】
図4は、連続スペクトル分布となる励起を伴う配置を示す。これは、多色光源18と検出器9としてのスペクトロメータを含む。光源18からの放射は、理想的には、ファイバ21と外部結合光学システム19を介してビーム整形光学システム2に導かれる。光源18は従来の光源(ハロゲンランプ、放電ランプ)あるいはレーザ源(たとえば、光ファイバにおけるフェムトセカンドレーザの自己位相変調)となる。
【符号の説明】
【0058】
1 レーザビーム
2 ビーム整形光学システム
3 環状ビーム
4 放物面鏡
5 顕微鏡対物レンズ
6 散乱光の平行ビーム
7 散乱光ビームの集束光学システム
8 光導波路ファイバ
9 光検出器
10 単結晶
11 試料
12 焦点
13 界面
14 液体層
15 散乱線
16 ダイクロイックミラー
17 非連結ミラー
18 放射線源
19 非連結光学システム
20 ダイクロイックミラー
21 光導波路ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射(3)の焦点を試料(11)に合わせることができる少なくとも一つの集束要素(4)と、
検出器(9)と、
試料(11)により散乱した電磁放射(15)を前記検出器(9)まで導くことができる検出光学システム(5,7,8)と、
を備える散乱光を測定する装置であって、
環状ビーム(3)を生成する手段(2)を備え、前記少なくとも一つの集束要素(4)が前記環状ビーム(3)の焦点を試料(11)内の焦点(12)に合わせることができ、前記検出光学システム(5,7,8)が環状ビーム(3)により囲まれた空間内を伝播する試料(11)によって散乱した電磁放射(16)を検出することができることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記検出光学システム(5,7,8)が環状ビーム(3)により囲まれた空間内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出光学システムの開口数が少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.7であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記検出光学システムが顕微鏡対物レンズ(5)を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
画定された検出容積から前記検出光学システム(5)に向かう電磁放射のみが実質的に検出器(9)に届くように、前記検出光学システム(5,7,8)が設計されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記検出容積が前記環状ビーム(3)の焦点(12)内であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記集束要素(4)の形が本質的に反射型であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記集束要素(4)の形が環状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記集束要素(4)が放物面鏡であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
放射状に略対称に形成された焦点(12)が試料(11)内に生成されるように、前記集束要素(4)が設計されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
生成される焦点の直径が30μm未満、好ましくは20μm未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記環状ビーム(3)を整形するビーム整形光学システム(2)を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記ビーム整形光学システム(2)が、それぞれ頂点が互い向けられた少なくとも二つのアキシコンを有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記電磁放射(1,3)が少なくとも二つの異なる波長を有する放射成分を有し、前記電磁放射(1,3)が試料(11)に当てられることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
複数の検出器(9,9’)と、散乱放射(6)の異なるスペクトル放射成分を別の検出器(9,9’,9”)に導く少なくとも一つの手段(20)を備えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
連続スペクトル分布を有する電磁放射(1,3)が前記試料(11)に当てられることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記検出器(9)がスペクトロメータであることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
電磁放射(3)の焦点を試料(11)に合わせることができる少なくとも一つの集束要素(4)、検出器(9)、および試料(11)により散乱した電磁放射(15)を検出器(9)まで導くことができる検出光学システム(5,7,8)を有する、特に請求項1〜17のいずれかに記載の装置を備えて、散乱光を測定する測定システムであって、
前記測定システムが、単一の溶滴からなる試料(11)と界面(13)をなすように設計された平坦な試料担体(10)を備え、前記少なくとも一つの集束要素(4)と検出光学システム(5,7,8)が、試料(11)に入射する電磁放射(3)と電出光学システム(5,7,8)に検出された散乱放射(15)のビーム路が前記界面(13)を横断するように配置されることを特徴とする測定システム。
【請求項19】
前記平坦な試料担体(10)が互いに分離した複数の試料溶滴(11)を提供するのに適していることを特徴とする、請求項18に記載の測定システム。
【請求項20】
前記平坦な試料担体(10)が、前記試料(11)に入射する電磁放射(3)に対し透過的な底部を有するマイクロタイタープレートであることを特徴とする請求項18又は19に記載の測定システム。
【請求項21】
前記平坦な試料担体(10)の焦点(12)に対する位置を調節することができる位置付けユニットを備えることを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載の測定システム。
【請求項22】
電磁放射(1,3)が試料(11)に焦点を合わされ、試料(11)により散乱した放射(15)を検出する散乱光の測定方法であって、前記試料(11)をフラット試料担体(10)と界面(13)を共有する溶滴の形であり、電磁放射(3)の照射と散乱放射(15)の検出を平坦な試料担体(10)と界面(13)を介して行うことを特徴とする方法。
【請求項23】
溶液が、試料11の蒸発に対し作用する液体層(14)、好ましくはパラフィンあるいはオイルに覆われていることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記試料(11)の容積が1μlより小さいことを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
試料(11)に焦点を合わせた電磁放射(3)が波長の異なる複数の放射成分を含み、散乱放射(15)の異なるスペクトル成分が別々に検出されることを特徴とする、請求項22から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記試料(11)がフラット試料担体(10)上に載った一滴であることを特徴とする、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記試料(11)が前記フラット試料担体(10)の底部に懸かる一滴であることを特徴とする、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−532468(P2010−532468A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513791(P2010−513791)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005468
【国際公開番号】WO2009/003714
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510005764)
【Fターム(参考)】