説明

低延性タービンシュラウド用弦状取り付け配置

【課題】ガスタービンエンジンのブレード又はバケットの先端を囲む静止構造であるシュラウドに関し、ボルト止めされた継手を使用せずに低延性タービンシュラウドの取付ける装置を提供する。
【解決手段】シュラウド装置は、CMCやその他の低延性材料からなり、対向する第1及び第2の端面の間に延びる対向する前壁及び後壁と、対向する内壁及び外壁とによって画定される断面形状を有するシュラウドセグメント18を含み、内壁が円弧状の内部流路面を画定し、シュラウドセグメント18が、径方向内向きの弦状の前部取り付け面36と、径方向内向きの弦状の後部取り付け面40と、シュラウドセグメント18を囲む前部保持器50と、後部保持器60と、を含み、前部保持器50が、前部取り付け面36と係合する径方向外向きの弦状の前部支承面58と、後部取り付け面40と係合する径方向外向きの弦状の後部支承面68と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にガスタービンエンジンに関し、より具体的にはこのようなエンジンのタービンセクション内の低延性材料製シュラウドを取り付ける装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のガスタービンエンジンは、高圧圧縮機、燃焼器、及び高圧タービンを直列関係で有するターボ機械コアを含む。コアは一次ガス流を生成するように公知の方法で動作できる。高圧タービン(ガス発生タービンとも呼ばれる)は、一次ガス流からエネルギを抽出する1つ又は複数のロータを含む。各ロータは回転ディスクによって支持されるブレード又はバケットの環状配列を備えている。ロータを通る流路は部分的に、ブレード又はバケットの先端を囲む静止構造であるシュラウドにより画定される。これらの構成部品は超高音環境で動作し、適切な耐用寿命を確実にするには冷却されなければならない。通常は、冷却用に使用される空気は圧縮機から抽出(抽気)される。抽気の使用は燃料小比率(「SFC」に悪影響を及ぼし、基本的に最小限にする必要がある。
【0003】
金属製シュラウド構造の代わりに、セラミックス複合材料(CMC)などの高温性能がより高い材料を使用することが提案されてきた。これらの材料は、シュラウドセグメントなどの製品の設計と応用中に考慮されなければならない特有の材料特性を有している。例えば、CMC材料は金属材料と比較すると相対的に低引張り延性であり、又は破壊に至るひずみが少ない。更に、CMCは熱膨張係数(「CTE」)が約1.5〜5マイクロインチ/インチ/度F)の範囲であり、これは金属シュラウドの支持体として使用される市販の金属合金とは大幅に異なる。このような金属合金のCTEは通常は、約7〜10マイクロインチ/インチ/度F)の範囲ある。
【0004】
CMCシュラウドは、熱成長からの応力を低減し、エンジンのクリアランス制御システムが効果的に動作できるようにセグメント化されてもよい。セグメント化されたCMCシュラウドの既知の1つのタイプは、中空「ボックス」型の設計を組み込んでいる。シュラウドが効率的に動作するように、CMCシュラウドは確実に位置決めされなければならない。ある種のCMCシュラウドは、シュラウドコンポーネントが金属製ハンガ又は負荷分散器を使用してエンジンケースに取り付けられるように設計されてきた。ハンガ又は負荷分散器は、シュラウドを位置決めし、シュラウドを保持するために径方向に位置合わせされたボルトを使用する。取り付け及び位置決め中に、ハンガ又は負荷分散器は、ボルトの曲がり、クリ−プ、空気漏れ、摩耗、及び摩擦に関連する問題などの設計上の課題をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6503051号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ボルト止めされた継手を使用せずにCMCやその他の低延性タービン構造を取付ける装置が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この必要性は、弦状の表面によって位置決めされ、周囲構造に保持されるシュラウドを提供する本発明によって対処される。
【0008】
本発明の一態様によれば、ガスタービンエンジン用シュラウド装置は、低延性材料からなり、対向する前後壁によって画定される断面形状を有するシュラウドセグメントと、対向する第1及び第2の端面の間に延びる対向する内側及び外側の壁とを含み、内壁が円弧状の内部流路面を画定し、シュラウドセグメントは径方向内向きの弦状の前部取り付け面と、径方向外向きの弦状の後部取り付け面と、シュラウドセグメントを囲む環状ケースとを含み、ケースは、前部取り付け面に係合する径方向外向きの弦状の支承面と、シュラウドセグメントの後部取り付け面に係合する径方向外向きの弦状の後部支承面と、を含む。
【0009】
本発明は、添付図面を参照した以下の説明を参照することによって最もよく理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の態様に従って構成されたシュラウド取り付け装置を組み込んだ、ガスタービンエンジンのタービンセクションの一部の概略断面図である。
【図2】図1に示すタービンセクションのシュラウドセグメントの前面図である。
【図3】図2のシュラウドセグメントの端面図である。
【図4】共に組み立てられた幾つかのシュラウドセグメントを示す概略製前面図である。
【図5】図1に示す前部保持器の後面図である。
【図6】本発明の態様により構成された代替形態のシュラウド取り付け装置を組み込んだガスタービンエンジンのタービンセクションの一部の概略断面図である。
【図7】本発明の態様により構成された別の代替形態のシュラウド取り付け装置を組み込んだガスタービンエンジンのタービンセクションの一部の概略断面図である。
【図8】本発明の態様により構成された更に別の代替のシュラウド取り付け装置を組み込んだガスタービンエンジンのタービンセクションの一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な図を通して同一の参照番号が同一の要素を示す図面を参照すると、図1は、既知のタイプのガスタービンエンジンの一部である高圧タービン(「HPT」)の小部分を示す。高圧タービンの機能は、上流の燃焼器(図示せず)からの高温の加圧された燃焼ガスからエネルギを抽出し、このエネルギを公知の方法で機械的仕事に変換することである。この高圧タービンは、加圧空気を燃焼器に供給するようにシャフトを介して上流の圧縮機(図示せず)を駆動する。
【0012】
本明細書に記載の原理は、ターボファン、ターボジェット及びターボシャフトエンジン、並びに別の車両又は固定用途に使われるタービンエンジンに等しく応用できる。更に、例としてタービンノズルが使用されるが、本発明の原理はガスタービンエンジンの一次燃焼ガス流路に少なくとも部分的にさらされる低延性の流路コンポーネントに応用できる。
【0013】
HPTは固定ノズル10を含む。これは単体又は組み立て構造でよく、環状の外側バンド14によって囲まれた複数のエアフォイル形固定タービンベーン12を含む。外側バンド14は、タービンノズル10を通るガス流の外側の径方向境界を画定する。これは連続する環状部材でもよく、又はセグメント化されたものでもよい。
【0014】
ノズル10の下流には、エンジンの中心軸で回転し、エアフォイル形タービンブレード16の配列を支持するロータディスク(図示せず)がある。タービンブレード16を取り巻き、これを密接に囲み、それによってタービンブレード16を流れる高温ガス流の径方向流路の外側の境界を画定するように、複数の円弧状シュラウドセグメント18からなるシュラウドが配置されている。
【0015】
図2及び3に示されるように、各々のシュラウドセグメント18は、対向する内外の壁20、22及び前後の壁24,26によって画定される略方形、又は「箱形」の中空の断面形状を有している。円弧状、鋭角、又は直角縁の遷移部を壁の交差部として使用してもよい。シュラウド空洞28が壁20、22、24及び26内に画成される。内壁20は円弧状の径方向内側流路面32を画成する。外壁22は内壁24を越えて軸方向前方に延び、径方向内向きの前部取り付け面36を有する前部フランジ34を画成し、且つ、後壁26を越えて軸方向後方に軸方向後方に延び、径方向内向きの後部取り付け面40を有するフランジ38を画成する。流路面32は立面図(例えば前方から後方を見た、又はその逆から見た図)で円弧をたどる。しかし、取り付け面36及び40は、円の弦に対応する直線をたどる。図4は、シュラウドセグメント18の態様をより詳細に示し、並べて組み立てられた幾つかのシュラウドセグメント18を示している。完全に閉じられた環状配列に組み立てられると、取り付け面36及び40は立面図で各々閉多角形を画定し、多角形の辺の数はシュラウドセグメント18の数と同じである。本明細書で用いる「弦状面」という用語は、完全な多角形、又は個々の辺を形成する面のいずれをも同義に指す。
【0016】
シュラウドセグメント18は、既知のタイプのセラミックス複合(CMC)材料から構成される。一般に、市販のCMC材料には、形状が窒化ホウ素(BN)などのコンプライアント材で被覆される、例えばSiCなどのセラミックファイバが含まれる。ファイバはセラミックスマトリクス内に保持され、その一形態は炭化ケイ素(SiC)である。通常は、CMCタイプの材料の室温での引張り延性は約1%未満であり、本明細書では低引張り延性材料を定義し、意味するために用いられる。一般にCMCタイプの材料の室温での引張り延性は約0.4〜約0.7%の範囲にある。これは、例えば約5〜15%の範囲にある少なくとも約5%の室温引張り延性を有する金属と比較される。シュラウドセグメント18はその他の低延性で高温性能が高い材料から構成することもできよう。
【0017】
シュラウドセグメント18の流路面32は、CMC材料と共に使用するのに適する、既知のタイプの耐環境コーティング(「EBC」)、アブレーダブル材料、及び/又は耐摩耗性材料42の層を組み込んでもよい。この層は、「ラブコート」と呼ばれることがあり、図1に概略的に示されている。図示した実施例では、ラブコード42の厚さは約0.51mm(0.020インチ)から約0.76mm(0.030インチ)である。
【0018】
シュラウドセグメント18は、対向する端面44(通常「スラッシュ面」とも呼ばれる)。端面44は、「径方向面」と呼ばれるエンジンの中心軸に平行な平面にあってもよく、又は径方向面からややずれていてもよく、又はこのような径方向面に対して鋭角をなすような方向を向いていてもよい。完全なリンクに組み立てられると、隣接するシュラウドセグメント18の端面44の間に端部隙間ができる。1つ又は複数のシール(図示せず)を端面44に設けてもよい。同様のシールは一般に「スプラインシール」として知られており、端面44内のスロット46に挿入される薄い条片又はその他の適切な材料の形態を取る。スプラインシールはシュラウドセグメント18の間隙に跨っている。
【0019】
シュラウドセグメント18は図1に示す金属製固定エンジン構造に取り付けられる。この実施例では、固定構造はタービンケース48の一部である。前部保持器50は、例えば図示したボルト52を使用してタービンケース48に固定される。前部保持器50は金属製の環状構造であり、連続する構造でもよく、セグメント化されていてもよい。この例ではセグメント化されたものとして示されている。前部保持器50は、径方向内側に延びるL形フック56付きのボデー54を含む。フック56は、シュラウドセグメント18の前部取り付け面36に当接する径方向外向きの前部支承面58を画定する。前部支承面58は、立面図(例えば前方から後方を見た、又はその逆から見た図)で閉多角形を画定し、多角形の辺の数はシュラウドセグメント18の数と同じである。したがって、前部支承面58は形状の個々の辺を見ても、全体の形状でも前述のように弦状の面である。図示した実施例では、前部支承面58の各辺は単一のシュラウドセグメント18の前部取り付け面36の弦長と概ね同じ長さであり、エンジンの長手方向の中心線「C」から前部取り付け面36の対応する辺と概ね同じ径方向距離の位置に配置されている。図5に最も明解に示されるように、前部保持器50は、完全な多角形の前部支承面58の一部だけが各セグメントウェに含まれるようにセグメント化されてもよい。
【0020】
後部保持器60は、例えば図示したボルト62を使用してタービンケース48に固定される。後部保持器60は、金属製の環状構造であり、連続構造でもよく、セグメント化されていてもよい。後部保持器60は、径方向内側に延びるL形フック66付きのボデー64を含む。フック66は、シュラウドセグメント18の後部取り付け面40に当接する径方向外向きの後部支承面68を画定する。後部支承面68は、立面図で閉多角形を画定し、多角形の辺の数はシュラウドセグメント18の数と同じである。図示した実施例では、後部支承面68の各辺は単一のシュラウドセグメント18の後部取り付け面40の弦長と概ね同じ長さであり、エンジンの長手方向の中心線「C」から概ね同じ径方向距離の位置に配置されている。後部支承面60は、前述のように弦状の面である。
【0021】
動作時には、タービンケース48、保持器50及び60、及びシュラウドセグメント18を含む全てのコンポーネントは温度が上昇及び降下すると膨張、収縮する傾向がある。従来の弧状、又は円形の取り付け境界面とは異なり、弦状の前後支承面と接触する弦状のシュラウドセグメント取り付け面からなる前述の弦状の境界面によって、2つの平坦面の間を封止することができる。取り付け面36と40及び支承面58と68との間に適宜の空隙又はスロットを設けて、冷却空気がシュラウドセグメント18の周囲に、又はその内部に送ることができるようにしてもよい。これらの表面の寸法は動作中に温度変化と共に変化することがあり、2つのコンポーネント間に大きな空隙が開く原因となることがある湾曲面の曲率半径の変化とは異なり、寸法の変化は直線的な膨張又は収縮という性質の変化である。先行技術と比較すると、本発明のこの態様は、機械に適合する面、又は熱成長の差との適合の依存度を低減する。この構成によって更に、非効率なシーリングによる不慮の漏れへの信頼度が低い漏れ通路、又は既知のエリアで規定又は調整可能な冷却空気の流れをより良好に制御できる。
【0022】
図6は、取り付けシュラウドセグメント18をタービンケース148などの金属製固定エンジン構造に取り付ける代替の構成を示す。タービンケース148は後部フック164を含む。これはL形の断面を有する環状コンポーネントである。後部フック164はタービンケース148と一体に形成されてもよく、又はタービンケース148に機械的に結合される別個のコンポーネントとして形成されてもよい。後部フック164は、シュラウドセグメント18の後部取り付け面40に当接する径方向外向きの後部支承面166を画定する。後部支承面166は前述のように弦状の面である。
【0023】
環状の金属製ノズル支持体150はシュラウドセグメント18の軸方向前方に位置していて、ボデー152を含む。ノズル支持体150は、例えば機械的ファスナ154を使用してタービンケース148に堅固に結合されている。フランジ156はボデー152から軸方向外側に延びている。フランジ156はシュラウドセグメント18の前部取り付け面36に当接する径方向外向きの前部支承面158を画定する。前部支承面158は前述のように弦状の面である。
【0024】
シールトゥ−ス160はボデー152の後部から後方に延びている。使用するシールトゥースの数は任意でよい。ボデー152及びフランジ156の後面と連係して、シールトゥース160はシールポケット162を画定する。環状の機外向きのシールスロット168もボデー152内に形成される。
【0025】
ピストンリング170の形態のシールがシールスロット168内に配置され、タービンケース148の内表面を封止する。ピストンリング170は、連続する(又はほぼ連続する)周囲シールを形成する、既知のタイプのものでよい。このピストンリングは1つの周囲位置で分割され、径方向外向きのばね張力を与えるように構成されている。ピストンリング170は、重複する端部タブなどのリング端端部の間の漏れを低減する役割を果たす、既知の特徴を含んでもよい。異なるタイプの端部配置、複数部品又は「ギャップなしの」リング、又はタンデムリング(図示せず)などの別の既知のリング構造の変化形態を使用することもできよう。
【0026】
図7は、タービンケース248に取り付けられる代替形態のシュラウドセグメント118を示す。シュラウドセグメント118は前述のセラミックマトリクス複合(CMC)材料、又はその他の低延性材料製であり、断面形状を除けば構造は前述のセグメント18のその他の低延性材料と概ね同様である。各シュラウドセグメント118は、対向する内壁及び外壁120、122と、前後壁124及び126とによって画定される形状を有している。シュラウド空洞128が壁120、122、124、及び126内に画定されている。外壁122は内壁120よりも大幅に短い軸長を有し、前後の壁124及び126は各々鋭角を成して内壁120から延びている。壁120、122、124及び126は全体で概ね台形の断面形状を形成する。台形の断面形状により、前述のシュラウドセグメント18と比較してシュラウドセグメント118を取り付けるために必要な軸方向スペースの量が少なくなる。内壁120は円弧状の形状内側の流路面132を画定する。外壁122は前壁124を越えて軸方向前方に延び、前部取り付け面136と共に前部フランジ134を画定し、更に後壁126を越えて軸方向後方に延び、後部取り付け面140と共に後部フランジ138を画定する。流路面132は立面図(例えば前方から後方を見た、又はその逆から見た図)で円弧をたどる。取り付け面136及び140は前述のように弦状の面である。シュラウドセグメント118は、前述のようにスプラインシール(図示せず)用のスロットを含んでもよい。
【0027】
前部保持器250は、例えば図示したボルト252を使用してタービンケース248に固定される。前部保持器250は金属製の環状構造であり、連続するものでもよく、セグメント化されたものでもよい。前部保持器250は、径方向内側に延びるL形フック256を有するボデー254を含む。フック256は、シュラウドセグメント118の前部取り付け面136に当接する径方向外向きの支承面258を画定する。前部支承面258は前述のように弦状の面である。
【0028】
タービンケース248は後部フック264を含む。これはL形の断面を有する環状コンポーネントである。後部フック264はタービンケース248と一体に形成されてもよく、又はタービンケース248に機械的に結合される別個のコンポーネントとして形成されてもよい。後部フック264は、シュラウドセグメント118の後部取り付け面140に当接する径方向外向きの後部支承面266を画定する。後部支承面266は前述のように弦状の面である。
【0029】
図8は、代替形態のシュラウドセグメント318を示す。シュラウドセグメント318は前述のセラミックマトリクス複合(CMC)材料、又はその他の低延性材料製であり、断面形状を除けば構造は前述のセグメント18のその他の低延性材料と概ね同様である。各シュラウドセグメント318は、対向する内壁及び外壁320、322と、前後壁324及び326とによって画定される略長方形の形状を有している。シュラウド空洞328が壁320、322、324、及び326内に画定されている。内壁320は円弧状の径方向内側の流路面332を画定する。ノッチ334が前壁324内に形成され、径方向内向きの前部取り付け面336を画定する。ノッチ338は後壁326内に形成され、径方向内向きの後部取り付け面340を画定する。流路面332は立面図で円弧をたどる。取り付け面334及び340は前述のように弦状の面である。シュラウドセグメント318の端面344は、前述のようにスプラインシール(図示せず)用のスロットを含んでもよい。
【0030】
前部保持器350は、例えば図示したボルト352を使用してタービンケース348に固定される。前部保持器350は金属製の環状構造であり、連続する構造でもよく、セグメント化されていてもよい。前部保持器350は、径方向内側に延びるL形フック356付きのボデー354を含む。フック356は、シュラウドセグメント318の前部取り付け面336に当接する径方向外向きの前部支承面358を画定する。前部支承面358は、前述のように弦状の面である。
【0031】
タービンケース348は後部フック364を含む。これはL形の断面を有する環状コンポーネントである。後部フック364はタービンケース348と一体に形成されてもよく、又はタービンケース348に機械的に結合される別個のコンポーネントとして形成されてもよい。後部フック364は、シュラウドセグメント318の後部取り付け面340に当接する径方向外向きの後部支承面366を画定する。後部支承面366は前述のように弦状の面である。
【0032】
前述のシュラウド取り付け装置はタービンエンジン内に低延性シュラウドを取り付けるのに効果的である。これは摩擦力に依存せず、簡単なエアシール配置を有している。この設計は簡単であり、部品数が少ない。この構成で、シュラウドは、シュラウドを位置決めし、保持すると共に追加の封止面を形成する役割を果たす弦状の面に対して圧力負荷を受ける。この面は弦状の面であり、円弧状ではないので、2つの平坦面間を封止することができる。これによって機械適合面、又は熱成長差への依存度が低くなる。この構成によって更に、非効率なシーリングによる不慮の漏れへの信頼度が低い漏れ通路、又は既知のエリアで規定又は調整可能な冷却空気の流れをより良好に制御できる。シュラウド内に金属製コンポーネントがないので、シュラウドの径方向高さを最小限にすることができる。ハンガの必要がなく、シュラウドの径方向高さが最小限になるので、ブレードチップとタービンケースとの間に必要なスペースが少なくて済み、タービンケースを径方向に移動し、重量とコストを低減できる。
【0033】
これまでガスタービンエンジン用のタービンシュラウド取り付け装置を記載してきた。本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨と範囲から離れることなく様々な修正を行うことができることは当業者には明らかである。したがって、本発明の好ましい実施形態及び本発明を実施する最良の形態の上述の記載は、説明目的のためであるに過ぎず、限定することを目的とするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン用のシュラウド装置であって、
低延性材料からなり、対向する第1及び第2の端面の間に延びる対向する前壁及び後壁と、対向する内壁及び外壁とによって画定される断面形状を有するシュラウドセグメントを備え、前記内壁が円弧状の内部流路面を画定し、前記シュラウドセグメントが、
径方向内向きの弦状の前部取り付け面と、
径方向内向きの弦状の後部取り付け面と、
前記シュラウドセグメントを囲む環状ケースと、を含み、該環状ケースが、
前記前部取り付け面と係合する径方向外向きの弦状の前部支承面と、
前記シュラウドセグメントの前記後部取り付け面と係合する径方向外向きの弦状の後部支承面と、を含むシュラウド装置。
【請求項2】
前記前壁が、該前壁から軸方向に延び、前記前部取り付け面を画定する前部フランジを含む、前記後壁が、該後壁から軸方向に延び、前記後部取り付け面を画定する後部フランジを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記前後の壁の各々の少なくとも一部が前記外壁に対して鋭角を成して向けられると共に、前記前後壁の径方向内側の端部が径方向外側の端部よりも互いに大幅に近接する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記前壁が、該前壁内に形成され、前記前部取り付け面を画定する前部ノッチを含み、
前記後壁が、該後壁内に形成され、前記後部取り付け面を画定する後部ノッチを含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記前部支承面が、1つ又は複数の機械的ファスナによって前記ケースに取り付けられる前部保持器によって画定される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記前部保持器が、径方向内側に延びるL形のフックを有するボデーを含み、前記フックが前記前部支承面を画定する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記後部支承面が、1つ又は複数の機械的ファスナによって前記ケースに取り付けられる後部保持器によって画定される請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記後部保持器が、径方向内側に延びるL形のフックを有するボデーを含み、前記フックが前記後部支承面を画定する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ケースに取り付けられる環状ノズル支持体を更に含み、該ノズル支持体がボデーと、該ボデーから軸方向に延びるフランジとを含み、該フランジが前記支承面の1つを画定する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ノズル支持体が、径方向内向きのシールスロットを画定し、
ピストンリングが前記シールスロット内に配置され、前記ケースの内表面に接触するように径方向外側に延びる請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ノズル支持体が、前記フランジと連係して前記シュラウドセグメントの近傍の環状シールポケットを画定する軸方向に延びる環状シールトゥ−スを含む請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記シュラウドセグメントがセラミックス複合材料から成る請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記シュラウドセグメントの環状リングが、各々の取り付け面が閉多角形の形状を形成するように前記ケーシング内に環状配列で配置される請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記支承面の各々が閉多角形の形状を形成する請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−15138(P2013−15138A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−144833(P2012−144833)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】