説明

低接触抵抗PEM燃料電池

【課題】 拡散媒体と複合材料を含む集電板との間の接触抵抗が低減されたPEM燃料電池を提供すること。
【解決手段】 高分子複合材料および前記高分子複合材料と係合する拡散媒体を備える集電板を有するPEM燃料電池。高分子複合材料は、拡散媒体と係合する高導電性表面層を有することで、高分子複合材料と拡散媒体との間の接触抵抗を下げる。高導電性表面層の形成は、高分子複合材料の表面上に導電性材料を堆積させるかまたは塗り付けることで行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEM燃料電池に関し、より詳細には、高分子複合材料から形成され隣接の拡散媒体との接触抵抗が低いPEM燃料電池用集電器(たとえば二極プレート)に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車その他の応用分野における電源として、燃料電池が提案されている。燃料電池の1つとして知られているのは、PEM(すなわちプロトン交換膜)型燃料電池である。この燃料電池は、いわゆる「膜−電極−アセンブリ(MEA)」を含んでいる。MEAは、薄い固体高分子膜−電解質を備え、この膜−電解質の一方の面にアノードを有し、膜−電解質の反対側の面にカソードを有する。アノードおよびカソードは通常、細かく分割された炭素粒子と、非常に細かく分割された触媒粒子(炭素粒子上に担持されている)と、プロトン導電性材料(触媒および炭素粒子と混合されている)とを備えている。このような膜−電極−アセンブリおよび燃料電池の1つは、1993年12月21日に発行され、本発明の譲受人に譲渡されている米国特許第5,272,017号に記載されている。膜−電極−アセンブリは、アノードおよびカソード用の1対の導電性集電板の間に挟まれている。集電板は通常、燃料電池のガス反応物(すなわちHおよびO/空気)を個々のアノードおよびカソードの表面へ供給する複数の経路または溝を画定する多くのランドを含んでいる。
【0003】
マルチ・セルPEM燃料電池は複数のMEAを備えており、これらは電気的に直列に1つにスタックされ、あるMEAが次のMEAとガス透過性の導電性集電板(二極プレートとして知られる)によって隔離されている。このようなマルチ・セル燃料電池は、燃料電池スタックとして知られる。二極プレートは、一方があるセルのアノードに面し、他方がスタック内の次の隣接セルのカソードに面している2つの作用面(working face)を有している。二極プレートによって、隣接するセルの間で電流が流れる。スタックの両端の集電板はエンド・セルと接触するのみであり、エンド・プレートとして知られる。
【0004】
「拡散媒体」として知られる非常に多孔性(すなわち約60%〜80%)な導電性材料(たとえばクロス、スクリーン、ペーパー、発泡体など)が、集電板とMEAとの間に配置され、(1)ガス反応物を、集電板のランド間およびランド下で電極の全面に分配し、(2)溝に面する電極の表面からの電流を集めて、その電流を、隣接するランド(溝を画定する)へ伝えるように働く。このような拡散媒体の1つとして知られているものには、グラファイト・ペーパー(多孔度が約70体積%、未圧縮時の厚みが約0.17mm)が含まれ、東レ社からToray060の名前で市販されている。
【0005】
−O/空気PEM燃料電池の環境では、集電板は、F、SO−−、SO、HSO、CO−−、およびHCO−−などを含む非常に強い酸性溶液(pH3〜5)と常に接触している。またカソードは、非常に酸化性の環境の中で動作しており、圧縮空気にさらされている間に最大で約+1V(標準的な水素電極に対して)の極性を示す。最後に、アノードは常に水素にさらされている。したがって集電板は、燃料電池内の厳しい環境に対して耐性がなければならない。そのため集電板はこれまで、(1)グラファイトのピースから機械加工されているか、(2)高分子マトリックス(熱可塑性または熱硬化性)の全体に、約70体積%〜約90体積%の導電性フィラー(たとえばグラファイト粒子またはフィラメント)が分散された高分子複合材料からモールドされているか、(3)金属に、約30体積%〜約40体積%の導電性粒子を含む高分子複合材料がコーティングされたものから作製されていた。最後のものについては、同時係属中のFronkらの米国特許出願09/456,478号(1999年12月7日に出願)を参照されたい。この特許出願は、(1)本発明の譲受人に譲渡されており、(2)本明細書において参照により取り入れられており、(3)開示されている集電板は、金属シートに耐腐食性の導電性層がコーティングされたものから形成され、導電性層は、耐酸性かつ耐酸化性の水不溶性高分子のマトリックス(粒子を一緒に金属シートの表面に係合する)の全体に分散された複数の耐腐食性(すなわち耐酸化性かつ耐酸性)の導電性フィラー粒子を含むものである。Fronkらのタイプの複合材料コーティングは好ましくは、抵抗率が約50Ωcm以下で、厚みが約5μm〜75μm(コーティングの組成、抵抗率、および完全性に依存する)である。燃料電池スタックを通してのIR降下を小さくするために、コーティングは薄い方が好ましい。
【0006】
また軽金属たとえばアルミニウムおよびその合金も、燃料電池の集電板の製造で用いるために提案されている。残念ながらこのような金属は、PEM燃料電池の厳しい環境中では溶解しやすい。そのため軽金属の集電板に、金属または金属化合物(両方とも導電性で耐腐食性であるためその下の金属を保護する)の層をコーティングすることが提案されている。たとえば2001年7月17日に発行されたLiらのRE37,284Eを参照されたい。この文献は、本発明の譲受人に譲渡されており、軽金属コア、コア上のステンレス鋼不動態化層、およびステンレス鋼層上の窒化チタン(TiN)層を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,272,017号
【特許文献2】米国特許出願第09/456,478号
【特許文献3】RE37,284E
【特許文献4】米国特許出願第09/871,189号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
拡散媒体と複合材料を含む集電板との間の接触抵抗が低減されたPEM燃料電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述したような高分子複合材料から全体がまたは少なくとも一部が形成された集電板を用いるPEM燃料電池に関する。高い接触抵抗が、拡散媒体とこのような複合材料から形成される集電板との間に存在する。それは拡散媒体が多孔性であり(約60%〜80%の多孔度)、拡散媒体と係合する複合材料の表面に含まれる導電性フィラーが70体積%未満(典型的には約30体積%〜約40体積%)であるからである(残り部分は非導電性の高分子マトリックス材料である)。したがって拡散媒体と複合材料との間に電流の流れが生じるのは、拡散媒体の導電性ストランドが複合材料の導電性フィラーと接触する場所のみである。以下のような場所では電流は全く流れない。(1)拡散媒体のストランドが複合材料の高分子マトリックス材料と接触しているか、または(2)複合材料の導電性フィラーが拡散媒体のポアと接触している。
【0009】
本発明によって、PEM燃料電池の拡散媒体と複合材料を含む集電板との間の接触抵抗が低減される。より具体的には、本発明は、(1)1対の反対極性の電極であって、それぞれ、燃料電池の反応物にさらされる第1の面と、前記電極間にある膜−電解質と係合する第2の面とを有する電極と、
(2)前記第1の面と係合して、前記第1の面上に前記反応物を分配し、前記第1の面からの電流を通す多孔性な導電性拡散媒体と、(3)前記拡散媒体と係合し、前記媒体からの電流を通す集電板(たとえば二極プレート)とを備える少なくとも1つのセルを有するPEM燃料電池に関する。集電板は、耐酸化性かつ耐酸性材料の水不溶性高分子マトリックス全体に分散された耐腐食性の導電性フィラーを含む第1の導電性の高分子複合材料を備える。高分子マトリックスは、熱可塑性または熱硬化性の何れであっても良く、好ましくは、エポキシ、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェノール、フルロエラストマー、ポリエステル、フェノキシフェノール樹脂、エポキシドフェノール樹脂、アクリル、およびウレタンからなる群から選択される。複合材料中の導電性フィラーは、(1)好ましくは、金、白金、グラファイト、導電性炭素、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、および希土類金属からなる群から選択され、(2)多くの物理的形態(たとえば細長いフィラメント、または回転楕円体粒子、フレーク状粒子、微小繊維からなる粒子、またはこのような粒子の集合体)を取ることができる。微小繊維からなる別個の粒子を好ましくは、電流が集電板を通って流れる方向に概略的に配向させる。これはたとえば、同時係属中のBlunkらの米国特許出願第09/871,189号(2001年5月31日に出願)に記載されている。この特許出願は、本発明の譲受人に譲渡されており、また本明細書において参照により取り入れられている。本発明が特に効果的であるのは、集電板が、導電性フィラメント(たとえばグラファイトまたは炭素)を含むフィラーを有する複合材料から形成され、導電性フィラメントが集電板の厚みを通って(すなわち電流が集電板を流れる方向に)延びている場合である。
【0010】
本発明には、集電板の複合材料部材を覆い、拡散媒体と係合する耐酸化性かつ耐酸性の表面層が含まれる。表面層は、その下の高分子複合材料の導電性よりも高い第2の導電性を有する(以後、「高導電性の」と表現する。請求項でもこの語を使用している)。表面層は、複合材料に付着する別個の層であっても良いし、一体化した層であっても良い。一体化した層は、追加の導電性粒子を複合材料の表面に埋めるか、または複合材料からの既存のフィラーを複合材料の外部表面上に塗り付けることによって形成する。高導電性の表面は好ましくは、抵抗率がその下の複合材料よりも少なくとも1桁小さく、最も好ましくはその下の複合材料の少なくとも100分の1である。高導電性の表面は、高分子複合材料と拡散媒体との間の接触抵抗を減らす働きをする。これは媒体を通過する電流を、高分子複合材料内の、表面層と複合材料との界面に存在する導電性粒子へ分流することによってなされる。本発明が最も有益であると考えられるのは、スタック圧縮圧力が低い(すなわち<150psiの)場合であるが、スタック圧縮圧力が高い(すなわち>200psiの)場合においても有効であり、特に高分子複合材料の導電性粒子の配合が約70体積%未満の場合である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、集電板全体を高分子複合材料から作製(たとえばモールド)した後、高導電性表面層をコーティングする。他の実施形態においては、集電板は、高分子複合材料層の下に配置される金属基板(たとえばスタンピングされた金属シート)を備え、高分子複合材料層に本発明の高導電性表面層をコーティングする。さらに他の実施形態においては、金属基板は、酸不溶性かつ酸化可能な第2の金属(たとえばチタンまたはステンレス鋼)の下に配置される酸溶性の第1の金属(たとえばアルミニウム)と、第2の金属上の高分子層と、高分子複合材料コーティング上の本発明の高導電性層とを備える。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、高導電性表面層は、複合材料の表面に埋められた複数の隣接する別個の耐酸化性かつ耐酸性の導電性粒子(最も好ましくはグラファイト)を含んでいて、表面における導電性粒子の濃度が複合材料の残り部分全体の濃度よりも高くなっている。好適な代替的な粒子には、金、白金、導電性炭素、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、および希土類金属が含まれる(すなわち高分子複合材料で用いる粒子と同じである)。他の実施形態においては、高導電性表面層は、前記複合材料の表面上の耐酸化性かつ耐酸性の連続導電性皮膜(たとえば金属、グラファイト・炭素、高導電性高分子複合材料など)を含む。連続皮膜は好ましくは、複合材料上に、蒸着させるか、スプレーするか、または無電解で堆積させる。これは従来の物理蒸着法(PVD)、スプレー、または無電解(別名、自己触媒)堆積技術(当該技術分野において良く知られている)を用いて行なう。
【0013】
また本発明には、PEM燃料電池の集電板を製造するための好ましいプロセスであって、前記集電板を少なくとも部分的に、耐酸化性かつ耐酸性の水不溶性高分子マトリックス全体に分散された複数の第1の導電性粒子を含む高分子複合材料から形成するステップと、十分な量の第2の導電性粒子を複合材料の表面に付着させて、その表面にその下の複合材料の導電性よりも著しく高い(すなわち数桁高い)導電性を与えるステップとを含むプロセスが含まれる。第2の粒子を複合材料へ塗布することを、スプレー、ブラッシング、ふるい分け、流動床浸漬などによって行なっても良い。また第2の粒子を表面へ埋めることを、表面が粘着性状態にあるときに表面へ衝突させるかまたは単純に押し付けることによって行なっても良い。好ましい方法によれば、集電板の製造は、(1)導電性基板(すなわち複合材料または金属)に、耐酸化性かつ耐酸性の水不溶性高分子全体に分散された複数の第1の導電性粒子を含む未硬化または未乾燥の複合材料の粘着性層をコーティングし、(2)複数の第2の導電性粒子を粘着性層の表面上に堆積させて、表面の導電性を、複合材料の残り部分の導電性を超える値に増加させ、(3)未硬化/未乾燥のコーティング材料を硬化/乾燥させることによって行なう。最も好ましくは、第2の粒子を複合材料上に、粒子を未硬化/未乾燥のコーティング材料中に埋めるのに十分な圧力でスプレーする(サンド・ブラスティングにならって)。次にコーティングを硬化/乾燥させて、粒子を所定の場所に固定する。硬化/乾燥の後に、わずかな未付着粒子も表面からブラッシュするかブローする。代替的に高分子複合材料の表面を、スプレーの前に加熱するかまたは溶媒で濡らして、表面を柔らかくすることによって、第2の粒子の埋め込みを受け入れやすくしても良い。さらに他の代替案によれば、乾燥/硬化された高分子複合材料の表面を軽く研磨して(たとえば細かいサンド・ペーパーによって)、導電性フィラー上に形成されている場合があるわずかな高分子外皮も除去し、研磨されたフィラーをその下の表面上に塗り付けることによって、表面の導電性を表面の下の複合材料のバルクの導電性よりも高くする。
【0014】
本発明によって、複合材料を含む集電板と拡散媒体との間の接触抵抗が低減される。その結果、必要なスタック圧縮が低く、小さく、能率的で、熱負荷が小さいPEM燃料電池を製造することができる。圧縮を低くするだけでも、スタックの耐久性が改善され、より薄いサイドおよびエンド・プレートを用いることが可能になり、フロー・フィールドのランドの下のガス流れが改善され、より均一な電流分布が得られる。
【0015】
本発明は、複数の図とともに後に示される、ある特定の実施形態についての以下の詳細な説明を考慮することによって、より良好に理解される。
【発明の実施の形態】
【0016】
図1に2つの電池、二極型PEM燃料電池スタックを示す。これは、1対の膜−電極−アセンブリ(MEA)4および6を有し、これらのアセンブリは、液体冷却された導電性の二極プレート8によって互いに分離されている。MEA4および6ならびに二極プレート8は、ステンレス鋼クランピング・プレート10および12ならびに集電板エンド・プレート14および16の間に、一緒に積み重ねられている。クランピング・プレート10および12によって、圧縮力をスタックに加える。これはボルト(図示せず)(クランピング・プレート10、12の角の開口部13を通過する)を用いて行なわれる。エンド・プレート14および16は、二極プレート8の両側の作用面と同様に、複数の溝または経路18、20、22、および24を備えていて、燃料および酸化剤ガス(すなわちHおよびO)をMEA4および6に分配するようになっている。非導電性ガスケット26、28、30、および32は、燃料電池スタックの複数の部材間のシールおよび電気絶縁をしている。ガス透過性炭素/グラファイト拡散媒体34、36、38、および40は、MEA4および6の電極面に対して押圧している。エンド・プレート14および16は、炭素/グラファイト拡散媒体34および40を、それぞれ押圧している。一方で二極プレート8は、MEA4のアノード面上の炭素/グラファイト媒体36に対して、またMEA6のカソード面上の炭素/グラファイト媒体38に対して、押圧している。酸素が燃料電池スタックのカソード側に、貯蔵タンク46から適切な供給配管42を介して供給される。一方で水素が、燃料電池のアノード側に、貯蔵タンク48から適切な供給配管44を介して供給される。その代わりに、空気をカソード側に周囲から供給し、また水素をアノードにメタノールまたはガソリンの改質装置から供給するなどしても良い。またMEAのH側およびO/空気側の両方に対する排出配管(図示せず)が、設けられている。冷却液を二極プレート8とエンド・プレート14および16とに供給するために、配管50、52、および54がさらに設けられている。また冷却液をプレート8ならびにエンド・プレート14および16から排出するための適切な配管が設けられているが、図示していない。
【0017】
図2は、二極プレート56の分解組立図を示す等角図である。二極プレート56は、第1の外部金属シート58、第2の外部金属シート60、および内部スペーサー金属シート62(第1金属シート58と第2金属シート60との間にある)を備える。外部金属シート58および60はできるだけ薄く作られている(たとえば約0.002から0.02インチ厚み)。これらのシート58および60の作製は、スタンピング、フォトエッチング(すなわちフォトリソグラフィ・マスクを通して)、またはシート状金属を形成する従来の他のどのプロセスによって行なっても良い。外部シート58は、その外側に第1の作用面59を有する。第1の作用面59は、膜−電極−アセンブリ(図示せず)に面しており、複数のランド64(その間に複数の溝66を画定する)を与えるように形成されている。複数の溝66は、「フロー・フィールド」として知られており、これを通って燃料電池の反応ガス(すなわちHまたはO)が、蛇行性の経路の中を二極プレートの一方の側68から他方の側70へ流れる。燃料電池が完全に組み立てられれば、ランド64は、炭素/グラファイト媒体36または38(図1参照)に対して押圧し、炭素/グラファイト媒体36または38もまた、MEA4および6に対してそれぞれ押圧する。作図を簡単にするために、図2ではランドおよび溝の2つのアレイのみを示している。実際には、ランドおよび溝は、金属シート58および60(炭素/グラファイト拡散媒体36および38と係合する)の外面の全てを覆っている。反応ガスは溝66に、母管またはマニフォールド溝72(燃料電池の一方の側68に沿って配置される)から供給され、溝66を出て、別の母管/マニフォールド溝74(燃料電池の反対側70に隣接して配置される)を通る。図3に最も良く示すように、シート58の下側には、複数の隆起部76が設けられている。複数の隆起部76の間に複数の経路78が画定され、燃料電池の動作中に、冷却液が経路78を通過する。図3に示すように、冷却液経路78が各ランド64の下に配置され、一方で反応ガス溝66が各隆起部76の下に配置される。その代わりに、シート58を平坦にして、フロー・フィールドを別個の材料シート内に形成しても良い。
【0018】
金属シート60はシート58と同様である。シート60の内部面61(すなわち冷却液側)を図2に示す。この点において、複数の隆起部80が示され、複数の隆起部80の間に複数の経路82が画定されている。経路82を通って冷却液が、二極プレートの一方の側69から他方71へ流れる。シート58と同様に、また図3に最も良く示されるように、シート60の外側には作用面63が設けられ、その上に複数のランド84が設けられている。ランド84によって複数の溝86が画定され、溝86を反応ガスが通過する。内部金属スペーサ・シート62が外部シート58と60との間に配置されている。スペーサ・シート62の内部には複数の開口部88が設けられていて、冷却液が、シート60の経路82とシート58の経路78との間を流れるようになっている。その結果、層流境界層を壊して乱流が生じる。乱流によって、外部シート58および60のそれぞれの内部面90および92との熱交換が増す。
【0019】
図4は、図3の一部を拡大した図である。図4には、第1のシート58上の隆起物76、第2のシート60上の隆起物80が示されている。隆起物76、80は、(たとえば蝋付け(brazement)85によって)スペーサ・シート62に接合されている。二極プレートの作用面59および63は、導電性で耐酸化性かつ耐酸性の保護材料を含む複合材料のコーティング94によって覆われている。コーティング94は、抵抗率が50Ωcm未満で、耐酸性で耐酸化性の高分子マトリックス全体に分散された複数の耐酸化性かつ酸不溶性の導電性粒子(すなわち約50μm未満)を含んでいる。導電性フィラー粒子は、金、白金、グラファイト、炭素、パラジウム、ニオブ、ロジウム、ルテニウム、および希土類金属からなる群から選択される。最も好ましくは、粒子は導電性炭素およびグラファイトを、約25重量%の配合で含む。高分子マトリックスには、薄い粘着性フィルムに形成することができて、燃料電池の厳しい酸化性かつ酸性の環境に耐えられるどんな水不溶性高分子も含まれる。したがってこのような高分子として、たとえばエポキシ、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェノール、フルロエラストマー(たとえばポリビニリデンフルオライド)、ポリエステル、フェノキシフェノール樹脂(phenoxy−phenolics)、エポキシドフェノール樹脂(epoxide−phenolics)、アクリル、およびウレタンが特に、複合材料コーティングに対して有用であると考えられる。架橋された高分子が、不透過性コーティングを作製するのには好ましく、ポリアミドイミド熱硬化性高分子が最も好ましい。高分子複合材料層を塗布するために、ポリアミドイミドを次のような溶媒に溶かす。N−メチルピロリドン、プロピレングリコール、およびメチルエーテルアセテートの混合物に、グラファイトおよび炭素・ブラックの粒子の混合物を約21重量%〜約23重量%で添加したものを含む溶媒。グラファイト粒子のサイズは約5μm〜約20μmであり、炭素・ブラック粒子のサイズは約0.5μm〜約1.5μmである。混合物を基板上にスプレーして、乾燥させた(すなわち溶媒を蒸発させた)後、硬化させることで、15〜30μm厚みのコーティング(好ましくは約17μm)が、約38重量%の炭素・グラファイト含有量で得られる。硬化は、低温(すなわち<華氏400度)でゆっくり行なっても良いし、次のような2ステップ・プロセスでより急速に行なっても良い。すなわち最初に溶媒を、10分間、華氏約300度〜350度で加熱して取り除き(すなわち乾燥させる)、次により高い温度(華氏500度〜750度)で、約1/2分〜約15分の種々の時間(使用する温度に依存する)で加熱して、高分子を硬化する。後述するように、本発明の好ましい実施形態の高導電性表面層を、乾燥および硬化の前であって複合材料がまだ粘着性のある間に塗布する。
【0020】
集電板の構造部材を形成する基板金属58、60には、次のような腐食されやすい金属が含まれる。たとえば(1)アルミニウム(電池内で形成される酸によって溶解され得る)、(2)チタンまたはステンレス鋼(表面への酸化物層の形成によって酸化/不動態化される)。導電性高分子コーティングを基板金属へ直接塗布した後、乾燥/硬化させても良いし、導電性高分子複合材料層94を塗布する前に、基板金属(たとえばAl)を、酸化可能な金属(たとえばステンレス鋼)で最初に覆っても良い(前述のLiらを参照)。複合材料層は種々の方法で塗布することができる。たとえばブラッシング、スプレー、スプレッディング、または事前に形成されたフィルムの基板上へのラミネーティングによって行なう。
【0021】
図5に示すように、導電性高分子複合材料コーティング94を、酸化可能/不動態化金属の層96が事前にコーティングされた、酸に溶解可能な基板金属(たとえばAl)58および60に塗布する。この点において、金属のバリア/保護層96(たとえばNi/Crリッチなステンレス鋼)(低抵抗な不動態化酸化物フィルムを形成する)を基板58、60上に最初に堆積し、次にバリア層96を高分子複合材料層94で覆う。
【0022】
本発明によれば、集電板の複合材料部材に、高導電性外部表面層(表面層の下にある複合材料の残りの部分よりも導電性が著しく高い)を設ける。したがって、たとえば図4および6に示すように、二極プレートは金属(たとえばステンレス鋼またはチタン)プレート58および60を備え、各プレートには複合材料94がコーティングされ(前述のFronkらにならって)、複合材料94にも表面層100、102(外部層の下にある複合材料の残りの部分よりも導電性が高い)が設けられている。表面層100、102は拡散媒体と係合しているため、接触抵抗が、導電性が高い表面層がない場合に複合材料層94と拡散媒体との間に存在するであろう抵抗よりも、低くなる。同様に、図5に示すように、腐食されやすい金属板(たとえばアルミニウム)に、最初に耐腐食性の金属層96(たとえばステンレス鋼、チタンなど)をコーティングして、次に複合材料層94をコーティングし、次に本発明の導電性が高い層100、102をコーティングする。
【0023】
図7に本発明の他の実施形態を示す。ここでは集電板の本体全体を複合材料104で作製(たとえばモールド)した後、導電性が高い表面層106を複合材料の外部面(拡散媒体と係合する)上に形成する。
【0024】
図8に本発明の作用を示す。図8では、図4および6に示すような集電板を有するPEM燃料電池のハーフセルを示す。より具体的に言えば、図8は、以下のような集電板を備える本発明によるPEM燃料電池の拡大部分を示す。すなわち集電板は、金属板108、金属板108上の導電性複合材料コーティング110、複合材料コーティング110上の高導電性表面層112(その下の複合材料コーティング110よりも導電性が高い)、高導電性表面層112と係合する導電性多孔性拡散媒体114(たとえばグラファイト・ペーパー)、およびMEA116(拡散媒体114と係合する)を備える。複合材料層110は、複数の導電性粒子(たとえばグラファイトおよび炭素・ブラック)111を含んでおり、導電性粒子111は高分子マトリックス113の全体に拡散されている。複数の導電性ブリッジ115が、複数の粒子111に隣接することによって形成される。ブリッジは、電流の流れを複合材料110を通して伝える働きをする。代替的にブリッジ115は、単一のフィラメント(たとえばグラファイト繊維)を備えることができる。MEA116は、膜−電解質118、および触媒層120(MEA116の表面上の電極を形成する)を備える。動作中は、電子が電極120から拡散媒体114内に移動し、それから高導電性層112へ移動する。電子は、高導電性層112を通って横方向に容易に移動する。この移動は、導電性ブリッジ115(複合材料110を通して電流を流すことができる)と遭遇するまで続く。したがって高導電性層112は本質的に、複合材料110と高導電性層112との界面122の抵抗性の高い領域から、この界面の導電性が高い領域(すなわち導電性粒子111が存在する場所)へ、電流を分流する。
【0025】
本発明による高導電性層の第2の粒子を、複合材料へ多くの方法で塗布しても良い。好ましい方法によれば、複合材料を導電性基板(たとえば金属または全ての高分子複合材料)上に、第1の導電性粒子(たとえばグラファイト)、高分子、および高分子用溶媒の混合物としてスプレーする。スプレーによって、粘着性のある複合材料コーティングが基板上に残る。次に、乾燥した第2の導電性粒子(たとえばグラファイト)を粘着性のある複合材料コーティング上に、スプレーするかそうでなければ塗布して、付着させる。スプレー圧力が低い(すなわち<約10psiの)場合には、第2の導電性粒子は複合材料の表面に単に付着するだけだが、スプレー圧力が高い(すなわち>約40psiの)場合には、第2の粒子は複合材料の表面により深く埋められる。第2の粒子を堆積した後、複合材料を、加熱によって乾燥および/または硬化させる。硬化/乾燥の時間および温度は、高分子マトリックスの組成によって変わる。その代わりに、第2の粒子を複合材料へ塗布することを、ブラッシング、ふるい分け、流動床、または同様の技術によって行なっても良い。金属基板の場合には、複合材料の少なくとも2つの層を、より導電性の高い最上層を塗布する前に堆積させて、金属基板に対する付加的な腐食防止を行なうことが好ましいかも知れない。2つの複合材料層を用いるときには、最初の層を、前述したようにスプレーして乾燥させても良い。この層の硬化は、第2の複合材料層を塗布する前であっても良いし、そうでなくても良い。本発明の高導電性層を第2の複合材料層に、前述と同様の方法で塗布する。集電板全体を複合材料で作製(たとえばモールド)したときには、本発明の高導電性層の第2の導電性粒子を複合材料の表面に直接塗布しても良いし、前述したように複合材料の表面に別個の複合材料層をコーティングしても良い。前者の場合、複合材料の表面を柔らかくすることで、第2の導電性粒子をより受け入れやすく保持しやすくすることが望ましい。柔らかくすることは、表面を好適な溶媒でワイピング/スプレーすることで、または表面を加熱することで行なっても良い。第2の導電性粒子を複合材料の表面へ、表面がまだ柔らかい間に塗布し、次に必要に応じて乾燥または冷却して第2の粒子を所定の位置へ固定する。硬化または乾燥もしくは冷却の後、どれを用いた場合であっても、未付着のゆるい第2の導電性粒子を、表面からブローするかブラッシングする。
【0026】
また乾燥/硬化させた複合材料の表面を少し研磨することでも、複合材料の表面の導電性はその下の複合材料よりも高くなる(すなわち高導電性になる)。したがって本発明による集電板を作製する代替的な技術は、集電板を少なくとも部分的に複合材料から作製した後、細かい研磨材で軽く磨いてわずかな高分子外皮も(表面のフィラーを覆っている場合がある)除去し、研磨された層内のフィラーをその下の表面上に塗り付けることによって、表面の導電性を高めることである。たとえば複合材料がグラファイトと炭素・ブラックの混合物を約30%含む場合、0000グリットのSiCサンド・ペーパーを用いて、表面の色が黒からグレーに変わるまで軽く磨くことは、表面をその下の高分子複合材料と比べて高導電性にするのに非常に有効であることが分かっている。
【0027】
代替的に、本発明の高導電性表面層は、複合材料の表面に堆積された導電性材料の薄い連続皮膜を含んでいても良い。連続が意味する皮膜は、1つのまとまったものとして剥がれることができ、多数の別個の粒子(互いに接触しているが一体にはなっていない)と区別できるものである。皮膜の化学組成は、上で特定した第2の粒子と同じであっても良い。しかし皮膜は、複合材料上に次のような良く知られた方法でメッキする。すなわち電気メッキ、無電解メッキ、PVD(物理蒸着法)、またはスパッタリング技術である。この点において、金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、および白金は、複合材料の表面上に容易に電気メッキできる。また金、パラジウム、および白金は、複合材料の表面上に容易に無電解メッキできる。PVDまたはスパッタリングを用いることで、高導電性表面層を構成するものとして上で特定した全ての導電性材料を堆積することができる。電気メッキ・プロセスにおいては、複合材料を、堆積させる金属の塩を含む電解液を有する電気メッキ槽内のカソードとして作製する。電流が電解槽を適切な電位で通過すると、所望する金属が、カソードの複合材料の表面上に堆積する。無電解(すなわち自己触媒)プロセスにおいては、複合材料の表面に触媒をシードした後に、堆積すべき金属のイオンを含む浴槽にさらす。触媒によって金属イオンの元素金属への還元が始まり、金属皮膜が基板表面上に形成される。PVDおよびスパッタリング・プロセスにおいては、メッキすべき材料が、蒸気から基板上に凝縮する。また高導電性の連続皮膜は、高導電性高分子複合材料層(フィラーの配合がその下の複合材料基板よりも高い(たとえば>90%))を含んでいても良い。このような高配合高分子複合材料を基板上に、ロール、ブラッシュ、ドクター・ブレード、またはスプレーしても良い。
【0028】
図9および10は、ステンレス鋼およびチタン基板のそれぞれに対して、本発明によって達成され得る低減された接触抵抗を示すグラフである。チタン試料は研磨パッドで磨いて、表面上のわずかな絶縁性酸化物も取り除いた。ステンレス鋼試料は、カソードとして、5〜50mA/cmで5分から30分間、0.1〜1.0モルの硫酸溶液中で清浄することで、酸化物の厚みを減らした。このように研磨/清浄された試料に、第1の複合材料層をスプレー・コーティングした。第1の複合材料層は、ポリアミドイミド高分子マトリックスの全体に分散された約30体積%のグラファイトおよび炭素・ブラック粒子を含んでいる。コーティングされた試料を、150℃で10分間フラッシュ乾燥させて、溶媒を除去しコーティングを固化させた。試料を硬化させることなく、同じ複合材料の2回目のコーティングを試料に施した後、第2の複合材料コーティング上にグラファイト・フレークの高導電性層をスプレーした。次に試料を、溶媒を150℃で10分間フラッシングさせて乾燥させた後、第1および第2の複合材料コーティングを260℃で15分間、硬化させた。未付着のゆるいグラファイト粒子を、基板からブローした。次に試料を、拡散媒体(東レ社から販売され、TGP−H−1.0Tとして識別される)に接合して、接触抵抗試験を行なった。対照試料を、同じステンレス鋼およびチタン金属から作製して、同じ2つの複合材料層をコーティングした。しかし対照試料には、グラファイト・フレークの高導電性表面層は設けなかった。これらの比較試験の結果を、図9(ステンレス鋼)および図10(チタン)に示す。両方の図が示すところによれば、本発明により調製した(すなわち高導電性層を設けた)5つの試料の接触抵抗は、試料および拡散媒体に印加した圧力の広い範囲に渡って、5つの対称試料の接触抵抗よりも著しく低い。他の試験において高導電性層の安定性が実証されており、本発明によって作製された試料の接触抵抗は、前述したように、燃料電池に類似する環境での腐食試験中に増加しなかった。
【0029】
本発明を特定の実施形態について説明してきたが、本発明をそれらに限定することは意図しておらず、本発明は特許請求の範囲に記載された範囲のみに限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液体冷却されたPEM燃料電池スタックの分解組立図を示す概略等角図である(2つのセルのみを示す)。
【図2】図1に示したようなPEM燃料電池スタックに対して有用である二極プレートの分解組立図を示す概略等角図である。
【図3】図2の3−3の方向に見た断面図である。
【図4】図3の二極プレートの拡大部分図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す二極プレートの拡大断面図である。
【図6】図4の拡大部分図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す二極プレートの拡大断面図である。
【図8】本発明の作用を示すPEMのハーフセルの拡大断面図である。
【図9】複合材料がコーティングされたステンレス鋼プレートに対して、本発明の導電性の高い表面層がある場合とない場合との接触抵抗を比較するグラフ図である。
【図10】複合材料がコーティングされたチタンプレートに対して、本発明の導電性の高い表面層がある場合とない場合との接触抵抗を比較するグラフ図である。
【符号の説明】
【0031】
4、6、116 MEA
8 二極プレート
10 クランピング・プレート
14 エンド・プレート
18、20、78、82 経路
26、28 非導電性ガスケット
34、36,38、40 ガス透過性炭素/グラファイト拡散媒体
42、44 供給配管
46、48 貯蔵タンク
50、52 配管
56 二極プレート
58、60 外部金属シート
59、63 作用面
61、90、92 内部面
62 内部金属スペーサ・シート
64、84 ランド
66、86 溝
72、74 マニフォールド溝
76、80 隆起部
88 開口部
94、110 導電性高分子複合材料層コーティング
96 保護層
100、102、106,112 高導電性表面層
104 複合材料
108 金属板
111 導電性粒子
113 高分子マトリックス
114 導電性多孔性拡散媒体
115 導電性ブリッジ
118 膜−電解質
120 触媒層
122 界面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)それぞれが、燃料電池の反応物にさらされる第1の面と、前記電極間にある膜−電解質と係合する第2の面とを有する1対の反対極性の電極と、
(b)前記第1の面と係合して、前記第1の面上に前記反応物を分配し、前記第1の面からの電流を通す多孔性導電性媒体と、
(c)前記多孔性導電性媒体と係合し、前記多孔性導電性媒体からの電流を通す集電器であって、耐酸化性かつ耐酸性の水不溶性高分子マトリックス全体に分散された耐腐食性の導電性フィラーを含む第1の導電性の複合材料を備える集電器とを備える少なくとも1つのセルを有するPEM燃料電池において、
前記集電器上に設けられ前記多孔性導電性媒体と係合する耐酸化性かつ耐酸性の高導電性表面層を備え、
前記耐酸化性かつ耐酸性の高導電性表面層は、前記第1の導電性よりも高い第2の導電性を有し、前記多孔性導電性媒体を通過する電流を、前記高導電性表面層内を通して、前記高導電性表面層と前記複合材料との界面に存在する前記複合材料内のフィラーへ分流し、それによって、前記高導電性表面層がない場合には前記複合材料と前記多孔性導電性媒体との間に存在するはずの接触抵抗を低減する、少なくとも1つのセルを有するPEM燃料電池。
【請求項2】
前記フィラーは、金、白金、グラファイト、導電性炭素、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、および希土類金属からなる群から選択される請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記フィラーには複数の粒子が含まれる請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記集電器は全体が前記複合材料から構成される請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記集電器は、前記複合材料のコーティングが設けられた金属基板を含む請求項1に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記粒子は微小繊維からなり、電流が複合材料を通って流れる概略的な方向に配向している請求項3に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記フィラーには、前記複合材料の厚みを通って延びる連続繊維が含まれる請求項1に記載の燃料電池。
【請求項8】
少なくとも1つの前記集電器は、ある前記セルのアノードと次の隣接するセルのカソードとに面する二極プレートである請求項1に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記基板は、前記複合材料と係合する酸不溶性で酸化可能な第2の金属層の下に配置される酸溶性の第1の金属を備える請求項5に記載の燃料電池。
【請求項10】
前記金属は、チタン、ステンレス鋼、およびアルミニウムからなる群から選択される請求項5に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記高分子マトリックスは、エポキシ、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェノール、フルロエラストマー、ポリエステル、フェノキシフェノール樹脂、エポキシドフェノール樹脂、アクリル、およびウレタンからなる群から選択される請求項1に記載の燃料電池。
【請求項12】
(a)それぞれが、燃料電池の反応物にさらされる第1の面と、前記電極間にある膜−電解質と係合する第2の面とを有する1対の反対極性の電極と、
(b)前記第1の面と係合して、前記第1の面上に前記反応物を分配し、前記第1の面からの電流を通す多孔性導電性媒体と、
(c)前記多孔性導電性媒体と係合し、前記多孔性導電性媒体からの電流を通す集電器であって、耐酸化性かつ耐酸性の水不溶性高分子マトリックス全体に分散された耐腐食性の導電性フィラーを含む第1の導電性の複合材料を備える集電器とを備える少なくとも1つのセルを有するPEM燃料電池において、
前記集電器上に設けられ前記多孔性導電性媒体と係合する高導電性表面層を備え、
前記高導電性表面層は、前記第1の導電性よりも高い第2の導電性を有し、前記多孔性導電性媒体に面する前記複合材料の表面に付着する複数の耐酸化性かつ耐酸性の導電性粒子を備える改良されたPEM燃料電池。
【請求項13】
前記粒子はグラファイトを含む請求項12に記載のPEM燃料電池。
【請求項14】
前記粒子は前記表面に少なくとも部分的に埋められている請求項12に記載のPEM燃料電池。
【請求項15】
(a)それぞれが、燃料電池の反応物にさらされる第1の面と、前記電極間にある膜−電解質と係合する第2の面とを有する1対の反対極性の電極と、
(b)前記第1の面と係合して、前記第1の面上に前記反応物を分配し、前記第1の面からの電流を通す多孔性導電性媒体と、
(c)前記多孔性導電性媒体と係合し、前記多孔性導電性媒体からの電流を通す集電器であって、耐酸化性かつ耐酸性の水不溶性高分子マトリックス全体に分散された耐腐食性の導電性フィラーを含む第1の導電性の複合材料を備える集電器とを備える少なくとも1つのセルを有するPEM燃料電池において、
前記集電器を覆い前記多孔性導電性媒体と係合する高導電性表面層を備え、
前記高導電性表面層は、前記第1の導電性よりも高い第2の導電性を有し、耐酸化性かつ耐酸性の連続皮膜を、前記多孔性導電性媒体に面する前記複合材料の表面上に備える改良されたPEM燃料電池。
【請求項16】
前記皮膜は、蒸着させた導電体を含む請求項15に記載のPEM燃料電池。
【請求項17】
前記皮膜は、無電解で堆積させた金属を含む請求項15に記載のPEM燃料電池。
【請求項18】
前記皮膜は、耐酸化性かつ耐酸性の高分子マトリックス全体に分散された複数の耐腐食性の導電性粒子を含む請求項15に記載のPEM燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−288220(P2008−288220A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−211464(P2008−211464)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【分割の表示】特願2002−312455(P2002−312455)の分割
【原出願日】平成14年10月28日(2002.10.28)
【出願人】(590001407)ゼネラル・モーターズ・コーポレーション (118)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL MOTORS CORPORATION
【Fターム(参考)】