説明

低温硬化用の促進剤系

成分A)としての一般式(I)の1−イミダゾリルメチル置換2−ナフトール化合物[式中、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、H;C1−17アルキル;C1−4アルキル基により置換されていてもよいC3−12シクロアルキル;C1−4アルキル基により置換されていてもよいC4−20シクロアルキル−アルキル;1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC6−10アリール;1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキル;C3−17アルケニル;C3−12アルキニル;または芳香族もしくは脂肪族C3−12アシルであり;R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、H;C1−12アルキル;C1−4アルキル基により置換されていてもよいC3−12シクロアルキル;C1−4アルキル基により置換されていてもよいC4−20シクロアルキル−アルキル;1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC6−10アリール;1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキル;C3−17アルケニル;C3−12アルキニル;C1−12アルコキシ;またはOHである];および成分B)としての室温で液体であるフェノール類を含み、成分A)と成分B)の重量比が10:90〜80:20である組成物;圧縮成形用配合物、焼結用粉末、封入系、キャスチング樹脂として、または含浸法および射出法を用いる、きわめて良好な層間剪断強さ値をもつプレプレグおよび積層品の製造のために、部材、特に大きな表面積をもつ部材の製造に使用される硬化性エポキシ樹脂組成物のための促進剤としての前記組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾された1−イミダゾリルメチル置換−2−ナフトール化合物に基づく新規なマンニッヒ塩基、ならびに積層品において高ILS値を可能にする、特に湿式レイアップ法および他の含浸法による含浸に用いるエポキシ樹脂系のための促進剤としてのそれらの使用に関する。本発明の促進剤はさらに、200℃より低い温度、特に150〜180℃の温度で実施される、焼結用粉末、キャスチング樹脂および圧縮成形用配合物の用途に適切である。
【0002】
エポキシ樹脂に関連する化合物1−イミダゾリルメチル−2−ナフトールおよび他のイミダゾール系の触媒および促進剤は知られている。
しかし、慣用されるイミダゾール類、たとえばイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールまたは2−フェニルイミダゾール類は、それらをプレプレグ配合物に用いた場合、多くのエポキシ樹脂配合物において室温でのプレプレグの貯蔵安定性(略して保存時間)が不適切となる。
【0003】
これまで、有機酸または無機酸との塩の形成によりイミダゾール類の反応性を低下させることに注目することによって、この問題を解決する試みがなされた:たとえばUS3,356,645およびUS5,001,212を参照。それらの場合、プレプレグの保存時間の改善は達成されたが、それらはまだ多くの用途について不十分である。
【0004】
保存時間を改善するための他の方法は、イミダゾール類を金属塩と反応させることによりイミダゾー錯体を形成することである:たとえばUS4,101,514およびUS4,487,914を参照。一般に、この方法で達成できる保存時間の改善は、加工温度の上昇という犠牲のもとで得られる。さらに、硬化したエポキシ樹脂系中に存在する金属錯体は誘電値の低下をもたらし、吸水性も増大させる。しかし多くの用途において、吸水性に実質的な変化がないことが要求される。さもなければ、ガラス転移温度が降下し、このため含浸した部材の機械的、電気的および熱的特性がかなり変化する可能性があるからである。
【0005】
EP 0 761 709には、前記に述べた欠点の回避を実質的に可能にする触媒としての1−イミダゾリルメチル置換2−ナフトール化合物が記載されている。これらの化合物は、エポキシ樹脂系において室温での系全体の保存時間を顕著に改善する安定なマンニッヒ塩基である。そのような触媒を含む配合物は、110〜150℃の温度範囲で速やかに硬化することができる。この種の物質は、比較的高いガラス転移範囲をもつ良好な機械的特性を示す。そのような触媒を含むプレプレグは、室温で最高16日間、問題なく貯蔵して積層品に加工することができる。
【0006】
大きな表面積をもつ好ましい価格の部材を製造するための確立された方法には、湿式レイアップ法および他の含浸法が含まれる。価格の理由で、目標は含浸操作中に100℃より低い温度である。取扱いがより容易であるという理由で、この方法で製造した半製品(プレプレグ)は室温で比較的長時間の貯蔵安定性をもたなければならない。これは、たとえば4日間の貯蔵後にプレプレグを問題なく積層品に変換できなければならないことを意味する。
【0007】
この方法で製造した積層品をエネルギー産生設備に使用し、積層品がそれらの使用中に回転運動およびかなりの剪断力を受ける場合、積層品を構成する各層間に、ある最小接着性が必要である。この接着性の尺度のひとつは、層間剪断強さ(略してILSとも呼ばれる)として知られるものであり、これはASTM基準(ASTM D 2344−84)に従って測定される。したがって、最大ILS値がそのような用途の目標である。
【0008】
1−(イミダゾリル−2−メチル)−2−ナフトールがプレプレグ配合物中において優れた室温貯蔵安定性を実際に可能にするが、層間剪断強さ値はさほど高くないことが、今回分かった。達成できる最大値は、硬化を60℃で4時間、75℃で4時間、75℃で8時間、または140℃で30分間のいずれで実施するかに関係なく、約22MPaである。
【0009】
予想外に、1−イミダゾリル−2−メチル置換2−ナフトール化合物およびフェノール類の特定の組成物が、特に湿式レイアップ法および他の含浸法に関連するエポキシ樹脂系のための促進剤として、それらを有利に使用できる特性プロフィールをもつことが、今回見いだされた。この方法で、特に最高50MPaにILS値を増大させることができる。
【0010】
したがって本発明は、第1に成分A)としての一般式(I)の1−イミダゾリルメチル置換2−ナフトール化合物:
【0011】
【化1】

【0012】
[式中
、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、H;C1−17アルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC3−12シクロアルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC4−20シクロアルキル−アルキル;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC6−10アリール;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキル;
3−17アルケニル;C3−12アルキニル;または芳香族もしくは脂肪族C3−12アシルであり;
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、H;C1−12アルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC3−12シクロアルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC4−20シクロアルキル−アルキル;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC6−10アリール;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキル;
3−17アルケニル;C3−12アルキニル;C1−12アルコキシ;またはOHである];
および
成分B)としての室温で液体であるフェノール類を含み、成分A)と成分B)の重量比が10:90〜80:20、好ましくは20:80〜70:30、より好ましくは25:75〜50:50である組成物を提供する。
【0013】
成分A)としては、基R、RおよびRがそれぞれ互いに独立して、H;C1−12アルキル;フェニル;または1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキルである一般式(I)の化合物が好ましい。特に、RおよびRがそれぞれHであり;かつRが、C1−12アルキル;フェニル;または1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキルである化合物が好ましい。
【0014】
成分A)としては、基R〜Rが水素原子であり、かつ基RがC1−4アルキル(メチル、エチル、n、i−プロピル、n、i、t−ブチル)、または1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルである一般式(I)の化合物が特に好ましい。
【0015】
成分B)としては、1,4−n−ペンチル−、−n−ヘキシル−、−n−ヘプチル−、−n−オクチル−、−n−ノニル−、−n−デシルフェノールの使用が好ましく、特にO,O’−ジアリル−ビスフェノールAの使用が好ましい。
【0016】
フェノールにより硬化した配合物のガラス転移範囲の実質的な降下を避けるために、ナフトール誘導体の画分は好ましくは成分A)およびB)の組成物中に少なくとも20重量%でなくてはならない。
【0017】
本発明の組成物を調製するためには、たとえばEP 0 761 709の記載に従ってまず1−イミダゾリルメチル置換2−ナフトールを製造する。次いで有利には目的フェノール(成分B)を導入し、前記ナフトールをそれに添加し、混合物をたとえば160℃の高められた温度で4〜6時間、密に撹拌する。選択した成分および選択した混合比に応じて、生成物は粘稠ないし高粘度の液体、または固体である。得られる組成物の性質は、フェノール類中におけるナフトール類の固溶体と記載することもできる。少なくとも20重量%のフェノール類をナフトール類に添加する場合、こうして”改質”したナフトール類の特性プロフィールの変化が既にきわめて重要であり、この種の組成物はプレプレグ中に有利に使用するのに十分な特性プロフィールをもつ。特に有利であることが認められた組成物は、わずかないし顕著に過剰の(重量%で)フェノール類を含むものである。
【0018】
冒頭に述べたように、本発明の組成物は硬化性エポキシ樹脂系のための促進剤として適切である。
本発明はさらに、
a)エポキシド含量が0.1〜11、好ましくは0.1〜2.2エポキシド当量/kgであるエポキシ樹脂、
b)成分A)としての前記一般式(I)の1−イミダゾリルメチル置換2−ナフトール化合物、および成分B)としての、室温(RT=15〜35℃)で液体であるフェノール類、たとえばn−ペンチル−、n−ヘキシル−、n−ヘプチル−、n−オクチル−、n−ノニル−、n−デシルフェノール、特にO,O’−ジアリル−ビスフェノールAを含む組成物;成分A)と成分B)の重量比(重量%)は10:90〜80:20、好ましくは20:80〜70:30、より好ましくは25:75〜50:50である、
c)エポキシ樹脂のための硬化剤、および場合により
d)エポキシ樹脂技術において慣用される添加剤
を含む、硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0019】
原則としてすべてのエポキシ樹脂が成分(a)として適切である。
適切な例には下記のものが含まれる:脂環式ポリオール、たとえば2,2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル、多価フェノール、たとえばレソルシノール、ビス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジブロモフェニル)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、またはフェノール類とホルムアルデヒドの縮合物、たとえばフェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂のジグリシジルまたはポリグリシジルエーテル;さらに前記のポリアルコールおよびポリフェノールのジ−またはポリ(β−メチルグリシジル)エーテル;多塩基性カルボン酸、たとえばフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびヘキサヒドロフタル酸のポリグリシジルエステルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エステル;アミノフェノール類のグリシジル誘導体、たとえばトリグリシジル−p−アミノフェノール;アミン、アミドおよび複素環式窒素塩基のN−グリシジル誘導体、たとえばN,N−ジリグリシジルアニリン、N,N−ジリグリシジルトルエン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス(4−アミノフェニル)メタン、イソシアヌル酸トリグリシジル、N,N−ジリグリシジル−N,N’−エチレン尿素、N,N’−ジリグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、N,N’−ジリグリシジル−5−イソプロピルヒダントイン、N,N’−ジリグリシジル−5,5−ジメチル−6−イソプロピル−5,6−ジヒドロウラシル;多官能性エポキシ樹脂、たとえば2,6−ジ置換4−エポキシプロピルフェニルグリシジルエーテルおよびその付加物:EP−A 205 409およびEP−A 204 659に記載;それぞれ2個のグリシジルオキシ基および2,3−エポキシプロピル基で置換されたビスフェノール類、たとえば2,2−ビス(3’−エポキシプロピル−4’−エポキシプロピルフェニル)プロパン:GB828364に記載;テトラメチロール置換されたシクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノールおよびシクロペンタノンのグリシジル誘導体、たとえばUS4,549,008に記載;グリシジルオキシ置換ベンゾフェノン;ならびにグリシジルオキシジケトン類、たとえばUS4,649,181に記載の化合物。
【0020】
一般に、2種類以上のエポキシ樹脂の混合物を本発明の配合物中の成分として使用することもできる。
適切なエポキシ樹脂には、好ましくはたとえばビスフェノールAまたはFのグリシジルエーテル、グリシジルエステル、芳香族複素環式化合物のN−グリシジルおよびN,O−グリシジル誘導体、ならびに脂環式グリシジル化合物が含まれる。それらは、好ましくは0.1〜2.2エポキシド当量/kgの官能価をもつ。
【0021】
硬化剤、すなわち成分(c)としては、エポキシ樹脂化学技術において慣用される硬化剤を原則としてすべて使用できる:たとえばアミン、ジシアンジアミド、シアノグアニジン類、メラミン類、ノボラック(クレゾール−ノボラックを含む)、ポリオールおよび酸無水物。
【0022】
硬化剤として、アミンおよびポリアミンを使用することが好ましく、その例はJeffamine型、その他である。挙げることができる例には下記のものが含まれる:o−、m−、およびp−フェニレンジアミン;ジアミノトルエン類、たとえば2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、2.5−ジアミノキシレン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼン、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、1,8−または1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ピペラジン、2,4−ジアミノピリミジン、2,4−ジアミノ−s−トリアジン、ジ−、トリ−、テトラ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、およびデカメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレン−1,6−ジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、ならびに式HN(CHO(CHO(CH−NHおよびHN(CHS(CHNHのジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン。
【0023】
他の適切なアミンは、炭素環式芳香族ジアミン、特に置換二環式ジアミン、たとえばビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−アミノ−5−sec−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、およびビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタンである。
【0024】
さらに、適切なものは下記のものである:プロパン−1,3−ジアミン、m−キシレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、ポリアミノアミド、たとえば脂肪族ポリアミンおよび二量体化または三量体化脂肪酸を含むもの;ポリフェノール、たとえばレソルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールAおよびフェノール/アルデヒド樹脂、ならびにポリチオール、たとえば”Thiokol類”。
【0025】
ジアミンまたはポリアミン、アミノ末端基付きポリアルキレングリコールおよびポリオキシプロピレンジアミン(たとえばJeffamine類、この場合、Jeffamine D230、アミノ−ポリ−THF)またはポリアミノアミド、特にプロピレングリコールおよびエチレングリコールの二量体またはコポリマー、アミノ末端基付きポリブタジエン:分子量約150〜5000、特に200〜600のものが特に好ましい。
【0026】
任意成分d)としては、エポキシ樹脂技術において慣用される添加剤を使用できる。これらは、この用途に関して当業者に既知であって使用されている一般的な助剤および添加剤を意味するものとする。例には、有機および無機の充填剤、および顔料、離型剤、ならびに粘度調節用添加剤が含まれる。
【0027】
本発明の硬化性組成物を調製するためには、本発明の促進剤を一般に高められた温度で硬化剤に予め溶解しておくことができる:たとえばJeffamineを用いる場合は約80℃で。この種の溶液を40℃に冷却し、次いでエポキシ樹脂と混合することができる。次いでこれらの混合物をそのまま含浸溶液として使用できる。他の可能性は、本発明の組成物を、たとえばUltra−Turraxまたは三本ロールミルなどの適切な撹拌機によりエポキシ樹脂に予め均一に分散させておくことである。
【0028】
本発明の化合物は、エポキシ樹脂、硬化剤、促進剤、および使用する場合には添加剤を含む全配合物を基準として5〜40重量部、好ましくは5〜30重量部で有利に用いられる。5〜20重量部の使用が特に有利である。硬化剤は慣用される量で用いられ、したがってそれらは平均してエポキシド基当たり硬化剤の官能基が0.5〜1.5個、好ましくは0.8〜1.2個あるように計算することができる。助剤および添加剤は、目的組成物の粘度が著しく増大せずに使用できれば、原則として広い量範囲で使用できる。
【0029】
この種の本発明の促進剤系を含むプレプレグは、最高で50MPaのILSを与える効力をもつ。したがって本発明の促進剤は、圧縮成形用配合物、焼結用粉末、封入系、キャスチング樹脂として用いられ、湿式レイアップ法および射出法によりプレプレグおよび積層品を製造するために用いられ、特に大きな表面積をもつ部材を製造するために用いられる、エポキシ樹脂配合物中に使用するのに特に適切である。
【0030】
実験のセクション
a)ナフトール成分およびフェノール成分を含む組成物の調製
フェノール成分を容器に装入し、次いでナフトール成分を添加する。使用量は下記の表1から分かる。混合物を160℃で4時間撹拌する。これにより、粘稠ないし高粘度の濃赤色ないし黒色の液体、または固体が得られる。
【0031】
【表1】

【0032】
1) 1−イミダゾリルメチル−2−ナフトール(Vantlco AGから);
2) ジアリルビスフェノールA(Vantlco AGから);
3) ng=測定しなかった。nm=60℃で測定できなかった。粘度はRheometrix RD2によりプレート/プレート設定で測定された。
【0033】
b)本発明の促進剤配合物の使用例
前記の実験セクションa)からの生成物を60〜80℃の温度でアミン系硬化剤(この場合はJeffamine(登録商標)D−230)に溶解する。これにより濃褐色の透明な溶液が得られる。室温に冷却した後、この溶液を計算量のエポキシ樹脂と混合する。詳細については下記の表2を参照されたい。
【0034】
【表2】

【0035】
低温範囲(60℃および75℃/4〜8時間)で本発明の促進剤により得ることができるきわめて良好な層間剪断強さは予想外である。これらの実測値は比較例の系より実質的に高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A)としての一般式(I)の1−イミダゾリルメチル置換2−ナフトール化合物:
【化1】

[式中
、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、H;C1−17アルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC3−12シクロアルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC4−20シクロアルキル−アルキル;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC6−10アリール;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキル;
3−17アルケニル;C3−12アルキニル;または芳香族もしくは脂肪族C3−12アシルであり;
、R、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、H;C1−12アルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC3−12シクロアルキル;
1−4アルキル基により置換されていてもよいC4−20シクロアルキル−アルキル;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC6−10アリール;
1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキル;
3−17アルケニル;C3−12アルキニル;C1−12アルコキシ;またはOHである];
および
成分B)としての室温で液体であるフェノール類を含み、成分A)と成分B)の重量比が10:90〜80:20である組成物。
【請求項2】
成分A)として、基R、RおよびRがそれぞれ互いに独立して、H;C1−12アルキル;フェニル;または1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキルである化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分A)として、RおよびRがそれぞれHであり;かつRがC1−12アルキル;フェニル;または1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいC7−15フェニルアルキルである化合物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
成分A)として、基R〜Rが水素原子であり、かつ基RがC1−4アルキル、または1〜3個のC1−4アルキル基により置換されていてもよいフェニルである一般式(I)の化合物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
成分B)として、1,4−n−ペンチル−、−n−ヘキシル−、−n−ヘプチル−、−n−オクチル−、−n−ノニル−、−n−デシルフェノール、またはO,O’−ジアリル−ビスフェノールAを使用することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
成分A)と成分B)の重量比が20:80〜70:30、好ましくは25:75〜50:50であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
エポキシ樹脂組成物中における促進剤としての、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項8】
a)エポキシド含量が0.1〜11エポキシド当量/kgであるエポキシ樹脂、
b)成分a)〜d)の全組成物を基準として5〜40重量部の、請求項1に記載の組成物、
c)エポキシド基当たり硬化剤の官能基が0.5〜1.5個あるように計算された、エポキシ樹脂のための硬化剤、および場合により
d)エポキシ樹脂技術において慣用される添加剤
を含む、硬化性組成物。
【請求項9】
硬化剤がアミン、好ましくはジアミンおよびポリアミンから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
硬化剤がポリオキシプロピレンジアミンであることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
エポキシ樹脂が、芳香族もしくは複素環式化合物のグリシジルエーテル、グリシジルエステル、N−グリシジルもしくはN,O−グリシジル誘導体、または脂環式グリシジル化合物であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
圧縮成形用配合物、焼結用粉末、封入系、キャスチング樹脂としての、含浸法または射出法を用いるプレプレグおよび積層品の製造のための、部材、特に大きな表面積をもつ部材の製造のための、請求項6に記載の硬化性組成物の使用。

【公表番号】特表2006−523746(P2006−523746A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505549(P2006−505549)
【出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050503
【国際公開番号】WO2004/092244
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(504177804)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】