説明

低濃度排ガス機能形エマルション燃料生成法及びその生成装置と混合装置

【課題】膜乳化による低濃度排ガスのエマルション燃料の製法と混合液改質を保持する製法装置と高圧入操作ができる混合装置を提供する。
【解決手段】1液と他液の原料供給と機械攪拌混和する前工程Iと、混和液を圧入、粒子化混合する本工程IIにおいて、前工程Iの単一液と混和段階の液に水質調整処理をし、本工程IIの終段階から前工程Iに戻す返送を可能にしてエマルションを生成し、生成過剰が生じても全過程の装置内での混合操作を中断させない生成法を行い、この方法を実施できる生成装置を構成し、この装置内の本工程過程に配設する混合装置の内設液膜構造を、軟質薄膜層と支持体から成る強度の高い合成構造によって形成した。

【発明の詳細な説明】
【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明は、液膜化混合構造を用いてW/O型エマルション燃料を生成する方法とその方法に関連する技術に係り、特に燃焼によって生じる排気ガスを低濃度にするエマルション燃料を製造する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貯蔵中、性状が不安定に成り難い各種混合形式のエマルション生成製造法の一つに、図11に示すように、大きい粒子や油(O)などの高粘性を有する一方液を多孔質ガラス膜2の細孔1bに開口する孔大きさd中に圧入して通過させ、水(W)などの他方液中に投入、分散、混合させ、そこで得られる粒子化した混合液を、次段階に別に設ける多孔質ガラス膜に圧入、通過させてエマルション生成の操作を行う二段階乳化法が知られている(特許文献1)。機械攪拌混合方式では、複数液の混合を攪拌操作する際に混合液に剪断が生じるので、得られた生成エマルションは貯蔵中の粒子に再結合現象が発生して均質保持ができないようになる、一方、多孔質ガラス膜による液膜乳化法では剪断を生じない操作であるので、性状が安定するエマルションを生成する、といわれる。なお、水中超音波を放射して油と水を混合するエマルション製造法もある(特許文献2)。
そして製造されたエマルション燃料は、一時的に貯蔵され、適時抜き出して消費される。
【0003】
二段階乳化法に用いる多孔質ガラス膜には、SGP膜と称するガラス膜が最適であり、このSGP膜を用いると、水を油中に分散させ、さらに直列に配置するSGP膜に通過させると、エマルション粒径を1μm以下にすることが可能であるという(特許文献3)。
ここに多孔質ガラス膜には圧入操作を加えるので、その操作によって生じる差圧力にガラス膜が耐える強度、言い換えれば、図11に示すように膜に厚みtが必要となる。この厚みを利用して円筒形やオリフィス状の孔を明ける膜加工を行っている(特許文献1)。
SGP膜による二段階液膜乳化法には、圧入する圧力と、膜孔と、それを通過して生成するエマルション粒子との間に密接な相関関係があり、この関係を利用すればエマルションの平均粒子径0.7〜40μmが得られるとの報告もある(特許文献4)。なおここでは、水中のpH2〜8での種々異なる場合の実験参考結果が報告されている。
【0004】
SGP膜法で、軽油75%と水25%の混合液より製造された25%エマルション燃料を用いた排気ガス測定を、東京都指定機関が行っっている。そのテスト結果によれば、NOx33%削減、PM75%削減、および燃費21%の効果を得たという。この結果によって液膜化法のエマルション燃料が、低濃度排ガス能を持つものであることが判った。
【0005】
またSGP膜は、1300度以上で成形するガラス製であって機械的強度に弱く、脆さがある。その故に、加圧力を受ける膜に厚みを必要とし、高圧での圧入操作が選択できないこと、pHが酸性側に保持される傾向があり、この傾向はSGP膜以外の混合装置構造材に発錆予防処置を必要とすることに逆対応する、との欠点があった。
製造されたエマルションは、一般に機械攪拌操作を行う貯槽に保管される。貯槽付設の機械式攪拌機は、混和用に慎重に選択されて用いるものとは異なり、混和効果を充分考えて運転操作するようにはなっていない。一方、水や油に比べて、液膜乳化法に用いる乳化剤の比重は大きく、貯蔵期間によっては乳化剤が分離し、保存安定性が損なわれ、乳化効果が持続しない懸念がある。
また界面活性機能を有する乳化剤は、互いに混合しない液体の界面に吸着して分散している液の周囲に保護被膜を生成して、溶液の表面張力を下げる物質である。ところが機械攪拌式や液膜乳化法においても、乳化剤の添加操作は一般に、異種溶液の混在状態で行われ、添加環境や乳化剤が接する溶液の粒子大きさまでは考慮されないとの欠点があった。
【0006】
これらの欠点は、被処理液を微粒子化して混合液としてのエマルションを生成する液膜乳化法の液生成原理に忠実でない。具体的には、液膜乳化法の前処理工程において、SGP膜に圧入する液を、乳化操作前に積極的に細粒化操作せず、しかも一液と他液を混ぜて、乳化剤添加の環境を複雑化した後に、乳化剤を添加することに問題があった。そしてSGP膜の、ガラス質の酸性に係る欠点と、混合装置の発錆予防に係る対策技術とが相反する技術的関係になってしまうとの問題があった。
【特許文献1】特開昭54−116389号公報
【特許文献2】特開2002−241773号公報
【特許文献3】特許第2720101号公報
【特許文献4】特許第2733729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題は、液膜乳化法による乳化剤を混合する操作前に、液細粒化操作を行っていない点である。またエマルション生成から消費されるまでの間に、攪拌、混合などの連続して行うべき動的操作を継続しなかった点である。そして生成混合時の操作と一時貯留中の攪拌保存操作とに、混和レベルでの技術的連続性がなかった点である。
また液膜乳化法によってエマルション生成燃料を製造する装置が、燃料を消費する炉などの運転中の対象装置との間を、有機的な結び付けを行う技術開示がなかった点にある。
さらに液膜乳化法に用いるSGP膜が、アルカリ傾向の対象液を使えず、また強度の高い材質を選ぶことができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法が、単一液に対するpH調整や加振を含む改質操作を前工程中に行いながら本工程に送り出し、その後のエマルション生成後に消費するまで、混ぜる操作を継続することを最も主要な特徴とする。
【0009】
また本発明のエマルション燃料生成装置は、機械的強度を選択できる混合装置を組み込み、エマルション生成前の液細粒子化操作から生成後に消費するまでの機械的回路を形成し、生成品に過剰分が生じても有効に対処できる有機的回路を配設したことを最も主要な特徴とする。
【0010】
そして本発明の混合装置は、機械的強度を選択できる材質の支持体と、液通過接液面において通過液を剪断させることのない軟質材とによって、機能分担型の合成薄膜を形成して、液の圧入圧力を自由選択可能にする粒子化混合を行う構造に形成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の、低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法は、前工程中に単一液対象操作を含む改質操作、水質調整を行うので、原料受け入れ時の液水分粒子群の大きさを細粒群化し、その群の界面面積を拡げて乳化剤の浸透度を深め、前記単一液向け改質操作を行わない場合に比べて、本工程操作直前の改質混和液を小粒の粒子群に変え、非改質粒子群を用いる場合よりも、当面する液膜の孔サイズに対応し易い小の粒子群によって粒子化混合を行うようになり、従って液膜の貫通抵抗を削減するという利点がある。さらにエマルション生成から消費するまで、燃料生成装置の回路中で液を混ぜ続ける操作を行うので、乳化効果の減退を起こさせない利点がある。
【0012】
また本発明のエマルション燃料生成装置は、適用する燃焼装置に対応して機械的強度を自由に選択できるので、どの装置部品も機械強度を薄膜状にしても対応できる設計ができ、壊れるような箇所がなくなるとの利点がある。生成品過剰分は、製造技術レベル並みの混和操作を継続して受けることによって生成初期状態の品質を保持でき、燃料の消費中に再取得する排ガス熱利用を煙道を介して行えるので、油供給部の粘性の高い原料を排熱により温めて乳化剤の添加効果を上げたり、また同じく混合ユニットを温めて粒子化混合操作の効果を高めたりできる利点がある。
【0013】
そして本発明の混合装置は、強度のある材質の支持体と軟質材から合成した薄膜構造を形成して混合粒子化部を構成したので、高圧の圧入操作で改質混和液の粒子化混合が行える利点が得られ、軟質材には特に孔明けをしないでカット加工によって実質的に開口する孔を設けており、改質通過液を限りなく狭い間隙に通過させることができるので、エマルションの粒子径をナノレベルまで微細化できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
一時貯留することになる生成品過剰分も、生成直後に直接消費するエマルション燃料生成品も、ともに均質な品質を保持できるミクロンオーダーの微粒子を保持できるように、変わらない低濃度排ガス機能を発揮するエマルション燃料の生成法を確立するという目的を、前工程の混合混和操作中に水質調整を加え、本工程中に過剰生成分を前工程終段の攪拌混和工程に返送する循環系を配設することにより、混合液も改質混和液も最終生成品に対しても終始、混ぜながらの操作を、途中で中断させることなく実現した。
【0015】
また低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法を実現する燃料生成装置を機能させるという目的を、前工程ユニットと本工程に配設する混合装置と両工程間に配設する二台のポンプと、本工程に配設する循環配管系を構成して、装置全体を遅滞なく運転、操作可能に実現した。
【0016】
そして混合装置混合粒子化部の液膜構造を、耐アルカリ性で機械的強度もあり、粒子化混合操作機能も有する構造にするという目的を、軟質薄膜層とそれを機械的に保持する支持体と組み合わせた合成構造を形成して実現した。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明方法の1実施例を示す流れ図である。まず消費量に対応する設定油量を供給し(S1)、その設定油量に対応する乳化剤設定量が配管移送中の油に添加する(S2)。設定油量への混入率により設定流量を定めた水質調整水が、乳化剤混入油が流れる配管中に供給され(S3)、前記3種から成る混合液は混和槽に一時、攪拌しながら貯留される(S4)。水質調整水は、配管や液通過機器の発錆予防を兼ねてpH調整すると共に、他液との接液前に水分子のクラスター大きさの調整用に振動を加えて作る。またここに記載しないが、この混合液はポンプ移送により、また混和槽に用いる攪拌機は、混合液を剪断しない構造と低剪断攪拌処理によって操作され、かつ混和操作中には混和液中の脱気を行う。
所定時間、攪拌して混和操作して得た混和液は、連続的にポンプにてデリベリ配管側に所定圧調整を伴う昇圧化操作しながら次工程に排出し(S5)、そこに配設する混合装置、即ち粒子化混合器(以下、ナノBoxという)へ混和液を移送し粒子化操作を行う(S6)。
【0018】
この粒子化操作は、対象液体炭素系燃料を用いるエマルションの設定生成仕様を充足するテスト結果に基づき、単体のナノBoxによって混和液の液膜化を行う一段階操作、二台のナノBoxを直列に配管して液膜化混合を進める二段階操作、あるいは多量のエマルション生成を行うために、一段階操作を行う単体のナノBoxを、複数台、並列配置してお互いの出入口配管をヘッダー配管で接続して同時並行して粒子化混合操作を行い、あるいは同様に単体器以上の改質混合を行うために、多数器から成るユニットを構成して、複ユニット構成による二段階操作を行うようにしてもよい。
【0019】
このように配管終段に配設するナノBoxから改質混和液を送り出して、エマルション生成が終わる(S7)。次いで、消費に対して生成過剰分があるか、油リッチの逆洗液による事前貯留生成量が消費分に加わるか否かなどが、ここに記載しないコントローラに記憶されたソフト操作内で考量され、生成量の量調整を行う。その結果、生成エマルション量は設定生成量であるか(S8)が処理され、設定量であれば、燃焼装置などの継続する消費先へ引き続き連続供給(S9)して生成法を終了する。しかし設定量でなければ生成量が不足な量であるか(S10)が処理され、それが不足量であれば、前記S9段階を経て生成法を終了する。しかし不足量でなく過剰生成量であれば、その過剰分を混和槽に移送し(S11)、システム装置の循環系で混和操作が続けられる。
【0020】
図2は、本発明の燃料生成装置の1実施例の全体構成を説明するもので、(A)は構成機器の全体配置を示すブロック図、(B)は機器類の計測、制御システムを示すブロック図、(C)は別の付加的構成を示すブロック図である。
同図(A)に示す5は油供給部5a、水供給部5b、助剤供給部5cから成る前工程ユニット、6は前工程ユニット5の液を、pH計7a、水質調整器7bを操作して機械攪拌する混和槽7へ移送するポンプ、8は混和槽7が生成した改質混和液を、二段階混合ユニット10ないし直列多段並列組込み混合ユニット20へ圧入するポンプ、8aは圧入ポンプ8が操作する圧入圧力を計測する圧力計、8bは前記混合ユニットの内部空気を脱気するエア抜き弁、二重破線で示す14はエマルション生成品を混和槽7へ戻す返送管、15はバーナー9と炉から成る生成品消費対象の消費ユニット、そして19は全体の装置をアセンブリしたエマルション燃料生成装置である。
【0021】
同図(B)に示す16は、二重線で示すパス17を介して、矢印付き実線で示す流路に流量、水質調整、圧力、流量の切換操作を含む生成量調整を行う制御系機器を配置してそれらと交信する制御信号と、流量、pH値、熱量、温度などを測定して、点線で結ぶ黒丸で示すセンサー系から生じるデータを処理するコントローラである。なお、丸の中に×を納めて示す制御系機器を結ぶ実線に接して、点線を結ぶバーナー9に対しては、その仕様が選択的に変更があることを示す。さらに制御系の水質調整は、前工程ユニット5と混和ユニット7に対して行う制御機器を配置することを示す。
同図(C)に示す18は、発熱する消費ユニット15と加温操作を要する油供給部5aと混合ユニット10ないし20の、ここに表示しない加温装置と配管する二重線で示す煙道であり、矢印付きの二重破線は二次的優先順位で配管することを示し、二重線は主たる優先順の供給先配管を示す。なお、煙道18に挿入して、丸の中に×を納めて示す制御系機器は、その制御対象を、同図(B)のセンサー系に示す熱量/温度に連係する。
【0022】
図10は、エマルション燃料と気体燃料との共用システムを示すブロック図であって、22は、天然ガスやメタン発生ガスなどの気体燃料供給器21をエマルション燃料生成装置19と混合処理操作して燃料を消費する消費ユニット15へ供給するための混合器である。気体燃料供給器21には、消費ユニット15へ供給可能とする圧力を保持または発生して、混合器におけるエマルション燃料との噴霧混合処理操作を発生可能のものとする。
【0023】
本発明の燃料生成装置の1実施例では、主要機器の諸元としては流量6〜10l/min、吐出圧1.4MPa、出力0.4kwのポンプ6,8を用い、前工程ユニット5に設定する混合比率は、表示器付き自動入力設定器に加えてセンサーは、下限防止および停止機能付きセンサを併用する制御操作を前記比率に対して行う比率制御であって、水質調整はpH10〜11、加振操作振動数は150Hz以下、混和槽内攪拌機を200〜700rpm範囲の操作で運転し、全体占有面積を400×300×700H(mm)内に収納した。
【0024】
図3は、エマルション燃料生成用ナノBoxを説明するもので、(A)は装置を側断面で示す全体図、(B)は粒子化混合の概念を示す部分側断面図、(C)は(B)のA−A´矢視図である。
同図(A)に示す1は、内径D1の入口配管に開口する外ケース1aと外径D2の出口配管に開口する混合粒子化部2とにより形成する混合装置(以下、ナノBoxという)であって、2と3とD2は同図(B)と同じである。
内部空間▲1▼と▲2▼および外ケース1の内外は密閉状に形成し、混合粒子化部2に形成する軟質薄膜層3に開口する孔によって内部空間▲1▼と▲2▼は連通する構成になっている。なお左右に示す矢印は、改質混和液の流れ方向を示す。
同図(B)、(C)に示すものは混合粒子化部2の1実施例を示すもので、同図(B)に示す1bは、混合粒子化部2を一側に配置する厚さt2の支持体1cに保持されて、その他側に合成する厚さt1の軟質薄膜層3に形成する軟質膜孔であって、同図(C)に示すものと同じでる。矢印は改質混和液が該軟質膜孔を透過する方向を示す。
同図(C)に示す4は、軟質薄膜層3に形成するカット幅w1が十字形形状にして、カット大きさW1を開口する軟質膜孔1bを、支持体1c側も同形に開口する板孔である。
【0025】
図4は、ナノBoxの粒子化混合開口部の他の実施例を示す部分平面図であって、軟質薄膜層3に形成する軟質膜孔1bの下面側に合成する支持体1cに、十字形のカット孔大きさW1より大きな径Rφの丸孔を形成する実施例を示す。
また図5は、同じく粒子化混合開口部のさらに他の実施例を説明するもので、(A)はその第二実施例を示す部分側断面図、(B)はその第三実施例を示す部分側断面図である。
図5(A)に示す1dは、軟質膜孔1bを開口する厚さt1の軟質薄膜層3の両側に、支持体開口4を加工した厚さt2の下側支持体1cとともにサンドイッチ状に挟んで合成する、厚さt3の上側支持体であって、その支持体開口4の大きさは下側大きさ及び軟質膜孔1bと同寸に加工する。
図5(B)に示す3aは、サンドイッチ状に軟質薄膜層3両側を支持体1c、1dで挟んで形成する合成構造に対し、その該支持体両側にRφ大きさの支持体開口4を設け、その開口中心位置に十字形カット加工の軟質膜孔1bを振り分けて出来る厚さt1の軟質薄膜端片から成り、矢印付き点線方向から圧入操作される場合に、下方に折れ曲がる薄膜端片3bによって示す可撓性を呈示する可撓膜片である。
【0026】
本発明のナノBoxの1実施例では、主要諸元は軟質薄膜層1bにt1=0.5mmのテフロンを用い、支持体1c、1dには板厚がt2,t3=0.5または1.0または2.0mmのSUS薄板にテフロン薄膜を接着合成し、開口は十字形の、カット幅w1=0.1〜1.0μm、W1=1.0〜10.μmに形成して開口比30%、流量がmax10l/minの場合にあっては、ナノBox大きさはD1=25φ×170mmL、空間▲1▼に圧入する加圧力を0.5〜1.5MPa、空間▲1▼の深さ(D1−D2)は約4mmとした。
【0027】
図6は、ナノBoxによる二段階混合ユニットの構成を説明するもので、(A)はその第一実施例を示す全体構成図、(B)はその第二実施例を示す全体構成図である。
同図(A)に示す12は、エア抜き弁8bを付設する前段ナノBox11とともに二段階混合ユニット10を構成し、その出口配管と入口配管をバイパス管で循環可能の配管を付設した後段ナノBoxである。
二段階混合ユニット10内の改質混和液操作を、前段ナノBox11においては、改質混和液を外側内部空間▲1▼から求心方向へ向かう内側内部空間▲2▼へ圧入し、次工程の後段ナノBox12においては、改質混和液を空間▲2▼から空間▲1▼へ圧入して遠心方向へ通過、処理するようにしても良い。この操作を一定期間毎に逆操作を交互に行うことによって、ナノBox内部構造の逆洗操作を、特別に日常的に設けることもない。
同図(B)に示す20は、二段階混合ユニット10を並列に配設し、入口側と出口側の配管にヘッダーを設けて多流量の粒子化混合操作が行える用に構成した直列多段並列組込み混合ユニットである。
【0028】
図7は、本発明の燃料生成装置の、実施例により得られたエマルション生成品の顕微鏡写真を説明するもので、(A)は一つの生成品を示すイメージ図、(B)は他の生成品を示すイメージ図、(C)は別の生成品を示すイメージ図である。
同図(A)に示すES生成No.1は、軽油70(実質68)対水30の混合比率に乳化剤2を添加し、単体ナノBox出口直後から得た試料であって、イメージに対し直視できる粒子大きさは5〜50μm範囲である。
同図(B)に示すES生成No.2は、ES生成No.1と比較できる試料として、乳化剤無添加の、A重油70(実質70)対水30混合比率の混合液を、単体ナノBox出口直後から得た試料でありて、前記同様に直視できる粒子大きさは5〜70μm範囲である。
同図(C)に示すES生成No.3は、ES生成No.2と同じ比率の混合液を複数段階操作する循環10分間操作の点のみ異なる試料であって、前図(B)と比較して、同じく直視できる粒子大きさは5以下〜40μm範囲で、ES生成No.2試料イメージがさらに細粒化している。
【0029】
図8は、本発明の燃料生成装置の操作方法を変えて得られた同種エマルション生成品の相違を説明するもので、(A)は一段階操作時生成品の粒子径分布を示すグラフ図、(B)は他の操作生成品の粒子径分布を示すグラフ図である。この図8は前記図7の実施試料と同番号の同一試料である。
同図(A)に示す粒子径分布は、図7(A)のイメージ図を数量化したグラフである。
同図(B)に示す粒子径分布は、前図(A)のES生成No.1を20分間循環操作する粒子化混合を連続操作して得たグラフであって、その粒子化効果はmax5.(←max100.)μmに大きく変わっており、細粒化が著しく進んだことを示す。
図9は、他種原料により得られたエマルション生成品の粒子径分布を示すグラフ図であって、図7(C)のイメージ図の数量化を示すグラフである。ここに示すA重油の試料例と図8(B)に示す軽油試料例を比べると、一定時間の循環操作を行えば、重油にも軽油に現れる効果とほぼ同じ傾向の良好な細粒化効果が顕れる。
【0030】
前記試料を得て、これらエマルション生成品を燃焼させて、発生する排ガス測定を行った。その実施例を下記の表に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
上記した表1において、本発明の燃料生成装置において比較例の2〜3倍の圧入加圧力を得ることができ、発生する排気ガスの減少率が、NOxデータでは比較例が85(100−85=15)、実施例1では同じ減少率、実施例2では97(100−97=3)、黒煙データは比較例が65(100−65=35)、実施例1および2とも82(100−82=18)であった。ここに比較例はSGP膜による液膜乳化法による試料を用いた。
換言すれば、NOxデータ比較では、比較例の「15」値と実施例2の「3」値とを比べることが出来た。
黒煙データを比較する場合には、比較例が「35」値、実施例1および2とも「18]値と比較することになり、実施例の方がNOx対応の排気で「15/3=5」の効果が発揮でき、黒煙排気の場合で、「35/18≒2」の効果が発揮できたことが示され、総括すれば、実施例の方が、NOx排気で5倍、黒煙排気で2倍の低濃度排気ガス機能を有するエマルションであった。
参考値として燃費効果を調べた。軽油も、重油も比較例より約2割のコスト低下が得られ、従ってランニングコストにおいても、有利な効果が得られた。
以上に記載する実施例の排ガス機能は、前記段落0004に記載する報告結果より良い結果である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の方法発明、これを実施する燃料生成装置、この生成装置に組み込むナノBoxを含む一連のエマルション生成技術は、暖房、温室加温を含む燃焼設備に適用するボイラーの他、製薬、化粧品などの製造分野でエマルション生成を不可欠にする製造分野一般における用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】低濃度排ガス機能形エマルション燃料生成法を示した流れ図である。
【図2】低濃度排ガス機能形エマルション燃料生成装置の全体構成を説明するもので、(A)は構成機器の全体配置を示すブロック図、(B)は機器類の計測、制御システムを示すブロック図、(C)は別の付加的構成を示すブロック図である。
【図3】エマルション燃料生成用混合装置を説明するもので、(A)は装置を側断面で示す全体図、(B)は粒子化混合の概念を示す部分側断面図、(C)は(B)のA−A´矢視図である。
【図4】混合装置の粒子化混合開口部の他の実施例を示す部分平面図である。
【図5】混合装置の粒子化混合開口部の他の実施例を説明するもので、(A)はその第二実施例を示す部分側断面図、(B)はその第三実施例を示す部分側断面図である。
【図6】混合装置による二段階混合ユニットの構成を説明するもので、(A)はその第一実施例を示す全体構成図、(B)はその第二実施例を示す全体構成図である。
【図7】低濃度排ガス機能形エマルション燃料生成装置の、実施例により得られたエマルション生成品の顕微鏡写真を説明するもので、(A)は一つの生成品を示すイメージ図、(B)は他の生成品を示すイメージ図、(C)は別の生成品を示すイメージ図である。
【図8】低濃度排ガス機能形エマルション燃料生成装置の操作方法を変えて得られた同種エマルション生成品の相違を説明するもので、(A)は一段階操作時生成品の粒子径分布を示すグラフ図、(B)は他の操作生成品の粒子径分布を示すグラフ図である。
【図9】他種原料により得られたエマルション生成品の粒子径分布を示すグラフ図である。
【図10】エマルション燃料と気体燃料との共用システムを示すブロック図である。
【図11】従来技術を説明する粒子化混合の概念を示す部分側断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 混合装置
1b 軟質膜孔
1c、1d 支持体
2 粒子化混合部
3 混合構造
4 支持体開口
5 前工程ユニット
6、8 ポンプ
7 混和ユニット
7a 水質調整器
9 バーナー
10 混合ユニット
11 前段混合装置
12 後段混合装置
14 返送管(過剰生成分)
15 消費ユニット(生成品用)
16 コントローラ
19 エマルション燃料生成装置
22 ガス混合器
23 生成品
24 生成品過剰分
w1 膜孔スリット幅(実質最小孔幅)
▲1▼ 膜外側空間
▲2▼ 膜内側空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔加工をした膜モジュールを用いて油と水に混合改質用の助剤を加えた混合操作を行い、これを多段階操作してミクロンオーダーのエマルションに微粒化する低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法において、
油(O)の連続供給過程で所定量の乳化剤(N)を添加し、その添加油の移送過程で水(W)を所定割合を保持可能に加入しながら一時貯留を行い、その貯留中、機械攪拌して混和液を得るまでの前工程(I)と、該前工程中の混合液に対し、原料油種に応じてpH9〜12に調整し、液を加振する改質操作を行い、次いで該改質混和液をポンプにより吸引し、粒子化混合を行う混合ユニット(10)へ圧送し、粒子化混合を繰り返す多段階操作を行う本工程(II)とを構成すると共に、流路中に設ける各種センサから流量、pH値を含む液発生データを読み取ってそれらデータをフィードバック制御しながら粒子化混合操作を進めて得る生成品(23)を、連係する燃焼機関を含む消費ユニット(15)に連続して供給できるように構成し、あるいは選択的に前記制御に基づき生成品(23)の過剰分(24)を、一時貯留段階へ返送可能にすると共に、前工程(I)の初段階から生成品(23)消費直前まで、混合操作を終始続行することを特徴とする低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法。
【請求項2】
前工程(I)に生成品過剰分(24)を返送する混合ユニット(10)において、粒子化混合の再操作を行った上で、混和槽(7)に連係して常時攪拌操作可能のサービスタンク(25)に一時貯留し、該混和槽を介して生成品過剰分(24)を前記粒子化混合操作に戻せる手段を付加構成する請求項1記載の低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法。
【請求項3】
請求項1および2記載の低濃度排ガス機能形エマルション燃料の生成法を実施するエマルション燃料生成装置において、
前工程(I)に設ける油と乳化剤と水の供給手段(5)と、サクション側配管に油への乳化剤添加手段(5c)と水混入手段(5b)とを配管接続する供給ポンプ(6)と、該供給ポンプが供給する混合液を一時貯留し、それを機械攪拌操作する混和槽(7)と、該混和槽または前工程(I)中においてpH調整および/または加振操作によって液改質を可能にする水質調整器(7a)と、本工程(II)に設ける混和槽(7)と混合ユニット(10、20)を連結配管する加圧ポンプ(8)と、最終的に生成した生成品(21)を受けて燃焼消費する消費ユニット(15)と、前記混合ユニットの出口配管から分岐して混和槽(7)まで戻す返送管(14)とによって構成し、あるいは加えて消費ユニット(15)の排気を、前工程(I)の油供給手段(5a)および/または混合ユニット(10、20)に付設する加温装置まで煙道(18)を配管して供給可能に構成することを特徴とする低排ガス機能形エマルション燃料生成装置。
【請求項4】
混合ユニット(10、20)を消費ユニット(15)に連結配管する中間に、ガス混合器(22)を付設し、それに天然ガス等の気体燃料供給器(21)を配管接続して、供給する生成品(23)をガスと混合して消費するように噴霧混合処理操作可能に構成する請求項3記載の低排ガス機能形エマルション燃料生成装置。
【請求項5】
請求項3および4記載の、混合ユニット(10)を構成する混合装置(1)が、出入口の配管口座を有する密閉状の外ケース(1a)と、その内部に一方の口座に開口し他方の口座には密閉状とする混合粒子化部(2)を設けて成り、該混合粒子化部は高分子樹脂から成る軟質薄膜層(3)と金属性薄板から成る支持体(1c)とから成る合成構造を形成し、該構造には両側面を貫通する多数の微細孔付き有孔部(1b、4)を設け、一方の軟質薄膜層(3)には十字形状を含むカット加工を施して実質的に開口する孔(1b)を設け、他方の支持体(1c)には該軟質薄膜層のカット開口する前記孔を支持する受け孔を設けて構成し、あるいは軟質薄膜層(3)を中央にして、その両側面を支持体(1c)で挟み張り合わせたサンドイッチ合成構造を形成して、有孔部(1b、4)を設けるようにした混合粒子化部(2)を、選択的に構成することを特徴とする混合装置。
【請求項6】
混合装置(1)の混合粒子化部(2)が、軟質薄膜層(3)に設ける孔(1b)に対し、その孔周囲の薄膜の膜端片(3a)が、支持体(1c)に開口する孔(4)の中空位置に張り出して外力によって可撓できる程度に、孔加工する支持体(1c)を構成する請求項7記載の混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−197648(P2007−197648A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41601(P2006−41601)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(593208603)株式会社アコ−ドシステム (6)
【出願人】(390002967)有限会社ナツ・コープ (9)
【出願人】(502231029)クリーンメカニカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】