説明

低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物、低熱伝導率被膜、低熱伝導率被膜の製造方法

【課題】機械的強度に優れると共により低い熱伝導率を有する被膜を形成することができる低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】低熱伝導率粒子とマトリクス形成材料とを含有する低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物に関する。低熱伝導率粒子が、テトラアルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン、4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤、2つ以上の水酸基を有する多価アルコール、及び水を含有する混合液中で、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランをアルカリ存在下で共加水分解反応させることにより、メソ孔を表面に有する球状のシリカナノ粒子を生成させた後、酸溶液中で4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出することによって調製されたメソポーラスシリカ微粒子であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低熱伝導率被膜形成用の樹脂組成物、及びこの低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を製膜して形成される低熱伝導率被膜、及びこの低熱伝導率被膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱型赤外線センサと半導体装置とが半導体基材の上面に並んで配列された赤外線ユニットが提案されている。この赤外線ユニットにおいて熱型赤外線センサは多孔質の断熱支持部によって半導体基材に支持されており、この多孔質の断熱支持部によって熱型赤外線センサと半導体基材との間を断熱している。従ってこの多孔質の断熱支持部のような多孔質材料に要求される特性は、熱型赤外線センサを支えるのに十分な機械的強度(すなわち高い靭性)と、断熱性能(すなわち低熱伝導率)である。
【0003】
ここで、0.3W/(m・K)以下の低熱伝導率を実現するためには多孔質シリカ材料が有効であると考えられる。例えば特許文献2に提案されている低誘電率非晶質シリカ系被膜形成用材料はこのような低熱伝導率を達成できる可能性がある。しかし特許文献2のものにおいて、低熱伝導率を達成するために空隙率約30%程度の多孔質に形成するには、界面活性剤をテンプレートとして使用し、400℃以上の高温で界面活性剤を焼き飛ばすことによって空隙を形成する必要があるが、このように高温で熱処理をする結果、得られた被膜の靭性が低下して脆い状態になり、満足した機械的強度を得ることはできない。
【0004】
靭性を有する被膜を形成するためには有機高分子化合物のような特性が必要であり、低温処理で高空隙率の被膜を形成することが必要である。低温処理で被膜を形成する方法としては、多孔質シリカ微粒子をシリコーン系樹脂に分散させ、これを塗布して製膜し、低温加熱で硬化させることによって被膜を形成する方法が考えられる。しかし、多孔質シリカ微粒子としてその代表的なものである中空シリカ微粒子の使用を考えた場合、中空シリカ微粒子の空隙率は約30%であるが、シリコーン系樹脂と混合して形成される被膜の空隙率は約10%となり、被膜の熱伝導率は0.5W/(m・K)程度となって、満足した低熱伝導率を得ることはできない。
【特許文献1】米国特許第6359276号公報
【特許文献2】特開2004−149714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の技術では、低熱伝導率と靭性などの高機械的強度の両特性を両立した被膜を得ることは困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、靭性など機械的強度に優れると共により低い熱伝導率を有する被膜を形成することができる低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を提供することを目的とするものであり、また機械的強度が高く熱伝導率が低い低熱伝導率被膜及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物は、低熱伝導率粒子とマトリクス形成材料とを含有する低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物において、低熱伝導率粒子が、テトラアルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン、4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤、2つ以上の水酸基を有する多価アルコール、及び水を含有する混合液中で、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランをアルカリ存在下で共加水分解反応させることにより、メソ孔を表面に有する球状のシリカナノ粒子を生成させた後、酸溶液中で4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出することによって調製されたメソポーラスシリカ微粒子であることを特徴とするものである。
【0008】
上記のように調製されたメソポーラスシリカ微粒子は、メソ孔がヘキサゴナル状に規則的に配列して形成されているものであって、空隙率が高く、熱伝導率が低いものであり、このメソポーラスシリカ微粒子を用いて熱伝導率がより低い被膜を形成することができるものである。しかも上記のようにして得られたメソポーラスシリカ微粒子は、アルコキシシランに起因するアミノ基による化学修飾でマトリクス形成材料と架橋させることが容易であって、被膜のマトリクス中に強固にメソポーラスシリカ微粒子を結合させることができ、靭性など機械的強度の高い被膜を形成することができるものである。
【0009】
また本発明は、上記低熱伝導率粒子が、メソポーラスシリカ微粒子の表面に存在するアミノ基を介して、反応性の官能基で表面修飾したメソポーラスシリカ微粒子であり、上記マトリクス形成材料が、この反応性の官能基と反応性を有する材料であることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、メソポーラスシリカ微粒子の表面の反応性官能基がマトリクス形成材料と反応することによって、メソポーラスシリカ微粒子を被膜のマトリクス中に強固に結合させることができ、機械的強度の高い被膜を形成することができるものである。
【0011】
本発明に係る低熱伝導率被膜は、上記の低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を、製膜して硬化して成ることを特徴とするものであり、低熱伝導率粒子として上記のようなメソポーラスシリカ微粒子を用いることによって、熱伝導率が低く、かつ高い機械的強度を有する被膜として形成することができるものである。
【0012】
本発明に係る低熱伝導率被膜の製造方法は、上記の低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を製膜し、200℃以下の温度で硬化させることを特徴とするものであり、200℃以下の低温で硬化させることによって、高い機械的強度を有する低被膜を形成することができるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明において低熱伝導率粒子として用いるメソポーラスシリカ微粒子は、メソ孔がヘキサゴナル状に規則的に配列して形成されているものであって、空隙率が高く、熱伝導率が低いものであり、このメソポーラスシリカ微粒子を用いて熱伝導率がより低い被膜を形成することができるものであり、しかもこのメソポーラスシリカ微粒子は、アルコキシシランに起因するアミノ基による化学修飾でマトリクス形成材料と架橋させることが容易であって、被膜のマトリクス中に強固にメソポーラスシリカ微粒子を結合させることができ、靭性など機械的強度の高い被膜を形成することができるものである。
【0014】
従って、高い機械的強度を保持しつつより熱伝導率の低い低熱伝導率被膜を形成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0016】
本発明においてマトリクス形成材料としては、基材の表面に被膜のマトリクスを形成することができるものであれば特に限定されることなく任意の材料を用いることができるものである。例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体、さらにアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物等を挙げることができるが、低熱伝導率の点でシリコーン系樹脂あるいはシリカ系樹脂が好ましく、靭性等の機械的強度を考慮すると、なかでもアクリル変性やグリシジル変性などの有機変性シリコーン樹脂が望ましい。
【0017】
また本発明において低熱伝導率粒子として、メソポーラスシリカ微粒子を用いるものである。メソポーラスシリカ微粒子は、界面活性剤の集合体を構造規定剤(Structure−directing agent:SDA)として用いて製造することができる(例えば特開2002−53773号公報参照)。メソポーラスシリカ微粒子は細孔サイズが均一であり、50%程度の大きな空隙率をもっている点に特徴があり、このような構造の特徴から低熱伝導率である。このため、メソポーラスシリカ微粒子を低熱伝導率粒子として含有する被膜を形成することによって、例えば既述の特許文献1のような空隙率が30%程度の中空シリカ系微粒子を用いる場合と比較すると、同じ含有率ではより低い熱伝導率の被膜を形成することができる。
【0018】
そしてメソポーラスシリカ微粒子を含有する被膜を形成するにあたっては、メソポーラスシリカ微粒子を上記のマトリクス形成材料と混合してコーティング用の樹脂組成物を調製し、これを基材に塗布して製膜する必要があり、メソポーラスシリカ微粒子をマトリクス形成材料に均一に分散し、またメソポーラスシリカ微粒子をマトリクス形成材料に結合させるために、メソポーラスシリカ微粒子にマトリクス形成材料に適応した表面修飾を行なうことが望ましい。
【0019】
しかし従来のメソポーラスシリカ微粒子は通常、シリカ骨格を形成した後に、焼成(通常450℃)してSDAを取り除くことによって、細孔が形成されるものであり、このように高温で焼成すると、メソポーラスシリカ微粒子の表面の表面修飾するためのサイトが減少することになり、表面修飾を行なうことが困難になる。また通常、メソポーラスシリカ微粒子はロッド形状に形成されたり、粒子径が100nm以上に形成されたりすることが多く、被膜を薄い膜厚で形成する場合、このようなロッド形状や100nm以上の粒子径のメソポーラスシリカ微粒子では被膜を表面平滑に形成することが困難になる。
【0020】
そこで本発明では、テトラアルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン、4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤、2つ以上の水酸基を有する多価アルコール、及び水を含有する混合液中で、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランをアルカリ存在下で共加水分解反応させることにより、メソ孔を表面に有する球状のシリカナノ粒子を生成させた後、酸溶液中で4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出することによって、メソポーラスシリカ微粒子を調製するようにしたものである。
【0021】
本発明において上記のテトラアルコキシシランとしては、一般式が
Si(OR …(1)
で示されるものを用いることができる。
【0022】
式(1)においてRは炭素数1〜10のアルキル基であり、このようなテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどを例示することができ、なかでもテトラエトキシシラン(Si(OC)が好ましい。
【0023】
また本発明において上記のアミノ基を有するアルコキシシランとしては、一般式が
(HN)(R4−nSi(OR …(2)
で示されるものを用いることができる。
【0024】
式(2)において、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは炭素数1〜10のアルキル基である。このアミノ基を有するアルコキシシランの具体例としては、特に限定されるものではないが、アミノプロピルトリエトキシシラン(HN−(C)−Si−(OC)などのアミノプロピルトリアルコキシシランを挙げることができる。
【0025】
さらに本発明ではSDAとして、4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を用いるものである。このような4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどを挙げることができる。
【0026】
上記のテトラアルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン、4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を水中に分散乃至溶解させ、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランを反応させるのであるが、テトラアルコキシシランやアミノ基を有するアルコキシシランを水中に分散させるために、さらに、2つ以上の水酸基を有する多価アルコールを添加する。この2つ以上の水酸基を有する多価アルコールとしては任意のものを用いることができるものであり、例えば2価アルコールのエチレングリコール、プロピレングリコール、3価アルコールのグリセリンなどを例示することができる。そして反応触媒としてアンモニアなどのアルカリの存在下、上記の混合液を攪拌することによって、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランを共加水分解反応させることができるものである。
【0027】
ここで、上記の混合液において、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランの配合比率は、モル比で100:10〜100:30の範囲に設定するのが好ましい。テトラアルコキシシラン100モルに対して、アミノ基を有するアルコキシシランが10モル未満であると、生成物の構造の規則性が低下し易くなって、メソ孔がヘキサゴナル状に規則的に配列して形成されたメソポーラスシリカ微粒子を得ることが難しくなる。逆に40モルを超えると、生成物が無定形になり易くなる。
【0028】
また4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤の配合量は、特に制限されるものではないが、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランの合計量に対して、75〜100質量%程度に設定するのが好ましい。さらに多価アルコールの配合量も、特に制限されるものではないが、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランの合計量に対して、2200〜6700質量%程度に設定するのが好ましい。
【0029】
そして、上記の混合液を40〜70℃程度の加温下、30分〜5時間程度攪拌することによって、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランが共加水分解反応し、アルコキシシランの縮合化合物からなるシリカナノ粒子1を、図2(a)に示すように混合液2中に生成させることができる。このシリカナノ粒子1は、層間に4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤5がインターカレートされた状態でシリカ骨格3が成長し、メソ孔4を有するメソポーラスシリカ微粒子1として形成されるものである。このメソ孔4は4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤5がSDAとして充填された状態で生成されるものであり、メソ孔4の直径は1〜10nm程度である。そして図1(a)(b)に模式的に示すように、メソ孔4はシリカ骨格3間にヘキサゴナル状に規則的に配列して形成されており、メソポーラスシリカ微粒子1は直径が20〜200nmの球状に形成されるものである。このメソポーラスシリカ微粒子1のシリカ骨格3の表面には、アミノ基を有するアルコキシシランに起因するアミノ基が多数存在している。
【0030】
尚、上記のように共加水分解反応する際に、多価アルコールを含有していることが重要であり、多価アルコールが含有されていないと、得られる粒子が微小な球状にならず、ロッド状になってしまい、生成物の構造の規則性も低下してしまうものである。また、アミノ基を有するアルコキシシランを含有していることも重要であり、テトラアルコキシシランのみを上記と同様に加水分解した場合には、生成物は無定形になってしまうものである。
【0031】
ここで、上記の反応混合液2中のテトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランの濃度は、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランが共加水分解反応して得られる縮合化合物の質量が、混合液2の全体の質量に対して5質量%以下(下限は特に設定されないが、実用上、0.1質量%程度が下限である)となるような、希薄濃度になるようにするのが好ましく、このため混合液2中には大量の水が含有されるようにするのが好ましい。このようにテトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランを混合液2中に希薄に存在させた状態で共加水分解反応させることによって、反応速度を抑制することができ、メソポーラスシリカ微粒子1に形成されるメソ孔4を、両末端がオープンで且つ規則的に配列されたヘキサゴナル状に形成することが容易になるものである。
【0032】
上記のように混合液2中でテトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランを共加水分解反応させて、メソポーラスシリカ微粒子1を生成させた後、40〜70℃程度の加温下、10〜100時間程度静置して熟成する。
【0033】
次に、メソ孔4に4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤5が充填されたメソポーラスシリカ微粒子1を混合液2から分離して回収する。メソポーラスシリカ微粒子1の回収は、例えば遠心分離や濾過などで行なうことができる。
【0034】
このようにメソポーラスシリカ微粒子1を分離・回収した後、メソポーラスシリカ微粒子1のメソ孔4から4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤5を抽出して除去する。4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤5の抽出は、図2(b)のようにメソポーラスシリカ微粒子1を酸溶液6中に浸漬して、イオン交換させることによって行なうことができる。この酸溶液6としては、例えば酸とアルコールの混合溶液を用いることができるものであり、酸としては硝酸アンモニウムなどを、アルコールとしてはエタノールやメタノールなどを用いることができる。そしてメソ孔4から4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤5を抽出して除去したメソポーラスシリカ微粒子1を、遠心分離や濾過などして酸溶液6から回収し、乾燥することによって、図1(c)(d)に示すようなヘキサゴナル状の空隙として形成されたメソ孔4を有する、メソポーラスシリカ微粒子1の粉体を得ることができるものである。
【0035】
このようにして得られるメソポーラスシリカ微粒子には、アミノ基を有するアルコキシシランに起因して、シリカ骨格の表面に多数のアミノ基が存在している。従って、このアミノ基に各種の化合物を化学反応させて結合させることによって、アミノ基を介してメソポーラスシリカ微粒子の表面を各種の化合物で修飾することができる。この表面修飾に用いる修飾剤としては、アミノ基と化学反応して結合する基を有するものであれば、任意のものを用いることができるものであり、例えばビニル化合物、エポキシ化合物、カルボン酸化合物、イソシアネート化合物などを挙げることができる。この表面修飾の反応の条件としては、用いた修飾剤とアミノ基が化学反応する温度・時間であれば特に制限されるものではなく、例えば30〜100℃程度の温度で10〜50時間程度反応させればよい。
【0036】
ここで上記のようにメソポーラスシリカ微粒子の表面にアミノ基を介して化学修飾するにあたって、修飾する材料を、マトリクス形成材料の種類に応じて選定するのが好ましい。すなわち、マトリクス形成材料と化学反応して結合する官能基をメソポーラスシリカ微粒子の表面に修飾することによって、マトリクス形成材料によって形成される被膜のマトリクスにメソポーラスシリカ微粒子を結合させることができ、靭性など機械的強度の高い被膜を形成することができるものである。
【0037】
例えばマトリクス形成材料として上記のようなアクリル変性シリコーン樹脂やグリシジル変性シリコーン樹脂などを用いる場合、メソポーラスシリカ微粒子の表面のアミノ基にビニル変性シリコーンアルコキシドやグリシジル変性シリコーンアルコキシドを化学反応させて修飾し、メソポーラスシリカ微粒子の表面にこれらのシリコーンアルコキシドを導入することが好ましい。このものでは、メソポーラスシリカ微粒子の表面のシラノール基あるいはアルコキシド基が、マトリクス形成材料のシラノール基あるいはアルコキシド基と加水分解縮合反応し、マトリクス形成材料とメソポーラスシリカ微粒子の架橋が形成され、マトリクス形成材料によって形成される被膜のマトリクスにメソポーラスシリカ微粒子を強固に結合させて、機械的強度がより高い被膜を形成することができるものである。
【0038】
尚、メソポーラスシリカ微粒子を表面修飾する工程は、上記のようにメソ孔から4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出して除去した後であってもよいが、メソ孔から4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出する前であってもよい。
【0039】
そして本発明に係る低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物は、上記のマトリクス形成材料に低熱伝導率粒子としてメソポーラスシリカ微粒子を配合することによって調製することができるものである。この組成物において、メソポーラスシリカ微粒子とマトリクス形成材料との質量割合は、特に限定されるものではないが、メソポーラスシリカ微粒子/マトリクス形成材料(固形分)=95/5〜50/50の範囲になるように設定するのが好ましく、より好ましくは95/5〜75/25である。メソポーラスシリカ微粒子の比率が95より多いと、得られる硬化被膜の機械的強度が低下するおそれがあり、逆にメソポーラスシリカ微粒子の比率が50より少ないと、硬化被膜の低熱伝導率を発現させる効果が小さくなるおそれがある。
【0040】
本発明の低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物には、外殻の内部が空洞ではないシリカ粒子を添加することができる。このシリカ粒子を配合することによって、低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物によって形成される硬化被膜の機械的強度を向上させることができるものであり、さらには表面平滑性と耐クラック性をも改善することができるものである。このシリカ粒子の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、粉体状の形態でもゾル状の形態でもよい。シリカ粒子をゾル状の形態、すなわちコロイダルシリカとして使用する場合、特に限定されるものではないが、例えば、水分散性コロイダルシリカあるいはアルコール等の親水性の有機溶媒分散性コロイダルを使用することができる。一般にこのようなコロイダルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50質量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定することができる。このシリカ粒子の添加量は、低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物中における固形分全量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。0.1質量%未満ではこのシリカ粒子の添加による効果が得られないおそれがあり、逆に30質量%を超えると硬化被膜の熱伝導率を高くするように悪影響を及ぼすおそれがある。
【0041】
そして、上記のようにして調製した低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を基材の表面に塗装して被膜を製膜すると共にこの被膜を乾燥硬化させることによって、低熱伝導率被膜を形成することができるものである。低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物が塗装される基材は、特に限定されるものではないが、例えば、ガラスに代表される無機系基材、金属基材、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートに代表される有機系基材を挙げることができ、また基材の形状としては、板状やフィルム状等を挙げることができる。さらに、基材の表面に低熱伝導率被膜を1層以上の層数で形成することもできる。
【0042】
低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を基材の表面に塗装するにあたって、その方法は特に限定されるものではないが、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコート)、ロールコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコート等の通常の各種塗装方法を選択することができる。
【0043】
また、基材の表面に形成した被膜を乾燥させた後に、これに熱処理を行うのが好ましい。この熱処理によって、硬化被膜の機械的強度をさらに向上させることができるものである。熱処理の際の温度は、200℃以下の比較的低温で5〜30分処理することが好ましい。熱処理の温度が高いと、硬化被膜が脆くなって靭性が低下するおそれがあるが、このような200℃以下の温度で熱処理を行なうことによっても、高温で熱処理を行うときと同等の機械的強度を得ることができるので、製膜コストを低減することが可能となり、また高温による熱処理の場合のように、基材の種類が制限されることがなくなるものである。しかも、例えばガラス基材の場合には熱伝導率が低いため、温度の上昇と冷却に時間がかかり、高温による熱処理ほど処理スピードが遅くなるのに対し、低温による熱処理では逆に処理スピードを早めることができるものである。熱処理の温度の下限は特に設定されないが、実用的には100℃以上で熱処理するのが好ましい。
【実施例】
【0044】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0045】
(実施例1)
冷却管、攪拌機、温度計を取り付けた1Lのセパラブルフラスコに、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを1.3g、蒸留水を180g、エチレングリコールを30g、25質量%濃度のアンモニア水溶液を8.0mL、室温で順次仕込み、攪拌を行ないながら昇温して50℃まで加温し、この温度で30分間攪拌した。次にこれにテトラエトキシシラン1.5mLとγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.29mLとをすばやく加えた。このときのテトラエトキシシランとγ−アミノプロピルトリエトキシシランのモル比は100:20である。そして反応温度を50℃に保ったまま、混合液を2時間攪拌し、さらに攪拌を停止した後に、50℃の温度を保持して20時間静置した。
【0046】
この工程において、混合液中では、テトラエトキシシランとγ−アミノプロピルトリエトキシシランが共加水分解反応し、メソ孔にヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが充填された状態のメソポーラスシリカ微粒子が生成される。
【0047】
次に、加温を停止し、混合液の温度が室温に戻ってから、混合液を遠心分離機にセットし、20000rpmで20分間遠心分離することによって、固体成分を液体から分離して回収した。
【0048】
このように回収した固体成分をエタノールで洗浄した後、硝酸アンモニウムを1質量%濃度で溶解したエタノール溶液に、約1gの固体成分を加えて分散させ、30分間還流した。
【0049】
この工程において、メソ孔内のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドはイオン交換反応で硝酸アンモニウム/エタノール溶液に抽出され、メソ孔内から除去される。
【0050】
次に、硝酸アンモニウム/エタノール溶液に固体成分を分散させた分散液を遠心分離機にセットし、2000rpmで20分間遠心分離することによって、固体成分を液体から分離して回収した。
【0051】
そしてこのように回収した固体成分をエタノールで洗浄した後、80℃で24時間乾燥することによって、白色粉末のメソポーラスシリカ微粒子を得た。
【0052】
このようにして得たメソポーラスシリカ微粒子のX線回折チャートにはd値=3.5nmにピークがみられ、ヘキサゴナル構造の特性がみられるものであった。X線回折チャートを図3に示す。図3においてaはヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを抽出する前、bは抽出した後である。
【0053】
またこのメソポーラスシリカ微粒子のメソ孔を窒素吸着BET法により測定したところ、比表面積1530m/g、細孔容量1.97mL/g、平均細孔径2.54nmであった。図4に細孔分布を示す。
【0054】
また図5にこのメソポーラスシリカ微粒子の走査型電子顕微鏡写真(3万倍)を、図6にこのメソポーラスシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡写真((a)は10万倍)を示す。これらの電子顕微鏡写真にみられるように、メソポーラスシリカ微粒子は粒子径70〜100nmの球形であり、ヘキサゴナル状の空隙が規則正しく配列していることが確認される。
【0055】
上記のようにして得られたメソポーラスシリカ微粒子を、超音波分散器を用いてイソプロピルアルコール(IPA)に固形分濃度が5質量%になるように分散し、メソポーラスシリカIPA分散ゾルを得た。
【0056】
一方、テトラエトキシシラン86.8質量部にイソプロピルアルコール803.5質量部を加え、さらにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン34.7質量部、及び0.1N−硝酸水溶液75質量部を加え、これをディスパーを用いてよく混合した。この混合液を40℃恒温槽中で10時間撹拌して、重量平均分子量が3000のシリコーンレジンの5質量%溶液を得た。尚、分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、測定機として東ソー(株)の「HLC8020」を用いて、標準ポリスチレンで検量線を作成し、その換算値として測定したものである。
【0057】
そしてこのシリコーンレジン溶液に、上記のメソポーラスシリカIPA分散ゾルを、メソポーラスシリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で50/50の質量比となるように添加し、さらに全固形分が3質量%になるようにIPA/酢酸ブチル/ブチルセロソルブ混合液(希釈後の溶液の全量中の5質量%が酢酸ブチル、全量中の2質量%がブチルセロソルブになるように予め混合された溶液)で希釈することによって、低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物の塗布液を得た。
【0058】
(実施例2)
実施例1と同様にして、テトラエトキシシランとγ−アミノプロピルトリエトキシシランを共加水分解反応させた後、反応後の混合液を遠心分離して固体成分を分離回収し、固体成分をエタノールで洗浄した。
【0059】
次に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(CH=C(CH)−COO−(CH−Si(OCH)を0.50質量%濃度になるように添加したメタノール溶液に、この回収した固体成分を分散させ、50℃で24時間、マイケル付加重合を行なった。
【0060】
この工程おいて、メソポーラスシリカ微粒子の表面のアミノ基に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが次の反応式のように反応し、メソポーラスシリカ微粒子の表面が修飾された。
【0061】
−Si−(C)−NH + CH=C(CH)−COO−(CH−Si(OCH
→ −Si−(C)−N[CH−C(CH)−COO−(CH−Si(OCH
次に、この反応後の混合液を遠心分離機にセットし、2000rpmで20分間遠心分離することによって、固体成分を液体から分離して回収し、固体成分をエタノールで洗浄した。
【0062】
後は、実施例1と同様にして、メソ孔内のヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを抽出して除去し、エタノールで洗浄した後に乾燥することによって、白色粉末のメソポーラスシリカ微粒子を得た。
【0063】
このメソポーラスシリカ微粒子をIRで分析したところ、1724cm−1にエステル結合に起因する吸収がみられ、表面装飾されていることが確認された。
【0064】
上記のようにして得られたメソポーラスシリカ微粒子を、超音波分散器を用いてイソプロピルアルコール(IPA)に固形分濃度が5質量%になるように分散し、メソポーラスシリカIPA分散ゾルを得た。
【0065】
そしてこのメソポーラスシリカIPA分散ゾルを用い、後は実施例1と同様に、シリコーンレジン溶液にメソポーラスシリカIPA分散ゾルを添加すると共にIPA/酢酸ブチル/ブチルセロソルブ混合液で希釈することによって、低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物の塗布液を得た。
【0066】
(比較例1)
中空シリカ微粒子として中空シリカIPA分散ゾル(固形分20%、平均一次粒子径約60nm、外殻厚み約10nm、触媒化成工業社製)を用いた。そして実施例1で得たシリコーンレジン溶液に、中空シリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で50/50の質量比となるように中空シリカ微粒子を添加し、さらに全固形分が3質量%になるようにIPA/酢酸ブチル/ブチルセロソルブ混合液(希釈後の溶液の全量中の5質量%が酢酸ブチル、全量中の2%がブチルセロソルブになるように予め混合された溶液)で希釈することによって、低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物の塗布液を得た。
【0067】
(比較例2)
シリコーンレジン溶液に比較例1と同様の中空シリカ微粒子を、中空シリカ微粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で70/30の質量比となるように添加するようにした他は、比較例1と同様にして、低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物の塗布液を得た。
【0068】
上記のように実施例1〜2及び比較例1〜2で得た低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物の塗布液を、40mm×40mm×厚み0.7mmの無アルカリガラス基板の表面に、スピンコーター法により、回転数1500rpm、30秒の条件で塗布し、80℃のホットプレートで5分間乾燥させた。同様のスピンコーターによる塗布及び乾燥を合計3回繰り返して行なった後、窒素雰囲気下において、180℃のホットプレートで30分間加熱処理して焼成した。次に基板を室温まで冷却した後に取り出し、基板上に形成された硬化被膜の膜厚を膜厚計(SCI社製「FilmTek−3000」)で測定したところ、実施例1〜2及び比較例1〜2のいずれも、約500nmであった。
【0069】
上記のようにして得た実施例1〜2及び比較例1〜2の硬化被膜について、被膜の熱伝導率を、三ツワ理化学工業社製熱伝導率計「LaserPIT」を用い、25℃の条件で示差法で測定し、被膜強度(ヤング弾性率)をMTSシステム社製「ナノインデンターXP」を用いてナノインデンテーション法で測定した。
【0070】
また実施例1〜2及び比較例1〜2で得た低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物の塗布液を、40mm×40mm×厚み0.7mmのアルミニウム基板の表面に、上記と同様に塗布・乾燥・焼成して硬化被膜を形成し、このアルミニウム基板を折り曲げ試験機で折り曲げ、硬化被膜にクラックが発生するときの折り曲げ半径を測定した。
【0071】
【表1】

【0072】
表1にみられるように、各実施例の硬化被膜は、微粒子を同じ質量比率で配合した比較例1と比べて熱伝導率が低いことが確認される。また各実施例は、熱伝導率が同じ程度になるように微粒子を配合した比較例2と比べて、ヤング弾性率が高いと共に折り曲げ半径が小さく、機械的強度が高い。従って本発明のメソポーラスシリカ微粒子を用いることによって、低熱伝導率と高機械的強度を兼ね備えた低熱伝導率被膜を形成できることが確認される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明で用いるメソポーラスシリカ微粒子を模式的に示すものであり、(a)(b)はメソ孔から4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出する前の、正面断面図と側面断面図、(c)(d)はメソ孔から4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出した後の、正面断面図と側面断面図である。
【図2】メソポーラスシリカ微粒子を製造する工程を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図3】実施例1で得たメソポーラスシリカ微粒子のX線回折チャートである。
【図4】実施例1で得たメソポーラスシリカ微粒子の細孔分布を示す図である。
【図5】実施例1で得たメソポーラスシリカ微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例1で得たメソポーラスシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0074】
1 メソポーラスシリカ微粒子
3 シリカ骨格
4 メソ孔
5 界面活性剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低熱伝導率粒子とマトリクス形成材料とを含有する低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物において、低熱伝導率粒子が、テトラアルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン、4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤、2つ以上の水酸基を有する多価アルコール、及び水を含有する混合液中で、テトラアルコキシシランとアミノ基を有するアルコキシシランをアルカリ存在下で共加水分解反応させることにより、メソ孔を表面に有する球状のシリカナノ粒子を生成させた後、酸溶液中で4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤を抽出することによって調製されたメソポーラスシリカ微粒子であることを特徴とする低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物。
【請求項2】
上記低熱伝導率粒子が、メソポーラスシリカ微粒子の表面に存在するアミノ基を介して、反応性の官能基で表面修飾したメソポーラスシリカ微粒子であり、上記マトリクス形成材料が、この反応性の官能基と反応性を有する材料であることを特徴とする請求項1に記載の低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を、製膜して硬化して成ることを特徴とする低熱伝導率被膜。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の低熱伝導率被膜形成用樹脂組成物を製膜し、200℃以下の温度で硬化させることを特徴とする低熱伝導率被膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−40966(P2009−40966A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210059(P2007−210059)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(500374238)
【Fターム(参考)】