説明

低熱膨張係数のコージエライト体およびその製造方法

49〜53%のSiO、33〜38%のAl、12〜16%のMgOの分析酸化物組成(酸化物を基準にした重量パーセントで表す)を有するコージエライトの主要結晶相を呈し、かつ約25℃〜約800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃と等しいかそれよりもさらに負である熱膨張係数を示す、焼結セラミック物品を開示している。上述のコージエライトを含むセラミック物品の製造方法も開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒担体用のコージエライトセラミック体に関し、特にその低熱膨張係数(CTE)により耐熱衝撃性が高いコージエライト体に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素ガス、ガソリンまたはディーゼル燃料などの炭化水素燃料を利用する内燃システム(internal combustion systems)が放出する排気ガスによって、重大な大気汚染が起こりうる。こうした排気ガスの多数の汚染物質の中には炭化水素類および酸素含有化合物があり、酸素含有化合物としては窒素酸化物(NOx)および一酸化炭素(CO)などがある。自動車工業では、長年にわたって自動車エンジンシステムから出る汚染物質の量の削減が試みられており、触媒コンバーターを装備した最初の自動車が導入されたのは1970年代半ばであった。
【0003】
コージエライト基材(通常、ハニカム体の形態)は、自動車の触媒コンバーター用の触媒活性成分を支持する基材用として長い間好まれてきたが、それは一つにはコージエライトセラミックスの耐熱衝撃性が高いためである。耐熱衝撃性は熱膨張係数と逆比例する。すなわち、低熱膨張のハニカムは優れた耐熱衝撃性を有し、使用時に遭遇する大幅な温度変動に耐え抜くことができる。コージエライト体の熱膨張係数は、コージエライトの結晶がランダムに配向している多結晶質コージエライト体の場合、25℃〜800℃の範囲では約18×10−7/℃であることが一般に知られている。
【0004】
粘土および滑石などのマグネシウム源、アルミニウム源およびケイ素源を含有する鉱物のバッチからコージエライト(2MgO・2Al・5SiO)セラミックスが製造されることはよく知られている。そのような方法は特許文献1に記載されている。特許文献2は、粘土/滑石のバッチを押し出してその押し出し物を焼成することにより、そのバッチから耐熱衝撃性のコージエライトハニカムセラミックスを製造して、少なくとも1方向に沿った膨張係数が非常に低いセラミックスを得ることを開示している。さらにこの文献は、コージエライト結晶の結晶C軸がハニカムウェブ(honeycomb webs)の平面にあるように配向すると、熱膨張値がわずか5.5×10−7/℃になるという原理について記載している。
【0005】
触媒担体としての有用性を高めるために、製造業者は引き続きコージエライト基材の特性の最適化に取り組んでいる。特に、製造業者はコージエライト基材の耐熱衝撃性および強度を最適化する努力を絶えず払っている。以下に示す特許はそれぞれ、改善された耐熱衝撃性または熱膨張係数(CTE)を示すセラミックハニカムの製造に関するものである。
【0006】
特許文献3(井ノ口ら)は、板状滑石粒子および板状でない他のセラミック物質粒子を含む原料混合物を使用し、その後、板状滑石粒子が平面配向するように混合バッチを不等圧で(anisostatically)成形し、その後で乾燥および焼成して成形セラミック体を得ることを開示している。井ノ口の文献の成形セラミック体は、熱膨張係数がわずか7.0×10−7/℃であることを示した。
【0007】
特許文献4(ビオール(Beall)ら)および特許文献5(ビオール(Beall)ら)は、所望のコージエライト体を形成する特定原料を選択することを伴う、コージエライト体の製造方法を開示している。具体的には、このような選択原料には粘土も滑石も含まれるべきではなく、粒径がそれぞれ15および8μm以下である、MgOを生ずる成分およびAlを生ずる成分を含むべきである。原料を混ぜ合わせた後、上述のコージエライト体が形成されるのに十分な温度で十分な時間、乾燥および焼成される。これらのビオール(Beall)の文献で形成されるセラミック体は、約25〜約1000℃で約9×10−7/℃未満の熱膨張係数を示した。
【特許文献1】米国特許第5,258,150号明細書
【特許文献2】米国特許第3,885,977号明細書
【特許文献3】米国特許第4,434,117号明細書
【特許文献4】米国特許第5,114,643号明細書
【特許文献5】米国特許第5,114,644号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかるセラミックスは、既存の方法を用いて製造される押出しコージエライトセラミックスに関しては熱膨張係数特性の点で改善が見られるが、この熱膨張特性は、特に無視できないほどのセラミックスの強度の減少がないようにして、さらにいっそう改善されることが望ましいであろう。厚さが薄く、セル密度が高く、触媒変換効率(catalytic conversion efficiency)も高く、さらに背圧が低いコージエライトハニカム触媒担体を製造しようとする動きがあるため、コージエライトハニカム基材の製造において、強度はますます重要な考慮事項となってきている。
【0009】
したがって本発明の主な目的は、超低熱膨張を示すと共に十分な強度を示す改善されたコージエライトセラミックス、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、コージエライトを含む主要結晶相を有しかつ超低熱膨張係数を示す焼結セラミック基材、およびそのセラミック基材の製造方法が提供される。
【0011】
第1の態様では、本発明は、少なくとも約93重量%のコージエライトを含んでいる焼結相組成物を含むセラミック物品であって、コージエライトが約49〜約53重量%のSiO、約33〜約38重量%のAl、および約12〜約16重量%のMgOから実質的になっており、焼結相組成物が25℃〜800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃と等しいかそれよりもさらに負である軸方向の熱膨張係数を示す、セラミック物品を提供する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、焼結相コージエライト組成物を含むセラミック物品の製造方法を提供する。この方法は、分散性アルミナ源と酸化マグネシウム源を溶媒中で混合してスラリープレミックスを得る工程と、スラリープレミックスから実質的に溶媒を除去して第1乾燥プレミックスを得る工程と、少なくとも1種のシリカ源を第1乾燥プレミックスと一緒に混合してコージエライト前駆体バッチ組成物を得る工程と、コージエライト前駆体バッチ組成物を結合剤系と一緒に混合して軟質のコージエライト前駆体組成物を形成する工程と、軟質のコージエライト前駆体組成物から未焼成体を形成する工程と、コージエライト組成物を含むセラミック物品を得るのに十分な温度で十分な時間、未焼成体を焼成する工程とを含む。
【0013】
第3の態様では、本発明は、本発明の方法で製造されるセラミック物品を提供する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、ある程度は以下に続く詳細な説明、図およびいずれかの特許請求の範囲で説明されるであろうし、またある程度は詳細な説明から導き出されるであろう。あるいは、本発明を実施することによって知ることができる。上述の概要および以下の詳細な説明は共に単なる例示および説明であり、開示されている本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0015】
本明細書に組み込まれており、その一部をなすものである添付図面は、本発明の特定の態様を示すものであり、説明とあいまって(限定されるわけではないが)本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲、ならびにそれらの前述および後述の説明を参照すればさらに容易に理解できる。
【0017】
本発明の組成物、装置、および/または方法を開示および説明するに先立って、本発明は、特に指定がない限り、開示されている特定の物品、装置、および/または方法に限定されず、したがって当然のことだが、変わりうることを理解すべきである。また本明細書で使用されている用語は特定の態様を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではないことも理解すべきである。
【0018】
本発明の以下の説明は、本発明を実施可能にするための教示として、現在知られている最良の実施態様の形で提供されている。説明されている実施態様を変更できる一方、それでもなお本発明の有益な結果を得られることを、当業者なら理解するであろう。本発明の望ましい便益の幾つかは、本発明の一部の特徴を選択し、他の特徴を使用しないことによって得られることも明らかであろう。したがって、本発明の多数の変更形態および適応形態(adaptations)が可能であり、それらはある特定の状況では望ましい場合さえあり得ること、またそれらは本発明に含まれることを、当業者なら理解するであろう。それゆえに以下の記述は、本発明の原理の説明として提供されるものであり、限定するためのものではない。
【0019】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」は複数の指示対象を含む。ただし、文脈から明らかにそうではないことが分かる場合は別である。したがって、例えば、1種の「分散性アルミナ発生源」に言及している場合、2種以上のそのような分散性アルミナ発生源を含む態様が含まれることになる。ただし、文脈から明らかにそうでないことが分かる場合は別である。
【0020】
本明細書では、範囲は、「約」の付いたある特定値から、および/または「約」の付いた別の特定値までとして表現されることがある。そのような範囲が示されている場合、別の態様として、ある特定値からおよび/または他方の特定値までが含まれる。同様に、値が、前に付いた「約」によって近似値として示されている場合、その特定の値が別の態様となることが理解されるであろう。各範囲の端の値(endpoints)は、他方の端の値と関係する場合にも、また他方の端の値とは無関係な場合にも、有効であることがさらに理解されるであろう。
【0021】
本明細書で使用される「任意の」または「任意選択的に」は、その後に説明する事態または状況が生じても生じなくてもよいこと、およびその説明には前記の事態または状況が生じる場合および生じない場合が含まれることを意味する。
【0022】
本明細書で使用される成分の「重量パーセント」または「重量%」は、成分が含まれている配合物または組成物の全重量を基準にしているが、そうではないと特に述べられている場合は別である。
【0023】
本明細書で使用される「よりもさらに負である」という用語は、負の方向にゼロからさらに離れている数または値のことを指す。例えば、25℃〜800℃の温度範囲にわたって平均熱膨張係数が−1.0×10−7/℃である場合、それは25℃〜800℃の温度範囲にわたって平均熱膨張係数が−0.6×10−7/℃であるよりもさらに負である。ただし、この例に限定されるわけではない。
【0024】
本出願全体にわたってさまざまな刊行物が参照されている。それらの刊行物の開示内容はその全体があらゆる目的のために本出願に援用されることを理解すべきである。
【0025】
上に簡単に説明したように、本発明は、セラミック物品およびセラミック物品の製造方法に関する。以下に説明するように、原料を含んでなる軟質のコージエライト前駆体バッチ混合物であって、少なくとも約93重量%のコージエライトを含んでいる焼結相組成物を含むセラミック物品が形成されるように各原料の相対量が選択されたバッチ混合物から、本発明のセラミック物品は形成されうる。コージエライトは、分析酸化物(analytical oxide)に基づいて、約49〜約53重量%のSiO、約33〜約38重量%のAl、および約12〜約16重量%のMgOから実質的になっている。
【0026】
本発明の1つの態様によれば、本発明のセラミック物品の製造用の可塑化可能な(plasticizable)コージエライト前駆体バッチ組成物が提供される。1つの態様では、可塑化可能なコージエライト前駆体バッチ組成物は、少なくとも1種の分散性アルミナ源、少なくとも1種の酸化マグネシウム源、および少なくとも1種のシリカ源を含む。
【0027】
酸化マグネシウム源は、1つの態様では滑石を含んでよい。1つの態様では、滑石は板状滑石であってよい。本明細書で使用される板状滑石とは、小板粒子モルホロジー(すなわち、2つの寸法が長くて1つの寸法が短い粒子、言い換えれば、例えば、小板の長さと幅が厚さよりもかなり大きい)を示す滑石を指す。1つの態様では、滑石は約0.75より大きいモルホロジー指数(morphology index)を有する。米国特許第5,141,686号明細書に開示されているモルホロジー指数は、滑石の板状性(platiness)の度合いの尺度である。モルホロジー指数を測定する1つの典型的な手順は、試料ホルダーの平面内において板状滑石の配向が最大になるようにホルダーに試料を置くことである。その後、配向滑石のX線回折(XRD)パターンを測定できる。モルホロジー指数は、以下の式を用いて半定量的に滑石の板状特性をそのXRDピーク強度と関連づける。
【数1】

【0028】
(式中、Iはピークの強度であり、Iは反射の強度である。)本発明に用いるのに好適な市販の酸化マグネシウム源の例としては、カナダのオンタリオ州オークビルのリュゼナク社(Luzenac,Inc.of Oakville,Ontario,Canada)から入手可能なアークティック・ミスト滑石(Arctic Mist Talc)、およびモンタナ州ディロンのバレッツ・ミネラルズ社(Barrett’s Minerals,Inc.of Dillon,Montana)から入手可能な96−67滑石(96−67 Talc)があるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用されるアルミナ発生源という用語は、酸化アルミニウム、あるいは十分高温に加熱すると実質的に100%の酸化アルミニウムを生じるアルミニウム含有化合物を指す。それで、分散性アルミナ発生源は、溶媒または液状媒体中で少なくとも実質的に分散性であり、かつ溶媒または液状媒体中でコロイド懸濁液となるようにするのに用いることができるアルミナ発生源である。1つの態様では、分散性アルミナ源は、少なくとも20m/gの比表面積を有する比較的表面積の大きいアルミナ源であってよい。あるいはまた、分散性アルミナ源は、少なくとも50m/gの比表面積を有していてもよい。1つの態様では、分散性アルミナ源は、一般にベーマイト、擬ベーマイト、およびアルミニウム一水和物と呼ばれる、アルファ酸化アルミニウム水酸化物(AlOOH・x・HO)を含む。別の態様では、分散性アルミナ源は、いわゆる遷移アルミナまたは活性アルミナ(すなわち、水酸化酸化アルミニウム、およびカイ、イータ、ロー、イオタ、カッパ、ガンマ、デルタ、およびシータ・アルミナ)を含んでよく、これらのアルミナはさまざまな量の化学結合水またはヒドロキシル官能基を含むことができる。本発明に用いることができる市販の分散性アルミナ源の例としては、テキサス州ヒューストンのコンデア・ビスタ・カンパニー(CONDEA Vista Company of Houston,Texas)から市販されているディスパル・ベーマイト(Dispal Boehmite)およびアルマティス社(Almatis,Inc.)から市販されているアルファ・アルミナ(Alpha Alumina)A1000があるが、これらに限定されない。
【0030】
分散性アルミナは、本明細書で述べるコージエライト体の形成を可能にするのに十分な任意の量だけ使用できるが、1つの態様では、分散性アルミナは、コージエライト前駆体バッチ組成物の全重量を基準にしておよそ15〜およそ45重量パーセントの範囲の量だけ使用される。これには、20重量パーセント、25重量パーセント、30重量パーセント、35重量パーセント、40重量パーセント、およびこれらの値から得られる任意の範囲などの例示的な重量パーセントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
シリカ発生源は、1つの態様ではシリカ原料を含んでよく、これには、溶融SiO、コロイド状シリカ、結晶シリカ(石英またはクリストバライト、またはアルミナの少ない実質的にアルカリを含まないゼオライトなど)などがある。別の態様では、シリカ発生源は、加熱されると遊離シリカを形成する化合物(例えば、ケイ酸またはケイ素有機金属化合物)を含んでよい。さらに別の態様では、シリカ発生源は粘土であってよい。この目的のために、好適な粘土は、火焼粘土か原料粘土のいずれか、あるいは火焼粘土と原料粘土を組み合わせたものであってよい。1つの態様では、好適な粘土はカオリンをさらに含む。市販のシリカ発生源の例としては、ジョージア州ドライブランチのドライブランチ・カオリン社(Dry Branch Kaolin,Inc.of Dry Branch,Georgia)から入手可能なグロマックス(Glomax)火焼粘土およびK−10原料粘土、およびオハイオ州バイズビルのラグーナ・クレー社(Laguna Clay Co.of Byesville,Ohio)から入手可能なイムシルA25シリカ(Imsil A25 Silica)があるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明によれば、可塑化可能なコージエライト前駆体バッチ組成物は、最初に分散性アルミナ源と酸化マグネシウム源を溶媒中で混合してスラリープレミックスを得ることによって製造できる。1つの態様では、スラリープレミックスは、固形分配合量がおよそ50〜およそ60重量%の範囲であってよい。
【0033】
溶媒は、酸化マグネシウム源と分散性アルミナ源の両方が少なくとも実質的に分散してコロイド懸濁液またはスラリーとなることが可能な任意の液状媒体であってよい。1つの態様では、溶媒は水であってよい。
【0034】
その後、分散性アルミナ発生源および酸化マグネシウム発生源を含んでなるプレミックススラリーを、少なくとも実質的に乾燥させて、スラリープレミックスから少なくとも実質的に溶媒を除去し、第1乾燥プレミックスを得ることができる。さまざまな態様では、少なくとも実質的に乾燥させたプレミックスとは、少なくとも80%を超える、少なくとも85%を超える、少なくとも90%を超える、少なくとも95%を超える、あるいは少なくとも実に99%を超える溶媒が除去されたスラリープレミックスを指す。溶媒をスラリーから除去する方法としては、従来の任意の方法を使用でき、それには従来のオーブン乾燥および/または噴霧乾燥(spray dried)などがあるが、これらに限定されない。1つの態様では、スラリープレミックスは、スラリーを噴霧乾燥させることによって少なくとも実質的に乾燥させる。
【0035】
スラリープレミックスを少なくとも実質的に乾燥させた後で、少なくとも1種のシリカ発生源を乾燥プレミックスと一緒に混合して、少なくとも1種の分散性アルミナ源、少なくとも1種の酸化マグネシウム源、および少なくとも1種のシリカ源を含んでなるコージエライト前駆体バッチ組成物を得る。少なくとも1種のシリカ発生源に加えて、1種または複数種の追加バッチ材料を乾燥プレミックスに入れることができることも理解すべきである。例えば、限定されるわけではないが、原料粘土、火焼粘土、滑石、シリカ、アルミナ、ベーマイト、多孔剤(porosity additive)、またはそれらの任意の混合物を乾燥プレミックスに添加することもできる。上述の乾燥プレミックス、少なくとも1種のシリカ発生源および任意のバッチ材料は、乾燥混合工程で十分に混合して、完全に混ざるようにし、後の熱処理時に少なくとも実質的に完全に反応することができるコージエライト前駆体バッチ組成物が得られるようにすることができる。
【0036】
コージエライト前駆体バッチ組成物を結合剤系と一緒に混合すると、軟質のコージエライト前駆体組成物を作ることができ、また形成可能および/または成形可能な押出し可能混合物を作りやすくなる。1つの態様では、本発明に用いる結合剤系は、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、およびそれらの組合せよりなる群から選択されるセルロースエーテル結合剤成分、界面活性剤成分(好ましくはステアリン酸またはステアリン酸ナトリウム)、および溶媒成分(好ましくは水を含む)を含む。1つの態様では、結合剤系は、コージエライト前駆体バッチ組成物を100重量部と仮定して次の量を含んでよい。すなわち約0.2〜2重量部のステアリン酸ナトリウム、約2.5〜6.0重量部のメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース結合剤、および約20〜50重量部の水を含んでよい。
【0037】
結合剤系の個別の成分は、任意の公知の好適な方法でコージエライト前駆体バッチ組成物と一緒に混合して、例えば、押出し成形によってセラミック体に成形することが可能な、セラミック物質と結合剤系の完全な混合物を調製することができる。例えば、結合剤系の全成分をあらかじめ互いに混合し、その後、結合剤混合物をコージエライト前駆体バッチ組成物と一緒に混合することができる。この場合、結合剤系の全部を一度に添加してもよく、あるいは結合剤系を分割し適当な間隔をおいて順々に添加することもできる。あるいはまた、結合剤系の成分を1種類ずつコージエライト前駆体バッチ組成物に添加するか、または結合剤系の2種以上の成分をあらかじめ混合して調製したものをそれぞれコージエライト前駆体バッチ組成物に添加してもよい。さらに、最初に結合剤系をコージエライト前駆体バッチ組成物の一部と混合してもよい。この場合、コージエライト前駆体バッチ組成物の残りの部分を、調製した混合物に後で添加する。いずれにせよ、結合剤系をあらかじめ定められた部分だけコージエライト前駆体バッチ組成物と均一に混合しなければならない。この目的のために、1つの態様では、結合剤系とコージエライト前駆体バッチ組成物との均一混合は、公知の混練方法で実施できる。
【0038】
その後、得られた粘りのある均一で押出し可能な軟質のコージエライト前駆体バッチ組成物を、例えば、押出成形、射出成形、スリップ鋳造、遠心鋳造、圧力鋳造などの知られている任意の従来のセラミック成形方法で未焼成体に形成することができる。触媒担体として用いるのに好適な薄肉ハニカム基材の製造の場合、金型による押出成形が好ましい。
【0039】
その後、製造されたセラミック未焼成体は、焼成の前に、熱風または高周波乾燥などの任意の従来の方法で約5〜20分間乾燥させることができる。乾燥させた未焼成体は、その後、主要相としてコージエライトを含有する焼成セラミック体が得られるほど十分な温度で十分な時間、焼成することができる。焼成条件は、特定の組成、未焼成体の寸法、および設備の特性などのプロセス条件によって変わりうる。その目的を達成するため、最適の焼成条件は、当業者であれば、ただの決まりきった手順にすぎない実験で容易に求められるであろう。しかし、1つの態様では、焼成条件は、未焼成体を約1350℃〜約1450℃の間の温度に加熱し、その温度に約6時間〜約16時間保持し、その後未焼成体を冷却して室温に戻すことを含んでよい。さらに別の態様における2つの例示的な加熱プロファイル(heating profiles)を以下の表3および4に示すが、これらに限定されるわけではない。
【0040】
上述したように、コージエライトセラミック体は、例えば、押出成形によってハニカム構造体に成形した場合、その特徴的な高い横断I比(transverse I‐ratio)および低い軸I比(axial I‐ratio)から明らかなように、そのコージエライト結晶子の配向によってさらに特徴づけられる。具体的には、1つの態様では、本発明のセラミック物品は少なくとも約0.88の横断I比によって特徴づけることができる。別の態様では、本発明のセラミック物品は、少なくとも約0.91、少なくとも約0.92、少なくとも0.96または少なくとも実に約0.97の横断I比によって特徴づけることができる。別の態様では、本発明のセラミック物品は約0.46以下の軸I比によって特徴づけることができる。あるいはまた、セラミック物品は、約0.42以下、約0.39以下または実に約0.24以下の軸I比を有していてよい。
【0041】
このI比特性は、コージエライトハニカム体の焼成ウェブの一部をX線回折分析することによって測定する。コージエライトを構成する結晶子の負膨張c軸(negative expansion c‐axes)が、優先的に特定方向に配列している場合、その方向に対して垂直に切断されたスライスから測定される反射は、結晶子がランダム配向である場合よりも強度が強いはずである。それと同時に、負膨張c軸と平行な結晶面から回折した反射は、ほとんど配向のない場合よりも強度が小さいはずである。米国特許第3,885,977号明細書で初めて記載された以下の比(I比(I))は、配向の度合いを記述するのに用いられる。
【数2】

【0042】
(式中、I(110)およびI(002)はそれぞれ、コージエライトの六方晶系構造に基づいた(110)および(002)の結晶面からのX線反射のピーク高さである。これらの反射はそれぞれ約4.9Åおよび4.68Åのd間隔に対応する。)
軸I比および横断I比は、X線ビームでのコージエライトハニカム試料の異なる配向を指す。X線ビームはある角度で平面に当たる。具体的に横断I比の測定に関して言えば、この測定は、X線が当たる平面がハニカムの形成壁表面で構成される平面である場合の試料の平面に関して行う。別の言い方をすれば、この横断I比の測定は、コージエライトハニカム基材を薄く切って、ハニカムのウェブの平らな部分を露出させ、そのウェブに対してX線回折を実施し、観察される回折ピークの強度を計算することによって行う。得られた値が、完全なランダム配向の結晶(すなわち、粉末)物体のI比である0.65より大きい場合、コージエライト結晶子は好ましい配向を有していると判断できる。すなわち、コージエライト結晶子の大部分は、c軸がウェブの平面内にあるように配向していると判断できる。I比が1.00の場合、すべてのコージエライト結晶子は負膨張軸(negative expansion axis)がウェブの平面内にあるように配向していることを意味しているであろう。それゆえに、横断I比(I)が値1.00に近いほど、平面配向の度合いは高くなる。ここで軸I比の測定について具体的に述べると、この測定は、X線が当たる平面がハニカムウェブの断面端(cross-sectional ends)から構成されているセルのチャネルの長さに対して垂直(それゆえに、横断I比のそれに対しても垂直)である平面に対して行われる。別の言い方をすれば、このX線測定は、押出し方向に対して垂直なコージエライトハニカムの表面に対して行う。軸I比(I)が0.65未満である場合、コージエライト結晶子が好ましい配向であることを前と同様に判断できる。具体的に言えば、コージエライト結晶子はそのc軸がウェブの平面内にあるように優先的に配向しているので、平面からの反射強度は完全なランダム配向のコージエライト結晶子の物体のそれよりも大きいと予想される。
【0043】
簡単に言うと、物体の押出し方向に対して横断方向に測定されるI比が約0.65を超えるか、または押出し方向に対する軸I比が約0.65未満である場合、コージエライト結晶子はそのc軸がウェブの平面内にあるように実質的に配向するようになる。
【0044】
コージエライトのセル体の軸方向(セルのチャネルに対して平行)の熱膨張係数が、微細構造におけるコージエライト結晶のランダムでない結晶配向(crystallographic orientation)、焼成後の物体に存在するマイクロクラッキングの度合い、さらには高膨張性の異質の相の存在によって影響されることは十分に証明されている事柄である。通常、横断I比の値が高くなること、およびそれに対応して軸I比の値が低くなることは、軸方向に測定される熱膨張の値が低いことと相関している。基本的に言って、これは、コージエライト結晶子の負の膨張方向がウェブ面内に配向していることと、配向結晶子の大きな領域における熱膨張の非等方性に伴った歪からできるマイクロクラックの発生とが一緒になってもたらされる複合効果のせいである。
【0045】
したがって、別の態様では、本発明のセラミック物品は、25℃〜800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃と等しいかそれよりもさらに負である、軸方向の超低熱膨張係数(CTE)を有することによって特徴づけられる。別の態様では、セラミック物品は、25℃〜800℃の温度範囲にわたって−1.0×10−7/℃と等しいかそれよりもさらに負である軸方向の熱膨張係数(CTE)を有する。さらに別の態様では、軸方向の熱膨張係数(CTE)は、25℃〜800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃〜−2.0×10−7/℃の範囲内にある。さらに別の態様では、軸方向の熱膨張係数(CTE)は、25℃〜800℃の温度範囲にわたって−1.0×10−7/℃〜−2.0×10−7/℃の範囲内にある。
【0046】
本明細書に記載する混合物は、触媒担体として有用な高強度のコージエライトハニカム基材の製造に主に役立つ。本発明は薄肉ハニカムの製造に特に有利であるが、特許請求の範囲に記載の混合物は肉厚構造体にも使用できる。ハニカム構造体に触媒を施す方法、およびそうした構造体を、例えば自動車の排気システムで使用することは、当該技術分野において周知である。この混合物は、フィルターなどの他の高強度のコージエライト構造体の製造にも有用でありうる。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は、添付の特許請求の範囲に記載されているセラミック物品および方法の実施および評価方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために示すものであり、本発明を単に例示することを意図しており、本発明者らが発明とみなす内容の範囲を限定することを意図するものではない。数値(例えば、量、温度など)に関して正確なものとなるよう努力が払われたが、中には誤りやずれが含まれている可能性もある。特に断りがなければ、部は重量部であり、温度は℃かまたは周囲温度であり、圧力は大気圧であるかその近辺である。
【0048】
上記の実施例においては、噴霧乾燥はニロ社(Niro,Inc.)製のモビール・マイナー(Mobile Minor)2000を用いて実施した。噴霧乾燥手順時には、スラリープレミックスは、気圧ポンプを用いて噴霧乾燥機のノズルにくみ上げた。噴霧乾燥機のノズルの外径は1.5mmであった。プレミックススラリー材料は噴霧乾燥機の下部から噴霧した。吸気口の気温はおよそ300℃に保持し、排気温度は材料の送り速度によっておよそ105℃に維持した。上記の実施例においては、スラリープレミックスはすべて、溶媒として水を使用し、また固形分配合量がおよそ50%〜60重量%となるのに十分な量だけ用いて調製した。
【0049】
表1に報告されている配合に従って9種類のコージエライト前駆体バッチ組成物を調製した。9種類のコージエライト前駆体組成物それぞれを調製するのに用いたバッチ配合手順を表2に示す。
【表1】

【表2】

【0050】
その後、およそ5グラムのメトセル(Methocel)F240のセルロースエステル結合剤ポリマーおよび十分な量の水を添加することにより、表1に報告されているコージエライト前駆体バッチ組成物から軟質のコージエライト前駆体バッチ組成物を調製して、押出し可能な軟質のコージエライト前駆体バッチ組成物を作った。次いで、軟質組成物を押し出して1平方インチ当たり200セルで肉厚が19ミルの幾つかのハニカム構造体にして、押出し可能な組成物の未焼成体を作った。次いでその未焼成体をそれぞれ表3および4に記載の24時間および/または48時間焼成計画に従って焼成した。さまざまな焼成ハニカム未焼成体の選択特性を表5に報告してある。
【表3】

【表4】

【表5】

【0051】
上記のように、表5は、表1に報告されているバッチ組成物、表2に報告されているバッチ配合手順ならびに表3および/または4に報告されている焼成計画によって製造される例示的セラミックスのさまざまな特性を報告している。セラミック体の幾つかに関して含められている特性には、約25℃〜800℃の温度範囲にわたるセラミック物品の平均熱膨張係数(CTE)(×10−7/℃)(ディラトメトリーで測定)、開放多孔率体積パーセント(volume percent open porosity)、および中央細孔径(median pore diameter)(μm)(Hgポロシメトリーで測定)がある。さらに表5は、幾つかの実施例の横断I比(I)および幾つかの実施例の軸I比(I)も含んでおり、それぞれは本明細書で先に記載した方法で測定したものである。
【0052】
表5に報告されている結果を考察するなら、コージエライト前駆体組成物の調製に用いた特定のバッチ配合手順、バッチ配合組成物内の成分の選択、および焼成計画がすべて、ある特定の焼結相コージエライト組成物の平均CTEに影響を及ぼしうることが明らかである。この目的のために、実施例2〜9、13および14は、本発明の1つまたは複数の方法に従って製造した例示的な焼結相コージエライト組成物を示している。
【0053】
実施例2は、分散性アルミナ(すなわち、ベーマイト)および滑石を溶媒と一緒に選択的に混合してスラリープレミックスを形成し、その後、続いてスラリープレミックスの噴霧乾燥を行って溶媒を除去するなら、約25℃〜800℃の温度範囲にわたっておよそ−2.7×10−7/℃の負の平均CTEを有する焼結相コージエライト組成物が得られることを示している。さらに、実施例2の結果を比較実施例1、12、および17の結果と比べると(それぞれ前駆体バッチ組成物は同一である)、実施例2のバッチ配合方法の場合、平均CTEがそれぞれ1.2×10−7/℃,−0.1×10−7/℃、および0.0×10−7/℃である実施例1、12および17のバッチ配合方法よりも平均CTEが低くなっていることが分かる。
【0054】
実施例2および3を比較すると、場合によっては、未焼成体の焼成に用いる特定の焼成計画または加熱プロファイルも、ある特定の焼結相コージエライト組成物で得られるCTEに影響しうることがさらに分かることにも注目されたい。例えば、実施例2に示されるように、短時間の(したがって迅速化された)24時間焼成計画(例えば、1時間当たり100〜120℃)では、実施例3に示されている長時間の(したがってより遅い)48時間焼成計画(例えば、1時間当たり10〜60℃)よりも平均CTEが比較的低いという結果になった。
【0055】
実施例5の焼結相コージエライト組成物に関して報告されている特性は別の例を示しており、その例では、分散性アルミナ(すなわち、ベーマイト)および滑石を溶媒と一緒に選択的に混合してスラリープレミックスを形成し、その後、続いてスラリープレミックスの噴霧乾燥を行って溶媒を除去すると、負の平均CTEを有する焼結相コージエライト組成物が生じうる。報告されているように、実施例5の焼結相組成物はおよそ−2.5×10−7/℃の平均CTEを示す。前と同じように、実施例5および6の比較は、未焼成体の焼成に用いられる焼成計画またはプロファイルが、ある特定の焼結相コージエライト組成物の平均CTEに影響を及ぼしうる別の例を示していることにも注目されたい。実施例2および3の比較と同様に、実施例5の短時間の焼成サイクル(すなわち、24時間焼成計画)の場合、実施例6で報告されている長時間の48時間焼成計画よりも平均CTEが比較的低いという結果になった。
【0056】
実施例9を詳しく調べると、さらに別の例が明らかになり、その例でも、分散性アルミナ(すなわち、ベーマイト)および滑石を溶媒と一緒に選択的に混合してスラリープレミックスを形成し、その後、続いてスラリープレミックスの噴霧乾燥を行って溶媒を除去すると、負の平均CTEを有する焼結相コージエライト組成物が生じうる。報告されているように、実施例9の焼結相組成物はおよそ−2.5×10−7/℃の平均CTEを示した。
【0057】
しかし、上述した実施例の平均CTEの結果とは対照的に、実施例8と9を比較すると、実施例9の長時間の焼成計画(すなわち48時間焼成計画)では、実施例8の短時間の24時間焼成計画の場合より平均CTEが低いことが分かる。当業者なら理解するように、実施例8と9のバッチ組成物で使用したイムシル・シリカ(Imsil Silica)のシリカ成分に関連した石英(先に述べた実施例には存在しないもの)では、焼成過程の間の反応速度が遅くなり、したがって長時間の焼成計画が必要になることが予想されるであろう限り、この結果は予想されるものであった。
【0058】
理論に縛られることを意図しているわけではないが、本発明の方法によって得られる本発明のセラミック物品の非常に低い平均CTEは、コージエライト結晶子の好ましい平面配向の度合いが増大しているからだけではなく、マイクロクラッキングの度合いが増大しているからでもあることが考えられる。この目的のために、図1は、滑石とベーマイトからなる噴霧乾燥プレミックススラリーの例示的なSEM顕微鏡写真を示している。示されているように、分散性アルミナ(すなわち、ベーマイト)および酸化マグネシウム源(すなわち、滑石)を選択的に混合することにより、ベーマイト(灰色相)が滑石粒子(明るい板状相)を被覆するように思われる。したがって、噴霧乾燥過程によって生じるベーマイトと滑石のこのように極めて近接した状態が、本発明のコージエライトが示す超低平均熱膨張係数に寄与していると考えられている。
【0059】
本発明を特定の例示的および具体的態様に関して詳細に記述してきたが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の幅広い精神および範囲から逸脱することなく多数の変更形態が可能であるので、それらに限定されると考えるべきではないことも理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の1態様による噴霧乾燥プレミックススラリーのSEM顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約93重量%のコージエライトを含んでいる焼結相組成物を含むセラミック物品であって、前記コージエライトが約49〜約53重量%のSiO、約33〜約38重量%のAl、および約12〜約16重量%のMgOから実質的になり、前記焼結相組成物の軸方向の熱膨張係数が25℃〜800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃と等しいかそれよりさらに負であることを特徴とするセラミック物品。
【請求項2】
前記焼結相組成物の熱膨張係数が25℃〜800℃の温度範囲にわたって−1.0×10−7/℃と等しいかそれよりもさらに負であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック物品。
【請求項3】
前記焼結相組成物の熱膨張係数が25℃〜800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃〜−2.0×10−7/℃であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック物品。
【請求項4】
前記焼結相組成物の熱膨張係数が25℃〜800℃の温度範囲にわたって−1.0×10−7/℃〜−2.0×10−7/℃であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック物品。
【請求項5】
焼結相コージエライト組成物を含むセラミック物品の製造方法であって、
分散性アルミナ源と酸化マグネシウム源を溶媒中で混合してスラリープレミックスを得る工程と、
前記スラリープレミックスから前記溶媒を実質的に除去して第1乾燥プレミックスを得る工程と、
少なくとも1種のシリカ源を前記第1乾燥プレミックスと一緒に混合してコージエライト前駆体バッチ組成物を得る工程と、
前記コージエライト前駆体バッチ組成物を結合剤系と一緒に混合して軟質のコージエライト前駆体組成物を形成する工程と、
前記軟質のコージエライト前駆体組成物から未焼成体を形成する工程と、
前記焼結相組成物を含むセラミック物品を得るのに十分な温度で十分な時間、前記未焼成体を焼成する工程と
を有してなるセラミック物品の製造方法。
【請求項6】
前記酸化マグネシウム源が滑石を含み、前記分散性アルミナ源がベーマイトを含み、前記溶媒が水を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記分散性アルミナ源がおよそ15〜およそ45重量%の前記コージエライト前駆体バッチ組成物を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記焼結相コージエライト組成物が、約49〜約53重量%のSiO、約33〜約38重量%のAl、および約12〜約16重量%のMgOから実質的になる少なくとも約93重量%のコージエライトを含み、前記焼結相コージエライト組成物の熱膨張係数が25℃〜800℃の温度範囲にわたって−0.6×10−7/℃と等しいかそれよりもさらに負であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が噴霧乾燥によって前記スラリープレミックスから除去されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種のシリカ源を前記第1乾燥プレミックスと一緒に混合してコージエライト前駆体バッチ組成物を得るステップが、少なくとも1種の追加無機バッチ材料を前記第1乾燥プレミックスと混合することをさらに含み、前記少なくとも1種の追加無機バッチ材料が原料粘土、火焼粘土、滑石、シリカ、アルミナ、ベーマイト、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−545611(P2008−545611A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514670(P2008−514670)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018232
【国際公開番号】WO2006/130321
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】