説明

低燃焼性ポリウレタン発泡体

【課題】燃焼性を十分に抑えることができるとともに、密度を20kg/m以下にして軽量化を図ることができる低燃焼性ポリウレタン発泡体を提供する。
【解決手段】低燃焼性ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、触媒及び難燃剤を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させることにより得られる。難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用いるとともに、前記ポリウレタン発泡体の原料にはフタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有する。フタル酸エステル系ポリオールとしては、無水フタル酸とグリコールとをエステル化してなるエステル系ポリオールが好ましい。無機化合物の水和物としては、硫酸塩又はリン酸塩の水和物が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用の内装材、OA(オフィスオートメーション)機器の緩衝材等として用いられ、燃焼性が抑制されるとともに、十分な軽量化が図られる低燃焼性ポリウレタン発泡体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車用の内装材、OA機器の緩衝材等には低燃焼性が付与されたポリウレタン発泡体が使用されている。近年、係るポリウレタン発泡体には、軽量化の面から密度が20kg/m以下であること、及び環境面から難燃剤にハロゲンを含まないことが求められている。そのような軽量化を果たすポリウレタン発泡体として、炭酸ガスを用いて発泡させる方法が知られているが、その方法は液化炭酸ガスを高圧で供給する専用の設備が必要であり、発泡を円滑に行うためには製造条件が限定されるうえに、製造コストも上昇するという欠点があった。
【0003】
一方、環境面から難燃剤としてハロゲンを含まないテトラエチルエチレンジフォスフェートを用い、さらにメラミン樹脂を配合して得られる難燃性ポリウレタン発泡体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、難燃剤としてハロゲンを含まないテトラエチルエチレンジフォスフェートを用いるとともに、ポリオール成分としてポリオールをアルカノールアミン及びポリイソシアネートによって変性した変性ポリオールを配合して得られる難燃性ポリウレタン発泡体が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2004−339409号公報(第2頁、第5頁及び第6頁)
【特許文献2】特開2004−352773号公報(第2頁、第5頁及び第6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の特許文献1及び2に記載されたポリウレタン発泡体においては、ハロゲンを含まない難燃剤により難燃性を向上させることができるが、低密度化のための手段が十分に施されておらず、軽量化が不十分であった。具体的には、特許文献1及び2に記載のポリウレタン発泡体の密度は22〜23kg/m(特許文献1に記載の実施例1及び特許文献2に記載の実施例1)であり、要求レベルである20kg/m以下には達しないものであった。その場合、ポリウレタン発泡体の密度を20kg/m以下にしようとして発泡剤としての水を増量すると、発泡時に発熱温度が上昇してポリウレタン発泡体の低燃焼性、引張強さ、伸び等の物性が低下することが考えられる。従って、ポリウレタン発泡体の密度と物性とのバランスをとることができる手法が求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、燃焼性を十分に抑えることができるとともに、密度を20kg/m以下にして軽量化を図ることができる低燃焼性ポリウレタン発泡体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、触媒及び難燃剤を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させて得られる低燃焼性ポリウレタン発泡体であって、前記難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用いるとともに、前記ポリウレタン発泡体の原料にはフタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体は、請求項1に記載の発明において、前記フタル酸エステル系ポリオールは、無水フタル酸とグリコールとをエステル化してなるエステル系ポリオールであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記フタル酸エステル系ポリオールの含有量は、ポリオール類100質量部当たり3〜7質量部であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明において、前記無機化合物の水和物は、硫酸塩又はリン酸塩の水和物であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明において、前記メラミン粉末の含有量は、ポリオール類100質量部当たり10〜20質量部であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体では、難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用いるとともに、前記ポリウレタン発泡体の原料にはフタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有するものである。リン酸エステル系難燃剤は非ハロゲン系難燃剤であるとともに、ポリウレタン発泡体の燃焼時における燃焼性を抑えることができる。添加剤としてのフタル酸エステル系ポリオールは、ポリイソシアネート類と反応してウレタン骨格に組み込まれ、ポリウレタン発泡体の燃焼時にはエステル部分で切断されて安定なラジカルが形成され、燃焼性が抑制されるものと推測される。
【0012】
さらに、メラミンは酸素を含まないため燃焼性が抑えられ、平均粒子径0.1〜0.5μmという微細なメラミン粉末がポリウレタン発泡体中に高密度で分散され、ポリウレタン発泡体の燃焼時には溶融して皮膜が形成され、燃焼抑制に寄与するものと考えられる。また、無機化合物の水和物は、原料の反応及び発泡時に分解して水を生成し、その水が蒸発することで蒸発潜熱が奪われて発熱温度を低下させることができる。従って、発泡剤の含有量を増加させることができ、ポリウレタン発泡体の密度を下げることができる。
【0013】
よって、ポリウレタン発泡体の燃焼性を十分に抑えることができるとともに、密度を20kg/m以下にして軽量化を図ることができる。
請求項2に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体においては、フタル酸エステル系ポリオールは、無水フタル酸とグリコールとをエステル化してなるエステル系ポリオールである。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、エステル系ポリオールとポリイソシアネート類との反応性を高め、難燃助剤としての効果を向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体では、フタル酸エステル系ポリオールの含有量がポリオール類100質量部当たり3〜7質量部であることから、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、フタル酸エステル系ポリオールによる効果を十分に発揮させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体では、無機化合物の水和物は硫酸塩又はリン酸塩の水和物である。このため、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、ポリウレタン発泡体の原料の発泡過程に沿って硫酸塩又はリン酸塩の水和物が分解されて水を生成し、その水の蒸発による蒸発潜熱に基づく吸熱作用を良好に発揮することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明の低燃焼性ポリウレタン発泡体では、メラミン粉末の含有量がポリオール類100質量部当たり10〜20質量部であることから、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、メラミン粉末による効果を十分に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における低燃焼性ポリウレタン発泡体(以下、単にポリウレタン発泡体又は発泡体ともいう)は次のようにして得られるものである。すなわち、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、触媒及び難燃剤を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させて得られるものである。その際、難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用いるとともに、ポリウレタン発泡体の原料にはフタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有する。
【0018】
そして、リン酸エステル系難燃剤によって低燃焼性(難燃性)の機能が発現され、フタル酸エステル系ポリオール及びメラミン粉末によって燃焼性が抑えられ、低燃焼性を向上させる機能が発現される。また、無機化合物の水和物が熱分解して生成する水の蒸発潜熱により、発熱温度を低下させることができ、発泡剤の増量を図ることができて発泡体の低密度化を達成することができる。
【0019】
次に、低燃焼性ポリウレタン発泡体の原料について順に説明する。
ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールは、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合させて得られる化合物のほか、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等が用いられる。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が用いられる。
【0020】
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたトリオール、それにさらにエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合させたジオール等が挙げられる。エチレンオキシドを付加重合させるときには、その含有量は5〜15モル%程度である。ポリエチレンオキシド単位の含有量が多い場合には親水性が高くなり、極性の高い分子、ポリイソシアネート類等との混合性が良くなり、反応性が高くなる。
【0021】
前記ポリエーテルポリオールはポリエーテルエステルポリオールであってもよい。係るポリエーテルエステルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールに、ポリカルボン酸無水物と環状エーテル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物である。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。ポリカルボン酸無水物としては、コハク酸、アジピン酸、フタル酸等の無水物が挙げられる。環状エーテル基を有する化合物(アルキレンオキシド)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。ポリエーテルポリオールはポリエステルポリオールに比べ、ポリイソシアネート類との反応性に優れているという点と、加水分解をしないという点から好ましい。
【0022】
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリエステルポリオールが用いられる。以上のポリオール類は、原料成分の種類、分子量、重合度、縮合度等を調整することによって、水酸基の官能基数や水酸基価を変えることができる。
【0023】
また、ポリウレタン発泡体の原料にはポリウレタン発泡体の架橋密度を高め、硬さ、引張強さ等の物性を向上させるために、さらに水酸基について3官能の架橋剤を含有することが好ましい。この架橋剤は、ポリイソシアネート類と反応してポリウレタン発泡体に架橋構造を形成するもので、具体的にはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン等が用いられる。
【0024】
次に、前記ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数個有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は100以下又は100を越えてもよいが、80〜100であることが好ましい。イソシアネート指数が80未満ではポリイソシアネート類の含有量が少なく、引張強さ、伸び等の機械的物性の良いポリウレタン発泡体が得られ難くなる一方、100を越えると発泡時における発熱温度が上昇するとともに、ポリウレタン発泡体の柔軟性が低下する。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類、架橋剤、添加剤、発泡剤としての水等の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。従って、イソシアネート指数が100以下であるということは、ポリオール類がポリイソシアネート類より過剰であることを意味する。
【0025】
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させてポリウレタン発泡体とするためのもので、例えば水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン(塩化メチレン)等が用いられる。発泡剤としては、泡化反応の反応性が高く、取扱いの容易な水が好ましい。発泡剤が水の場合には、ポリウレタン発泡体の密度を14〜20kg/m3という低密度にするため、その含有量をポリオール類100質量部当たり5〜15質量部とすることが好ましい。水の含有量が5質量部未満では発泡量が少なく、ポリウレタン発泡体の密度が20kg/m3を越える傾向となり、15質量部を越えると反応及び発泡時に温度が上昇しやすくなり、その温度を低下させることが難しくなる。
【0026】
触媒は主としてポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進するためのものである。触媒として具体的には、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。
【0027】
次に、難燃剤としてのリン酸エステル系難燃剤は非ハロゲン系の難燃剤であり、ハロゲンを含まないという点で環境に負荷を与えない化合物である。このリン酸エステル系難燃剤は、揮発性が高い化合物の場合には加熱によって気化したリン化合物による酸素ガスの希釈効果、揮発に伴う気化熱による冷却効果、及び燃焼反応の抑制効果が発現される。一方、揮発性が低い化合物の場合には加熱により熱分解してリン酸を生成し、メタリン酸、ポリメタリン酸となって発泡体の表面に不揮発性のリン酸ポリマーが形成される効果、またリン酸の脱水反応によりポリウレタンを炭化させて炭化層を形成し、その炭化層によって空気の侵入が遮断されることによる難燃効果が発現される。
【0028】
リン酸エステル系難燃剤として具体的には、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ジエチルフェニルホスフェート、ジメチルフェニルホスフェート、レゾルシノールジフェニルホスフェート、或いはリン酸エステルの重合体等が用いられる。
【0029】
リン酸エステル系難燃剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり5〜15質量部であることが好ましい。この含有量が5質量部未満の場合には、ポリウレタン発泡体の低燃焼性を十分に向上させることができなくなる。一方、15質量部を越える場合には、発泡のバランスが崩れて良好なポリウレタン発泡体を得ることができなくなる傾向を示す。
【0030】
続いて、フタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤は難燃助剤として作用する。この添加剤は、前記リン酸エステル系難燃剤の作用を促進させる化合物である。フタル酸エステル系ポリオールは、水酸基を有しているためポリイソシアネート類とウレタン化反応してウレタン骨格の一部を形成し、ポリウレタン発泡体の燃焼時にはエステル部分で切断されて安定なラジカルが形成されて酸化反応が抑えられ、燃焼性が抑制されるものと推測される。このフタル酸エステル系ポリオールは、フタル酸とグリコールとをエステル化して得られる化合物である。なお、フタル酸エステル系ポリオールはポリオールであり、ポリイソシアネート類と反応するが、本実施形態では前記ポリオール類には含まれない成分である。
【0031】
フタル酸としては、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のいずれも使用することができる。グリコールとしては、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が用いられる。フタル酸エステル系ポリオールの分子量は、200〜2000であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。その分子量が200未満の場合には、フタル酸エステル系ポリオールがポリイソシアネート類と反応しやすくなり、発泡体の架橋密度が高くなったりして好ましくない。一方、分子量が2000を越える場合には、粘性が高くなり、ウレタン化反応や泡化反応に支障を来たすようになって好ましくない。この難燃助剤としては、無水フタル酸とグリコールとをエステル化してなるエステル系ポリオールが、ポリイソシアネート類との反応性が良く、難燃助剤としての効果を良好に発現できる点から好ましい。
【0032】
フタル酸エステル系ポリオールの含有量は、ポリオール類100質量部当たり3〜7質量部であることが好ましい。その含有量が3質量部未満の場合、ポリウレタン発泡体の低燃焼性を促進する作用を十分に発揮することができない。一方、7質量部を越える場合、発泡のバランスが崩れやすくなり、良好な発泡体を得ることができない場合がある。
【0033】
次いで、メラミン粉末は、難燃剤の作用を促す物質であり、発泡体中における分散性を良くするために平均粒子径0.1〜0.5μmの微細な粉末である。メラミン〔C(NH〕は酸素を含まないため燃焼の進行が抑えられ、平均粒子径0.1〜0.5μmという微細なメラミン粉末がポリウレタン発泡体中に高密度で分散され、ポリウレタン発泡体の燃焼時には溶融して皮膜となり、酸素が遮断されて燃焼が抑えられるものと推測される。メラミン粉末の平均粒子径が0.1μm未満の場合には、メラミン粉末の製造が煩雑になり、製造コストも上昇する。一方、0.5μmを越える場合には、発泡体中におけるメラミン粉末の分散性が低下し、低燃焼性を向上させる作用を十分に果たすことができなくなる。
【0034】
メラミン粉末の含有量は、ポリオール類100質量部当たり10〜20質量部であることが好ましい。その含有量が10質量部未満の場合には、ポリウレタン発泡体の低燃焼性を促す作用を十分に果たすことができなくなる。一方、7質量部を越える場合、発泡のバランスが崩れやすくなり、良好な発泡体を得ることができない場合がある。
【0035】
次に、前記無機化合物の水和物は、加熱によって分解(解離)し、水を生成する材料である。無機化合物の水和物は、原料の反応及び発泡時に分解して生成した水が蒸発することで蒸発潜熱が奪われて発熱温度を低下させることができ、発泡剤の量を増加させることが可能となり、ポリウレタン発泡体の密度を下げることができる。無機化合物の水和物として具体的には、硫酸カルシウム・2水和物〔CaSO・2HO、二水石膏、比重2.32、分解温度128〜163℃(−1.5HOから−2.0HO)〕、硫酸マグネシウムの7水和物〔MgSO・7HO、比重1.68、分解温度150℃(−6HO)〕、リン酸マグネシウムの8水和物〔(Mg)(PO・8HO、比重2.41、分解温度120℃(−5HO)〕、硫酸鉄の1水和物から5水和物(FeSO・HOからFeSO・5HO、比重2.97、分解温度100〜130℃)又はそれらの混合物が用いられる。
【0036】
無機化合物の水和物に含まれる水和水は、固体結晶として常温で安定に存在するものであり、結晶水である。無機化合物の水和物としては、硫酸塩又はリン酸塩の水和物が好ましい。これらの水和物は、ポリウレタン発泡体の原料の発泡過程に沿って例えば100℃以上で水和物が次第に分解されて水を生成し、蒸発潜熱に基づく吸熱作用を発現できるからである。
【0037】
なお、無機化合物の水和物の比重は1.5〜3.0であることが好ましい。この比重が1.5未満では、無機化合物の水和物(粉体)を体積として大量にポリウレタン発泡体の原料、例えばポリオール類に添加しなければ所定の質量を添加できず、粉体とポリオール類との混合撹拌を十分に行うことができなくなる。しかも、ポリウレタン発泡体中に占める無機化合物の水和物の体積が大きくなって、ポリウレタン発泡体としての物性が低下する。一方、その比重が3.0を越えると、ポリウレタン発泡体の原料特にポリオール類中において長期保管すると沈降しやすく反応混合液中への分散性が悪くなって、発熱温度を低下させるという無機化合物の水和物の機能が低下する。
【0038】
無機化合物の水和物の分解温度は、100〜170℃であることが好ましい。分解温度が100℃未満の場合には、ポリウレタン発泡体の原料による発泡及び硬化の初期の段階で、すなわち発熱温度の低い段階で分解による水が生成するため、発泡及び硬化に悪影響を与えたり、生成した水が発泡剤として機能したりするおそれがある。ちなみに、硫酸カルシウム2水和物(二水石膏)は、128℃で分子中の2モルの水のうちの1.5モルの水が分解して遊離の水となり、硫酸カルシウム0.5水和物(半水石膏)となる。また、硫酸マグネシウム7水和物は、150℃で分子中の7モルの水のうちの6モルの水が分解して遊離の水となり、硫酸マグネシウム1水和物となる。
【0039】
無機化合物の水和物の含有量は、ポリオール類100質量部当たり10〜50質量部であることが好ましい。この含有量が10質量部未満の場合には、分解して生成する水の量が少なく、反応及び発泡に基づく発熱温度の上昇を十分に抑制することができなくなる。一方、含有量が50質量部を越える場合には、ポリウレタン発泡体の硬さ、引張強さ等の物性低下を招くおそれがある。
【0040】
ポリウレタン発泡体の原料には、発泡を円滑に行うために整泡剤を含有することが好ましい。その整泡剤としては、ポリウレタン発泡体の製造に際して一般に使用されるものを用いることができる。整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。整泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜2.5質量部であることが好ましい。この含有量が0.5質量部未満の場合には、ポリウレタン発泡体の原料の発泡時における整泡作用が十分に発現されず、良好な発泡体を得ることが難しくなる。一方、2.5質量部を越える場合には、整泡作用が強くなり、セルの連通性が低下する傾向を示す。ポリウレタン発泡体の原料には、その他必要に応じて充填剤、安定剤、着色剤、可塑剤等が配合される。
【0041】
そして、上記ポリウレタン発泡体の原料を反応させて発泡及び硬化させることによりポリウレタン発泡体を製造するが、その際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオール類とポリイソシアネート類との付加重合反応(ウレタン化反応、樹脂化反応)、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化(発泡)反応及びこれらの反応生成物とポリイソシアネート類との架橋(硬化)反応である。ポリウレタン発泡体を製造する場合には、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させるワンショット法或はポリオール類とポリイソシアネート類とを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類を反応させるプレポリマー法のいずれも採用される。また、ポリウレタン発泡体は、常温大気圧下に発泡、硬化させて得られるスラブ発泡体及び成形型内にポリウレタン発泡体の原料(反応混合液)を注入、型締めして型内で発泡、硬化させて得られるモールド発泡体のいずれの方法により製造されるものであってもよい。この場合、スラブ発泡体の方が連続生産できる点から好ましい。
【0042】
このようにして得られるポリウレタン発泡体は低燃焼性を有するもの、すなわち燃焼性についてUL規格(UL−94−HBF)で最大燃焼距離が125mm以下の基準を満たすものである。さらに、ポリウレタン発泡体は、JIS K 7222:1999に基づく密度が15〜20kg/m、JIS K 6400−5:2004に基づく引張強さが115〜133kPa及びJIS K 6400−5:2004に基づく伸びが125〜160%である。このように、ポリウレタン発泡体は低密度で、低燃焼性であるとともに、良好な機械的物性を有する軟質ポリウレタン発泡体である。係る軟質ポリウレタン発泡体は、一般にセル(気泡)が連通構造を有し、弾力性があり、かつ復元性のあるものをいう。
【0043】
さて、本実施形態の作用を説明すると、ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、触媒及び難燃剤を含有するポリウレタン発泡体の原料を常法に従って反応、発泡及び硬化させることでポリウレタン発泡体が製造される。このとき、リン酸エステル系難燃剤はポリウレタン発泡体の燃焼時に生成するリン化合物等による燃焼抑制作用を発現できるとともに、ハロゲンを含んでいないため、環境へ与える負荷を少なくすることができる。フタル酸エステル系ポリオールは、リン酸エステル系難燃剤の燃焼抑制作用を補う。すなわち、フタル酸エステル系ポリオールはポリウレタン発泡体の燃焼時にエステル部分で切断されて安定なラジカルを生成し、酸化反応が抑えられるものと推測される。
【0044】
さらに、メラミンは酸素を含まないためポリウレタン発泡体の燃焼の進行が抑えられると同時に、ポリウレタン発泡体の燃焼時にはポリウレタン発泡体中に分散されたメラミン粉末が溶融して皮膜が形成され、その皮膜によって燃焼が遮られるものと推測される。また、無機化合物の水和物は、原料の反応及び発泡時に分解して水を生成し、その水が蒸発することで蒸発潜熱が奪われて発熱温度を低下させることができ、その温度低下の分だけ発泡剤の含有量を増加させることができ、ポリウレタン発泡体の発泡倍率を高くでき、密度を下げることができる。
【0045】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態における低燃焼性ポリウレタン発泡体では、難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用い、ポリウレタン発泡体の原料にはフタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有する点に特徴を有している。リン酸エステル系難燃剤により、ポリウレタン発泡体の燃焼時における燃焼性を抑えることができる。フタル酸エステル系ポリオールは、ポリイソシアネート類と反応し、ポリウレタン発泡体の燃焼時にはエステル部分で切断されて安定なラジカルが形成され、酸化反応が抑制されるものと推定される。
【0046】
さらに、平均粒子径0.1〜0.5μmという微細なメラミン粉末がポリウレタン発泡体中に高密度で分散され、ポリウレタン発泡体の燃焼時には溶融して皮膜が形成され、燃焼抑制に寄与するものと考えられる。また、無機化合物の水和物は原料の反応及び発泡時に水を生成し、その水の蒸発で蒸発潜熱が奪われて発熱温度を低下させることができ、その分発泡剤の量を増加させることが可能となり、ポリウレタン発泡体の密度を下げることができる。
【0047】
よって、ポリウレタン発泡体の燃焼性を十分に抑えることができるとともに、密度を20kg/m以下にして軽量化を図ることができる。その結果、本実施形態の低燃焼性ポリウレタン発泡体は、ピラーガーニッシュ、アームレスト等の自動車内装材、プリンタ部品、パソコン部品等のOA機器の緩衝材として好適に使用される。
【0048】
・ 前記フタル酸エステル系ポリオールは、無水フタル酸とグリコールとをエステル化してなるエステル系ポリオールであることにより、そのエステル系ポリオールとポリイソシアネート類との反応性を高めることができるとともに、難燃助剤としての効果を向上させることができる。
【0049】
・ フタル酸エステル系ポリオールの含有量をポリオール類100質量部当たり3〜7質量部に設定することで、フタル酸エステル系ポリオールによる効果を十分に発揮させることができる。
【0050】
・ ポリウレタン発泡体の原料に含まれる無機化合物の水和物が硫酸塩又はリン酸塩の水和物であることにより、ポリウレタン発泡体の原料の発泡過程に沿って硫酸塩又はリン酸塩の水和物が分解されて水を生成し、その水の蒸発による蒸発潜熱に基づく吸熱作用を良好に発揮することができる。
【0051】
・ ポリウレタン発泡体の原料に含まれるメラミン粉末の含有量がポリオール類100質量部当たり10〜20質量部であることにより、メラミン粉末による効果を十分に発揮させることができる。
【実施例】
【0052】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜10及び比較例1〜7)
まず、各実施例及び比較例で用いたポリウレタン発泡体の原料を以下に示す。
【0053】
ポリオールGP3000:ポリエーテルポリオール(グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合したもの)、分子量3000、水酸基価56(mgKOH/g)、水酸基についての官能基数3、三洋化成工業(株)製。
【0054】
ポリオールFA703:ポリエーテルポリオール(グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合したもの)、分子量700、水酸基価34(mgKOH/g)、水酸基についての官能基数3、三洋化成工業(株)製。
【0055】
難燃剤1:リン酸エステル系難燃剤、アクゾノーベル(株)製、ノンハロゲン難燃剤PNX。
難燃剤2:リン酸エステル系難燃剤、大八化学工業(株)製、ノンハロゲン難燃剤SH880。
【0056】
難燃剤3:平均粒子径20μmの水酸化アルミニウムの粉末。
フタル酸エステル系ポリオールPL2001:無水フタル酸とジエチレングリコールとのエステルポリオール、水酸基価260(mgKOH/g)、分子量400〜1000の混合物、東邦化学工業(株)製、PL2001。
【0057】
メラミン1:平均粒子径24μmのメラミン粉末。
メラミン2:平均粒子径1μmのメラミン粉末。
メラミン3:平均粒子径0.3μmのメラミン粉末。
【0058】
二水石膏: 比重2.32、平均粒子径40μmの二水石膏。
硫酸マグネシウム7水和物:比重1.68、平均粒子径20μmの硫酸マグネシウムの7水和物。
【0059】
ポリイソシアネートT80:トリレンジイソシアネート(2,4-トリレンジイソシアネート80質量%と2,6-トリレンジイソシアネート20質量%との混合物)、日本ポリウレタン工業(株)製。
【0060】
整泡剤F650:シリコーン整泡剤、信越化学工業(株)製。
アミン触媒LV33:トリエチレンジアミンとプロピレングリコールとの質量比が1:2の混合物、中京油脂(株)製。
【0061】
金属触媒MRH110:オクチル酸第1スズ、城北化学工業(株)製。
そして、表1及び表2に示す各成分の含有量でポリウレタン発泡体の原料を調製した。表1及び表2における各成分の含有量は、質量部を表す。ここで、比較例1では無機化合物の水和物、メラミン粉末及びフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかった例、比較例2ではメラミン粉末及びフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかった例を示す。比較例3ではメラミン粉末の平均粒子径が大きく、かつフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかった例を示し、比較例4及び5ではメラミン粉末の平均粒子径が過大である例を示す。比較例6ではフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかった例を示し、比較例7では難燃剤として水酸化アルミニウムの粉末を用いた例を示す。
【0062】
これらのポリウレタン発泡体の原料を縦、横及び深さが各500mmの発泡容器内に注入し、常温、大気圧下で発泡させた後、加熱炉を通過させて硬化(架橋)させることによりポリウレタン発泡体(軟質スラブ発泡体)を得た。このポリウレタン発泡体について、密度、引張強さ、伸び、最高発熱温度及び燃焼性を以下の測定方法に従って測定した。それらの結果を表1及び表2に示す。
(測定方法)
密度(kg/m3):JIS K 7222:1999に準拠して測定した。
【0063】
引張強さ(kPa)及び伸び(%):JIS K 6400−5:2004に準拠して測定した。
最高発熱温度(℃):発泡容器の中心部に熱電対を差込み、反応及び発泡時において上昇した最も高い温度を示した。
【0064】
燃焼性:UL規格であるUL−94−HBFに準拠し、常態(23℃、48時間放置後に測定)及び老化(70℃、168時間放置し、さらに23℃、48時間放置後に測定)について燃焼距離(mm)を測定した。この燃焼距離が125mm以内である場合には合格であり、125mmを越える場合には不合格である。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

表1に示したように、実施例1〜10においては、リン酸エステル系難燃剤を用い、フタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有させた。このため、燃焼距離を常態及び老化時において125mm以内にすることができ、低燃焼性を図ることができた。しかも、発泡体の密度を15.3〜17.6kg/m3という低密度にすることができ、軽量化を図ることができた。その上、発泡体の引張強さを115〜133kPa及び伸びを105〜125%に保持することができ、良好な機械的強度を発揮することができた。
【0067】
一方、表2に示したように、比較例1では無機化合物の水和物、メラミン粉末及びフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかったため、燃焼距離を常態及び老化時において125mm以内にすることができず、低燃焼性を得ることができない上に、引張強さ及び伸びが低い結果であった。比較例2ではメラミン粉末及びフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかったので、燃焼性を抑えることができず、燃焼距離が125mmを越え、不合格であった。比較例3ではメラミン粉末の平均粒子径が大きく、かつフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかったため、燃焼距離を125mm以内にすることができず、不合格であった。比較例4及び5ではメラミン粉末の平均粒子径が過大であったため、燃焼距離を125mm以内にすることができず、不合格であった。比較例6ではフタル酸エステル系ポリオールを配合しなかったので、燃焼距離を125mm以内にすることができず、不合格であった。比較例7では難燃剤として水酸化アルミニウムの粉末を用いたため、燃焼距離を125mm以内にすることができず、不合格であった。
【0068】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 難燃剤として、リン酸エステル系難燃剤に含窒素リン化合物等のリン系難燃剤を組合せて使用することもできる。
【0069】
・ メラミン粉末に加えて、メラミン樹脂を配合することも可能である。
・ 無機化合物の水和物としては、複数種類の水和物、例えば硫酸カルシウムの水和物と硫酸マグネシウムの水和物とを組合せて配合することもできる。その場合には、より広い温度範囲で無機化合物の水和物の機能を発揮させることができ、反応及び発泡時における発熱温度を効果的に低下させることができる。
【0070】
・ 無機化合物の水和物として、硫酸鉄の9水和物〔FeSO・9HO、比重2.12、分解温度98〜125℃(−5HOから−8HO)〕、硫酸銅の5水和物〔CuSO・5HO、比重2.29、分解温度110℃(−4HO)〕等を用いることもできる。
【0071】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記リン酸エステル系難燃剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり5〜15質量部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、リン酸エステル系難燃剤の効果を十分に発揮させることができる。
【0072】
・ 前記無機化合物の水和物の含有量は、ポリオール類100質量部当たり5〜50質量部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。この場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、無機化合物の水和物の効果を十分に発揮させることができる。
【0073】
・ 前記発泡剤は水であり、その含有量はポリオール類100質量部当たり5〜15質量部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。この場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、泡化反応を十分に進行させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、触媒及び難燃剤を含有するポリウレタン発泡体の原料を反応させ、発泡及び硬化させて得られる低燃焼性ポリウレタン発泡体であって、
前記難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用いるとともに、前記ポリウレタン発泡体の原料にはフタル酸エステル系ポリオールよりなる添加剤、平均粒子径0.1〜0.5μmのメラミン粉末及び無機化合物の水和物を含有することを特徴とする低燃焼性ポリウレタン発泡体。
【請求項2】
前記フタル酸エステル系ポリオールは、無水フタル酸とグリコールとをエステル化してなるエステル系ポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。
【請求項3】
前記フタル酸エステル系ポリオールの含有量は、ポリオール類100質量部当たり3〜7質量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。
【請求項4】
前記無機化合物の水和物は、硫酸塩又はリン酸塩の水和物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。
【請求項5】
前記メラミン粉末の含有量は、ポリオール類100質量部当たり10〜20質量部であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の低燃焼性ポリウレタン発泡体。

【公開番号】特開2007−91866(P2007−91866A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282519(P2005−282519)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】