説明

低用量コルチコステロイド組成物

本発明は、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、16μg未満の治療有効量のブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含むブデソニドの低用量組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘膜へのブデソニドの投与に適したブデソニドの低用量コルチコステロイド組成物に関する。
さらに詳しくは、本発明は、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、16μg未満の治療有効量のブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含むブデソニドの低用量組成物に関する。
粘膜へのブデソニドの投与に適した、好ましいブデソニドの低用量組成物は、ブデソニドの安定な水溶液組成物である。
【背景技術】
【0002】
合成コルチコステロイドであるブデソニドは、喘息の予防および治療ならびに通年性および季節性アレルギー性鼻炎の治療に有用な抗炎症薬である。喘息の管理治療および予防療法には、経口吸入粉末(パルミコート(PULMICORT)(登録商標)タービュヘイラー・200μg)および経口吸入懸濁液(パルミコート(登録商標)タービュヘイラー・0.25mg & 0.5mg)の形態で入手可能である。鼻炎には、水性懸濁液にブデソニドを含む定量鼻スプレー製剤(リノコート・アクア(RHINOCORT AQUA)・32μg)ならびにプロペラント(ジクロロジフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタン)およびトリオレイン酸ソルビタンの混合物に微粉末化したブデソニドを含む定量加圧式エアロゾルユニット(リノコート鼻吸入器)として入手可能である。
【0003】
リノコート鼻吸入器は、定量加圧式エアロゾルユニットであり、作動毎にバルブから50 μgのブデソニドを放出し、鼻アダプターから約32 μgのブデソニドをデリバリーする。推奨出発用量は、1日当たり256 μgであり、朝夕各鼻腔に2回スプレーおよび朝各鼻腔に4回スプレーを行う。リノコート・アクア鼻スプレー・32μgは、定量手動ポンプスプレー製剤であり、成人および6歳以上の児童に対する推奨出発用量は、1日1回片方の各鼻腔に1回スプレーの投与として、1日当たり64 μgである。最大推奨用量は、成人に対して1日当たり256 μg、小児に対して1日当たり128 μgである。
【0004】
リノコート・アクア鼻スプレー・32μgは、水性媒体中のブデソニドの微粉末懸濁液を含む定量手動ポンプスプレー製剤である。高用量のコルチコステロイドの投与を行うと、副腎皮質機能亢進症および副腎皮質機能抑制などの全身コルチコステロイド作用が起こることが報告されており、したがって、最小有効量のブデソニド鼻スプレーの使用が推奨される。上述したように、リノコート・アクアにとって、推奨出発用量は、市販の32μg鼻スプレーを1日1回、鼻腔を通じて1回スプレーで投与される場合、1日当たり64 μgであり、患者が症状コントロールを達成しない場合は増量してもよいが、副作用の可能性を減少させるために、通常、最小有効量に対して個々の患者において漸増することが望ましい。
【0005】
我々は、驚いたことに、これまでに推奨された量よりも低いブデソニドの定量スプレー用量が、アレルギー性鼻炎に関連する鼻の症状の管理に対して有効であり、鼻腔内に投与される場合、耐容性も良好であることを見出した。したがって、我々は、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、16μg未満の治療有効量のブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含む組成物を提供する。
【0006】
米国特許出願No.US20020016315A1は、40 μg以下のブデソニドを含む定量単位用量、その製剤および鼻の病気の治療のためのその使用を開示する。該特許は、32 μgのブデソニドを含む懸濁液を例示する。市販製品リノコート(登録商標)鼻スプレーの研究は、32 μg懸濁液が有効であることを示す。16μg未満の用量もまた効果があることを実証する研究または刊行物はない。我々は、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防に有効な16μg未満の治療有効量のブデソニドを含み、したがって、副作用の可能性を減少させるという治療有効性のためにより低い用量のコルチコステロイドを提供するという必要性の大きい要件に合致する、新規な組成物を見出した。
【0007】
このように、本発明は、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、16μg未満の治療有効量のブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含むブデソニドの低用量組成物を提供する。
【0008】
さらに、我々は、ブデソニドが溶解形態で存し、室温で1年間保管する場合、1年間にわたってブデソニドが沈澱しない、ブデソニドのための水性の医薬的に許容しうる液体担体も見出した。さらに詳しくは、我々は、組成物が各鼻腔に16μg未満の定量スプレー用量で投与される場合に有効であり、良好な耐容性を示すように、アルコール性共溶媒を含まない、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適したブデソニドの安定な水溶液組成物も見出した。
【0009】
ブデソニドは、その高い親油性ゆえに、実質的に水に不溶である。したがって、ブデソニドの水溶液の形成には、薬物を溶液で保存するためにはアルコールなどの溶媒の添加を必要とするといったような大きな困難がある。しかし、アルコール性共溶媒の使用を避けるのが望ましい。たとえば、Ann Allergy 1988, Oct;(4):305-310に報告された、鼻の灼熱感およびヒリヒリ感の出現率ならびにプロピレングリコール含量の少ないリナラーの新規製剤に対する現在市販されている製剤であるリナラー(Rhinalar)(フルニソリド、市販製剤)の全体的耐容性を比較した研究では、結果は、重篤度、継続期間および耐容性に関して、新規製剤に有利な非常に有意な差異を示した。さらに、相当量の共溶媒を含む製剤の長期使用の影響は、わかっていない。また、米国特許No.6,241,969は、吸入された製品に含まれる共溶媒の許容しうるレベルに限界があり、その限界が、これらの溶媒の、肺組織の局部的な刺激を引き起こすか、および/または患者を酔わせるかのいずれかの傾向によって設定されることを記載している。しかし、アルコール性溶媒を含まないブデソニドの水溶液に関連する問題は、薬物が分解してしまうこと、およびその水への溶解度が低いことから、室温で保管中に沈澱する傾向があることである。したがって、本発明のさらなる目的は、アルコール性溶媒を含まないことおよび室温で1年間保管する場合に、ブデソニドの沈澱を生じないことを特徴とする安定な水溶液組成物を提供することである。該水性組成物は、ブデソニドと錯化剤を含み、pHは6.0を越えない。安定なブデソニド溶液を開発するために従来技術で用いられた種々の技術を以下に述べる。
【0010】
米国特許No.5,914,122の特許権者は、彼らの発明より前に、有機水溶性アルコールの作用によってブデソニド水溶液が調製され得たが、これらの溶液中でブデソニドは短時間で分解したことを開示しており、したがって、その発明より前にブデソニドの安定な溶液調製物をすぐに使用できることは知られていなかった。該特許は、pH6.0未満の安定なブデソニド溶液をクレームしており、ここで、ブデソニドは、水、アルコールおよび水/アルコール混合物から選ばれる溶媒に溶解され、アルコールは、エタノール、イソプロパノールおよびプロピレングリコールから選ばれる。ブデソニドの化学的分解に関して安定であり、室温での保管中にブデソニドが沈澱しない、アルコールを含まないブデソニドの水溶液組成物は、開示されなかった。該特許はさらに、組成物がさらに、ナトリウムEDTA(0.001%-0.1% w/w)およびシクロデキストリン(0.05-1.0重量%)から選ばれる安定化添加剤を含むことをクレームする。
【0011】
米国特許No.6,241,969は、実質的に5 μg/ml〜5 mg/mlのコルチコステロイド、約0.1〜約20重量%の少なくとも50重量%のビタミンEのエトキシル化誘導体を含む高HLB界面活性剤成分および少なくとも約70重量%の水性相からなる気道用のコルチコステロイドのエアロゾル組成物をクレームする。しかし、該組成物のすべての支持例は、高HLB界面活性剤ならびにプロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコールなどの共溶媒の両方を含む組成物を例証する。ブデソニドは、この特許においてさらにクレームされたコルチコステロイドの1つである。例示され、クレームされた高HLB界面活性剤成分は、トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネートである。該発明は、さらに、緩衝剤、浸透圧剤、低毒性消泡剤および保存剤などの賦形剤の添加を開示する。緩衝液をpH調節のために用いる場合、推奨される範囲は、pH4〜8であり、より好ましくは5〜6.8である。特許された組成物は、ブデソニドと錯形成する錯化剤を含まない。
【0012】
米国出願No.US20020031558A1は、一連のpH値にわたって溶液のままである胆汁酸、胆汁酸誘導体、胆汁塩または抱合胆汁酸の透明水溶液をクレームする。これらの水性組成物は、胃および消化性潰瘍疾患、肝臓疾患、胆石および高脂血症の治療のために経口投与する場合に有用であった。したがって、該発明は、胆汁酸、塩、誘導体または抱合体の治療可能性に関する。しかし、該発明は、従属クレームにおいて、医薬的に有効な化合物をさらに含む上記定義の透明溶液もクレームする。この追加クレームを支持する唯一の例は、医薬的有効化合物としてのクエン酸ビスマスの使用である。該出願のクレームにしたがって、透明水溶液を鼻腔内に投与することもできる。ブデソニドは、医薬的有効化合物の1つであるが、該特許は、このような組成物を例示しておらず、したがって、ブデソニドの化学的安定化または保管期間中のブデソニドの沈澱の防止などの問題に取り組んでいない。開示された組成物は、ブデソニドと錯形成する能力をもつ錯化剤を含まない。
【0013】
PCT出願WO 01/07014は、平均空気動力学的直径6μm以下の噴霧化された有効成分粒子のパーセンテージは70%以上であり、噴霧効率は20%以上である、(a)ステロイド濃度が0.01%-0.1%であり;(b)担体が比率60:40〜30:70 v/vの水およびプロピレングリコールの混合物であり;(c)pHが3.5〜5.0に濃強酸で調節される;ステロイドの溶液からなる噴霧を介する吸入用の安定な製剤をクレームする。ブデソニドまたはエピマーが、ステロイドの1つとしてさらにクレームされる。発明者らは、pH4〜4.5に調節された溶液が安定なままであることを見出した。発明者らは、種々の相対的パーセンテージのリン酸ナトリウムおよびクエン酸緩衝液からなる緩衝液を用いてpHを調節することによって、ブデソニド溶液の安定性をさらに研究した。彼らは、緩衝液を含むことにより、溶液の安定性がより低くなると結論した。開示された製剤に用いられた高濃度のプロピレングリコールなどのアルコール溶媒は、粘膜に用いるのは望ましくない。
【0014】
ロシア特許No.RU2180217は、ブデソニド、プロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、安息香酸、トリロン(Trilon)B、ニパゾール、チオウレアおよび水を含む抗炎症効果をもつ安定なブデソニド溶液を開示する。溶液は、さらに2-ヒトロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むことができる。
PCT公開No.WO 01/87203は、約12週後に、溶液中の最初のブデソニドの濃度の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%のブデソニドが溶液中に存在する、ブデソニドおよび溶媒を含む安定なブデソニド溶液をクレームする。使用された溶媒は、一般に、多価アルコールまたはグリコール、より好ましくはプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールなどの非水溶媒であったが、共溶媒として水を加えることができた。
米国特許No.6,491,897は、ブデソニドが、必要に応じてイソプロパノールおよびプロピレングリコールから選ばれるアルコールを含む水/エタノール混合物に溶解し、0.001〜5重量%のブデソニドを含む、pH2.0〜7.0の安定な医薬ブデソニドエアロゾル溶液をクレームする。鼻および肺デリバリーシステムにおける先に引用したアルコール性共溶媒に関するすべての不利点が、この特許された組成物に当てはまるだろう。
【0015】
米国特許No.4,383,992は、β-シクロデキストリンの内部空洞の内寸より小さい分子構造を有するステロイド化合物とβ-シクロデキストリンを錯形成させることによって形成された、水溶性包接化合物をクレームする。別の独立クレームは、非毒性医薬的担体とともに上記包椄化合物を含む抗炎症医薬製剤をクレームする。この特許の例は、β-シクロデキストリンとステロイド(酢酸プレドニゾロンまたはデキサメタゾンまたはヒドロコルチゾンなど)の包椄化合物の形成方法を教示し、ここで、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの分散剤も加えられて、溶液が得られる。しかし、この特許は、ブデソニドとβ-シクロデキストリンとの包椄錯体の形成およびそれが安定な製剤を提供するかどうかを開示しない。また、保管気管中のブデソニド溶液の安定化またはブデソニドの沈澱の防止pH要件などの問題も取り上げていない。
【本発明の目的】
【0016】
本発明の目的は、以下のとおりである:
1)粘膜へのブデソニドの投与に適したブデソニドの低用量コルチコステロイド組成物を提供すること。
2)季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のためのブデソニドの鼻腔内投与に適した、各鼻腔に16μg未満の治療有効量のブデソニドを含む、ブデソニドの低用量組成物を提供すること。
3)組成物がブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含み、液体担体が水性である上記2の組成物を提供すること。
4)アルコール性溶媒を含まないブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
5)実質的に共溶媒を含まないブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
6)ブデソニドがその化学的分解に対して安定である上記ブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
7)アルコール性共溶媒でブデソニドを可溶化する代わりに、ブデソニドとの錯体を形成しうる錯化剤の使用によって可溶化を達成する上記ブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
8)また、さらに、長期保管におけるブデソニドの沈澱する傾向を阻止する上記7の水溶液組成物を提供すること。
9)粘膜の局所刺激が少ない、ブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
10)作用部位におけるブデソニドの有効性が高い、ブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
11)作用部位におけるブデソニドの有効性が高く、ブデソニドまたはその代謝物の全身的有効性が低い、ブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
12)ブデソニドが低用量である上記11のブデソニドの水溶液組成物を提供すること。
13)各鼻腔に16μg未満の治療有効量のブデソニドを鼻腔内投与することによる、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための処置方法を提供すること。
14)溶解形態のブデソニドを含む安定な水溶液を投与することによる、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための処置方法を提供すること。
【発明の要約】
【0017】
したがって、本発明は、粘膜へのブデソニドの投与に適したブデソニドの低用量組成物を提供する。
さらに詳しくは、本発明は、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、16μg未満の治療有効量のブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含むブデソニドの低用量組成物を提供する。
【0018】
よりさらに詳しくは、本発明は、各鼻腔に16μg未満の定量スプレー用量で投与する場合に有効であり、耐容性が良好な、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、ブデソニドの安定な水溶液組成物であるブデソニドの低用量組成物を提供する。
【0019】
該組成物は、ブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含む組成物であって、液体担体が水性であり、ブデソニドが溶解形態で存在し、室温で一年間保管する場合に、一年間にわたってブデソニドの沈澱が生じない組成物である。さらに詳しくは、本発明組成物は、アルコール性共溶媒を含まず、錯化剤を含む水性媒体中にブデソニドを含む、pHが6.0を越えない安定な水溶液組成物である。
したがって、本発明は、各鼻腔に16μg未満の治療有効量のブデソニドの鼻腔内投与を含む、処置を必要とする哺乳動物における、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための処置方法を提供する。
【発明の詳細な記載】
【0020】
本発明にしたがって、我々は、ブデソニドおよび医薬的に許容しうる担体を含む低用量組成物を提供する。
さらに詳しくは、我々は、各鼻腔に16μg未満の定量スプレー用量で該組成物を投与するときに(継続的および断続的投与の両方)有効なブデソニドの水溶液組成物であって、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の治療ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のために1回用量で哺乳動物へ経鼻投与するのに適した組成物を提供する。
治療有効量は、各鼻腔に2 μg〜16 μg未満、好ましくは各鼻腔に5 μg〜16 μg未満、さらに好ましくは各鼻腔に約8 μg〜約15 μgである。
【0021】
低い定量スプレー用量でブデソニドの溶液組成物を投与することによって、患者にとって、低い定量1日用量を服用することが可能となり、このことは、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の治療ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防に有効であるのみならず、鼻に対する耐容性および安全性が良好になる。この用量で投与される溶液組成物は、患者にも便利であり、患者のコンプライアンスが良好であるというさらなる利点が提供される。
【0022】
したがって、我々は、16 μg未満の定量スプレー用量のブデソニドの溶液組成物を哺乳動物の各鼻腔に投与することによる、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の治療ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防の療法を提供する。用量は、1日1回〜1日8回各鼻腔に投与される;1日当たり、各鼻腔に16 μg未満の定量スプレー用量で投与されるのが好ましい。溶液組成物が、1日1回、15 μg/スプレーの用量で各鼻腔にスプレーされて、所望の有効量30 μg/日が達成されるのがさらに好ましい。
ブデソニドの安定な水溶液組成物は、点鼻液または鼻腔内スプレーとして投与される透明で安定な水溶液であり、点鼻ピペットもしくはライニル(rhinyl)から、または鼻吸入器もしくはスプレー器具から、推奨される低用量を投与することができる。単位用量容器から、または種々の容積の定量用量スプレーポンプから該用量を投与することができ、組成物中のブデソニドの濃度は、所望の単位用量のブデソニドを与えるように調節する。
【0023】
本発明の安定な水溶液組成物において、ブデソニドは、錯化剤との錯形成によって水に可溶化される。錯化剤が、ブデソニドと包椄錯体を形成しうる化学種であるのが好ましい。好ましい包椄錯体形成剤は、シクロデキストリンである。たとえば、α-、β-もしくはγ-デキストリンまたはその誘導体、好ましくは1個以上の水酸基がアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニル、カルボキシアルコキシアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキルまたはヒドロキシ(モノまたはポリアルコキシ)アルキル基(各アルキルまたはアルキレン部分が、6個以下の炭素を含むのが好ましい)などで置換される誘導体などの、鼻、肺または経口経路で投与する場合に耐容性が良好でありうる水溶性の置換または非置換シクロデキストリンまたはその誘導体のいずれもが、本発明に用いることができる。本発明に用いることができる置換シクロデキストリンは、そのエーテル、ポリエーテルまたは混合エーテルを含む。より好ましいこのような置換シクロデキストリンは、1個以上のシクロデキストリン水酸基の水素が、C1-3アルキル、ヒドロキシ-C2-4アルキルまたはカルボキシ-C1-2アルキルで、さらにより好ましくはメチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチルで置換されたエーテルである。本発明で用いるのに最も好ましいシクロデキストリンは、たとえば、ジメチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンおよびヒドロキシエチル-β-シクロデキストリンなどのβ-シクロデキストリンエーテルまたはポリエーテルである。本発明の水溶液組成物においては、好ましくは0.05 % w/v〜約15.0 % w/v、より好ましくは1.0 % w/v〜約10.0 % w/vおよび最も好ましくは1.5 % w/v〜約5.5 % w/vでシクロデキストリンを用いる。
【0024】
本発明の安定な水溶液組成物の好ましい具体例においては、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを用いる。市販のものは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、β-シクロデキストリンと酸化プロピレンとを反応させることによって製造され、その真密度は1.378 g/cm3であり、キャビティー径は6.0〜6.5Åである。
本発明の安定な水溶液組成物のpHは、6未満に調節することができ、約6.0〜3.5が好ましく、4.0〜4.5がより好ましい。一群の緩衝剤から選ばれる適当なpH調節剤の例は、乳酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、酢酸、塩酸、硝酸、メタリン酸ナトリウムまたはカリウム、リン酸ナトリウムまたはカリウム、酢酸ナトリウムまたはカリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたはカリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどおよびその混合物である。塩酸などの強鉱酸を用いてpHを調節するのが、より好ましい。
沈澱阻害剤を本発明の安定な水溶液組成物に含めてもよい。溶液からブデソニドが沈澱するのを防止する安定な水溶液組成物に用いる沈澱阻害剤は、必要に応じて、a)アルコール性溶媒以外の共溶媒;およびb)アニオン、カチオンおよび/または非イオン性界面活性剤またはその混合物から選ばれる可溶化剤;から選ばれる可溶化剤を含む補助的沈澱阻害剤と併用される水溶性親水性ポリマーを含む一次沈澱阻害剤を包含する。
【0025】
本発明の安定な水溶液組成物において、一次沈澱阻害剤として用いる水溶性親水性ポリマーとして、セルロースおよびセルロース誘導体、ビニルピロリドンポリマーまたはポリビニルピロリドンならびにポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。用いることができるセルロースおよびセルロース誘導体の例として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。本発明には、種々のグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることができる。利用しうるグレードは、化学的置換および水和速度に応じて分類される。最も速い水和速度を有する、メトキシ含量が19-24 %であり、ヒドロキシプロピル含量が7-12 %であるヒドロキシプロピルメチルセルロースが、商標「Methocel Grade K」として市販されている。上記グレードと比べて相対的に速い水和速度を有する、メトキシ含量が28-30 %であり、ヒドロキシプロピル含量が7-12 %であるヒドロキシプロピルメチルセルロースが、商標「Methocel Grade E」として市販されている。相対的に遅い水和速度を有する、メトキシ含量が27-30 %であり、ヒドロキシプロピル含量が4-7.5 %であるヒドロキシプロピルメチルセルロースが、「Methocel Grade F」グレードとして市販されており、最も遅い水和速度を有する、メトキシ含量が27.5-31.5 %であり、ヒドロキシプロピル含量が0 %であるヒドロキシプロピルメチルセルロースが、商標「Methocel Grade A」として市販されている。本発明の水溶液組成物の好ましい具体例において、Methocel E4として市販されている、2 % w/v水溶液の粘度が約3500 mPas〜約5600 mPasであるヒドロキシプロピルメチルセルロースが、約0.01 % w/v〜約5.0 % w/vの量で安定化一次沈澱阻害剤として用いられる。非常に少量の水溶性親水性ポリマーでも、本発明の安定な水溶液組成物において有利な沈澱阻害効果を達成するのに役立ち、したがって、約0.1 % w/v〜約0.5 % w/v量で用いるのがより好ましい
【0026】
粘膜非刺激性共溶媒であればどれでも補助的沈澱阻害剤として使用することができる。共溶媒は少量で用い、組成物は実質的な量の共溶媒を含まない。組成物は実質的に共溶媒を含まず、5%未満、好ましくは2%未満の共溶媒を使用する。より好ましい共溶媒は、N-メチルピロリドンである。好ましい具体例では、最初にブデソニドを、薬物を溶解するのに過不足のない量、すなわち、0.1 % w/v〜約2.0 % w/vで用いるこの双極性非プロトン性水混和性可溶化剤であるN-メチルピロリドンに溶解し、この薬物溶液をシクロデキストリン溶液に加え、完全に混合して、包椄錯体を形成させる。N-メチルピロリドンの粘度は25℃にて1.65 mPasであり、水溶液中で、薬物の溶解度、可溶化速度および溶液安定性を増加させることがわかっている。さらに、N-メチルピロリドンを経鼻的に用いる場合、鼻の炎症を引き起こさないか、あるいは鼻腔容積を変化させない。
【0027】
さらに、本発明の安定な水溶液組成物は、オスモジェント(osmogents)、キレート剤、保存剤、抗酸化剤などの通常の医薬的賦形剤を含むことができる。
本発明の安定な水溶液組成物に用いることができるオスモジェントの例として、米国薬局方などの薬局方ならびにRemington: The Science and Practice of Pharmacy;edition 19;Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania (1995)に記載されるすべての医薬的に許容しうる薬理学的に不活性な水溶性化合物が挙げられる。医薬的に許容しうる水溶性無機もしくは有機酸の塩、または糖質などの炭水化物もしくはアミノ酸などの水易溶性の非イオン性有機化合物が一般に好ましい。溶液を等張性にするのに用いる作用剤の例として、塩化マグネシウムまたは硫酸マグネシウム、塩化リチウム,ナトリウムまたはカリウム、リン酸水素リチウム,ナトリウムまたはカリウム、リン酸二水素リチウム,ナトリウムまたはカリウムなどの無機塩;酢酸ナトリウムまたはカリウム、コハク酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムなどの有機酸の塩;マンニトール、ソルビトール、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、デキストロース、フラクトース、マンノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース、イノシトール、キシリトール、マルチトールなどの炭水化物;グリシン、ロイシン、アラニンまたはメチオニンなどの水溶性アミノ酸;尿素など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
本発明の安定な水溶液組成物に用いることができるキレート剤は、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウムおよびエデト酸三ナトリウムなどのエデト酸塩、リンゴ酸など、およびそれらの混合物を含むグループから選ばれる。
微生物汚染から溶液組成物を保護するために、本発明の安定な水溶液組成物に保存剤を加えてもよい。このような保存剤の例は、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびそれらの塩、ソルビン酸カリウムおよび安息香酸ナトリウムである。保存剤は、製剤の約0.002〜0.5 % w/wの量で存在することができる。本発明に用いるのに好ましい保存剤は、ソルビン酸カリウムである。
【0029】
本発明の安定な水溶液組成物は、ブデソニドおよび錯化剤を、アルコール性共溶媒を含まない水性媒体中で混合して溶液を形成させ、他の通常の医薬的に許容しうる賦形剤を加え、pHを6.0未満に調節する方法によって製造することができる。この方法にしたがって得られる溶液をマルチドースバイアルまたは好ましくはモノドースバイアルなどの適当な容器に充填し、点鼻液、鼻腔内スプレー、定量エアロゾル、吸入スプレーなどの剤形で用いることができるが、これらに限定されるものではない。要すれば、当業界で用いられるいずれかの技術、好ましくは濾過によって溶液組成物を滅菌することができる。さらに、製造工程中、酸素もしくは酸化物質または光への曝露を避けて、結果として生じる可能性があるダメージから溶液を保護するのが好ましい。
【0030】
好ましい具体例において、本発明の安定な水溶液組成物は、ブデソニドをN-メチルピロリドンに溶解し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンの分散液とともに混合することを含む単純な方法によって製造することができる。デキストロース、エデト酸二ナトリウムおよびソルビン酸カリウムを注射用水に溶解し、ブデソニド溶液混合物と混合する。攪拌しながら、5 % v/v塩酸を用いて溶液のpHを4.0〜4.5に調節し、注射用水で量を完成させる。窒素圧下で溶液を濾過して、透明なブデソニドの安定な水溶液組成物を得る。
ブデソニドの溶液組成物を患者に投与して、ブデソニドの懸濁液組成物と比較した場合の効力および耐容性を評価することができ、その結果を下記実施例5において議論する。
本発明を下記実施例によって説明するが、それは、決して、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、説明を目的とするものである。
【実施例】
【0031】
実施例1
この実施例は、本発明の1つの具体例およびその製造方法を説明するものであり、その製剤を下記の表1に示す。
【表1】


ヒドロキシプロピルメチルセルロースを80℃に加熱した約40 %の注射用水に分散させ、次いで、溶液を40℃まで冷却した後、冷却した25 %の注射用水を加える。上記形成されたわずかに粘度のある透明な溶液に、注射用水に溶解したヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンを攪拌しながら加える。上記溶液に、N-メチルピロリドンに溶解したブデソニド攪拌しながら滴下する。20 %の注射用水にデキストロース、エデト酸二ナトリウムおよびソルビン酸カリウムを溶解し、薬物溶液に加える。塩酸を用いて、得られる溶液のpHを4.0-4.5に調節し、残りの注射用水で量を完成させる。2ミクロンのガラスファイバーのプレフィルターを用いる0.22ミクロンのナイロン66膜フィルターで溶液を濾過し、バイアルに充填する。
【0032】
溶液を密閉したバイアルに40℃/75%RH(相対湿度)および25℃/60%RHという保管条件にて保管することによって安定性実験に付す。サンプルにおける初期および3か月のデータを表2に示す。
【表2】


(*)適合は、仕様明細に適合することを意味し、仕様明細とは、少しの沈澱も含まない透明溶液である。
(**)総RSは、総関連物質である。
【0033】
実施例2
この実施例は、本発明の別の具体例を説明する。
【表3】


ヒドロキシプロピルメチルセルロースを80℃に加熱した約40 %の注射用水に分散させ、次いで、溶液を40℃まで冷却した後、冷却した25 %の注射用水を加える。上記形成されたわずかに粘度のある透明な溶液に、注射用水に溶解したヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンを攪拌しながら加える。上記溶液に、N-メチルピロリドンに溶解したブデソニド攪拌しながら滴下する。20 %の注射用水にエデト酸二ナトリウムおよびソルビン酸カリウムを溶解し、薬物溶液に加える。塩酸を用いて、得られる溶液のpHを4.0-4.5に調節し、残りの注射用水で量を完成させる。2ミクロンのガラスファイバーのプレフィルターを用いる0.22ミクロンのナイロン66膜フィルターで溶液を濾過し、バイアルに充填する。
【0034】
実施例3
この実施例は、本発明の別の具体例を説明する。
【表4】


この溶液組成物の製造方法は、実施例2と同様である。
【0035】
実施例4
この実施例は、本発明の別の具体例を説明する。
【表5】


この溶液組成物の製造方法は、実施例1と同様である。
【0036】
溶液を密閉したバイアルに40℃/75%RH(相対湿度)および25℃/60%RHという保管条件にて保管することによって安定性実験に付す。サンプルにおける初期および3か月のデータを表6に示す。
【表6】


(*)適合は、仕様明細に適合することを意味し、仕様明細とは、少しの沈澱も含まない透明溶液である。
(**)総RSは、総関連物質である。
【0037】
実施例5
この実施例は、本発明の別の具体例を説明する。
【表7】


この溶液組成物の製造方法は、実施例1と同様である。
【0038】
実施例6
アレルギー性鼻炎におけるブデソニド鼻スプレーの2つの製剤の効力および耐容性(継続的または断続的)を評価するために、無作為化、並行グループ、多施設、二重盲検比較実験を行った。
80名の成人および青年(少なくとも12歳以上の個人)を、ブデソニド鼻スプレーの試験製剤30μg/日(各鼻腔に1日1回15μg/スプレー)またはブデソニド鼻スプレーの参照製剤64μg/日(各鼻腔に1日1回32μg/スプレー)のそれぞれに無作為に割り当てた。
製剤の臨床的効力および安全性を決定するために、初期効力(総鼻症状スコア(total nasal symptom scores:TNSS)および総非鼻症状スコア(total non-nasal symptom scores:TNSS)におけるベースラインからの平均変化を第8、15、22および29日に査定した)、個々の症状(すなわち、くしゃみ、鼻漏、鼻の痒み、鼻づまり、目の痒み/灼熱感、流涙、眼の充血)の軽減、耐容性および全般的査定について製剤を評価した。
総鼻症状スコアの患者評価を図1においてグラフで示し、非鼻症状スコアを図2においてグラフで示す。
実験の結果は、ブデソニドが水溶液組成物として投与される場合、アレルギー性鼻炎の症状の制御において、各鼻腔に1日1回32μg/スプレーという高用量で同様の効果を示すブデソニドの懸濁液組成物と比較して、各鼻腔に1日1回15μg/スプレーという非常に低いスプレー用量で有効であることを実証した。両方の製剤が、副作用を示さず、良好な耐容性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
(原文に記載なし)
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した、16μg未満の治療有効量でブデソニドを含む、ブデソニドおよび医薬的に許容しうる液体担体を含む低用量組コルチコステロイド組成物。
【請求項2】
治療有効量が、5 μg〜16 μg未満である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
治療有効量が、約8 μg〜約15 μgである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
医薬的に許容しうる液体担体が水性であり、ブデソニドが溶解形態で存在し、室温で1年間保管する場合に、1年間にわたってブデソニドが沈澱しない請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
安定な水溶液組成物が、組成物がアルコール性共溶媒を含まず、pHが6.0を越えないことを特徴とする、ブデソニドおよびブデソニドと錯体を形成しうる錯化剤を含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
錯化剤が、ジメチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリンなど、およびその混合物から選ばれるβ-シクロデキストリンエーテルまたはポリエーテルである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
使用するβ-シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを約0.05% w/v〜約15.0% w/vの量で用いる請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを約1.0% w/v〜約10.0% w/vの量で用いる請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを約1.5% w/v〜約5.5% w/vの量で用いる請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
さらに、溶液からブデソニドが沈澱するのを防止する沈澱阻害剤を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
沈澱阻害剤が、必要に応じて、a)アルコール性溶媒以外の共溶媒;およびb)アニオン、カチオンおよび/または非イオン性界面活性剤またはその混合物から選ばれる可溶化剤;から選ばれる可溶化剤を含む補助的沈澱阻害剤と混合して、水溶性親水性ポリマーを含む一次沈澱阻害剤を含む請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
水溶性親水性ポリマーを含む一次沈澱阻害剤が、セルロースおよびセルロース誘導体、ビニル/ポリビニルピロリドンポリマー、ポリビニルアルコールまたはその混合物から選ばれる請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
セルロースおよびセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などから選ばれる請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
一次沈澱阻害剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの2 % w/v水溶液の粘度が約3500 mPas〜約5600 mPasである請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
約0.01% w/v〜約5.0% w/vの量で一次沈澱阻害剤を用いる請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
アルコール性溶媒以外の共溶媒が、N-メチルピロリドンである請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
さらに、キレート剤を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項20】
キレート剤が、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウムおよびエデト酸三ナトリウムなどのエデト酸塩、リンゴ酸など、およびそれらの混合物を含むグループから選ばれる請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
さらに、オスモジェントとしてデキストロースを用いる請求項5に記載の組成物。
【請求項22】
さらに、保存剤としてソルビン酸カリウムを用いる請求項5に記載の組成物。
【請求項23】
pHが6.0を越えない水溶液が、緩衝剤を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項24】
緩衝剤が、乳酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、酢酸、塩酸、硝酸、メタリン酸ナトリウムまたはカリウム、リン酸ナトリウムまたはカリウム、酢酸ナトリウムまたはカリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたはカリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなど、およびその混合物から選ばれる請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
各鼻腔に16μg未満の治療有効量のブデソニドを鼻腔内投与することを含む、処置を必要とする哺乳動物における、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための処置方法。
【請求項26】
治療有効量が、5 μg〜16 μgである請求項25に記載の処置方法。
【請求項27】
治療有効量が、約8 μg〜約15 μgである請求項26に記載の処置方法。
【請求項28】
用量が、1日1回から1日8回で各鼻腔に投与される請求項25に記載の処置方法。
【請求項29】
用量が、1日1回で各鼻腔に投与される請求項25に記載の処置方法。
【請求項30】
ブデソニドが、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適した組成物で投与される請求項25に記載の処置方法。
【請求項31】
組成物が、安定な水溶液組成物である請求項30に記載の処置方法。
【請求項32】
ブデソニドを溶解形態で含む安定な水溶液組成物を投与することによる、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための処置方法。
【請求項33】
16 μg未満の治療有効量でのブデソニドの鼻腔内投与用の、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための組成物の製造のためのブデソニドの使用。
【請求項34】
治療有効量が、5 μg〜16 μg未満である請求項33に記載の使用。
【請求項35】
治療有効量が、約8 μg〜約15 μg未満である請求項34に記載の使用。
【請求項36】
組成物が、季節的アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、鼻ポリープに関連する鼻の症状の管理ならびに手術後ポリープ、慢性副鼻腔炎および再発性副鼻腔炎の予防のための粘膜へのブデソニドの投与に適する組成物である請求項33に記載の使用。
【請求項37】
組成物が、安定な水溶液組成物である請求項36に記載の使用。

【公表番号】特表2006−517981(P2006−517981A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507624(P2006−507624)
【出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000042
【国際公開番号】WO2004/082590
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(503252832)サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LIMITED
【Fターム(参考)】