説明

低脂肪プロセスチーズのスライスオンスライスおよびブロック

【課題】低脂肪(5%未満、しかし好ましくは3%未満)チーズのスライスオンスライス製品およびブロック製品を提供する。
【解決手段】該製品は、ナチュラルスキムミルクチーズ、追加の乳製品固体で製造され、約53から約55総重量%の水と、クエン酸塩、リン酸塩からなる、約2から約2.8総重量%の乳化剤塩とを有する。クエン酸塩/リン酸塩の比率は、最大約50/50。該製品は、20から30総重量%のタンパク質であって、その内、約12から25総重量%が機能性カゼインタンパク質であるタンパク質と、約22から約56%の比率の水分/機能性カゼインタンパク質とを有することができる。製造方法は、蒸気および圧力で加熱処理する前に、成分をブレンドおよび水和するステップと、次いで真空フラッシュして、シートに形成するか、または圧力下でブロックに押し出し、固着防止剤を塗布するステップを挙げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
低脂肪プロセスチーズ製品、特にスライスオンスライスまたはブロックの形態で配合および製造された低脂肪プロセスチーズ製品。
【背景技術】
【0002】
プロセスチーズは、従来、高温にて様々なチーズおよび他の乳製品と乳化塩とをブレンドし、シート形態、スライス形態または他の形態に形成できる、均一でポンプ押出可能な液状チーズ材料を製造することにより調製され、民生用に包装されている。プロセスチーズ製品の十分な乳脂肪分により、柔らかいボディー感および質感、ならびに望ましい溶融特性が得られるだけでなく、製造工程においてナチュラルチーズ成分の高温での加工が促進される。プロセスチーズの脂肪分の除去、さらには実質的な減少は、得られた製品の官能特性(例えば、色、芳香、ボディー感、質感および味)に悪影響を与える恐れがある(一般に、特許文献1参照)。
【0003】
その脂肪含有対応物のボディー感、質感、味、食感などをシミュレートする特性を有する、低脂肪または実質的に無脂肪の食品の開発に著しい努力が向けられてきた。いくつかの試みにおいて、セルロース材料は、様々な低脂肪または実質的に無脂肪の食品の官能特性を改善するために使用または提案されてきた。これらの試みにもかかわらず、これらのプロセスチーズ製品は、浅色または半透明色、堅いまたは噛み応えのある質感、低い溶融特性を有し、焼成中に焦げる恐れがある(一般に、特許文献2参照)。さらに、相当量のセルロース材料を含有するプロセスチーズ製品は、口へのまとわりつきまたは渋味感などの悪影響を与える恐れがある。要するに、これらの製品は、バランスのとれた官能特性に欠ける場合がある。
【0004】
低脂肪プロセスチーズの1つのさらなる特性としては、様々な程度で接着特性(すなわち、粘着性)を有する傾向がある。これは、製造装置に、スライスオンスライス包装などの他のチーズに、または消費中に接着することを挙げることができる。スライスオンスライス包装においてこの特性を回避するために、低脂肪または無脂肪のプロセスチーズ製品は、一般に、個別包装されたスライスとして製造および包装されてきた。
【0005】
当技術分野において著しい進歩があったが、さらに進歩する可能性があり、それが望まれている。例えば、従来のプロセスチーズ製品をシミュレートした官能特性を有する、栄養価に富み、低カロリーで、実質的に無脂肪のプロセスチーズ製品を製造する改良法を提供することが望まれる。製造効率を改善し、包装材料を削減するために、スライスオンスライス形態とブロック形態の両方でこのような製品を提供することも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,215,778号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0068311号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書において、スライスオンスライス形態およびブロック形態での製造に適した配合物を含み、従来のプロセスチーズをシミュレートした官能特性を有する低脂肪プロセスチーズ製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、約30から80総重量%のナチュラルスキムミルクチーズと、追加の乳製品固体と、約5.0総重量%未満、しかし好ましくは3.0総重量%未満の脂肪と、約45から約55総重量%の水と、約2から約3総重量%の乳化剤塩であって、クエン酸三ナトリウム(TSC)などの少なくともクエン酸塩である、乳化剤塩と、約20から30総重量%のタンパク質であって、その内、約12から25総重量%は、機能性カゼインタンパク質であってよい、タンパク質と、約22%から56%の比率の水分/機能性カゼインタンパク質との実質的に均一な混合物を有する、低脂肪プロセスチーズ製品であってよい。さらなる特徴としては、それだけに限らないがアルギン酸塩、レシチンまたはデンプン溶液を含む固着防止剤をその表面上に塗布することを挙げることができる。場合により、リン酸二ナトリウム(DSP)などのリン酸塩を加えてもよい。クエン酸塩とリン酸塩の両方を使用するとき、クエン酸塩/リン酸塩の比率は、最大50/50の範囲であってよい。
【0009】
さらなる特徴としては、チーズカードおよび乳製品固体を破壊および粉砕するステップと、製品を金属探知機などのスキャナーに通過させるステップと、ダブルリボンブレンダーなどのブレンダーで、乳製品固体と、第1の群の粉末、および該粉末を水和し、均一な混合を促進するのに十分な量の水とをブレンドするステップのように、低脂肪プロセスチーズ製品を調製する方法を挙げることができる。第1の群の粉末は、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエー粉末、クエン酸塩、スキムミルク粉末の所望の総量の約60から90%であってよい。該方法としては、補助栄養素、着色料および保存料(例えば、βカロチン、ビタミンD、ビタミンA、二酸化チタンおよびソルビン酸)などの添加剤をブレンドするステップと、粉末を加える場合、それを水和するのに十分な残留水を加えるステップと、クエン酸塩、ならびに場合によりリン酸塩、塩、および残留MPC、ホエー粉末、スキムミルク粉末をブレンドするステップと、乳酸で該ブレンドのpHを標準化するステップと、該ブレンドを加熱処理するステップと、該ブレンドを真空フラッシュするステップと、該ブレンドを濾過するステップと、該ブレンドを冷却するステップと、該ブレンドをシートに形成するステップと、固着防止剤を該シートの表面に塗布するステップを挙げることができる。場合により、該製品を、圧力下で押し出して、任意の大きさのブロックに形成してもよい。
【0010】
一実施形態において、該方法は、所望のせん断および食品安全要件を実現するのに十分な保持時間および保持温度でブレンドを加熱するステップを含む。例えば、このような加熱は、少なくとも1.5秒間、約50kPaから約150kPaの圧力下で、105℃から125℃の間の温度を含み得る。
【0011】
追加のステップとしては、シートを切り裂いて連続リボンにするステップと、該リボンを切断して個々のスライスにするステップと、該スライス(例えば、約6から15枚のスライス)を2から4mmの交互オーバーレイで積み重ねるステップと、異物に関して該スライスのスタックを確認するステップと、該スライスのスタックを密閉容器内でオーバーラップするステップと、該スライスのスタックを有する容器を6〜15℃まで冷却するステップを挙げることができる。
【0012】
他の特徴は、以下の説明および特許請求の範囲から当業者には、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
前記の特徴、ならびに他の特徴は、以下の説明および図面を参照することにより明らかになるであろう。ここで、同じ数字は構成要素を表し、ここで:
【0014】
【図1】低脂肪プロセスチーズ製品の実施形態を製造するための、ブレンドおよび加熱処理の態様の方法を例示するプロセスフロー図である。
【0015】
【図2】低脂肪プロセスチーズ製品の実施形態を製造するための、スライスの充填の態様の方法を例示するプロセスフロー図である。
【0016】
【図3】低脂肪プロセスチーズ製品の実施形態を製造するための、冷却および切裂の態様を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に示す実施形態は、スライスオンスライス形態およびブロック形態で製造された、従来のプロセスチーズをシミュレートする官能特性を有する低脂肪プロセスチーズ製品を提供する。一実施形態は、97%無脂肪のスライスオンスライスおよびブロックのプロセスチーズ製品を提供するが、他の実施形態は、最大95%無脂肪であってよい。該製品は、親水コロイドを使用するか、またはそれを使用せずに、市場の要件に応じて、例えば質感などのいくつかの特性を変えるように配合されてもよい。以下に詳細に示すように、この製品は、蒸気圧および背圧を正しく組み合わせてクッカーを操作し、良好な乳化および均一な混合を実現することによって生じ得る。次いで、制御冷却を使用して、製品を所望の質感にし、安定させ、包装することができる。この製造方法としては、それだけに限らないがリボンを形成および切断してスライスにし、固着防止剤(例えば、アルギン酸塩、レシチンまたはデンプン溶液)を塗布して、またはそれを塗布せずに充填することが挙げられるが、製品を圧力下で形成するかまたは押し出して任意の大きさのブロックにすることも挙げることができる。
【0018】
低脂肪プロセスチーズ製品の多くの配合物が可能である。表1は、3つの可能な配合物を示している。
【0019】
【表1】

【0020】
本配合物のいくつかの特徴としては、乳化剤の種類および比率、低い含水量、高い機能性カゼイン、およびより自然な風味にするためには約5%未満、しかし好ましくは3%未満の脂肪分がある。乳化剤の種類および比率は、製品が以下に示す冷却ロール機能で良好に動作するのを補助できる。示したように、製品が高タンパク質を含有するので、総乳化剤量は約2から3%である。乳化剤としては、クエン酸三ナトリウムなどのクエン酸塩を挙げることができる。場合により、リン酸塩は、リン酸二ナトリウムなどの乳化剤として使用できる。配合物1には、リン酸カルシウムが追加される。クエン酸塩とリン酸塩の両方を配合物で使用する場合、配合物1では70/30の比率、配合物2では80/20の比率のように、クエン酸塩が一般に優勢であろう。しかし、クエン酸塩/リン酸塩の比率は、最大50/50であることができる。これらの比率は、冷却ロール動作中に連続リボンに入り込むことができる柔軟な製品を提供する一助となる。配合物1は、連続リボンの製造に適合可能である。配合物2は、ブロック形成に適合可能である。リン酸塩とクエン酸塩との比率が高いほど、柔軟性のより低い脆弱な製品になり得る。
【0021】
含水量は、約45から約55総重量%であってよいが、好ましくは53.5から55.0総重量%の範囲である。製品の総タンパク質画分は、20から30総重量%であってよいが、好ましくは25.0から26.7総重量%の範囲である。機能性カゼインタンパク質だけの画分は、約12から25総重量%の範囲であってよいが、好ましくは25.0から26.7総重量%の範囲である。水分/機能性カゼインは、約22から56%の範囲であってよいが、冷却ロールに張り付かない堅い製品にするためには、第1および第2の配合物で判明したように、約36から41%の比率が、連続リボン工程に関しては好ましい。単に例としてアルギン酸塩、レシチンまたはデンプン溶液などの固着防止剤を、冷却中にチーズ表面にスプレーし、表面の粘着性を低下させ、分離しやすいようにスライスが互いに張り付くのを防ぐこともできる。
【0022】
製造中、成分を、ツインリボンブレンダーなどのブレンダー中で合わせる。次いで、ブレンドを、所望のせん断および食品安全要件を実現する加熱処理温度および保持条件にする連続クッカーを用いて加熱処理できる。さらに、クッカーの蒸気インジェクターにより、適切な乳化に必要とされる高せん断が行われる。次いで、加熱処理済みチーズを真空フラッシュして、製品の温度を低下させ、蒸気の濃縮により追加された水分の一部を除去することができる。次いで、加熱処理済みチーズを、冷却ロールを用いてスライスに形成し、次いで包装することができる。場合により、製品を圧力下で押し出して、任意の大きさのブロックを形成してもよい。
【0023】
実質的に無脂肪のプロセスチーズ製品を調製する方法を図1および図2に例示する。図1は、プロセスチーズ製品のブレンドおよび加熱処理に関するプロセスフロー図を例示している。図2は、プロセスチーズ製品のスライスの充填に関するフロー図を例示している。
【0024】
図1には、表1に示したように、配合物に製品の成分をブレンドするステップが、単に例として示されている。プロセスステップ10において、例えば様々なチーズ成分などの非粉末乳製品原料を有するチーズブレンドを、破壊および粉砕するためにカードブレーカー12に入れる。表1に示したように、チーズブレンドは、約30〜80総重量%の間、しかし好ましくは約38〜54総重量%のスキムミルクチーズカード、0.0から10総重量%の間のチェダーチーズおよび0.0から20総重量%の間の半脂肪チェダーチーズを有することができる。
【0025】
プロセスステップ14において、チーズ粒子の未溶融および未乳化のブレンドを、金属探知機18を有する第1のコンベヤー16を介してグラインダー20に移す。
【0026】
プロセスステップ22において、チーズ粒子のブレンドは、直径約4.5mm(しかし、例えば2〜6mmの他の大きさの直径が考えられる)のスクリーン(図示せず)を通過してグラインダー20に移動する。このステップの目的は、粒径を小さくし、カード粒(加熱処理済み最終製品中の未溶融および未乳化のチーズ粒子)を避けることである。チーズ製品を製造する方法が、保持管でのより長い加熱時間を含む場合、より大きな直径のスクリーンサイズを使用してもよい。
【0027】
プロセスステップ24において、チーズブレンドを、第2のコンベヤーベルト26を介してブレンダー28に送る。プロセスステップ30において、チーズ製品を、最初に、ブレンダー28中で約2から10分間ブレンドする。本方法のブレンダーは、リボンブレンダー(ツインリボンを含む)およびパドルブレンダーであってよい。他の実施形態は、破壊、粉砕およびブレンドのステップを、様々な組合せで組み合わせることもでき、その結果、遜色のない均一な混合にすることができることが留意される。
【0028】
次に、依然としてブレンダー28内にある間に、第1の群の粉末を加えることができる。グループ1の粉末の添加量は、合計のブレンド調製時間を最小限にすることが意図された標準添加量であってよい。グループ1の添加量は、所望の配合物に対して予め決定され、指定されていてもよい。現段階で加えられる量は、一般に、本明細書で所望および列挙されている推定総重量パーセントの60から90%の間であってよい。グループ1の粉末としては、以下のものを挙げることができる:
0.0から8総重量%の間の乳タンパク質濃縮物(MPC);
0.0から5総重量%の間のホエー粉末;
1から3総重量%の間のクエン酸三ナトリウム;
場合により0.0から4総重量%の間の酸修飾デンプン;および
0から8総重量%の間の無脂肪乾燥乳(スキムミルク粉末)。
【0029】
この場合もやはり、直ぐ上に示した量は、最終配合物の総重量%であり、全工程のこのステップで加えられる60から90%の画分ではないことが留意される。MPCは、80%のタンパク質であってよい。他のタンパク質量は、所望の最終製品のタンパク質量に達するように配合物を変更することにより使用できる。従来のプロセスチーズ製品とさらに合致するように最終製品の質感を変更するため、酸修飾デンプン、および親水コロイド(例えば、アルギン酸塩、セルロース、ガムなど)などの任意選択の質感調整剤が、いくつかの低乳タンパク質配合物で所望され得る。クエン酸ナトリウムは乳化剤である。それらを加えた後、2分間の混合サイクルが続き、適切な混合を確実にする。次に、ブレンドを引き続き混合する場合、水の一部を加えて、粉末の適切な水和および均一な混合を可能にすることができる。粉末と水とのバランスの制御は、正確で均一な混合を実現するのに重要な態様である。水の割合は、11から22総重量%の間の範囲で加えられる水の全部に対して約40から90%で変動してもよい。
【0030】
プロセスステップ30では、引き続き、補助栄養素、着色料または保存料などの第1の群の添加剤を加える。例えば:
0.00から0.003総重量%の間のβカロチンまたはアナトー;
所望の強化量に応じて0.00から0.003総重量%の間のビタミンDおよび/またはビタミンA;
0.00から0.16総重量%の間の二酸化チタン;および
0.00から0.09総重量%の間のソルビン酸。
それらを加えた後、ブレンドが少なくとも30秒から1分間続き、適切な混合を確実にする。乾燥粉末は、任意の着色料を加える前に目に見えてはならないことが留意される。
【0031】
プロセスステップ30では、引き続き、依然としてブレンダー28内にある間に、第2の群の粉末を加える。グループ2の粉末の添加量は、合計のブレンド調製時間を最小限にすることが意図された標準添加量であってよい。グループ2の添加量は、所望の配合物に対して予め決定され、指定されていてもよい。それらは、グループ1の粉末とともに加えられなかった、推定必要量の残留粉末を含んでもよい。グループ2の粉末としては、以下のものを挙げることができる:
0.00から0.6総重量%の間のリン酸三カルシウム(TCP);
1.3から2総重量%の間の残留クエン酸三ナトリウム(TSC);
0.400から1.824総重量%の間のリン酸二ナトリウム(DSP);
0.00から0.563総重量%の間の塩;
2から8総重量%の間の残留MPC;
2から5総重量%の間の残留ホエー粉末;および
3.5から7.6総重量%の間の残留スキムミルク粉末。
リン酸ナトリウムは、追加の乳化剤であってよい。塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、または塩化カリウムと塩化ナトリウムとの様々な組合せでの塩の代用品であってよい。ホエータンパク質を、グループ1および/またはグループ2の粉末に加えることもできる。
【0032】
プロセス30では、引き続き、ブレンド時間を追加して、適切な混合を確実にし、次いで残留水を加えて、粉末が適切に水和されることを確実にする。次いで、さらにブレンドして、均一な混合を確実にできる。次に、乳酸を、pH標準化のために0.66から0.800総重量%の間で加えることができる。pH標準化は、約5から6の範囲であってよく、好ましいpHは5.35から5.65である。次いで、ブレンドを再び混合し、均一な混合を確実にする。
【0033】
最後のブレンドステップが完了したら、代表の複合試料を、必要に応じて実験室分析用に採取してもよい。化学分析の結果は、水分、塩およびpHが推奨範囲内であるかどうかを示すことができる、標準化システムに記入できる。次いで、調節は、試料結果および製品により示されたように行うことができ、次いで再試験される。所望される場合、さらに混合時間を追加してもよいが、一般に全体で20分を超えてはならない。
【0034】
ブレンドステップおよび配合物の変更形態の多くは可能であるが、やはり本製品の予想配合物の範囲に収まることが留意される。他の配合物の任意選択の成分としては、バターミルク粉末、ホエータンパク質、コーンシロップ、チーズフレーバー、アナトー、イヌリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、濃縮物およびビタミンAを挙げることができる。カラギナンは、海藻誘導体であり、製品の質感および/または粘度に影響を与えるために親水コロイドとして使用される。当技術分野で公知である他の種類の親水コロイドも考えられよう。アナトーは油であり、製品を着色するために使用できる。
【0035】
これらのステップが完了した後、次いで、プロセスステップ34において、未加熱処理製品を、オーガーカート/オーガーアセンブリー32に注ぐことができる。オーガーアセンブリー32での混合を最小限にするよう注意しなくてはならない。オーガーアセンブリー32での混合の延長は、製品の一貫性、したがって冷却ロールの遂行に悪影響を与える恐れがある。クッカー供給ポンプ36により、未加熱処理製品をオーガーアセンブリー32から連続蒸気注入クッカー38に移すことができる。ポンプ速度は、製品の加熱処理時間/温度および保持管の状態、所望されるチーズの質感のための乳化、ならびにエネルギー効率目標を実現するのに十分なインジェクター加熱処理速度を得るために調節される。ポンプ36は、未加熱処理製品に対する作業を最小限にするために、低せん断および低パルスを有する多重ローブ型容積式ポンプであってよい。
【0036】
ポンプ36により、製品が蒸気インジェクター42および保持管38に入ると、製品を加熱処理するプロセスステップ40が始まる。一般に、製品は、105℃から125℃の間(好ましくは110℃)で加熱処理できる。特に、プロセスステップ40での加熱処理は、インジェクター42で、製品に蒸気を導入することにより実現できる。ポンプ36は、300kPaから750kPaの範囲で、目標圧力約600kPaのインジェクター圧力P1(44)にて、インジェクター42に製品を押し出す。インジェクター圧力44は、乳化および効率的な混合を可能にするための効率的な熱伝導を確実にする目標範囲内で調節できる。蒸気は、400kPaから850kPaの範囲で、目標圧力約700kPaの圧力P2(46)にて、蒸気ライン48からインジェクター42に入ることにより製品に導入できる。インジェクター圧力差は、インジェクター圧力P1、44と制御蒸気圧力P2、46との間の圧力差である。インジェクター圧力44は、製品が蒸気ライン48に入らないように、制御蒸気圧力46よりも低く保たれなくてはならない。最小差は、約50kPa、目標約100kPaでなくてはならならい。次いで、製品は、105℃から125℃(目標約110℃)の間の範囲の温度T1、54で保持管38に入る。
【0037】
背圧バルブ50は、保持管38の出口に示されている。背圧バルブ50は、背圧P3、52を生成し、保持管38を完全に保持することで、製品を適切に加熱処理および乳化する一方で、製品/蒸気の分離(フラッシュ)も回避する。背圧P3、52は、約50kPaから150kPaの範囲で、目標約100kPaであってよい。クッカーの保持管およびせん断ケージ38のシムサイズを調節して、必要とされるスループットで所望のエマルジョンを得ることができる。さらに、保持管38を、ウォータージャケット(図示せず)を介して水冷して、製品の焼け焦げを最小限にすることができる。
【0038】
次に、プロセスステップ56では、保持管38で製品を保持および加熱処理する。所望の保持時間(好ましくは3から15秒)および温度にし、製品が加熱処理されることを確実にし、蒸気およびせん断ケージにより実現される最初のせん断によって乳化を確実にするために、保持管38は、操作中に製品で満たされていなくてはならない。目標T2、58(好ましくは約95℃)を維持して、加工中の製品を、ライン60を介して自動的に方向転換および廃棄できることを確実にできる。次いで、製品をフラッシュタンク62に送ることができる。
【0039】
次に、プロセスステップ68において、フラッシュタンク62に接続された真空66により、真空フラッシュを起こす。フラッシュタンク真空は、約75℃から85℃のチーズの出口温度(T3、70)にするため圧力P4、60を有することができる。フラッシュタンク62は、クリーム化、質感が堅くなるタンパク質の配向を最小限にするために、できるだけ少ない量の製品を有していなくてはならない。以下に示す冷却ロールホッパー温度は、冷却ロールに製品を移すために調製のこの段階で制御できる。T3、70が許容範囲である時点で、フラッシュタンクポンプ72は、加熱処理済み製品をサージタンク74に送る。
【0040】
次に、プロセスステップ76において、製品をサージタンク74で保持できる。サージタンク74は、クリーム化を最小限にするために、できるだけ少ない量の製品を保持する。次いで、サージタンクポンプ78により、製品をフィルターに送ることができる。
【0041】
次に、プロセスステップ80において、製品は、インラインフィルター82を通過し、任意の異物または任意の未乳化カード粒を除去できる。また、プロセスステップ82では、P5、84での濾過前およびP6、86での濾過後に製品圧力を監視する。P5、84およびP6、86を使用して、いつフィルターを変更する必要があるかを示すことができる。ブロック化フィルターは、製品に高せん断を与え、エマルジョンの破壊または他の望ましくない特性をもたらす場合がある。
【0042】
この段階で、製品のブレンドおよび加熱処理は完了し、点Aで図1を出て、図2に続く。図2は、製品加工の次の段階、すなわち冷却ロールおよび包装を例示している。図示したように、加熱処理済みチーズ製品を、サージタンク74およびフィルター82から冷却ロールホッパー102に送る。上に示したように、この段階で温度は、フラッシュタンク64(T3、70)で制御され、所望のチーズ製品シートの質感を実現するために調節される。冷却ロールホッパー102から、加熱処理済み製品をシートに形成でき、図示したように、アルギン酸塩溶液を、製品の表面に塗布して製品の任意の接着傾向を低減できる。レシチンまたはデンプン溶液などの他の固着防止剤が考えられる。
【0043】
アルギン酸塩溶液は、水、アルギン酸塩粉末を供給し、アルギン酸塩混合タンク108および112内で加熱することにより形成できる。次に、アルギン酸塩溶液を、冷却ロールに移して、スプレーノズル/ドリップノズルを介して冷却ロール104上またはスライス120に塗布できる。
【0044】
次に、その表面上にアルギン酸塩溶液を有する製品は、複数の冷却ローラー116を通過できる。冷却ローラー116を、最大15℃の温度で維持する。温度が6℃を下回る場合、チーズ製品は堅すぎ得、スライスは非常にもろくなり得、カッターで問題が起こる。温度が15℃超の場合、製品はスライスが困難になり得る。代替冷却ロールの温度範囲は、代替配合物によって若干異なる場合がある。
【0045】
次に、加熱処理済みおよび冷却済み製品は、所望の用途のために構成された一連のカッター118の中を移動する。場合により、製品は、成形装置を通して、ブロックとして成形することもできる。
【0046】
図3に示したように、カッター118は、チーズ製品が冷却ローラー116を通過する場合、それを切断してリボン120にする(またはリボンを維持する)スリッターであってよい。個々のチーズスライスが、製品の所望の最終構成であるとき、カッターは、単に例としてスライス幅90±2mmなどの所望のスライス幅にリボン120を切断できる。スプール機は、2から4mmの交互オフセット(スタガー)などで、個々のスライスを積み重ねることができる。例えば6〜15枚のスライスなど、所定のスタックサイズは、重量計124を用いて決定できる。
【0047】
次に、最終スタック製品を、冷たいシールフィルムを使用する、オーバーラッパー134を用いて包装できる。オーバーラップは、適切な、好ましくは実質的にガス不透過性で、実質的に光不透過性の包装材料であってよく、該包装材料は、個々のスライスオンスライスのスタックの周りに実質的に密封された包装を形成する。密封されたオーバーラップ包装により、消費者により必要とされるときに除去できる複数のスライスを含有する密封ユニットが消費者に提供される。
【0048】
ここから、金属探知機などのスキャナー、およびスライスが欠けていないか確認するための重量計を用いて、製品包装128に対して、品質保証ステップ126をとることができる。製品包装128がステップ126を通過した場合、それをコーダー130によりコード化して、カートン132に充填できる。ここから、カートン132を賞味期限でコード化し、カートンシーラーおよびカートンコーダー136で密封できる。次に、カートン132をパレット138上に置き、次いで冷温貯蔵にすることができる。
【0049】
製品および方法を特定の実施形態と組み合わせて記載してきたが、多くの代替、変更および変形形態が、前記記載に照らして当業者には明白であろうことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約30から54総重量%のナチュラルスキムミルクチーズと、
追加の非粉末乳製品原料と、
約3.0総重量%未満の脂肪と、
約53から約55総重量%の水と、
約2から約2.8総重量%の乳化剤塩であって、該乳化剤塩は少なくともクエン酸塩である乳化剤塩と、
約25から26.7総重量%のタンパク質であって、その内、約17から22.5総重量%が機能性カゼインタンパク質であるタンパク質と、
約32から41%の比率の水分/機能性カゼインタンパク質と、
の実質的に均一な混合物を含むことを特徴とする低脂肪プロセスチーズ製品。
【請求項2】
前記乳化剤塩は、リン酸塩をさらに含み、クエン酸塩/リン酸塩の比率は約70/30から80/20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のチーズ製品。
【請求項3】
その表面上に固着防止剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のチーズ製品。
【請求項4】
前記固着防止剤は、アルギン酸塩であることを特徴とする請求項3に記載のチーズ製品。
【請求項5】
前記固着防止剤は、レシチンであることを特徴とする請求項3に記載のチーズ製品。
【請求項6】
前記固着防止剤は、デンプン溶液であることを特徴とする請求項3に記載のチーズ製品。
【請求項7】
前記クエン酸塩は、クエン酸二ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のチーズ製品。
【請求項8】
前記リン酸塩は、リン酸三カルシウムであることを特徴とする請求項2に記載のチーズ製品。
【請求項9】
請求項1に記載の低脂肪プロセスチーズ製品を調製する方法であって、
チーズカードおよび乳製品固体を破壊および粉砕するステップと、
異物を検出するステップと、
乳製品固体と、第1の群の粉末および前記粉末を水和するのに十分な量の水とをブレンドするステップであって、前記第1の群の粉末は、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエー粉末、クエン酸塩およびスキムミルク粉末の所望の総量の約60から90%を占めるステップと、
βカロチン、ビタミンD、二酸化チタンおよびソルビン酸である添加剤をブレンドするステップと、
粉末を加える場合、それを水和し、均一な混合を促進するのに十分な水を加えるステップと、
塩および残留クエン酸塩、MPC、ホエー粉末、スキムミルク粉末をブレンドするステップと、
乳酸で前記ブレンドのpHを標準化するステップと、
前記ブレンドを加熱処理するステップと、
前記ブレンドを真空フラッシュするステップと、
前記ブレンドを濾過するステップと、
前記ブレンドを冷却するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ブレンドをシートに形成するステップと、
前記シートの表面に固着防止剤を塗布するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
圧力下で前記ブレンドを成形装置に押し出して、ブロックを形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ブレンドは、ダブルリボンブレンダーにより行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ブレンドの加熱処理は、蒸気インジェクターで前記ブレンドを加熱した後、約105℃から125℃および約50kPaから約150kPaの圧力下で、約3秒から15秒保持管内で保持するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記固着防止剤は、アルギン酸塩であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記固着防止剤は、レシチンであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記シートを切り裂いて連続リボンにするステップと、
前記リボンを切断して個々のスライスにするステップと、
前記スライスを2から4mmの交互オーバーレイで積み重ねるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記製品を金属探知機でスキャンするステップと、
前記スライスのスタックを密閉容器内でオーバーラップするステップと、
前記スライスのスタックを含む前記容器を6〜15℃まで冷却するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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