説明

低電圧電源によるLEDイルミネーション装置

【課題】光源が長寿命で省エネルギーであり、昼間が曇天や雨天であっても夜間には長時間点灯させることのできるLEDを用いたイルミネーション装置を提供すること。
【解決手段】本発明の低電圧電源によるLEDイルミネーション装置は、交流電源を用いた第1系統の低電圧直流電源と、ソーラーパネルと蓄電池を用いた第2系統の低電圧直流電源と、前記第2系統の低電圧直流電源の電圧が低下したときには前記第1系統の低電圧直流電源に切り換える電源切り換え手段と、前記電源切り換え手段にて選択された何れか一方の低電圧直流電源が供給されるLED群と、前記LED群を所定の点灯パターンで点灯させる点灯制御手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリスマス等の期間に点灯させるLEDを用いたイルミネーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリスマス等の期間に多数の光源を点灯させる電飾用のイルミネーション装置としては、以前は光源として小さな電球を用いたものが一般的であったが、フィラメント式の電球は消費電力が小さくなく、多数の光源を用いて毎日数時間も点灯させる場合には電気使用料金が大きくなるという問題だけでなく、地球温暖化防止の観点からも問題があった。さらに、電飾用のイルミネーション装置の場合には各光源を頻繁に点滅させるように制御することが多いことから、光源となる電球の寿命が短くなるという問題もあった。
このような事情と、近年の高輝度LEDの低価格化によって、家庭用のイルミネーション装置の光源として、消費電力が小さく、寿命も長いLEDを採用することが可能になった。
このような低消費電力のLEDを用いたイルミネーション装置は、低電圧で駆動できることと、消費電力が小さいということから、家庭用の交流電源を用いなくてもよく、電池駆動が可能になった。そして、昼間にはソーラーパネルで発電させた電力を蓄電池に充電しておき、夜間には前記蓄電池に充電させた電力でLEDを点灯させるソーラー照明装置等が提案された。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−32514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたイルミネーション装置の場合には、蓄電池に十分な電力が蓄えられている場合はよいが、冬期の昼間が、雨天や曇天の場合には、蓄電量が不十分であるため、日没から点灯させても、短時間で全蓄電量を放出してしまい長時間の点灯が困難であった。
特に、クリスマス期間等のイルミネーションとして使用する場合には、冬期で日照時間が短く十分な蓄電量が得られないので、所期の時間(例えば深夜12時まで)点灯させることができないという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題を解決して、光源が長寿命で省エネルギーであり、昼間が曇天や雨天であっても、夜間には長時間点灯させることのできるLEDを用いたイルミネーション装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、
請求項1に係る発明では、
第1系統の低電圧直流電源と、
第2系統の低電圧直流電源と、
前記何れか一方の低電圧直流電源からの電圧出力を切り換え選択する電源切り換え手段と、
前記電源切り換え手段にて選択された何れか一方の低電圧直流電源が供給されるLED群と、
前記LED群を所定の点灯パターンで点灯させる点灯制御手段と、
を備えたことを特徴とする低電圧電源によるLEDイルミネーション装置。
【0006】
前記第1系統の低電圧直流電源は、家庭用交流電源を所定の低電圧直流に変換するように構成され、
前記第2系統の低電圧直流電源は、ソーラーパネルから得られた電力を蓄電する蓄電手段を備え、
前記電源切り換え手段は、
前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が所定の基準電圧以上のときには、前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力を遮断して前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が前記LED群に供給され、
前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が所定の基準電圧未満になると、前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力が前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力を前記LED群に供給されるように切り換えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の低電圧電源によるLEDイルミネーション装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の低電圧電源によるLEDイルミネーション装置は、
第1系統の低電圧直流電源と、第2系統の低電圧直流電源とを備え、前記何れか一方の低電圧直流電源からの電圧出力を切り換え選択する電源切り換え手段を備えているので、何れか一方の電源が適さないときには、他方の電源に切り換えて、イルミネーション点灯を継続させることができる。
【0008】
請求項2の場合には、前記第1系統の低電圧直流電源は、家庭用交流電源を所定の低電圧直流に変換するように構成され、
前記第2系統の低電圧直流電源は、ソーラーパネルから得られた電力を蓄電する蓄電手段を備えたものであり、
前記電源切り換え手段は、
前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が所定の基準電圧未満になると、前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力が前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力を前記LED群に供給されるように切り換えるように構成されているので、蓄電量が不足する場合でも十分な時間継続してイルミネーション点灯を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は低電圧電源によるLEDイルミネーション装置の基本的なブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る低電圧電源によるLEDイルミネーション装置を実施するための形態を図1に基づいて説明する。
図1において、
10は低電圧電源によりLEDイルミネーション装置であり、以下のように構成されている。
1は例えば家庭用AC100Vを電源とする第1系統の低電圧直流電源、2はソーラーパネルと蓄電池を電源とする第2系統の低電圧直流電源である。
前記第1系統の低電圧直流電源1は、例えば家庭用AC100Vを、例えばトランス11を用いて降圧し、整流回路と平滑回路と定電圧回路12を用いて、例えばDC4.5Vの低電圧直流を出力可能に構成されている。トランス11を用いているため、低電圧直流側に触れても感電することがなく安全である。
【0011】
前記第2系統の低電圧直流電源2は、ソーラーパネル21と、例えば1.2Vのセルを3個直列に接続した蓄電池22を備えて、昼間は前記ソーラーパネル21にて得られる起電力を蓄電し、夜間には前記蓄電池22に蓄電した電力を出力可能に構成されている。
なお、前記ソーラーパネル21には逆電圧によるローラーパネルの損傷を防ぐためのツェナーダイオード23と、蓄電池22からソーラーパネル21への逆流防止用のダイオード24を備えている。
【0012】
2つの抵抗器の直列回路251によって分圧されたソーラーパネル21の起電力が、トランジスタ252のしきい値を越えたときに起電力信号V25が出力されるように構成されている。なお、前記トランジスタ252は、後述する切り換え手段3の後段に接続されているので、ソーラーパネル21の起電力が低いときであっても、蓄電池値22の電圧が低いときであっても、第1系統の低電圧直流電源1から電圧が供給されていれば、ソーラーパネル21の起電力を確実に検出することができる。
また、切り換え要求電圧検出回路26は、2つの抵抗器の直列回路R261,R262とトランジスタによって、蓄電池22の出力電圧が基準電圧未満になったときに切り換え要求信号V26が出力されるように構成され、
蓄電池保護回路27は、2つの抵抗器の直列回路R271,R272とトランジスタによって蓄電池保護信号V27が出力されるように構成され、
第1系統出力電圧検出回路14は、2つの抵抗器の直列回路とトランジスタによって第1系統出力電圧信号V14が出力されるように構成されている。
なお、2つの抵抗器の直列回路R261,R262における分圧比と、2つの抵抗器の直列回路R271,R272における分圧比は、それぞれ検出する電圧に応じて異なる分圧比に設定されている。
【0013】
3は前記2系統の低電圧直流電源1、2の何れか一方の電圧出力を選択する切り換え手段であり、前記第1系統の低電圧直流電源1からの出力をオン/オフするための出力スイッチング手段31と、前記第1系統の低電圧直流電源1側から前記第2系統の低電圧直流電源2側への逆流を防止するためのダイオード32とを備えている。
前記出力スイッチング手段31は後述する制御回路4からの制御信号C31に基づいてオン/オフ制御される。
【0014】
6は出力コネクタであり、前記切り換え手段3にて選択切り換えされた低電圧直流を、後述するLED群7に、2系統に分けて供給するために、少なくとも3つの電極を備えている。
1つの共通電極61は、前記切り換え手段3に接続され、他の2つの電極のうち一方の電極62は、第1の点滅スイッチング手段51に接続され、他方の電極63は、第2の点滅スイッチング手段52に接続されている。
【0015】
前記第1のスイッチング手段51および第2のスイッチング手段52は、例えばスイッチングトランジスタ等で構成され、後述する制御回路4からの制御信号に基づいてオン/オフ制御される。
第1のスイッチング手段51に直列接続された抵抗器R51の抵抗値は、第2のスイッチング手段52に直列接続された抵抗器R52の抵抗値より小さく設定されており、蓄電池22の電圧が例えば3.8Vの条件においては、前記一方の電極62を介して接続される青色もしは白色のLED71には例えばDC2.6V〜2.9Vが印加され、前記他方の電極63を介して接続される赤、黄、緑色のLED72には、前記LED71への印加電圧より低い電圧である例えばDC2.3V〜2.6Vが印加され、それぞれのLEDの特性に応じた適正な電圧が印加されるように設定されている。
なお、これらの印加電圧は、各色のLEDの総数等に応じて適宜設定されている。
【0016】
4は制御回路であり、
明るい昼間であるか暗い夜間であるかを検出する感光スイッチ41と、
点灯開始してから消灯するまでの点灯持続時間が予め設定されたタイマ42と、を内蔵しているとともに、
点滅パターン切り換えスイッチ43が接続され、
さらに、
前記ソーラーパネル21の起電力信号V25と、
前記蓄電池22の出力電圧に基づいた切り換え要求信号V26と、
前記蓄電池22の出力電圧に基づいた蓄電池保護信号V27と
前記第1系統出力電圧信号V14と、
が入力され、
これらの感光スイッチ41、タイマ42、点滅パターン切り換えスイッチ43,および各信号V25、V26、V27、V14に基づいて、
前記出力スイッチング手段31をオン/オフ制御する制御信号C31と、
前記第1のスイッチング手段51をオン/オフ制御する制御信号C51と、
前記第2のスイッチング手段52をオン/オフ制御する制御信号C52と、
を出力するように構成されている。
【0017】
前記制御回路4の詳細動作を以下に説明する。
まず、前記感光スイッチ41によって昼間であることが検出されると、
制御回路4は、前記2つのスイッチング手段51、52を共にオフにする制御信号を出力して、出力コネクタ6からLED群7に電力が供給されないようにして、LED群7の全てのLEDを消灯する。
このような昼間の時間帯では、ソーラーパネル21から蓄電池22に充電される。
【0018】
次に、前記感光スイッチ41によって日没になったことが検出されると、
制御回路4は、
予め点灯持続時間が設定されたタイマ42をスタートさせるとともに、
前記切り換え要求電圧検出回路26によって、蓄電池の端子電圧が切り換え要求電圧より高いことを確認して、前記2つのスイッチング手段51、52に対して、それぞれ所定の点滅パターンに基づいたオン/オフ制御信号C51,C52を出力する。
このようにして、LED群7は所定の点滅パターンで点滅するのである。
前記所定の点滅パターンは、点滅パターン切り換えスイッチ43を押すことによって順次変更することができる。
【0019】
次に、前記切り換え要求電圧検出回路26によって、前記蓄電池22の出力電圧が切り換え要求電圧より低くなったことが検出されると切り換え要求信号V26が出力されるので、制御回路4は、前記出力スイッチング手段31をオンにするように制御信号C31を出力する。
出力スイッチング手段31がオンされると、第2系統の低電圧直流電源2から第1系統の低電圧直流電源1に切り換えられてLED群7のイルミネーション点灯は継続される。
このとき、前記蓄電池22の端子電圧より高い電圧、例えばDC4.5Vが、前記切り換え手段3から出力されるようになり、前記ダイオード32には逆方向電圧が印加されることになるので、前記ダイオード32はオフ状態になり、第2系統の低電圧直流電源2から第1系統の低電圧直流電源1に切り換えられるとともに、第1系統の低電圧直流電源1から第2系統の低電圧直流電源2へ逆流することが防止され、蓄電池22の過放電も防止される。
【0020】
なお、電源プラグの抜け落ち等の理由により、前記蓄電池22の出力電圧が切り換え要求電圧より低くなっているにも関わらず、前記第1系統の低電圧直流電源1から所定の電圧が出力されない場合において、蓄電池22の出力電圧がさらに低下して、前記蓄電池保護電圧(例えば3.2V〜3.3V)よりも低くなると、蓄電池保護回路27から蓄電池保護信号V27が制御回路4に入力されるので、前記第1のスイッチング手段51および第2のスイッチング手段52は共にオフされて、蓄電池22の過放電が防止される。
【0021】
前記第1系統の低電圧直流電源1もしくは第2系統の低電圧直流電源2の何れかの電源を用いてLED群7が点灯され、タイマ42に設定された所定の点灯継続時間が経過すると、前記制御回路4は、前記第1のスイッチング手段51および第2のスイッチング手段52を共にオフして、LED群7の全てのLEDを消灯し、イルミネーションを終了する。
なお、前記感光スイッチ41に代えて、前記ソーラーパネル21の起電力の大小に基づいて、昼間か日没後の夜間であるかを判断して、充電する時間帯やイルミネーションを点灯させる時間帯を制御してもよい。また、24時間タイマーやリアルタイムクロックによって、充電する時間帯や、イルミネーションを点灯させる時間帯を制御してもよい。
【実施例1】
【0022】
実施例1においては、LED群7のLEDの総数は50個とし、ソーラーパネル21の起電力は、4.8V,70mA以上とする。
そして、青色もしは白色のLED71にはDC2.6V〜2.9Vが印加され、赤、黄、緑色のLED72には、前記LED71への印加電圧より低い電圧である例えばDC2.3V〜2.6Vが印加されるように設定されている。
【実施例2】
【0023】
実施例2においては、LED群7のLEDの総数は100個とし、ソーラーパネル21の起電力は、4.8V,93mA以上とする。
そして、青色もしは白色のLED71にはDC2.5V〜3.0Vが印加され、赤、黄、緑色のLED72には、前記LED71への印加電圧より低い電圧である例えばDC2.1V〜2.5Vが印加されるように設定されている。
【符号の説明】
【0024】
10 低電圧電源によりLEDイルミネーション装置
1 第1系統の低電圧直流電源
2 第2系統の低電圧直流電源
3 切り換え手段
4 制御回路、点灯制御手段
6 出力コネクタ
7 LED群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1系統の低電圧直流電源と、
第2系統の低電圧直流電源と、
前記何れか一方の低電圧直流電源からの電圧出力を切り換え選択する電源切り換え手段と、
前記電源切り換え手段にて選択された何れか一方の低電圧直流電源が供給されるLED群と、
前記LED群を所定の点灯パターンで点灯させる点灯制御手段と、
を備えたことを特徴とする低電圧電源によるLEDイルミネーション装置。
【請求項2】
前記第1系統の低電圧直流電源は、家庭用交流電源を所定の低電圧直流に変換するように構成され、
前記第2系統の低電圧直流電源は、ソーラーパネルから得られた電力を蓄電する蓄電手段を備え、
前記電源切り換え手段は、
前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が所定の基準電圧以上のときには、前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力を遮断して前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が前記LED群に供給され、
前記第2系統の低電圧直流電源からの電圧出力が所定の基準電圧未満になると、前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力が前記第1系統の低電圧直流電源からの電圧出力を前記LED群に供給されるように切り換えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の低電圧電源によるLEDイルミネーション装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−60443(P2011−60443A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205632(P2009−205632)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(592089755)株式会社タカショー (15)
【Fターム(参考)】