説明

住宅シミュレーションシステム

【課題】設定した住宅に対して二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかを算出することができる住宅シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】住宅の設計仕様情報を有する設計仕様ファイルと建材毎に所定単位あたりの環境影響値のデータを有する建材ファイルとを記憶するデータベースと、住宅の設計仕様を設定する住宅設計仕様設定部と、建材を設定する建材設定部と、該住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、該建材設定部により設定された建材と、該データベースの情報とに基づき、住宅の環境影響値を算出する演算部とを備え、該環境影響値を、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかとする住宅シミュレーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅のシミュレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識が高まっており、企業においては二酸化炭素の排出を抑制するために、工場や製品の生産ラインを見直すことが行われている。
【0003】
二酸化炭素の吸収、固定という点では、木は二酸化炭素を吸収することができる。そして、木は、伐採されて木材となり、住宅を建設する際に使用する柱、梁、土台、外壁材、内壁材、屋根材等の建材の原料として使用されることがある。この場合、木材に吸収された二酸化炭素は建材の中に固定されており、二酸化炭素を固定する手段として有効である。
また、木材でも間伐材を使用して製造される建材がある。例えば、特許文献1には、間伐材を用いて外壁材を製造する方法が開示されており、このような建材を用いて住宅を施工すると、間伐材を有効利用できるとともに、間伐材に吸収され、大気に放出されない二酸化炭素を建材の中に固定することになり、間伐された森林では木の成長が促進され、二酸化炭素の吸収量が増える。
一方、木材を全く使用しない建材がある。例えば、特許文献2には、軽量気泡コンクリート板が開示されているが、該軽量気泡コンクリート板は、珪酸質原料と石灰質原料とを主原料とする原料スラリーを成型用型枠に打設した後に、オートクレーブ養生することにより製造されており、木材を含有していないので二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量はゼロである。
このように、木材を含むか否かにより、建材の二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量は大きく異なる。また、建材は、原料の搬送距離や製造過程等により、カーボン・フットプリントも大きく異なる。
【0004】
しかし、住宅を選定するにあたり、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントなどが考慮されることは行われておらず、設計図面を作成し、間取り、屋根の形状、窓などの開口部の位置を決定した後、様々な形状、寸法、模様、柄、色調を有する建材を複数配列して内壁、外壁のデザインを構築するに停まる。
【0005】
例えば、特許文献3には、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションをネットワークで接続されたサーバ−クライアント間で実現するシステムが開示されている。このシステムによれば、クライアント装置を用いて、サーバ装置からシミュレーションに必要な建材画像等のデータを取得し、クライアント装置に予め保持している家屋画像データなどに貼り付けることにより、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションを行うことができるが、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントなどを算出、考慮することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−325052号公報
【特許文献2】特開2009−96665号公報
【特許文献3】特開2002−41879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、従来より、外観を考慮して建材を決定することが行われてはいるものの、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットを考慮して住宅を決定することは行われていない。
【0008】
本発明は、設定した住宅に対して二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかを算出することができる住宅シミュレーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくともデータベースと、住宅設計仕様設定部と、建材設定部と、演算部とを備えた住宅シミュレーションシステムを提供するものである。データベースは、住宅の設計仕様情報を有する設計仕様ファイルと、建材情報を有する建材ファイルとを記憶する。なお、建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりの環境影響値のデータを有している。住宅設計仕様設定部は、住宅の設計仕様を設定する。建材設定部は、建材を設定する。演算部は、住宅の環境影響値を算出する。詳しくは、演算部は、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、建材設定部により設定された建材と、データベースの情報とに基づき、該住宅の環境影響値を算出する。なお、本発明の住宅シミュレーションシステムは、環境影響値を、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかとしている。これにより、顧客は、設定した住宅による環境への貢献度を数値として把握することができる。また、住宅を決定する際に、環境への貢献度を考慮することができる。
【0010】
また、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材設定部は、更に、設定された住宅の設計仕様に適用する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選定した建材を設定された建材と決定することもできる。具体的には、設計仕様ファイルに設計仕様毎に適用可能な建材のデータを含ませて、適用可能な建材のみを選択できるようにしても良いし、建材ファイルに建材毎に適用可能な設計仕様のデータを含ませて、住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様に対応可能な建材のみを選択できるようにしても良い。これにより、顧客が施工できない建材を選択してしまうことを防ぐことができる。設計仕様ファイルは、設計仕様毎に適用可能な建材の必要量のデータを有する、又は、建材ファイルは、建材毎に適用可能な設計仕様における必要量のデータを有すると、住宅の環境影響値の算出がスムーズとなるので好ましい。
【0011】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材ファイルは、建材毎に、商品名、寸法、形状、イメージデータを有しても良い。これにより、顧客は、建材の情報をより詳しく把握した上で選択を行うことができる。
【0012】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムは、自己活動設定部と、二酸化炭素排出ファイルも備えていることが好ましい。自己活動設定部は、顧客の自己活動を設定し、二酸化炭素排出ファイルは、人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出データを有する。二酸化炭素排出ファイルはデータベースに記憶されており、演算部は、自己活動設定部により設定された顧客の自己活動に関するデータと、該二酸化炭素排出ファイルとに基づき二酸化炭素排出量を算出することができるようにしても良い。これにより、顧客は、自己活動による二酸化炭素排出量を把握し、明確な目標値を設定することができるので、好ましい。
また、この場合には、演算部により算出された、二酸化炭素排出量と、住宅の環境影響値とを比較する比較部を備えると、顧客は、自己活動により排出される二酸化炭素量と、設定した住宅による環境値を比較した結果を知ることができるので、より好ましい。比較部は、選定した住宅による二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットが、自己活動により排出される二酸化炭素量よりも少ない場合には、再度、住宅の設計仕様や建材の設定を決め直すような機能を設けても良い。
更に、住宅による二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットが、自己活動により排出される二酸化炭素量よりも多く設定したい場合には、演算部は、算出された二酸化炭素排出量と、設定された住宅の設計仕様とから、1建材あたりに必要な環境影響値を算出し、建材設定部は、該演算部により算出された、1建材あたりに必要な環境影響値に適用する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選定した建材を設定された建材と決定することができるようにしても良い。これにより、設定した住宅による二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットが、自己活動により排出される二酸化炭素量よりも少なくなることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定した住宅に対して二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかを算出することができる住宅シミュレーションシステムを提供することができる。このシステムにより、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットの多い、又は、カーボン・フットプリントの少ない、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のシミュレーションシステムの一実施形態について、そのシステム構成例を概略的に示す図である。
【図2】図1に示すサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示すサーバ装置のデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【図4】図1に示す顧客所有の、あるいは工務店、設計事業者、ショールーム等に設置された各クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図5】顧客等がクライアント装置から本システムを利用して住宅のシミュレーションを行う際の処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図6】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例を示す図である。
【図7】建材の設定を行う画面の例を示す図である。
【図8】顧客が必要数量を入力する実施形態における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図9】住宅の設計仕様の設定を行う画面の例を示す図である。
【図10】建材の必要数量の入力を行う画面の例を示す図である。
【図11】設計仕様をアップロードし、アップロードされた設計仕様に対して建材を設定する実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図12】図11に示すサーバ装置のデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【図13】設計仕様をアップロードし、アップロードされた設計仕様に対して建材を設定する実施形態における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図14】顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図15】顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する実施形態における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図16】自己活動を設定する画面の例を示す図である。
【図17】顧客の自己活動による二酸化炭素排出量から適用可能な建材を選定する実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図18】顧客の自己活動による二酸化炭素排出量から適用可能な建材を選定する実施形態における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図19】設定された住宅のイメージ図を作成する実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図20】設定された住宅のイメージ図を作成する実施形態における処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図21】建材を設定する画面の例を示す図である。
【図22】建材を設定する画面の例を示す図である。
【図23】住宅の施工イメージ図の例を示す図である。
【図24】住宅の施工イメージ図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の住宅シミュレーションシステムを実施するための形態を説明する。図1〜図24は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0016】
図1は、本発明の住宅シミュレーションシステムの一実施形態について、そのシステム構成例を概略的に示す図である。図1において、本実施形態のシステムは、住宅メーカー、建材メーカーに設置されたサーバ装置及びデータベースと、顧客あるいは工務店や設計事業者等又はこれら事業者のショールームに設置されたクライアント装置と、該サーバ装置と該クライアント装置を接続するネットワークとから構成されている。
【0017】
サーバ装置と各クライアント装置とは、ネットワークを通じて通信可能なサーバ−クライアントシステムを構成している。サーバ装置及び各クライアント装置間それぞれの機能については、データベース層、ファンクション層(アプリケーションサーバ)、プレゼンテーション層(ユーザインターフェイス)からなる3層構造とするのが好ましい。この場合、サーバ装置においてデータベース及びアプリケーションサーバを備えるとともに、クライアント装置ではユーザインターフェイス(WEBブラウザ等)のみを備えるように構成することができる。
【0018】
図2は、図1に示すサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。サーバ装置は、主制御部200と、記憶部201と、ネットワークインターフェイス部202と、住宅設計仕様設定部203と、建材設定部204と、演算部205と、データベース220とから構成されている。そして、データベース220は、設計仕様ファイル221と、建材ファイル222と、演算結果ファイル223と、RDBMS230とから構成されている。
【0019】
サーバ装置の主制御部200は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本サーバ装置内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0020】
記憶部201は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部200の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部200の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0021】
ネットワークインターフェイス部202は、ネットワークを通じてクライアント装置との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0022】
住宅設計仕様設定部203は、設計仕様ファイル221に含まれる住宅の設計仕様の中から、顧客の住宅の設計仕様又は顧客の要望にあった住宅の設計仕様を設定する。尚、住宅設計仕様設定部203は、サーバ装置上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0023】
建材設定部204は、建材ファイル222に含まれる建材商品の中から、建材商品を設定する。また、建材設定部204は、設計仕様ファイル221に含まれる住宅の設計仕様データ、建材ファイル222に含まれる建材商品の用途データ及び性能データに基づいて、対象である住宅に適用した建材商品の選定も行う。尚、建材設定部204は、サーバ装置上で動作するプログラムとして実装されているものである。
【0024】
演算部205は、顧客が選定した住宅の設計仕様と、建材と、建材ファイル222に含まれる建材商品の情報とに基づき、該住宅の二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかを算出する。その具体的な機能については、後に詳細に説明する。
【0025】
RDBMS230は、データベース220を操作するための基本的なデータベース管理システム(Relational Database Management System)であり、主制御部200はRDBMS230に命令することにより、各ファイル221〜223に対して、データの検索、追加、更新、削除等の所定の操作を行うことができるようになっている。
【0026】
図3は、データベース220内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。データベース220の設計仕様ファイル221は、設計仕様データ、CADデータ等で構成された設計図面データや、設計基礎データなどを保持している。なお、設計仕様データは、設計仕様毎に適用可能な建材商品コードとその数量を含み、建材ファイル222とリレーションしている。
【0027】
建材ファイル222は、各建材について、商品コード、商品名、寸法・形状、価格、防耐火性能、耐震性能、イメージデータ、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、間伐材含有量、間伐材の産地、用途データ、性能データなどを保持している。本実施形態において、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントは、建材毎に、所定の単位あたりの数量、例えば、一枚あたり、mあたりなどのデータで含まれている。用途データは、各建材商品を使用用途に基づいて分類し、グループ化し、あるいは関連付けるためのデータである。具体的には、同一の使用用途に属する建材商品には、共通するコードを割り当てておくなどする。例えば、柱として使用する建材には、柱として使用可能であることを示すコードを割り当てる。他に、梁、外壁材、内壁材、断熱材などの建材があるが、それぞれ別のコードを割り当てる。なお、外壁材や内壁材のどちらでも使用可能な商品もあるので、一つの建材に複数のコードが割り当てられることもある。また、性能データは、各建材商品をその耐震性能、耐火性能等に基づいて分類し、グループ化し、あるいは関連付けるためのデータである。具体的には、耐火等級を満たすために必要な建材商品群は指定されているので、それらに共通するコードを割り当てるようにすればよい。
【0028】
演算結果ファイル223は、演算部205により算出された二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントを保持している。また、演算で用いられた設計仕様の設計仕様コードと建材の建材商品コードとを含んでおり、設計仕様ファイル221、建材ファイル222とリレーションしている。
【0029】
図4は、図1に示す各クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。クライアント装置は、主制御部400と、記憶部401と、表示部402と、入力部403と、ネットワークインターフェイス部404と、ユーザインターフェイス部405とから構成されている。
【0030】
クライアント装置の主制御部400は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本クライアント装置内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0031】
記憶部401は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部400の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部400の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0032】
表示部402は、モニタ装置やスピーカ等から構成されるものであり、映像及び音声による情報をクライアント装置の操作者に表示する。入力部403は、本クライアント装置に対する操作者からの入力操作を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びマウスを含んでいる。
【0033】
ネットワークインターフェイス部404は、ネットワークを通じてクライアント装置との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0034】
ユーザインターフェイス部405は、サーバ装置において実現される各種サービスをユーザに提供する機能(クライアント−サーバシステムにおけるプレゼンテーション層の機能)を備えている。具体的には、ネットワークを通じてサーバ装置から受信した各種データや情報を所定の形式で、表示部402等を介してユーザに表示し、あるいは記憶部401に記憶させ、また、ユーザが入力部403から入力した各種データや情報をサーバ装置に送信する機能を有するプログラム等として実装することができる。一般的には、WEBブラウザ等のプログラムが用いられることが多いが、本実施形態のシステムでは、施工シミュレーションを行うために図形処理等のプラグインソフトなどを必要に応じてWEBブラウザ等に追加したものを用いるのが好ましい。
【0035】
次に、上記のように構成された本実施形態の住宅シミュレーションシステムの利用形態とクライアント装置及びサーバ装置の動作について詳細に説明する。図5は、顧客等がクライアント装置から本システムを利用して住宅のシミュレーションを行う際の処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0036】
本実施形態では、まず、住宅の設計仕様を設定する(ステップS11)。図6は、この実施形態における住宅の設計仕様の設定を行う画面の例であり、住宅設計仕様設定部203により表示されるので、顧客は、住宅の設計仕様を選定する。図6の画面では、縦軸に住宅の設計仕様、横軸に住宅の建物面積(延べ床面積)を配した表が表示されているので、顧客は、要望する設計仕様、建物面積が交差した箇所をクリックすることにより、建物面積を含む住宅の設計仕様を選定することができる。図6では、木造住宅で建物面積30坪が選定されており、木造住宅の縦軸と建物面積30坪の横軸が交差した箇所が黒印で示されている。そして、顧客により選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部203により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。
【0037】
次に、建材設定部204により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定される(ステップS12)。データベース220の設計仕様ファイル221の設計仕様データには、設計仕様毎に適用可能な建材商品コードとその数量を含むので、建材設定部204は、データベース220の設計仕様ファイル221から、設定された住宅の設計仕様に関する設計仕様データを取得し、そこに含まれている適用可能な建材商品コードを適用可能な建材として、サーバ装置の記憶部202に記憶する。なお、設計仕様ファイル221には、必要な数量に関するデータも含むので、これらの情報も記憶部202に記憶される。
【0038】
ステップS12の処理を終えると、次に、建材を設定する(ステップS13)。図7は、この実施形態における建材の設定を行う画面の例であり、ステップS12で適用可能と記憶された建材のみが、建材設定部204により表示されるので、顧客は、建材を選定する。図7の画面では、顧客は、まず、表の左端にある用途分類で選定しようとしている建材を抽出する。このシステムでは、建材ファイル222は用途データを含むので、用途データを用いることにより、建材を用途毎に分類することが容易であり、セルの右上端にある下三角をクリックすると、用途の一覧が表示されるので、顧客は選定しようとする建材を用途別に抽出することができる。図7では、表の左端にあるセルの右上端をクリックすると、柱、外壁、屋根、内壁等の分類リストが表示されるので、一番上のセルでは、柱を、その下のセルでは外壁を選択している。そして、それらのセルの右には、商品名、価格、CO2固定量、CO2吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、詳細情報等を表示するセルが列記されているが、これらのセルは全て表の左端の用途分類のセルに連動している。すなわち、行は用途分類のセルに連動している。そのため、一番上の行では、用途分類で柱を選択しているので、商品名には柱として用いることが可能な建材しか表示されない。そして、価格、CO2固定量、CO2吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリント、詳細情報等は選択された商品名に連動し、商品名で選択された商品の情報を表示する。なお、詳細情報では、その商品についてより詳しい情報を閲覧することができる。そして、顧客により選定された建材は、建材設定部204により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。
【0039】
ステップS13の処理を終えると、演算部205により選択された住宅の環境影響値が算出される(ステップS14)。具体的には、記憶部202には、住宅設計仕様設定部203により設定された住宅の設計仕様と、それに必要な建材及びその数量のデータと、建材設定部204により設定された建材のデータが保持されているので、演算部205では、これらのデータを用いて住宅の環境影響値が算出される。より具体的には、設定された建材毎に、各建材の環境影響値に、各建材の必要数量が乗算され、その乗算結果が集計されて、住宅の環境影響値となる。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの個々に対して行われる。算出された結果は、演算結果ファイル223に記憶される。
【0040】
これらの処理が完了すると、クライアント装置の表示部402には、住宅の環境影響値が表示される。顧客は、このようにして算出した住宅の環境影響値の結果を自身のクライアント装置に保存したり、印刷したりすることができる。
【0041】
本発明の住宅シミュレーションシステムのさらなる実施形態として、設計仕様ファイル221に予め建材の必要数量を保持させておくのではなく、顧客が必要数量を入力する形態とすることもできる。その場合の処理の流れを概略的に示すフローチャートを図8に示す。
【0042】
本実施形態でも、まず、住宅の設計仕様を設定する(ステップS21)。本実施形態における、住宅の設計仕様の設定を行う画面の例を図9に示すが、非常に簡素化することができる。なお、住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部203により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部203により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。
【0043】
次に、建材設定部204により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定され(ステップS22)、ステップS22の処理を終えると、建材を設定する(ステップS23)。建材を設定する画面は、建材設定部204により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部204により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、建材を設定する画面としては、図7を用いることができる。
【0044】
そして、ステップS23の処理を終えると、建材設定部204により設定された建材に対し、必要数量を入力する画面が表示されるので、顧客は、各建材に対して必要数量を入力する(ステップS24)。図10は、この実施形態における建材の必要数量の入力を行う画面の例であり、各建材に対して必要数量を入力する。なお、図7において、建材の必要数量を入力する列を設け、そこに必要な数量を入力させることも可能である。
【0045】
ステップS24の処理を終えると、演算部205により選択された住宅の環境影響値が算出される(ステップS25)。住宅の環境影響値の算出は、設定された建材毎に、各建材の環境影響値に、入力された各建材の必要数量が乗算され、その乗算結果が集計されて、住宅の環境影響値となる。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの個々に対して行われる。算出された結果は、演算結果ファイル223に記憶される。
【0046】
本発明の住宅シミュレーションシステムのさらなる実施形態として、顧客は設計仕様をアップロードし、アップロードされた設計仕様に対して建材を設定し、住宅の環境影響値を算出することもできる。この実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図を図11に、データベース220内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図を図12に、処理の流れを概略的に示すフローチャートを図13に示す。
【0047】
本実施形態では、図11に示すように、データベース220は顧客情報ファイル224を備える。顧客情報ファイル224は、図12に示すように、顧客の基本的な属性に関する情報、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、施工予定、宅地の種類などを含んでいる。尚、工務店、設計業者等が顧客の窓口となっている場合には、顧客の連絡先等は工務店、設計業者等の連絡先等に置き換えてもよい。そして、この実施形態では、図12に示すように、設計仕様ファイル221は、CADデータ等で構成された設計図面データや、設計仕様データ、設計基礎データなどを、その施主である顧客の顧客コードとともに保持しており、顧客情報ファイル224とリレーションしている。
【0048】
本実施形態では、まず、クライアント装置からサーバ装置に、顧客の設計仕様データをアップロードする(ステップS31)。
【0049】
次に、建材を設定する(ステップS32)。建材を設定する画面は、建材設定部204により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部204により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、建材を設定する画面としては、図7を用いることができる。
【0050】
そして、ステップS32の処理を終えると、建材設定部204により設定された建材に対し、必要数量を入力する画面が表示されるので、顧客は、各建材に対して必要数量を入力する(ステップS33)。建材の必要数量を入力する画面としては、図10をもちいることができるし、図7において、建材の必要数量を入力する列を設け、そこに必要な数量を入力させることも可能である。
【0051】
ステップS33の処理を終えると、演算部205により選択された住宅の環境影響値が算出される(ステップS34)。住宅の環境影響値の算出は、設定された建材毎に、各建材の環境影響値に、入力された各建材の必要数量が乗算され、その乗算結果が集計されて、住宅の環境影響値となる。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの個々に対して行われる。算出された結果は、顧客コードとともに演算結果ファイル223に記憶される。
【0052】
本発明の住宅シミュレーションシステムのさらなる実施態様として、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出する機能を備えることもできる。この実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図を図14に、処理の流れを概略的に示すフローチャートを図15に、この実施形態における自己活動を設定する画面の例を図16に示す。
【0053】
本実施形態では、図14に示すように、サーバ装置に自己活動設定部206と比較部207を備え、データベース220に二酸化炭素排出ファイル225を備える。自己活動設定部206は、顧客の自己活動を設定するものであり、比較部207は、自己活動による二酸化炭素排出量と設定された住宅の環境影響値を比較し、条件を満たさなければ再度住宅の設計仕様の設定を行うようにするものであり、サーバ装置上で動作するプログラムとして実装されている。二酸化炭素排出ファイル225は、人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出データを含んでいる。
【0054】
本実施形態では、まず、顧客は自己活動を設定する(ステップS41)。図16は、この実施形態における自己活動を設定する画面の例であり、顧客が家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量を入力する。なお、図16では、入力にあたり、参考となるデータを参照するために、参照ボタンが設けられている。また、図16では、家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量が入力されると、入力データと二酸化炭素排出ファイル225のデータに基づき、演算部205が二酸化炭素排出量を算出するように設けてある(ステップS42)。算出された二酸化炭素排出量は、自己活動設定部206により、本シミュレーションにおける顧客の自己活動による二酸化炭素排出量として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。
【0055】
ステップS42の処理を終えると、次に、住宅の設計仕様を設定する(ステップS43)。住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部203により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部203により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、住宅の設計仕様を設定する画面としては、図6に示す画面を用いることができる。
【0056】
ステップS43の処理を終えると、建材設定部204により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が設定される(ステップS44)。そして、ステップS44の処理を終えると、次に、建材を設定する(ステップS45)。建材を設定する画面は、建材設定部204により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部204により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、建材を設定する画面としては、図7を用いることができる。
【0057】
ステップS45の処理を終えると、演算部205により設定された住宅の環境影響値が算出される(ステップS46)。住宅の環境影響値の算出は、設定された建材毎に、各建材の環境影響値に、入力された各建材の必要数量が乗算され、その乗算結果が集計されて、住宅の環境影響値となる。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの個々に対して行われる。
【0058】
ステップS46の処理を終えると、比較部207により、算出された二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットの少なくともいずれかと、自己活動による二酸化炭素排出量が比較される(ステップS47)。そして、選定した住宅による二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットが、自己活動により排出される二酸化炭素排出量よりも少ない場合には、再度、ステップ43に戻り、住宅の設計仕様から設定を行う。
【0059】
本発明の住宅シミュレーションシステムのさらなる実施態様として、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量により、適用可能な建材を選定する機能を備えることもできる。この実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図を図17に、処理の流れを概略的に示すフローチャートを図18に示す。
【0060】
本実施形態では、図17に示すように、サーバ装置に自己活動設定部206を備えるが、比較部207を備えていない。
【0061】
本実施形態では、まず、自己活動を設定し(ステップS51)、演算部205により自己活動による二酸化炭素排出量を算出する(ステップS52)。自己活動を設定する画面は、自己活動設定部206により表示されるので、顧客は自己活動のデータを入力する。自己活動を設定する画面の例としては、図16を用いることができ、入力データと二酸化炭素排出ファイル225のデータに基づき、演算部205が二酸化炭素排出量を算出する。算出された二酸化炭素排出量は、自己活動設定部206により、本シミュレーションにおける顧客の自己活動による二酸化炭素排出量として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。
【0062】
ステップS52の処理を終えると、住宅の設計仕様を設定する(ステップS53)。住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部203により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部203により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、住宅の設計仕様を設定する画面としては、図6に示す画面を用いることができる。
【0063】
次に、演算部205により、先に算出された自己活動による二酸化炭素排出量と、設計仕様ファイル221の設計仕様データに基づき、1建材当たりに必要な二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットが算出される(ステップS54)。そして、ステップS53で設定された住宅の設計仕様に適用可能であり、ステップS54で算出された1建材当たりに必要な二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットを満たす建材が、建材設定部204により選定される(ステップS55)。
【0064】
ステップS55の処理を終えると、次に建材を設定する(ステップS45)。建材を設定する画面は、建材設定部204により表示されるので、顧客は、建材を選定する。顧客により選定された建材は、建材設定部204により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、建材を設定する画面としては、図7を用いることができるが、表示される建材は、ステップS55で選定された建材のみである。
【0065】
本発明の住宅シミュレーションシステムのさらなる実施態様として、設定された住宅のイメージ図を作成する機能を備えることもできる。この実施形態におけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図を図19に、処理の流れを概略的に示すフローチャートを図20に示す。
【0066】
本実施形態では、図19に示すように、サーバ装置に施工イメージ作成部208を備える。施工イメージ作成部208は、データベース220に記憶されている設計仕様ファイル221及び建材ファイル222のデータをを用いて施工シミュレーションを行う機能をクライアント装置に対して提供する。
【0067】
本実施形態でも、まず、住宅の設計仕様を設定する(ステップS61)。住宅の設計仕様を設定する画面は、住宅設計仕様設定部203により表示されるので、顧客は住宅の設計仕様を選定する。選定された住宅の設計仕様は、住宅設計仕様設定部203により、本シミュレーションにおける住宅の設計仕様として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。なお、住宅の設計仕様を設定する画面としては、図6に示す画面を用いることができる。
【0068】
次に、建材設定部204により、先に設定された住宅の設計仕様に適用可能な建材が選定され(ステップS62)、次に、建材を設定する(ステップS63)。本実施形態では、施工イメージ作成部により施工イメージを作成することができるので、建材を設定する画面としては、図21、22に示すような、建材の施工される位置を確認しながら設定することができる画面を用いることができる。なお、図21は通し柱を選定する画面であり、左には構造躯体の図が、右には適用可能な柱材が表示されており、左の構造躯体図においては、設定しようとしている柱材の箇所がどこであるか判別可能なように斜線で示されており、設定しようとする柱材が住宅のどこに施工されるものか確認しながら設定することができる。また、各柱材については、商品画像、価格、寸法、材料、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの情報が表示されるので、顧客は情報を参照しながら建材を選定することができる。更に、各柱材の商品情報欄には、詳細情報のボタンが設けてあり、クリックすると、その柱材について、より詳しい情報が表示されるように設定されている。なお、選択した柱材の画像を左の構造躯体図に反映させるようにすることも可能である。図22は、住宅の2階部分の外壁として施工する外壁材を設定する画面であり、左には住宅図が、右には適用可能な外壁材が表示されており、左の住宅図においては、設定しようとしている外壁材の箇所がどこであるか判別可能なように斜線で示されており、設定しようとする外壁材が住宅のどこに施工されるものか確認しながら設定することができる。なお、図22についても、図21と同様に、各外壁材の商品情報欄が設けてあり、情報を参照しながら外壁材を選定することができる。また、選択した外壁材の画像を左の住宅図に反映させることもできる。顧客により選定された建材は、建材設定部204により、本シミュレーションにおける建材として設定され、サーバ装置の記憶部202に記憶される。
【0069】
ステップS63の処理を終えると、演算部205により設定された住宅の環境影響値が算出される(ステップS64)。住宅の環境影響値の算出は、設定された建材毎に、各建材の環境影響値に、各建材の必要数量が乗算され、その乗算結果が集計されて、住宅の環境影響値となる。この算出は、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの個々に対して行われ、演算結果ファイル223に記憶される。
【0070】
ステップS64の処理を終えると、施工イメージ作成部208により、設定された住宅の設計仕様と建材により、住宅の施工イメージ図が作成される(ステップS65)。住宅の施工イメージ図の例を図23、24に示す。そのため、顧客は、施工イメージ図と二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかを参照して、住宅を決めることができる。この住宅の施工イメージデータも演算結果とともに演算結果ファイル223に記憶される。
【0071】
以上、本発明の住宅シミュレーションシステムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、設定した住宅に対して二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかを算出することができる住宅シミュレーションシステムを提供することができる。このシステムにより、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットの多い、又は、カーボン・フットプリントの少ない、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。
【符号の説明】
【0073】
200 主制御部
201 記憶部
202 ネットワークインターフェイス部
203 住宅設計仕様選定部
204 建材設定部
205 演算部
206 自己活動設定部
207 比較部
208 施工イメージ作成部
220 データベース
221 設計仕様ファイル
222 建材ファイル
223 演算結果ファイル
224 顧客情報ファイル
225 二酸化炭素排出ファイル
400 主制御部
401 記憶部
402 表示部
403 入力部
404 ネットワークインターフェイス部
405 ユーザインターフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の設計仕様情報を有する設計仕様ファイルと、建材情報を有する建材ファイルとを記憶するデータベースと、
住宅の設計仕様を設定する住宅設計仕様設定部と、
建材を設定する建材設定部と、
住宅の環境影響値を算出する演算部とを備え、
更に、前記建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりの環境影響値のデータを有し、
前記演算部は、前記住宅設計仕様設定部により設定された住宅の設計仕様と、前記建材設定部により設定された建材と、前記データベースの情報とに基づき、該住宅の環境影響値を算出し、
前記環境影響値を、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジット、カーボン・フットプリントの少なくともいずれかとする
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記設計仕様ファイルは、設計仕様毎に適用可能な建材のデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
更に、前記設計仕様ファイルは、設計仕様毎に適用可能な建材の必要量のデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に適用可能な設計仕様のデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に適用可能な設計仕様における必要量のデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材設定部は、設定された住宅の設計仕様に適用する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選定した建材を設定された建材と決定する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に商品名、寸法、形状、イメージデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の住宅シミュレーションシステムであって、
更に、顧客の自己活動を設定する自己活動設定部と、
人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出データを有する二酸化炭素排出ファイルとを備え、
前記二酸化炭素排出ファイルはデータベースに記憶されており、
前記演算部は、前記自己活動設定部により設定された顧客の自己活動に関する情報と、前記二酸化炭素排出ファイルとに基づき二酸化炭素排出量を算出する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
更に、前記演算部により算出された、二酸化炭素排出量と、住宅の環境影響値とを比較する比較部を備える
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部は、算出された二酸化炭素排出量と、設定された住宅の設計仕様とから、1建材あたりに必要な環境影響値を算出し、
前記建材設定部は、前記演算部により算出された、1建材あたりに必要な環境影響値に適用する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選定した建材を設定された建材と決定し、
環境影響値を、二酸化炭素固定量、二酸化炭素吸収量、カーボン・クレジットのいずれかとする
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−137996(P2012−137996A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290782(P2010−290782)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】