説明

住宅用フェンスの採光パネル及びこれを用いた住宅用採光フェンス

【課題】 採光パネルの太陽光屈折によって、ブロック塀等の起立仕切体の背面に生じる日陰を縮小乃至解消する住宅用フェンスを提供する。
【解決手段】 面内上方の弱屈折率の太陽光屈折面群11と、面内下端の強屈折率の太陽光屈折面群15を有する採光パネル10を用いて、その上下位間に通風空間21を配置してルーバーフェンスを形成し、強屈折率の太陽光屈折面群15の太陽光を、下位の採光パネル10における横桟20を避けた面内上方に屈折供給して、その弱屈折率の太陽光屈折面群11によって起立仕切体Bの背面地表に供給するようにして、該背面地表への太陽光供給のロスを極小化して、太陽光供給を有効に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅用フェンスの採光パネルに関し、また、これを用いた住宅用採光フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の住宅用フェンスの採光パネルとして、本発明者らは、起立仕切体に設置してその上方を覆うことによって該起立仕切体の背面地表に太陽の屈折光供給領域と、その外側に位置して採光パネル上を通過する直射光照射の領域との間に生じる明暗差を生じる透過光供給領域に対して太陽光を屈折供給するようにしたものを提案済であり、これによれば、該採光パネルは、これを、屈折率を共通とした太陽光屈折用の多数の帯状屈折面よりなる太陽光屈折面群を備えたものとしてあり、このとき、採光パネルは、例えば、該太陽光屈折面群を、その各帯状屈折面上に帯幅を1mm以上5mm以下とした光透過細帯面を備えて形成するとともに上記帯状屈折面と該光透過細帯面の合計帯幅を2mm以上20mm未満として、アクリル、ポリカーボネート等の高耐候性透明樹脂を押出成形した合成樹脂押出板によって形成したものとしてあり、該太陽光屈折面群の上記帯状屈折面によって上記背面地表の上記屈折光供給領域に太陽光を、また、光透過細帯面によって、該屈折光供給領域との間の上記明暗差を解消するように透過光供給領域に屈折供給する一方、細帯の光透過細帯面を用いたことによって、該光透過細帯面の視線を遮断して、該透光パネル乃至これを用いたフェンスに目隠し機能を付与したものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2009−170438号出願
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、例えば、該採光パネルを起立仕切体に直立するように配置して住宅用フェンスを形成すれば、起立仕切体背面の日陰の領域に対して太陽光を供給して該日陰の発生を可及的に縮小乃至解消し、また、該領域と採光パネル上を通過する直射光照射の領域との間に生じる明暗差を解消して、起立仕切体背面に太陽光を可及的均一に供給することによって、日陰の発生による景観や植物生育への影響を可及的に解消するとともに光透過細帯面の視線遮断の目隠し機能によって、日陰対応と目隠し対応の双方をなし得るようにしたフェンスとすることができる。
【0005】
しかし乍ら、採光パネルによってフェンスを形成する場合、上記のように採光パネルを直立した常法配置の場合に加えて、採光パネルを、その上下位間に上下端前後離隔の通風空間を形成するように傾斜配置したルーバーフェンスとする場合があり、前者の場合に特段の問題はないが、後者のルーバーフェンスとする場合、通風空間を形成するために採光パネルを傾斜配置することによって、その配置形態によっては、太陽の位置に向って上下位の採光パネルの下方部位と上方部位が重なることがあり、このような太陽に対する重なり部分が生じると、この種の採光パネルは、一般にその上下端に上下横桟を介してフェンスの縦枠に固定するものとされるため、上位の採光パネルにおける下方部位に入射した太陽光は、下位の採光パネルにおける上横桟に向って屈折するようになることも多く、上横桟に向かう太陽光は、この上横桟によって反射乃至拡散する結果、太陽光供給領域に達することができず、従って、該ルーバーフェンスにあっては、起立仕切体背面地表の太陽光供給領域に対する太陽光の供給にロスを生じるに至り、この点の改良が求められることになる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、上記直立した常法配置の形態、傾斜配置したルーバー配置の形態の如何を問わずに、採光パネルによる太陽光供給のロスを解消して、起立仕切体背面地表の太陽光供給領域に対する太陽光の供給を可及的確実且つ充分になし得るようにした住宅用フェンスの採光パネルを提供するにあり、また、該採光パネルを用いた住宅用フェンスを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って、本発明は、上記太陽光屈折面群を、強弱の異なる屈折率を有するそれぞれ太陽光屈折用多数の帯状屈折面によって形成した複数群、例えば2群とし、このうち弱屈折率の太陽光屈折面群を採光パネル面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方又は下端に配置することによって、直立した常法配置の形態にあっては、該弱屈折率の太陽光屈折面群によって起立仕切体背面地表の太陽光供給領域に対して前後幅広に太陽光の供給を行なうようにする一方、ルーバー配置の形態にあっては、同じく弱屈折率の太陽光屈折面群によって該太陽光供給領域に対して太陽光を供給するとともに採光パネルにおける面内下方又は下端に位置する強屈折率の太陽光屈折面群に対する太陽光を、下位の採光パネルにおける上横桟を避けた、その面内上方における弱屈折率の太陽光屈折面群に向けて下向き屈折し、該弱屈折率の太陽光屈折面群によって再度屈折して同様に太陽光供給領域に供給するようにすることによって、上記直立した常法配置の形態、傾斜配置したルーバー配置の形態のいずれの場合にも、採光パネルによる太陽光供給のロスなく、太陽光供給領域に対する太陽光の供給を可及的確実且つ充分になし得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、起立仕切体上に設置してその上方を覆うことによって太陽光を下向きに屈折して起立仕切体の背面地表に向けて太陽光を供給するように用いる採光パネルであって、屈折率を異にしてそれぞれ太陽光屈折用の多数の帯状屈折面よりなる強弱異屈折率の太陽光屈折面群を備え且つ弱屈折率の太陽光屈折面群を面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方又は下端に配置してなることを特徴とする住宅用フェンスの採光パネルとしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、太陽光供給領域に太陽光を供給する弱屈折率の太陽光屈折面群に、その帯状屈折面に加えて、上記太陽光供給領域の外側に位置してこれとの間で明暗差を生じる透過光供給領域に対して太陽光を供給する光透過細帯面を配置するとともに該光透過細帯面と上記帯状屈折面を可及的に細幅に構成し、光透過細帯面の視線遮断による目隠し機能と帯状屈折面の太陽光屈折を可及的に有効になし得るものとするように、これを、上記弱屈折率の太陽光屈折面群を、その各帯状屈折面上に帯幅を1mm以上5mm以下とした光透過細帯面を備えて形成するとともに上記帯状屈折面と該光透過細帯面の合計帯幅を2mm以上20mm未満としてなることを特徴とする請求項1に記載の住宅用フェンスの採光パネルとしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、採光パネルをルーバー配置の形態として、上位の採光パネルに入射した太陽光を、下位の採光フェンスの太陽光屈折面群に供給して、太陽光供給領域に対する太陽光の供給を2回屈折によってロスを極小化したルーバー配置用のものとするように、これを、上記採光パネルをその上下位間に上下端前後離隔の通風空間を形成するように傾斜配置したルーバー配置のフェンス用とし、それぞれ上位に位置する採光パネルの強屈折率の太陽光屈折面群の太陽光下向き屈折をその下位に位置する採光パネルの上記弱屈折率の太陽光屈折面群に向けることにより、該部位の太陽光下向き屈折を2回行なうようにフェンス縦枠に配置使用してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅用フェンスの採光パネルとしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記採光パネルを用いることによって、強弱異屈折率の太陽光屈折面群による起立仕切体背面地表の太陽光供給領域に対する太陽光供給を行なうことによって、該起立仕切体背面地表における日陰の発生による景観や植物生育への影響を可及的に解消し得るようにした住宅用フェンスを提供するように、これを、左右縦枠間に多数の採光パネルを上下に並列配置して、起立仕切体上に設置しその上方を覆うことによって採光パネルにより太陽光を下向きに屈折して起立仕切体の背面地表に向けて太陽光を供給するようにしたフェンスであって、上記採光パネルを、屈折率を異にしてそれぞれ太陽光屈折用の多数の帯状屈折面よりなる強弱異屈折率の太陽光屈折面群を備え且つ弱屈折率の太陽光屈折面群を面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方又は下端に配置してなることを特徴とする採光パネルを用いた住宅用フェンスとしたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、上記に加えて、上下位の採光パネル間に各通風空間を形成するように該採光パネルをルーバー配置し、上記弱屈折率の太陽光屈折面群によって該太陽光供給領域に対して太陽光を供給するとともに上位の採光パネルにおける面内下方又は下端に位置する強屈折率の太陽光屈折面群に対する太陽光を、下位の採光パネルの上端に設置したフェンス縦枠固定用の上横桟を避けて、その面内上方における弱屈折率の太陽光屈折面群に向けて下向き屈折し、該弱屈折率の太陽光屈折面群によって再度屈折して同じく太陽光供給領域に供給するようにすることによって、ルーバー配置の場合に、太陽光供給のロスを極小化して、太陽光供給領域に対する太陽光の供給を可及的確実且つ充分になし得るものとするように、これを、上記採光パネルの左右縦枠間上下並列配置を、上下位の採光パネル間にその上下端前後離隔の通風空間を形成するように傾斜配置したルーバー配置とし、下位の採光パネルにおける強屈折率の太陽光屈折面群をその上位の採光パネルにおける弱屈折率の太陽光屈折面群に向けて下向き屈折することにより、該部位の太陽光下向き屈折を2回行なうようにしてなることを特徴とする請求項4に記載の採光パネルを用いた住宅用フェンスとしたものである。
【0012】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、太陽光屈折面群を、強弱の異なる屈折率を有するそれぞれ太陽光屈折用多数の帯状屈折面によって形成した複数群、例えば2群とし、このうち弱屈折率の太陽光屈折面群を採光パネル面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方又は下端に配置することによって、直立した常法配置の形態にあっては、該弱屈折率の太陽光屈折面群によって起立仕切体背面地表の太陽光供給領域に対して前後幅広に太陽光の供給を行なうようにする一方、ルーバー配置の形態にあっては、同じく弱屈折率の太陽光屈折面群によって該太陽光供給領域に対して太陽光を供給するとともに採光パネルにおける面内下方又は下端に位置する強屈折率の太陽光屈折面群に対する太陽光を、下位の採光パネルにおける上横桟を避けた、その面内上方における弱屈折率の太陽光屈折面群に向けて下向き屈折し、該弱屈折率の太陽光屈折面群によって再度屈折して同様に太陽光供給領域に供給するようにすることによって、上記直立した常法配置の形態、傾斜配置したルーバー配置の形態のいずれの場合にも、採光パネルによる太陽光供給のロスなく、太陽光供給領域に対する太陽光の供給を可及的確実且つ充分になし得るようにした住宅用フェンスの採光パネルを提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、太陽光供給領域に太陽光を供給する弱屈折率の太陽光屈折面群に、その帯状屈折面に加えて、上記太陽光供給領域の外側に位置してこれとの間で明暗差を生じる透過光供給領域に対して太陽光を供給する光透過細帯面を配置するとともに該光透過細帯面と上記帯状屈折面を可及的に細幅に構成し、光透過細帯面の視線遮断による目隠し機能と帯状屈折面の太陽光屈折を可及的に有効になし得るものとすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、採光パネルをルーバー配置の形態として、上位の採光パネルに入射した太陽光を、下位の採光フェンスの太陽光屈折面群に供給して、太陽光供給領域に対する太陽光の供給を2回屈折によってロスを極小化したルーバー配置用のものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、上記採光パネルを用いることによって、強弱異屈折率の太陽光屈折面群による起立仕切体背面地表の太陽光供給領域に対する太陽光供給を行なうことによって、該起立仕切体背面地表における日陰の発生による景観や植物生育への影響を可及的に解消し得るようにした住宅用フェンスを提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、上記に加えて、上下位の採光パネル間に各通風空間を形成するように該採光パネルをルーバー配置し、上記弱屈折率の太陽光屈折面群によって該太陽光供給領域に対して太陽光を供給するとともに上位の採光パネルにおける面内下方又は下端に位置する強屈折率の太陽光屈折面群に対する太陽光を、下位の採光パネルの上端に設置したフェンス縦枠固定用の上横桟を避けて、その面内上方における弱屈折率の太陽光屈折面群に向けて下向き屈折し、該弱屈折率の太陽光屈折面群によって再度屈折して同じく太陽光供給領域に供給するようにすることによって、ルーバー配置の場合に、太陽光供給のロスを極小化して、太陽光供給領域に対する太陽光の供給を可及的確実且つ充分になし得るものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】住宅用フェンスによる日陰減少の状態を示す概念図である。
【図2】採光パネルの縦断面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】採光パネルの光屈折状態を示すフェンスの縦断面図である。
【図5】フェンスの太陽光屈折の状態を示す縦断面図である。
【図6】上下位の採光パネルにおける強屈折率と弱屈折率の帯状屈折面の太陽光屈折の状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、採光パネル10を用いた住宅用フェンスであり、該住宅用フェンスAは、左右縦枠間に多数の採光パネルを上下に並列配置して、起立仕切体B上に設置しその上方を覆うことによって採光パネル10により太陽光を下向きに屈折して起立仕切体Bの背面地表に向けて太陽光を供給するようにしたものとしてあり、このとき、該フェンスAの上記採光パネル10は、これを、屈折率を異にしてそれぞれ太陽光屈折用の多数の帯状屈折面12、16よりなる強弱異屈折率の太陽光屈折面群11、15を備え且つ弱屈折率の太陽光屈折面群11を面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群15を面内下方又は下端に配置したものとしてあり、本例にあって該住宅フェンスAは、その上記採光パネル10の左右縦枠間上下並列配置を、上下位の採光パネル10間にその上下端前後離隔の通風空間21を形成するように傾斜配置したルーバー配置とし、上位の採光パネル10における強屈折率の太陽光屈折面群15の太陽光をその下位の採光パネル10における弱屈折率の太陽光屈折面群11に向けて下向き屈折することにより、該部位の太陽光下向き屈折を2回行なうようにしてある。
【0020】
即ち、住宅用フェンスAは、これを、例えば、ブロック塀、ブラインドフェンス等の地表設置の起立仕切体Bに載置固定し又は上端背面に下端を部分的に重合固定する等して、該起立仕切体Bから更に上方に向けて起立突出するように設置して、該起立仕切体B背面の地表に、太陽光が遮られることによって形成される日陰常態の領域、即ち、屈折光供給領域aに対して上記強弱異屈折率の太陽光屈折面群11、15による屈折太陽光を供給して該日陰を可及的に縮小乃至解消し、日陰の発生による景観や植物生育への影響を可及的に解消するようにしてあり、本例にあっては該屈折光供給領域aに主に上記弱屈折率の太陽光屈折面群11による太陽光供給を行なう一方、上位の採光パネル10における強屈折率の太陽光屈折面群15の太陽光を、下位の採光パネル10の弱屈折率の太陽光屈折面群11に向け、上記2回の下向き屈折を行なうことにより、採光パネル10に対する太陽光を可及的有効に屈折光供給領域aに供給して、該採光パネル10の太陽光供給のロスを極小化したものとしてある。
【0021】
本例にあって住宅用フェンスAの採光パネル10は、例えば、アクリル、ポリカーボネート等の高耐候性透明樹脂を押出成形した透明乃至半透明の合成樹脂押出板によって、フェンス用としての剛性を確保しつつ可及的薄肉に形成してあり、このとき、該採光パネル10は、その上記弱屈折率の太陽光屈折面群11を、その各帯状屈折面12上に帯幅を1mm以上5mm以下とした光透過細帯面13を備えて形成するとともに上記帯状屈折面12と該光透過細帯面13の合計帯幅を2mm以上20mm未満としてある。
【0022】
即ち、採光パネル10は、その太陽側に向う正面に上記強弱異屈折率の太陽光屈折面群11、15を配置する一方、敷地側に向う背面をフラットな面とした、例えば、10〜15cm程度の上下に幅広にして1〜1.5m程度の左右に長尺のものとしてあり、本例にあって、該太陽光屈折面群11、15は、その屈折率を強弱2種とし、このうち弱屈折率の太陽光屈折面群11を採光パネル10の面内大半に主配置する一方、強屈折率の太陽光屈折面群15を面内下方乃至下端に副配置したものとしてあり、本例の弱屈折率の太陽光屈折面群11は、これを採光パネル10の面内上下の2/3、3/4乃至4/5とし、残余に強屈折率の太陽光屈折面群15を配置してある。
【0023】
太陽光屈折面群11、15は、それぞれ多数の太陽光屈折用とした帯状屈折面12、16を備えるとともに、本例の上記弱屈折率の太陽光屈折面群11は、その各帯状屈折面12の上位に上記光透過細帯面13を備えたものとしてあり、該弱屈折率の太陽光屈折面群11において、その帯状屈折面12は、これを、太陽に向けて凹面とするように曲面のレンズ面をなすように正面に突出したものする一方、光透過細帯面13は、これを上記フラットな背面と平行な面をなすものとしてあり、本例の該帯状屈折面12は、その曲面の曲率半径を、数mm、例えば4mmとした、3〜4mm幅の帯幅のものとし、その上位の光透過細帯面13は、その帯幅を上記1〜5mm程度の、例えば1.5mm幅のものとしてあり、このとき該光透過細帯面13と帯状屈折面12の合計帯幅は、これを上記2mm以上20mm未満の、例えば5mm幅としてある。該帯状屈折面12は、上記曲率半径によって正面側に突出したことによって、該帯状屈折面12は、光透過細帯面13の下端からその下位の光透過細帯面13間にあって、断面V字状をなすものとしてあるところ、その曲率半径を上記数mmに規制したことにより、その突出寸法を可及的に小さく、本例にあっては、例えば1mm程度に小さく抑制したものとし、その結果、採光パネルAは、その背面から光透過細帯面13部分の厚さを1〜2mm程度、例えば1.5mmとしても、その最大肉厚を、3mm程度以下、例えば2.5mm程度とする薄肉のものとするようにしてある。このとき、上記断面V字状の各帯状屈折面12下端と光透過細帯面13の上端間には、例えば、これらを直線で結ぶようにした傾斜連結面14を介設してあり、本例にあって該傾斜連結面14の傾斜角度は、これを、例えば30度程度とし、従って、太陽の角度が該30度の角度を上回る限り、該傾斜連結面14によっても起立仕切体Bの背面地表に向けて太陽光を供給し得るようにしてある。
【0024】
弱屈折率の太陽光屈折面群11において、その帯状屈折面12と光透過細帯面13の合計帯幅は、上記2〜20mm、好ましくは3〜10mmとすることが可能であるが、該合計帯幅を20mmとすると、帯状屈折面12の上記突出寸法が4.5mm近くになり、採光パネル10の最大肉厚が6mm程度と厚肉化し、これに用いる曲面のレンズ面における曲率半径が大きくなる結果、太陽光の屈折供給の角度が緩い角度になって、起立仕切体Bの背面の日陰の縮小乃至解消を行なう上で適当ではなくなり、また、2mmを下回ると、採光パネル10を生産することは可能であっても、帯状屈折面12と光透過面13の幅が微細に過ぎて、これらがV字溝をなすものとなって、屋外に設置するフェンスとしては、その表面に塵埃が付着し、設置条件によっては黴が発生するといった汚れとこれによる太陽光供給不良の可能性を招き易く同様に適当ではなく、従って、塵埃付着、黴発生等の汚れの可能性を考慮すると、該帯状屈折面12と光透過細帯面13とを単位とする配置ピッチは、これを3mm以上、更に好ましくは4mm以上とするのがよい。
【0025】
光透過細帯面13の帯幅は、上記1mm以上5mm以下とすることができるが、5mmを上回ると、該光透過細帯面13の目隠し作用が損なわれて、道路や隣家からの透視の可能性を招くために、同じく道路や隣家との境界に設置する住宅用のフェンスとして適当ではなく、また、1mmを下回ると、該光透過細帯面13による太陽光透過の合計光量が不足し、上記明暗差が残ることによって太陽光供給の均一性が損なわれる傾向を招き易くなり、同じく適当ではない。従って目隠し作用及び太陽光供給の均一性を考慮すると、該光透過細帯面13の帯幅は、これを1.5mm以上4mm以下とするのが好ましい。
【0026】
一方、上記強屈折率の太陽光屈折面群15における帯状屈折面16は、これを、太陽に向けてプリズムをなすように、傾斜のレンズ面をなすように、同じく正面に突出したものとしてあり、本例にあって該帯状屈折面16は、その突出寸法を上記弱屈折率の太陽光屈折面群11における帯状屈折面12と同一乃至略同一の、例えば、同じく1mm程度とすることによって、採光パネル10の厚肉化を避けるようにしてあり、このとき該帯状屈折面16は、その傾斜角度を30〜40度、本例にあっては35度程度としてあり、また、このとき、その裏面には、上記弱屈折率の太陽光屈折面群11と同様に、これと同一角度、例えば30度の傾斜連結面17を配置し、同じく、太陽の角度が該30度の角度を上回る限り、該傾斜連結面17によっても起立仕切体Bの背面地表に向けて太陽光を供給し得るようにしてある。
【0027】
このように形成した採光パネル10は、その上下端に、該上下端を傾斜保持する図示省略のガスケット等のホルダーを介して上下横桟20を配置し、該上横桟20を、幅広の縦枠における敷地側に変位し、下横桟20を太陽側、即ち、道路乃至隣地側に変位し、各上下横桟20が該縦枠の同一高さ位置となるように固定することによって、図示省略の、例えばアルミ押出材の枠組内に多数の採光パネル10を傾斜配置するとともに該採光パネル10間に上記通風空間21を形成して、上記ルーバー配置の住宅用フェンスA、即ち、採光ルーバーフェンスをなすものとし、これを起立仕切体Bの、例えば、上面に位置するように固定して、その背面地表に太陽光を供給するものとしてある。
【0028】
即ち、該住宅用フェンスAにあって本例の採光パネル10は、その上記主配置の弱屈折率の太陽光屈折面群11における帯状屈折面12が、太陽光を上記屈折光供給領域aに対して下向きに屈折してその供給を行ない、起立仕切体Bにおける背面地表の日陰の解消を行なう一方、該弱屈折率の太陽光屈折面群11の帯状屈折面12上の光透過細帯面13が、採光パネル10上を通過する直射光による直射光照射領域cとの間の明暗差を生じる同じく背面地表の透過光供給領域bに対して太陽光を透過供給し、該明暗差を可及的に解消することによって、これら太陽の屈折光供給領域aと該透過光供給領域b間の日陰解消の照度を可及的に均一化し得るようにし、また、上記副配置の強屈折率の太陽光屈折面群15における帯状屈折面16が、下位に位置する採光パネル10の弱屈折率の太陽光屈折面群11の帯状屈折面12、特にその上記横桟20を避けた、面内上部に位置する帯状屈折面12に対して、太陽光を下向きに屈折してその供給を行なうことによって、該下位の採光パネル10の帯状屈折面12が、再度その太陽光を下向きに屈折し、2回の屈折を行なうことによって上記屈折光供給領域a乃至その起立仕切体B側の背面地表に対して太陽光を補充的に供給し、採光パネル10の全体に同一屈折率の帯状屈折面12を配置した場合に想定される上位の採光パネル10における下部の屈折光が、下位の採光パネル10の上横桟20に向って、該上横桟20がこれを反射拡散することによる太陽光のロスを極小化乃至解消したものとしてあり、更に、上記各傾斜連結面17が、太陽の位置がその角度を下回る場合に太陽光の供給を行なうものとしてある。
【0029】
このとき、採光パネル10は、これに光拡散作用を付与して、該採光パネル10から屈折光供給領域a及び透過光供給領域bに対して供給する太陽光の強さを緩和して該領域a、bにおけるギラツキとこれによる眩しさを軽減することができ、該光拡散作用の措置は、採光パネル10のパネル面、例えば背面をマット面として出射光に乱反射を施すことによって、また、該採光パネル10に顔料、ビーズ等の乱反射材を添加成形して、屈折光供給領域a乃至本例にあっては更に透過光供給領域bにおける太陽光の供給を着色光乃至乱反射光によって行なうようにすることができる。このように光拡散作用の措置を施すことによって、同時に光透過細帯面13の透視を更に確実に阻害して、住宅用採光フェンスAとしての高度な目隠し作用を確保したものとすることができる。
【0030】
本例にあって採光パネル10には該光拡散作用を付与してあり、該光拡散作用は、採光パネル10の背面の全部又は一部をマット面とする措置によるものとしてあり、該マット面は、押出成形後又はこれを所定寸法に切断した採光パネル10に対して、常法に従って、例えばショットブラスト、エッチング等の物理的又は化学的なマット処理を施すことよって、これを行ってある。
【0031】
本例の採光パネル10を用いた住宅用フェンスAの高さは、これを適宜に設定できるが、例えば、これを30cm程度のもの、即ち、採光パネル10を上下に2、3枚並列したものとしても、起立仕切体B背面の直下位置においては日陰の領域を幾分残存するも、該日陰を大幅に縮小して、その大半に太陽光を屈折供給することができるとともに屈折供給した太陽光のギラツキとこれによる眩しさを軽減して該太陽光を柔らかい光とすることができる一方、道路乃至隣地からの透視を完全に遮断して高度な目隠し作用を確保したものとすることができる。
【0032】
図示した例は以上のとおりとしたが、採光パネルを硝子や上記以外の透明樹脂によるものとすること、強弱異屈折率の太陽光屈折面群を、段階的に屈折率を異にした複数乃至多数の屈折率の帯状屈折率によって構成し、その最も強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方乃至下端に配置するようにすること、フェンス縦枠に固定した横桟上下に採光パネルの上下端を順次保持することによって採光パネルを直立して配置し、また、同じくフェンス縦枠に通風空間を介して固定した横桟間に保持することによって採光パネルを直立して配置することによって住宅用のフェンスとすること等を含めて、本発明の実施に当って、起立仕切体、採光パネル、強弱異屈折率の太陽光屈折面群、帯状屈折面、必要に応じて用いる光透過細帯面等の各具体的形状、構造、材質、配置、寸法、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0033】
A 住宅用採光フェンス
B 起立仕切体
a 屈折光供給領域
b 透過光供給領域
c 直射光照射領域
10 採光パネル
11 弱屈折率の太陽光屈折面群
12 帯状屈折面
13 光透過細帯面
14 傾斜連結面
15 強屈折率の太陽光屈折面群
16 帯状屈折面
17 傾斜連結面
20 横桟
21 通風空間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立仕切体上に設置してその上方を覆うことによって太陽光を下向きに屈折して起立仕切体の背面地表に向けて太陽光を供給するように用いる採光パネルであって、屈折率を異にしてそれぞれ太陽光屈折用の多数の帯状屈折面よりなる強弱異屈折率の太陽光屈折面群を備え且つ弱屈折率の太陽光屈折面群を面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方又は下端に配置してなることを特徴とする住宅用フェンスの採光パネル。
【請求項2】
上記弱屈折率の太陽光屈折面群を、その各帯状屈折面上に帯幅を1mm以上5mm以下とした光透過細帯面を備えて形成するとともに上記帯状屈折面と該光透過細帯面の合計帯幅を2mm以上20mm未満としてなることを特徴とする請求項1に記載の住宅用フェンスの採光パネル。
【請求項3】
上記採光パネルをその上下位間に上下端前後離隔の通風空間を形成するように傾斜配置したルーバー配置のフェンス用とし、それぞれ上位に位置する採光パネルの強屈折率の太陽光屈折面群の太陽光下向き屈折をその下位に位置する採光パネルの上記弱屈折率の太陽光屈折面群に向けることにより、該部位の太陽光下向き屈折を2回行なうようにフェンス縦枠に配置使用してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅用フェンスの採光パネル。
【請求項4】
左右縦枠間に多数の採光パネルを上下に並列配置して、起立仕切体上に設置しその上方を覆うことによって採光パネルにより太陽光を下向きに屈折して起立仕切体の背面地表に向けて太陽光を供給するようにしたフェンスであって、上記採光パネルを、屈折率を異にしてそれぞれ太陽光屈折用の多数の帯状屈折面よりなる強弱異屈折率の太陽光屈折面群を備え且つ弱屈折率の太陽光屈折面群を面内上方に、強屈折率の太陽光屈折面群を面内下方又は下端に配置してなることを特徴とする採光パネルを用いた住宅用フェンス。
【請求項5】
上記採光パネルの左右縦枠間上下並列配置を、上下位の採光パネル間にその上下端前後離隔の通風空間を形成するように傾斜配置したルーバー配置とし、下位の採光パネルにおける強屈折率の太陽光屈折面群をその上位の採光パネルにおける弱屈折率の太陽光屈折面群に向けて下向き屈折することにより、該部位の太陽光下向き屈折を2回行なうようにしてなることを特徴とする請求項4に記載の採光パネルを用いた住宅用フェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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