説明

住宅用健康管理ルーム

【課題】一般の住宅設備と関連付けて運動用の専用空間を設け、かつトレーニングジムにおけるトレーナの役割を担う機能を設けることにより運動を習慣付ける。
【解決手段】部屋Rは、洗面台11を設置した洗面ゾーンZ1と、運動器具を設置した運動ゾーンZ2とを備え、洗面ゾーンZ1と運動ゾーンZ2とは仕切りなく連続して形成される。洗面ゾーンZ1には利用者の生体情報を計測する計測手段17が配置される。計測手段17により計測された生体情報は指示情報生成装置に入力され、指示情報生成装置において身体管理に必要な指示情報が生成される。指示情報生成装置が生成した指示情報は、操作表示装置22a,22bに提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康の管理および維持を目的として住宅内に設けられる住宅用健康管理ルームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心が高まっており、健康維持のための運動の必要性が提唱されている。トレーニングジムに通えば、トレーナの指導のもとに適切な運動を行うことができるという利点がある一方で、トレーニングジムまで足を運ぶことが必要である上に、トレーニングウェアやトレーニングシューズのような用具を持ち運ぶことが必要であるから、日常的に手軽に運動を行うことができないという欠点がある。
【0003】
一方、家庭内において、健康器具を用いて運動を行ったり、運動を指示する映像を見ながら運動を行ったりすれば、手軽に運動を行うことができるが、家庭内での運動は継続することが難しいのが現状である。
【0004】
家庭で行う運動の継続が難しいのは、一般家庭では運動のための空間が得られにくいことと、運動のための動機付けが弱いことが主な原因と考えられる。
【0005】
前者は、端的に言えば、運動のための専用空間を設けている住宅は少ないということである。したがって、運動のために運動器具を用いるとすると、運動のたびに運動器具を運動する場所と収納する場所との間で移動させなければならず、結果的に、トレーニングジムに通う場合と同様に運動を手軽に行うことができないのである。また、木質のフローリングは運動に伴う摩擦や汗の付着によって傷みやすいから、運動に際しては運動用のマットなどを敷く必要があり、このことも運動を手軽に行えない原因の一つになっている。
【0006】
後者は、言い換えれば、家庭での運動にはトレーナがいないということである。一般に運動の効果は即効性がなく継続によって徐々に得られるから、家庭で行っている運動の内容の適否を判断できず、軽度の運動であると効果がないと思いこんで過度な運動を行いがちになり、疲労感や筋肉痛のために運動の継続が困難になるという不都合を生じる。
【0007】
このような不都合を防止するには、自身の行っている運動の適否を客観的に評価する必要があり、また、運動時における負荷の大きさや運動量に過不足が生じないように、個々人に適合した適切な運動を指導する必要がある。さらに、適度な励ましや促しによって運動を強制することも必要である。トレーニングジムであれば、トレーナがこれらの事項に対応するのであるが、家庭で運動を行う場合には、これらの事項に対応することができないから、運動の継続が困難になるのである。
【0008】
前者の問題を解決するには、住宅内に運動専用の空間を設けることが考えられている。たとえば、特許文献1に記載のリゾートルームでは、一般住宅に並設した簡易建物内にプールとシャワーボックスを設置してあり、プールの上面にカバーパネルを装着し運動器具を設置することによって、トレーニング室として利用することが記載されている。このリゾートルームを用いることにより、一般住宅において主として運動に用いる空間を確保することが可能になる。
【0009】
また、特許文献2のように、住宅の外部空間にデッキとフェンスとを形成することにより、デッキ上に運動器具を設置して運動のための専用空間を確保し、さらに、デッキの任意の位置にバスタブおよびシャワーパンを配置するものも提案されている。特許文献2に記載のものも特許文献1に記載のものと同様に、一般の住宅に運動専用の空間を付設するものであり、前者の問題を解決するものとなる。
【特許文献1】特開昭63−151763号公報
【特許文献2】特開平7−279445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2のいずれにおいても後者の問題、すなわち、トレーナの不在という問題を依然として解消することができない。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、一般の住宅に設けられている設備と関連付けて運動のための専用空間を設けるとともに、トレーニングジムにおけるトレーナの役割を担う機能を設けることによって、家庭内での運動を習慣付けることを可能にする住宅用健康管理ルームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、洗面台を設置した洗面ゾーンおよび運動器具を設置した運動ゾーンを有し洗面ゾーンと運動ゾーンとが1つの部屋内に仕切りなく連続して形成されてなり、洗面ゾーンに配置され利用者の生体情報を計測する計測手段と、計測手段により計測された生体情報から身体管理に必要な指示情報を生成する指示情報生成装置と、運動ゾーンに配置され指示情報生成装置が生成した前記指示情報を受信して提示する第1提示装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記指示情報生成装置により指示情報が生成されていると前記運動ゾーンへの移動を指示する報知手段を前記部屋内に備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記指示情報生成装置において生成され前記第1提示装置に提示される指示情報は、前記運動器具を利用する運動条件を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかの発明において、前記洗面ゾーンには、飲用水を供給する水分補給装置と、前記指示情報生成装置により生成された指示情報を受信して提示する第2提示装置とをさらに備え、第2提示装置に提示される指示情報は水分補給装置による水分補給の指示を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、前記水分補給装置は、飲用水の水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方を前記指示情報生成装置による指示情報により調節されることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれかの発明において、前記洗面ゾーンと前記運動ゾーンとの両方に連続して形成され浴槽とシャワーとの少なくとも一方が浴室設備として設置された浴室ゾーンを備え、浴室ゾーンは洗面ゾーンおよび運動ゾーンとともに1つの部屋内に形成さていることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、前記洗面ゾーンと前記運動ゾーンと前記浴室ゾーンとをこの順序で使用させるように指示する移動指示装置を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明では、請求項6又は7の発明において、前記浴室ゾーンには、浴室設備に給水する給水装置をさらに備え、給水装置は給水する水の水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方を前記指示情報生成装置による指示情報により調節されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明の構成によれば、1つの部屋内に洗面ゾーンと運動ゾーンとを仕切りなく設け、運動ゾーンには運動器具を配置しているから、運動のための専用空間が確保されることによって、運動を行うまでの準備の手間がない上に、運動前に気構えをすることなく気軽に運動を行うことができる。すなわち、運動を行うことに対する障壁が低くなる。また、洗面ゾーンと運動ゾーンとが仕切りなく連続しており、洗面ゾーンは毎日使用する場所であるから、洗面ゾーンを使用すれば利用者は自然に運動ゾーンに注意を向けることになり、運動に対する意識が日々働くことによって義務感等による運動の動機付けがなされる。
【0021】
しかも、洗面ゾーンには、利用者の生体情報を計測する計測手段が設けられ、運動ゾーンには生体情報に基づいて指示情報生成装置で生成された指示情報を提示する第1提示装置が設けられているから、洗面ゾーンの利用時に計測された生体情報に応じて個々の利用者の身体管理に必要な指示情報を提示することができる。
【0022】
ここに、計測手段により計測される生体情報には、たとえば、体重、身長、心拍数、呼吸数、血圧のほか、顔色、疲労度、特定の筋肉の最大発揮力、特定の関節の関節可動域、持久力などを含めるようにしてもよい。
【0023】
ところで、トレーナの役割を機能として分析すれば、利用者の生体情報を客観的に観察あるいは計測する機能、観察あるいは計測した生体情報に基づいて、個々人にとって適切な負荷量および運動量となる運動メニューを作成する機能、運動する者に対して運動を安全に行うように管理するとともに運動メニューをこなすように促したり励ましたりする機能を有していると言える。
【0024】
したがって、指示情報には、生体情報に基づいて生成した運動条件のほか、運動を促す指示情報や、運動中に励ます指示情報を含んでいる。
【0025】
上述したように、運動のための専用空間を住宅内に形成することにより、運動を手軽に行うことができる上に、運動ゾーンが洗面ゾーンに連続していることにより、洗面という日常行為に伴って運動に対する意識が働くようになり、しかも、利用者の日々の生体情報に基づいて適切な運動が指示されるから、あたかも専属のトレーナがいるかのように過不足のない運動を行うことが可能になり、結果的に家庭内での運動を習慣付けて、継続的に運動を行わせることが可能になる。
【0026】
請求項2の発明の構成によれば、洗面ゾーンと運動ゾーンとを形成している部屋内に人が居るときに、当該利用者に対する指示情報が生成されていれば、報知手段により運動ゾーンへの移動が促されるから、利用者は運動することを促されることになる。なお、報知手段による指示は、指示情報生成装置において指示情報として生成される。
【0027】
請求項3の発明の構成によれば、利用者の生体情報に基づいて作成された運動条件が第1提示装置に提示されるから、利用者は自己流で運動を行うのではなく適切な運動条件で過不足のない運動を行うことが可能になる。すなわち、効果の発現に時間のかかる運動を行っていても利用者にとっては不安感なく運動を継続することができ、運動が不足したり、無理な運動によって運動の継続が困難になるような事態の発生を防止することができる。
【0028】
請求項4の発明の構成によれば、利用者が水分を補給するための水分補給装置を洗面ゾーンに設け、しかも水分の補給に関して第2提示装置に指示がなされるから、運動前や運動後に洗面ゾーンを利用すると、水分の補給が指示され、運動中や運動後の水分の不足を防止することができる。
【0029】
請求項5の発明の構成によれば、水分補給装置から供給する飲用水について、利用者の生体情報に基づいて生成された指示情報により水素イオン濃度や硬度が調節されるから、利用者の体調を整えるように水素イオン濃度や硬度を調整した飲用水を提供することができ、利用者の健康維持に貢献することになる。
【0030】
請求項6の発明の構成によれば、洗面ゾーンと運動ゾーンとに連続して浴室ゾーンを設けていることにより、運動ゾーンでの運動後に浴室ゾーンですぐに汗を流すことができ、また、浴室ゾーンを利用する際の脱衣および着衣を洗面ゾーンで行うことができる。さらに、洗面ゾーンにおいて裸に近い状態で生体情報の計測を行えば、着衣の影響を少なくして正確な生体情報を計測することが可能になる。
【0031】
請求項7の発明の構成によれば、洗面ゾーンにより生体情報の計測を行った後に、計測結果に基づく運動を運動ゾーンで行い、運動により分泌された汗や皮脂を浴室ゾーンで洗い流すとともに、浴室ゾーンに浴槽があれば低温の湯に浸かることで運動後に筋肉をほぐすクールダウン効果も期待できる。
【0032】
請求項8の発明の構成によれば、浴槽やシャワーのような浴室設備に給水する給水装置において、水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方の調節を可能にしているから、たとえば、浴槽には電解アルカリ水を供給して皮脂の洗浄を容易にし、湯上がりに浴びるシャワーには電解酸性水を供給して殺菌効果やアストリンゼント効果を期待することができる。あるいはまた、シャワーへの給水には硬度の低い水を供給して石鹸やシャンプーの泡立ちをよくし、浴槽への給水には硬度の高い水を供給して浴槽内の細菌の繁殖を抑制することができる。しかも、水素イオン濃度や硬度を洗面ゾーンで計測した生体情報に基づいて調節するから、利用者の体調などに応じて、ぬめり感のある電解アルカリ水でリラックス効果を高めたり、ひきしめによる爽快感のある電解酸性水でリフレッシュ効果を高めたりすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本実施形態で説明する住宅用健康管理ルームは、図1に示すように、住宅内における1つの部屋Rとして構成される。一般住宅において、洗面器のような洗面設備と浴槽やシャワーのような浴室設備とを一体化して1つの部屋内に設けたユニットバスを採用している場合もあるが、通常は洗面設備を設けた洗面室と浴室設備を設けた浴室とは別室として構成されることが多い。また、洗面室と浴室とは隣接して設けられ、洗面室は脱衣および着衣のために用いられている。
【0034】
本実施形態では、洗面台11を含む洗面設備を設置した洗面ゾーンZ1と、運動器具21を設置した運動ゾーンZ2と、浴槽31を設置した浴室ゾーンZ3とを1つの部屋Rに設けている。この部屋Rは、浴室ゾーンZ3において防水パンを設けるとともに壁材および天井材を防水仕様としているのはもちろんのこと、洗面ゾーンZ1および運動ゾーンZ2においても床材、壁材、天井材を高湿度に対応する仕様のものを採用している。図示例では、部屋Rへの出入口Eを運動ゾーンZ2の側壁に設けているが、洗面ゾーンZ1などの他の部位に出入口Eを設けることも可能である。
【0035】
洗面ゾーンZ1に配置した洗面台11はカウンタ12を備え、カウンタ12には洗面ボウル13およびカラン14が配置される。図示するカウンタ12は、洗面ゾーンZ1のコーナを形成する2壁面に跨るL字状に形成されており、洗面ボウル13は一方の壁面に沿う部位に形成されている。また、カウンタ12を設けた他方の壁面には後述する表示操作装置16が化粧鏡を兼ねて設けられている。
【0036】
カウンタ12には、カラン14への給水管から分流して給水される電解水生成装置からなる水分補給装置15も配置されている。水分補給装置15は、水道水の電気分解を行うことによりアルカリイオン水と酸性水とを生成するとともに、ミネラル成分(カルシウムおよびマグネシウム)を添加する機能を有する。水分補給装置15では、電気分解の際の電気的条件を変化させることにより吐出する飲用水(主として電解アルカリ水)の水素イオン濃度を調節することができ、電気分解の通水量を調節することにより吐出する飲用水の硬度を調節することが可能になっている。なお、水分補給装置15は、水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方の調節が可能であればよい。
【0037】
表示操作装置(第2提示装置)16は、図3に示すように、ハーフミラー41の背面に映像を表示するディスプレイ装置42と、ハーフミラー41の前面(洗面ゾーンZ1に露出する面)側においてハーフミラー41の前面に沿って規定した測定域Ds内に存在する物体の位置を計測する位置センサ43と、位置センサ43により計測された物体の位置をディスプレイ装置42の画面に設定された表示座標系の座標位置に変換する座標変換手段44とを備える。
【0038】
ディスプレイ装置42としては、設置スペースを小さくする目的でプラズマディスプレイのような、自発光型のフラットパネルディスプレイを用いるのが望ましい。ただし、ハーフミラー41の背面に拡散透過板(図示せず)を重ねて配置するとともに、拡散透過板をスクリーンとするプロジェクタ(図示せず)をハーフミラー41の背方に配置することにより、プロジェクタと拡散透過板とをディスプレイ装置42として用いることも可能である。ディスプレイ装置42に表示された画像は、ハーフミラー41を通して洗面ゾーンZ1から視認することができる。また、ハーフミラー41の前面は化粧鏡として用いられる。
【0039】
位置センサ43は、ハーフミラー41の上方においてハーフミラー41を囲む額縁部材もしくは天井に配置され、ハーフミラー41の前面に沿って設定した測定域Dsの中で光ビームLbを掃引するとともに、光ビームLbの反射光を検出することによって、測定域Dsに存在する物体の位置を求める機能を有する。測定域Dsはハーフミラー41の前方において所定幅を有しており、この幅内に存在する物体を検出することができるように、光ビームLbは、前後方向に幅を有する帯状に形成される。光ビームLbは位置センサ43の配置位置を中心として扇状の範囲で掃引され、位置センサ43は、反射光により物体を検出したときに、光ビームLbの掃引方向θと物体までの距離rとで表される二次元の極座標(r,θ)により物体の位置を特定する。一例として言えば、この種の位置センサ43では、角度分解能が0.5度程度、距離分解能が1mm程度であって、1回のスキャン時間が0.1s程度のものを用いることができる。
【0040】
なお、光ビームLbの掃引には、回転するポリゴンミラーや振動ミラーを用い、物体までの距離rは、三角測量法の技術を用いて求めたり、タイムオブフライト法により投受光の時間差(光の飛翔時間)に基づいて求める。三角測量法の技術を用いる場合には、光ビームLbが物体に照射されることにより形成される光パターンをPSDやリニアイメージセンサのような位置センサの受光面に結像させ、光パターンの結像位置を用いて物体までの距離を求める。また、投受光の時間差の計測には、光を間欠的に送出して時間差を直接計測する技術や、強度が時間経過に伴って正弦波状や鋸歯状に変化する強度変調光を投光するとともに投受光の位相差を時間差に代えて検出する技術など周知の技術を用いる。
【0041】
上述した位置センサ43は、ハーフミラー41の前面に沿って形成した測定域Dsにおいて二次元の位置を求めるものであるが、ハーフミラー41の前方において物体の三次元の位置を求める構成であってもよい。三次元の位置を検出する場合は、複数台のTVカメラの視差を用いるステレオ画像法の技術や、上述した強度変調光を投光するとともにエリアイメージセンサ(たとえば、二次元のCCDイメージセンサ)により反射光を受光して各画素ごとに投受光の位相差を求める技術などを用い、距離画像を生成すればよい。
【0042】
本実施形態では、位置センサ43は、ディスプレイ装置42の画面上の位置を指定するポインティングデバイスを構成する。すなわち、手や指し棒のような物体の位置をディスプレイ装置42の画面の座標位置に対応付けることによって、物体でディスプレイ装置42の画面上の位置を指定できるようにしている。この動作を可能にするために、コンピュータを用いた座標変換手段44により、位置センサ43に設定されたセンサ座標系で求めた物体の位置が、ディスプレイ装置42に設定された表示座標系の座標位置に変換される。
【0043】
ところで、ディスプレイ装置42の画面に表示される画像には、後述する指示情報を生成する指示情報生成装置50(図2参照)を構成するコンピュータで生成された画像と、テレビジョン受信機やDVDプレイヤのようなビデオ機器から出力される画像あるいはインターネットを通して取得した画像とがある。以下では、前者の画像を生成するためにコンピュータにより実現される(プログラムの実行により画像が生成される)手段を画像生成手段45と呼び、後者の画像をディスプレイ装置42に表示する画像を提供する種々の装置を一括して画像提供手段46と呼ぶ。
【0044】
画像生成手段45により生成される前者の画像にはアイコンのような特定の画像(図像)を含めることができ、当該図像に物体の位置が重なったときに(つまり、座標変換手段44により求めた表示座標系での物体の位置が、図像について設定した所定範囲内となったときに)、コンピュータにおいて当該図像に関係付けられたプログラムを起動することができる。図像には物体の位置が重なったときの応答として、マウスにおけるクリック、ダブルクリック、ドラッグ、ドロップなどの機能を割り当てることができる。
【0045】
たとえば、物体が図像に重なってから規定のクリック時間内で物体を測定域Dsから退出させたときにクリックあるいはダブルクリックの操作とみなし、物体が図像に重なっている状態が規定のドラッグ時間以上になるとドラッグの操作とみなして物体の移動に追従して図像が移動するようにし、ドラッグの後に物体を測定域Dsから退出させるとドロップの操作とみなすなどの機能割り当てが可能である。
【0046】
画像生成手段45で生成された画像と画像提供手段46から提供される画像とはスーパーインポーズ手段47に入力され、スーパーインポーズ手段47では、画像提供手段46から提供される画像をディスプレイ装置42に表示させる際に、画像生成手段45で生成された画像をスーパーインポーズ表示を行うことが可能になっている。
【0047】
また、画像生成手段45は、画像提供手段46に対して画像の選択操作などを指示することが可能になっている。すなわち、画像提供手段46の動作に関連付けた図像を生成するとともに、当該図像に関連付けたプログラムを物体の操作によって起動することにより、画像提供手段46に対して種々の指示が可能になる。
【0048】
上述のように、図像と物体とを用いることにより対話的な操作が可能であるから、ハーフミラー41の前方において物体を移動させることによって、たとえば、テレビジョン放送の画像であればチャンネルの切換や音量の調節(図示していないが、ディスプレイ装置42の近傍にスピーカが配置される)などの操作が可能になり、DVDプレイヤの画像であれば再生や停止の操作のほか、チャプタの選択などの操作が可能になる。あるいはまた、インターネットに接続しているときには、ブラウザの機能を用いてディスプレイ装置42に画像を表示しているときに、種々のボタンの操作を行うことが可能である。
【0049】
ところで、洗面ゾーンZ1には、利用者の生体情報を計測するための種々の計測手段17が配置される。計測手段17により計測する生体情報としては、たとえば、体重、体組成(体脂肪率、内臓脂肪率、体水分率)、心拍数、呼吸数、血圧などがある。また、距離画像を用いることによって身長を計測したり、カラー画像を用いることによって顔色や表情から体調の指標を計測したり、近赤外線により血流を計測したりしてもよい。さらには、運動ゾーンZ2において、適宜の器具を用いることにより特定の筋肉の最大発揮力、特定の関節の関節可動域、持久力などを計測するようにしてもよい。また、洗面ゾーンZ1では、計測手段17としてTVカメラを用いることにより、顔認識技術により個人の特定も行えるようにしてある。
【0050】
計測手段17により計測された生体情報は、図2に示すように、指示情報生成装置50に入力される。図2においては、生体情報を計測するための計測手段17として、体重を計測する体重センサ17a、心拍数を検出する心拍センサ17b、血圧を計測する血圧センサ17c、利用者の顔を撮像するイメージセンサ(TVカメラ)17dのみを例示しているが、上述した種々の生体情報を計測する場合には、それぞれの生体情報に対応するセンサを設ける。
【0051】
体重センサ17aとしては、たとえば、洗面ボウル13の前に立つと自動的に体重(体脂肪率、内臓脂肪率、体水分率なども同様)を計測するものを用いることが可能である。このように、洗面ゾーンZ1において日常的に行う行為の間に生体情報を自動的に計測すれば、利用者は生体情報を意識的することなく自動的に計測されることになる。また、血圧のように非接触では計測が困難である生体情報についても、計測器具を洗面ゾーンZ1に配置しておくことによって計測器具を日常的に利用するようになり、この種の生体情報の計測の習慣化につながる。
【0052】
心拍センサ17bや血圧センサ17cにはカフ帯を有する一般的な血圧計を用いればよく、洗面ゾーンZ1に配置していることにより、計測に際して手間がかからず、日常的にいつでも血圧などを計測するという習慣付けが可能になる。
【0053】
図2に示す入力装置18は、上述した表示操作装置16の機能を用いればよい。入力装置18からは、イメージセンサ17dからの画像により特定した利用者に関して、個人特定に必要な情報(性別、年齢など)や、補足的に入力する生体情報(既往症など)を入力することができる。
【0054】
指示情報生成装置50は、上述した計測手段(体重センサ17a、心拍センサ17b……)17を接続するためのインターフェイスとなるセンサ入力部51を備え、また、計測手段17により計測された生体情報や入力装置18から入力された情報を記憶する利用者情報記憶部52を備える。センサ入力部51を通して指示情報生成装置50に入力される情報のうちイメージセンサ17dで取得した利用者の顔の情報は、分析部53において顔認証の技術を用いて個人の特定に用いられ、入力装置18から入力された各利用者を特定する情報と対応付けられて利用者情報記憶部52に格納される。ここに、指示情報生成装置50には現在日時を計時する時計部59が設けられており、利用者情報記憶部52に情報を記憶させる際には時計部59で計時されている日時を対応付けて格納する。利用者情報記憶部52に格納した情報は、必要に応じて操作表示装置16に表示することができ、生体情報の日々の変化を操作表示装置16に表示することが可能になっている。
【0055】
計測手段17により計測された生体情報と利用者情報記憶部52に格納された情報とは分析部53に入力され、分析部53ではこれらの情報を知識ベース54と照合することにより、利用者の体力や健康に関する評価を行う。知識ベース54には、複数種類の生体情報を条件として体力や健康に関する評価値を結論とする多数のルールが格納されている。分析部53では、利用者から得られた生体情報に対し、知識ベース54に格納されたルールと照合し、体力や健康に関する複数種類の項目について客観的な評価値を出力する。
【0056】
たとえば、体脂肪率や内臓脂肪率と体重とを用いることにより運動により消費するのが望ましいエネルギー量の範囲を評価値として算出し、脈拍数と年齢と血圧とを用いることにより運動時の負荷量(強度)の範囲や運動の種類を評価値として算出する。あるいはまた、体水分率と体重とを用いることにより水分補給量の範囲を評価値として算出するなど、分析部53では、センサ入力部51から取得した生体情報と利用者情報記憶部52から取得した情報と知識ベース54の種々のルールとを用いて評価値を算出する。
【0057】
分析部53で求めた評価値は、運動条件作成部55と水質条件作成部56とに入力される。運動条件作成部55は、分析部53で得られた評価値に基づいて、利用者に適した運動メニューを作成する機能を有する。つまり、運動条件作成部55では、利用者の身体管理に必要な指示情報として運動メニューを出力する。たとえば、分析部53で得られた評価値のうち、消費するのが望ましいエネルギー量と運動時の負荷量とに基づいて運動メニューを作成する。運動メニューは、利用者に適した負荷量や運動量に応じた運動の種類、回数、時間などを含み、さらに、運動ゾーンZ2に配置した運動器具21の動作条件も含んでいる。運動器具21については後述する。
【0058】
運動メニューを作成するにあたっては、計測手段17により計測された利用者Mの生体情報のほかに、利用者が入力装置18を用いて入力した努力目標を参照してもよい。たとえば、あらかじめ生体情報に対応付けて負荷量の上限と下限と標準値とを設定するとともに運動量についても上限と下限と標準値とを規定して知識ベース54に登録しておき、計測手段17により計測した利用者の生体情報に基づいて運動条件を生成する際に、利用者の努力目標を参照し、意欲が高い利用者には標準値より高い負荷量や運動量を上限までの範囲で設定することが可能である。また、意欲が低い利用者や医学的理由で負荷量や運動量を低く設定するほうが望ましい利用者には標準値より低い負荷量や運動量を下限までの範囲で設定する。
【0059】
水質条件作成部56は、分析部53で得られた評価値に基づいて水分補給装置15から吐出させる飲用水の水素イオン濃度と硬度とを決定するパラメータを生成する。つまり、水質条件作成部56では、利用者の身体管理に必要な指示情報として水分補給装置15を制御するためのパラメータを出力する。たとえば、顔色や表情のような生体情報に基づいて疲労度を評価値として得ている場合であれば、疲労度が高いほど飲用水の水素イオン濃度や硬度を高くするようにパラメータを設定する。また、利用者が入力装置18から入力する情報によって便通の程度に対する評価値が得られている場合に、便通が良好であれば飲用水の硬度を下げるなどの調整を行う。なお、分析部53において、体水分率と体重とを用いて水分補給量の評価値が得られていれば、利用者に対して水分の補給量を指示することもできる。
【0060】
指示情報生成装置50には、運動条件作成部55や水質条件作成部56において指示情報が生成されていると、洗面ゾーンZ1から運動ゾーンZ2への移動を促す指示情報を出力する移動指示部57と、運動条件作成部55や水質条件作成部56や移動指示部57からの指示情報を記憶する指示記憶部58とを備える。指示記憶部58では、利用者ごとの指示情報を指示情報生成装置50に設けた時計部59が計時する日時に対応付けて格納する。したがって、利用者に指示情報を出力した日時が指示情報記憶部58に記憶され、次に指示情報を生成する際に、分析部53で得られた評価値とともに指示情報記憶部58に記憶されている情報を利用することにより、指示情報に連続性を持たせて適切な指示情報を生成することができる。
【0061】
移動指示部57からの指示情報は、部屋Rの適宜の位置に設けた報知装置19に与えられ、洗面ゾーンZ1から運動ゾーンZ2への移動を促す指示が報知装置(報知手段)19を通して利用者に通知される。報知装置19は、通常は洗面ゾーンZ1に設けられるが、洗面ゾーンZ1と運動ゾーンZ2とは仕切りを設けずに連続しているから、洗面ゾーンZ1において報知を認識できる場所であれば、運動ゾーンZ2に報知装置19を設けてもよい。また、報知装置19としては、音声メッセージなどによって聴覚的に報知を行うもののほか、矢印状のサインを点灯させて視覚的に移動を促すものを用いることができる。あるいはまた、第2提示装置となる表示操作装置16を報知装置19として兼用してもよい。
【0062】
なお、報知装置19による移動の指示は、洗面ゾーンZ1に人が居るときにのみ行われる。すなわち、洗面ゾーンZ1において計測手段17による生体情報の計測を行った後に、運動条件作成部55や水質条件作成部56において指示情報が生成された時点において、洗面ゾーンZ1に設けたイメージセンサ17dで撮像した画像に基づいて該当する利用者が洗面ゾーンZ1に居ることが確認されると、移動指示部57から指示情報が報知装置19に出力され、洗面ゾーンZ1から運動ゾーンZ2への移動が促される。
【0063】
上述のようにして、洗面ゾーンZ1に居る利用者は運動ゾーンZ2への移動が促されるから、利用者に対して適度の強制性をもって運動が促されることになる。
【0064】
ところで、運動ゾーンZ2には、図1に示すように、運動器具21のほか表示操作装置(第1提示装置)22が配置される。図示例では2台の表示操作装置22a,22b(区別が不要である場合は符合22を用いる)が配置されており、各表示操作装置22は、図3に示した表示操作装置16と同様の構成を有する。一方の表示操作装置22aは姿見用であり、ハーフミラー41のサイズは、運動ゾーンZ2において立っている利用者の全身を映すことができるように設定されている。他方の表示操作装置22bは主として運動の指示のみを目的として設けられており、ハーフミラー41のサイズは、通常は、表示操作装置22aのハーフミラー41よりも小さいものが用いられる。
【0065】
表示操作装置22aは姿見としても用いているから、利用者は表示操作装置22aから遠い位置に立つことになる。したがって、位置センサ43としては三次元位置を計測することができるものを用いるのが望ましい。一方、表示操作装置22bは運動器具21の近傍に配置してあり、利用者は表示操作装置22bに近い位置で運動を行うことが多いから、位置センサ43としては二次元位置を計測することができるものでよい。
【0066】
図1に示す例では、運動ゾーンZ2に2種類の運動器具21を配置している。一方の運動器具21は、図4に示すように、表示操作装置22aの画面に左右2本の昇降バー23を表示する仮想的な器具であり、左右の昇降バー23を交互に上下移動させ、利用者Mに昇降バー23よりも高い位置に足を上げさせることにより、もも上げによる有酸素運動を行わせるものである。
【0067】
昇降バー23の上下移動の速度や上限位置を調節することにより、運動の負荷量を調節することができ、また、運動時間を調節することにより運動量を調節することができる。昇降バー23は表示操作装置22aの画面に画像として表示されるから、当該画像を生成するコンピュータ(図示せず)に対して運動条件作成部55から指示情報を与えることにより、昇降バー23の速度や位置を調節することが可能である。
【0068】
この運動器具21は、表示操作装置22aが昇降バー23の画像を表示するだけではなく、利用者Mの全身を映す姿見としても機能するから、利用者Mは昇降バー23の位置よりも足位置を上に引き上げる運動が可能になるものである。この運動の際には、表示操作装置22aを見るだけで昇降バー23の位置に対する足位置を確認することができる。ただし、利用者Mを撮像するTVカメラを利用者Mの側方に配置して実画像を表示操作装置22aに表示したり、利用者Mを撮像するTVカメラを利用者Mの前方に配置して撮像した画像(ハーフミラー41を通して撮像する)に基づいて仮想的な人体モデルとして生成した利用者Mの側方の画像を表示操作装置22aに表示し、この画像に昇降バー23の位置を示す画像を重ね合わせるようにすれば、利用者Mは足と昇降バー23との位置関係をより詳しく知ることが可能になる。このように詳細な情報を利用者Mに与えることは、利用者Mの運動意欲の向上につながると考えられる。
【0069】
なお、上述した運動器具21は表示操作装置22aを用いた仮想的な運動器具であるから、利用者Mが立つ位置が変化すると、所期の運動効果が得られない可能性がある。したがって、運動ゾーンZ2の床に利用者Mが立つ位置を示すマークを表記するか、床面にマークを示す表示灯を設けるか、床面上にマークを投影するのが望ましい。また、仮想的な運動器具であるから、表示操作装置22に表示する画像を生成するコンピュータにより実行するアプリケーションプログラムを変更すれば、利用者Mの他の部位の運動が可能になる。
【0070】
上述した運動器具21は、主として有酸素運動を行うことを目的としているが、本実施形態では、筋肉トレーニングを行うために、運動ゾーンZ2において表示操作装置22aに対面する壁面に運動器具21を設けている。この運動器具21は、壁面に伸縮可能となるように取り付けた2本のワイヤ24を備える。各ワイヤ24の先端部には、それぞれ利用者Mが左右の手で握るグリップあるいは利用者Mの左右の手首に巻き付けるリストバンドを設けてある。
【0071】
また、壁内にはワイヤ24に壁面に向かって引張力を作用させる引張装置(図示せず)が設けてあり、引張装置は運動条件作成部55でからの指示情報に基づいて、ワイヤ24に作用する引張力を調節する。引張装置は、たとえば、ばね力を用いてワイヤ24を引っ張るとともに、引張力を作用させるばねの初期位置をモータなどで調節可能にした構成を採用することで、指示情報に従って引張力を調節することが可能になる。あるいはまた、ワイヤ24に引張力を作用させる力発生装置にトルクコンバータを設け電動でトルクコンバータのトルク比を調節する構成を採用することで、指示情報に従って引張力を調節するようにしてもよい。
【0072】
運動器具21は、表示操作装置22bをワイヤ24と併せて用いるものであり、表示操作装置22bの画面上には手の位置を指示するマークが表示される。マークの位置は、運動条件作成部55で生成された指示情報により指示される。したがって、ワイヤ24を手に取り付けた状態で表示操作装置22bの前の定位置に立ち、表示操作装置22bの画面に表示されたマークの位置に自身の手の位置を合わせるように移動させると、ワイヤ24からの引張力で手の筋群を強化することが可能になる。つまり、筋肉トレーニングを行うことができる。
【0073】
上述したように、運動器具21では、ワイヤ24に作用する引張力を調節するから運動の際の負荷量を調節することができ、またマークの位置によっても負荷量を調節することができる。また、マークの位置に追従させて手の位置を移動させると、肩関節が動くから肩関節の可動域を広げる運動が可能になり、肩凝りや肩の張りを緩和する運動が可能になる。
【0074】
表示操作装置22bの上方の壁面には利用者Mを撮像するTVカメラ25が配置されており、TVカメラ25で撮像した画像から画像認識技術を用いて利用者Mの手の位置を抽出する。TVカメラ25で撮像した画像から利用者Mの手の位置を抽出することにより、定位置に立つ利用者Mから見たときに表示操作装置22bのハーフミラー41に映る手の位置を表示操作装置22bの画像に設定した座標位置に対応付けることができる。したがって、ハーフミラー41に映る手の位置とマークの位置とを一致させるようにマークの位置を補正する。なお、利用者Mから見たハーフミラー41に映る手の位置は利用者Mの目の位置によって変化するから、手の位置とマークの位置とを一致させるために使用前にはキャリブレーションが必要である。
【0075】
運動器具21は、運動器具21と同様に、上記構成の表示操作装置22bおよびTVカメラ25を用いることにより実現される。また、表示操作装置22bに表示する画像(マーク)の属性(マークの形状、色、位置など)を決める処理や、TVカメラ25により撮像した画像から手の位置を抽出したりする処理は図示しないコンピュータにより行っている。したがって、コンピュータにおいて異なるアプリケーションプログラムを実行させれば、異なる運動にも対応することが可能である。たとえば、ワイヤ24を用いて足の筋群を強化するなど、利用者Mの他の部位の筋群の強化に用いることが可能である。
【0076】
また、本実施形態では、引張装置を壁内に収納しているから、運動ゾーンZ2での運動を行わないときでも運動器具21が邪魔にならず、運動ゾーンZ2においてストレッチングやヨガを行う場合に、運動ゾーンZ2を広い空間として利用することが可能である。さらに、運動器具21を利用しないときにはワイヤ24も壁内に収納可能にしておけば、運動器具21の不使用時における美観を保つことができる。なお、ワイヤ24の不使用時には、ワイヤ24に引張力が作用しないように引張装置を制御するのが望ましい。
【0077】
ワイヤ24を用いて運動を行う場所の側方の壁面であって、浴室ゾーンZ3との仕切りになる壁面には、姿見となるミラー26が配置されている。運動ゾーンZ2においてストレッチングやヨガのような運動を行う場合には、ミラー26に姿を映すことによって、正しいポーズを確認することができる。
【0078】
上述の説明から明らかなように、運動ゾーンZ2に設けた2台の表示操作装置22a,22bでは、運動条件作成部55で生成された指示情報を受信することによって指示情報に基づいて表示内容が変更され、運動器具21として用いる際の運動時の負荷量や運動量を調節することになる。つまり、指示情報に基づいて運動条件が指示されることになる。また、運動条件作成部55で作成される指示情報には運動条件だけではなく、専属のトレーナが行う促しや励ましに相当するメッセージや画像(たとえば、トレーナの画像)を表示するのが望ましい。
【0079】
この種のメッセージは、運動中の適宜のタイミングで出力させる。たとえば、運動量が多く運動時間が長くなる場合には、運動中に励ましのメッセージを表示する(音声出力を用いることができる場合は音声メッセージも出力する)ことにより、運動の継続を促すことができる。なお、運動器具21の利用実績を指示記憶部58に履歴として記憶しておけば、1週間単位などでの運動器具21の利用頻度が規定値以下になったときに、洗面ゾーンZ1などの表示操作装置16に運動器具21を用いるように促すメッセージを表示させることも可能である。
【0080】
上述したように、洗面ゾーンZ1に設けた計測手段17で計測した生体情報に基づいて運動ゾーンZ2で行う運動条件が決められるから、利用者が自己流で運動を行う場合に比較して、利用者にとって過不足のない適切な運動を行うことができ不安感なく運動を継続することが可能になる。つまり、無理な運動によって運動の継続が困難になったり、負荷量や運動量が不足して所期の効果が得られなくなるという問題を回避することができる。
【0081】
運動後に汗を洗い流すには、脱衣室を兼用している洗面ゾーンZ1に一旦移動するから、洗面ゾーンZ1において生体情報の計測を行うことが望ましい。この手順で生体情報を計測すれば、運動によって発散した体水分量の目安や運動による疲労度の目安を得ることができるから、水分補給装置15による水分の補給量を表示操作装置16により指示することができる。また、疲労の回復を促進するように飲用水の水素イオン濃度や硬度を調節した飲用水を提供することが可能になる。これは、浴室ゾーンZ3から洗面ゾーンZ1に移動して着衣する場合も同様である。
【0082】
ところで、本実施形態では、浴槽31を備える浴室ゾーンZ3を、洗面ゾーンZ1と運動ゾーンZ2との両方に連続させて形成してある。洗面ゾーンZ1および運動ゾーンZ2と浴室ゾーンZ3との間には、それぞれ回転式の扉F1,F2が設けられている。両扉F1,F2は、ガラスあるいはアクリルで形成された透明板あるいは型板であって、両扉F1,F2は共通のピボット軸の回りに回転する。各扉F1、F2は、それぞれ浴室ゾーンZ3に対して内開きとなるように構成されている。
【0083】
浴室ゾーンZ3に配置された浴槽31は、運動ゾーンZ2との間の仕切りとなる壁面が正面となる姿勢で入浴するように配置されており、当該壁面には画像の表示が可能なプラズマディスプレイや液晶表示器のような表示装置32が配置される。この表示装置32に代えて、プロジェクタのスクリーンを壁面に配置し、浴室ゾーンZ3からスクリーンに映像を投影させるようにしてもよい。浴室ゾーンZ3には音声出力を可能にするスピーカ(図示せず)も設けてある。
【0084】
このような表示装置32を浴室ゾーンZ3に配置しておくことにより、浴室ゾーンZ3においてテレビジョン放送やDVDの鑑賞が可能になる。また、指示情報生成装置50から出力される情報の表示を可能としておけば、浴槽31に浸かってリラックスした状態で運動の実績(指示記憶部58に格納された情報を用いる)や運動のスケジュールなどを確認することが可能になる。
【0085】
上述のように浴室ゾーンZ3を洗面ゾーンZ1や運動ゾーンZ2に連続して設けているから、運動ゾーンZ2での運動後に浴室ゾーンZ3ですぐに汗を流すことができ、また、浴室ゾーンを利用する際の脱衣および着衣を洗面ゾーンZ1で行うことができる。この場合、洗面ゾーンZ1で生体情報の計測を行う際には、裸に近い状態での計測が可能になるから、たとえば、体重や体組成を計測する際に着衣の影響を少なくして正確な生体情報を計測することが可能になる。
【0086】
ここに、洗面ゾーンZ1→運動ゾーンZ2→浴室ゾーンZ3の順で使用させるように指示する移動指示装置(図示せず)を設けてもよい。移動指示装置は、部屋R内の利用者が指示を確認できる構成であればどのようなものでもよい。たとえば、音響的に指示する構成であれば、部屋Rのどこに居ても指示を聞くことができる。また、視覚的に指示する構成であれば、誘導灯のように矢印を表記した照明器具を設け、移動するタイミングに合わせて照明器具を点灯させたり、表示操作装置16,22a,22b、表示装置33などを用いて指示を表示したりしてもよい。なお、指示のタイミングは、指示情報生成装置50から指示される。
【0087】
移動指示装置を設けることにより、洗面ゾーンZ1において計測手段17での計測を行った後に、計測結果に基づく運動を運動ゾーンZ2で行い、運動により分泌された汗や皮脂を浴室ゾーンZ3で洗い流すとともに、浴槽31で低温の湯に浸かることで運動後に筋肉をほぐすクールダウン効果も期待できる。
【0088】
また、浴室ゾーンZ3において、浴槽31やシャワーのような浴室設備に給水する給水装置(図示せず)を設け、当該給水装置において水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方の調節を可能にしておくのが望ましい。
【0089】
このような給水装置を設けることにより、たとえば、浴槽には電解アルカリ水を供給して皮脂の洗浄を容易にし、湯上がりに浴びるシャワーには電解酸性水を供給して殺菌効果やアストリンゼント効果を期待することができる。また、シャワーへの給水には硬度の低い水を供給して石鹸やシャンプーの泡立ちをよくし、浴槽への給水には硬度の高い水を供給して浴槽内の細菌の繁殖を抑制することができる。
【0090】
水素イオン濃度や硬度は、洗面ゾーンZ1で計測した生体情報に基づいて指示情報生成装置50から指示し、利用者の体調などに応じて、ぬめり感のある電解アルカリ水でリラックス効果を高めたり、ひきしめによる爽快感のある電解酸性水でリフレッシュ効果を高めたりすることが可能である。
【0091】
なお、上述の構成例ではとくに説明しなかったが、照明について光量や光色を調節したり、音についてコンテンツや音量を調節することによって、リラックスする環境やリフレッシュ(覚醒)する環境や高揚する環境を演出することも可能である。また、上述した構成例では、浴室ゾーンZ3を設ける例を示したが、浴室ゾーンZ3は必須ではなく、洗面ゾーンZ1と運動ゾーンZ2とのみを設けた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施形態を示す平面図である。
【図2】同上に用いる指示情報生成装置を示すブロック図である。
【図3】同上に用いる表示操作装置を示し、(a)はブロック図、(b)は要部斜視図である。
【図4】同上を用いた運動の例を示し、(a)は平面図、(b)は表示操作装置の表示例を示す図である。
【図5】同上の用いた運動の例を示し、(a)は平面図、(b)は要部正面図である。
【符号の説明】
【0093】
11 洗面台
15 水分補給装置
16 表示操作装置(第2提示装置)
17 計測手段
19 報知手段
21 運動器具
22a 表示操作装置(第1提示装置)
22b 表示操作装置(第1提示装置)
31 浴槽
50 指示情報生成装置
R 部屋
Z1 洗面ゾーン
Z2 運動ゾーン
Z3 浴室ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面台を設置した洗面ゾーンおよび運動器具を設置した運動ゾーンを有し洗面ゾーンと運動ゾーンとが1つの部屋内に仕切りなく連続して形成されてなり、洗面ゾーンに配置され利用者の生体情報を計測する計測手段と、計測手段により計測された生体情報から身体管理に必要な指示情報を生成する指示情報生成装置と、運動ゾーンに配置され指示情報生成装置が生成した前記指示情報を受信して提示する第1提示装置とを備えることを特徴とする住宅用健康管理ルーム。
【請求項2】
前記指示情報生成装置により指示情報が生成されていると前記運動ゾーンへの移動を指示する報知手段を前記部屋内に備えることを特徴とする請求項1記載の住宅用健康管理ルーム。
【請求項3】
前記指示情報生成装置において生成され前記第1提示装置に提示される指示情報は、前記運動器具を利用する運動条件を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の住宅用健康管理ルーム。
【請求項4】
前記洗面ゾーンには、飲用水を供給する水分補給装置と、前記指示情報生成装置により生成された指示情報を受信して提示する第2提示装置とをさらに備え、第2提示装置に提示される指示情報は水分補給装置による水分補給の指示を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の住宅用健康管理ルーム。
【請求項5】
前記水分補給装置は、飲用水の水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方を前記指示情報生成装置による指示情報により調節されることを特徴とする請求項4記載の住宅用健康管理ルーム。
【請求項6】
前記洗面ゾーンと前記運動ゾーンとの両方に連続して形成され浴槽とシャワーとの少なくとも一方が浴室設備として設置された浴室ゾーンを備え、浴室ゾーンは洗面ゾーンおよび運動ゾーンとともに1つの部屋内に形成さていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の住宅用健康管理ルーム。
【請求項7】
前記洗面ゾーンと前記運動ゾーンと前記浴室ゾーンとをこの順序で使用させるように指示する移動指示装置を備えることを特徴とする請求項6記載の住宅用健康管理ルーム。
【請求項8】
前記浴室ゾーンには、浴室設備に給水する給水装置をさらに備え、給水装置は給水する水の水素イオン濃度と硬度との少なくとも一方を前記指示情報生成装置による指示情報により調節されることを特徴とする請求項6又は7記載の住宅用健康管理ルーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−61294(P2010−61294A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225063(P2008−225063)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】