説明

体内流体監視用一体型検査システム

【課題】
【解決手段】
流体試料を分析する一体型診断器具(10)は、ハウジング(12)と、センサーパック(122)と、ディスク駆動機構(200)と、ランシング機構(16)とを含む。ランシング機構は、ランセット(86)の基部と着脱可能に係合するようになされているランセットホルダー(110)と、ランセットホルダーに連結されたプランジャ(66)と、プランジャの中央部分を貫通するシャフト(70)と、シャフトを少なくとも部分的に囲むばねと、ハウジングの外部上のレール上に位置するスライダ(90)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、診断器具に関し、より詳細には、体内流体(体液)を監視するのに使用される多数のセンサーを取扱う一体型診断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
試薬を包含する検査センサー(例えば、バイオセンサー)は、流体試料中の分析物濃度を測定する分析評価においてしばしば使用される。体内流体中の分析物の定量は、一定の生理学的異常の診断及び管理において非常に重要である。例えば、乳酸、コレステロール及びビリルビンは一定の人々において監視されるべきである。特に、体内流体中のグルコースを測定することは、体内流体中のグルコースレベルを頻繁にチェックして飲食物におけるグルコース摂取量を調節しなければならない糖尿病の人々には重要である。各々の検査は新たな検査センサーの使用を必要とし、従っていくつもの検査センサーが一日のうちに使用されることがある。
【0003】
いくつもの検査センサーを含有するカートリッジが使用されて、ユーザーが単一の物内に多数のストリップを入れて持ち歩くのを許容している。使用される前に、センサーは、一般に、センサー中の試薬材料の完全性を確実なものにするために適切な湿度レベルに維持される必要がある。センサーは、適正な湿度レベルに維持されるよう、引裂き包装に個々に包装されることができる。認識されるように、これらの包装を開くのは困難なことがある。その上、一たび包装を開いても、ユーザーは、センサーをセンサーホルダーに入れ、血液試料の検査に使用する時にセンサーが損傷せず又は汚染されないようにする必要がある。さらに、一たびセンサーをセンサーホルダーに入れたら、流体試料を採取してこれをセンサーに付けなければならない。
【0004】
従って、検査センサーを格納しこれを分配し、同時に流体試料を採取し分配されたセンサーに付ける便利な機構を提供する一体型検査器具の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの実施の形態によれば、流体試料中の分析物の濃度を分析するシステム及び方法が開示される。本システムは、流体試料を取得しかつ分析するためのハウジング、センサーパック、ディスク駆動装置、及びランセットを含む。
【0006】
上述の本発明の概要は、本発明の各々の実施の形態又はすべての側面を表すことを意図しない。本発明の追加の特徴及び利点は以下に明らかにする詳細な説明及び図面から明白であろう。
【発明の実施の形態】
【0007】
本発明は、複数の検査センサーを格納しこれを分配する一体型診断器具に向けられている。検査センサーと組合された一体型診断器具は、検査センサー上の流体試料中の少なくとも1つの分析物の濃度を測定するのに使用し得る。一体型診断器具は、流体試料が例えば全血の場合にユーザーが該流体試料を採取するのを支援する。
【0008】
本発明を使用して測定され得る分析物は、グルコース、脂質プロフィール(例えば、コレステロール、トリグリセリド、LDL及びHDL)、微量アルブミン、ヘモグロビンA1C、フルクトース、乳酸、ビリルビン又はプロトロンビンを含む。しかしながら、本発明はこれらの特定の分析物に限定されず、他の分析物濃度も測定し得ると考えられる。分析物は、例えば全血試料、血清試料、血漿試料、ISF(間質液)及び尿のような他の体内流体、又は他の非体内流体試料中のものとし得る。
【0009】
図面の、最初は図1〜6を参照すると、本発明の1つの実施の形態による一体型診断器具10が図示されている。一体型診断器具10は、ハウジング12と、ユーザーインターフェイス14と、ランシング機構16とを備える。ハウジング12は少なくとも1つの検査センサー開口20(図4)を形成する。開口20は、検査センサー126(図11)がハウジング12内のセンサーパック122(図7〜10)から押し出されるのを許容するようになされている。
【0010】
ハウジング12は、上部ケース22と下部ケース24とから構成される。上部ケース22は、下部ケース24に対して貝殻式に枢動可能であって、センサーパック122(図7)がハウジング12内の割出ディスク26(図6)上に位置決めされるようにする。引張ハンドル28がハウジング12の一部内に設けられる。引張ハンドル28は、ディスク駆動機構200(図12)と共同して、ユーザーがセンサーパック122から検査センサー126を取出すのを許容するようになされている。
【0011】
器具の上部ケース22と下部ケース24とは、一般に、ポリマー材料から製造される。ポリマー材料の非限定的な例は、ポリカーボネート、ABS、ナイロン、ポリプロピレン、又はそれらの組合せを含む。上部ケース22と下部ケース24は、相補型の、全体として円形の中空容器であり、枢動ピン30a、b(図3)を中心として相互に枢動されるようになされており、枢動ピンは下部ケース24から上部ケース22の枢動孔(図示せず)へと外方に延長する。
【0012】
上部ケース22と下部ケース24は、図6に最もよく図示されているラッチ34により、図1〜5に示す閉じ形態に維持される。ラッチ34は上部ケース22に位置し、かつ下部ケース24に形成された凹所38と係合するようになされている。ラッチ34と凹所38とは、下部ケース24が開き位置(図6)から閉じ位置(図1〜5)に移動された時に上部ケース22に下部ケース24を固定する。ハウジング12を再び開くために、下部ケーシング24に形成された開口44(図12〜13)を通じて延長する押ボタン42が設けられている。押ボタン42をハウジング12の方向に押圧した時に、ラッチ34が凹所38から離脱される。ラッチ34が離脱された後に押ボタン42を放すと、下部ケース24は、上部ケース22からわずかに持上がり、上部ケース22とは反対方向に下部ケース22に力を加えることによりこれを完全に開き得る。
【0013】
上述のように、一体型診断器具10はユーザーインターフェイス14を含む。ユーザーインターフェイスはディスプレイユニット54と押ボタンセット58とを備える。図12に関連して以下により詳しく説明するように、ハウジング12の上部ケース22は全体として長方形の開口46を形成する。開口46はレンズ50が該開口に位置決めされるのを許容するようになされており、ディスプレイユニット54がレンズ50を通じて見えるようにする。ディスプレイユニット54は、一体型診断器具10のユーザーに視覚情報を提供するようになされている。ディスプレイユニット54は、好ましくは、液晶ディスプレイ(LCD)であるが、他の任意の好適な型式のディスプレイも本発明で利用し得る。図示の実施の形態は全体として長方形の開口46を示すが、開口は任意の形状とすることができ、ディスプレイユニット54(これも各種の形状をとり得る)が該開口を通じて見えればよい。
【0014】
ユーザーインターフェイス14はまた押ボタンセット58を含み、該押ボタンセットはハウジング12の上部ケース22の複数の孔60a〜c(図12〜13)を通じて延長する個々のいくつかの押ボタン58a、b、cを備える。個々の押ボタン58a〜cは押圧されて、一体型診断器具10の電子回路を動作させる。押ボタンセット58は、例えば先の検査手続の結果を呼出してディスプレイ54上に提示するのに使用し得る。押ボタンセット58はまた、日付及び時間情報を設定し表示するため、また、例えば所定のスケジュールに従って血中グルコース検査を行うようユーザーに注意を促す合図アラームを起動させるためにも使用し得る。押ボタンセット58はまた、一体型診断器具10の一定の較正手続を起動させるためにも使用し得る。
【0015】
図12に関連してより詳しく説明するように、一体型診断器具10のランシング機構16は、ユーザーが流体試料を得るのを支援するようになされている。ランシング機構16は、ランセット86(図12)を駆動するプランジャ66(図4)を覆う端部キャップ62を含む。端部キャップ62は、中央開き口(図示せず)を有し、該開き口に位置決めされたランセット86と不用意に接触することから被検者を保護する。端部キャップ62の面を被検者の皮膚に触れさせることができる。ランシング機構16は次に発射ボタン98(図1〜2)を押圧することにより始動され、端部キャップ62からランセット86を延長させて被検者の皮膚を突刺すことができる。
【0016】
一体型診断器具10のランシング機構16は、複数のランセット端部キャップ62を利用するようになされている。例えば、被検者は指先から試料を採取したい時には標準部位端部キャップを取付けることができる。代替的に、代替え部位検査を望む時には代替え部位端部キャップをランシング機構16に取付けることができる。一般に、代替え部位端部キャップは、皮膚のランセット切開後に採取される血液量を被検者が端部キャップを通じて目視するのを許容するために透明である。代替え部位端部キャップはまた、より幅広の開口を有し、より多くの皮膚がその中に挿入されるのを許容し、皮膚のより深いランセット切開を可能にし得る。
【0017】
ランシング機構16は、ハウジング12の外部のレール94上に位置するスライダ90をさらに含む。スライダ90は、矢印A方向(図2)のスライダ90の移動がプランジャ66を矢印A方向に移動させるようになされている。しかしながら、矢印B方向のスライダ90の移動はプランジャを移動させない。発射ボタン98は、スライダードック88上に位置し、発射ボタン98が押圧された時にランシング機構16を作動させるようになされている。スライダ90は、ランシング機構16の端部キャップ62に向けて、またこれから離れるようにレール94に沿って移動するようになされている。レール94はスライダードック88とスライダーストップ92との間に形成される。レール94、スライダードック88、及びスライダーストップ92は、ハウジング12に取付けられた別々の構成部品でもよく、あるいは図示のようにハウジング12の延長部であってもよい。
【0018】
ランシング機構16は、図4及び5bに最もよく図示されるように、検査センサー開口20から芯ずれしている。本発明のいくらかの実施の形態によれば、検査センサー開口20は、ランシング機構16から少なくとも20°かつ180°未満で芯ずれする。これらの実施の形態のいくらかによれば、検査センサー開口20はランシング機構16から少なくとも30°かつ90°未満で芯ずれする。本発明の1つの実施の形態によれば、検査センサー開口20はランシング機構16から約45°芯ずれし、一方別の実施の形態によれば、芯ずれは約60°である。本発明のさらに別の実施の形態によれば、検査センサー開口20はランシング機構16から約50°芯ずれしている。
【0019】
従って、被検者から流体試料(例えば、全血)を取得し採取するために、ユーザー(又は被検者)は一体型診断器具10を第1の位置(すなわち、ランセット切開位置)から第2の位置(すなわち、採取位置)に移動させなければならない。1つの方法によれば、一体型診断器具を第1の位置に移動させるために、ユーザーは端部キャップ62の面64を被検者の皮膚に当てるように位置決めする。ユーザーは次に発射ボタン98(図1〜2)を押圧してランシング機構16を作動させ、被検者の皮膚を突刺す。ユーザーは次に、一体型診断器具10を採取位置に移動させる前に、該突刺しにより十分な試料サイズが得られたことを確認しうる。被検者の皮膚を突刺した後、ユーザーは第2の位置に一体型診断器具10を移動させ、検査センサー126(図11)−検査センサー開口20から延長している−を得られた流体試料と接触させ、一体型診断器具による分析のため検査センサー126内に試料を採取する。図示の実施の形態(図1〜6)によれば、第1位置から第2の位置に一体型検査器具10を移動させるために、ユーザーは一体型検査器具10を約50°回転させる。
【0020】
図7〜11を参照すると、本発明の1つの実施の形態によるセンサーパック122が図示されている。センサーパック122は、フォイル142で封止されたベース部140を備える。センサーパック122は、10のセンサー126を収納し、10のセンサー126の1つずつは各々のセンサーキャビティ130a〜jに収められるようになっている。図11に図示するように、各々のセンサー126は、検査端部134から接触端部136まで延長する全体として平らな長方形の形状を有する。検査端部134は、センサー126がセンサーキャビティ130から押出されるにつれて、センサーキャビティ130に覆い被さるフォイル142の未切断部分を破ることができるように角度付けされている。センサー126は分析されるべき流体試料中に入れられるようになされている。センサー126の接触端部136は小さい切欠き146を含み、該切欠きにはナイフ刃216(図15〜16)がセンサーキャビティ130からセンサー126を押出す時に配置されることになる。切欠き146は、ナイフ刃216がセンサー126と接触するための標的領域を提供し、一たびナイフ刃216が切欠き146と接触すると、センサー126はナイフ刃216上の中心に置かれる。センサー126の接触端部136の近くの接触子150a〜bは、センサー126が検査位置にある時に、センサー作動装置220の金属接触子221(図15〜16)と噛合うようになされている。その結果、センサー126は、検査中にセンサー126で生成された情報が格納され及び/又は分析されるように回路基板組立体202(図12、18〜20)の回路と連結される。
【0021】
各々のセンサー126には、センサー126の検査端部134からセンサー126内に配置されたバイオセンシング又は試薬材料まで延長する毛管路166が設けられている。センサー126の検査端部134を流体試料(例えば、人の指をランセット切開した後に指に溜った血液)中に入れると、流体試料の一部は毛管作用により毛管路166に引込まれ、そのため検査に必要な十分な量の流体がセンサー126に引込まれる。流体は次にセンサー126内の試薬材料と化学反応し、検査中の流体試料中の分析物濃度を示す電気信号が接触子150a〜b(図11)を通じて金属接触子221に、またそれによってセンサー作動装置220を通じて回路基板組立体202へと伝播される。毛管路166と共に通気口168を設けて、流体試料中に入れた時の毛管路166への流体の取込みを容易にしてもよい。
【0022】
センサーパック122は、全体として円形のベース部140と、これに対応して形態付けられたフォイル142とにより形成されるものとして図示されているが、センサーパック122は、代替的な実施の形態において、各種の形状(すなわち、楕円形、長方形、三角形、正方形など)であってもよい。センサーキャビティ130a〜jはベース部140におけるくぼみとして形成され、各々のセンサーキャビティ130a〜jはセンサー126の1つを収納するようになされている。図7のセンサーキャビティ130aに関連して図示されているように、各々のセンサーキャビティ130a〜jは、センサーキャビティ130aの内側端部174から外側端部178まで延長する底部支持壁170を有する。支持壁170は、内側端部174から外側端部178に延長するにつれてわずかに上方に傾斜し又は勾配がついている。この支持壁170の勾配により、センサー126はセンサーキャビティ130a〜jから押出されるにつれてわずかに持上げられることになり、フォイル142及びベース部140の外周に沿ってベース部140にフォイル142を付着するヒートシール部分を回避し又はその上を通過することになる。
【0023】
各々のセンサーキャビティ130a〜jは乾燥剤キャビティ182a〜jの対応する1つと流体連通している。各々の乾燥剤キャビティ182a〜jは、センサーキャビティ130a〜jの対応する1つに隣接した、ベース部140における小さいくぼみにより形成される。乾燥材料は、センサーキャビティ130a〜jが適切な湿度レベルに維持されるのを確実にするため乾燥剤キャビティ182a〜jに配置され、特定のセンサーキャビティ130に配置されたセンサー126の試薬材料が使用前に悪影響を受けないようにする。乾燥材料は、小さい袋入りの又は丸いビーズ状の材料の形をとってもよく、あるいは乾燥剤キャビティ182a〜jにたやすく配置できる他の任意の形でもよい。各々の乾燥剤キャビティ182a〜jに入れられるかかる乾燥材料の量は、センサーキャビティ130a〜jを乾燥状態に維持するのに必要な量によって左右される。使用できる1つの種類の乾燥材料は、NATRASORBの商標で販売されており、かつ粉末、ペレット、及びビーズの形で入手できる。
【0024】
複数の切欠き186がベース部140の外周縁に沿って形成される。フォイル142がベース部140に封止され時に、フォイル142の外周縁に沿った第2の複数の切欠き190がベース部140の外周縁の切欠き186と整列され、センサーパック122の外周縁に沿って一体一連の切欠きを形成する。切欠き186及び190によって形成される各々の切欠きはベース部140のセンサーキャビティ130a〜jの1つと関連付けられ、センサーパック122が割出ディスク26(図6)に装着されピン323(図12、15〜16)が切欠き186及び190に配置された時に、各々のセンサーキャビティ130a〜jが割出ディスク26の半径方向延長溝218(図12、15)の個々の1つと適正に整列するようにする。
【0025】
フォイル142は、ベース部140の上面を覆い、かつ、フォイル142の実質的に全外周縁をベース部140の外周縁にヒートシールすることによりベース部140に付着されるようになされている。フォイル142はまた、各組のセンサー保持キャビティ130a〜j及び乾燥剤キャビティ182a〜jの実質的に全周にヒートシールされて、センサー保持キャビティ130a〜j及び乾燥剤キャビティ182a〜jを封止し、個々のセンサー126が乾燥状態及び相互に隔離された状態に維持されるようにする。その結果、センサーキャビティ130a〜jの1つを開いても、他のいずれのセンサーキャビティ130a〜jの乾燥状態は影響されない。フォイル142は、センサーキャビティ130a〜jと乾燥剤キャビティ182a〜jを十分に封止し、同時にナイフ刃216(図15〜16)によりたやすく切断され、かつセンサー126がセンサーキャビティ130a〜jから押出される時に該センサーにより突破られることができる材料であれば任意の材料で製造し得る。フォイル142に使用できる1つの種類のフォイルは、Alusuisse Flexible Packaging社によって供給されるAL−191−01フォイルである。
【0026】
図10に図示するように、ベース部140は、センサーキャビティ130a〜jの内方−ベース部140の上部中央部分−にラベル領域194を含む。導電性ラベル198をこのラベル領域194に位置決めして、回路基板組立体に組込まれ得る較正回路により感知され得る較正及び生産情報を提供し得る。
【0027】
図12〜20を参照すると、本発明の1つの実施の形態によるハウジング12内に包含される構成部品の形態が図示されている。引張ハンドル28は、全体として番号200(図12)により示されるディスク駆動機構と係合させるため移動することができる。一体型診断器具10を操作するために、引張ハンドル28をまずハウジング12の後端部36に隣接した待機位置(図1)からハウジング12の後端部36から離れた延長位置(図5a)まで手動で引く。引張ハンドル28の外方への移動により、ディスク駆動機構200がセンサーパック122を回転させ、次のセンサー126を検査位置(図5b)に導入される前に待機位置に置く。引張ハンドル28の外方への移動はまた一体型診断器具10をオン状態にする(すなわち、回路基板組立体202の電子回路が起動される)。
【0028】
ディスク駆動機構200はランシング機構16の操作から独立していることに注意すべきである。従って、もし十分な流体試料を採取することが必要であれば、センサーパック122(図7〜10)から別の検査センサー126(図11)を押し出し、又は先に押し出した検査センサー126を廃棄する必要なしに、ランシング機構16を使用して被検者の皮膚に繰返し穴を開けることができる。
【0029】
以下により詳細に説明するように、ディスク駆動機構200は、割出ディスク駆動アーム206が装着されたディスク駆動プッシャ204を含む(図15〜16)。割出ディスク駆動アーム206は、板ばね210の端部に配置されたカムボタン208を備える。カムボタン208は、割出ディスク26の上部表面の複数の曲線延長溝212の1つの中を進むように形態付けられている。引張ハンドル28がハウジング12の後端部36に隣接した待機位置からハウジング12の後端部36から離れた延長位置に手動で引張られるにつれて、ディスク駆動プッシャ204はハウジング12の後端部36に向けて横方向に引かれる。これにより、割出ディスク駆動アーム206のカムボタン208は、曲線延長溝212の1つに沿って進み、割出ディスク26を回転させる。割出ディスク26の回転はセンサーパック122を回転させ、センサーキャビティ130a〜jの次のキャビティが用意のできた位置に置かれる。
【0030】
引張ハンドル28は次に延長位置(図5a)から内方に手動で押されて、待機位置(図1)に戻される。引張ハンドル28は次にハウジングの検査端部35に向けて若干さらに押されて、一体型診断器具を検査位置(図5b)に置くことができる。検査位置において、検査センサー126の一部はハウジング12に形成された検査センサー開口20から延長する。引張ハンドル28の内方への移動により、ディスク駆動機構200がセンサーパック122からセンサー126を取出し、該センサー126をハウジング12の検査端部35上の検査位置に置く。
【0031】
以下により詳細に説明するように、ディスク駆動機構200は、ディスク駆動プッシャ204に枢動可能に装着されたナイフ刃組立体214を含む(図15及び16)。引張ハンドル28が延長位置から検査位置に手動で押されるにつれて、ディスク駆動プッシャ204はハウジング12の検査端部35に向けて押される。これにより、ナイフ刃組立体214が下方に枢動し、ナイフ刃組立体214の端部のナイフ刃216がセンサーキャビティ130a〜jの1つを覆うフォイル142の一部を突刺し、センサーキャビティ130a〜jの1つに配置されたセンサー126と係合する。ディスク駆動プッシャ204が上部ケース22の検査端部20に向けて移動し続けるにつれて、ナイフ刃組立体214がセンサーキャビティ130a〜jの1つからセンサー126を押出し、ハウジング12の検査端部35の検査位置に入れる。
【0032】
ディスク駆動プッシャ204が延長位置から検査位置に押されている間、割出ディスク駆動アーム206のカムボタン208は半径方向延長溝218の1つに沿って進み、割出ディスク26が回転するのを防止する。同様に、ディスク駆動プッシャ204が待機位置から延長位置に押されている間、ナイフ刃組立体214は割出ディスク26の回転を妨害しないように引込位置にある。
【0033】
センサー126がセンサーキャビティ130a〜jの1つから完全に押し出され、ハウジング12の検査端部35から外に突出する検査位置に押込まれた後に、ディスク駆動プッシャ204はセンサー作動装置220と係合しこれをセンサー126に押付け、センサー126を検査位置に維持する。センサー作動装置220は、引張ハンドル28が検査位置に押込まれた時にセンサー126と係合する。センサー作動装置220は、上部ケース22内に配置された電子回路組立体222にセンサー126を連結する。電子回路組立体222は、血中グルコース検査手続中に生成したデータを処理し及び/又は格納しかつ一体型診断器具10のディスプレイユニット54にデータを表示するマイクロプロセッサなどを含む。
【0034】
上部ケース22は押ボタン解除装置32用の開口228を包含し、該解除装置は上部ケース22を通じて上方に突出する。一たび血液分析検査が完了したら、上部ケース22の押ボタン解除装置32を押圧して、センサー作動装置220を離脱させてセンサー126を開放する。押ボタン解除装置32を押圧することにより、ディスク駆動プッシャ204と引張ハンドル28とが検査位置から移動して待機位置に戻る。この時点で、ユーザーは一体型診断器具10をオフにし、又は一体型診断器具10が電子回路組立体222のタイマーに従って自動的にオフとなるのを許容することができる。
【0035】
図1〜5及び12〜13に明らかなように、上部ケース22は長方形の開口46を含み、該開口を通じてその下にディスプレイユニット54が見られる。ディスプレイユニット54は、上部ケース22の上部表面に付着されたレンズ50を通じて見られる。ディスプレイユニット54は、電子回路組立体222の構成部品であり、エラストマーコネクタ224(図18参照)を介して回路基板組立体202に連結される。ディスプレイユニット54は、検査手続からの、及び/又は上部ケース22の押ボタンセット58により入力された信号に応じた、情報を表示する。例えば、押ボタンセット58を利用して先の検査手続の結果を呼出し、これをディスプレイユニット54上に見ることができる。図13に最も明らかなように、押ボタンセット58は、個々の押ボタン58a〜cが上部ケース22の押ボタン開口226を通じて上方に突出するように下から上部ケース22に付着される。各々の押ボタン58a〜cは、その特定の押ボタン58a〜cが押圧された時に、回路基板組立体202と電気的に接続される。
【0036】
上部ケース22はまた、バッテリートレー組立体232用のバッテリ開口230(図5a〜b)を包含する。バッテリートレー組立体232は、少なくとも1つのバッテリ236が配置されたバッテリートレー234を含む。バッテリートレー組立体232は、上部ケース22の側部のバッテリ開口230に挿入される。そのように挿入された時に、バッテリ236は回路基板組立体202のバッテリ接触子238及び240と係合して、回路基板組立体202及びディスプレイユニット54の回路を含む器具10内の回路に電力を供給する。下部ケース24のタブ242は、上部ケース22と下部ケース24とが閉じ形態にある時に、バッテリートレー組立体232の長穴244と係合してバッテリートレー組立体232が一体型診断器具10から除かれるのを防止する。
【0037】
電子回路組立体222は上部ケース22の上部内側表面に付着される。図18〜20に最も明らかなように、電子回路組立体222は、各種の電子回路及び電気構成部品が取付けられた回路基板組立体202を備える。正のバッテリ接触子238と負のバッテリ接触子240とが回路基板組立体202の底部表面246(図18及び20に見て上向きの表面)上に配置される。バッテリ接触子238及び240は、バッテリートレー組立体232がハウジング12に挿入された時にバッテリ236と電気的に接触するように形態付けられている。回路基板組立体202の底部表面246はまた通信インターフェイス248を含む。通信インターフェイス248は、一体型診断器具10とパソコン等の別の装置との間の、標準的なケーブルコネクタ(図示せず)を通じた検査又は較正情報の転送を可能にする。図示の好ましい実施の形態において、通信インターフェイス248は標準的なシリアルコネクタである。しかしながら、通信インターフェイス248は、代替的に赤外線放射/検出ポート、電話ジャック又は高周波送信/受信ポートとすることもできるであろう。グルコース検査結果を格納するメモリーチップ又はプログラムを実行するROMチップ等の他の電子回路及び電気装置が同様に回路基板組立体202の底部表面246及び上部表面250上に含まれる。
【0038】
ディスプレイユニット54は、回路基板組立体202の上部表面250(図19の上向き面)に付着される。ディスプレイユニット54は、スナップ嵌め式のディスプレイ枠252により保持される。スナップ嵌め式ディスプレイ枠252は、ディスプレイユニット54を囲みこれを位置決めする側壁部254を含む。2つの側壁部254の張出し部256がスナップ嵌め式ディスプレイ枠252内にディスプレイユニット54を保持する。スナップ嵌め式ディスプレイ枠252は複数のスナップ留め具258を含み、該留め具は回路基板組立体202の噛合い孔260と係合するように形態付けられている。ディスプレイユニット54は、スナップ嵌め式ディスプレイホルダー252の長穴262に配置された一対のエラストマーコネクタ224によって回路基板組立体202の電子回路に電気的に接続される。エラストマーコネクタ224は、全体として、交互になった柔軟な導電性及び絶縁性材料の層を備え、多少柔軟な電気コネクタを作り出す。図示の好ましい実施の形態において、長穴262は、エラストマーコネクタ224が組立中に長穴262から抜け落ちるのを防止するため、該コネクタの側部と係合する複数の長穴隆起264を包含する。
【0039】
スナップ嵌め式ディスプレイ枠252は、電子装置にディスプレイユニット54を組付け取付けるのに一般に使用されるねじ式留め具及び金属圧縮枠を不要にする。加えて、スナップ嵌め式ディスプレイ枠252はまた、ディスプレイユニット54を回路基板組立体202に組付ける前にディスプレイユニット54を検査することを可能にする。スナップ嵌め式ディスプレイ枠252は、その全体が本書に組込まれる、Snap−in Display Frameと題された米国特許第6,661,647号により詳しく説明されている。
【0040】
押ボタンセット58はまた回路基板組立体202の上部表面250に噛合わされる。上述のように、押ボタンセット58は、押圧されて一体型診断器具10の電子回路を動作させる個々のいくつかの押ボタン58a〜cを備える。例えば、押ボタンセット58を利用して一体型診断器具10の検査手続を起動させることができる。押ボタンセット58はまた、先の検査手続の結果を呼出しディスプレイユニット54上に表示させるのに使用できる。押ボタンセット58は、日付及び時間情報を設定し、表示し、かつ所定のスケジュールに従って血中グルコース検査を行うようユーザーに注意を促す合図アラームを起動させるのにも利用できる。押ボタンセット58は、一体型診断器具10の一定の較正手続を起動させるのにも使用できる。
【0041】
電気回路組立体222は、回路基板組立体202の底部表面246に一対の表面接触子382をさらに備える。表面接触子382は、カバー機構298の1つ又は複数の指部384により接触されるように形態付けられ、該指部は今度はディスク駆動プッシャ204の一対のランプ接触子386により係合されるように形態付けられている(図15参照)。引張ハンドル28の移動により、ランプ接触子386が指部384を押して表面接触子382の一方又は両方と接触させて、引張ハンドル28の位置を電子回路組立体222に通信する。特に、待機又は検査位置から延長位置への引張ハンドル28の移動は、センサー分配器具をオンにする。加えて、引張ハンドル28が延長位置にある間にハウジング12が開かれると、アラームが起動されてナイフ刃216が延長位置にあり得ることをユーザーに警告する。
【0042】
電子回路組立体222の設計及び形態により、一体型診断器具10の上部ケース22への電子組立体222の組付け前に、電子回路及び電気構成部品の組立と検査とが可能となることは注意されるべきである。特に、ディスプレイユニット54、押ボタンセット58、バッテリ接触子238及び240、並びに他の電子回路及び電気構成部品を各々回路基板組立体202に組付け、かつこれらの構成部品、及びこれらの構成部品への電気的接続が適正に機能することを検査して確かめることができる。検査により特定されたいかなる問題又は動作不良もその後、電子回路組立体222を一体型診断器具10の上部ケース22に組付ける前に是正でき、あるいは動作不良の構成部品を廃棄することができる。
【0043】
ランシング機構16はハウジング12の上部ケース22に付着される。ハウジング12は、上部ケース22及び下部ケース24の両方に形成されたプランジャ開口100(図12〜13)を有する。端部キャップ62はプランジャ開口100にてハウジング12に着脱可能に取付けられる。プランジャ66は、プランジャ開口100を通じてハウジング12の内側からハウジング12の外側に、かつ戻って往復移動するようになされている。プランジャ66は、プランジャ66がプランジャ66の中央部分を貫通するシャフト70に沿って移動するのを許容するようになされた中空コア(図示せず)を有する。シャフト70は、ガイドブロック292上に位置する長穴78に嵌入するようになされた端部74を含む。長穴78はガイドブロック292にシャフト70を固定させ、スライダ90の移動によりプランジャ66が、シャフト70が不動の間にシャフト70に沿って移動するようにする。シャフト70は、プランジャ66とシャフト70の端部74との間に位置するばね82により少なくとも部分的に囲まれている。
【0044】
ランシング機構16は、ランセット86を利用して被検者の皮膚を突刺すようになされている。ランセット86はプラスチック基部106に埋め込まれ、該基部は端部キャップ62内に配置されたランセットホルダー110に着脱可能に取付けられている。基部106は、ランセット86が使用後に取外され、廃棄されることができるように、ランセットホルダー110に着脱可能に取付けられる。ランセットホルダー110の他端部はプランジャ66に連結される。従って、スライダ90によるプランジャ66の移動はランセットホルダー110を移動させ、該ランセットホルダーは今度はランセット86を駆動する。
【0045】
上述のように、一体型診断器具10は、センサーパック122についての較正及び生産情報を決定する較正回路を含み得る。図14に最も明らかなように、較正回路は下部ケース24内に位置するフレックス回路266を備える。フレックス回路266は自動較正ディスク268により下部ケース24の適所に保持され、該自動較正ディスクは一対のピン270によって下部ケース24に接続される。自動較正ディスク268は、一体型診断器具10が閉じられた時に、センサーパック122と係合しかつセンサーパック122を割出ディクス26に押付けるように形態付けられた中央迫上り部272を有する。自動較正ディスク268はまた、フレックス回路266の接触子276を露出させる、複数のピン270の間に位置する開口領域274を有する。
【0046】
フレックス回路266は、自動較正ディスク268の内側領域の孔280を通じてフレックス回路266から上方に延長する複数のプローブ278を備える。これらのプローブ278は、フレックス回路266の端部の接触子276に接続される。一体型診断器具10が閉じられ、下部ケース24が上部ケース22に係止されると、プローブ278は、一体型診断器具10で使用されているセンサーパック122の導電性ラベル198と接触する。発泡パッド282がフレックス回路266の下に位置決めされ、電気接続するのに十分な力でプローブ278が導電性ラベル198と当接するのを確実にするために付勢力を提供する。発泡パッド282はまた緩衝力を提供して、センサーパック122が割出ディスク26により回転される時にプローブ278が相互に独立して移動できるようにする。その結果、導電性ラベル198に包含された較正及び生産データ等の情報はプローブ278を介してフレックス回路266に伝送され、フレックス回路が今度は該データをエラストマーコネクタ284を介して回路基板組立体202の電子回路に連結する。この情報は次に一体型診断器具10を較正するために電子回路組立体222によって使用されることができ、あるいはディスプレイユニット54上に表示されることができる。
【0047】
図12に最も明らかなように、エラストマーコネクタ284は、上縁部286から底縁部288まで延長するシリコンゴムの層から製造され、上縁部286の接触子を底縁部288の接触子に接続するため、一つおきの導電性材料が分散された層を備える。上部ケース22と下部ケース24とが閉じられる、エラストマーコネクタ284は縁部286及び288の間で圧縮されて、上縁部286に沿った接触子は上部ケース22内の回路基板組立体202の電子回路と係合し、底縁部288に沿った接触子は下部ケース24内のフレックス回路266の接触子276と係合するようにされる。エラストマーコネクタ284がそのように圧縮されると、回路基板組立体202とフレックス回路266との間を低電圧信号がエラストマーコネクタ284を通じてたやすく伝送されることができる。
【0048】
エラストマーコネクタ284はガイドブロック292の長穴付きハウジング290により適所に保持される。図示の好ましい実施の形態において、長穴付きハウジング290は蛇行断面を有し、該蛇行断面は、上部ケース22及び下部ケース24が閉じられた時にコネクタ284が圧縮されるのを許容し、同時に上部ケース22と下部ケース24とが開かれた時にもエラストマーコネクタ284を保持するように形態付けられている。代替的に、長穴付きハウジング290は、コネクタ284の側部と係合する内方突出隆起部を含み得る。
【0049】
ディスク駆動機構200は、上部ケース22の上部内側表面に付着される。図12に最も明らかなように、ディスク駆動機構200は、上部ケース22の上部内側表面の棒(図示せず)と係合する複数の取付ねじ294によって上部ケースに取付けられる。取付ねじ294はまた、ディスク駆動機構200と上部ケース22との間に配置された電子回路組立体222及びランシング機構16を通過してこれらを固定する。
【0050】
ディスク駆動機構200を以下により詳細に説明するが、ディスク駆動機構200は、該ディスク駆動機構200を上部ケース22の上部内側表面に装着する前に組立てられかつその動作を検査できるように形態付けられていることに注意すべきである。言い換えれば、ディスク駆動機構200は、一体型診断器具10の最終組立前に検査されることができるモジュール式設計を有する。
【0051】
図15及び16に最も明らかなように、ディスク駆動機構200は、ガイドブロック292と、センサー作動装置220と、ハウジングガイド296と、ディスク駆動プッシャ204と、割出ディスク駆動アーム206と、ナイフ刃組立体214と、引張ハンドル28と、カバー機構298と、押ボタン解除装置32とを備える。ハウジングガイド296は、1つ又は複数のピン302によりガイドブロック292の上部表面300(図13に見て)に固定される。ディスク駆動プッシャ204は、該ディスク駆動プッシャ204がハウジングガイド296及びガイドブロック292に対し横方向に摺動するのを可能にするようにハウジングガイド296及びガイドブロック292上に支持される。ナイフ刃組立体214は、ディスク駆動プッシャ204の下面に枢動可能に接続され、かつハウジングガイド296及びガイドブロック292によって案内される。割出ディスク駆動アーム206もディスク駆動プッシャ204に接続され、かつ案内ブロック292によって部分的に案内される。引張ハンドル28は、スナッププレス取付具308により相互に接続された上部引張ハンドル304と下部引張ハンドル306とを備え、該取付具はディスク駆動プッシャ204の後端部312の孔310を通過する。図示の好ましい実施の形態において、上部引張ハンドル304と下部引張ハンドル306は、ユーザーの手の親指と他の指との間で引張ハンドル28を掴むのを容易にするため、各々凹状のざらざらした外側表面(すなわち、引張ハンドル28の上部及び底部表面)を有する。カバー機構298はガイドブロック292に付着され、ディスク駆動プッシャ204とハウジングガイド296とがそれらの間に配置される。センサー作動装置220はガイドブロック292に取付けられ、かつディスク駆動プッシャ204が検査位置にある時にディスク駆動プッシャ204の検査端部314によって係合される。押ボタン解除装置32はカバー機構298に摺動可能に接続され、ディスク駆動プッシャ204が検査位置にある時にディスク駆動プッシャ204の検査端部314と係合する。
【0052】
加えて、割出ディスク26は保持ディスク316によってディスク駆動機構200に回転可能に固定され、該保持ディスクは割出ディスク26を通じてガイドブロック292中に接続される。図16に最も明らかなように、保持ディスク316は一対のラッチアーム318を有し、該ラッチアームは割出ディスク26の中央孔320を通じて延長し、ガイドブロック292の開口322に係止される。割出ディスク26はその下部表面324から突き出る複数のピン323を含む。これらのピン323はセンサーパック122の切欠き186、190(図7参照)と係合し、割出ディスク26の位置と一致させてセンサーパック26を整列させ回転させるように形態付けられている。それ故、ピン323と切欠き186、190は、(i)センサーパック122が割出ディスク26と共に回転するようにセンサーパック122を割出ディスク26上に保持し、かつ(ii)割出ディスク26に対し適正な周方向整列にセンサーパック122を位置決めする、という二重の目的を有する。
【0053】
先に述べたように、ディスク駆動プッシャ204は、ユーザーが手動で引張ハンドル28に引張力を及ぼしてハンドル28を待機位置から延長位置に移動させることにより、ハウジング12の後端部36から(検査端部35からも)引離される。ハウジング12の後端部36から引張ハンドル28が引離されるにつれて、ディスク駆動プッシャ204は、ガイドブロック292、ハウジングガイド296及びカバー機構298によって後端部36に向けて案内される。ディスク駆動プッシャ204がハウジング12の後端部36に向けて後退摺動するにつれて、割出ディスク駆動アーム206が割出ディスク26を回転させる。
【0054】
割出ディスク駆動アーム206はディスク駆動プッシャ204から後方に延長する。割出ディスク駆動アーム206は、例えばステンレス鋼等のばね型材料から製造されて、アーム206をディスク駆動プッシャ204から外方に付勢する。カムボタン208は、アーム206の遠位端部に付着され、割出ディスク26の上部表面326(図15に見て)と係合するように形態付けられている。特に、割出ディスク駆動アーム206は、ガイドブロック292の長穴328を通じて下方に突き出るように曲げられて、カムボタン208が該ブロックの表面から外方に突出するようにする。長穴328は、検査手続中にディスク駆動プッシャ204が前後に移動するにつれて、割出ディスク駆動アーム206とカムボタン208とが該長穴328に沿って移動できるように設計されている。長穴328はまた、割出ディスク駆動アーム206がディスク駆動プッシャ204に対し側方に移動するのを防止する(すなわち、長穴は割出ディスク駆動アーム206に横方向の支持を提供する)。
【0055】
図15に最も明らかなように、割出ディスク26の上部表面326は、一連の曲線延長溝212と、複数の半径方向延長溝218とを備える。カムボタン208は、ディスク駆動プッシャ204の移動中にこれらの溝212及び218に沿って進行するように形態付けられている。ディスク駆動プッシャ204がハウジング12の後端部36に向けて摺動するにつれて、カムボタン208は曲線延長溝212の1つに沿って移動する。これにより割出ディスク26が回転する。図示の好ましい実施の形態において、割出ディスク26の周方向に等間隔の10の半径方向延長溝218と10の曲線延長溝212とがあり、各々の半径方向延長溝218は一対の曲線延長溝212の間に配置されている。よって、ディスク駆動プッシャ204が上部ケース22の後端部36に向けて移動すると、割出ディスク26が十分の一回転する結果となる。
【0056】
引張ハンドル28がハウジング12の後端部36から完全延長位置まで引離されるにつれて、カムボタン208は、曲線延長溝212の外側端部332を隣接した半径方向延長溝218から分離する外側段部330の上を通り過ぎる。外側段部330は、曲線延長溝212の外側端部332と、これと隣接した半径方向延長溝218の外側端部334との深さの違いによって形成される。特に、半径方向延長溝218の外側端部334は、曲線延長溝212の外側端部332よりも深くなっている。従って、カムボタン208が曲線延長溝212から隣接した半径方向延長溝218に進入すると、割出ディスク駆動アーム206の板ばね210の付勢力により、カムボタン208が外側段部330を過ぎて下方に進む。外側段部330は、ディスク駆動プッシャ204の進行方向が逆転された時に(以下に説明するように)、カムボタン208が曲線延長溝212の外側端部332に再進入するのを防止する。
【0057】
割出ディスク26の回転により、センサーパック122は同様に回転して、ハウジング12の検査端部35に隣接した待機位置に次の利用可能なセンサーキャビティ130が置かれる。センサーパック122は、センサーパック122の切欠き186、190が割出ディスク26のピン323により係合されているので割出ディスク26と共に回転する。上述のように、各々のセンサーキャビティ130は流体試料検査手続中に使用される使い捨てのセンサー126を包含する。
【0058】
さらなるディスク駆動プッシャ204の後方への移動は、ガイドブロック292の後壁部336により防止される。図示の好ましい実施の形態において、後壁部336は長穴付きハウジング290を含み、該ハウジングは、下部ケース24に配置されたフレックス回路266に電子回路組立体222を接続するエラストマーコネクタ284を保持するためのものである。ディスク駆動プッシャ204の内端部338は、ディスク駆動プッシャ204が完全延長位置(図5a参照)にある時に、ガイドブロック292の後壁部336と係合する。
【0059】
完全延長位置から、引張ハンドル28は次に手動で内方に向けて検査位置(図5b)に押込まれる。先に述べたように、引張ハンドル28の内方への移動により、ディスク駆動機構200がセンサーパック122からセンサー126を分配し、該センサー126を検査位置に置く。
【0060】
図15〜16に最も明らかなように、ディスク駆動機構200は、ディスク駆動プッシャ204に枢動可能に装着されたナイフ刃組立体214を含む。ナイフ刃組立体214は振りアーム340を備え、該振りアームは、一対の枢動ピン344によりディスク駆動プッシャ204に枢動可能に接続された第1の端部342を有する。ナイフ刃216は振りアーム340の第2の端部346に接続される。振りアーム340の第2の端部346はまた、各々横延長棒の形をした第1のカム従動子348と第2のカム従動子350とを含む。第1のカム従動子348は、ガイドブロック292、ハウジングガイド296、及びカバー機構298によりナイフ刃組立体214の一方の側に形成された通路に従うように形態付けられる。特に、この通路はハウジングガイド296のカム突出部352によって形成され、カム突出部352は、該カム突出部及びカバー機構298の間の上部通路354と、該カム突出部352及びガイドブロック292の間の下部通路356を形成する。第1のカム従動子348が上部通路354に配置されている時に、ナイフ刃216は引込位置にある。他方、第1のカム従動子348が下部通路356に配置されている時は、ナイフ刃216は延長位置にある。上部通路354と下部通路356とは、カム突出部352の両端にて一緒に接続されて、第1のカム従動子348がその周りを進むことができる連続的なループを形成する。
【0061】
第2のカム従動子350は、ハウジングガイド296に取付けられたカムばね358と係合する。以下に説明するように、カムばね358は、ディスク駆動プッシャ204が最初に待機位置から延長位置に向けて後方に引かれる時に、ナイフ刃組立体214を下部通路356から上部通路354へと案内する。ディスク駆動プッシャ204はまた、ディスク駆動プッシャ204が最初に延長位置から検査位置に向けて前方に押される時に、ナイフ刃216を延長位置に向けて付勢するばね360を備える。図示の好ましい実施の形態において、ばね360は振りアーム340の上部側部を押圧する板ばねである。
【0062】
引張ハンドル28が延長位置から検査位置に手動で押されるにつれて、ディスク駆動プッシャ204はハウジング12の検査端部35に向けて横方向に押される。ディスク駆動プッシャ204が前方に移動し始めると、ばね360は振りアーム340を割出ディスク26に向けて下方に付勢し、第1のカム従動子348がカム突出部352の内端部378の傾斜表面362と係合し、下部通路356に押込まれるようにする。これはナイフ刃216に延長位置をとらせ、これによってナイフ刃216は割出ディスク26のナイフ長穴217を通じて外方に突出し、センサーキャビティ130a〜jの1つを覆う保護フォイル142を突刺して、そこに包含されたセンサー126の接触端部136の切欠き146と係合する。ディスク駆動プッシャ204がハウジング12の検査端部35に向けて移動し続けると、第1のカム従動子348は下部通路356に沿って移動し続け、それによってナイフ刃216をナイフ長穴217を通じて突出する延長位置に止まらせ、そのためナイフ刃はナイフ長穴217に沿って進み、センサーキャビティ130からセンサー126を前方に、部分的には検査センサー開口20から押出して、ハウジング12の検査端部35における検査位置に押込むこととなる。センサー126は、センサー126の検査端部134がガイドブロック292の検査端部に形成されたセンサー開口364から、かつハウジング12に形成された検査センサー開口20を通じて突出した時に、検査位置に置かれる。検査位置にある間、センサー126は、ナイフ刃216がセンサー126の接触端部136の切欠き146と係合することによって、センサー開口364を通じて押戻されるのを防止される。
【0063】
ディスク駆動プッシャ204が検査位置に達すると、ディスク駆動プッシャ204の検査端部314は同時にセンサー作動装置220及びボタン解除装置32と係合する。特に、ディスク駆動プッシャ204の検査端部314はボタン解除装置32と係合しこれを外方に押し、上部ケース22の上部表面から上方に突出させる。同時に、ディスク駆動プッシャ204の検査端部314は、センサー作動装置220の接触パッド366と係合してセンサー作動装置220を下方に押しやる。この下方運動は、センサー作動装置220の一対の金属接触子221をガイドブロック292のセンサー開口364中に突出させ、流体試料検査手続のためにセンサー126の接触子150a〜bと係合させる。金属接触子221はまたセンサー126に摩擦力を加え、センサー126が検査手続完了前に尚早にセンサー開口364及び20から抜け落ちないようにする。図示の好ましい実施の形態において、金属接触子221は多少柔軟であり、ステンレス鋼から製造される。ハウジングガイド296は金属接触子221に隣接して配置された支持リブ297を含み、金属接触子221が曲るのを防止する。金属接触子221は、グルコース検査手続中に電気信号がセンサー126と電子回路組立体222との間で伝送されるのを可能にする。
【0064】
流体試料検査手続が完了した時に、押ボタン解除装置32を押圧して検査位置からセンサー126を開放する。押ボタン解除装置32は、ある角度でディスク駆動プッシャ204の検査端部314と係合する傾斜接触表面368を有する。押ボタン解除装置32が押圧されると、傾斜接触表面368はディスク駆動プッシャ204の検査端部314に沿って摺動し、これによってディスク駆動プッシャ204を検査位置から待機位置へと後方に移動させる。待機位置へのディスク駆動プッシャ204の移動はまた、ディスク駆動プッシャ204の検査端部314をセンサー作動装置220の接触パッド366から離脱させ、これによってセンサー作動装置220がセンサー126から離れ離脱するのを許容する。センサー126は次に、一体型診断器具10の検査端部35を下方に傾けることにより、又はセンサー126を掴んで一体型診断器具10から引離す力を加えることにより、取外すことができる。
【0065】
上述のように、ディスク駆動プッシャ204が延長位置から検査位置に向けて押される時に、割出ディスク駆動アーム206のカムボタン208は半径方向延長溝218の1つに沿って進み、割出ディスク26及びセンサーパック122が回転するのを防止する。半径方向延長溝218は、溝218の深さを変更する傾斜部分370を含む。特に、傾斜部分370は半径方向延長溝218の深さを減少させて、半径方向延長溝218の中間部分が曲線延長溝212より浅くなるようにする。半径方向延長溝218はまたその内側端部374近くに(すなわち、割出ディスク26の中心近くに)内側段部372を備える。内側段部372は、半径方向延長溝218の内側端部374と曲線延長溝212の内側端部376との接合部に沿って形成される。ディスク駆動プッシャ204が延長位置から検査位置に向けて押されるにつれて、カムボタン208は半径方向延長溝218の傾斜部分370を上り、内側段部372を過ぎ、そして隣接した曲線延長溝212内に進む。割出ディスク駆動アーム206の板ばね210の付勢力により、カムボタン208は内側段部372を過ぎて下方に進む。内側段部372は、ディスク駆動プッシャ204の進行方向が逆転された時に、カムボタン208が半径方向延長溝218に再進入するのを防止する(ディスク駆動プッシャ204の外方移動に関連して上述したように)。
【0066】
ディスク駆動プッシャ204が検査位置に到達すると、第1のカム従動子348はカム突出部352の外端部380を通り越す。同時に、第2のカム従動子350はカムばね358の端部の上を通り過ぎ、該カムばねは、第1のカム従動子348がカム突出部352の外端部380に接近するにつれて邪魔にならないように上方に引込む。一たび第1のカム従動子348がカムばね358の端部を通り越すと、カムばね358は下方に移動し、ディスク駆動プッシャ204の進行方向が逆転され延長位置に向けて外方に引張られる時に第2のカム従動子350と係合しこれを上方に案内する。特に、ディスク駆動プッシャ204が延長位置に向けて実質的に外方に引かれる時に、カムばね358は第2のカム従動子350を上方に案内して、第1のカム従動子348が上部通路354に入りかつナイフ刃216が引込むようにする。
【0067】
ディスク駆動プッシャ204は検査手続を始めるために外方に引かれる。ディスク駆動プッシャ204の外方への運動中に、割出ディスク駆動アーム206のカムボタン208は曲線延長溝212の1つに沿って進み、割出ディスク26を回転させる。この外方への運動中、ナイフ刃組立体214の第1のカム従動子348は上部通路354に沿って進む。その結果、ナイフ刃216は割出ディスク26のナイフ長穴217から引込み、割出ディスク26は曲線延長溝212内のカムボタン208の動きに応じて自由に回転することとなる。ディスク駆動プッシャ204が完全延長位置に到達すると、第1のカム従動子348はカム突出部352の内端部378を通り越して、ナイフ刃組立体214の振りアーム340のばね360の付勢力によって下部通路356中に案内される。
【0068】
一体型診断器具10を操作する前に、もしセンサーパック122が未だ装填されていなければ、又は先に装填したセンサーパック122のすべてのセンサー126がすでに使用されていたら、センサーパック122をまず一体型診断器具10に装填しなければならない。センサーパック122を装填するには、下部ケース24のラッチ388を押圧して下部ケース24と上部ケース22とを開く。図示の好ましい実施の形態において、下部ケース24と上部ケース22とを開くと、エラストマーコネクタ284が自動較正ディスク268の接触子276から分離されて、自動較正ディスク268と電子回路組立体222との電気的接続が絶たれる。これによって、センサーパック122の未使用センサー126の数をカウントする電子カウンタ(これは電子回路組立体222の一部である)が零(0)にリセットされる。
【0069】
開いたハウジング12を次にひっくり返して、図6に示すように、割出ディスク26の下部表面324が上向きとなるようにする。センサーパック122を次に、センサーパック122の外周に沿った切欠き186、190を割出ディスク26のピン323と整列させて、割出ディスク26の上に置く。下部ケース24を次に上部ケース22に枢動させて、ハウジング内にセンサーパック122を封入する。一たび下部ケース24がラッチ388により上部ケース22に固定されたら、一体型診断器具10は操作可能な状態である。
【0070】
以下は一体型診断器具10の操作の簡単な説明である。まず、ハウジング12の後端部36に隣接した待機位置(図1)からハウジング12の後端部36から離れた延長位置(図5a)に引張ハンドル28を手動で引く。引張ハンドル28の外方への移動は、一体型診断器具10をオンにする。引張ハンドル28の外方への移動はまた、割出ディスク駆動アーム206のカムボタン208を割出ディスク26の上部表面326の曲線延長溝212の1つに沿って進めさせて、割出ディスク26を全回転の十分の一だけ回転させる。割出ディスク26の回転により、センサーパック122が回転し、センサーキャビティ130a〜jの次のキャビティがハウジング12に形成された検査センサー開口20と整列した待機位置に置かれる。同時に、ナイフ刃組立体214が引込められ、割出ディスク26の中心に向けて移動される。
【0071】
次に、引張ハンドル28を延長位置(図5a)から検査位置(図5b)へと内方に手動で押す。引張ハンドル28の内方への移動はナイフ刃組立体214を下方に枢動させて、ナイフ刃216が待機位置のセンサーキャビティ130を覆う保護フォイル142の一部を突刺し、該センサーキャビティ130内のセンサー126と係合するようにする。引張ハンドル28がハウジング12に向けて後退し続けると、ナイフ刃組立体214がセンサー126をセンサーキャビティ130から押出し、ハウジング12の検査端部35における検査位置に押込む。同時に、割出ディスク駆動アーム206のカムボタン208が半径方向延長溝218の1つに沿って進み、割出ディスク26が回転するのを防止する。
【0072】
センサー126がセンサーキャビティ130から完全に押出され、ハウジング12の検査端部35から部分的に突出する検査位置に押込まれた後に、センサー作動装置220はセンサー126と係合して、センサー126を検査位置に保持し、かつセンサー126を電子回路組立体222に連結させる。センサーの検査端部134を次に検査されるべき流体試料中に挿入し、これによって流体試料を電気回路組立体222により分析する。分析の結果は次に一体型診断器具10のディスプレイユニット54上に表示される。
【0073】
流体試料が全血試料である実施の形態において、ランシング機構16を利用して試料を生成することができる。被検者の皮膚に穴を開けるためランセット86を使用する際に、ユーザーはハウジング12によって一体型診断器具10を掴み、スライダ90を矢印Aの方向(図2)に移動させて、ランシング機構16の撃鉄を起こす。スライダ90の矢印A方向の移動は、プランジャ66をも矢印Aの方向に移動させる。これによりばね82(図12)が圧縮される。一たびばね82が十分に圧縮されたら、ロック機構(図示せず)がばね82が圧縮解除するのを妨げる。スライダ90を元の位置に復帰させるために第2のばね(図示せず)を使用してもよい。第2のばねは、スライダ90が矢印Aの方向に移動する時にスライダ90(又はそのハウジング中への延長部)によって圧縮され得る。スライダ90を放すと、第2のばねが次に圧縮解除して、スライダ90をスライダードック88に到達するまで矢印B方向に押戻すことができる。
【0074】
一たびばね82が圧縮されてロックされたら、ユーザーは次に端部キャップ62の面102(図4及び12)を被検者の皮膚と接触させ得る。ユーザーは発射ボタン98を押圧し、これによってロック機構(図示せず)がばね82を解放する。ばね82は次に速やかに圧縮解除し、プランジャ66を矢印Bの方向に、そしてハウジングのプランジャ開口100中に部分的にかつこれを貫くように移動させる。このプランジャ66の移動は、ランセット86をランシング機構16の端部キャップ62から延長させ又はこれを越えて延長させて、ランセット86を被検者の皮膚中に前進させる。
【0075】
被検者の皮膚のランセット切開中に、端部キャップ62の面102は被検者の皮膚のある部位(例えば、前腕又は指)に置かれる。プランジャ66はばね82によって速やかに矢印Bの方向に移動されて、ランセット86が完全に端部キャップ62内に包含される引込位置から、ランセット86が端部キャップ62の開き口114を通じて被検者の皮膚中に延長するランセット切開位置まで前進する。設定点を越えたランセット86の端部キャップ62からの移動は、プランジャ66、シャフト70、あるいは端部キャップ62内に設けられた一つ又は複数のランセットストップ(図示せず)によって抑制し得る。1つ又は複数のランセットストップは、ランセット86が被検者の皮膚中に前進する時にランセット86の基部106と接触するようになされ得る。このようにして、ランシング機構16は各々のランセット切開において均一の穴の深さを提供し得る。
【0076】
一たび流体試料の分析が完了したら、上部ケース22のボタン解除装置32を押圧して、センサー作動装置220を離脱させ、センサー126を取外すようにする。
代替的な実施の形態A
流体試料を分析する一体型診断器具であって、
外部、及び該外部に形成されたセンサー開口を有するハウジングと、
複数のセンサーキャビティを有するセンサーパックにして、該複数のセンサーキャビティの各々が検査センサーを収納するようになされており、該検査センサーが前記流体試料中の分析物濃度の測定を支援するようになされている、センサーパックと、
前記ハウジング内に配置され、かつ待機位置、延長位置、及び検査位置の間を移動可能なディスク駆動機構にして、該ディスク駆動機構は該ディスク駆動機構が位置間を移動されるにつれて前記センサーパックから検査センサーを取出し、かつ前記ハウジングの前記センサー開口から該検査センサーを部分的に押し出す、ディスク駆動機構と、
ランシング機構にして、
(i)ランセットの基部と着脱可能に係合するようになされているランセットホルダーと、
(ii)前記ランセットホルダーに連結されたプランジャにして、中央部分を有するプランジャと、
(iii)前記プランジャの前記中央部分を貫通するシャフトにして、該プランジャが該シャフトに沿って移動するようになされており、該シャフトは前記一体型診断器具に該シャフトを固定するようになされている端部を有する、シャフトと、
(iv)前記シャフトを少なくとも部分的に囲むばねにして、前記プランジャと前記シャフトの前記端部との間に位置するばねと、
(v)前記ハウジングの前記外部上のレール上に位置するスライダにして、該スライダは該レールに沿って第1の方向に移動して前記ばねを圧縮するようになされており、かつ該ばねの圧縮解除が前記プランジャ及びランセットホルダーを前記第1の方向とは反対の第2の方向に速やかに移動させる、スライダとを有するランシング機構と、を備える、一体型診断器具。
代替的な実施の形態B
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記ランシング機構はスライダードック上に位置する発射ボタンをさらに有し、該発射ボタンは該発射ボタンが押圧された時に前記ばねが速やかに圧縮解除するのを許容するようになされている、一体型診断器具。
代替的な実施の形態C
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記ランシング機構は前記プランジャを覆う端部キャップをさらに有し、該端部キャップは、前記ばねが前記プランジャ及びランセットホルダーを前記第2の方向に移動させることができる距離を調節するようになされている、一体型診断器具。
代替的な実施の形態D
代替的な実施の形態Cの一体型診断器具において、前記端部キャップは前記ハウジングに着脱可能に取付けられている、一体型診断器具。
代替的な実施の形態E
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記ディスク駆動機構は、該ディスク駆動機構が前記延長位置から前記検査位置に移動されるにつれて、前記センサーパックから前記検査センサーを取出し、かつ前記センサー開口から該検査センサーを部分的に押し出す、一体型診断器具。
代替的な実施の形態F
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記センサーパックは実質的に円形である、一体型診断器具。
代替的な実施の形態G
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記検査センサーは、前記センサーキャビティをフォイルで密閉することによって前記センサーパックの前記センサーキャビティ内に格納される、一体型診断器具。
代替的な実施の形態H
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記検査センサーは、前記流体試料中の分析物濃度の測定を電気化学的に支援するようになされている、一体型診断器具。
代替的な実施の形態I
代替的な実施の形態Aの一体型診断器具において、前記ランシング機構は前記センサー開口から少なくとも20度芯ずれしている、一体型診断器具。
代替的なプロセスJ
流体試料を採取し該試料中の分析物の濃度を分析する方法であって、
一体型診断器具のハウジング内の割出ディスクにセンサーパックを装着する行為にして、該センサーパックが各々が検査センサーを収納するようになっている複数のセンサーキャビティを有し、該検査センサーが前記流体試料中の分析物濃度の測定を支援するようになっている、行為と、
ディスク駆動機構を作動させて、前記センサーパックから検査センサーを取出し、かつ前記ハウジングのセンサー開口から該検査センサーを部分的に押し出す行為と、
ランシング機構で被検者の皮膚をランセット切開して流体試料を得る行為にして、該ランシング機構が前記一体型診断器具の前記ハウジング内に少なくとも部分的に包含され、前記一体型診断器具がランセット切開の時に第1の位置にある、行為と、
前記一体型診断器具を前記第1の位置から第2の位置に移動させる行為と、
前記得られた被検者からの流体試料を前記部分的に押し出された検査センサーに付ける行為にして、前記得られた流体試料をつける時に前記一体型診断器具が前記第2の位置にある、行為と、
前記流体試料の前記分析物濃度を測定する行為とを備える、方法。
代替的なプロセスK
代替的なプロセスJの方法において、前記皮膚の前記ランセット切開行為が、
(i)スライダを第1の方向に移動させる行為にして、該スライダの該移動がプランジャを該第1の方向に移動させてばねを圧縮する、行為と、
(ii)発射ボタンを押圧し、前記ばねを圧縮解除させて前記プランジャを前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動させる行為とを含む、方法。
代替的なプロセスL
代替的なプロセスJの方法において、前記流体試料は全血試料である、方法。
代替的なプロセスM
代替的なプロセスJの方法において、前記分析物は全血試料中のグルコースである、方法。
代替的なプロセスN
代替的なプロセスJの方法において、前記センサーパックは、上部ケースに対し下部ケースを枢動させて前記割出ディスクにアクセスすることにより該割出ディスクに装着され、前記下部ケース及び前記上部ケースが前記ハウジングを形成する、方法。
代替的なプロセスO
代替的なプロセスJの方法において、実質的に円形のセンサーパックが前記割出ディスクに装着される、方法。
代替的なプロセスP
代替的なプロセスJの方法において、前記流体試料中の前記分析物濃度の前記測定は、該流体試料の電化化学的分析を通じて行われる、方法。
代替的なプロセスQ
代替的なプロセスJの方法において、前記一体型診断器具は、前記第1の位置から前記第2の位置まで少なくとも20度移動される、方法。
代替的なプロセスR
代替的なプロセスJの方法において、前記一体型診断器具は前記第1の位置から前記第2の位置まで少なくとも45度移動される、方法。
【0077】
本発明は各種の改変や代替的な形態を受けやすいものであるが、その具体的な実施の形態及び方法を一例として図面に示し、また本書にて詳細に説明した。しかしながら、これらの開示した特定の形態又は方法に本発明を限定することを意図するものではなく、逆に、本発明は添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神及び範囲に入るすべての改変例、均等物及び代替例を含むものであることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の1つの実施の形態による一体型診断器具の上部斜視図である。
【図2】図1の一体型診断器具の平面図である。
【図3】図1の一体型診断器具の底面図である。
【図4】図1の一体型診断器具の上部斜視側面図である。
【図5】図5aは、引張ハンドルが延長位置にある、図1の一体型診断器具の上部斜視図である。図5bは、引張ハンドルが図5aの延長位置から検査位置に移動された後の、図1の一体型診断器具の上部斜視図である。
【図6】開き位置にある、図1の一体型診断器具の上部斜視図である。
【図7】本発明の1つの実施の形態による、図1の一体型診断器具に使用されるセンサーパックの分解斜視図である。
【図8】図7のセンサーパックのベース部の下部斜視図である。
【図9】図7のセンサーパックのベース部の側面図である。
【図10】図7のセンサーパックのベース部の平面図である。
【図11】本発明の1つの実施の形態による、図7に図示するセンサーパックのセンサーキャビティに密閉されるようになっている検査センサーの上部斜視図である。
【図12】本発明の1つの実施の形態による、図1の一体型診断器具を構成する部分組立体の分解斜視図である。
【図13】図1の一体型診断器具の上部ケース部分の組立体の構成部品の分解斜視図である。
【図14】図1の一体型診断器具の下部ケース部分の組立体の構成部品の分解斜視図である。
【図15】図1の一体型診断器具のディスク駆動機構及び割出ディスクの構成部品の分解平面斜視図である。
【図16】図1の一体型診断器具のディスク駆動機構及び割出ディスク部分の組立体の構成部品の分解底面斜視図である。
【図17】図1の一体型診断器具のバッテリートレー部分の組立体の構成部品の分解斜視図である。
【図18】図1の一体型診断器具の電子回路組立体の構成部品の分解斜視図である。
【図19】図1の一体型診断器具の電子回路部分の組立体の平面斜視図である。
【図20】図1の一体型診断器具の電子回路部分の組立体の底面斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10・・・・・・一体型診断器具
12・・・・・・ハウジング
16・・・・・・ランシング機構
20・・・・・・センサー開口
26・・・・・・割出ディスク
66・・・・・・プランジャ
70・・・・・・シャフト
82・・・・・・ばね
86・・・・・・ランセット
90・・・・・・スライダ
94・・・・・・レール
110・・・・・・ランセットホルダー
122・・・・・・センサーパック
126・・・・・・検査センサー
130・・・・・・センサーキャビティ
200・・・・・・ディスク駆動機構
A・・・・・・第1の方向
B・・・・・・第2の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料を分析する一体型診断器具であって、
外部、及び該外部に形成されたセンサー開口を有するハウジングと、
複数のセンサーキャビティを有するセンサーパックにして、該複数のセンサーキャビティの各々が検査センサーを収納するようになされており、該検査センサーが前記流体試料中の分析物濃度の測定を支援するようになされている、センサーパックと、
前記ハウジング内に配置され、かつ待機位置、延長位置、及び検査位置の間を移動可能なディスク駆動機構にして、前記位置間を移動せしめられるにつれて、前記センサーパックから前記検査センサーを取出し、かつ前記ハウジングの前記センサー開口から該検査センサーを部分的に押し出すようになされている、ディスク駆動機構と、
ランシング機構にして、
(i)ランセットの基部と着脱可能に係合するようになされているランセットホルダーと、
(ii)前記ランセットホルダーに連結されたプランジャにして、中央部分を有するプランジャと、
(iii)前記プランジャの前記中央部分を貫通するシャフトにして、前記一体型診断器具に該シャフトを固定するようになされている端部を有しており、前記プランジャは該シャフトに沿って移動するようになされている、シャフトと、
(iv)前記シャフトを少なくとも部分的に囲むばねにして、前記プランジャと前記シャフトの前記端部との間に位置するばねと、
(v)前記ハウジングの前記外部上のレール上に位置するスライダにして、該スライダは該レールに沿って第1の方向に移動して前記ばねを圧縮するようになされており、かつ該ばねの圧縮解除が前記プランジャ及びランセットホルダーを前記第1の方向とは反対の第2の方向に速やかに移動させるようになされている、スライダと、を有するランシング機構と、
を備える、前記一体型診断器具。
【請求項2】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記ランシング機構はスライダードック上に位置する発射ボタンをさらに有し、該発射ボタンは該発射ボタンが押圧された時に前記ばねが速やかに圧縮解除するのを許容するようになされている、前記一体型診断器具。
【請求項3】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記ランシング機構は前記プランジャを覆う端部キャップをさらに有し、該端部キャップは、前記ばねが前記プランジャ及びランセットホルダーを前記第2の方向に移動させることができる距離を調節するようになされている、前記一体型診断器具。
【請求項4】
請求項3に記載の一体型診断器具において、前記端部キャップは前記ハウジングに着脱可能に取付けられている、前記一体型診断器具。
【請求項5】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記ディスク駆動機構は、該ディスク駆動機構が前記延長位置から前記検査位置に移動せしめられるにつれて、前記センサーパックから前記検査センサーを取出し、かつ前記センサー開口から該検査センサーを部分的に押し出すようになされている、前記一体型診断器具。
【請求項6】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記センサーパックは実質的に円形である、前記一体型診断器具。
【請求項7】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記検査センサーは、前記センサーキャビティをフォイルで密閉することによって前記センサーパックの前記センサーキャビティ内に格納される、前記一体型診断器具。
【請求項8】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記検査センサーは、前記流体試料中の分析物濃度の測定を電気化学的に支援するようになされている、前記一体型診断器具。
【請求項9】
請求項1に記載の一体型診断器具において、前記ランシング機構は前記センサー開口から少なくとも20度芯ずれしている、前記一体型診断器具。
【請求項10】
流体試料を採取し該試料中の分析物の濃度を分析する方法であって、
一体型診断器具のハウジング内の割出ディスクにセンサーパックを装着する行為にして、該センサーパックが、各々が検査センサーを収納するようになっている複数のセンサーキャビティを有し、該検査センサーが前記流体試料中の分析物濃度の測定を支援するようになっている、行為と、
ディスク駆動機構を作動させて、前記センサーパックから検査センサーを取出し、かつ前記ハウジングのセンサー開口から該検査センサーを部分的に押し出す行為と、
ランシング機構で被検者の皮膚をランセット切開して流体試料を得る行為にして、該ランシング機構が前記一体型診断器具の前記ハウジング内に少なくとも部分的に包含され、前記一体型診断器具がランセット切開の時に第1の位置にある、行為と、
前記一体型診断器具を前記第1の位置から第2の位置に移動させる行為と、
前記得られた被検者からの流体試料を前記部分的に押し出された検査センサーに付ける行為にして、前記得られた流体試料をつける時に前記一体型診断器具が前記第2の位置にある、行為と、
前記流体試料の前記分析物濃度を測定する行為と、を備える、前記方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記皮膚の前記ランセット切開行為が、
(i)スライダを第1の方向に移動させる行為にして、該スライダの該移動がプランジャを該第1の方向に移動させてばねを圧縮する、行為と、
(ii)発射ボタンを押圧し、前記ばねを圧縮解除させて前記プランジャを前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動させる行為とを含む、前記方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記流体試料は全血試料である、前記方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、前記分析物は全血試料中のグルコースである、前記方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法において、前記センサーパックは、上部ケースに対し下部ケースを枢動させて前記割出ディスクにアクセスすることにより該割出ディスクに装着され、前記下部ケース及び前記上部ケースが前記ハウジングを形成する、前記方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、実質的に円形のセンサーパックが前記割出ディスクに装着される、前記方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法において、前記流体試料中の前記分析物濃度の前記測定は、該流体試料の電化化学的分析を通じて行われる、前記方法。
【請求項17】
請求項10に記載の方法において、前記一体型診断器具は、前記第1の位置から前記第2の位置まで少なくとも20度移動される、前記方法。
【請求項18】
請求項10に記載の方法において、前記一体型診断器具は前記第1の位置から前記第2の位置まで少なくとも45度移動される、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2009−504273(P2009−504273A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526243(P2008−526243)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/031453
【国際公開番号】WO2007/021979
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】