説明

体液採取用回路基板およびバイオセンサ

【課題】構成部品のアッセンブリを低減することができ、しかも、装置の小型化を図ることができ、さらには、測定信頼性の向上を図ることができる、体液採取用回路基板、および、その体液採取用回路基板を備えるバイオセンサを提供すること。
【解決手段】体液採取用回路基板1Aは、穿刺針9を有する第1基板6と、第1基板6に対して、穿刺針9の穿刺方向上流側に間隔を隔てて配置される第2基板7と、第1基板6と第2基板7とに架設されるベース絶縁層3と、電極11、端子12、および、電極11および端子12を電気的に接続する配線13を、一体的に備え、ベース絶縁層3に設けられる導体パターン4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液採取用回路基板およびバイオセンサ、詳しくは、体液採取用回路基板およびこれを備えるバイオセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
穿刺針の穿刺により出血させ、その血液を電極上に塗布されている試薬と反応させることにより、血糖値などを測定するバイオセンサが知られている。
【0003】
例えば、穿刺針およびバイオセンサチップを、駆動部によって同時に駆動し、穿刺針により穿刺するとともにバイオセンサチップにより試料を採取する一方、バイオセンサチップと、バイオセンサチップからの情報に基づいて試料を分析・測定する測定装置とを、変形可能な配線によって接続する、バイオセンサシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−282864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるバイオセンサシステムでは、穿刺針およびバイオセンサチップが別々で設けられており、さらには、バイオセンサチップおよび測定装置が、変形可能な配線により接続されている。そのため、構成部品のアッセンブリに手間がかかり、装置も大型化するという不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、構成部品のアッセンブリを低減することができ、しかも、装置の小型化を図ることができ、さらには、測定信頼性の向上を図ることができる、体液採取用回路基板、および、その体液採取用回路基板を備えるバイオセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の体液採取用回路基板は、穿刺針を有する第1基板と、前記第1基板に対して、前記穿刺針の穿刺方向上流側に間隔を隔てて配置される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とに架設される可撓性絶縁層と、電極、端子、および、前記電極および前記端子を電気的に接続する配線を、一体的に備え、前記可撓性絶縁層に設けられる導体パターンとを備えていることを特徴としている。
【0007】
この体液採取用回路基板では、電極、端子および配線を一体的に備える導体パターンが、穿刺針を有する第1基板と第2基板とに架設される可撓性絶縁層に設けられている。そのため、構成部品のアッセンブリを低減することができる。また、装置の小型化を図ることができる。さらに、配線は、導体パターンとして、可撓性絶縁層に設けられている。そのため、断線の発生を低減することができ、測定信頼性の向上を図ることができる。
【0008】
また、本発明の体液採取用回路基板では、前記端子は、厚み方向に投影したときに、前記第2基板と重なるように配置されていることが好適である。
【0009】
端子が第2基板と重なるように配置されていると、端子を確実に支持することができる。そのため、端子と、それに電気的に接続される外部測定装置との接続信頼性を向上させることができ、測定信頼性の向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明の体液採取用回路基板では、前記電極は、厚み方向に投影したときに、前記第1基板と重なるように配置されていることが好適である。
【0011】
電極が第1基板と重なるように配置されていると、電極を穿刺針の近傍に配置することができる。そのため、穿刺針の穿刺により流出させた体液を、電極と容易に接触させることができる。その結果、体液の成分を簡便に測定することができる。
【0012】
また、本発明の体液採取用回路基板では、前記電極は、厚み方向に投影したときに、前記第1基板および前記第2基板の間と重なるように配置されていることも好適である。
【0013】
電極が第1基板および前記第2基板の間と重なるように配置されていると、可撓性絶縁層の屈曲により、穿刺針と電極とを接触させることができる。そのため、穿刺後に穿刺針に付着している体液を、電極に接触させることができる。その結果、体液の成分を簡便に測定することができる。
【0014】
また、本発明の体液採取用回路基板では、前記電極は、厚み方向に投影したときに、前記第2基板と重なるように配置されていることが好適である。
【0015】
電極が第2基板と重なるように配置されていると、電極を確実に支持することができる。そのため、穿刺針の穿刺により流出させた体液を、電極と確実に接触させることができる。その結果、体液の成分を確実に測定することができる。
【0016】
また、本発明のバイオセンサは、筐体と、上記した体液採取用回路基板とを備え、前記体液採取用回路基板は、前記筐体内に収容され、前記第2基板が固定されるとともに、前記第1基板が前記筐体内から前記筐体外へ進出できるように支持されていることを特徴としている。
【0017】
このバイオセンサによれば、穿刺針を有する第1基板を、筐体内から筐体外へ進出できるので、不使用時には、穿刺針を筐体内に格納しておき、使用時には、穿刺針を筐体外へ進出させることができる。そのため、不使用時においては、穿刺針の露出を防止して、安全性の向上および穿刺針の損傷を防止することができる。また、第2基板が固定され、第1基板が進出するので、構成の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の体液採取用回路基板によれば、構成部品のアッセンブリを低減することができる。また、装置の小型化を図ることができる。さらに、配線の断線の発生を低減することができ、測定信頼性の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明のバイオセンサによれば、安全性の向上、穿刺針の損傷の防止、および、構成の簡略化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の体液採取用回路基板の第1実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のA−A線断面図である。
【0021】
図1において、この体液採取用回路基板1Aは、患者が指などの皮膚を穿刺して採血し、採血した血液中のグルコース量を測定するための、バイオセンサとしてのグルコースセンサ21A(図3参照)に実装される。
【0022】
この体液採取用回路基板1Aは、図1(c)に示すように、金属基板2と、その金属基板2の上に形成される、可撓性絶縁層としてのベース絶縁層3と、そのベース絶縁層3の上に形成される導体パターン4と、その導体パターン4を被覆するように、ベース絶縁層3の上に形成されるカバー絶縁層5とを備えている。
【0023】
金属基板2は、金属箔または金属薄板から形成されている。金属基板2を形成する金属材料としては、例えば、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス(SUS304、SUS430、SUS316L)などが用いられる。好ましくは、ステンレスが用いられる。
【0024】
また、金属基板2の厚みは、例えば、10〜300μm、好ましくは、20〜100μmである。厚みが10μm未満であると、強度不足により皮膚に穿刺できない場合がある。一方、厚みが300μm超過であると、穿刺時に痛みを感じ、皮膚が過度に損傷する場合がある。
【0025】
金属基板2は、第1基板6と、第2基板7とを備えている。第1基板6は、図1(a)に示すように、体液採取用回路基板1Aの長手方向(以下、長手方向とする。)と直交する幅方向(以下、幅方向とする。)に延びる平面視略矩形平板形状の針支持部8と、その針支持部8から、突出する穿刺針9とを一体的に備えている。
【0026】
穿刺針9は、針支持部8の長手方向一端面の幅方向中央から、長手方向に沿って、針支持部8から連続して突出するように、設けられている。穿刺針9は、先端が鋭角に尖る平面視略三角形状(二等辺三角形状)に形成されている。先端の角度θは、例えば、10〜30°、好ましくは、15〜25°である。先端の角度θが10°未満であると、強度不足により皮膚に穿刺できない場合がある。一方、角度θが30°超過であると、穿刺しにくい場合がある。また、穿刺針6の長手方向長さは、例えば、0.5〜5mmである。
【0027】
また、針支持部8における長手方向一端面(すなわち、針支持部8の穿刺方向下流側端面)は、穿刺針9の基端から幅方向両側に膨出しており、穿刺針9のそれ以上の穿刺を規制するためのストッパ10とされている。すなわち、ストッパ10は、穿刺針9における穿刺方向下流側端部に配置されており、ストッパ10の穿刺針9から幅方向両側への突出長さは、例えば、0.1〜2mmである。
【0028】
第2基板7は、第1基板6に対して、穿刺方向上流側(図1における左側)に間隔を隔てて配置されている。第2基板7は、幅方向に延びる平面視略矩形平板形状に形成されている。第2基板7の長手方向長さは、第1基板6のそれより長く、第2基板7の幅方向長さは、第1基板6のそれと同幅で形成されている。第1基板6と第2基板7との間隔は、血糖値測定装置31Aのサイズ、用途および目的により、適宜選択される。
【0029】
ベース絶縁層3は、第1基板6と第2基板7とに架設されるように、設けられている。
【0030】
ベース絶縁層3は、絶縁性の可撓性フィルムから形成されている。ベース絶縁層3を形成する絶縁材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂が用いられる。機械耐久性および耐薬品性の観点から、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられる。
【0031】
また、ベース絶縁層3の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜25μmである。厚みが3μm未満であると、ピンホールなどの絶縁欠陥が発生する場合がある。一方、厚みが50μm超過であると、可撓性が不良となり、切断や外形加工がしにくくなる場合がある。
【0032】
ベース絶縁層3は、長手方向に延びる平面視矩形状に形成されている。また、ベース絶縁層3は、幅方向において、金属基板2よりやや幅狭に形成されている。ベース絶縁層3の穿刺方向上流側端部は、第2基板6の上面を被覆するように、第2基板6の上に積層されている。ベース絶縁層3の穿刺方向下流側端部は、第1基板7の上面を被覆するように、第1基板7の上に積層されている。ベース絶縁層3の穿刺方向下流側端縁は、図1においては、第1基板6のそれと、平面視において同一位置に配置されているが、第1基板6のそれを被覆するように、形成することもできる。ベース絶縁層3の穿刺方向下流側端縁が、第1基板6の穿刺方向下流側端縁、すなわち、ストッパ10を被覆すれば、穿刺時における皮膚のストッパ10に対する当接を、緩衝することができる。
【0033】
導体パターン4は、3つの電極11、3つの端子12および3本の配線13を、一体的に備えている。
【0034】
導体パターン4は、金属箔などの導体箔から形成されている。導体パターン4を形成する導体材料としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、銅、金、銀、白金、またはそれらの合金などの金属材料が用いられる。導体材料は、ベース絶縁層3やカバー絶縁層5との密着性や加工容易性の観点から、適宜選択される。また、2種類以上の導体材料を積層することもできる。
【0035】
また、導体パターン4の厚みは、例えば、5〜50μm、好ましくは、10〜20μmである。
【0036】
3つの電極11は、導体パターン4の厚み方向に投影したときに、第1基板6と重なるように配置されている。具体的には、3つの電極11は、針支持部8に対応するベース絶縁層3の上に配置されている。これら電極11は、幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されており、そのうち2つが、幅方向に間隔を隔てて並列配置され、残りの1つが、上記2つの間において、それら2つよりも、穿刺方向下流側に配置されている。
【0037】
3つの電極11は、それぞれ、作用極、対極または参照電極のいずれかに対応している。各電極11の一辺の長さは、例えば、100μm〜2.5mmである。
【0038】
また、3つの電極11は、穿刺方向において、穿刺針6の先端から、例えば、0.2〜5mm、好ましくは、0.5〜3mm以内に配置されている。穿刺針6の先端と電極11との間が短すぎると、電極11が穿刺針6とともに皮膚に刺さり、電極11の表面に塗布された薬剤16(後述)が、体内に拡散して正確な測定を阻害する場合がある。一方、穿刺針6の先端と電極11との間が長すぎると、穿刺針6から電極11へ血液を導入するために、吸引や毛細管現象を利用するための構成が必要となる。
【0039】
3つの端子12は、3つの電極11に対応して設けられ、導体パターン4の厚み方向に投影したときに、第2基板7と重なるように配置されている。具体的には、3つの端子12は、第2基板7に対応するベース絶縁層3の上に配置されている。これら端子12は、電極11よりやや小さい平面視略矩形状(略正方形状)に形成されている。また、3つの端子12は、幅方向に間隔を隔てて並列配置されている。
【0040】
3本の配線13は、第1基板6、第2基板7およびそれらの間に対応するベース絶縁層3の上に配置されている。3本の配線13は、幅方向に間隔を隔てて並列配置されており、各電極11と対応する各端子12とをそれぞれ電気的に接続するように、長手方向に沿って設けられている。
【0041】
各電極11と、対応する各端子12と、それらに接続される配線13とは、連続して一体的に設けられている。各配線13の幅方向長さは、例えば、0.01〜2mmであり、各配線13の長手方向長さは、ベース絶縁層3の長手方向長さに対応して、適宜選択される。
【0042】
カバー絶縁層5は、各配線13を被覆するように、ベース絶縁層3の上に設けられている。具体的には、カバー絶縁層5の穿刺方向下流側端縁は、3つの電極11が露出するように、それらよりも穿刺方向上流側において、幅方向に沿って一直線上に形成されている。また、カバー絶縁層5の穿刺方向上流側端縁は、3つの端子12が露出するように、それらよりも穿刺方向下流側において、幅方向に沿って一直線上に形成されている。
【0043】
カバー絶縁層5を形成する絶縁材料としては、上記したベース絶縁層3のそれと同様の絶縁材料が用いられる。カバー絶縁層5の厚みは、例えば、2〜50μmである。
【0044】
図2は、採血用配線回路基板1Aの製造方法の一例を示す製造工程図である。次に、図2を参照して、採血用配線回路基板1Aの製造方法を説明する。
【0045】
採血用配線回路基板1Aは、補強板が付設されているフレキシブルプリント配線回路基板を製造する公知の方法と、同様の方法により、製造することができる。
【0046】
すなわち、この方法では、まず、図2(a)に示すように、金属基板2を用意する。金属基板2は、例えば、金属基板2を多数確保できる長尺の金属箔として用意する。その長尺の金属箔から、各金属基板2を外形加工(後述)することにより、複数の採血用配線回路基板1Aを製造する。
【0047】
次いで、この方法では、図2(b)に示すように、金属基板2の表面に、ベース絶縁層3を形成する。ベース絶縁層3の形成は、例えば、金属基板2の表面に、感光性の合成樹脂ワニスを塗布し、フォト加工後に硬化させる方法、例えば、金属基板2の表面に合成樹脂のフィルムを積層し、そのフィルムの表面にベース絶縁層3と同一パターンのエッチングレジストを積層し、その後、エッチングレジストから露出するフィルムをウエットエッチングする方法、例えば、金属基板2の表面に、予め機械打ち抜きした合成樹脂のフィルムを積層する方法、例えば、金属基板2の表面に、合成樹脂のフィルムを積層した後、放電加工またはレーザ加工する方法などが用いられる。加工精度の観点から、好ましくは、金属基板2の表面に、感光性の合成樹脂ワニスを塗布し、フォト加工後に硬化させる方法が用いられる。
【0048】
その後、この方法では、図2(c)に示すように、導体パターン4を形成する。導体パターン4の形成は、アディティブ法やサブトラクティブ法など、プリント配線を形成する公知のパターンニング法が用いられる。微細パターンを形成できる観点から、好ましくは、アディティブ法が用いられる。アディティブ法では、例えば、ベース絶縁層3の表面に、化学蒸着やスパッタリグにより金属薄膜14を形成し、その金属薄膜14の表面にめっきレジストを形成した後、めっきレジストから露出する金属薄膜14の表面に、金属薄膜14を種膜として、電解めっきによりめっき層15を形成する。これによって、金属薄膜14およびめっき層15から導体パターン4を形成する。
【0049】
また、導体パターン4は、化学蒸着やスパッタリングにより金属薄膜14のみから形成することもできる。
【0050】
なお、導体パターン4の形成では、電極11の表面および端子12の表面には、さらに電解めっきや無電解めっきより、異種の金属のめっき層を形成することもできる。
【0051】
次いで、この方法では、図2(d)に示すように、カバー絶縁層5を形成する。カバー絶縁層5の形成は、ベース絶縁層3を形成する方法と、同様の方法が用いられる。好ましくは、ベース絶縁層3の表面に、各電極11および各端子12を露出し、各配線13を被覆するように、感光性の合成樹脂ワニスを塗布し、フォト加工後に硬化させる方法が用いられる。
【0052】
その後、図2(e)に示すように、金属基板2を外形加工する。金属基板2の外形加工は、例えば、放電加工、レーザ加工、機械打ち抜き加工、エッチング加工などが用いられる。加工後の洗浄が容易である観点から、好ましくは、エッチング加工(ウエットエッチング)が用いられる。
【0053】
これによって、採血用配線回路基板1Aを得ることができる。得られた採血用配線回路基板1Aには、その電極11に、図2(f)に示すように、薬剤16、すなわち、酵素として、例えば、グルコースオキシダーゼ、グリコースデヒドロゲナーゼなどや、例えば、メディエータとして、例えば、フェリシアン化カリウム、フェロセン、ベンゾキノンなどが、単独または組み合わせて塗布される。なお、薬剤16の塗布には、例えば、浸漬法、スプレー法、インクジェット法など適宜の方法が用いられる。
【0054】
また、薬剤16の種類によっては、電極11の表面に、上記したように、異種の金属のめっき層を形成した後、さらに、予め異種の金属の皮膜を形成しておいて、所定の電位差を付与することもできる。具体的には、金めっき層を形成した後、さらに、銀または塩化銀を、その金めっき層の表面に塗布することが例示される。
【0055】
図3は、図1に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第1実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【0056】
図3(a)に示すように、グルコースセンサ21Aは、1回測定するごとに廃棄される、ディスポーザブルタイプとして用意されている。グルコースセンサ21Aは、筐体22と、その筐体22内に収容される採血用配線回路基板1Aとを備えている。
【0057】
筐体22は、長手方向に延びるボックス形状に形成されている。筐体22の穿刺方向下流側の側壁(前壁)には、幅方向に長い矩形状の前側開口部23が形成されている。また、筐体22の上壁には、穿刺方向上流側において、幅方向に長い矩形状の上側開口部24が形成されている。
【0058】
採血用配線回路基板1Aは、筐体22内において、第2基板7が上側、第1基板6が下側の側面視略S字形状となるように配置されている。
【0059】
第2基板7は、上側開口部24と上下方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向上流側に配置され、各端子12が上側開口部24から露出されている。第2基板7は、かかる位置において、筐体22内に設けられるフレーム部材(図示せず)に固定されている。
【0060】
第1基板6は、前側開口部23と長手方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向下流側に配置され、穿刺針9が前側開口部23から露出されている。第1基板6は、筐体22内に設けられるスライド部材(図示せず)に支持されている。スライド部材は、公知の機構により長手方向に沿ってスライド移動する。
【0061】
それにより、第1基板6は、穿刺針9および電極11が筐体22内に配置される収容位置(図3(b)参照)と、穿刺針9が筐体22外に配置され、電極11が筐体22内に配置される穿刺位置(図3(c)参照)と、穿刺針9および電極11が筐体22外に配置される採血位置(図3(d)参照)との間を、長手方向に沿ってスライド移動する。
【0062】
このグルコースセンサ21Aでは、未使用時には、第1基板6が、図3(b)に示すように、収容位置に配置されている。
【0063】
そして、使用時には、第1基板6が、図3(c)に示すように、穿刺方向下流側へスライド移動して、穿刺位置に配置され、患者自身が指などに、穿刺針6を穿刺して微量出血させる。このとき、穿刺針9の穿刺は、ストッパ10が皮膚に当接すると、それ以上の穿刺が規制される。
【0064】
その後、第1基板6は、図3(d)に示すように、さらに穿刺方向下流側へスライド移動して、採血位置に配置され、患者自身が穿刺箇所を電極11に接触させる。すると、電極11の表面の薬剤16と血液とが反応して、血液中の血糖値の量に応じて、各電極11間に電圧を印加したときの抵抗値が変化する。
【0065】
次いで、第1基板6は、図3(b)に示すように、穿刺方向上流側へスライド移動して、再度、収容位置に配置され、筐体22内に収容される。
【0066】
そして、各端子12に、CPUおよびディスプレイを備える、外部測定装置としての血糖値測定装置(図示せず)の外部端子25を接続する。なお、血糖値測定装置は、血糖値を簡易測定するための装置であって、種々市販されている公知の装置と同一の構成を備えている。
【0067】
すると、血糖値測定装置では、CPUが、各端子12に電圧を印加し、抵抗値の変化に基づいてグルコース量を測定する。測定されたグルコース量は、血糖値として、ディスプレイに表示される。
【0068】
そして、この体液採取用回路基板1Aでは、電極11、端子12および配線13を一体的に備える導体パターン4が、穿刺針9を有する第1基板6と第2基板7とに架設されるベース絶縁層3に設けられている。そのため、構成部品のアッセンブリを低減することができる。また、装置の小型化を図ることができる。さらに、配線12は、導体パターン4として、ベース絶縁層3に設けられている。そのため、断線の発生を低減することができ、測定信頼性の向上を図ることができる。
【0069】
また、端子12は、第2基板7に対応するベース絶縁層3の上に配置されている。そのため、端子12を確実に支持することができる。その結果、端子12と、それに電気的に接続される血糖値測定装置との接続信頼性を向上させることができ、測定信頼性の向上を図ることができる。
【0070】
また、電極11は、針支持部8に対応するベース絶縁層3の上に配置されている。そのため、電極11を穿刺針9の近傍に配置することができる。その結果、穿刺針9の穿刺により出血させた血液を、電極11と容易に接触させることができる。その結果、血液中のグルコース量を簡便に測定することができる。
【0071】
また、このグルコースセンサ21Aでは、第2基板7が固定される一方、第1基板6を、収容位置、穿刺位置および採血位置の間において、長手方向に沿ってスライド移動させることができる。そのため、不使用時においては、穿刺針9の露出を防止して、安全性の向上および穿刺針9の損傷を防止することができる。さらに、第2基板7が固定され、第1基板6がスライド移動するので、構成の簡略化を図ることができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の体液採取用回路基板の第2実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のB−B線断面図である。
【0072】
図5は、図4に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第2実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【0073】
なお、図4および図5において、図1および図3に示す部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図4において、この採血用回路基板1Bでは、3つの端子13が、第2基板7の下面から露出している。
【0075】
すなわち、第2基板7には、穿刺方向上流側において、幅方向に延びる略矩形状の基板側開口部26が、厚み方向を貫通するように、形成されている。また、ベース絶縁層3には、基板側開口部26内に臨むように、各端子部13に対応するベース側開口部27が、厚み方向を貫通するように、それぞれ形成されている。
【0076】
そして、各端子部13は、ベース側開口部27内に充填されるように形成されている。これによって、各端子部13は、基板側開口部26内に臨み、第2基板7の下面から露出される。
【0077】
なお、カバー絶縁層5は、各端子部13を被覆するように、その穿刺方向上流側端縁が、ベース絶縁層3のそれと、平面視において同一位置に配置されている。
【0078】
第2実施形態の採血用回路基板1Bは、第1実施形態の採血用回路基板1Aと同様の方法により製造することができる。なお、ベース側開口部27は、例えば、ベース絶縁層3をフォト加工するときに形成し、基板側開口部26は、例えば、金属基板2の外形加工と同時にエッチングにより形成する。
【0079】
この採血用回路基板1Bでは、3つの端子13が、第2基板7の下面から露出しているので、血糖値測定装置(図示せず)の外部端子25を、下方から接続することができる。そのため、外部端子25を上方から接続できない場合に、有効に用いることができる。
【0080】
そして、この採血用回路基板1Bを備えるグルコースセンサ21Bでは、採血用配線回路基板1Bは、図5(a)に示すように、筐体22内において、第2基板7が上側、第1基板6が下側の側面視略U字形状となるように配置されている。
【0081】
なお、このグルコースセンサ21Bでは、上側開口部24が、筐体22の上壁における穿刺方向下流側に形成されている。そして、第2基板7は、各端子12が上側開口部24から露出されるように、フレーム部材(図示せず)に固定されている。
【0082】
第1基板6は、前側開口部23と長手方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向下流側に配置され、穿刺針9が前側開口部23から露出されている。第1基板6は、筐体22内に設けられるスライド部材(図示せず)に支持されている。スライド部材は、公知の機構により長手方向に沿ってスライド移動する。
【0083】
それにより、第1基板6は、穿刺針9および電極11が筐体22内に配置される収容位置(図5(b)参照)と、穿刺針9が筐体22外に配置され、電極11が筐体22内に配置される穿刺位置(図5(c)参照)と、穿刺針9および電極11が筐体22外に配置される採血位置(図5(d)参照)との間を、長手方向に沿ってスライド移動する。
【0084】
このグルコースセンサ21Bでは、未使用時には、第1基板6が、図5(b)に示すように、収容位置に配置されている。
【0085】
そして、使用時には、第1基板6が、図5(c)に示すように、穿刺方向下流側へスライド移動して、穿刺位置に配置され、患者自身が指などに、穿刺針6を穿刺して微量出血させる。
【0086】
その後、第1基板6は、図5(d)に示すように、さらに穿刺方向下流側へスライド移動して、採血位置に配置され、患者自身が穿刺箇所を電極11に接触させる。すると、電極11の表面の薬剤16と血液とが反応して、血液中の血糖値の量に応じて、各電極11間に電圧を印加したときの抵抗値が変化する。
【0087】
次いで、第1基板6は、図5(b)に示すように、穿刺方向上流側へスライド移動して、再度、収容位置に配置され、筐体22内に収容される。その後、血糖値測定装置(図示せず)の外部端子25を接続して、抵抗値の変化に基づいてグルコース量を測定する。測定されたグルコース量は、血糖値として、ディスプレイに表示される。
【0088】
このグルコースセンサ21Bでは、採血用配線回路基板1Bが、筐体22内において、側面視略U字形状となるように配置されている。つまり、ベース絶縁層3を1箇所で屈曲させるのみで、採血用配線回路基板1Bを筐体22に収容できるので、グルコースセンサ21Bの小型化を図ることができる。
(第3実施形態)
図6は、本発明の体液採取用回路基板の第3実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のC−C線断面図である。
【0089】
図7は、図6に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第3−1実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【0090】
なお、図6および図7において、図1および図3に示す部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
図6において、この採血用回路基板1Cでは、3つの電極11が、針支持部8に対応するベース絶縁層3の上ではなく、第1基板6と第2基板7との間に配置されるベース絶縁層3の上に配置されている。
【0092】
すなわち、第1基板6の上には、ベース絶縁層3のみが形成されており、第1基板6より穿刺方向上流側、かつ、第2基板7より穿刺方向下流側のベース絶縁層3の上に、3つの電極11が設けられている。なお、長手方向において、3つの電極11が配置される位置は、適宜選択される。
【0093】
なお、3つの電極11に対応して、カバー絶縁層5の穿刺方向下流側端縁は、3つの電極11が露出するように、第1基板6と第2基板7との間に配置されている。
【0094】
第3実施形態の採血用回路基板1Cは、第1実施形態の採血用回路基板1Aと同様の方法により製造することができる。
【0095】
そして、この採血用回路基板1Cを備えるグルコースセンサ21C−1では、採血用配線回路基板1Cは、採血用配線回路基板1Aと同様に、図7(a)に示すように、筐体22内において、第2基板7が上側、第1基板6が下側の側面視略S字形状となるように配置されている。
【0096】
また、第2基板7は、採血用配線回路基板1Aと同様に、各端子12が上側開口部24から露出されるように、フレーム部材(図示せず)に固定されている。
【0097】
第1基板6は、前側開口部23と長手方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向下流側に配置され、穿刺針9が前側開口部23から露出されている。第1基板6は、筐体22内に設けられるスライド部材(図示せず)に支持されている。スライド部材は、公知の機構により長手方向に沿ってスライド移動する。
【0098】
それにより、第1基板6は、穿刺針9および電極11が筐体22内に配置される収容位置(図7(b)参照)と、穿刺針9が筐体22外に配置され、電極11が筐体22内に配置される穿刺位置(図7(c)参照)との間を、長手方向に沿ってスライド移動する。
【0099】
また、このグルコースセンサ21C−1では、収容位置において、第1基板6を上方へ向けて押圧できる押圧部材(図示せず)が設けられている。押圧部材は、適宜のタイミングで第1基板6を押圧するばね部材などからなる。
【0100】
このグルコースセンサ21C−1では、未使用時には、第1基板6が、図7(b)に示すように、収容位置に配置されている。
【0101】
そして、使用時には、第1基板6が、図7(c)に示すように、穿刺方向下流側へスライド移動して、穿刺位置に配置され、患者自身が指などに、穿刺針6を穿刺して微量出血させる。
【0102】
その後、第1基板6は、図7(d)に示すように、再度、収容位置に配置され、筐体22内に収容される。このとき、第1基板6は、押圧部材の押圧により、上方へ向けて付勢され、穿刺針9が電極11と接触される。すると、電極11の表面の薬剤16と血液とが反応して、血液中の血糖値の量に応じて、各電極11間に電圧を印加したときの抵抗値が変化する。
【0103】
その後、図7(b)に示すように、血糖値測定装置(図示せず)の外部端子25を接続して、抵抗値の変化に基づいてグルコース量を測定する。測定されたグルコース量は、血糖値として、ディスプレイに表示される。
【0104】
そして、この体液採取用回路基板1Cでは、ベース絶縁層3の屈曲により、穿刺針9と電極11とを接触させることができる。そのため、穿刺後に穿刺針9に付着している血液を、電極11に接触させることができる。その結果、血液中のグルコース量を簡便に測定することができる。
【0105】
また、このグルコースセンサ21C−1では、収容位置において、穿刺針9が電極11と接触される。そのため、電極11は、常に筐体22内に配置されるため、電極11の汚染を防止することができる。
【0106】
図8は、図6に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第3−2実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【0107】
なお、図8において、図3に示す部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
図8に示すように、第3実施形態の採血用回路基板1Cを、第3−2実施形態のグルコースセンサ21C−2に実装することもできる。
【0109】
すなわち、グルコースセンサ21C−2において、前側開口部23は、上記した前側開口部23よりも上下方向に大きく開口されている。
【0110】
そして、採血用配線回路基板1Cは、採血用配線回路基板1Aと同様に、筐体22内において、第2基板7が上側、第1基板6が下側の側面視略S字形状となるように配置されている。
【0111】
また、第2基板7は、採血用配線回路基板1Aと同様に、各端子12が上側開口部24から露出されるように、フレーム部材(図示せず)に固定されている。
【0112】
第1基板6は、前側開口部23と長手方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向下流側に配置され、穿刺針9が前側開口部23から露出されている。第1基板6は、筐体22内に設けられる第1スライド部材(図示せず)に支持されている。また、電極11が配置されている部分のベース絶縁層3も、筐体22内に設けられる第2スライド部材(図示せず)に支持されている。第1スライド部材および第2スライド部材は、公知の機構により長手方向に沿ってスライド移動する。
【0113】
それにより、第1基板6、および、電極11が配置されている部分のベース絶縁層3は、穿刺針9および電極11が筐体22内に配置される収容位置(図8(b)参照)と、穿刺針9が筐体22外に配置され、電極11が筐体22内に配置される穿刺位置(図8(c)参照)と、穿刺針9が筐体22内に配置され、電極11が筐体22外に配置される採血位置(図8(d)参照)との間を、長手方向に沿ってスライド移動する。
【0114】
このグルコースセンサ21C−2では、未使用時には、第1基板6が、図8(b)に示すように、収容位置に配置されている。
【0115】
そして、使用時には、図8(c)に示すように、第1スライド部材が穿刺方向下流側へスライド移動して、第1基板6が穿刺位置に配置され、患者自身が指などに、穿刺針6を穿刺して微量出血させる。
【0116】
その後、図8(d)に示すように、第1スライド部材が穿刺方向上流側へスライド移動する一方、第2スライド部材が穿刺方向下流側へスライド移動して、第1基板6が筐体22内に配置され、電極11が筐体22外に配置される採血位置に配置される。採血位置では、電極11が前側開口部23から露出しているので、患者自身が穿刺箇所を電極11に接触させる。すると、電極11の表面の薬剤16と血液とが反応して、血液中の血糖値の量に応じて、各電極11間に電圧を印加したときの抵抗値が変化する。
【0117】
次いで、第1スライド部材および第2スライド部材がともに穿刺方向上流側へスライド移動して、第1基板6および電極11は、図8(b)に示すように、再度、収容位置に配置され、筐体22内に収容される。
【0118】
その後、上記と同様に、血糖値測定装置(図示せず)の外部端子25を接続して、抵抗値の変化に基づいてグルコース量を測定する。測定されたグルコース量は、血糖値として、ディスプレイに表示される。
【0119】
そして、このグルコースセンサ21C−2では、採血位置において、穿刺針9が筐体22内に収容されているので、患者が、穿刺箇所を電極11に接触させるときに、穿刺針9と接触することを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
(第4実施形態)
図9は、本発明の体液採取用回路基板の第4実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のC−C線断面図である。
【0120】
図10は、図9に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第4実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【0121】
なお、図9および図10において、図1および図3に示す部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
図9において、この採血用回路基板1Dでは、3つの電極11が、針支持部8に対応するベース絶縁層3の上ではなく、第2基板7に対応するベース絶縁層3の上に配置されている。
【0123】
すなわち、第1基板6の上には、ベース絶縁層3のみが形成されており、第1基板6より穿刺方向上流側の第2基板7の上に形成されるベース絶縁層3の上に、3つの電極11が設けられている。
【0124】
なお、3つの電極11に対応して、カバー絶縁層5の穿刺方向下流側端縁は、3つの電極11が露出するように、第2基板7のみに配置されている。
【0125】
第4実施形態の採血用回路基板1Dは、第1実施形態の採血用回路基板1Aと同様の方法により製造することができる。
【0126】
また、第4実施形態のグルコースセンサ21Dでは、上壁に、2つの上側開口部24が形成されている。一方の上側開口部24は、穿刺方向上流側に配置され、他方の上側開口部24は、穿刺方向下流側に配置されている。
【0127】
そして、採血用回路基板1Dを備えるグルコースセンサ21Dでは、採血用配線回路基板1Dは、採血用配線回路基板1Aと同様に、図10(a)に示すように、筐体22内において、第2基板7が上側、第1基板6が下側の側面視略S字形状となるように配置されている。
【0128】
第2基板7は、2つの上側開口部24と上下方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向上流側に配置されており、フレーム部材(図示せず)に固定されている。そして、各端子12が、穿刺方向上流側の上側開口部24から露出され、各電極11が、穿刺方向下流側の上側開口部24から露出されている。
【0129】
第1基板6は、前側開口部23と長手方向に対向するように、筐体22内の穿刺方向下流側に配置され、穿刺針9が前側開口部23から露出されている。第1基板6は、筐体22内に設けられるスライド部材(図示せず)に支持されている。スライド部材は、公知の機構により長手方向に沿ってスライド移動する。
【0130】
それにより、第1基板6は、穿刺針9が筐体22内に配置される収容位置(図10(b)参照)と、穿刺針9が筐体22外に配置される穿刺位置(図10(c)参照)との間を、長手方向に沿ってスライド移動する。
【0131】
このグルコースセンサ21Dでは、未使用時には、第1基板6が、図10(b)に示すように、収容位置に配置されている。
【0132】
そして、使用時には、第1基板6が、図10(c)に示すように、穿刺方向下流側へスライド移動して、穿刺位置に配置され、患者自身が指などに、穿刺針6を穿刺して微量出血させる。
【0133】
その後、第1基板6は、図10(d)に示すように、再度、収容位置に配置され、筐体22内に収容される。そして、電極11が上側開口部23から露出しているので、患者自身が穿刺箇所を電極11に接触させる。すると、電極11の表面の薬剤16と血液とが反応して、血液中の血糖値の量に応じて、各電極11間に電圧を印加したときの抵抗値が変化する。
【0134】
その後、上記と同様に、血糖値測定装置(図示せず)の外部端子25を接続して、抵抗値の変化に基づいてグルコース量を測定する。測定されたグルコース量は、血糖値として、ディスプレイに表示される。
【0135】
そして、このグルコースセンサ21Dでは、患者が、穿刺箇所を電極11に接触させるときに、穿刺針9が筐体22内に収容されているので、患者が穿刺針9と接触することを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0136】
なお、上記した説明では、グルコースセンサ21A〜21Dに、CPUおよびディスプレイを備える血糖値測定装置を接続しているが、グルコースセンサ21A〜21Dに、CPUおよびディスプレイを装備して、筐体22内において、各端子12と外部端子25を接続することもできる。
【0137】
また、上記の説明では、採血用回路基板1A〜1Dにおいて、ベース絶縁層3を第1基板6と第2基板7とに架設しているが、その目的および用途により、ベース絶縁層3における第1基板6と第2基板7との間の途中部分に、金属補強板を設けることもできる。その場合には、金属補強板が設けられる補強部分において、ベース絶縁層3および/または金属基板に、メッシュ形状の開口部を形成したり、幅方向に沿って複数のスリットを設けたり、さらには、ベース絶縁層3を他の部分よりも薄く形成するか、あるいは、金属基板を第1基板6および第2基板7よりも薄く形成することにより、可撓性を担保することが好適である。
【0138】
また、上記した説明では、本発明の体液採取用回路基板およびバイオセンサを、採血用回路基板1A〜1Dおよびグルコースセンサ21A〜21Dとして例示しているが、本発明の体液採取用回路基板およびバイオセンサは、血液に限らず、生体内にある液体であれば、特に限定されず、例えば、細胞内液や細胞外液を測定対象とすることができる。細胞外液としては、上記した血液が除かれ、例えば、血漿、組織間液、リンパ液、あるいは、密な結合組織、骨および軟骨中の水分、細胞透過液などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の体液採取用回路基板の第1実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のA−A線断面図である。
【図2】第1実施形態の採血用配線回路基板の製造方法の一例を示す製造工程図であって、(a)は、金属基板を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、導体パターンを形成する工程、(d)は、カバー絶縁層5を形成する工程、(e)は、金属基板を外形加工する工程、(f)は、電極に薬剤を塗布する工程を示す。
【図3】図1に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第1実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【図4】本発明の体液採取用回路基板の第2実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のB−B線断面図である。
【図5】図4に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第2実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【図6】本発明の体液採取用回路基板の第3実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のC−C線断面図である。
【図7】図6に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第3−1実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【図8】図6に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第3−2実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【図9】本発明の体液採取用回路基板の第4実施形態である採血用回路基板であって、(a)は、平面図、(b)は、底面図、(c)は、(a)のC−C線断面図である。
【図10】図9に示す採血用回路基板を実装する、本発明のバイオセンサの第4実施形態としてのグルコースセンサであって、(a)は、その概略斜視図、(b)〜(c)は、その使用方法を説明するための側断面図である。
【符号の説明】
【0140】
1A 採血用回路基板
3 ベース絶縁層
4 導体パターン
6 第1基板
7 第2基板
9 穿刺針
11 電極
12 端子
13 配線
21A グルコースセンサ
22 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺針を有する第1基板と、
前記第1基板に対して、前記穿刺針の穿刺方向上流側に間隔を隔てて配置される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とに架設される可撓性絶縁層と、
電極、端子、および、前記電極および前記端子を電気的に接続する配線を、一体的に備え、前記可撓性絶縁層に設けられる導体パターンと
を備えていることを特徴とする、体液採取用回路基板。
【請求項2】
前記端子は、厚み方向に投影したときに、前記第2基板と重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の体液採取用回路基板。
【請求項3】
前記電極は、厚み方向に投影したときに、前記第1基板と重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の体液採取用回路基板。
【請求項4】
前記電極は、厚み方向に投影したときに、前記第1基板および前記第2基板の間と重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の体液採取用回路基板。
【請求項5】
前記電極は、厚み方向に投影したときに、前記第2基板と重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の体液採取用回路基板。
【請求項6】
筐体と、請求項1〜5のいずれかに記載の体液採取用回路基板とを備え、
前記体液採取用回路基板は、前記筐体内に収容され、前記第2基板が固定されるとともに、前記第1基板が前記筐体内から前記筐体外へ進出できるように支持されていることを特徴とする、バイオセンサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−225935(P2009−225935A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73541(P2008−73541)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】