説明

作業内容出力装置および作業内容出力プログラム

【課題】 取付対象物を被取付体に取付ける取付作業において、不良の発生を効率良く検知して、作業者が適正かつ効率良く、作業工程を実行できるようにする作業内容出力装置および作業内容出力プログラムを提供する。
【解決手段】 作業内容出力装置は、作業内容を示す案内情報を記憶する記憶手段と、案内情報を出力する出力手段と、被取付体に対して、実行された作業工程に対応する作業部位における不良の有無を確認するための状態確認信号を送信する送信手段と、被取付体から送信される信号であって、状態確認信号に対する応答信号に基づいて、作業部位における不良の有無を判断する判断手段と、作業部位において不良有りと判断したとき、その作業部位に対して実行された作業工程を特定し、その特定された作業工程に対応する作業内容を示す案内情報を抽出する案内情報抽出手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付対象物を被取付体に取付ける取付作業において実行されるべき各作業工程の作業内容を出力する作業内容出力装置および作業内容出力プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に取付けられるリモートエンジンスターター、オーディオ一体型のカーナビゲーション装置、多機能付き液晶表示装置などの装置は、自動車に搭載される他の複数の装置とコネクタなどを介して接続されて使用される。
【0003】
前記例示するような装置を、たとえば後付けで自動車に取付けるとき、その取付作業を行う作業者は、場合によっては、自動車において既に組み付けられている部品の一部を取り外すなどの作業を伴うことを強いられる。近年、自動車のみならず、前記例示するような装置においてもその構造が複雑化していることによって、作業者は、複雑かつ高度な取付作業を行うことを強いられている。したがって、作業者は、そのような取付作業を間違いなく確実に完了するために、予め作成された作業マニュアルに基づいて、作業工程を1つ1つ実行している。
【0004】
図1は、作業マニュアルの一部であり、取付作業における1つの作業工程において、作業者が行うべき作業内容を示す図である。このような作業内容が作業工程順に表されている作業マニュアルは、紙媒体で利用されるだけでなく、電子データ化されたものも利用されている。作業者は、作業内容を示すイラストや文字などを含む案内情報が表示された表示画面を視認しながら、順次作業を実行していく。
【0005】
一方、従来、取付作業における作業工程がそれぞれ適正に実行されたことを確認する手段は、取付作業が完了された後において実際に動作確認をすることによって行われていた。しかしながら、前述のように、取付作業の複雑化に伴って、コネクタの接続ミスなどの作業ミスおよび断線などの不具合が発生する可能性が増大しており、最終の動作確認段階でしか作業ミスおよび不具合などの不良の発生を検知することができないという現状では、特に不良が発生した場合に、作業効率が極度に低下してしまうという問題がある。さらに、前述のように、動作確認によって不良が発生していることを検知する方法では、複数ある作業工程のどの作業工程において不良が発生していたのかを知ることができず、各作業工程を1つずつ確認していく必要があり、余計に作業効率が低下してしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述する問題に鑑みてなされたものであり、取付対象物を被取付体に取付ける取付作業において、作業ミスおよび不具合などの不良の発生を効率良く検知して、作業者が適正かつ効率良く、作業工程を実行できるようにする作業内容出力装置および作業内容出力プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、取付対象物を被取付体に取付ける作業内容を出力する作業内容出力装置であって、
前記作業内容を示す案内情報を記憶する記憶手段と、
前記案内情報を出力する出力手段と、
前記被取付体に対して、実行された作業工程に対応する作業部位における不良の有無を確認するための状態確認信号を送信する送信手段と、
前記被取付体から送信される信号であって、前記状態確認信号に対する応答信号に基づいて、前記作業部位における不良の有無を判断する判断手段と、
前記作業部位において不良有りと判断したとき、その作業部位に対して実行された作業工程を特定し、その特定された作業工程に対応する作業内容を示す案内情報を抽出する案内情報抽出手段とを有することを特徴とする作業内容出力装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明(1)によれば、作業内容出力装置は、被取付体に対して、実行された作業工程に対応する作業部位における作業ミスおよび不具合などの不良の有無を確認するための状態確認信号を送信することができる。そして、作業内容出力装置は、状態確認信号に対する返答である応答信号を解析することによって、前記作業部位における不良の有無を判断するとともに、不良の発生時には、その作業部位に対して実行された作業工程を特定することができる。このように、作業内容出力装置は、被取付体と通信を行うことによって、作業部位における不良の有無を確認できるように構成されているので、作業者は、任意の作業工程終了後に不良の有無を確認することができる。すなわち、作業ミスおよび不具合などの不良の発生を効率良く検知することができる。作業ミスおよび不具合などの不良の発生を効率良く検知することにより、作業者は、発生した不良に対して迅速に対応することができるため、効率良く作業を実行することができる。
【0009】
さらには、その特定された作業工程に対応する作業内容を示す案内情報を案内情報抽出手段によって抽出することができるので、その抽出された案内情報を出力手段を介して出力することによって、作業者は、その出力された案内情報に基づいて発生した不良に対して適正に対応することができ、効率良く作業を実行することができる。このように、作業内容出力装置は、作業者による取付作業を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の作業内容出力装置1について説明する。図2は、本発明の一実施形態の作業内容出力装置1の構成を示すブロック図である。
【0011】
作業内容出力装置1は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)などによって実現される主記憶装置22、およびハードディスクなどによって実現される補助記憶装置23によって構成される情報処理装置11と、CD−ROMなどのような読取り可能な記録媒体2をロードするためのドライブ装置12とを備えている。したがって、記録媒体2をドライブ装置12にセットすることによって、情報処理装置11は、その記録媒体2に記憶されているプログラムおよびデータを読み出すことができる。ドライブ装置12は、USB(Universal Serial Bus)などを用いて外部デバイスとして、情報処理装置11に接続されても良い。本実施形態において、記録媒体2には、CPU21によって実行される制御プログラムおよび後述する案内情報のデータが記憶されている。
【0012】
作業内容出力装置1は、さらに、作業者が指令などを入力するための入力装置13と、案内情報を出力するための出力装置14とを備える。出力手段である出力装置14は、表示画面を有し、案内情報に含まれる静止画像、動画像、文字および記号による情報を表示画面に表示する表示装置31と、案内情報に含まれる音声情報を音声として出力する音声出力装置32とを含む。
【0013】
入力装置13は、本実施形態においては、タッチパネルを用いて実現されている。したがって、前述の表示装置31は、指または専用ペンによって表示画面に触れた位置を検出するタッチパネルとして動作するように構成されている。入力装置13は、他の実施形態では、キーボードおよびマウスなどを用いて実現されても良い。
【0014】
作業内容出力装置1は、さらに、装置外部の機器との間で所定のデータ転送などの通信を行うための通信用入出力ポート15を備える。作業内容出力装置1は、専用の接続ケーブルを用いることによって、この通信用入出力ポート15を介して、後述する車載ECU3と接続される。これにより、作業内容出力装置1と車載ECU3との間における通信が可能となる。本実施形態では、通信用入出力ポート15は、外部機器接続用のコネクタを用いることによって実現されている。
【0015】
CPU21は、補助記憶装置23に記憶されている制御プログラムを実行することによって、車載ECU3に対して所定の信号を送信するとともに、車載ECU3から送信される信号を受信し、その受信した信号に基づいて、主記憶装置22を利用しながら所定の演算を行う。また、演算によって得られた結果に基づいて、出力装置14から所定の案内情報を出力させ、または補助記憶装置23に必要なデータを記憶させる。
【0016】
以下に説明する実施例では、自動車51に対してリモートエンジンスタータ52を取付けるための取付作業を例にとって、本願発明の説明を行う。なお、前記自動車51が本発明における被取付体であり、前記リモートエンジンスタータ52が本発明における取付対象物である。
【0017】
まず、自動車51に対してリモートエンジンスタータ52を取付けるための「取付作業」について説明する。図3は、本実施例に係る取付作業を表す体系図である。
【0018】
本実施例に係る取付作業には、複数の主工程が含まれている。さらに、各主工程は、それぞれ少なくとも1つ以上の副工程を含んでいる。各副工程は、それぞれ所定の作業部位に対して行われる作業に相当する。なお、本発明における作業工程とは、この副工程に相当する。
【0019】
本実施例においては、たとえば主工程1には、作業部位A1に対する作業である副工程1−1と、作業部位A2に対する作業である副工程1−2とが含まれる。また、主工程2には、作業部位B1に対する作業である副工程2−1、作業部位B2に対する作業である副工程2−2、…、および作業部位B8に対する作業である副工程2−8という8つの副工程が含まれる。本実施例に係る取付作業を行う作業者は、図3における上方から下方に向かって、すなわち、副工程1−1、副工程1−2、副工程2−1、…という順序に従って、各副工程における作業を実行していく。
【0020】
取付作業について具体例を挙げて説明すると、主工程1は、自動車51のエンジン部における作業である。副工程1−1は、エンジン部に搭載されるバッテリ(作業部位A1に相当)において負端子とバッテリケーブルとの連結を解除する作業であり、副工程1−2は、エンジン部に搭載されるエンジン(作業部位A2に相当)からエンジンカバーを取り外す作業である。主工程における作業には、前述する作業以外にも、所定のコネクタ同士を互いに接続する作業、およびリモートエンジンスタータ52を使用可能にするために必要なプログラムの登録作業などのような作業も含まれる。
【0021】
以下、本実施形態に係る作業内容出力装置1を使用して行われる本実施例に係る取付作業について説明する。図4は、取付作業時における作業内容出力装置1の使用状態を模式的に示す図である。
【0022】
作業内容出力装置1は、自動車51とは独立した装置であり、リモートエンジンスタータ52の自動車51への取付作業時において、自動車51に搭載される車載ECU3と、接続用ケーブルを介して接続される。車載ECU3は、たとえばCAN(Controller
Area Network)などの車内ネットワークに接続されている。また、リモートエンジンスタータ52も、取付作業において、作業者によって、直接的にまたは間接的に前述の車内ネットワークに接続される。
【0023】
リモートエンジンスタータ52は、その取付作業時において、複数のセンサおよび車載される他の装置などと接続されることによって、使用可能な状態となる。以下では、図4に示すように、リモートエンジンスタータ52が3つの装置54a,54b,54cと接続される場合を例に挙げて説明するが、当然ながら接続される装置およびセンサの数を限定するものではない。
【0024】
リモートエンジンスタータ52と各装置54a,54b,54cとの間の接続は、図4に示すように、コネクタ同士をそれぞれ連結することによって行われる。以下、各コネクタ対をコネクタ対53a,53b,53cとして表す。
【0025】
車載ECU3は、前記車内ネットワークおよびリモートエンジンスタータ52を介して、各装置54a,54b,54cと相互に通信を行うことができる。したがって、車載ECU3は、各装置54a,54b,54cがリモートエンジンスタータ52に対してそれぞれ適正に接続されているか否かを検出することができる。たとえば、車載ECU3から各装置54a,54b,54cに対して所定の信号を送信した場合に、その所定の信号を受けた各装置54a,54b,54cは、車載ECU3に対して所定の返答信号を送信するように構成しても良い。このように構成した場合には、車載ECU3は、返答信号の有無によって、各装置54a,54b,54cがリモートエンジンスタータ52に対してそれぞれ適正に接続されているか否かを検出することができる。
【0026】
すなわち、返答信号が無い場合には、その返答信号を送信すべき装置とリモートエンジンスタータ52との間の接続が適正に行われていないこと、換言すればその装置とリモートエンジンスタータ52との間の接続部において不良があることを検出することができる。接続部における不良の原因としては、作業者による作業ミスなどによってコネクタ同士が連結されていないこと、および装置とリモートエンジンスタータ52との間で断線が発生していることなどが考えられる。なお、前述の説明においては、コネクタ対を含む接続部が、本発明における作業部位に相当する。
【0027】
このような車載ECU3による不良の有無の検出は、定期的に行うように予め設定されても良いし、特定のトリガ信号が車載ECU3に対して与えられたときに行うように予め設定されても良い。いずれにしても、車載ECU3は、不良の有無の検出結果を、車載ECU3に搭載されるメモリに保持する。
【0028】
ここで、作業内容出力装置1が備える機能および案内情報のデータについて説明する。図5は、本実施形態に係る作業内容出力装置1の機能的構成を示すブロック図である。作業内容出力装置1において、補助記憶装置23によって実現される記憶部41に記憶されている制御プログラムをCPU21が実行することによって、各機能ブロック42〜47が有する機能が実現される。
【0029】
記憶手段である記憶部41には、制御プログラムのほかに、案内情報のデータが記憶される。案内情報のデータには、複数の静止画像データと、動画像データと、音声データとが含まれ、1つの静止画像データには、複数の画像情報が含まれる。各画像情報は、それぞれ副工程における作業の作業内容を示す案内情報である。他の実施形態では、1つの静止画像データには1つの画像情報のみを含むようにしても良い。また、音声データは、副工程における作業の作業内容を音声として出力可能なデータであり、特定の画像情報に関連付けられる。したがって、その特定の画像情報が表示装置31の表示画面に表示される際に、併せて音声データに係る音声を音声出力装置32から出力させることができる。なお、案内情報のデータには、表示画面に表示可能な文字データおよび記号データなどが含まれていてもよく、その場合には、音声データと同様に、特定の画像情報に関連付けられ、その特定の画像情報が表示装置31の表示画面に表示される際に、併せて文字および記号を表示させるようにすることができる。
【0030】
案内情報抽出手段である案内情報抽出部42は、制御部45からの指令に基づいて、記憶部41から所定の案内情報のデータを抽出する。画像表示部43は、制御部45からの指令に基づいて、案内情報抽出部42によって抽出された案内情報のデータを処理して、表示装置31の表示画面に静止画像、動画像、文字および記号による案内情報を表示させる。音声出力部44は、制御部45からの指令に基づいて、案内情報抽出部42によって抽出された案内情報のデータを処理して、音声出力装置32から音声による案内情報を出力させる。
【0031】
送信手段である送受信部47は、制御部45からの指令に基づいて、車載ECU3に対して、副工程が実行された作業部位における不良の有無を確認するための状態確認信号を送信する。状態確認信号を受信した車載ECU3は、前述するようにメモリに保持されている不良の有無の検出結果に基づいて、作業内容出力装置1に対して、状態確認信号に対する応答信号を送信する。前記送受信部47は、この応答信号を受信する。判断手段である判断部46は、制御部45からの指令に基づいて、送受信部47が受信した応答信号に基づいて、作業部位における不良の有無を判断する。
【0032】
図6は、本実施形態に係る作業内容出力装置1を使用した場合の作業者による作業の流れを示すフローチャートである。取付作業自体は、図3に示すように、複数の副工程が作業者によって順次行われることで完了するが、以下では、説明を容易にするため、取付作業内に含まれる3つのコネクタ対53a,53b,53cの接続工程(すなわち、3つの副工程)のみを採り上げて説明する。なお、3つの副工程を、作業者によって実行される順に副工程P(作業部位:コネクタ対53a)、副工程Q(作業部位:コネクタ対53b)、副工程R(作業部位:コネクタ対53c)と表す。
【0033】
直前に行われるべき副工程が終了した時点でフローチャートは開始される(ステップs0)。ステップs1で、作業者は、副工程Pを実行するに当たって、副工程Pにおける作業の作業内容を確認するために、作業内容出力装置1を操作して、その作業内容を示す案内情報を作業内容出力装置1に出力させる。詳細には、作業者が、入力装置13を介して、副工程Pにおける作業の作業内容を出力させるための出力指令を作業内容出力装置1に対して与えると、記憶部41に記憶される案内情報のデータに基づいて、表示装置31の表示画面に所望の案内情報が表示されるとともに、適宜音声出力装置32から所望の案内情報が音声として出力される。案内情報が出力されると、ステップs2に進む。
【0034】
ステップs2では、作業者は、出力された案内情報に基づいて、副工程Pにおける作業を実行する。作業が実行されるとステップs3に進む。
【0035】
ステップs3では、作業者は、副工程Qを実行するに当たって、副工程Qにおける作業の作業内容を確認するために、作業内容出力装置1を操作して、その作業内容を示す案内情報を作業内容出力装置1に出力させる。案内情報が出力されると、ステップs4に進む。ステップs4では、作業者は、出力された案内情報に基づいて、副工程Qにおける作業を実行する。作業が実行されるとステップs5に進む。
【0036】
ステップs5では、作業者は、副工程Rを実行するに当たって、副工程Rにおける作業の作業内容を確認するために、作業内容出力装置1を操作して、その作業内容を示す案内情報を作業内容出力装置1に出力させる。案内情報が出力されると、ステップs6に進む。ステップs6では、作業者は、出力された案内情報に基づいて、副工程Rにおける作業を実行する。作業が実行されるとステップs7に進む。
【0037】
ステップs7では、作業者は、作業内容出力装置1を使用して、副工程P,Q,Rにおいて作業が実行された作業部位、すなわちコネクタ対53a,53b,53cにおける不良の有無を確認する。
【0038】
詳細には、作業者は、入力装置13を介して、車載ECU3に対して状態確認信号を送信させるための送信指令を作業内容出力装置1に与える。送信指令を受けた制御部45は、送受信部47に状態確認信号を送信させる。状態確認信号を受けた車載ECU3は、コネクタ対53a,53b,53cにおける不良の有無の検出結果に基づいて、その検出結果を示す情報が含まれる応答信号を作業内容出力装置1に対して送信する。車載ECU3によるコネクタ対53a,53b,53cにおける不良の有無の検出は、作業内容出力装置1から送信される状態確認信号をトリガ信号として行うように予め設定されても良いし、定期的に行うように予め設定されても良い。送受信部47が応答信号を受けると、制御部45は、その応答信号に基づいて、判断部46にコネクタ対53a,53b,53cにおける不良の有無を判断させる。
【0039】
判断部46において不良が無いと判断された場合には、ステップs8に進む。ステップs8では、不良が確認されなかったことを示す情報を出力装置14から出力させるようにしても良く、これにより作業者は不良が発生していないことを確認することができる。
【0040】
また、判断部46において不良が有りと判断された場合には、ステップs9に進む。ステップs9では、前述の応答信号に基づいて、判断部46は、不良が発生している作業部位、すなわちコネクタ対を特定する。特定すると、ステップs10に進む。
【0041】
ステップs10では、制御部45は、案内情報抽出部42に特定された作業部位に対して作業が実行された副工程に対応する案内情報を記憶部41から抽出させる。そして、その案内情報を、画像表示部43および音声出力部44に出力装置14から出力させる。案内情報が出力されると、ステップs11に進む。
【0042】
ステップs11では、作業者は、出力装置14から出力された案内情報に基づいて、その副工程における作業を再度実行する。作業が実行されると、ステップs12に進む。ステップs12では、前述のステップs7と同様、作業者が、作業内容出力装置1を使用して、副工程P,Q,Rにおいて作業が実行された作業部位における不良の有無を確認する。そして、判断部46において不良が有りと判断された場合には、再度ステップs9に進む。
【0043】
判断部46において不良が無いと判断された場合には、ステップs13に進む。ステップs13では、不良が確認されなかったことを示す情報を出力装置14から出力させるようにしても良く、これにより作業者は不良が発生していないことを確認することができる。
【0044】
上記実施形態においては、副工程P,Q,Rがすべて実行された後に、作業部位における不良の有無を確認するようにしているが、当然ながら、1つの副工程が実行された直後に、作業部位における不良の有無を確認するようにしても良い。
【0045】
また、上記実施形態においては、副工程が実行された作業部位における不良として特にコネクタ対の接続部を採り上げているが、リモートエンジンスタータ52を使用可能にするために必要なプログラムの登録作業における不良の有無を確認することも可能である。
【0046】
また、上記実施例では、自動車51に対してリモートエンジンスタータ52を取付けるための取付作業を採り上げたが、実施場面は、取付作業に限られず、取付を行った後、取付対象物に不具合などがあった場合に、不具合部位を特定し、交換作業を行うといった修理場面であっても良い。取付対象物はリモートエンジンスタータ52に限られず、オーディオ一体型のカーナビゲーション装置および多機能付き液晶表示装置などであっても良い。
【0047】
以上説明するように、作業内容出力装置1は、自動車51における車載ECU3に対して、実行された作業工程に対応する作業部位における作業ミスおよび不具合などの不良の有無を確認するための状態確認信号を送信することができる。そして、作業内容出力装置1は、状態確認信号に対する返答である応答信号を解析することによって、前記作業部位における不良の有無を判断するとともに、不良の発生時には、その作業部位に対して実行された作業工程を特定することができる。このように、作業内容出力装置1は、自動車51における車載ECU3と通信を行うことによって、作業部位における不良の有無を確認できるように構成されているので、作業者は、任意の作業工程終了後に不良の有無を確認することができる。すなわち、作業ミスおよび不具合などの不良の発生を効率良く検知することができる。作業ミスおよび不具合などの不良の発生を効率良く検知することにより、作業者は、発生した不良に対して迅速に対応することができるため、効率良く作業を実行することができる。
【0048】
さらには、その特定された作業工程に対応する作業内容を示す案内情報を案内情報抽出部42によって抽出することができるので、その抽出された案内情報を出力装置14を介して出力することによって、作業者は、その出力された案内情報に基づいて発生した不良に対して適正に対応することができ、効率良く作業を実行することができる。このように、作業内容出力装置1は、作業者による取付作業を支援することができる。
【0049】
また、案内情報が静止画像および動画像を含む情報であるので、作業者は、表示装置31を介して、実行すべき作業を視認することができる。また、案内情報が音声を含む情報であるので、作業者は、音声出力装置32を介し、正確なタイミングが要求されるリモートエンジンスタータ52を使用可能にするために必要なプログラムの登録作業を、タイミング良く、かつ表示装置31に注視せずに作業することができる。したがって、発生した不良に対して適正に対応することができ、効率良く作業を実行することができる。
【0050】
また、被取付体は自動車51であり、取付対象物はリモートエンジンスタータ52であるので、作業者は、作業内容出力装置1を使用することによって、発生した不良に対して迅速かつ適正に対応することができるため、効率良く作業を実行することができる。
【0051】
作業内容出力装置1の記憶部41に記憶される制御プログラムは、コンピュータを、作業内容出力装置1の各手段、すなわち記憶手段、出力手段、送信手段、判断手段および案内情報抽出手段などの手段として機能させるためのプログラムである。
【0052】
したがって、本発明は、コンピュータを作業内容出力装置1の各手段として機能させるためのプログラムとして提供することができる。
【0053】
上述した実施形態では、プログラムは、作業内容出力装置1における補助記憶装置23に記憶されているが、これらの記憶装置に限定されるものではなく、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体は、外部記憶装置としてプログラム読取装置を設け、そこに記録媒体を挿入することによって読取り可能な記録媒体であってもよいし、あるいは他の装置の記憶装置であってもよい。
【0054】
いずれの記録媒体であっても、記憶されているプログラムがコンピュータからアクセスされて実行される構成であればよい。あるいはいずれの記録媒体であっても、プログラムが読み出され、読み出されたプログラムが、記憶装置のプログラム記憶エリアに記憶されて、そのプログラムが実行される構成であってもよい。さらに通信ネットワークを介して他の装置からダウンロードされてプログラム記憶エリアに記憶させてもよい。ダウンロード用のプログラムは、予めコンピュータの記憶装置に記憶しておくか、あるいは別な記録媒体からプログラム記憶エリアにインストールしておく。
【0055】
本体と分離可能に構成される記録媒体は、たとえば磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)/ブルーレイディスクなどの光ディスクのディスク系の記録媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(
Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable
Programmable Read Only Memory)/フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】作業マニュアルの一部であり、取付作業における1つの作業工程において、作業者が行うべき作業内容を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態の作業内容出力装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例に係る取付作業を表す体系図である。
【図4】取付作業時における作業内容出力装置1の使用状態を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態に係る作業内容出力装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る作業内容出力装置1を使用した場合の作業者による作業の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 作業内容出力装置
2 記録媒体
3 車載ECU
13 入力装置
31 表示装置
32 音声出力装置
41 記憶部
42 案内情報抽出部
43 画像表示部
44 音声出力部
45 制御部
46 判断部
47 送受信部
51 自動車
52 リモートエンジンスタータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物を被取付体に取付ける作業内容を出力する作業内容出力装置であって、
前記作業内容を示す案内情報を記憶する記憶手段と、
前記案内情報を出力する出力手段と、
前記被取付体に対して、実行された作業工程に対応する作業部位における不良の有無を確認するための状態確認信号を送信する送信手段と、
前記被取付体から送信される信号であって、前記状態確認信号に対する応答信号に基づいて、前記作業部位における不良の有無を判断する判断手段と、
前記作業部位において不良有りと判断したとき、その作業部位に対して実行された作業工程を特定し、その特定された作業工程に対応する作業内容を示す案内情報を抽出する案内情報抽出手段とを有することを特徴とする作業内容出力装置。
【請求項2】
前記被取付体は、自動車であり、
前記取付対象物は、リモートエンジンスターターであることを特徴とする請求項1に記載の作業内容出力装置。
【請求項3】
取付対象物を被取付体に取付ける作業内容を出力する作業内容出力プログラムであって、コンピュータを、
前記作業内容を示す案内情報を記憶する記憶手段と、
前記案内情報を出力する出力手段と、
前記被取付体に対して、実行された作業工程に対応する作業部位における不良の有無を確認するための状態確認信号を送信する送信手段と、
前記被取付体から送信される信号であって、前記状態確認信号に対する応答信号に基づいて、前記作業部位における不良の有無を判断する判断手段と、
前記作業部位において不良有りと判断したとき、その作業部位に対して実行された作業工程を特定し、その特定された作業工程に対応する作業内容を示す案内情報を抽出する案内情報抽出手段として機能させるための作業内容出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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