説明

作業性解析装置

【課題】
作業者の動作を絶対的に評価するためには,評価の基準となる動作が必要である.本発明は,基準の動作をCADモデルから導くことにより,作業の絶対的な定量評価を可能とする。
【解決手段】
本発明は,基準の動作をCADのアセンブリモデルの部品間の幾何拘束から導くことにより,製品も出るから一意的な部品の運動を導く。これに対し,作業者の動作を対応比較することにより,絶対的な定量評価を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立物の部品の組立てシーケンスを生成し,作業者の実動作と比較分析することで、作業の無駄の度合い、作業が熟練を要する作業であるか否かを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、CAD(Computer Aided Design)データをもとに組立作業計画を行うための計算機支援システムが記載されている。また、非特許文献1には、多自由度機構の運動解析及び3D−CADモデリングについて記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−282405号公報
【非特許文献1】ASPEN: Computer-Aided Assembly Sequence Planning and Evaluation System Based on Predetermined Time Standard, S.Kanai, et al, Annals of CIRP Vol., 45/1996, pp.35-39.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者の動作を絶対的に評価するためには,評価の基準となる動作が必要である.本発明は,基準の動作をCADモデルから導くことにより,作業の絶対的な定量評価を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
組立モデルから抽出可能な情報としては、部品間の相対位置をモデル上で一意に決定するために付加されたアセンブリ拘束情報がある。アセンブリ拘束とは組み付けたい2つの部品のある同種のジオメトリ部位(軸と軸、平面と平面など)の相対位置関係を固定するCAD上の制約条件である。3次元空間上にある部品の位置関係が一意に決められる場合、その部品に付加された他の部品との相対位置関係すなわち、アセンブリ拘束によりその部品が運動の自由度がない状態に固定されたことと同義である。
【0006】
組付け途中のある部品を考えた場合、この部品は運動の自由度を持っている。組付け動作が終了するとその部品は運動の自由度を失う。CAD上の2つの部品の組み付け動作を終了するには、2つの部品間のそれぞれの平面を重ね合わせる拘束を用いることが多い。これは、重ね合わせた平面上の3自由度運動(平面内2自由度並進と法線ベクトル周り回転)を2つの部品の相対運動として与えたことになる。逆にこの平面の相対運動を取り除けば、2つの部品に相対的な自由度が生じて2つの部品は分解が可能となる。
【0007】
本発明では、部品をリンク、部品間に付加されたアセンブリ拘束に当たる2部品間の運動を対偶とみなして、組立モデルから多自由度運動を成し得る機構をモデル化し、その機構から平面対偶を取り除いた機構について運動解析を行うことにより分解運動を導き、その分解運動を表す6次元ベクトル(3次元空間の剛体運動は6次元で表される)の符合を反転することにより組立運動を得る。
【0008】
機構の平面対偶を削除する順番は、機構の有する平面対偶の個数の順列の場合の数だけ存在する。そこで、平面対偶の順列に従って機構から平面対偶を削除し、そのたびに運動解析により機構の運動成分を求めることにより分解順序とそれに伴う分解運動を生成し、順序と運動ベクトルの符合を反転することにより、組立モデルから組立順序と組立運動を自動的に生成する手段とする。
【0009】
ここで、組立順序を順列で生成する場合に、平面対偶の個数が増加すると場合の数が増大し生成された組立順序の作業性を評価することに多大な時間を要してしまう場合がある。そこで本発明では、順列による順序の生成において、作業性の良い順序をより効果的に生成するために、組立作業性に関する条件を、順序制約の条件に変換し、順列の生成において順序制約をかけて場合の数を低減する。ここでいう順序制約とは、順列生成の対象となる平面対偶を複数のグループに分ける部品のモジュール化を指す。モジュールごとに順列を生成することにより、場合の数を低減する手段とする。
【0010】
例えば、本願発明は、組立物に関する情報を生成する組立物情報生成装置であって、3D−CAD上の組立モデルを入力として、組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得する手段と、部品をリンクとし部品間のアセンブリ拘束を対偶として組立品の多自由度機構モデルを生成する機構モデル生成手段と、前記多自由度機構モデルから最終組付け動作に当たる平面対偶を削除する順番により分解順序を定める分解順序設定手段と、前記分解順序について、平面対偶を削除する際に前記モデル機構に生じる運動成分を剛体の運動解析により求め、分解運動を導くことにより、前記組立物が分解可能な否か判定する分解可能性判定手段と、分解可能と判定された分解順序を分解シーケンスとして出力する出力手段とを備える。
【0011】
本発明は,基準の動作をCADのアセンブリモデルの部品間の幾何拘束から導くことにより,製品も出るから一意的な部品の運動を導く。これに対し,作業者の動作を対応比較することにより,絶対的な定量評価を可能とする。
【0012】
本発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。本発明は、3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得し,組立運動ベクトルと組立順序を生成し,実際の作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記参照ベクトルと前記部品の実運動ベクトルとを比較して,作業の無駄の度合いを判定する作業性解析プログラムである。
【0013】
また、本発明は、3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得し,組立運動ベクトルと組立順序を生成し,熟練作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,非熟練作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記参照ベクトルと、前記抽出した熟練作業者および非熟練作業者の部品の各実運動ベクトルとを対応付けて,熟練動作の作業の無駄の度合いと非熟練動作の作業の無駄の度合いの差から,作業の乖離の度合いを求め,前記作業の乖離の度合いから作業の習熟度、及び作業自体が熟練を要す作業であることを判定する作業性解析プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
模範作業者との相対評価に比べ,評価を定量的に行える。かつ,模範動作をアセンブリモデルから一意に導くことにより,評価の信頼性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本願発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態が適用された組立シーケンス生成システム100の概略構成と、その利用態様を説明する図である。なお、組立シーケンス生成システム100は、最終的に組立品の組立シーケンスを生成するが、その過程において分解シーケンスを生成する。
【0017】
組立シーケンス生成システム100は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、RAMなどのメモリと、HDDなどの外部記憶装置と、キーボード、マウスなどの入力装置と、ディスプレイ、プリンタなどの出力装置と、外部機器との接続のための通信インタフェースと、これらを接続するバスなどを備える、汎用のコンピュータシステムにより構成される。メモリ、外部記憶装置には、下記の構成要素及び機能を達成するためのプログラムが格納されている。そして、下記の構成要素および機能は、CPUがメモリにロードされたプログラムを実行することにより達成される。
【0018】
組立シーケンス生成システム100は、その機能部として、組立拘束取得IF110と、分解シーケンス生成部120と、組立シーケンス生成部130とを備えて構成される。
【0019】
組立拘束取得IF110は、3D−CAD(Computer Aided Design)モデルを取得し、アセンブリ拘束情報を取得する。また、アセンブリ拘束情報から、機構モデルを生成する。
【0020】
分解シーケンス生成部120は、3D−CADモデルの機構モデルから、想定される分解順序を求める。また、求めた分解順序で分解可能か否か判定し、分解可能な順序に基づき、分解シーケンスを生成し、出力する。
【0021】
組立シーケンス生成部130は、分解可能な分解順序を逆にすることで、組立シーケンスを生成し、出力する。
【0022】
このように構成される組立シーケンス生成システム100は、3D−CADモデルから分解シーケンス(分解順序と分解動作)を算出し、製品のリサイクル性を評価するリサイクル性評価システム402へ出力する。また、分解シーケンスから組立シーケンスを求め、組立合理化のための指標である作業時間を推定するシステム(Work Factor法、MOST等の技法を搭載したシステム)401や組立作業の信頼性を評価するシステムへ出力する。これらの評価システムの評価結果は、設計者や生産技術者にフィードバックされ、製品の組立性の改良が支援される。また、部品の組立順序と組付け動作をビューワのアニメーション機能に受け渡し、組立作業を作業者に視覚的に指示することにより、より明確な作業指示を行わせることも可能である。
【0023】
次に、上記のように構成される組立シーケンス生成システム100の動作について詳細に説明する。
【0024】
図2は、組立シーケンス生成システム100が行う組立シーケンスの生成処理の流れを示すフロー図である。このフローは、分解シーケンスを生成した後、生成した分解シーケンスを用いて、組立シーケンスを生成するようになっている。このフローは、ユーザ(設計者)から入力装置を介して、組立シーケンスの生成処理を行うように要求されたときに開始される。
【0025】
まず、組立拘束取得IF110は、CADのアセンブリモデルからアセンブリ拘束情報を取得し、機構モデルを生成する(S100)。以下に、具体的に説明する。
【0026】
一般的に、3D−CADのアセンブリモデルは、ユーザにより個々の2つの部品間の相対位置関係が与えられることにより、3次元空間内に個々の2部品が配置され、生成されていく。ここで、2つの部品間に相対位置を与えることを、拘束と呼ぶ。この2部品間の拘束情報を取得することにより、アセンブリされた部品間の組立関係が導かれる。
【0027】
図3に、3D−CADモデルから取得する部品間の拘束関係の例を示す。取得する拘束関係は以下の2種類の情報から構成される。
(1)図形={円筒、平面、螺旋など}
(2)拘束種類={合致、整列、など}
ここで「図形」とは、2つの部品間で相対位置に制約を付ける際に対象となる幾何学上の部位を示す。また「拘束種類」とは、2つの部品の「図形」に示された幾何学上の2次元部位の間に付ける位置の制約関係を表す。合致とは、2つの「図形」を相対して重ね合わせることである。整列とは、2つの「図形」を平行に並べることである。
【0028】
組立拘束取得IF110は、この2種類の情報を3D−CAD上のアセンブリモデルから取得する。その際、どの部品とどの部品に拘束関係が付けられているか(すなわち、拘束される2部品)も記憶しておく。
【0029】
そして、組立拘束取得IF110は、取得したアセンブリ拘束情報から機構モデルを生成する。なお、ここでは、部品をリンクと見なす。また、部品間のアセンブリ拘束情報を、2つのリンク間の運動を表す対偶と見なす。そうすると、組立品を、多自由度運動機構としてモデル化できる。
【0030】
図4に、図3のアセンブリ拘束情報から組立品を多自由度機構にモデル化した例を示す。組立拘束取得IF110は、このようなモデル化のために、部品間の対偶運動として、空間の剛体運動を表す6次元運動ベクトルに変換する。図5に図形間の拘束から対偶運動への変換の対応表を示す。
(1)円筒の軸の合致(円筒対偶)
2つの円筒の軸が合致されているとき、CADモデルの円筒図形から円筒の軸と軸上の1点の3次元ベクトルが上記のアセンブリ拘束情報の取得処理により取得されている。その2部品における運動関係は、円筒軸に沿った並進と、円筒軸周りの回転の2つの基底ベクトルで表すことができる。
(2)平面の合致または整列(平面対偶)
2つの平面が合致されているとき、CADモデルの平面図形から平面上の線形独立な2軸と、平面の法線の方向ベクトル、平面上の1点の4つの3次元ベクトルが上記のアセンブリ拘束情報の取得処理により取得されている。その2部品における運動関係は、平面上の線形独立な2軸に沿った並進2成分と、平面の法線方向周りの回転の3つの基底ベクトルで表すことができる。
(3)螺旋の軸の合致(ねじ対偶)
部品上の螺旋とは円筒面上のねじを意味する。2つの部品間の螺旋の軸が合致されているとき、螺旋の軸と軸上の1点の3次元ベクトルが上記のアセンブリ拘束情報の取得処理により取得されている。その2部品における運動関係は、ピッチhの螺旋運動を表す1つの基底ベクトルで表すことができる。
【0031】
こうして、組立拘束取得IF110は、6次元基底ベクトルで表現した運動を対偶とみなして、対偶で拘束される部品をリンクとみなして、組立品を多自由度運動機構としてモデル化する。なお、ここでは、対偶とリンクの接続関係を結合行列に、リンクとリンクの隣接関係を隣接行列に表す。
【0032】
図5に、図3の組立品の結合行列と隣接行列を示す。結合行列は行に部品、列に対偶を対応させ、結合する部品と対偶に該当する成分に1、結合しない成分を0とした行列である。隣接行列は、行と列に部品を対応させ、2部品間に拘束関係がある場合、対応する成分に1を、2つの部品間に拘束関係がない場合は対応する成分を0とする行列である。
【0033】
図2に戻って説明を続ける。
【0034】
こうして、機構モデルが生成されると、次に、分解シーケンス生成部120は、分解順序の制約を設定する(S200)。例えば、入力装置を介してユーザから、分解順序の制約を受け付ける。次に、分解シーケンス生成部120は、分解順序の制約に従って、アセンブリモデルのモジュール化を行い(S300)、想定される分解順序を生成する(S400)。
【0035】
S200〜S400までの処理を、より具体的に説明する。S100において平面対偶とモデル化された2部品間の拘束関係は、対象とする部品間の2平面を合致させることにより、組付け動作が終了すると見なされる。全ての組付け動作が終了した状態である組立品の機構モデルから、ある1つの平面対偶を除去したとき、その機構が運動の自由度を生じれば、その運動の符合を反転させた運動が組立運動となる。このとき、組立品の機構モデルから平面対偶を削除する順番を考えれば分解の順序となり、分解の順序を逆順にすれば、組立順序となる。
【0036】
しかし、分解順序の「場合」を尽くすためには平面拘束の順列を求めればよいが、単に順列を求めると「場合」の数は膨大となる。そこで本実施形態では、順列に組立性に有効な条件を付けて、部品をグループ化(モジュール化)して扱うことにより「場合」の数の絞込みを行う。
【0037】
ここで、組立品A1がn個の平面対偶を持つとし、A1=(P1、P2、---、Pn )と表すことにする。組立品A1にm個の部組品sA1、---、sAmが在るとすると、
(数1) A1=[sA1、---、sAm] が成り立つ。
また、部組品sAiは、ni個の平面対偶を持つとすると、
(数2) sAi=(P1、---、Pni) が成り立つ。
この場合、設計者の与えた部組を保つ順序の場合の数Ordは、
(数3) Ord=m!・n1!・n2!・---・nm! である。
【0038】
したがって、全数の順列n!より場合の数は少なくなる。順列は、以上の平面対偶のグループ単位で生成する。上記の例では、A1、sA1、---、sAmのグループごとに生成する。
【0039】
従って、適切な部組化の条件を与えることにより、その条件を満たす順序を効率的に求めることが可能である。部組化の条件は、ユーザから分解順序の制約として受け付ける。制約のために複数の条件が設定されてもよい。以下に部組化の条件の例を示す。
【0040】
◎部組化の条件(1) 与えられた条件により類別された部品の纏まりであるサブアセンブリモデルの利用
組立シーケンス生成部120は、最も一般的な例である設計者(操作者)がCAD上に生成したサブアセンブリの構成単位を用いる。組立シーケンス生成部120は、場合の数を、上に述べた方法(数3)で求める。また、サブアセンブリ単位で生成した順序と組立動作をバッチファイルとして登録し,CADベンダから提供されているAPI(アプリケーションインターフェース)機能により干渉チェック機能を呼び出し,自動干渉チェックをCADに行わせる。動作の途中で干渉が起こったときは,その動作の番号を記録し,その動作番号を持つ組立順序を削除する。こうすれば、サブアセンブリ単位の順序の数である(数3)のOrdのm!の項を低減することになる。
【0041】
また、部品のグループ化を、調達時期ごとに行うこともできる。かかる場合、組立シーケンス生成部120は、部品ごとの調達時期を取得し、記憶している。例えば、部品の調達時期がm個の期間に区分けできるとする。組立シーケンス生成部120は、これらの調達期間に基づいて、組立品の構成部品をm個のグループに分ける。そして、このグループごとに組立順序を生成する。組立順序の場合の数は、(数3)で表される。
【0042】
また、部品のグループ化を、リサイクル時の分別単位に行うこともできる。かかる場合、組立シーケンス生成部120は、部品のリサイクル時の分別単位を取得し、記憶している。例えば、リサイクル時の分別単によりm個に区分けできるとする。組立シーケンス生成部120は、リサイクル時に分別するグループごとに組立品の部品をm個のグループに分けする。組立順序の場合の数は,(数3)で表される。
【0043】
また、組立シーケンス生成部120は、リサイクルにおける同一の分別単位の部品の分解作業が連続した順序を取得し、リサイクルにおける同一の分別単位の部品の分解作業が連続した順序となる分解順序を選択することにより、分解順序の数を低減するようにしてもよい。
【0044】
なお、組立シーケンス生成部120は、グループ化の基準を、ユーザから入力装置を介して受け付けることができる。
【0045】
◎部組化の条件(2) ベース部品を選定する
最初に作業台に置く部品をベース部品と呼ぶことにする。分解順序ではベース部品は最後に分解されるはずである。そこで、分解シーケンス生成部120は、ベース部品に付加されたアセンブリ拘束、すなわちベース部品であるリンクに結合している平面対偶をまとめてB=(P1、---、Pm)とする。一方、ベース部品に結合しない平面対偶n-m個をまとめてA=(Pm+1、---、Pn)とする。これにより、グループAとグループBの2つのグループに分けて順序が生成されることになる。この場合、ベース部品を最後に分解する順序の場合の数Ordは、
(数4) Ord=(n-m)!・m!
と求められる。
【0046】
組立シーケンス生成部120は、ユーザからベース部品となる部品の選定を受け付ける。そして、受け付けた部品がベース部品となるように制約された順序を生成する。
【0047】
◎部組化の条件(3) 締結部品をまとめる
ねじやナット、ワッシャなどの締結機能を持つ部品は、締結される部品間に同形のものが複数で存在する場合が多い。これらは、被締結部品の精度や加圧モーメントの均等性などの確保のために、ねじの組み付け順番は定められている場合がほとんどである。したがって、これらの締結部品間の順序は一意に定められるので、組立順序の場合の数を減らすことができる。すなわち、組立シーケンス生成部120は、予め定められた締結部品間の順序を取得し、記憶しておく。そして、締結部品間の順序が予め記憶された順序となるように、分解順序を設定する。例えば、全ての部品を同等に扱った場合に想定される分解順序から、締結部品の分解順序が所定の順序であるものを抽出する。
【0048】
ここで、ねじのCADモデルには、ねじ溝の情報が属性として付加されていることが多い。そこで、分解シーケンス生成部120は、このねじ溝属性を抽出し、その属性の付いている部品をねじと判断する。また、ねじの部品名をあらかじめ登録したファイルを用意しておき、ねじ溝の属性が付いていない場合は、そのファイルに登録された部品名をもつ部品モデルをねじと判断する。
【0049】
組立シーケンス生成部120は、ユーザから締結部品の順序の制約の設定を受け付ける。そして、受け付けた制約を保つ順序を生成する。
【0050】
◎部組化の条件(4) 同じ方向からの組付け動作、装置への割付動作ごとにまとめる
同じ方向に同様な動作を行うことは、作業効率を上げかつ、作業負荷が低減されることにより、作業の信頼性を向上させる。そこで、分解シーケンス生成部120は、平面対偶と同一な2部品間に存在する対偶の基底ベクトルを調べることにより、同一の運動をまとめる。
【0051】
分解シーケンス生成部120は、2部品間の対偶に平面対偶とそのほかの対偶が在る場合、そのほかの対偶が円筒対偶である平面対偶をC={Pc1,--,Pcm}、ねじ対偶である平面対偶をH={Ph1,--Phn}とまとめる。さらに、+x方向への組付け動作、-x方向、+y方向、-y方向、+z方向、-z方向と6種類にC及びHを象限単位に細分化する。
(数5) Cα={Cα1,---, Cαm} (α= +x, -x, +y, -y, +z, -z)
(数6) Hα={Hα1,---, Hαn} (α= +x, -x, +y, -y, +z, -z)
CとHに属する対偶関係する平面対偶の個数はcm+hnである。さらに、グループ単位の順序は隣りの象限を優先するなど制約をつけて1通りに固定する。全ての平面対偶の個数はnであるから、分解シーケンス生成部120は、同一運動をまとめた場合の順序の場合の数Ordを、
(数7) Ord=(n-cm-hm)!・(+xm)!・---(-zm)! ・(+xn)!・---(-zn)!
と求める。
【0052】
平面対偶のまとめかたの観点を、同一の装置へ割り付ける動作(対偶)ごとにまとめるとした場合も、同様な方法で順序の生成ができる。たとえば,部品モデルに付けられた公差情報を取得し、その値により圧入装置を必要とするかどうか判断することができる。同一の圧入装置で処理できる動作を一つにまとめれば、それらの動作の間の順序は連続して割り振ったほうが作業効率を上げることができる。この方法で装置単位や作業者単位に動作をまとめてm個のグループに分類すれば、(数1)、(数2)、(数3)と同様の手順で順序の場合の数を低減することができる.
以上、部組化の条件により制約された分解順序の生成について説明した。
【0053】
こうして、想定される分解順序(いいかえれば、分解順序のパターン)を生成すると、組立シーケンス生成部120は、記憶装置に記憶させる。
【0054】
図7は、生成された分解順序を格納した分解順序情報200の構成を示す図である。分解順序情報200には、生成された分解順序の数のテーブルが存在する。各テーブルには、各レコードに、順番201と、平面対偶で拘束される2部品201が格納されている。順番201は、平面対偶を解除する順番である。平面対偶は2部品を拘束するものであるので、解除されると2部品の結合が消滅し分解されることになる。各レコードには、分解運動203を格納するフィールドもあるが、ここには、後述する処理において、分解可能な場合の分解運動の種類(並進、螺旋など)が格納される。
【0055】
次に、分解シーケンス生成部120は、S400で生成した分解順序について、その分解順序で分解可能か否かを調べる処理を行う(図2のS500)。概略すると、ここでは、平面対偶の順列に従って、平面対偶を組立品の機構モデルから順番に1つずつ削除する。続いて、平面対偶を削除した機構が運動の自由度を有するかどうかを、運動解析により調べ、運動成分を生成する。そして、運動の自由度が1以上かつその運動が並進または螺旋の運動基底で表されるとき、分解運動に該当するので、その分解運動により組立品が分解可能と判定する。
【0056】
図8は、かかる分解可能か否かを調べる処理のフロー図である。
【0057】
2つの部品間に平面対偶1つとその他の複数の対偶が結合している場合、この2つの部品間の運動は、個々の対偶が属する運動空間の積空間を張る運動基底6次元ベクトルの線形結合で生成することができる。
【0058】
図10は、2つの部品間が平面対偶と円筒対偶で結合されている場合を示す。図10(a)は、2部品が1つの平面と1つの円筒軸で合致されている場合である。図10(b)は、2部品が1つの平面と2つの円筒軸で合致されている場合である。この場合の2つの部品間の運動は、運動基底ベクトルにより図10中の(数8)、(数10)で表される。すなわち、図10(a)の平面対偶1つと円筒対偶1つの場合、その運動空間V12は、円筒対偶と同一の軸回りの回転を表す2つの運動基底6次元ベクトルの積空間で表される(数8)。また、図10(b)の平面対偶1つと円筒対偶2つの場合、2つの部品の運動空間V'12は空となり、2つの部品は運動しない(数10)。
【0059】
ここで、図10の(数8)の状態から、平面対偶を除去すれば、図10(a)の運動空間W12はもとの円筒対偶の基底ベクトルCとなり、円筒軸回りの回転と、軸に沿った並進の2つの運動基底ベクトルで2つの部品間の運動が表される(数9)。
【0060】
また、図10の(数10)の状態から、平面対偶を除去すれば、図10(b)の運動空間W'12は2つの円筒対偶の基底ベクトルC、C’の積空間となり、この場合、CとC’の円筒軸は平行なので、円筒軸に沿った並進運動となる(数11)。
【0061】
積空間の運動基底ベクトルは、補空間の基底ベクトルをグラム・シュミットの正規直行化により生成する手法を用いて算出できる。今、2つの6次元ベクトル空間A、Bについて、その和空間Cの基底ベクトルは、グラム・シュミットの正規直行化法により求めることができる。
【0062】
【数12】

空間AのCに対する補空間は、Cの基底ベクトルからAの基底ベクトルへの方向余弦成分を減じたベクトルをグラム・シュミットにより正規直行化することにより得られる。Bの補空間 も同様に求められる。
【0063】
【数13】

【0064】
【数14】

同様の方法で、AとBの積空間は、Cに対する補空間として求めることができる。
【0065】
【数15】

そこで、分解シーケンス生成部120は、分解順順序情報200に登録されている順に、平面対偶を1つ削除する(S510)。そして、機構の運動解析により分解の可否を判定する(S520)。
【0066】
図9は、機構の運動解析の処理のフロー図である。
【0067】
分解シーケンス生成部120は、機構モデルに含まれる部品について、2つずつの組み合わせを作り(S521)、任意の2組を(p1、p2)とする(S522)。次に、部品(p1、p2)をつなぐすべての経路を求め、その任意の経路をri=(e1、---、em)とする(S523)。ここでejは、経路上でj番目に通る対偶の番号とする。
【0068】
次に、分解シーケンス生成部120は、部品(p1、p2)間のいずれの経路上にも削除した平面対偶が含まれないか否か(言い換えれば、2つの部品をつなぐ全経路の中で削除される平面対偶を含む経路が1つでもあるか否か)を判定する(S524)。ここで、部品(p1、p2)間のいずれの経路上にも削除した平面対偶が含まれない場合(S524でN)、部品p1と部品p2の相対運動は、この平面の削除により影響を受けないと言える。
【0069】
そこで、分解シーケンス生成部120は、少なくとも1本の経路上に、該当する平面対偶を含む場合(S524でY)、部品p1、p2間の運動解析を行う(S525〜S527)。
【0070】
具体的には、分解シーケンス生成部120は、経路ri上の対偶から、その経路の運動基底をグラム・シュミットの正規直行化により求める(S525)。(p1、p2)間にr1、---、rnの経路があり、それらの運動空間をV1、--Vnとすると、部品p1とp2の相対運動は、運動空間V1、--Vnの積空間として導くことができる。すなわち、
【0071】
【数16】

が平面対偶を除去したときに部品p1と部品p2に生じる相対運動の運動空間である。分解シーケンス生成部120は、積空間の基底ベクトルの算出を、数12、数13、数14、数15に従い行う(S526)。
【0072】
次に、分解シーケンス生成部120は、分解可能性の判定を行う(S527)。具体的には、Vp1p2の運動基底ベクトルが並進または、螺旋を意味するベクトルを含むか否かを調べ、含む場合、部品p1と部品p2は分解できると判定する。ここで、
【0073】
【数17】

【0074】
の形式で表される6次元ベクトルである。
【0075】
Vp1p2を張る基底ベクトルにこれらのベクトルと平行な基底ベクトルを含む場合、その運動が分解運動に該当し、分解可能である。
【0076】
Vp1p2の運動基底ベクトルが並進または、螺旋を意味するベクトルを含む場合、組立シーケンス生成部120は、分解順序情報200の対応するレコードの分解運動203の項目に、求めた分解運動の種類(並進または螺旋)を格納する。このとき、分解運動の量(並進運動の量、螺旋運動の量)が求められている場合は、特徴量として、登録してもよい。さらに、2部品の結合行列の該当エッジ成分を全て0にする。
【0077】
なお、ここで、順序制約の設定処理(図2のS200参照)において、ユーザから部品の保持安定性を配慮するよう設定されている場合、分解運動により生じた部組品の運動ベクトルについても同様に判定するようにしてもよい。例えば、2部品の少なくとも1つについて分解時の並進運動が不可能であると設定されている場合、求められた分解運動に、並進ベクトルが含まれるようであれば、組立時や分解時の保持が困難であるとして、分解不可能と判定し、図9の運動解析処理を終了する。
【0078】
こうして、分解シーケンス生成部120は、機構モデルに含まれる部品における全ての「2つの部品の組み合わせ」について、S522〜S527の処理を行うと(S518でY)、分解順序情報200に分解運動203を登録したか否かにより、分解可能か否かを判定し、図9の運動解析処理を終了する。すなわち、分解運動を登録した場合(S519でY)、S510で削除した平面対偶で拘束される2部品間で分解可能と判定する(S519a)。一方、分解運動を登録しなかった場合(S519でN)、S510で削除した平面対偶で拘束される2部品間では分解不可能と判定する(S519b)。
【0079】
図8に戻って説明する。分解シーケンス生成部120は、分解不可能と判定した場合(S520でN)、処理の対象となっている分解順序に関する分解可否判定処理を終了する。
【0080】
一方、分解可能と判定した場合(S520でY)、分解シーケンス生成部120は、処理の対象となっている分解順序において未だ削除していない平面対偶があるか否か調べる(S540)。そして、未削除の平面対偶がある場合(S540でN)、S510に戻り、次の平面対偶を削除する処理S510から続ける。
【0081】
一方、全ての平面対偶を削除した場合(S540でY)、組立シーケンス生成部120は、最後まで分解可能であったとして、処理の対象となっている分解順序を、分解可能な分解順序として、登録する(S560)。
【0082】
以上のとおり、分解シーケンス生成部120は、分解順序情報200に格納されている全ての分解順序について、図8の分解可否判定処理を行う。
【0083】
図2に戻って説明する。次に、分解シーケンス生成部120は、分解シーケンスを出力する(S600)。具体的には、S500で分解可能な分解順序として登録した分解順序を、ディスプレイなどに出力する。あるいは、図1で示したリサイクル性評価システムなどの外部機器に出力してもよい。出力内容には、順番とともに、拘束を解除し分解する2部品と、分解運動とが含まれている。例えば、図7で示した分解順序情報200のような構成をしていてもよい。すなわち、順番201と、その分解で拘束が解除される2部品202と、分解運動(例えば、並進、螺旋など)203とが含まれていてもよい。
【0084】
また、組立シーケンス生成部130は、ユーザから要求に応じて、または図1に示したような組立性評価システムなどの要求に応じて、組立物の組立シーケンスを出力する。かかる場合、組立シーケンス生成部130は、分解可能として登録された分解順序を逆にして、組立シーケンスを生成し、出力する。
【0085】
なお、分解運動を、組み付け運動に変換する必要がある。組立シーケンス生成部130は、組み付け運動として、図2のS100の機構モデルとして生成した6次元の分解運動ベクトルの符号を反転させたものを求め、出力する。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0087】
上記実施形態によれば、一定の作業水準を満たす組立シーケンスを、3D−CADモデルから自動的に生成することが可能となる。本実施形態の手法は、作業性の悪い組立シーケンスを生成しない特長を持つ。また、本実施形態を用いれば、ユーザが与えた作業性の水準を満たす全ての組立シーケンスを生成することが可能である。
従って、生成された組立シーケンスの作業効率と作業の信頼性を評価すれば、要求される作業効率と作業信頼性を満たす最適解を、効率良く選定することが可能となる。
【0088】
また、3D−CADの組立モデルから、一定の組立作業性を満たす全ての組立シーケンスを自動生成し、それらを入力として組立作業性評価における解析の労力を低減する。また、組立作業性が良好とされた組立シーケンスを組立作業手順として、作業手順書の作成労力を低減する。同様に、一定の分解作業性を満たす全ての分解シーケンスを自動生成し、それらを入力として分解作業性評価における解析の労力を低減する。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、様々な変更が可能である。
【0090】
例えば、分解順序の制約を、組立シーケンスの評価結果に応じて変更するようにしてもうよい。例えば、図1に示すように、組立シーケンス生成部130は、生成した組立シーケンスを、組立シーケンスを評価する組立性評価システム401に対して出力する。組立性評価システム401は、汎用のコンピュータで構成され、予め定めたアルゴリズムで、組立シーケンスを評価する。例えば、所定の部品の分解順序が予め定めた分解順序に合致するか否か、またその分解動作が予め定めた分解動作に合致するか否かを調べる。そして、合致しない場合は、その所定の部品について、分解順序が予め定めた分解順序となるように、分解順序を制約する情報を、分解シーケンス生成部120に、送信する。分解シーケンス生成部120は、受信した制約にしたがって、分解順序を設定し、分解可能か否かの判定(図2、図8、図9の処理)を行う。
【0091】
また、分解順序の制約を、分解シーケンスの評価結果に応じて変更するようにしてもうよい。例えば、図1に示すように、分解シーケンス生成部120は、生成した分解シーケンスを、分解シーケンスを評価するリサイクル性評価システム402に対して出力する。リサイクル性評価システム402は、汎用のコンピュータで構成され、予め定めたアルゴリズムで、分解シーケンスを評価する。例えば、所定の部品の分解順序が予め定めたリサイクル性に配慮した分解順序に合致するか否か、またその分解動作が予め定めた分解動作に合致するか否かを調べる。そして、合致しない場合は、その所定の部品について、分解順序が予め定めた分解順序となるように、分解順序を制約するための情報を、分解シーケンス生成部120に、送信する。分解シーケンス生成部120は、受信した制約にしたがって、分解順序を設定し、分解可能か否かの判定(図2、図8、図9の処理)を行う。
【0092】
また、分解順序の制約を用いて、部品のグループ化(モジュール化)を提案する情報を出力するようにしてもよい。例えば、分解シーケンス生成部120は、分解シーケンスを生成した後、その分解シーケンスを生成するために用いた分解順序の制約によりグループ化(モジュール化)した部品群をディスプレイ等に出力する。例えば、ベース部品が設定された制約の場合、ベース部品に結合する部品群と、そうでない部品群を区分けて表示する。
【実施例2】
【0093】
作業者の動作の評価方法を次に示す。組立作業の動画像を記録する.一方,3D-CADのモデルの基準座標系を組立作業の動画像のカメラ基準座標系と一致するように設定する.3D-CADのモデルから部品の輪郭線と頂点の3次元座標を取得し,それらをテンプレートとしたテンプレートマッチングにより,動画像の部品の組立終了時のショットから全ての部品の位置座標を取得する.組立作業の動画像から複数のショットをサンプリングし,全ての部品の時系列上の位置座標を同定し,部品の実運動ベクトルを取得する.
3D-CADから全ての部品の組み付け動作の参照ベクトルを生成する.今,ある部品のある組み付け動作ベクトルをr, rの位置ベクトルの一定近傍内にある,該当部品の実運動ベクトルをxとする.すなわち,ある距離dを定めて,
【0094】
【数18】

となるxは,参照ベクトルrに対する実運動ベクトルxと判断する.図11の実ベクトル列(x1,・・・xn)は,これにより(r1,・・・,rm)のどの参照ベクトルに対応するかを判別する.
xのrに対して一次独立なベクトルは,
【0095】
【数19】

である.このベクトルの元のベクトルxに対する長さの比率を作業の無駄率とする.すなわち,
【0096】
【数20】

として,無駄率=1のときは,xはまったくrに一次独立であり,xはrに対して直交する.無駄率=0のときは,xとrは平行である.
無駄率のスレッシュホールドをcと定めれば,
【0097】
【数21】

となる動作iを改善が必要な組み付け動作として選択できる.
図11における参照ベクトル列Rを,図12に示す熟練作業者の行った部品の実運動ベクトルEに置き換えれば,同様の方法で熟練作業に対する非熟練者の作業の乖離度を導くことができる.熟練者と非熟練者の実運動ベクトルがどの参照ベクトルに対応するかは,(数18)を用いてあらかじめ対応付けておく。参照ベクトルriに対応する熟練者と非熟練者の無駄率の差を乖離度としてβiとし,乖離度のスレッシュホールドをfと定めれば,
【0098】
【数22】

となる参照ベクトルiの動作を熟練が必要な組み付け動作として選択できる.
図11,12で取得した作業者が行った部品の実運動ベクトル列は,(数19)により,組み付けの参照ベクトルに割付けることができる.ある参照ベクトルrに実運動ベクトル列(yi,・・・,yn)が対応したとし,それらのベクトルの所要時間を(t1,・・・,tn)とすると,作業者の参照ベクトルrに対する作業時間は,T=t1+・・・+tnである.参照ベクトルiで該当する部品を時間Tでアニメーション表示すれば,より現実の作業者の動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態の組立シーケンス生成システムの概略と、その利用を説明するための図である。
【図2】組立シーケンス生成処理のフロー図である。
【図3】3D-CADモデルから取得する部品間の拘束関係の例を示す図である。
【図4】組立品の運動機構表現を示す図である。
【図5】3D-CADから取得する部品間の拘束関係と対偶への変換表を示す図である。
【図6】組立品を運動機構と見なしたときのリンク(部品)と対偶(アセンブリ拘束)のデータ表現を示す図である。
【図7】分解順序情報200の構成例を示す図である。
【図8】分解可否判定処理(図2のS500)のフロー図である。
【図9】運動解析処理(図8のS520)のフロー図である。
【図10】運動解析の方法を説明するための図である。
【図11】作業の無駄判定を説明するための図である。
【図12】作業の乖離度判定を説明するための図である。
【符号の説明】
【0100】
100・・・組立シーケンス生成システム
110・・・組立拘束取得IF
120・・・分解シーケンス生成部
130・・・組立シーケンス生成部
401・・・組立性評価システム
402・・・リサイクル性評価システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得し,
組立運動ベクトルと組立順序を生成し,
実際の作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,
前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記参照ベクトルと前記部品の実運動ベクトルとを比較して,作業の無駄の度合いを判定することを特徴とする作業性解析プログラム。
【請求項2】
3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得し,
組立運動ベクトルと組立順序を生成し,
熟練作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,
非熟練作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,
前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記参照ベクトルと、前記抽出した熟練作業者および非熟練作業者の部品の各実運動ベクトルとを対応付けて,熟練動作の作業の無駄の度合いと非熟練動作の作業の無駄の度合いの差から,作業の乖離の度合いを求め,
前記作業の乖離の度合いから作業の習熟度、及び作業自体が熟練を要す作業であることを判定することを特徴とする作業性解析プログラム。
【請求項3】
3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得し,
組立運動ベクトルと組立順序を生成し,
評価対象職場の標準的な作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出し,
前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記抽出した部品の実運動ベクトルと対応付け,前記実運動ベクトルの運動時間から職場の標準的な作業速度を同定し,その作業速度で該当部品を参照ベクトルにより動かすアニメーションを表示することを特徴とする作業性解析プログラム。
【請求項4】
3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得する手段と,
組立運動ベクトルと組立順序を生成する手段と,
実際の作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出する手段と、
前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記参照ベクトルと前記部品の実運動ベクトルとを比較して,作業の無駄の度合いを判定する手段と、を有することを特徴とする作業性解析装置。
【請求項5】
3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得する手段と,
組立運動ベクトルと組立順序を生成する手段と,
熟練作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出する手段と,
非熟練作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出する手段と,
前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記参照ベクトルと、前記抽出した熟練作業者および非熟練作業者の部品の各実運動ベクトルとを対応付けて,熟練動作の作業の無駄の度合いと非熟練動作の作業の無駄の度合いの差から,作業の乖離の度合いを求める手段と,
前記作業の乖離の度合いから作業の習熟度、及び作業自体が熟練を要す作業であることを判定する手段と、を有することを特徴とする作業性解析装置。
【請求項6】
3D−CAD上の組立モデルを入力して,前記組立モデルを構成する部品間の隣接関係と部品間の位置関係を拘束するアセンブリ拘束情報を取得する手段と,
組立運動ベクトルと組立順序を生成する手段と,
評価対象職場の標準的な作業者の組み付け動作による部品の実運動ベクトルを作業画像から抽出する手段と,
前記生成した組立運動ベクトルを組み付け動作の参照運動ベクトルとして,前記抽出した部品の実運動ベクトルと対応付けて,前記実運動ベクトルの運動時間から職場の標準的な作業速度を同定し,その作業速度で該当部品を参照ベクトルにより動かすアニメーションを表示する手段と、を有することを特徴とする作業性解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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