説明

作業情報ガイダンス装置、作業情報ガイダンス方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 各作業者が同一の作業チームの他の作業者との関係でどのように行動するのかを把握する上での指針となる情報を、時間毎、場所毎の作業者の人数という形で抽出する。
【解決手段】 ワークフローからプロセスデータP(t)を作成する。作業者220が身に着けているRFIDタグのIDの情報を、作業領域に設けたRFIDリーダ210が受信すると、作業者の行動を示す位置計測データS''(t)を作成する。この位置計測データS''(t)とプロセスデータP(t)とを作業区分W毎に比較し、経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度である相互相関CWと、総所要時間の差TdWとを、作業区分W毎に計算し、計算した結果を示す情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業情報ガイダンス装置、作業情報ガイダンス方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、作業現場において、作業者が経験や勘に基づいてとっている行動に関する知識(暗黙知)の情報を抽出するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業現場においては、各作業者の行動を時系列的に記述したワークフローが作成され、このワークフローに基づいて各作業者は作業を行う。このようなワークフローを作成したり提供したりする技術として、特許文献1、2、3に記載の技術がある。
特許文献1に記載の技術では、過去のプロセス例から所望のプロセス例を検索し、プロセス例の検索結果から得られる所望のプロセス例を新規のプロセスモデルとし、必要に応じて、プロセスモデルの記述を、ユーザインターフェースを用いて追加又は修正するようにしている。また、特許文献2に記載の技術では、プロセスの実行中にユーザがプロセスインスタンスフローの編集開始を要求すると、プロセスを停止させ、ユーザにプロセスインスタンスフローに対する編集を行わせるようにしている。また、特許文献3に記載の技術では、作業情報を時間情報と関連付けて蓄積すると共に、各スタッフの位置情報を時間情報と関連付けて蓄積しておき、クライアント端末からの要求により患者別やスタッフ別に蓄積したデータを抽出して提供するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−188144号公報
【特許文献2】特開2007−4776号公報
【特許文献3】特開2002−236744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄鋼業等の作業現場では、生産効率の向上と生産コストの低減とを実現するために、作業の自動化による業務の少人数化が進められている。また、熟練した作業者(以下の説明では「熟練した作業者」を必要に応じて「熟練者」と称する)の減少という事態が生じている。
熟練者は、自身の経験や勘を頼りに、ワークフローには記述されていない有効な行動をとっていることが多い。実際の作業現場では、非熟練者が熟練者の行動を"見て、問うて、まねて、覚える"ことや、OJT(On the Job Training)により、このような熟練者の有効な行動が非熟練者に伝承されている。したがって、このような経験や勘に基づいて熟練者がとっている行動に関する知識(以下の説明ではこの「知識」を必要に応じて「暗黙知」と称する)を如何に明示化し、技術伝承に役立てるかが重要な課題となる。
【0005】
しかしながら、前述した従来の技術では、ワークフローをユーザが編集したり、スタッフの行動を提示したりするだけであり、熟練者が持つ暗黙知を抽出するための技術が開示されていない。
【0006】
そこで、本発明者らは、特願2011−5113号に記載の技術を提案した。かかる技術では、まず、作業者の行動を示すデータと、ワークフローに記述される行動とが相互に対応付けられた行動コーパスを用意する。そして、実際の作業者の行動を示すデータに対応する行動を行動コーパスから抽出し、抽出した行動に基づいてワークフローを変更する技術を提案した。この技術により、熟練者が持つ暗黙知を抽出することができるようになる。
ところで、作業現場においては、複数の作業者が一つの作業チームとして行動する場合がある。このような場合、各作業者(熟練者)が同一の作業チームの他の作業者との関係でどのように行動するのかを当該作業者の暗黙知として抽出することが望まれる。
しかしながら、特願2011−5113号に記載の技術は、基本的には、単独の熟練者の持つ暗黙知を抽出するものである。このため、各作業者(熟練者)が同一の作業チームの他の作業者との関係でどのように行動するのかを把握する上での指針となる情報を、当該作業者の暗黙知の情報として抽出することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、各作業者(熟練者)が同一の作業チームの他の作業者との関係でどのように行動するのかを把握する上での指針となる情報を、時間毎、場所毎の作業者の人数という形で抽出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業情報ガイダンス装置は、複数の作業者が一つの作業チームとして行う作業が時系列的に記述されたワークフローであって、作業が属する区分である作業区分と、作業を行う場所と、作業を行うのに必要な作業者の人数である必要人数と、作業に要する時間とを属性として含むワークフローの内容を示すプロセスデータを設定するプロセスデータ設定手段と、作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、当該場所と、当該作業者と、当該場所に当該作業者がいる時間と、当該場所で作業者が行っている作業の属する作業区分と、当該作業者が属する作業チームと、を特定するための位置計測データを設定する位置計測データ設定手段と、前記位置計測データ設定手段により設定された位置計測データから、同一の作業チームの複数の作業者が前記ワークフローに含まれる作業を行ったときの時間毎・場所毎の作業者の人数である実績人数を抽出し、抽出した時間毎・場所毎の作業者の実績人数と、前記プロセスデータにおける時間毎・場所毎の必要人数と、の類似度を、前記作業区分毎に計算する比較計算手段と、前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を表示する比較計算結果表示手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の作業情報ガイダンス方法は、複数の作業者が一つの作業チームとして行う作業が時系列的に記述されたワークフローであって、作業が属する区分である作業区分と、作業を行う場所と、作業を行うのに必要な作業者の人数である必要人数と、作業に要する時間とを属性として含むワークフローの内容を示すプロセスデータを設定するプロセスデータ設定工程と、作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、当該場所と、当該作業者と、当該場所に当該作業者がいる時間と、当該場所で作業者が行っている作業の属する作業区分と、当該作業者が属する作業チームと、を特定するための位置計測データを設定する位置計測データ設定工程と、前記位置計測データ設定工程により設定された位置計測データから、同一の作業チームの複数の作業者が前記ワークフローに含まれる作業を行ったときの時間毎・場所毎の作業者の人数である実績人数を抽出し、抽出した時間毎・場所毎の作業者の実績人数と、前記プロセスデータにおける時間毎・場所毎の必要人数と、の類似度を、前記作業区分毎に計算する比較計算工程と、前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を表示する比較計算結果表示工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムは、前記作業情報ガイダンス方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業者の行動を示す行動情報に基づいて、当該作業者と、当該作業者がいる場所と、当該場所に当該作業者がいる時間と、当該場所で作業者が行っている作業の属する作業区分と、当該作業者が属する作業チームと、を特定するための位置計測データを設定し、設定した位置計測データと、ワークフローの内容を示すプロセスデータとを比較して、時間毎・場所毎の作業者の人数の類似度を作業区分毎に計算し、その類似度を示す情報を表示する。したがって、各作業者が同一の作業チームの他の作業者との関係でどのように行動するのかを把握する上での指針となる情報を、時間毎、場所毎の作業者の人数という形で抽出し、表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】作業情報ガイダンス装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【図2】作業現場の一例を示す図である。
【図3】ワークフローの一例を示す図である。
【図4】ワークフローの属性情報の一例を示す図である。
【図5】プロセスデータP(t)の内容の一例を概念的に示す図である。
【図6】位置計測データ作成部により作成される位置計測データの内容の一例を概念的に示す図である。
【図7】作業区分が付与された位置計測データの内容の一例を概念的に示す図である。
【図8】プロセスデータと同じ形式のデータに変換された位置計測データの内容の一例を概念的に示す図である。
【図9】プロセスデータと同じ形式のデータに変換された位置計測データの全ての内容の一例を概念的に示す図である。
【図10】プロセスデータの注入終了工程の部分行列の部分と、位置計測データの注入終了工程の部分行列の部分を示す図である。
【図11】プロセスデータの注入終了工程の部分行列を正規化した部分行列と、位置計測データの注入終了工程の部分行列を正規化した部分行列を示す図である。
【図12】チーム名が「2」の作業チームの各作業区分の「総所要時間の差(時間差)と相互相関」の一例を示す図である。
【図13】作業チームの実際の作業とワークフローとの作業区分毎の比較の結果の具体的な表示例を示す図である。
【図14】作業情報ガイダンス装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、作業情報ガイダンス装置100の機能的な構成の一例を示す図である。本実施形態では、複数の作業者が一つの作業チームとして行う作業(行動)が時系列的に記述されたワークフローを用意しておく。作業情報ガイダンス装置100は、当該作業チームにおける「各作業者の実際の行動を示すデータ」と、当該ワークフローから得られる「各作業者に要求される行動を示すデータ」と、を比較する。そして、作業情報ガイダンス装置100は、それらの相違を示す情報を、当該作業チームの各作業者の暗黙知の情報として報知(ガイダンス)する。
以下、作業情報ガイダンス装置100が有する機能の詳細を説明する。作業情報ガイダンス装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えた情報処理装置を用いることにより実現することができる。
【0014】
[ワークフロー設定部101]
ワークフロー設定部101は、オペレータによるユーザインターフェース(操作装置)の操作に基づいて、ワークフローの情報を設定(記憶)する。
<作業現場の具体例>
図2は、作業現場の一例を示す図である。
本実施形態では、連続鋳造設備で3人の作業者が一つの作業チームとして作業する場合を例に挙げて説明する。
図2において、作業現場200には、クレーン201と、TDC(タンディッシュカー)202と、MD(モールド)203と、パルピット204と、広場205とが含まれている。クレーン201は、転炉で生成された溶鋼が注入された取鍋を運搬するものである。クレーン201によって回転式のターレットにセットされた取鍋から、TDC202の上に載置されているタンディッシュを介して、鋳型であるMD203に溶鋼が注入される。MD203を通過する過程で溶鋼から鋳片が形成される。パルピット204は、所謂操作室である。
クレーン201の作業領域と、TDC202の作業領域と、MD203の作業領域と、パルピット204の作業領域には、それぞれRFID(Radio Frequency Identification)リーダ210a〜210dが1つずつ設置されている。
【0015】
<ワークフローの具体例>
図3は、ワークフローの一例を示す図であり、図4は、図3に示すワークフローの属性情報の一例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態では、ワークフローが、連続鋳造設備における作業のうち、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入が終了してから、空になった取鍋に対する処理を行うまでの作業を対象とするワークフローである場合を例に挙げて説明する。このように、図3及び図4に示すワークフローでは、注入終了工程、調整工程、及び空処理工程の3つの作業区分の何れかに各作業が属するようにしている。
【0016】
図4において、「作業名」は、それぞれの作業の名称を示すものであり、図3に示す作業名と対応するものである。「場所」は、「作業名」の作業を行う場所(作業領域)を示す。「必要人数」は、「作業名」の作業を行うのに必要な作業者の人数である。「工数」は、「作業名」の作業の総所要時間を示すものである。ここでは、工数の値が1増える毎に総所要時間が30秒増えるものとする。例えば、工数の値が「2」である場合、総所要時間は60秒(=2×30秒)となる。
また、「作業順」は、「作業名」の作業を行う順番を示す。ここで、複数人が並行して別作業をすることが考えられるため、同一の「作業順」となっている作業が存在する場合がある。例えば、ある作業者は「作業順」が「2」でターレット半旋回(SNコネクタ脱)を行う一方で、別の作業者は「作業順」が「2」で監視作業を行う。
【0017】
ここで、図3及び図4に示すワークフローの概要について説明する。
まず、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入が終了すると、取鍋の底部中央に形成された出湯口とタンディッシュの天蓋の中央部に形成された挿入口とに連通されたロングノズル(LN)を取り外す(「LN取り外し」)。この「LN取り外し」は、2人の作業者がTDC202の作業領域で60秒をかけて行うものである(図4を参照)。
次に、ターレットを半旋回(1/4回転)させる(「ターレット半旋回」)。このとき、スライディングノズル(SN)を取り外す(「SNコネクタ脱))。この「ターレット半旋回」は、2人の作業者がTDC202の作業領域で60秒をかけて行うものである(図4を参照)。
【0018】
次に、ターレットを更に半旋回(1/4回転)させる(「ターレット半旋回」)。このとき、次に溶鋼の注入を行う取鍋の底部中央に形成された出湯口とタンディッシュの天蓋の中央部に形成された挿入口とにロングノズルを装着する(「LN装着」)。この「ターレット半旋回」も、2人の作業者がTDC202の作業領域で60秒をかけて行うものである(図4を参照)。
そして、装着したロングノズルのスライディングノズルを開ける(「SN開」)。この「SN開」も、2人の作業者がTDC202の作業領域で60秒をかけて行う(図4を参照)。
その後、TDCの調整を行う(「TDC調整」)。「TDC調整」は、1人の作業者がTDC202の作業領域で60秒かけて行うものである(図4を参照)。
以上のターレットの旋回を開始させてからスライディングノズルを開け、その後のTDCの調整(「TDC調整」)が開始されるまでの間、「操業監視」を別の作業者が行う。この「操業監視」は、1人の作業者がパルピット204の作業領域で300秒かけて行うものである(図4を参照)。
以上により、注入終了工程が終了する。
【0019】
次に、各種の調整の作業を開始する(「調整開始」)。この「調整開始」は、作業区分の開始を表すためにワークフローに便宜的に付与しているものである。
調整工程では、作業者の1人がその他の場所に移動する(「移動」)。「移動」の総所要時間は240秒である(図4を参照)。また、TDCの調整を行う(「TDC調整」)。「TDC調整」は、1人の作業者がTDC202の作業領域で180秒かけて行うものである(図4を参照)。また、この「移動」と「TDC調整」とが行われている間、「操業監視」を行う。「操業監視」は、1人の作業者がパルピット204の作業領域で240秒かけて行うものである(図4を参照)。
以上により、調整工程が終了する。
【0020】
次に、空鍋処理の作業を開始する(「空鍋処理開始」)。この「空鍋処理開始」は、作業区分の開始を表すためにワークフローに便宜的に付与しているものである。
空鍋処理工程では、「空鍋処理」と「操業監視」とが並行して行われる。「空鍋処理」は、1人の作業者がクレーン201の作業領域で1200秒かけて行うものであり、「操業監視」は、1人の作業者がパルピット204の作業領域で1200秒かけて行うものである。
以上により、空鍋処理工程が終了する。
【0021】
図4に示すように、本実施形態では、ワークフローの属性情報には、作業名、作業区分、場所、必要人数、工数、及び作業順が含まれる。
図3及び図4に示したように、本実施形態では、注入終了工程、調整工程、及び空鍋工程の3つの作業区分にワークフローを分けるようにしている。この作業区分は、後述するようにして作業者の行動を示すデータと比較をする単位を表すものである。したがって、ワークフローの或る部分を境としてワークフローを区分していれば、どのように作業区分を決定してもよい。例えば、ワークフローを所定時間(例えば10分)毎に区分したそれぞれを作業区分として決定してもよい。
【0022】
ワークフロー設定部101は、例えば、CPUが、ユーザインターフェースの操作に基づいて入力されたワークフローの情報(図3及び図4に示す情報)をHDD等に記憶することにより実現される。尚、ワークフローの情報は、外部装置から送信されるようにしても、可搬型の記憶媒体から読み出されるようにしてもよい。
【0023】
[プロセスデータ作成部102]
プロセスデータ作成部102は、ワークフロー設定部101により設定されたワークフローの情報から、後述するようにして、作業者の行動を示すデータと比較できるようにするためのプロセスデータP(t)を作成して記憶(設定)する。
プロセスデータP(t)の形式は、例えば、以下の(1)式の形式のようになる。
P(t)=(t,process(t),np1(t),np2(t),・・・npm(t)) ・・・(1)
【0024】
(1)式において、tは、経過時間を表す。ただし、ここでは、前述した工数の単位で経過時間tを表すものとする。すなわち、経過時間tの値が「0」の時刻(ワークフローの開始時刻(ここでは注入終了工程の開始時刻))を基準として、30秒が経過する度に経過時間tの値が「1」ずつ加算されることになる。
process(t)は、経過時間tのときに行われている作業が属する作業区分を表す。
pm(t)は、経過時間tのときに場所pmで作業している必要がある作業者の人数(必要人数)を表す。
図5は、プロセスデータP(t)の内容の一例を概念的に示す図である。図5に示すように、本実施形態では、クレーン201の作業領域と、TDC202の作業領域と、MD203の作業領域と、パルピット204の作業領域と、その他の領域の5つの場所を、作業を行う場所とする。したがって、(1)式において、mの値は「5」となる。
【0025】
プロセスデータ作成部102は、例えば、CPUが、HDD等から、ワークフローの情報を読み出して、(1)式に示すプロセスデータP(t)を作成し、HDD等に記憶することにより実現される。
尚、本実施形態では、ワークフローを入力してプロセスデータP(t)を作成するようにしたが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、ワークフローの情報を入力することなく、オペレータによるユーザインターフェース(操作装置)の操作に基づいて、プロセスデータP(t)を直接的に取得して記憶(設定)するようにしてもよい。
【0026】
[タグID取得部103]
タグID取得部103は、RFIDリーダ210a〜210dから、RFIDタグのIDの情報を取得する。
図2において、作業者220a〜220cは、RFIDタグを身に着けた状態で作業を行う。RFIDリーダ210の通信領域に、RFIDタグが進入すると、当該RFIDリーダ210は、当該RFIDタグのIDの情報を受信する。そして、当該RFIDリーダ210は、当該受信したRFIDタグのIDの情報と、当該RFIDリーダ210のIDの情報とを、作業情報ガイダンス装置100に送信する。
【0027】
本実施形態では、タグID取得部103は、ワークフローの開始時刻を基準に、所定時間(例えば30秒)が経過する度に、RFIDリーダ210から送信されたIDの情報を取得(蓄積)するものとする。
タグID取得部103は、例えば、通信インターフェースが、RFIDリーダ210から送信されたID(RFIDタグのIDとRFIDリーダ210のID)の情報を受信し、CPUが、受信した2つのIDの情報とそのIDの受信時刻の情報とを相互に関連付けてRAM等に記憶することにより実現される。
【0028】
[位置計測データ作成部104]
作業情報ガイダンス装置100(位置計測データ作成部104)には、RFIDタグのIDが、どのチームのどの作業者に対応するものであるのかを示すチーム・作業者識別情報が設定されている。また、どのRFIDリーダ210がどの作業領域に設置されているのかを示すRFIDリーダ識別情報が設定されている。これらの設定は、例えば、オペレータによるユーザインターフェース(操作装置)の操作に基づいて行うことができる。
【0029】
位置計測データ作成部104は、タグID取得部103により取得されたIDの値と、当該IDの送信元であるRFIDリーダ210と、当該IDを取得したタイミングと、を特定する。そして、位置計測データ作成部104は、特定した結果と、チーム・作業者識別情報及びRFIDリーダ識別情報と、に基づいて、どのチームのどの作業者がどのタイミングにどの場所にいるのかを判断する。
ここで、位置計測データ作成部104は、RFIDリーダ210からIDを取得することができない場合等、作業者がどの場所にいるのかを判断することができない場合、当該作業者は、RFIDリーダ210から離れた場所にいるか、又は、作業領域の間等を移動している最中であると判断し、当該作業者はその他の場所にいると判断する。
【0030】
そして、位置計測データ作成部104は、以上の判断の結果に基づいて、位置計測データS(t)を作成する。
位置計測データS(t)の形式は、例えば、以下の(2)式の形式のようになる。
S(t)=(t,team(t),pw1(t),pw2(t),・・・pwn(t)) ・・・(2)
(2)式において、tは、時刻を表す。ただし、ここでは、(1)式とは異なり、tは、実際の時刻を表すものとする。
team(t)は、時刻tのときに作業を行っているチーム名を表す。
wn(t)は、時刻tのときに作業者wがいる場所を表す。
図6は、位置計測データ作成部104により作成される位置計測データS(t)の内容の一例を概念的に示す図である。尚、図6では、ワークフローの一部分に対応する位置計測データS(t)のみを示している。前述したように、本実施形態では、3人の作業者が一つの作業チームとして作業するので、図6に示すように、位置計測データS(t)に含まれる作業者の数(実績人数)は3人である(作業者A、B、Cを参照)。すなわち、(2)式において、nの値は「3」となる。
位置計測データ作成部104は、例えば、CPUが、RAM等から、ID(RFIDタグのIDと当該RFIDリーダ210のID)の情報を読み出して、(2)式に示す位置計測データS(t)を作成し、RAM等に記憶することにより実現される。
【0031】
[作業区分付与部105]
本実施形態では、各作業区分の開始と終了の際には、ボイスアナウンス(VA)によるアラームが発せられる。このVAの内容を示すVAアラーム情報は、当該VAによるアラームを発生させた時刻を示すVA発生時刻情報と共に、不図示のプロセスコンピュータに蓄積される。
作業区分付与部105は、これらのVAアラーム情報とVA発生時刻情報とをプロセスコンピュータから受信する。これらのVAアラーム情報とVA発生時刻情報とに基づいて、作業区分付与部105は、位置計測データ作成部104により作成された位置計測データS(t)に示される時刻tに行われていた作業が属する作業区分process(t)を判断する。
【0032】
そして、作業区分付与部105は、位置計測データS(t)に作業区分process(t)を付与して、以下の(3)式に示す形式の位置計測データS'(t)を作成する。
S'(t)=(t,process(t),team(t),pw1(t),pw2(t),・・・pwn(t)) ・・・(3)
図7は、作業区分process(t)が付与された位置計測データS'(t)の内容の一例を概念的に示す図である。尚、図7は、図6に示す位置計測データS(t)に対して作業区分process(t)を付与した位置計測データS'(t)を示している。
作業区分付与部105は、例えば、通信インターフェースが、通信回線を介して相互に通信可能に接続されているプロセスコンピュータからVAアラーム情報とVA発生時刻情報とを受信し、CPUが、これらの情報と、RAM等から読み出した位置計測データS(t)とに基づいて、(3)式に示す位置計測データS'(t)を作成し、RAM等に記憶することにより実現される。
【0033】
[位置計測データ変換部106]
位置計測データ変換部106は、位置計測データS'(t)をプロセスデータP(t)と同じ形式のデータS''(t)に変換する。
位置計測データS''(t)の形式は、例えば、以下の(4)式の形式のようになる。
S''(t)=(t,process(t),n'p1(t),n'p2(t),・・・n'pm(t)) ・・・(4)
【0034】
(4)式において、tは、経過時間を表す。(1)式と同様に、経過時間tの値が「0」の時刻(ワークフローの開始時刻(ここでは注入終了工程の開始時刻))を基準として、30秒が経過する度に経過時間tの値が「1」ずつ加算されるものとする。
process(t)は、経過時間tのときに行われている作業が属する作業区分を表す。
n'pm(t)は、経過時間tのときに場所pmで作業していた作業者の人数(実績人数)を表す。
【0035】
図8は、プロセスデータP(t)と同じ形式のデータに変換された位置計測データS''(t)の内容の一例を概念的に示す図である。尚、図8は、図7に示す位置計測データS'(t)を、図5に示すプロセスデータP(t)と同じ形式のデータに変換した位置計測データS''(t)を示している。
図5に示したように、本実施形態では、プロセスデータP(t)では、実際の時刻tではなく、30秒が経過する度に「1」ずつ値が加算される経過時間tを採用している。また、プロセスデータP(t)では、各作業領域(場所;パルピット、TDC、MD、その他、クレーン)で作業している必要がある作業者の人数(必要人数)が、経過時間t毎に設定されている。
【0036】
そこで、位置計測データ変換部106は、位置計測データS'(t)から、各作業領域(場所;パルピット、TDC、MD、その他、クレーン)で作業していた作業者の人数を、経過時間t毎に集計して、位置計測データS'(t)をプロセスデータP(t)と同じ形式の位置計測データS''(t)にする。
位置計測データ変換部106は、例えば、CPUが、RAM等から、位置計測データS'(t)を読み出して、(4)式に示す位置計測データS''(t)を作成して、RAM等に記憶することにより実現される。
【0037】
[比較計算部107]
比較計算部107は、プロセスデータP(t)と位置計測データS''(t)とを作業区分毎に比較する。本実施形態では、比較計算部107は、ワークフローと実際の作業との「総所要時間の差と、経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度」を作業区分毎に計算する。
図9は、プロセスデータP(t)と同じ形式のデータに変換された位置計測データS''(t)の全ての内容の一例を概念的に示す図である。ここで、図9に示す位置計測データS''(t)は、図5に示したプロセスデータP(t)に対応する位置計測データS''(t)である。
【0038】
比較計算部107は、プロセスデータP(t)と、位置計測データS''(t)とを行列として取り扱う。
プロセスデータP(t)は、以下の(5)式で表され、位置計測データS''(t)は、以下の(6)式で表される。
P(t)={PO1,PO2,・・・,POWT ・・・(5)
S''(t)={SO1,SO2,・・・,SOWT ・・・(6)
図5に示す例では、プロセスデータPは、56行5列の行列であり、図9に示す例では、位置計測データS''は、49行5列の行列である。
【0039】
(5)式において、POWは、プロセスデータPを表す行列の「作業区分Wの部分を示す部分行列」であり、(6)式において、SOWは、位置計測データS''を表す行列の「作業区分Wの部分を示す部分行列」である。本実施形態では、作業区分は、注入終了工程、調整工程、及び空鍋処理の3つの作業区分からなるので、Wの値は「3」となる。
図5に示す例では、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1は、10行5列の行列であり、調整工程の部分行列PO2は、6行5列の行列であり、空鍋処理工程の部分行列PO3は、40行5列の行列である。
また、図9に示す例では、位置計測データS''(t)注入終了工程の部分行列SO1は、20行5列の行列であり、調整工程の部分行列SO2は、10行5列の行列であり、空鍋処理の部分行列SO3は、19行5列の行列である。
【0040】
比較計算部107は、プロセスデータP(t)及び位置計測データS''(t)から、各作業区分Wの部分行列PO1、PO2、PO3、SO1、SO2、SO3を抽出する。
そして、比較計算部107は、各作業区分Wの総所要時間の差TdWを、以下の(7)式により計算する。
dW=tPW−tSW ・・・(7)
【0041】
ここで、tPWは、プロセスデータPの作業区分Wの総所要時間であり、プロセスデータPの作業区分Wの部分行列POWの行の数により特定される。tSWは、位置計測データS'' の作業区分Wの総所要時間であり、位置計測データS''の作業区分Wの部分行列SOWの行の数により特定される。
例えば、図5において、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1の行数は「10」であるので、プロセスデータPの注入終了工程の総所要時間tP1は、工数で表すと「10」となる。前述したように、30秒を1工数としているので、プロセスデータPの注入終了工程の総所要時間tP1は、実時間で表すと、300(=10×30)秒となる。
【0042】
また、図9において、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の行数は「20」であるので、位置計測データS''の注入終了工程の総所要時間tS1は、工数で表すと「20」となる。よって、位置計測データS''(t)の注入終了工程の総所要時間tS1は、実時間で表すと、600(=20×30)秒となる。
以上により、注入終了工程の総所要時間の差Td1は、工数で表すと「−10(=10−20)」となる。比較計算部107は、このような計算を、調整工程と空鍋処理工程についても行う。
【0043】
次に、比較計算部107は、経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度を計算する。尚、以下の説明では、「経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度」を必要に応じて「相互相関」と称する。
本実施形態では、比較計算部107は、以下のようにして相互相関を作業区分W毎に計算するようにしている。ここでは、注入終了工程の相互相関を計算する方法を例に挙げて説明する。図10は、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1の部分(図10(a))と、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の部分(図10(b))を示す図である。
【0044】
図10に示すように、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1の行数と、位置計測データS''の注入終了工程の部分行列SO1の行数とは異なる。基本的には、同一の作業区分Wにおいては同じ作業が行われる。したがって、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1の行数と、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の行数との違いは、各作業に実際に要した時間が早くなったり、遅くなったりすることにより生じると考えられる。また、同一の作業区分Wにおいては、時間の経過と共に各場所(作業領域)の作業者の人数は極端に変わらないと考えられる。
【0045】
そこで、本実施形態では、比較計算部107は、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1の行数と、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の行数との最小公倍数を計算する。そして、比較計算部107は、プロセスデータPの注入終了工程の部分行列PO1の行数と、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の行数が、それぞれ、計算した最小公倍数の行数になるように、各部分行列PO1、SO1を引き伸ばす。具体的に、比較計算部107は、計算した最小公倍数を部分行列PO1、SO1の行数で割った値の回数ずつ、部分行列PO1、SO1の各行の値を、部分行列PO1、SO1の各行の位置関係を変えずに繰り返し配置する。以下の説明では、このようにして、各部分行列PO1、SO1の行数を揃えることを必要に応じて「正規化」すると称する。尚、各部分行列PO1、SO1の行数が同じである場合には、正規化を行う必要はない。
【0046】
図11は、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1を正規化した部分行列PrO1(図11(a))と、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1を正規化した部分行列SrO1(図11(b))を示す図である。
図10に示す例では、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1の行数は「10」であり、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の行数は「20」である。これらの最小公倍数は「20」となる。
【0047】
したがって、比較計算部107は、プロセスデータP(t)の注入終了工程の部分行列PO1を10行5列の行列から20行5列の行列に変更する。具体的に説明すると、まず、比較計算部107は、前述したようにして計算した最小公倍数(=20)を、プロセスデータPの注入終了工程の部分行列PO1の行数(=10)で割る。この値は、「2(=20÷10)」になる。そして、比較計算部107は、プロセスデータPの注入終了工程の部分行列PO1の各行の値を「2」回ずつ、各行の位置関係を変えずに配置する。
【0048】
例えば、図11(a)に示す例では、部分行列PrO1の1行目と2行目に、図10(a)に示す部分行列PO1の第1行の値(1 2 0 0 0)をそれぞれ繰り返し配置し、部分行列PrO1の3行目と4行目に、図10(a)に示す部分行列PO1の第2行の値(1 2 0 0 0)をそれぞれ繰り返し配置する。以降同様にして、図10(a)に示す部分行列PO1の各行の値を、2つずつ、部分行列PO1の各行の位置関係を変えずに繰り返し配置する。これにより、図11(a)に示す部分行列PrO1が得られる。このようにして図10(a)に示した部分行列PO1が正規化される。
【0049】
一方、位置計測データS''(t)の注入終了工程の部分行列SO1の行数は「20」であり、前述したようにして計算した最小公倍数(=20)と同じである。したがって、図11(b)に示す部分行列SrO1は、図10(b)に示した部分行列SO1と同じである。すなわち、比較計算部107は、図10(b)に示した部分行列SO1については正規化しない。
比較計算部107は、以上のような部分行列POW、SOWの正規化を、調整工程と空鍋処理工程についても行う。尚、調整工程では、部分行列PO2の行数は「6」であり、部分行列SO1の行数は「10」であるので、正規化した部分行列PrO2、SrO2は、それぞれ30行5列の行列となる。また、空鍋処理工程では、部分行列PO3の行数は「40」であり、部分行列SO1の行数は「19」であるので、正規化した部分行列PrO3、SrO3は、それぞれ760行5列の行列となる。
【0050】
以上のようにして部分行列POW、SOWの正規化を終了すると、比較計算部107は、作業区分W毎の相互相関CWを、以下の(8)式により計算する。
【0051】
【数1】

【0052】
(8)式において、|PrOW|は、部分行列PrOWの各要素の二乗和の正の平方根であり、|SrOW|は、部分行列SrOWの各要素の二乗和の正の平方根である。
また、(8)式において、PrOW・SrOWは、これら2つの部分行列(PrOW、SrOW)の同一行毎の内積の和である。
比較計算部107は、(8)式の計算を全ての作業区分W(本実施形態では、注入終了工程、調整工程、及び空鍋処理工程)のそれぞれについて行う。
【0053】
比較計算部107は、以上のようにして計算された各作業区分Wの「総所要時間の差TdW及び相互相関CW」と、それらを計算するときに使用した位置計測データS''(t)の元である位置計測データS'(t)に含まれているチーム名team(t)とを相互に関連付けて比較計算結果記憶部108に新しいものから順番に記憶する。
また、比較計算部107は、今回記憶した各作業区分Wの「総所要時間の差TdW及び相互相関CW」と同一チーム名team(t)の各作業区分Wの「総所要時間の差TdWと相互相関CW」を読み出す。そして、比較計算部107は、同一作業チームにおける「各作業区分Wの総所要時間の差TdWの算術平均値と、各作業区分Wの相互相関CWの算術平均値」を計算して比較計算結果記憶部108に記憶する。尚、算術平均値の代わりに、例えば、移動平均値を計算してもよい。
【0054】
図12は、チーム名が「2」の作業チームの各作業区分Wの「総所要時間の差TdW(時間差)と相互相関CW」の一例を示す図である。図12において、データNoは、図12に示す情報の取得順(計算順)を示し、データNoの番号が大きいもの程、新しく取得(計算)されたものであることを示す。
本実施形態では、比較計算部107は、図12に示すようなテーブルを、作業チーム毎に有している。比較計算部107は、各テーブルの各欄の値を変更(又は追加)することにより、「各作業区分Wの総所要時間の差TdW」の「時系列的な値及び平均値」と、「各作業区分Wの相互相関CW」の「時系列的な値及び平均値」とを作業チーム毎に、比較計算結果記憶部108に記憶させることができる。
【0055】
比較計算部107は、例えば、HDD等からプロセスデータP(t)を読み出すと共に、RAM等から位置計測データS''(t)を読み出して、(5)〜(8)式の計算等を行い、それらの結果をHDD等に記憶することにより実現される。また、比較計算結果記憶部108は、例えば、HDD等を用いることにより実現される。
【0056】
[比較計算結果表示部109]
比較計算結果表示部109は、比較計算部107により計算の対象となった作業チームの実際の作業とワークフローとの作業区分W毎の比較の結果を表示する。本実施形態では、比較の結果として、作業区分W毎の「総所要時間の差TdWと相互相関CW」を表示する。
図13は、作業チームの実際の作業とワークフローとの作業区分W毎の比較の結果の具体的な表示例を示す図である。
図13に示す例では、比較計算結果表示部109は、比較計算部107によって、各作業区分Wの「総所要時間の差TdW及び相互相関CW」が計算されると、当該計算の対象となった作業チームについて、以下の(A)及び(B)の情報を表示する。
(A)作業区分W毎の総所要時間の差TdW(時系列的な値及び平均値)
(B)作業区分W毎の相互相関CW(時系列的な値及び平均値)
これら(A)、(B)の情報は、図13の表示領域1301に表示される((A)の情報については、表示領域1301の「時間差」の欄を参照、(B)の情報については、表示領域1301の「相互相関」の欄を参照)。
【0057】
更に、図13に示す例では、比較計算結果表示部109は、計算の対象となった作業チーム以外のその他の作業チームについて、以下の(C)及び(D)の情報を表示する。
(C)作業区分W毎の総所要時間の差TdW(平均値)
(D)作業区分W毎の相互相関CW(平均値)
これら(C)、(D)の情報は、図13の表示領域1302に表示される((C)の情報については、表示領域1302の「時間差」の欄を参照、(D)の情報については、表示領域1302の「相互相関」の欄を参照)。尚、(C)、(D)の平均値に加えて又は代えて、例えば、最新の値を表示するようにしてもよい。
図13に示す情報から、例えば、以下のことをオペレータは把握することができる。
【0058】
まず、チーム名が「2」のチームの作業の結果によると、注入終了工程と調整工程では、ワークフローで設定された工数よりも長い作業時間が必要であり、空鍋処理工程では、ワークフローで設定された工数よりも短い作業時間で済むことが分かる(表示領域1301の時間差の欄を参照)。
具体的に、チーム名が「2」のチームの平均的な作業によると、注入終了工程では、ワークフローで設定された工数よりも7.5工数(3.25分)程度作業時間が必要であり、調整工程では、ワークフローで設定された工数よりも3工数(1.5分)程度作業時間が必要であり、空鍋処理工程では、ワークフローで設定された工数よりも18工数(9分)程度の作業時間の短縮が可能であることが分かる(表示領域1301の平均の欄を参照)。
また、チーム名が「2」のチームの作業の結果によると、調整工程において、経過時間毎・場所毎の作業人数が、ワークフローと大きく異なることが分かる(表示領域1301の相互相関の欄を参照)。
具体的に、チーム名が「2」のチームの平均的な作業によると、注入終了工程では、相互相関が0.70、空鍋処理工程では、相互相関が0.80であるのに対し、調整工程では、相互相関の値が0.49であることが分かる(表示領域1301の平均の欄を参照)。
【0059】
また、チーム名が「2」のチームの作業によると、チーム名が「2」のチームは、他のチームよりも、注入終了工程と調整工程の作業に時間を要し、空鍋処理工程の作業に時間を要しないということが分かる(表示領域1301の平均の欄と表示領域1302を参照)。
また、チーム名が「2」のチームの作業によると、チーム名が「2」のチームは、他のチームよりも、注入終了工程と調整工程の相互相関の値が大きく、空鍋処理工程の相互相関の値が小さいことが分かる(表示領域1301の平均の欄と表示領域1302を参照)。
比較計算結果表示部109は、例えばCPUが、前記(A)〜(D)に示す情報を、HDD等から読み出して、図13に示す表示画面を表示するための表示データを作成し、作成した表示データに基づく画像をディスプレイに表示させるようにすることにより実現される。
【0060】
(動作フローチャート)
次に、図14のフローチャートを参照しながら、作業情報ガイダンス装置100の動作の一例を説明する。
まず、ステップS1401において、ワークフロー設定部101は、ワークフローの情報を設定(記憶)する。本実施形態では、ワークフロー設定部101は、図4に示す、ワークフローの属性情報を設定する。
次に、ステップS1402において、プロセスデータ作成部102は、ステップS1401で設定されたワークフローの情報から、プロセスデータP(t)を作成する((1)式)を参照)。
【0061】
次に、ステップS1403において、タグID取得部103は、RFIDリーダ210a〜210dから、RFIDタグのIDの情報を取得する。
次に、ステップS1404において、位置計測データ作成部104は、ステップS1403で取得されたRFIDタグのIDの値と、当該IDの送信元であるRFIDリーダ210と、当該IDを取得したタイミングと、を特定し、その結果に基づいて、位置計測データS(t)を作成する((2)式を参照)。
【0062】
次に、ステップS1405において、作業区分付与部105は、VAアラーム情報とVA発生時刻情報とに基づいて、時刻tに行われていた作業が属する作業区分process(t)を判断し、当該作業区分process(t)を位置計測データS(t)に付与して、位置計測データS'(t)を作成する((3)式を参照)。
次に、ステップS1406において、位置計測データ変換部106は、位置計測データS'(t)をプロセスデータP(t)と同じ形式のデータに変換し、位置計測データS''(t)を作成する((4)式を参照)。
【0063】
次に、ステップS1407において、比較計算部107は、プロセスデータP(t)及び位置計測データS''(t)から、各作業区分Wの部分行列PO1、PO2、PO3、SO1、SO2、SO3を抽出する(図5、図9を参照)。
次に、ステップS1408において、比較計算部107は、未選択の作業区分Wを1つ選択する。本実施形態では、注入終了工程、調整工程、空鍋処理工程の順に作業区分Wを選択するものとする。
【0064】
次に、ステップS1409において、比較計算部107は、ステップS1408で選択した作業区分Wの総所要時間の差TdWを計算する((7)式を参照)。
次に、ステップS1410において、比較計算部107は、ステップS1408で選択した作業区分Wにおける「プロセスデータP(t)の部分行列POWの行数と、位置計測データS''(t)の部分行列SOWの行数」の最小公倍数を計算し、ステップS1408で選択した作業区分Wにおける「プロセスデータP(t)の部分行列POWと位置計測データS''(t)の部分行列SOW」を正規化する(図10、図11を参照、正規化後の部分行列POW、SOWは部分行列PrOW、SrOWである)。
【0065】
次に、ステップS1411において、比較計算部107は、ステップS1408で選択した作業区分Wの相互相関CWを計算する((8)式を参照)。
次に、ステップS1412において、比較計算部107は、全ての作業区分Wを選択したか否かを判定する。この判定の結果、全ての作業区分Wを選択していない場合には、ステップS1408に戻り、全ての作業区分Wについての処理が終了するまで、ステップS1408〜S1412の処理を繰り返し行う。
全ての作業区分Wについての処理が終了すると、ステップS1413に進む。ステップS1413に進むと、比較計算部107は、各作業区分Wの「総所要時間の差TdW及び相互相関CW」と、それらを計算するときに使用した位置計測データS''(t)の元である位置計測データS'(t)に含まれているチーム名team(t)とを相互に関連付けて比較計算結果記憶部108に新しいものから順番に記憶する。
【0066】
次に、ステップS1414において、比較計算部107は、ステップS1413で記憶した各作業区分Wの「総所要時間の差TdW及び相互相関CW」と同一チーム名team(t)の各作業区分Wの過去の「総所要時間の差TdWと相互相関CW」を読み出し、同一作業チームにおける「各作業区分Wの総所要時間の差TdWの算術平均値と、各作業区分Wの相互相関CWの算術平均値」を計算して比較計算結果記憶部108に記憶する。
次に、ステップS1415において、比較計算結果表示部109は、ステップS1413で特定されたチーム名team(t)とは異なるチーム名team(t)の作業チームの「作業区分W毎の総所要時間の差TdW(平均値)と作業区分W毎の相互相関CW(平均値)
」を読み出す。
【0067】
次に、ステップS1416において、比較計算結果表示部109は、ステップS1413で特定されたチーム名team(t)の作業チームの「作業区分W毎の総所要時間の差TdW(時系列的な値及び平均値)と作業区分W毎の相互相関CW(時系列的な値及び平均値)」を表示領域1301に表示すると共に、その他の作業チームの「作業区分W毎の総所要時間の差TdW(平均値)と作業区分W毎の相互相関CW(平均値)」を表示領域1302に表示する。
そして、図14のフローチャートによる処理を終了する。
【0068】
(まとめ)
以上のように本実施形態では、ワークフローからプロセスデータP(t)を作成する。作業者220が身に着けているRFIDタグのIDの情報を、作業領域に設けたRFIDリーダ210が受信すると、作業者の行動を示す位置計測データS''(t)を作成する。この位置計測データS''(t)とプロセスデータP(t)とを作業区分W毎に比較し、経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度である相互相関CWと、総所要時間の差TdWとを、作業区分W毎に計算し、計算した結果を示す情報を表示する。したがって、チーム内の各作業者(熟練者)が同一チームの他の作業者との関係でどのように行動するのかを把握する上での指針となる情報を、時間毎、場所毎の作業者の人数という形で当該作業者の暗黙知の情報として抽出することができる。
【0069】
また、本実施形態では、作業者220が身に着けているRFIDタグのIDの情報を、作業領域に設けたRFIDリーダ210が受信すると、そのIDの値と、当該IDの送信元であるRFIDリーダ210と、当該IDを取得したタイミングと、を特定し、その結果に基づいて、どのチームのどの作業者がどのタイミングにどの場所にいるのかを判断して、位置計測データS(t)を作成する。そして、VAアラーム情報とVA発生時刻情報とに基づいて特定した作業区分process(t)を位置計測データS(t)に付与して位置計測データS'(t)を作成し、位置計測データS'(t)を、プロセスデータP(t)と同じ形式のデータに変換して位置計測データS''(t)を作成する。したがって、作業者220の行動からでは、当該作業者220の作業がどの作業区分に属するのかが直接的に分からない場合でも、プロセスデータP(t)と、位置計測データS''(t)とを作業区分W毎に比較することができる。
【0070】
また、本実施形態では、プロセスデータP(t)の各作業区分Wの部分行列POWの行数と、位置計測データS''(t)の各作業区分Wの部分行列SOWの行数との最小公倍数を計算する。そして、計算した最小公倍数を部分行列POW、SOWの行数で割った値の回数ずつ、部分行列POW、SOWの各行の値を、部分行列POW、SOWの各行の位置関係を変えずに繰り返し配置して、部分行列POW、SOWを正規化し、正規化した部分行列PrOW、SrOWを比較する。したがって、同一の作業区分Wにおける「プロセスデータP(t)と位置計測データS''(t)」のデータ数が一致しない場合でも、プロセスデータP(t)と、位置計測データS''(t)とを作業区分W毎に比較することができる。
【0071】
(変形例)
本実施形態では、どのチームのどの作業者220がどのタイミングにどの場所にいるのかを把握するために、作業者220にRFIDタグを身に着けさせ、このRFIDタグのIDを、RFIDリーダ210が受信するようにした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、各作業領域に、作業者220が操作するボタンを設置し、作業者220が各作業領域に到着したときに当該ボタンを操作すると、その操作したボタンの設置位置と操作タイミングとに基づいて、どの作業者220がどのタイミングにどの場所にいるのかを把握するようにしてもよい。このようにする場合、例えば、チーム毎に異なる複数のボタンを設置し、どのボタンがどのチームのボタンであるのかを示すのかを予め作業情報ガイダンス装置100に設定しておくことにより、作業情報ガイダンス装置100は、ボタンを操作した作業者220が属するチームを識別することができる。また、ボタンの操作回数とチームとを相互に関連付ける情報を予め作業情報ガイダンス装置100に設定しておくことにより、作業情報ガイダンス装置100は、ボタンの操作回数に基づき、ボタンを操作した作業者220が属するチームを識別することもできる。
この他、予め視野カメラのIDと、作業者220及びチーム名とを相互に関連付けて作業情報ガイダンス装置100に設定しておき、視野カメラにより得られた視野画像から把握される作業領域と、当該視野画像を取得した時刻と、当該視野カメラのIDとに基づき、どのチームのどの作業者220がどのタイミングにどの場所にいるのかを把握することもできる。
【0072】
また、本実施形態では、プロセスデータP(t)と位置計測データS''(t)とを表す行列のそれぞれを、各経過時間における作業者の人数を各行の値とし、各場所にいる作業者の人数を各列の値とする行列とした。しかしながら、プロセスデータP(t)と位置計測データS''(t)とを表す行列のそれぞれを、各場所にいる作業者の人数を各行の値とし、各経過時間における作業者の人数を各列の値とする行列としてもよい。
また、本実施形態では、プロセスデータP(t)と位置計測データS''(t)のそれぞれを行列で表すに際し、相対的に経過時間が早い作業者の人数から順に、各経過時間における作業者の人数が先頭の行から配置されるようにした。しかしながら、相対的に経過時間が遅い作業者の人数から順に、各経過時間における作業者の人数が先頭の行から配置されるようにしてもよい。尚、以上のようにして行列を表す場合でも、同じ場所にいる作業者の人数が相互に同じ行又は同じ列に配置されるようにすることは勿論である。
【0073】
さらに、経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度を作業区分W毎に示すものであれば、必ずしも(8)式のようにして相互相関CWを計算する必要はない。例えば、同一の作業区分・同一の経過時間・同一の作業領域における「プロセスデータP(t)の必要人数から位置計測データS''(t)の作業人数」を減算した値の絶対値を、同一の作業区分のものについて加算した値を、経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度として用いてもよい。
【0074】
また、対象となるチームにおける「経過時間毎・場所毎の作業人数の類似度(相互相関CW)」を作業区分W毎に表示するようにしていれば、必ずしも、図13に示す情報を全て表示する必要はない。例えば、他のチームの情報を表示しなくてもよい(すなわち、表示領域1302を表示する必要はない)。また、対象となるチームの過去の情報(表示領域1301のデータNoが「2」以降の欄)や、平均の情報(表示領域1302の平均の欄)も表示しなくてもよい。その他、各作業区分Wの総所要時間の差TdW(時間差)も表示しなくてもよい。ただし、これらの情報を表示した方が、前述したように、作業者の暗黙知に関する情報を多面的に得ることができるので好ましい。
【0075】
また、本実施形態では、作業情報ガイダンス装置100が、VAアラーム情報とVA発生時刻情報とに基づいて、作業者220が行っている作業の属する作業区分process(t)を特定し、特定した作業区分process(t)を位置計測データS(t)に付与して位置計測データS'(t)を作成するようにした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、作業情報ガイダンス装置100とは別の装置(例えばプロセスコンピュータ)が、作業者220が行っている作業の属する作業区分process(t)を特定して位置計測データS'(t)を作成し、当該位置計測データS'(t)を作業情報ガイダンス装置100に送信してもよい。また、前述したように、視野カメラを用いる場合には、視野カメラにより得られた視野画像から作業区分process(t)を特定してもよい。
この他、ワークフローの内容は、図3及び図4に示したものに限定されず、作業現場は、連続鋳造設備に限定されない。
【0076】
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施の形態として適用することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体などのプログラムプロダクトも本発明の実施の形態として適用することができる。前記のプログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0077】
(請求項との対応)
<請求項1、10>
プロセスデータ設定手段は、例えば、ワークフロー設定部101及びプロセスデータ作成部102を用いることにより実現される。プロセスデータ設定工程は、例えば、図14のステップS1401、S1402の処理を実行することにより実現される。
位置計測データ設定手段は、例えば、タグID取得部103、位置計測データ作成部104、作業区分付与部105、及び位置計測データ変換部106を用いることにより実現される。位置計測データ設定工程は、例えば、図14のステップS1403〜S1406の処理を実行することにより実現される。ここで、作業を行う場所にある所定の装置は、例えば、RFIDリーダ210を用いることにより実現され、行動情報は、例えば、RFIDタグのIDの情報を用いることにより実現される。
比較計算手段は、例えば、比較計算部107を用いることにより実現される。比較計算工程は、例えば、図14のステップS1407、S1410、S1411の処理を実行することにより実現される。ここで、作業区分毎の類似度は、例えば、相互相関CWを用いることにより実現される。
比較計算結果表示手段は、例えば、比較計算結果表示部109を用いることにより実現される。比較計算結果表示工程は、例えば、図14のステップS1416の処理を実行することにより実現される。ここで、作業区分毎の類似度を示す情報は、例えば、図13の表示領域1301に表示されているチーム名が「2」、データNoが「1」の欄の相互相関の値により実現される。
<請求項2、11>
類似度記憶手段は、例えば、比較計算結果記憶部108を用いることにより実現される。類似度記憶工程は、例えば、図14のステップS1413の処理を実行することにより実現される。作業区分毎の平均を示す情報は、例えば、図13の表示領域1301の相互相関の欄の平均の値により実現される。
<請求項3、12>
類似度記憶手段は、例えば、比較計算結果記憶部108を用いることにより実現される。類似度記憶工程は、例えば、図14のステップS1413の処理を実行することにより実現される。ここで、作業区分毎の類似度の計算の対象となった作業チームとは異なる作業チームについての作業区分毎の類似度を示す情報は、例えば、図13の表示領域1302の相互相関の値により実現される。
<請求項4、13>
作業区分毎の総所要時間の相違は、例えば、総所要時間の差TdWにより実現され、作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報は、例えば、図13の表示領域1301の時間差の値により実現される。
<請求項5、14>
所要時間記憶手段は、例えば、比較計算結果記憶部108を用いることにより実現される。所要時間記憶工程は、例えば、図14のステップS1413の処理を実行することにより実現される。ここで、総所要時間の相違の平均を示す情報は、例えば、図13の表示領域1301の時間差の欄の平均の値により実現される。
<請求項6、15>
所要時間記憶手段は、例えば、比較計算結果記憶部108を用いることにより実現される。所要時間記憶工程は、例えば、図14のステップS1413の処理を実行することにより実現される。ここで、作業区分毎の類似度の計算の対象となった作業チームとは異なる作業チームについての作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報は、例えば、図13の表示領域1302の時間差の値により実現される。
<請求項7、8、16、17>
プロセスデータを、時間毎・作業区分毎の各場所における作業者の人数を示すデータとすることは、例えば、図5に示すプロセスデータP(t)により実現される。
第1のデータ設定手段は、例えば、タグID取得部103、位置計測データ作成部104、及び作業区分付与部105を用いることにより実現される。第1のデータ設定工程は、例えば、図14のステップS1404、S1405の処理を実行することにより実現される。
第2のデータ設定手段は、例えば、位置計測データ変換部106を用いることにより実現される。第2のデータ設定工程は、例えば、図14のステップS1406の処理を実行することにより実現される。
ここで、作業区分識別情報は、例えば、VAアラーム情報により実現され、外部装置は、例えば、プロセスコンピュータにより実現される。
<請求項9、請求項18>
プロセスデータを表す行列は、例えば(5)式により実現され、位置計測データを表す行列は、例えば(6)式により実現される。プロセスデータの部分行列は、例えば、図11に示す部分行列PrO1により実現され、位置計測データの部分行列は、例えば、図11に示す部分行列SrO1により実現される。
【符号の説明】
【0078】
100 作業情報ガイダンス装置
101 ワークフロー設定部
102 プロセスデータ作成部
103 タグID取得部
104 位置計測データ作成部
105 作業区分付与部
106 位置計測データ変換部
107 比較計算部
108 比較計算結果記憶部
109 比較計算結果表示部
201 クレーン
202 タンディッシュカー(TDC)
203 モールド(MD)
204 パルピット
205 広場
210 RFIDリーダ
220 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者が一つの作業チームとして行う作業が時系列的に記述されたワークフローであって、作業が属する区分である作業区分と、作業を行う場所と、作業を行うのに必要な作業者の人数である必要人数と、作業に要する時間とを属性として含むワークフローの内容を示すプロセスデータを設定するプロセスデータ設定手段と、
作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、当該場所と、当該作業者と、当該場所に当該作業者がいる時間と、当該場所で作業者が行っている作業の属する作業区分と、当該作業者が属する作業チームと、を特定するための位置計測データを設定する位置計測データ設定手段と、
前記位置計測データ設定手段により設定された位置計測データから、同一の作業チームの複数の作業者が前記ワークフローに含まれる作業を行ったときの時間毎・場所毎の作業者の人数である実績人数を抽出し、抽出した時間毎・場所毎の作業者の実績人数と、前記プロセスデータにおける時間毎・場所毎の必要人数と、の類似度を、前記作業区分毎に計算する比較計算手段と、
前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を表示する比較計算結果表示手段と、を有することを特徴とする作業情報ガイダンス装置。
【請求項2】
前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を記憶する類似度記憶手段を有し、
前記比較計算手段は、前記作業区分毎の類似度の複数の作業実績についての平均を更に計算し、
前記比較計算結果表示手段は、前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の類似度の前記平均を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項1に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項3】
前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を、前記作業チーム毎に記憶する類似度記憶手段を有し、
前記比較計算結果表示手段は、前記作業区分毎の類似度の計算の対象となった作業チームとは異なる作業チームについての前記作業区分毎の類似度を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項4】
前記比較計算手段は、前記位置計測データ設定手段により設定された位置計測データに基づいて、同一の作業チームの作業者が前記ワークフローに含まれる作業を行ったときの作業の総所要時間を前記作業区分毎に求め、求めた作業区分毎の作業の総所要時間と、前記プロセスデータにおける作業区分毎の作業の総所要時間との相違を、前記作業区分毎に計算し、
前記比較計算結果表示手段は、前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項5】
前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を記憶する所要時間記憶手段を有し、
前記比較計算手段は、前記作業区分毎の総所要時間の相違の複数の作業実績についての平均を更に計算し、
前記比較計算結果表示手段は、前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違の前記平均を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項4に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項6】
前記比較計算手段により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を、前記作業チーム毎に記憶する所要時間記憶手段を有し、
前記比較計算結果表示手段は、前記作業区分毎の総所要時間の相違の計算の対象となった作業チームとは異なる作業チームについての前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項4又は5に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項7】
前記プロセスデータは、時間毎・作業区分毎の各場所における作業者の人数を示すデータであり、
前記位置計測データ設定手段は、作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、時間毎・作業区分毎・作業チーム毎の各作業者のいる場所を示すデータを設定する第1のデータ設定手段と、
前記第1のデータ設定手段により設定されたデータを、時間毎・作業区分毎・作業チーム毎の各場所における作業者の人数を示すデータに変換し、変換したデータを前記位置計測データとして設定する第2のデータ設定手段と、を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項8】
各作業区分の作業の開始及び終了において発生する作業区分識別情報を外部装置から取得する作業区分識別情報取得手段を有し、
前記第1のデータ設定手段は、作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、時間毎・作業チーム毎の各作業者のいる場所を示すデータを設定し、設定したデータと、前記作業区分識別情報取得手段により取得された作業区分識別情報とに基づいて、時間毎・作業区分毎・作業チーム毎の各作業者のいる場所を示すデータを設定することを特徴とする請求項7に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項9】
前記比較計算手段は、前記プロセスデータと前記位置計測データとを、それぞれ、各時間における作業者の人数と、各場所にいる作業者の人数との一方を各行の値とし他方を各列の値とする行列であって、同じ場所にいる作業者の人数が相互に同じ行又は同じ列に配置されると共に、相対的に早い時間における作業者の人数又は相対的に遅い時間における作業者の人数から順に各時間における作業者の人数が先頭の行又は先頭の列から配置される行列で表し、
前記プロセスデータを表す行列と、前記位置計測データを表す行列とから、相互に同一の作業区分における部分行列をそれぞれ抽出し、抽出した部分行列の同一行毎の内積の和を、抽出した部分行列の各要素の二乗和の正の平方根の積で割った値を、前記作業区分毎の類似度として計算することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス装置。
【請求項10】
複数の作業者が一つの作業チームとして行う作業が時系列的に記述されたワークフローであって、作業が属する区分である作業区分と、作業を行う場所と、作業を行うのに必要な作業者の人数である必要人数と、作業に要する時間とを属性として含むワークフローの内容を示すプロセスデータを設定するプロセスデータ設定工程と、
作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、当該場所と、当該作業者と、当該場所に当該作業者がいる時間と、当該場所で作業者が行っている作業の属する作業区分と、当該作業者が属する作業チームと、を特定するための位置計測データを設定する位置計測データ設定工程と、
前記位置計測データ設定工程により設定された位置計測データから、同一の作業チームの複数の作業者が前記ワークフローに含まれる作業を行ったときの時間毎・場所毎の作業者の人数である実績人数を抽出し、抽出した時間毎・場所毎の作業者の実績人数と、前記プロセスデータにおける時間毎・場所毎の必要人数と、の類似度を、前記作業区分毎に計算する比較計算工程と、
前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を表示する比較計算結果表示工程と、を有することを特徴とする作業情報ガイダンス方法。
【請求項11】
前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を記憶する類似度記憶工程を有し、
前記比較計算工程は、前記作業区分毎の類似度の複数の作業実績についての平均を更に計算し、
前記比較計算結果表示工程は、前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の類似度の前記平均を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項10に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項12】
前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の類似度を示す情報を、前記作業チーム毎に記憶する類似度記憶工程を有し、
前記比較計算結果表示工程は、前記作業区分毎の類似度の計算の対象となった作業チームとは異なる作業チームについての前記作業区分毎の類似度を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項10又は11に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項13】
前記比較計算工程は、前記位置計測データ設定工程により設定された位置計測データに基づいて、同一の作業チームの作業者が前記ワークフローに含まれる作業を行ったときの作業の総所要時間を前記作業区分毎に求め、求めた作業区分毎の作業の総所要時間と、前記プロセスデータにおける作業区分毎の作業の総所要時間との相違を、前記作業区分毎に計算し、
前記比較計算結果表示工程は、前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項14】
前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を記憶する所要時間記憶工程を有し、
前記比較計算工程は、前記作業区分毎の総所要時間の相違の複数の作業実績についての平均を更に計算し、
前記比較計算結果表示工程は、前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違の前記平均を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項13に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項15】
前記比較計算工程により計算された、前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を、前記作業チーム毎に記憶する所要時間記憶工程を有し、
前記比較計算結果表示工程は、前記作業区分毎の総所要時間の相違の計算の対象となった作業チームとは異なる作業チームについての前記作業区分毎の総所要時間の相違を示す情報を、更に表示することを特徴とする請求項13又は14に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項16】
前記プロセスデータは、時間毎・作業区分毎の各場所における作業者の人数を示すデータであり、
前記位置計測データ設定工程は、作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、時間毎・作業区分毎・作業チーム毎の各作業者のいる場所を示すデータを設定する第1のデータ設定工程と、
前記第1のデータ設定工程により設定されたデータを、時間毎・作業区分毎・作業チーム毎の各場所における作業者の人数を示すデータに変換し、変換したデータを前記位置計測データとして設定する第2のデータ設定工程と、を有することを特徴とする請求項10〜15の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項17】
各作業区分の作業の開始及び終了において発生する作業区分識別情報を外部装置から取得する作業区分識別情報取得工程を有し、
前記第1のデータ設定工程は、作業を行う場所にある所定の装置から、作業者の行動を示す行動情報を受信すると、当該行動情報に基づいて、時間毎・作業チーム毎の各作業者のいる場所を示すデータを設定し、設定したデータと、前記作業区分識別情報取得工程により取得された作業区分識別情報とに基づいて、時間毎・作業区分毎・作業チーム毎の各作業者のいる場所を示すデータを設定することを特徴とする請求項16に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項18】
前記比較計算工程は、前記プロセスデータと前記位置計測データとを、それぞれ、各時間における作業者の人数と、各場所にいる作業者の人数との一方を各行の値とし他方を各列の値とする行列であって、同じ場所にいる作業者の人数が相互に同じ行又は同じ列に配置されると共に、相対的に早い時間における作業者の人数又は相対的に遅い時間における作業者の人数から順に各時間における作業者の人数が先頭の行又は先頭の列から配置される行列で表し、
前記プロセスデータを表す行列と、前記位置計測データを表す行列とから、相互に同一の作業区分における部分行列をそれぞれ抽出し、抽出した部分行列の同一行毎の内積の和を、抽出した部分行列の各要素の二乗和の正の平方根で割った値を、前記作業区分毎の類似度として計算することを特徴とする請求項10〜17の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス方法。
【請求項19】
請求項10〜18の何れか1項に記載の作業情報ガイダンス方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−89122(P2013−89122A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230927(P2011−230927)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】