説明

作業支援システム、作業支援方法、および、作業用端末

【課題】作業現場への導入が容易で、かつ、新たな作業の発生等による作業者への負担が少ない作業支援技術の提供。
【解決手段】作業手順書から、作業者が実施する作業の順番に作業画像を含む作業画像列を生成する画像列生成部と、作業画像列から抽出された作業画像を、出力装置に表示する出力部と、取得された作業者が見る方向の画像を含む複数の視野画像から、作業者が注視している特定の対象物の画像を含む注視画像を抽出する注視画像抽出部と、抽出された注視画像と、抽出された注視画像が視野画像として取得された際に出力部によって表示された作業画像と、の類似度を算出する類似度算出部と、作業者が適切に作業を実施しているか否かを、作業画像が表示された時刻からの経過時間、抽出された注視画像、または、算出された類似度を用いて判定する作業状況判定部と、を備え、出力部は判定結果に従って、作業に関する情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システムに関し、特に、作業手順書に基づいて作業者の安全かつ適切な作業を支援する作業支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設工事または保全工事等の現場においては、作業不備および事故を未然に防止することが重要な課題である。作業不備および事故を防止するためには、通常、作業を実施する各作業員に、作業対象および作業手順の確認および慎重な作業進行の徹底等が図られているが、疲労および集中力の低下、不注意等に起因するヒューマンエラーを撲滅するには至っていないのが現状である。
【0003】
この問題を解決するため、IT技術を用いることにより、作業が適切に進行しているか否かを判定する、または、作業者が作業内容を理解して作業を進めているか否かを判定することにより、作業不備および事故を未然に防止するための作業支援技術が検討されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1では、ICタグ等によって作業対象に識別情報を付与し、作業の開始時および終了時に読取り装置を用いて読み取った識別情報に基づいて、作業が正しく進行しているか否かを判定する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、各種センサを作業対象の機器または作業者に付与することによって、作業中に各種センサから取得された機器の使用状況および作業者の位置等の情報と、あらかじめ作業毎に想定されるセンサ情報とを比較する技術が開示されている。そして、特許文献2では、比較結果に従って、どの作業が実施されたかを判定し、また、実施された作業を一覧表示する技術が開示されている。
【0006】
一方、特許文献3では、計算機における作業を想定した技術が開示されており、利用者の計算機における操作情報を取得し、あらかじめ用意されている基準となる操作情報との類似度に基づいて、作業者が作業内容を理解しながら作業を進めているか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−91316号公報
【特許文献2】特開2006−164251号公報
【特許文献3】特開平11−249791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の特許文献1および特許文献2が開示する従来技術では、管理者が、ICタグもしくは各種センサ等を作業対象もしくは作業機材等に設置すること、または、ICタグもしくは各種センサが装備された新たな装置を、各システムに導入することが前提となる。また、管理者が、ICタグもしくは各種センサから入力される情報と各作業とを対応付ける情報とを、データベースとしてあらかじめ正しく整備するなどの、準備をしておく必要がある。
【0009】
しかし、大規模な作業現場の場合、多数の作業対象または作業機材を使用するため、それらの作業対象または作業機材をすべて整備し、適切に管理するためには多大な労力を要する。このため、特許文献1および特許文献2における従来技術による作業支援技術を導入することは容易では無いという問題がある。また、特許文献3が開示する技術についても、建設工事または保全工事の現場を対象とする場合、管理者が、特許文献1および特許文献2にあるようなICタグまたは各種センサを事前に多数設置しておく必要があり、特許文献1及び特許文献2における前述の問題と、同様の問題が生じる。
【0010】
さらに、特許文献1が開示する技術を導入する場合、作業者が、読取り装置を用いて識別情報を読み取る、という通常の作業では発生しない新たな作業を行う必要が生じる。詳細に作業状況を判定するためには、このような新たな作業が多数発生することになり、それらが作業者の負担となり、その結果、作業不備および事故を発生させる可能性が高くなるという問題が生じる。
【0011】
本発明の目的は、作業の進行状況が適切であるか否かを客観的に判定することにより、作業不備および事故を未然に防止するための作業支援技術を実現することにあり、特に、作業現場への導入が容易で、かつ、新たな作業の発生等による作業者への負担が少ない作業支援技術を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、作業者に作業手順書を表示する出力装置を備えた作業支援システムであって、前記作業手順書は、前記作業者が実施する作業を示す作業画像を含み、前記作業支援システムは、プロセッサとメモリと入力装置とを備え、前記作業支援システムに入力された前記作業手順書から、前記作業者が実施する作業の順番に前記作業画像を含む、作業画像列を生成する画像列生成部と、前記作業画像列から抽出された作業画像を、前記出力装置に表示する出力部と、前記入力装置を介して取得された前記作業者が見る方向の画像を含む複数の視野画像から、前記作業者が注視している特定の対象物の画像を含む注視画像を抽出する注視画像抽出部と、前記抽出された注視画像と、前記抽出された注視画像が前記視野画像として取得された際に前記出力部によって表示された第1の作業画像と、の類似度を算出する類似度算出部と、前記作業者が適切に作業を実施しているか否かを、前記作業画像が表示された時刻からの経過時間、前記抽出された注視画像、または、前記算出された類似度を用いて判定する作業状況判定部と、を備え、前記出力部は、前記作業状況判定部による前記判定結果に従って、前記作業者が実施する作業に関する情報を前記出力装置に出力する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によると、作業不備および事故を未然に防止するための作業支援システムを、作業現場へ容易に導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の作業支援システムを一般的に使用される計算機において実装した場合の物理的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の作業者が参照する作業手順書を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の作業手順書の電子的なフォーマットを示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の作業画像列の電子的なフォーマットを示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の入力装置を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の視野映像から注視画像を抽出する方法を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の注視画像の抽出方法を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の作業状況の判定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態の出力装置に表示される実施中の作業画像を示す説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の出力装置に表示される終了した作業画像を示す説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の作業者に提示される注意喚起の画面を示す説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の作業支援システムを一般的に使用される計算機において実装した場合の物理的構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の注視画像と作業手順書との対応を示す編集画面を示す説明図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の注視画像を作業手順として挿入するための編集画面を示す説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の作業画像の説明文を入力するための画面を示す説明図である。
【図16】本発明の第2の実施形態の注視画像を作業画像として挿入した後の編集画面を示す説明図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の注視画像を注意画像として挿入するための編集画面を示す説明図である。
【図18】本発明の第2の実施形態の作業手順書の電子的なフォーマットを示す説明図である。
【図19】本発明の第2の実施形態の注意画像の説明文を入力するための画面を示す説明図である。
【図20】本発明の第2の実施形態の注視画像を注意画像として挿入した後の画面を示す説明図である。
【図21】本発明の第3の実施形態の作業支援システムを一般的に使用される計算機において実装した場合の物理的構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第3の実施形態のヒヤリハット映像に格納される情報のフォーマットを示す。
【図23】本発明の第3の実施形態のヒヤリハット画像と作業手順書との対応を示す編集画面を示す説明図である。
【図24】本発明の第3の実施形態のヒヤリハット映像を注意画像として挿入するための編集画面を示す説明図である。
【図25】本発明の第3の実施形態の作業画像の説明文を入力するための画面を示す説明図である。
【図26】本発明の第3の実施形態のヒヤリハット映像を注意画像として挿入した後の編集画面を示す説明図である。
【図27】本発明の第4の実施形態の作業支援システムを複数の計算機によって実装した場合の物理的な構成を示すブロック図である。
【図28】本発明の第5の実施形態の作業支援システムを複数の計算機によって実装した場合の物理的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、作業者の視野画像から抽出された注視画像に基づいて、作業者の作業の進捗を判定することによって、作業不備および事故を未然に防止する。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明における第1の実施形態を図1から図11を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態の作業支援システムを一般的に使用される計算機において実装した場合の物理的構成を示すブロック図である。
【0018】
第1の実施形態の作業支援システムは、情報処理装置101、入力装置102、出力装置103、記憶装置104、作業手順書110、及び、作業画像列111を有する。作業支援システムに含まれる各要素は、一つの計算機に格納され、バスによって接続されてもよく、また、複数の計算機に格納され、ネットワークインタフェースを介して接続されてもよい。
【0019】
情報処理装置101は、第1の実施形態の作業支援システムに必要な各種のプログラムを実行するための情報処理装置である。情報処理装置101は、例えば、CPU等のプロセッサである。
【0020】
入力装置102は、作業支援システムに必要な情報を取得するための入力装置である。入力装置102は、例えば、作業者の顔が向いている方向の映像である視野映像を取得するためのビデオカメラ、または、視野映像中における作業者の視線位置を取得するための視線入力装置でもよい。また、作業手順書の編集または注意喚起情報に対する作業者または管理者による操作等を行うためのキーボード、マウス、またはタッチパネル等の一般的な入力装置が含まれる。
【0021】
出力装置103は、作業手順書の表示および注意喚起の提示等に使用される出力装置である。出力装置103は、一般的なパソコン等に用いられるモニタ、スピーカ、または、振動装置等が含まれる。出力装置103は、作業手順書の編集のためにも使用される。
【0022】
記憶装置104は、作業支援システムに必要な各種のプログラム、および、処理の途中経過に関する情報を格納するための記憶装置である。記憶装置104は、例えば、一時的にデータを記憶するメモリ等である。
【0023】
記憶装置104は、作業画像列生成プログラム105、注視画像抽出プログラム106、類似度計算プログラム107、作業状況判定プログラム108、および、表示プログラム109を有する。
【0024】
作業画像列生成プログラム105は、後述の作業手順書から、各作業に対応する画像である作業画像を抽出し、抽出された作業画像に基づいて、作業画像列を生成するためのプログラムである。本実施形態の作業画像列とは、抽出された作業画像を作業手順の順に保持する情報の集合である。
【0025】
注視画像抽出プログラム106は、入力装置102から入力された視野映像から、作業者が特定の対象物を注視している際の画像である注視画像を抽出するためのプログラムである。本実施形態の注視画像とは、作業者が特定の対象物を所定の時間の間、見続けている(注視している)場合に、作業者によって注視されている特定の対象物を含む画像である。
【0026】
類似度計算プログラム107は、注視画像抽出プログラム106および後述の作業状況判定プログラム108において、画像間の類似度を算出するために使用されるプログラムである。
【0027】
作業状況判定プログラム108は、作業画像と注視画像との類似度に基づいて、作業が適切に終了したか否か、または、作業が適切に進行しているか否か、等の作業状況を判定するためのプログラムである。作業が適切に終了していない、または、作業が適切に進行していない、と作業状況判定プログラム108によって判定された場合、作業状況判定プログラム108は、後述の表示プログラム109を用いることによって、出力装置103に注意喚起を示す情報を出力する。
【0028】
表示プログラム109は、作業手順書の内容または注意喚起を示す情報を出力装置103に表示するために使用されるプログラムである。
【0029】
作業手順書110および作業画像列111は、情報を蓄積するための記憶領域であり、例えば、HDD等の記憶装置に格納される。作業手順書110および作業画像列111は、一つの記憶装置に格納されてもよく、また、異なる記憶装置に格納されてもよい。
【0030】
作業手順書110には、一連の作業手順における各作業に関する内容を示す作業手順書が格納される。本実施形態における作業に関する内容には、文字および記号の他、図面または写真等の画像情報が含まれる。
【0031】
なお、作業手順書110に含まれる画像情報は、作業手順書110とは別の記憶領域に格納されてもよく、作業手順書110には、対応する画像情報の格納領域または対応する画像を特定するための情報のみが含まれてもよい。
【0032】
作業画像列111には、作業画像列生成プログラム105によって作業手順書から生成された作業画像列が格納される。
【0033】
図2は、本発明の第1の実施形態の作業者が参照する作業手順書を示す説明図である。
【0034】
図2に示す作業手順書は、本実施形態において、作業者によって直接参照される作業手順書である。なお、作業手順書から作業画像列を生成できれば、本実施形態の作業手順書は、図2に示す作業手順書に限られず、いかなる形式の作業手順書でもよい。
【0035】
図2に示す作業手順書は、領域201〜領域211を含む。領域201は、作業手順書のタイトルを示す。
【0036】
作業手順書は、一般的に、複数の細かい作業によって構成される。領域202および領域206は、各作業の概要および種類等を示す見出しを示す。領域203および領域207は、各作業の内容に関する詳細な説明を示す。
【0037】
領域204、領域208および領域210は、各作業の内容に関連する写真または図面等の画像(以下、作業画像と記載)を示す。領域205、領域209および領域211は、各作業画像の説明文を示す。
【0038】
図2に示すように、作業画像およびその説明文は、領域202および領域206が示す各作業に複数含まれてもよい。また、図2に示す作業手順書は、一連の作業手順が複数の作業により構成される形態であるが、各作業はさらに細かい作業の列によって構成されるてもよく、すなわち、作業手順が複数の階層の作業に細かく再分化されて記載されてもよい。
【0039】
図2に示す作業手順書は、紙に印刷された状態、または、画面に表示された作業手順書を示すが、本発明における作業支援システムは、図1の作業手順書110に電子的に格納される。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施形態の作業手順書110の電子的なフォーマットを示す説明図である。
【0041】
図3に示す作業手順書のフォーマットは、タイトル301、作業数302、および、複数のデータ303(データ303−1〜データ303−m:mは任意の自然数)を含む。
【0042】
図3に示すタイトル301は、図2の領域201に表示される文字列に対応する。作業数302は、作業手順書を構成する作業の数を示す。
【0043】
データ303は、各作業の内容を示す。作業数302が示す作業の個数分、作業手順書のフォーマットに格納される。図3に示す作業手順書のフォーマットは、m個のデータ(データ303−1〜データ303−m)を含む。
【0044】
図3に示すデータ303−1は、領域305〜領域311を含み、データ303−mは、領域312〜領域318を含む。
【0045】
各データ303は、各作業の見出しを示す値を含む。領域305および領域312には、作業の見出しが格納される。各データ303が示す作業の見出し(領域305または領域312)は、図2に示す領域202または領域206に表示される文字列に対応する。
【0046】
各データ303は、作業の説明文を示す値を含み、領域306および領域313には、作業の説明文が格納される。各データ303が示す作業の説明文(領域306および領域313)は、図2に示す領域203または領域207に表示される文字列に対応する。
【0047】
各データ303は、作業画像数を含み、領域307および領域314には、作業画像数が格納される。本実施形態における作業画像数とは、各作業を説明するために格納される作業画像の数である。
【0048】
各データ303は、作業画像を示す情報を含み、領域308、領域310、領域315および領域317には、作業画像を示す情報が格納される。領域308、領域310、領域315および領域317は、図2の領域204、領域208、または、領域210に対応する。
【0049】
データ303には、作業画像として、画像データが格納されてもよいし、また、他の記憶領域に格納される画像データを特定することができる識別子等の情報が格納されてもよい。
【0050】
各データ303は、各作業画像を説明するための説明文を含む。領域309、領域311、領域316および領域318には、各作業画像に対する説明文が格納される。領域309、領域311、領域316および領域318は、図2の領域205、領域209および領域211に対応する。
【0051】
データ303−1は、n個(nは任意の自然数)の作業画像を含む。データ303−mは、p個(pは任意の自然数)の作業画像を含む。
【0052】
本実施形態の作業支援システムにおいて、作業画像列生成プログラム105は、作業者によって実施される作業に関する作業手順書から作業画像を抽出し、抽出された作業画像に、作業手順書110が示す作業手順の順に従って順序を付す。具体的には、番号等を付す。そして、順序を付けられた作業画像を作業画像列111に格納する。
【0053】
表示プログラム109が、作業手順書110に格納される作業手順書のタイトル(タイトル301に格納される値)の一覧を出力装置103に表示し、作業者に入力装置102を介して、作業手順書のタイトルを選択させることによって、作業者によって実施される作業に関する作業手順書が決定される。
【0054】
なお、表示プログラム109は、作業内容に関するキーワードを、作業者に入力させ、作業者が抽出したい作業手順書を作業手順書110から抽出する機能、または、作業者によって作業手順書を選択させる際に作業手順書の内容を作業者に確認させる機能等を有してもよい。また、作業手順書中のどの作業から開始するかを、作業者に指定させる機能を有してもよい。
【0055】
実施される作業に関する作業手順書が作業者によって選択された後、作業画像列生成プログラム105は、図3に示すフォーマットに従って作業画像が格納されている箇所を作業手順書から検索する。そして、作業画像列生成プログラム105は、検索された作業画像を抽出する。そして、作業画像列生成プログラム105は、作業手順が示す順序に従って、図4に示すフォーマットのように、抽出された作業画像を作業画像列111に格納する。
【0056】
図4は、本発明の第1の実施形態の作業画像列111の電子的なフォーマットを示す説明図である。
【0057】
図4に示す作業画像列111のフォーマットは、領域401〜領域405を含む。図4に示す作業画像列は、図3に示す作業手順書110のフォーマットのデータ303から、作業画像を抽出した場合の作業画像列111を示す。
【0058】
領域401は、作業手順書110から抽出された作業画像の数を示す。領域401には、作業者が実施する作業を示すデータ303の作業画像数の合計が格納される。
【0059】
作業画像列111は、作業画像を示す情報を含み、領域402および領域404には、作業手順書110から抽出された各画像データ(作業画像)が格納される。作業画像列生成プログラム105は、作業手順書110に格納される作業画像を示す情報が画像データである場合、作業手順書110に格納される画像データを領域402または領域404に格納してもよい。
【0060】
また、作業画像列生成プログラム105は、作業手順書110に格納される作業画像に関する情報が、他の記憶領域に格納された画像データを特定するための識別子またはアドレス等である場合、それら識別子またはアドレス等の情報に基づいて、画像データを取得してもよい。そして、取得された画像データを、領域402または領域404に格納してもよい。また、作業画像列生成プログラム105は、他の記憶領域に格納された画像データを特定するための識別子またはアドレス等を領域402または領域404に格納してもよい。
【0061】
領域403および領域405は、領域402および領域404が示す作業画像が、作業手順書のいずれの作業の作業画像であるかを示す情報を含む。具体的には、作業手順書の作業を特定する番号と、対応する作業における何番目の作業画像であるかを示す番号とを含む。
【0062】
例えば、領域402が示す作業画像が図2における領域208に表示される作業画像である場合、領域403には、「2−1」のような形式によって値が格納される。この場合、「2−1」の最初の「2」は二番目の作業であることを示し、「2−1」は二番目の作業における一番目の作業画像であることを示す。
【0063】
領域403および領域405に格納される値は、前述の「2−1」のような形式に限定されず、作業手順書の作業を特定する情報と、対応する作業における何番目の作業画像であるかを示す情報とを示すことができれば、いかなる値でもよい。
【0064】
作業者によって選択された作業手順書の作業を開始することを、作業者が入力装置102を用いて作業支援システムに通知した場合、注視画像抽出プログラム106と作業状況判定プログラム108が起動される。注視画像抽出プログラム106は、注視画像を抽出し、作業状況判定プログラム108は、抽出された注視画像に基づいて作業状況の判定処理を行う。
【0065】
本実施形態の作業支援システムは、例えば、入力装置102としてビデオカメラを備え、ビデオカメラによって、作業者の顔が向いている方向の映像である視野映像を取得する。
【0066】
図5は、本発明の第1の実施形態の入力装置102を示す説明図である。
【0067】
例えば、入力装置102は、図5のように、作業者の眼鏡501の左右のレンズを結合するフレームに設置されたビデオカメラ502であってよい。そして、本実施形態の視野映像は、眼鏡501に設置されたビデオカメラ502によって取得されてもよい。また、ビデオカメラ502は、各レンズの外側のフレームに設置されてもよい。また、本実施形態の視野映像は、所定の時間間隔において取得された複数の視野画像を含む。
【0068】
このように眼鏡501にビデオカメラ502を設置することによって、顔の向きにビデオカメラの向きが追従するため、視野映像を容易に取得することができる。また、ヘルメットにカメラを設置する等、顔の向きに入力装置102の向きが追従できれば、いかなる方法によって入力装置102が設置されてもよい。
【0069】
入力装置102によって取得された視野映像から、注視画像抽出プログラム106は、注視画像を抽出する。注視画像抽出プログラム106が視野映像から注視画像を抽出する方法を、図6を用いて説明する。
【0070】
図6は、本発明の第1の実施形態の視野映像から注視画像を抽出する方法を示す説明図である。
【0071】
注視画像抽出プログラム106は、まず、各時刻の視野映像から視野画像を抽出する。図6は、視野画像の画像列601、および、視野画像間の類似度を示す。画像列601は、注視画像抽出プログラム106によって時系列に取得された画像A〜Kの集合である。
【0072】
注視画像抽出プログラム106は、各時刻の視野映像から画像A〜Kを抽出する。次に、類似度計算プログラム107は、抽出された画像列601において、取得された時刻が隣接する画像間、例えば、図6に示す画像Aおよび画像B間、画像Bおよび画像C間、ならびに、画像Cおよび画像D間等の類似度を算出する。
【0073】
類似度計算プログラム107は、例えば、既に開示された類似度を算出する技術(例えば、特開2006−114053号公報参照)を用いることによって、視野画像間の類似度を算出する。前述の類似度を算出する技術は、色関連の画像特徴量として画像中の色分布を用い、形関連の画像特徴量として画像中の輝度勾配ベクトルの方向成分を用いて、画像間の類似度を算出する方法を示す。
【0074】
しかし、本実施形態の類似度計算プログラム107は、特に、前述の技術に開示された方法によってのみ、類似度を算出しなくてもよく、視野画像間の類似性を評価できる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0075】
図6の画像列601の下方に示すグラフにおいて、横軸が時間を示し、縦軸が類似度を示す。また、グラフ中の黒丸「●」は、グラフにおける破線によって対応付けられる視野画像間の類似度を示す。また、図6における類似度は、類似度を算出するために用いられた二つの画像が、似ているほど高い値を示す。
【0076】
注視画像抽出プログラム106は、類似度計算プログラム107によって算出された視野画像間の類似度と、あらかじめ保持された所定の閾値602とを比較し、類似度が閾値602以上になる時間の区間を注視区間603として検出する。また、注視画像抽出プログラム106は、注視区間603の時間長に対する閾値をあらかじめ保持し、選択された注視区間603の時間長が閾値以下である場合、選択された注視区間603から注視画像を抽出しなくてもよい。これによって注視画像抽出プログラム106は、一定時間作業者が注視している画像が含まれる時間(注視区間603)を抽出できる。
【0077】
注視画像抽出プログラム106は、検出された注視区間603における視野画像を、注視画像として抽出する。図6に示す例において、注視画像抽出プログラム106は、注視区間603に含まれる画像D、画像E、画像F、画像Gおよび画像Hが注視画像として抽出される。
【0078】
注視画像抽出プログラム106は、注視画像として、注視区間603に含まれる画像すべてを抽出するだけでなく、例えば、注視区間603の中央の時刻における視野画像、または、類似度が最も高くなる時刻およびその前後における視野画像等、代表的な一部の視野画像のみを、注視画像として抽出してもよい。
【0079】
さらに、注視画像抽出プログラム106は、注視区間603におけるすべての視野画像または特定の一部の視野画像を重ね合わせた平均画像を生成し、生成された平均画像を注視画像として抽出してもよい。注視画像抽出プログラム106は、注視区間603における視野画像を特徴付ける画像を抽出できれば、どのような方法によって注視画像を抽出してもよい。
【0080】
前述の実施形態における作業支援システムは、入力装置102としてビデオカメラのみを用いて注視画像を抽出したが、入力装置102として、ビデオカメラと視線入力装置とを用いてもよい。視線入力装置には、例えば、既に開示された視線検出装置に関する技術(例えば、特開平10−096849号公報参照)等を用いることができる。
【0081】
前述の技術を本実施形態の視線入力装置を用いた場合、視線移動量の大きさを注視区間603の検出に利用することができる。例えば、視線入力装置から入力される視線に関する情報が、視野映像上の座標位置を示していた場合、注視画像抽出プログラム106は、隣接する時刻における座標位置の距離を視線移動量として定義し、視線移動量があらかじめ保持された閾値以下となる区間を注視区間603として選択できる。
【0082】
さらに、注視画像抽出プログラム106は、視線移動量が閾値以下、かつ、視野画像間の類似度が閾値以上である区間を注視区間603として抽出する、という方法を用いてもよい。さらに、視線入力装置を用いる場合は、注視区間603おいて、視線位置(視線が向いている(=注視している)視野映像上の位置)を中心とした、あらかじめ定められた範囲の画像のみを視野映像から注視画像として抽出してもよい。
【0083】
図7は、本発明の第1の実施形態の注視画像の抽出方法を示す説明図である。
【0084】
例えば、注視区間603における視野映像から抽出された画像が、図7に示す画像701であり、この画像上における視線位置が視線位置702であったとする。ここで、視線位置702を中心とする領域が範囲703に示す範囲によって定義されていた場合、注視画像抽出プログラム106は、範囲703に含まれる領域の画像のみを注視画像として抽出してもよい。これによって、視野映像のみを使用した場合と比較して、注視している対象物に関する画像のみを、精度良く抽出することが可能となる。
【0085】
作業状況判定プログラム108は、新たな注視画像が抽出された場合、作業状況の判定処理を行う。図8のフローチャートを用いて、作業状況判定プログラム108における処理について説明する。
【0086】
図8は、本発明の第1の実施形態の作業状況の判定処理を示すフローチャートである。
【0087】
作業者によって選択された作業手順書に従って作業者が作業を開始した場合、図8に示す処理は開始される。
【0088】
作業状況判定プログラム108は、まず、作業者によって選択された作業手順書から生成された作業画像列111を参照し、作業画像列111の最初の作業画像を、実施中の作業に関する作業画像(以下、実施中の作業画像と記載)として設定する(ステップ801)。なお、図8に示す処理が開始される際、作業画像列生成プログラム105は、作業者によって選択された作業手順書から、作業画像列111を生成する。
【0089】
ステップ801、ステップ812またはステップ818の後、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像として設定された作業画像に対応する作業手順書の内容を、作業手順書110から取得する。そして、取得された作業手順書の内容を、表示プログラム109を用いて出力装置103に表示する(ステップ802)。
【0090】
作業画像列111には、図4のフォーマットに示すように、各作業画像が作業手順書110のいずれの作業に対応しているかを示す情報(例えば、領域403および領域405に格納される情報)が格納される。このため、作業状況判定プログラム108は、ステップ802において、作業手順書の内容を表示するために必要な情報を、作業手順書110から容易に取得することができる。
【0091】
図9は、本発明の第1の実施形態の出力装置103に表示される実施中の作業画像を示す説明図である。
【0092】
図9は、図2に示す作業手順書の、領域206が示す「2.既設◎◎取り付け金具取り外し」作業の領域210が示す作業画像(領域211が「図2−2 金具取り外し」)を表示した例である。
【0093】
作業状況判定プログラム108は、実施中の作業に関する情報として、図9に示す表示例のように、作業手順書のタイトル901、実施中の作業に関する作業見出し902、実施中の作業画像903および作業画像の説明文904を表示する。作業状況判定プログラム108は、表示プログラム109および出力装置103を用いて、作業手順書を表示する。
【0094】
タイトル901は、図3に示す作業手順書110のタイトル301に対応し、作業見出し902は、図3に示す作業手順書110の領域305または領域312に対応する。また、作業画像903は、図3に示す作業手順書110の領域308、領域310、領域315、または領域317に対応し、説明文904は、図3に示す作業手順書110の領域309、領域311、領域316または領域318に対応する。
【0095】
作業状況判定プログラム108は、図9に示す表示例のように、作業手順書110の領域306または領域313に格納される作業の説明を表示しなくてもよく、表示してもよい。作業状況判定プログラム108は、表示する作業に関する情報の組み合わせを、必要に応じて変更してもよい。また、作業手順書110が、作業中に表示するための情報(備考等)を作業毎に保持している場合、作業毎に保持された情報を表示してもよい。
【0096】
また作業状況判定プログラム108は、図9に示す表示例のように、領域905、領域906、及び領域907を表示する。領域905は、一つ前の作業に関する情報を表示するためのボタンである。領域906は、一つ先の作業に関する情報を表示するためのボタンである。また、領域907は、表示される作業画像が、実施中の作業画像として設定されているか否かを識別するための領域である。
【0097】
領域905および領域906によって、作業者は、実施中の作業に関する内容だけでなく、その前後の作業内容も、必要に応じて確認することができる。また、表示されている作業内容が実施中の作業に関する情報であるか否かを作業者に判定させるため、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業であるか、終了した作業であるか、あるいは未終了の作業であるか、を画面に表示する。
【0098】
例えば、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像を表示する場合、図9に示す領域907に「実施中」を示す文字列を表示する。
【0099】
図10は、本発明の第1の実施形態の出力装置103に表示される終了した作業画像を示す説明図である。
【0100】
図9に示す表示例において、作業者が領域905の「前へ」ボタンを操作した場合、図10に示す表示例が表示される。作業状況判定プログラム108は、図10に示す領域1003に「終了」ボタンを表示し、作業画像1001に一つ前の作業(図2における領域209の「図2−1 ボルト取り外し」作業に対応)の内容を表示する。また、作業状況判定プログラム108は、図10に示す表示例のように、作業画像1001および作業画像説明1002に、それぞれ図2に示す領域208および領域209に対応する内容を表示する。
【0101】
図9に示す表示例において、作業者が領域906の「次へ」ボタンを操作した場合、作業状況判定プログラム108は、作業画像列111を参照し、次の作業画像を取得する。そして、図9に示す作業の一つ後の作業、すなわち、未終了の作業に関する内容を表示する。例えば、作業状況判定プログラム108は、領域907に、未終了の作業を示す「未完」を表示する。
【0102】
作業状況判定プログラム108は、領域907または領域1003に、終了、実施中、または未完のいずれかを、文字列によって表示するが、画面の背景色または文字の形式等のレイアウトを変更することによって、作業画像が示す作業が終了、実施中、または未完であるかを示してもよい。
【0103】
また、作業状況判定プログラム108は、図9および図10に示す表示例のように、作業に関する内容を文字および画像のみによって画面に表示したが、作業に関する内容を画面に表示する毎に、音、声、または、振動等を、作業者に提供してもよい。また作業状況判定プログラム108は、実施中の作業が次の作業に移行したと作業支援システムが判定した場合、すなわち、図8に示す処理においてステップ801からステップ802に移った場合、または、後述のステップ812もしくはステップ818からステップ802に移った場合のみに、音、声、または、振動等を作業者に提供してもよい。
【0104】
作業状況判定プログラム108は、音、声、または、振動等を作業者に提供する場合、表示プログラム109および出力装置103を用いる。
【0105】
さらに、作業状況判定プログラム108は、領域905および領域906への操作によって画面の内容が変更された場合と、実施中の作業が次の作業に移行したと作業支援システムが判定した場合とにおいて、使用する音、声、または振動等の種類を変更してもよい。これにより、作業者は、画面に表示されている内容を見ることなく、作業支援システムが作業に関してどのような判定をしているかを確認することができる。
【0106】
ステップ802の後、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像の画像データを作業画像列111から取得する(ステップ803)。
【0107】
ステップ803の後、作業状況判定プログラム108は、余分な注視画像の数を記録するため、記憶装置104等に保持された変数の値を0にリセットする(ステップ804)。ステップ804の後、作業状況判定プログラム108は、ステップ805が実行された時点の時刻を実施中の作業の開始時刻として、記憶装置104に保持する(ステップ805)。
【0108】
ステップ805の後、作業状況判定プログラム108は、注視画像抽出プログラム106によって新たな注視画像が抽出されたか否かを判定する(ステップ806)。新たな注視画像が抽出されていない場合、作業者は特定の対象物を見ておらず、作業を正常に実施していない可能性がある。このため、作業状況判定プログラム108は、ステップ807に進む。
【0109】
なお、ステップ806において注視画像を抽出するための注視区間603の閾値には、作業者が作業を実施するために十分な時間が割り当てられてもよい。これによって、作業者が作業を終了するまで、作業状況判定プログラム108は、ステップ808以降の処理によって、次の作業画像を表示することを待つことができる。
【0110】
ステップ806において、注視画像抽出プログラム106によって新たな注視画像が抽出されたと判定された場合、作業者は作業手順に従って作業を実施している可能性が高い。このため、作業状況判定プログラム108は、ステップ808に進む。
【0111】
ステップ807において、作業状況判定プログラム108は、ステップ805において記憶装置104に保持された開始時刻から、ステップ807を開始した時刻までの経過時間が、あらかじめ定められた閾値(以下、第1の閾値と記載)以上か否かを判定する。そして、ステップ805において保持された開始時刻からステップ807を開始した時刻までの経過時間が、第1の閾値以上である場合、作業者の視線が一定に定まっておらず、作業者が作業を正常に実施していない可能性が高い。このため、作業状況判定プログラム108は、後述のステップ815に進む。
【0112】
ステップ807において、ステップ805において保持された作業の開始時刻からステップ807を開始した時刻までの経過時間が第一の閾値より小さい場合、作業者が作業を正常に実施している可能性がある。このため、作業状況判定プログラム108は、ステップ806に戻り、再度、新たな注視画像が抽出されたか否かを判定する。
【0113】
ステップ808において、作業状況判定プログラム108は、新たに抽出された注視画像を注視画像抽出プログラム106から取得する。
【0114】
ステップ808の後、作業状況判定プログラム108は、ステップ808において取得された注視画像と、ステップ803において取得された作業画像との間の類似度を、類似度計算プログラム107を用いて算出する(ステップ809)。類似度計算プログラム107は、例えば、図6に示す方法によって類似度を算出する。
【0115】
ステップ809の後、作業状況判定プログラム108は、ステップ809において算出された類似度があらかじめ定められた閾値(以下、第2の閾値と記載)以上であるか否かを判定する。算出された類似度が第2の閾値以上である場合、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像に対応する作業が適切に終了したと判定し、ステップ811に進む。
【0116】
ステップ811において、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像の次の作業画像を作業画像列111から検索し、検索の結果、次の作業画像が取得されるか否かを判定する。そして、次の作業画像が取得されない場合、図8に示す処理が開始される際に選択された作業手順書のうち、すべての作業が終了したと判定し、図8に示す処理を終了する。
【0117】
次の作業画像が取得される場合、作業状況判定プログラム108は、図8に示す判定処理を継続するため、ステップ812に進む。ステップ812において、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像の次の作業画像を新たな実施中の作業画像として設定し、ステップ802に戻る。
【0118】
ステップ810において、算出された類似度が第2の閾値より小さいと判定された場合、作業者は作業に集中していない可能性がある。このため、作業状況判定プログラム108は、ステップ813に進む。
【0119】
ステップ813において、作業状況判定プログラム108は、ステップ808において取得された新たな注視画像を余分な注視画像であると判定し、余分な注視画像の数を記録するために記憶装置104に保持される変数の値に、1を加算する。
【0120】
ステップ814において、作業状況判定プログラム108は、余分な注視画像の数を記録するための変数の値があらかじめ定められた閾値(以下、第3の閾値と記載)以上であるか否かを判定する。そして、余分な注視画像の数が第3の閾値以上である場合、作業者に注意を促すため、作業状況判定プログラム108は、ステップ815に進む。
【0121】
余分な注視画像の数が第3の閾値より少ない場合、作業者に注意を促す必要はないため、作業状況判定プログラム108は、ステップ806に戻る。
【0122】
ステップ815において、作業状況判定プログラム108は、表示プログラム109を用いて、作業者に注意喚起を促すメッセージ、音、または声等を出力装置103に出力させる。ステップ815が実施される状況は、実施中の作業画面が示す作業が適切に終了していない、または、作業が適切に進行されていない、と判定される場合に相当する。このため、表示プログラム109によって提示される内容は、それらの状況を作業者に理解させることができる内容である必要がある。
【0123】
図11は、本発明の第1の実施形態の作業者に提示される注意喚起の画面を示す説明図である。
【0124】
図11が示す画面例は、領域1101を含む。領域1101は、作業者に注意喚起するためのメッセージ等を表示するための画面である。図11に示す画面例は、図9に示す画面に重ねられて表示される。
【0125】
領域1101は、内容1102、領域1103、領域1104、および領域1105を含む。内容1102は、注意喚起を促すためのメッセージを示す。作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像が示す作業に関する情報を含めて、作業が適切に進行していないことを示すメッセージを生成する。そして、生成されたメッセージを、内容1102に表示する。
【0126】
内容1102に表示される、実施中の作業画像が示す作業に関する情報は、実施中の作業画像に対応する作業手順書中の内容でもよい。また、内容1102に表示されるメッセージの内容は、作業状況判定プログラム108が作業毎に変わる部分を変数とした文の雛形をあらかじめ保持し、作業状況判定プログラム108が変数に作業毎に変わる情報を挿入することによって、生成されてもよい。
【0127】
例えば、図11に示す内容1102を表示するため、作業状況判定プログラム108は、図11において「金具取り外し」と記載される箇所を作業画像の説明文を挿入するための変数とする文の雛形を、あらかじめ保持してもよい。
【0128】
また、ステップ815は、ステップ805において取得された実施中の作業の開始時刻からステップ807が実行されるまでの経過時間が第1の閾値以上の場合と、余分な注視画像の数が第3の閾値以上である場合、の二つの場合に実行される。このため、いずれの場合において、ステップ815が実行されたかによって、表示されるメッセージの内容は変更されてもよい。
【0129】
例えば、余分な注視画像の数が第3の閾値以上である場合、不必要な「よそ見」が頻繁に発生し、作業に集中できていないと想定されるため、作業状況判定プログラム108は、図11に示す内容1102に変えて、領域1101に以下のメッセージを表示してもよい。
【0130】
「よそ見を控えてください」
「作業に集中してください」
さらに、図11に示す領域1101は、文字のみによる注意喚起を示すが、作業状況判定プログラム108は、画像、音、声または振動等を用いて注意喚起を示してもよい。この場合、ステップ802において作業手順書の内容を表示する際に使用した音、声または振動とは、異なる音、声または振動等を用いることによって、作業者が注意喚起であることを認識することができる。
【0131】
また、図11において、領域1103、領域1104および領域1105は、内容1102が示す注意喚起を確認した作業者が操作するためのボタンである。領域1103は、実施中の作業画面が示す作業を最初からやり直すためのボタンであり、領域1104は、作業をそのまま継続するためのボタンであり、領域1105は、作業を中止するためのボタンである。
【0132】
領域1103、領域1104または領域1105のいずれかが操作されることによって、作業支援システムは、作業者からの指示を受信する。作業状況判定プログラム108は、ステップ815において注意喚起を提示した後、ステップ816に進み、作業者からの指示を受信するため、図8に示す処理を中断する。
【0133】
また、ステップ816において作業状況判定プログラム108は、領域1103、領域1104または領域1105のいずれかが操作されることを待つことによって、作業者からの指示を待つ。いずれかの領域が操作されたことを検出した場合、作業状況判定プログラム108は、ステップ817において、いずれのボタンが操作されたかを判定する。
【0134】
ステップ817において、領域1103が操作されたと判定された場合、ステップ818において、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像を再度、実施中の作業画像に設定しなおし、ステップ802に戻る。
【0135】
また、ステップ817において、領域1103が操作されたと判定された場合、ステップ818において作業状況判定プログラム108は、作業画像の一覧を表示し、表示された一覧から、やり直す作業を作業者に選択させてもよい。この場合、作業状況判定プログラム108は、選択された作業画像をステップ818において、実施中の作業画像に設定する。
【0136】
ステップ817において、領域1104が操作されたと判定された場合、作業状況判定プログラム108は、ステップ806に戻り、処理を継続する。この際、作業状況判定プログラム108は、余分な注視画像数を記録するための変数の数、および、ステップ805において取得された開始時刻を更新し、作業者が作業を再開した後、直ちに注意喚起が再び提示されることを避ける。
【0137】
ステップ817において、領域1105が操作されたと判定された場合、作業状況判定プログラム108は、図8に示す処理を終了する。
【0138】
図8に示すフローチャートにおいて、作業画像列111の最後の作業画像に対応する作業が終了した場合、ステップ811における判定により、図8に示す処理は終了する。しかし、ステップ811において最後の作業が終了したと判定された場合、作業状況判定プログラム108は、図8に示す処理において抽出されたすべての注視画像と、図8に示す処理において選択された作業手順書の作業画像列111とを用いることによって、作業手順書全体に対する評価値を求めてもよい。そして、表示プログラム109を用いて、求められた評価値を出力装置103に表示してもよい。
【0139】
作業状況判定プログラム108は、例えば、図8に示す処理において抽出されたすべての注視画像を時系列に並べた注視画像列と、作業画像列をそれぞれ時系列データとみなして、時系列データ同士の類似度を求める方法を用いて注視画像列と作業画像列との類似度を求め、その類似度を評価値として出力装置103に表示してもよい。
【0140】
作業状況判定プログラム108は、注視画像列と作業画像列との類似度を、例えば、各画像間の類似度を、既に開示された類似画像検索方法に関する技術(例えば、特開2006−114053号公報参照)を用いて算出する。そして、算出された画像間の類似度に、既に開示された動的計画法(例えば、特開2002−221984号公報参照)等によるマッチング手法を適用することによって、評価値を求めることができる。
【0141】
前述の図8に示す処理において用いられた、第1の閾値、第2の閾値および第3の閾値の3種類の閾値は、作業に拠らず、それぞれ各ステップにおいて同じ値である。しかし、作業状況判定プログラム108は、それぞれの閾値について作業毎に異なる閾値を保持し、各ステップにおいて、作業毎の閾値を用いてもよい。また、それらの閾値は、作業手順書110に格納してもよいし、また、作業手順書110とは別に格納してもよい。
【0142】
また、前述の図8に示す処理において、作業状況判定プログラム108は、第1の閾値、第2の閾値および第3の閾値のすべてを用いて、作業が適切に進行しているか否かを判定した。しかし、作業状況判定プログラム108は、ステップ807、ステップ810、またはステップ814の少なくとも一つの判定処理によって作業が適切に進行しているか否かを判定してもよい。
【0143】
なお、ステップ814の判定処理が行われない場合、作業状況判定プログラム108は、ステップ813も行わなくてよい。
【0144】
また、図8に示すステップ814において、作業状況判定プログラム108は、余分な注視画像の数のみに基づいて、作業が適切に進行しているか否かを判定した。しかし、作業状況判定プログラム108は、余分な注視画像の数だけではなく、それらの時間長(注視区間603の合計)に基づいて判定してもよい。
【0145】
例えば、注視画像抽出プログラム106が注視画像を抽出する際に、注視画像抽出プログラム106は、注視画像と、注視していた時間長(図6に示す注視区間603の時間長)とを抽出してもよい。そして、ステップ814において、作業状況判定プログラム108は、余分な注視画像の時間長の総和を求め、求められた時間長の総和が所定の閾値以上であればステップ815に進み、作業者に注意喚起を行うようにしてもよい。また、作業状況判定プログラム108は、ステップ814において、余分な注視画像と作業中の作業画像との類似度と、注視画像の時間長との積を加算した値を用いて判定する等の方法を用いてもよい。
【0146】
また、図8に示すステップ810において、作業状況判定プログラム108は、新たに抽出された注視画像と実施中の作業画像との類似度のみを用いて、作業画像に対応する作業が終了したか否かを判定する。
【0147】
一方、例えば、ステップ810において作業状況判定プログラム108は、新たに注視画像が抽出された場合、それまでに抽出されたすべての注視画像を時系列に並べた注視画像列と、実施中の作業画像までの作業画像列111を時系列に並べた作業画像列とを生成する。そして、二つの時系列データ間の類似度を求める方法を用いて注視画像列と作業画像列との類似度を求め、求められた類似度が所定の閾値以上になった場合、実施中の作業画像が示す作業が終了したと判定してもよい。また、求められた類似度があらかじめ定められた閾値より低くなった場合、作業が適切に進行していないと判定してもよい。この場合の注視画像列と作業画像列の類似度も、前述の、作業手順全体に対する評価値を求める方法として説明した技術を用いて算出してもよい。
【0148】
また、図8に示すステップ809において、実施中の作業画像のみを用いて、作業画像に対応する作業が終了したか否かを判定したが、実施中の作業画像より後の作業画像すべてを判定対象としてもよい。この場合、新たに抽出された注視画像と実施中の作業画像との類似度、および、新たに抽出された注視画像とそれ以降の各作業画像(実施中として設定されていない各作業画像)との類似度を求める。
【0149】
そして、実施中として設定されていない各作業画像から、新たに抽出された注視画像と作業画像との類似度が、あらかじめ定められた閾値以上となる作業画像が検出された場合、作業状況判定プログラム108は、実施中の作業画像に対応する作業が適切に終了しなかったと判定し、ステップ815において注意喚起を行ってもよい。これによって、経過時間には問題はないが、不適切な状態のまま作業を進めてしまったような状況に対して注意喚起を行うことができる。
【0150】
また、図8に示す処理において、作業状況判定プログラム108は、作業画像列中の各作業画像に対して作業が適切に進められているか否かを判定したが、作業手順書中の一つの作業において複数の作業画像列が対応している場合、作業状況判定プログラム108は、各作業を単位として判定してもよい。
【0151】
具体的には、作業状況判定プログラム108は、ステップ803において、実施中の一つの作業画像を抽出する代わりに、実施中の作業に対応する作業画像(例えば、図2に示す領域308および領域310)をすべて取得する。そして、作業状況判定プログラム108は、ステップ809において、新たに抽出された注視画像と取得されたすべての作業画像との類似度を求め、求められた類似度が閾値以上であった作業画像に「終了」を示すマーク(例えば、フラグ)を付す。そして、ステップ810において、取得されたすべての作業画像に「終了」を示すマークが付されている場合、実施中の作業が終了したと判定し、ステップ811に進む。
【0152】
また、作業状況判定プログラム108は、ステップ813に進んだ場合、対象となっているすべての作業画像との類似度が閾値以上でない注視画像の場合、余分な注視画像の数を数えるための変数に1を加算する。これによって、ある作業に複数の作業画像が含まれており、且つ、作業手順書に格納される作業画像の順序と、実際の作業の順序とが一致しない場合など、作業が適切に進行していない場合を判定することが可能となる。
【0153】
また、前述の図8に示す処理において、実施中の作業画像を含む作業手順書の内容、注意喚起、および、作業手順全体に対する評価値は、作業者にのみ表示されるが、さらに、作業者の管理者、または、作業者と共同で作業を進めている他の作業者に表示されてもよい。
【0154】
また、前述の図8に示す処理において、作業状況判定プログラム108は、注視画像のみを用いて、作業者による作業が適切に終了したか、または、作業が適切に進行しているか、を判定した。しかし、例えば、各作業の開始時および終了時に、ICタグ、もしくは、特定の図形によるマーカー等を作業者に読取らせることによって作業の進捗を管理する方法と、作業者の位置を測定する装置を用いることによって作業者の位置に基づいて実施中の作業を判定する方法等とを組み合わせることによって、作業の終了を判定してもよい。
【0155】
第1の実施形態によれば、作業者の視野画像から抽出された注視画像によって、作業の進行状況が適切であるか否かを客観的に判定する。これによって、作業不備および事故を未然に防止することができる。また、本実施形態は作業者の視野画像を取得すればよいため、作業現場への導入が容易であり、かつ、新たな作業の発生等による作業者への負担が少ない。
【0156】
(第2の実施形態)
本発明における第2の実施形態を図12から図20を用いて説明する。
【0157】
図12は、本発明の第2の実施形態の作業支援システムを一般的に使用される計算機において実装した場合の物理的構成を示すブロック図である。
【0158】
図12に示す作業支援システムは、図1に示す作業支援システムに、注視画像対応付けプログラム1201、手順書編集プログラム1202および注視画像を格納する記憶領域である注視画像1203を追加したものであり、それ以外は図1と同じである。第2の実施形態の記憶装置104は、注視画像対応付けプログラム1201、および手順書編集プログラム1202を有する。また、第2の実施形態の作業支援システムは、注視画像1203を有する。
【0159】
注視画像対応付けプログラム1201は、作業状況判定プログラム108によって余分な注視画像として判定された注視画像を作業手順書の対応箇所に対応付けるためのプログラムである。
【0160】
図8に示す作業状況判定プログラム108の処理のステップ810において、注視画像と、実施中の作業画像との類似度が第2の閾値より小さい場合、作業状況判定プログラム108は、ステップ813において余分な注視画像の数を記録する変数の値に1を加算する。すなわち、ステップ810において、作業画像との類似度が第2の閾値より小さいと判定された場合、余分な注視画像が検出されたと判定される。
【0161】
このため、第2の実施形態において、注視画像対応付けプログラム1201は、図8に示すステップ813による処理の直前、または、直後、すなわち、ステップ810からステップ815が開始される前に、余分な注視画像と判定された注視画像を作業手順書に対応付ける。
【0162】
注視画像対応付けプログラム1201は、ステップ810および813が実施される状況において、実施中の作業画像から、図4に示す作業画像列111のフォーマットに従って作業手順書中の対応箇所を容易に特定できる。注視画像対応付けプログラム1201は、余分な注視画像が検出される毎に、余分な注視画像であると判定された注視画像と、その注視画像の作業手順書中における対応箇所に関する情報を、注視画像1203に格納する。
【0163】
注視画像対応付けプログラム1201は、余分な注視画像と判定された注視画像を格納するために、注視画像対応付けプログラム1201は、作業画像列111と同じ図4に示すフォーマットを使用してもよい。また、余分な注視画像そのもの、または、余分な注視画像の格納領域を特定できる情報、のいずれかを作業手順書中の対応箇所に直接挿入してもよい。
【0164】
手順書編集プログラム1202は、作業手順書の内容に対して追加および修正等の編集作業を行うための機能を、表示プログラム109、入力装置102および出力装置103を用いて作業手順書の管理者または作成者に提供するプログラムである。また、手順書編集プログラム1202は、作業見出しおよび作業説明の修正、新しい作業に関する内容の追加等、作業手順書を作成するために必要な一般的な編集機能を有する。
【0165】
さらに、手順書編集プログラム1202は、注視画像対応付けプログラム1201によって、作業手順書中に対応付けられた注視画像を、新たな作業画像として作業手順書に追加するか、または、注意すべき状況を示す画像として作業手順書に追加するか、を作業手順書を編集する編集者(作業者を含んでもよい)に選択させることができる。また、編集者の選択に従って、注視画像に対する説明文等の情報を作業手順書に追加し、作業手順書の内容を更新することができる。
【0166】
図13は、本発明の第2の実施形態の注視画像と作業手順書との対応を示す編集画面を示す説明図である。
【0167】
手順書編集プログラム1202は、表示プログラム109および出力装置103によって、作業手順書の編集画面を表示する。図13に示す編集画面は、領域1301および領域1302を含む。
【0168】
図13に示す編集画面において、領域1301は、作業手順書に対応付けられた余分な注視画像の一覧が表示される箇所、領域1302は編集中の作業手順書の内容が表示される箇所である。領域1301は、説明1303、説明1305および説明1308と、注視画像1304、注視画像1306、注視画像1307および注視画像1309とを含む。
【0169】
領域1301において、各注視画像は、編集者が作業手順書の対応箇所を容易に判別できるように、対応する作業手順書の箇所を特定可能な説明文、番号または記号等と共に表示される。具体的には、手順書編集プログラム1202は、説明1303、説明1305および説明1308に、作業手順書に含まれる各作業を示す説明を表示することによって、各注視画像が対応する作業手順書の箇所を特定可能にする。
【0170】
また、領域1302に示す作業手順書は、一つの作業に複数の作業画像を含むため、手順書編集プログラム1202は、注視画像がどの作業画像に対応付いているかを編集者によって識別可能なように、作業画像の説明1303、説明1305および説明1308に対応付けて、注視画像1304、注視画像1306、注視画像1307および注視画像1309を表示する。さらに、編集者が領域1301に表示される作業画像の説明または注視画像を選択した場合、手順書編集プログラム1202は、領域1302中の作業手順書において、対応する箇所の表示を変化させてもよい。
【0171】
注視画像対応付けプログラム1201によって作業手順書に対応付けられた余分な注視画像は、作業手順書中に作業画像として格納されていない画像である。そして、それらの注視画像は、作業の一部を示すが作業画像として作業手順書に格納されていない画像(以下、第1の注視画像と記載)、障害物等の作業上の注意事項を示す画像(以下、第2の注視画像と記載)、または、前述の第1の注視画像および第2の注視画像以外の第3の注視画像のいずれかに該当する。
【0172】
第1の注視画像は、新たな作業画像として作業手順書に追加される可能性があり、第2の注視画像は、作業上の注意点を指摘するための画像(以下、注意画像と記載)として、作業手順書中に追加される可能性がある。一方、第3の注視画像は、作業手順書中へ挿入される可能性が極めて低い。
【0173】
手順書編集プログラム1202は、作業手順書の編集者が作業手順書に対応付けられた注視画像を、第1の注視画像、第2の注視画像または第3の注視画像のいずれの種類に該当するかを判定し、判定結果に従って、作業手順書に追加する必要がある注視画像を、追加する機能を提供する。
【0174】
まず、注視画像が第1の注視画像に該当する場合、手順書編集プログラム1202は、作業手順書中の作業画像として注視画像を作業手順書に追加する。
【0175】
図14は、本発明の第2の実施形態の注視画像を作業手順として挿入するための編集画面を示す説明図である。
【0176】
図14は、編集者が作業手順書に挿入する注視画像を選択するため、注視画像1307を含む領域1401を選択した場合の編集画面を示す。
【0177】
例えば、図14に示すように、領域1401に含まれる注視画像1307は、作業画像の説明が「図1−3 作業用機材」(説明1305に対応)である作業画像に対応している。このため、領域1401に含まれる注視画像1307は、作業画像の説明が「図1−3 作業用機材」である作業画像の作業手順書における直前の位置1402に、手順書編集プログラム1202によって追加可能である。
【0178】
具体的な挿入方法としては、編集者が、領域1401をマウス等により選択し、選択された領域1401を位置1402へドラッグ・アンド・ドロップすることによって、編集者が注視画像1307の作業手順書への挿入を指示する方法がある。
【0179】
なお、手順書編集プログラム1202は、ドラッグ・アンド・ドロップによって注視画像の挿入が指示される際に、図14に示す位置1402のように点線を表示することによって、挿入可能な位置を明示してもよい。
【0180】
また、手順書編集プログラム1202は、作業画像として注視画像を挿入するための機能を起動するボタンまたはメニューを表示してもよい。そして、表示されたボタンまたはメニューをキーボードまたはマウスによって操作され、挿入する機能が起動された後、注視画像および挿入箇所の選択を編集者に行わせてもよい。また、注視画像および挿入箇所を選択された後、挿入する機能を起動する、などの方法を用いてもよい。
【0181】
さらに、前述の実施形態において、注視画像1307は作業手順書上で対応付けられている箇所にのみ挿入可能であったが、作業手順書中の任意の作業の作業画像として挿入されてもよい。
【0182】
作業画像として挿入する注視画像と作業手順書中の挿入箇所とが、編集者によって決定された後、図15のような画面により、挿入される注視画像の説明文を入力できるようにする。
【0183】
図15は、本発明の第2の実施形態の作業画像の説明文を入力するための画面を示す説明図である。
【0184】
図15の画面は、領域1501、領域1502、OKボタン1503、およびキャンセルボタン1504を含む。領域1501は、作業画像として作業手順書中に挿入する注視画像を示し、領域1502は、注視画像に対する説明文を入力するための箇所である。
【0185】
編集者がOKボタン1503を選択した場合、手順書編集プログラム1202によって、領域1502に入力された説明文が領域1501に示される注視画像と共に作業手順書110に挿入される。そして、図15に示す画面によって挿入された説明文は、図3に示す作業手順書110の領域309、領域311、領域316、または、領域318等に格納される。
【0186】
手順書編集プログラム1202は、図15においてキャンセルボタン1504が選択された場合、注視画像1307を作業手順書110へ挿入しない。
【0187】
図14における注視画像1307を作業手順書の位置1402に挿入した場合に表示される画面を図16に示す。
【0188】
図16は、本発明の第2の実施形態の注視画像を作業画像として挿入した後の編集画面を示す説明図である。
【0189】
図14および図15に示す画面によって、注視画像の挿入を指示され、さらに、挿入される注視画像の作業画像としての説明文を入力された場合、手順書編集プログラム1202は、図16に示す画像を表示する。
【0190】
図16に示す領域1302には、領域1601が含まれる。領域1601は、作業画像として挿入された注視画像1307と説明文とを含む。図16に示す領域1601は、注視画像1307の作業画像の説明文として、「機材置き場」を示す。
【0191】
また、手順書編集プログラム1202は、作業手順書における通し番号(例えば、図16に示す「図1−3」、「図1−4」等の番号)を、自動的に割り当てなおす。
【0192】
次に、注視画像が第2の注視画像、すなわち注意画像に該当する場合、手順書編集プログラム1202は、ある作業とその次の作業の間に注視画像を追加する。
【0193】
図17は、本発明の第2の実施形態の注視画像を注意画像として挿入するための編集画面を示す説明図である。
【0194】
図17は、編集者が作業手順書に挿入する注視画像を選択するため、注視画像1306を含む領域1701を選択した場合の編集画面を示す。
【0195】
例えば、図17に示すように、領域1701に含まれる注視画像1306は、作業の説明が「1.作業準備」である作業に対応している。このため、「1.作業準備」に含まれるすべての作業画像と、次の作業(「2.既設◎◎取り付け金具取り外し」)に含まれるすべての作業画像との間の位置1702に、手順書編集プログラム1202によって追加可能である。
【0196】
具体的な挿入方法としては、作業画像としての追加と同じく、編集者が、領域1701をマウス等により選択し、選択された領域1701を位置1702へドラッグ・アンド・ドロップすることによって、編集者が注視画像1306の位置1702への挿入を指示する方法がある。
【0197】
なお、手順書編集プログラム1202は、ドラッグ・アンド・ドロップによって注視画像の挿入が指示される際に、図17に示す位置1702のように点線を表示することによって、挿入可能な位置を明示してもよい。
【0198】
また、手順書編集プログラム1202は、注意画像として注視画像を挿入するための機能を起動するボタンまたはメニューを表示してもよい。そして、表示されたボタンまたはメニューがキーボードまたはマウスによって操作され、挿入する機能が起動された後、注視画像および挿入箇所の選択を編集者に行わせてもよい。また、注視画像および挿入箇所を選択された後、挿入する機能を起動する、などの方法を用いてもよい。
【0199】
さらに、図17の例において、注視画像1306は作業手順書上で対応付けられている箇所にのみ挿入可能であったが、本実施形態の注視画像は作業手順書中の任意の作業に対する注意画像として挿入されてもよい。
【0200】
図3に示す作業手順書110のフォーマットは、注意画像を格納する項目を含まない。このため、第2の実施形態における作業手順書110は、図18に示すフォーマットのように、注意画像を格納する項目を含む。
【0201】
図18は、本発明の第2の実施形態の作業手順書110の電子的なフォーマットを示す説明図である。
【0202】
第2の実施形態における作業手順書110は、注意画像に関する情報を格納するための領域1801〜領域1810を含む。
【0203】
図18において、領域1801および領域1806は、注意画像の数を表す。領域1802、領域1804、領域1807および領域1809は、注意画像として作業手順書110に格納された画像を示す。
【0204】
領域1802、領域1804、領域1807および領域1809には、注意画像に関する情報として、画像データが格納されてもよい。または、他の格納手段によって格納されている画像データを、特定するための識別子等が格納されてもよい。領域1803、領域1805、領域1808および領域1810は、各注意画像に対する説明文である。
【0205】
図18に示すデータ303−1は、i個(iは任意の自然数)の注意画像を含む。データ303−mは、j個(jは任意の自然数)の注意画像を含む。
【0206】
手順書編集プログラム1202は、注意画像として挿入される注視画像と、注視画像が作業手順書に挿入される位置が、図17に示す通り編集者によって決定された後、図19のような画面によって、注意画像に対する説明文を編集者に入力させる。
【0207】
図19は、本発明の第2の実施形態の注意画像の説明文を入力するための画面を示す説明図である。
【0208】
図19の画面は、領域1901、領域1902、OKボタン1903、およびキャンセルボタン1904を含む。領域1901は、注意画像として作業手順書中に挿入する注視画像を示し、領域1902は、注視画像に対する説明文を入力するための箇所である。
【0209】
編集者がOKボタン1903を選択した場合、手順書編集プログラム1202によって、領域1902に入力した説明文が注意画像と共に作業手順書110に挿入される。手順書編集プログラム1202は、キャンセルボタン1904が選択された場合、注視画像を作業手順書110へ挿入しない。
【0210】
図17における注視画像1306を作業手順書の位置1702に挿入した後の状態を図20に示す。
【0211】
図20は、本発明の第2の実施形態の注視画像を注意画像として挿入した後の画面を示す説明図である。
【0212】
図17および図19に示す画面によって、注視画像の挿入を指示され、さらに、挿入される注視画像の注意画像としての説明文を入力された場合、手順書編集プログラム1202は、図20に示す画像を表示する。
【0213】
図20に示す領域1302には、領域2001が含まれる。領域2001は、注意画像として挿入された注視画像1306を含む。図20において、手順書編集プログラム1202は、図20の領域2001において、説明文の下に注意画像を表示し、「注意1)」等の番号または記号を説明文の先頭に表示する。これによって、領域2001の画像が注意画像であることを示す。
【0214】
注意画像およびその説明文の表示方法は、注意事項として作業者が注意画像を識別できれば、いかなる表示方法でもよい。
【0215】
さらに、第2の実施形態の作業支援システムが入力装置102として、例えば、作業者の視線、作業者の位置および作業対象の位置を検出するセンサを備える場合、注視画像対応付けプログラム1201は、検出された注視画像が作業対象を含むが否かを判定できる。これによって、注視画像対応付けプログラム1201は、例えば、余分な注視画像として検出された注視画像が作業対象を画像として含む場合、作業対象を含む注視画像を作業画像として作業手順書に追加する可能性が高い。また、注視画像が作業対象を含まない場合、注視画像を注意画像として作業手順書に追加しない可能性が高い。
【0216】
そして、注視画像対応付けプログラム1201は、前述のような注視画像の判定と、その判定結果を作業手順書110における対応箇所に格納してもよい。また、手順書編集プログラム1202は、前述の判定結果を注視画像と共に表示することによって、作業手順書の編集者が注視画像を作業画像または注意画像のいずれとして挿入すべきかを容易に判断させることができる。
【0217】
また、注視画像対応付けプログラム1201は、図8に示すステップ813の前後において、注視画像が新たに作業手順書に対応付けられた場合、作業手順書に注視画像が対応付けられた旨を、作業手順書の管理者や作成者に通知するようにしてもよい。これによって、作業者は、作業手順書に挿入すべき画像が取得されたことを認識することができる。
【0218】
第2の実施形態によれば、作業者の視野画像から抽出された注視画像を、作業画像または注意画像として、作業手順書に挿入できる。これによって、作業者の作業に基づいて、作業手順書を更新でき、作業不備および事故を未然に防ぐことができる。
【0219】
(第3の実施形態)
本発明における第3の実施形態を図21から図26を用いて説明する。
【0220】
図21は、本発明の第3の実施形態の作業支援システムを一般的に使用される計算機において実装した場合の物理的構成を示すブロック図である。
【0221】
図21に示す作業支援システムは、図1に示す作業支援システムに、ヒヤリハット検出プログラム2101、ヒヤリハット映像抽出プログラム2102、ヒヤリハット対応付けプログラム2103、手順書編集プログラム2104およびヒヤリハット映像2105を追加したものであり、それ以外は図1と同じである。
【0222】
ヒヤリハット検出プログラム2101は、作業者の状態を示す生体情報等のデータを取得して、作業者がヒヤリまたはハットした状態(ヒヤリハット状態)を検出する。ヒヤリハット状態とは、作業が不適切に実施される可能性があったために作業者がヒヤリまたはハッとした状態のことである。
【0223】
ヒヤリハット検出プログラム2101は、ヒヤリハット状態を検出する方法として、例えば、既にあるヒヤリハット状態を検出する技術(例えば、特開2007−47914号公報参照)等を用いてもよい。
【0224】
また、第3の実施形態の作業支援システムは、ヒヤリハット検出プログラム2101において必要となるデータの種類に従った装置、例えば、心拍数、血圧、または発汗状態を取得するためのセンサ等を入力装置として備える。ヒヤリハット検出プログラム2101は、作業者のヒヤリハット状態を検出した場合、ヒヤリハット状態が検出された時刻を保持する。
【0225】
また、ヒヤリハット映像抽出プログラム2102は、ヒヤリハット映像を視野映像から抽出する。ヒヤリハット映像は、ヒヤリハットが検出された時刻から、あらかじめ定められた時間範囲の視野映像を切り出した映像である。すなわち、第1の時間範囲をT1、第2の時間範囲をT2、ヒヤリハット状態が検出された時刻をtとした場合、時刻(t−T1)から時刻(T2+t)までの間における視野映像をヒヤリハット映像として抽出する。なお、本実施形態における映像は、複数の画像を含む。
【0226】
ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、ヒヤリハット映像抽出プログラム2102によって視野映像から抽出されたヒヤリハット映像を作業手順書110の対応箇所に対応付けるためのプログラムである。ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、ヒヤリハット映像を作業手順書110に対応付けるため、作業状況判定プログラム108のステップ805において保持された、各作業が開始される時刻に関する情報を取得する。
【0227】
そして、取得された各作業が開始された時刻と、ヒヤリハット状態が検出された時刻を比較することによって、各ヒヤリハット映像がどの作業に対応しているかを判定する。すなわち、第1の作業画像の次の作業の画像が第2の作業画像であり、ヒヤリハット状態が検出された時刻をs、第1の作業画像に対応する作業が開始された時刻をS1、第2の作業画像に対応する作業が開始された時刻をS2であり、S1≦s<S2である場合、ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、検出されたヒヤリハット状態は第1の作業画像に対応付いていると判定できる。
【0228】
前述のヒヤリハット映像と作業手順書110とを対応付ける方法は、すべての作業が終了した後に、各ヒヤリハット映像が対応する作業手順書110の箇所を特定するために適している。しかし、ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、ヒヤリハット映像が抽出される毎に、抽出されたヒヤリハット映像に対応する作業画像を求めてもよい。
【0229】
ヒヤリハット映像が抽出される毎に、抽出されたヒヤリハット映像に対応する作業画像を求める場合、ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、新たなヒヤリハット映像が抽出された時点において作業状況判定プログラム108から実施中として設定されている作業画像を取得し、その作業画像とヒヤリハット映像とが対応していると判定する。
【0230】
さらに、ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、図4に示す作業画像列111のフォーマットに基づいて、作業画像が対応する作業手順書110の作業に関する情報を取得し、ヒヤリハット映像が作業手順書110のどの作業に対応しているかを求める。ヒヤリハット対応付けプログラム2103は、前述の方法によって、抽出されたすべてのヒヤリハット映像に対して、作業手順書110における対応箇所を求め、ヒヤリハット映像と、ヒヤリハット映像の作業手順書110における対応箇所に関する情報と、を図21のヒヤリハット映像2105に格納する。
【0231】
図22は、本発明の第3の実施形態のヒヤリハット映像2105に格納される情報のフォーマットを示す。
【0232】
図22に示すヒヤリハット映像2105のフォーマットは、領域2201〜領域2205を含む。また、k個(kは、任意の自然数)のヒヤリハット映像を含む。
【0233】
図22において、領域2201は、ヒヤリハット映像2105に格納されるヒヤリハット映像の数を示す。領域2202および領域2204は、ヒヤリハット映像の映像データを格納する。または、他の格納領域に格納されるヒヤリハット映像の映像データを特定するための情報が格納されてもよい。
【0234】
図22において、領域2203および領域2205は、領域2202および領域2204が示すヒヤリハット映像が、作業手順書110中のいずれの作業に対応しているかを示す。すなわち、作業手順書110において作業を特定するための情報と、対応する作業における何番目の作業画像であるかを示す情報が含まれる。
【0235】
領域2203および領域2205において作業手順書110のいずれの作業に対応しているかを示す方法は、図4における領域403および領域405と同じ方法である。
【0236】
手順書編集プログラム2104は、作業手順書110の内容に対して追加または修正等の編集作業を行うための機能を作業手順書の管理者または作成者に提供するプログラムである。また、作業見出し、作業説明の修正、および、新しい作業に関する内容の追加等、作業手順書を作成するために必要な一般的な編集機能を有する。
【0237】
さらに手順書編集プログラム2104は、ヒヤリハット対応付けプログラム2103によって作業手順書110に対応付けられたヒヤリハット映像に対して、作業において注意すべき状況を示す映像としてヒヤリハット映像を追加するか、または、ヒヤリハット映像から抽出された特定の画像を作業において注意すべき状況を示す画像として追加するか、を、編集者に選択させる。また、映像または画像に対する説明文等を追加し、作業手順書の内容を更新する。
【0238】
図23は、本発明の第3の実施形態のヒヤリハット画像と作業手順書との対応を示す編集画面を示す説明図である。
【0239】
手順書編集プログラム2104は、表示プログラム109および出力装置103によって、作業手順書の編集画面を表示する。図23に示す編集画面は、領域2301および領域2302を含む。
【0240】
図23に示す編集画面は、基本的には図13に示す手順書編集プログラム1202による編集画面と同様である。領域2301は、作業手順書に対応付けられたヒヤリハット映像の一覧が表示される箇所、領域2302は、編集中の作業手順書の内容が表示される箇所である。領域2301は、説明2303、ヒヤリハット映像2304、説明2305、およびヒヤリハット映像2306を含む。
【0241】
領域2301において、各ヒヤリハット映像は、編集者が作業手順書の対応箇所を容易に判別できるように、対応する作業手順書の箇所を特定可能な説明文、番号または記号等と共に表示される。
【0242】
また、領域2302に示す作業手順書は、一つの作業に複数の作業画像が含まれているため、手順書編集プログラム2104は、ヒヤリハット映像がどの作業画像に対応付いているかを判別可能なように、作業画像の説明2303および説明2305に対応付けて、ヒヤリハット映像2304およびヒヤリハット映像2306を表示する。さらに、編集者が領域2301に表示される作業画像の説明またはヒヤリハット映像を選択した場合、手順書編集プログラム2104は、領域2302の作業手順書において、対応する箇所の表示を変化させてもよい。
【0243】
また、手順書編集プログラム2104は、領域2301に含まれるヒヤリハット映像を、常に再生して表示してもよいし、選択された場合に再生し始めてもよい。
【0244】
図24は、本発明の第3の実施形態のヒヤリハット映像を注意画像として挿入するための編集画面を示す説明図である。
【0245】
図24は、編集者が作業手順書に挿入するヒヤリハット映像を選択するため、ヒヤリハット映像2304を含む領域2401を選択した場合の編集画面を示す。
【0246】
ヒヤリハット映像は、作業上の注意事項を示す情報になりうるため、ヒヤリハット映像が対応する作業における作業画像と、次の作業の作業画像との間の箇所に挿入される可能性がある。具体的には、領域2401に含まれるヒヤリハット映像2304が作業手順書に挿入される場合、ヒヤリハット映像2304は、位置2402に挿入する可能性がある。
【0247】
具体的な挿入方法としては、編集者が、領域2401をマウスにより選択し、選択された領域2401を位置2402へドラッグ・アンド・ドロップすることによって、編集者がヒヤリハット映像2304の位置2402への挿入を指示する方法がある。
【0248】
なお、手順書編集プログラム2104は、ドラッグ・アンド・ドロップによってヒヤリハット映像の挿入が指示される際に、図24に示す位置2402のように点線を表示することによって、挿入可能な位置を明示してもよい。
【0249】
また、手順書編集プログラム2104は、ヒヤリハット映像を挿入するための機能を起動するボタンまたはメニューを表示してもよい。そして、表示されたボタンまたはメニューが操作され、挿入する機能が起動された後、ヒヤリハット映像および挿入箇所の選択を編集者に行わせてもよい。また、ヒヤリハット映像および挿入箇所を選択された後、挿入する機能を起動する、などの方法を用いてもよい。
【0250】
さらに、図24に示す編集画面において、ヒヤリハット映像2304は作業手順書上で対応している箇所にのみ挿入可能であったが、作業手順書中の任意の作業の注意画像として挿入されてもよい。
【0251】
第3の実施形態における作業手順書110のフォーマットは、図18に示す第2の実施形態における作業手順書110のフォーマットと同様である。ただし、領域1802、領域1804、領域1807および領域1809には、ヒヤリハット映像の映像データ、またはヒヤリハット映像から抽出された特定の画像データが格納される。注意画像としては、さらに、映像データまたは画像データそのものが作業手順書110に格納されてもよいし、また、他の格納領域に格納される映像データまたは画像データを特定することができる識別子等の情報が格納されてもよい。
【0252】
ドラッグ・アンド・ドロップ等の操作によって、挿入されるヒヤリハット映像および作業手順書中の挿入箇所が決定された後、手順書編集プログラム2104は、図25のような画面により、ヒヤリハット映像に対する説明文を入力できるようにする。
【0253】
図25は、本発明の第3の実施形態の作業画像の説明文を入力するための画面を示す説明図である。
【0254】
図25の画面は、領域2501、ボタン2502〜ボタン2504、領域2505、ボタン2506〜ボタン2508を含む。
【0255】
図25に示す画面を介して入力される説明文は、図18に示す作業手順書110のフォーマットの第3の実施形態における領域1803、領域1805、領域1808および領域1810等に格納される。
【0256】
領域2501は、作業手順書に挿入されるヒヤリハット映像を示す。ボタン2502は、編集者が、ヒヤリハット映像の内容を確認するために、ヒヤリハット映像を再生するための指示を入力するためのボタンである。ボタン2503は、編集者が、ヒヤリハット映像の再生を一時停止するためのボタンである。ボタン2504は、編集者が、ヒヤリハット映像の再生を停止するためのボタンである。
【0257】
手順書編集プログラム2104は、領域2501に表示されたヒヤリハット映像を操作するための機能として、再生、一時停止および停止の他、巻き戻し、早送り、またはスロー再生など、映像の操作として一般的に使用される機能を表示してもよい。
【0258】
領域2505は、編集者がヒヤリハット映像に対する説明文を入力するための箇所である。編集者がボタン2506を選択した場合、領域2501に表示されたヒヤリハット映像と、領域2505に入力された説明文とが作業手順書に追加される。
【0259】
また、編集者がボタン2507を選択した場合、領域2501に表示されるヒヤリハット映像から抽出されたヒヤリハット画像と、領域2505に入力された説明文とが、作業手順書に追加される。
【0260】
前述のボタン2507による画像の作業手順書への追加方法は、ヒヤリハット映像から抽出された一枚の画像を作業手順書に追加するが、手順書編集プログラム2104は、複数の画像を選択された場合、選択された複数の画像を作業手順書に追加する方法を用いてもよい。
【0261】
図26は、本発明の第3の実施形態のヒヤリハット映像2304を注意画像として挿入した後の編集画面を示す説明図である。
【0262】
図26は、図24におけるヒヤリハット映像2304を作業手順書の位置2402に挿入した後の編集画面を示す。図26に示す領域2302は、領域2601を含む。領域2601は、図24の編集画面によって追加されたヒヤリハット映像2304と、図25に示す画面によって入力された説明文を示す。
【0263】
手順書編集プログラム2104は、図26の領域2601において説明文の下にヒヤリハット映像2304を表示し、説明文の先頭に「注意1」」等の番号、または記号を表示する。これによって、領域2601の画像が注意画像であることを示す。
【0264】
ヒヤリハット映像およびその説明文の表示方法は、注意事項として識別できればいかなる表示方法でもよい。また、手順書編集プログラム2104は、ヒヤリハット映像が映像データとして作業手順書中に追加される場合、ヒヤリハット映像を選択すると映像が再生されるように表示してもよい。または、再生および停止等のヒヤリハット映像を操作するためのボタンまたはメニュー等を別途、表示してもよい。
【0265】
第3の実施形態において、作業支援システムは、視野画像からヒヤリハット映像を抽出し、抽出されたヒヤリハット映像を作業手順書に対応付けた。前述の第3の実施形態は、ヒヤリハット映像を作業手順書中に追加する機能を第1の実施形態の作業支援システムに追加したが、ヒヤリハット映像に関する処理や機能を第2の実施形態の作業支援システムに追加してもよい。これによって、第3の実施形態の作業支援システムは、余分な注視画像とヒヤリハット映像とを作業手順書中に追加することができる。
【0266】
第3の実施形態によれば、作業者の視野画像から抽出されたヒヤリハット映像を、注意画像として、作業手順書に挿入できる。これによって、作業者の作業に基づいて、作業手順書を更新でき、作業不備および事故を未然に防ぐことができる。
【0267】
(第4の実施形態)
本発明における第4の実施形態を図27により説明する。
【0268】
図27は、本発明の第4の実施形態の作業支援システムを複数の計算機によって実装した場合の物理的な構成を示すブロック図である。
【0269】
第4の実施形態の作業支援システムは、手順書管理用端末2702と、複数の作業者用端末2701とを備える。手順書管理用端末2702と作業者用端末2701とは、ネットワーク2703によって接続される。第4の実施形態の作業支援システムは、第2の実施形態の作業支援システムの各機能を、作業者用端末2701と手順書管理用端末2702とに分割して有する。
【0270】
作業者用端末2701は、計算機であり、情報処理装置2704、入力装置2705、出力装置2706、記憶装置2707、および作業画像列2708を備える。情報処理装置2704は、例えばCPU等のプロセッサなど、各種プログラムを実行するための装置である。
【0271】
入力装置2705は、例えば、視野映像または視線を取得する装置、キーボード、マウス、または、タッチパッド等の装置である。出力装置2706は、例えば、モニタ、スピーカ、または振動を検出する装置等である。記憶装置2707は、各種プログラムを格納する装置である。作業画像列2708は、作業画像列を格納するための記憶装置である。
【0272】
記憶装置2707は、注視画像抽出プログラム2709、類似度計算プログラム2710、作業状況判定プログラム2711、表示プログラム2712、および注視画像対応付けプログラム2713を含む。さらに記憶装置2707は、作業者用端末2701と手順書管理用端末2702との間で情報を送受信するための送受信プログラム2714も含む。
【0273】
手順書管理用端末2702は、計算機であり、情報処理装置2715、入力装置2716、出力装置2717、記憶装置2718、作業手順書2719、および注視画像2720を備える。情報処理装置2715は、例えば、プロセッサなど、各種プログラムを実行するための装置である。
【0274】
入力装置2716は、キーボード、マウス、またはタッチパッド等の作業手順書を編集および管理するための操作を行うための装置である。出力装置2717は、作業手順書の内容または編集画面を表示するためのモニタまたはスピーカ等の装置である。
【0275】
記憶装置2718は、各種プログラムを格納するための装置である。作業手順書2719は、作業手順書を格納するための記憶装置である。注視画像2720は、注視画像を格納するための記憶装置である。
【0276】
また、記憶装置2718は、作業画像列生成プログラム2721、手順書編集プログラム2722、表示プログラム2723を含む。さらに記憶装置2718は、作業者用端末2701との間で情報を送受信するための送受信プログラム2724を含む。
【0277】
第4の実施形態における各機能は、第2の実施形態における各機能と同様である。すなわち、注視画像抽出プログラム2709は、注視画像抽出プログラム106と同じ機能を有し、類似度計算プログラム2710は、類似度計算プログラム107と同じ機能を有し、作業状況判定プログラム2711は、作業状況判定プログラム108と同じ機能を有する。また、表示プログラム2712は、表示プログラム109が有する作業手順書を作業者に表示する機能と同じ機能を有する。また、注視画像対応付けプログラム2713は、注視画像対応付けプログラム1201と同じ機能を有する。
【0278】
さらに、作業画像列生成プログラム2721は、作業画像列生成プログラム105を同じ機能を有し、手順書編集プログラム2722は、手順書編集プログラム1202と同じ機能を有する。また、表示プログラム2723は、表示プログラム109が有する作業手順書の編集画面を表示する機能と同じ機能を有する。
【0279】
なお、第4の実施形態における一部の機能は、作業者用端末2701と手順書管理用端末2702との間で情報を送受信するための機能を含む。以下、第4の実施形態において追加される機能について説明する。
【0280】
まず、作業者用端末2701は、作業の開始時に、利用可能な作業手順書から実施する作業に関する作業手順書を作業者に選択させる。これは第1の実施形態に説明した内容と同様に表示プログラム2712によって行われるが、作業手順書は手順書管理用端末2702の作業手順書2719に格納されている。このため、表示プログラム2712は、送受信プログラム2714を用いて、手順書管理用端末2702から作業手順書に関する情報を取得した後、出力装置2706に取得された作業手順書の一覧を表示する。
【0281】
出力装置2706に表示された作業手順書の一覧から、作業者が実施する作業に関する作業手順書を選択した場合、選択結果は送受信プログラム2714を用いて作業者用端末2701から手順書管理用端末2702に送信される。そして、手順書管理用端末2702は、作業画像列生成プログラム2721を用いて、選択された作業手順書から作業画像列を生成する。
【0282】
さらに、送受信プログラム2724は、生成された作業画像列を、作業者用端末2701に送信する。作業者用端末2701によって受信された作業画像列は、作業画像列2708に格納される。
【0283】
作業が開始された場合、作業者用端末2701は、第1の実施形態と同じく、注視画像抽出プログラム2709および類似度計算プログラム2710を用いた注視画像の抽出、作業状況判定プログラム2711および類似度計算プログラム2710を用いた作業状況の判定処理を行う。また、第2の実施形態と同様に、注視画像対応付けプログラム2713を用いた余分な注視画像の作業手順書への対応付けを行う。
【0284】
ここで、第4の実施形態における注視画像対応付けプログラム2713は、余分な注視画像とその注視画像が対応する作業手順書中の箇所に関する情報とを、送受信プログラム2714を用いて手順書管理用端末2702に送信する。手順書管理用端末2702では、受信した余分な注視画像と作業手順書中の対応箇所に関する情報とを注視画像2720に格納する。そして、手順書編集プログラム2722は、注視画像2720を参照し、第2の実施形態と同じ方法によって作業手順書の編集画面が出力装置2717に表示する。
【0285】
第4の実施形態によれば、複数の作業者が各作業を実施することによって抽出された注視画像に基づいて、編集者が作業手順書の編集を行うことができる。また、これによって、作業不備および事故を未然に防ぐことができる。
【0286】
(第5の実施形態)
本発明における第5の実施形態を図28により説明する。
【0287】
図28は、本発明の第5の実施形態の作業支援システムを複数の計算機によって実装した場合の物理的な構成を示すブロック図である。
【0288】
第5の実施形態の作業支援システムは、手順書管理用端末2802と、複数の作業者用端末2801とを備える。手順書管理用端末2802と作業者用端末2801とは、ネットワーク2803によって接続される。第5の実施形態の作業支援システムは、第3の実施形態の作業支援システムの各機能を、作業者用端末2801と手順書管理用端末2802とに分割して有する。
【0289】
作業者用端末2801は、第4の実施形態の作業者用端末2701と同じく、情報処理装置2804、入力装置2805、出力装置2806、記憶装置2807、および作業画像列2808を備える。情報処理装置2804は、例えばプロセッサなど、各種プログラムを実行するための装置である。
【0290】
情報処理装置2804、出力装置2806、および作業画像列2808は、第4の実施形態の情報処理装置2704、出力装置2706、および作業画像列2708と同じである。
【0291】
記憶装置2807は、注視画像抽出プログラム2809、類似度計算プログラム2810、作業状況判定プログラム2811、表示プログラム2812、ヒヤリハット検出プログラム2831、ヒヤリハット映像抽出プログラム2832、およびヒヤリハット対応付けプログラム2833を含む。さらに記憶装置2807は、作業者用端末2801と手順書管理用端末2802との間で情報を送受信するための送受信プログラム2814も含む。
【0292】
図28に示す作業者用端末2801は、図27に示す作業者用端末2701の構成と同様であるが、注視画像対応付けプログラム2713の代わりに、ヒヤリハット検出プログラム2831、ヒヤリハット映像抽出プログラム2832、およびヒヤリハット対応付けプログラム2833を記憶装置2807に含む。
【0293】
また、第5の実施形態による作業支援システムでは、入力装置2805として、視野映像を入力するためのビデオカメラ、視線入力装置、キーボード、マウス、またはタッチパネル等の一般的な入力装置を備える。また、ヒヤリハット検出プログラム2831によって必要となるデータの種類に応じた入力装置、例えば、心拍数、血圧、または発汗状態を取得するためのセンサ等を備えてもよい。
【0294】
第5の実施形態における各機能は、第3の実施形態における各機能と同様である。すなわち、注視画像抽出プログラム2809は、注視画像抽出プログラム106と同じ機能を有し、類似度計算プログラム2810は、類似度計算プログラム107と同じ機能を有し、作業状況判定プログラム2811は、作業状況判定プログラム108と同じ機能を有する。また、表示プログラム2812は、表示プログラム109が有する作業手順書を作業者に表示する機能と同じ機能を有する。
【0295】
また、ヒヤリハット検出プログラム2831は、ヒヤリハット検出プログラム2101と同じ機能を有する。ヒヤリハット映像抽出プログラム2832は、ヒヤリハット映像抽出プログラム2102と同じ機能を有する。ヒヤリハット対応付けプログラム2833は、ヒヤリハット対応付けプログラム2103と同じ機能を有する。
【0296】
手順書管理用端末2802も、図27における手順書管理用端末2702の構成と同様であるが、図27における注視画像2720の代わりに、ヒヤリハット映像2834を備える。
【0297】
また、作業画像列生成プログラム2821は、作業画像列生成プログラム105を同じ機能を有し、手順書編集プログラム2822は、手順書編集プログラム2104と同じ機能を有する。また、表示プログラム2823は、表示プログラム109が有する作業手順書の編集画面を表示する機能と同じ機能を有する。
【0298】
なお、第5の実施形態における一部の機能は、作業者用端末2801と手順書管理用端末2802との間で情報を送受信するための機能を含む。以下、第5の実施形態において追加される機能について説明する。
【0299】
作業者用端末2801において、作業者が実施する作業に関する作業手順書を選択した結果を手順書管理用端末2802に送信する方法、手順書管理用端末2802において、選択された作業手順書から作業画像列を生成する方法、生成された作業画像列を作業者用端末2801に送信する方法、および、作業者用端末2801に格納する方法は、第4の実施形態と同じであるが、各方法は、第5の実施形態の各機能によって実行される。
【0300】
作業が開始された場合、作業者用端末2801は、第1の実施形態と同じく、注視画像抽出プログラム2809および類似度計算プログラム2810を用いた注視画像の抽出、作業状況判定プログラム2811および類似度計算プログラム2810を用いた作業状況の判定処理を行う。
【0301】
そして、第3の実施形態と同じく、ヒヤリハット検出プログラム2831が作業者のヒヤリハット状態を検出し、ヒヤリハット状態の検出結果に基づいてヒヤリハット映像抽出プログラム2832が視野映像からヒヤリハット映像を抽出する。さらに、ヒヤリハット対応付けプログラム2833が、ヒヤリハット映像が対応する作業手順書中の箇所を特定する。
【0302】
さらに、第5の実施形態のヒヤリハット対応付けプログラム2833は、ヒヤリハット映像とそのヒヤリハット映像が対応する作業手順書の箇所に関する情報を手順書管理用端末2802に送信する。
【0303】
手順書管理用端末2802では、受信したヒヤリハット映像と作業手順書中の対応箇所に関する情報とをヒヤリハット映像2834に格納する。手順書編集プログラム2822は、第3の実施形態と同じく、ヒヤリハット映像2834に基づいて、作業手順書の編集画面を出力装置103に表示する。
【0304】
第5の実施形態によれば、複数の作業者が各作業を実施することによって抽出されたヒヤリハット映像に基づいて、編集者が作業手順書を編集することができる。また、これによって、作業不備および事故を未然に防ぐことができる。
【0305】
なお、本実施形態の情報処理装置(第1、第2、および第3の実施形態における情報処理装置101、第4の実施形態における情報処理装置2704、ならびに、第5の実施形態における情報処理装置2704)は、各作業支援システムが有する前述のプログラムを処理することによって、所定の機能を実現する機能部として動作してもよい。例えば、情報処理装置101は、作業画像列生成プログラム105を処理することによって、作業画像列生成部として機能してもよい。他のプログラムについても同様である。
【0306】
さらに、本実施形態の情報処理装置は、各プログラムによって実行される複数の処理のそれぞれを実現する機能部としても動作してよい。また、各プログラムは、各処理ごとに分割され、別のプログラムとして実装されてもよい。
【0307】
また、本実施形態のプログラムは、プログラム配布サーバなどの、計算機読み取り可能な非一時的記憶媒体によって作業支援システムにインストールされてもよく、各計算機の不揮発性記憶デバイスに格納されてもよい。
【0308】
本実施形態によれば、作業を実施する際に必ず準備される作業手順書に含まれる作業画像の情報と、取得された視野映像とを用いることによって、作業の進行状況が適切であるか否かを判定することができる。このため、判定に必要な入力装置は、例えば、ビデオカメラのみでもよく、作業現場に容易に導入することが可能となる。また、ビデオカメラは、視野を撮影できる状態であれば設置位置や方法に制限は無く、さらに、作業中に作業者が通常の作業と異なる新たな作業を行う必要も無いため、作業者に負担をかけずに作業状況を判定することが可能となる。
【0309】
また、作業者の視野画像から、注視画像またはヒヤリハット映像を抽出することによって、作業者が作業において注意すべき作業または追加されるべき作業を示す画像を、作業手順書に追加できる。これによって、作業不備および事故を未然に防ぐことができる。
【0310】
なお、特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
【0311】
作業状況判定部は、第4の閾値を保持し、前記作業状況判定部は、前記抽出された注視画像が前記視野画像として取得された時間の合計と前記第4の閾値とを比較した結果、前記時間の合計が小さい場合、前記作業者が適切に作業を実施したと判定することを特徴とする作業支援システム。
【符号の説明】
【0312】
101 情報処理装置
102 入力装置
103 出力装置
104 記憶装置
105 作業画像列生成プログラム
106 注視画像抽出プログラム
107 類似度計算プログラム
108 作業状況判定プログラム
109 表示プログラム
110 作業手順書
111 作業画像列
1201 注視画像対応付けプログラム
1202 手順書編集プログラム
1203 注視画像
2101 ヒヤリハット検出プログラム
2102 ヒヤリハット映像抽出プログラム
2103 ヒヤリハット対応付けプログラム
2105 ヒヤリハット映像
2701 作業者用端末
2702 手順書管理用端末
2703 ネットワーク
2714 送受信プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に作業手順書を表示する出力装置を備えた作業支援システムであって、
前記作業手順書は、前記作業者が実施する作業を示す作業画像を含み、
前記作業支援システムは、
プロセッサとメモリと入力装置とを備え、
前記作業支援システムに入力された前記作業手順書から、前記作業者が実施する作業の順番に前記作業画像を含む、作業画像列を生成する画像列生成部と、
前記作業画像列から抽出された作業画像を、前記出力装置に表示する作業用出力部と、
前記入力装置を介して取得された前記作業者が見る方向の画像を含む複数の視野画像から、前記作業者が注視している特定の対象物の画像を含む注視画像を抽出する注視画像抽出部と、
前記抽出された注視画像と、前記抽出された注視画像が前記視野画像として取得された際に前記作業用出力部によって表示された第1の作業画像と、の類似度を算出する類似度算出部と、
前記作業者が適切に作業を実施しているか否かを、前記作業画像が表示された時刻からの経過時間、前記抽出された注視画像、または、前記算出された類似度を用いて判定する作業状況判定部と、を備え、
前記作業用出力部は、前記作業状況判定部による前記判定結果に従って、前記作業者が実施する作業に関する情報を前記出力装置に出力することを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記作業支援システムは、
前記注視画像が抽出され、かつ、前記作業者が適切に作業を実施していないと判定された場合、前記第1の作業画像と、前記抽出された注視画像と、を対応付けて前記メモリに格納する注視画像対応付け部を備え、
前記第1の作業画像を含む前記作業手順書と、前記第1の作業画像に対応付けられて格納される前記注視画像と、を前記出力装置に表示する表示用出力部と
前記表示された注視画像に基づいて前記作業手順書を更新する指示が、前記入力装置を介して入力された場合、前記指示に基づいて、前記作業手順書を更新する編集部を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記作業支援システムは、
前記作業者の生体情報を測定し、前記測定された生体情報に基づいて、前記作業が不適切に実施される可能性があったために前記作業者がヒヤリまたはハッとした状態となるヒヤリハット状態が、前記作業者に発生した時刻を検出するヒヤリハット検出部と、
前記検出されたヒヤリハット状態が作業者に発生した時刻に基づいて、前記ヒヤリハット状態において前記取得された視野画像を、ヒヤリハット画像として抽出するヒヤリハット画像抽出部と、
前記抽出されたヒヤリハット画像が前記視野画像として取得された際に前記作業者が実施した作業を示す第2の作業画像と、前記抽出されたヒヤリハット画像と、を対応付けて前記メモリに格納するヒヤリハット対応付け部と、を備え、
前記表示用出力部は、前記第2の作業画像を含む前記作業手順書と、前記第2の作業画像に対応付けられて格納される前記ヒヤリハット画像と、を前記出力装置に表示し、
前記編集部は、前記表示されたヒヤリハット画像に基づいて前記作業手順書を更新する指示が、前記入力装置を介して入力された場合、前記指示に基づいて、前記作業手順書を更新することを特徴とする請求項2に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記作業状況判定部は、第1の閾値、第2の閾値、または、第3の閾値の少なくとも一つを保持し、
前記作業状況判定部は、
前記第1の閾値を保持する場合、前記第1の作業画像が前記作業用出力部によって表示された時刻からの経過時間が、前記第1の閾値よりも長い場合、前記作業者が適切に作業を実施していないと判定し、
前記第2の閾値を保持する場合、前記算出された類似度と前記第2の閾値とを比較した結果、前記算出された類似度が大きい場合、前記作業者が適切に作業を実施したと判定し、
前記第3の閾値を保持する場合、前記抽出された注視画像の数と前記第3の閾値とを比較した結果、前記抽出された注視画像の数が小さい場合、前記作業者が適切に作業を実施したと判定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記作業状況判定部は、前記作業者が適切に作業を実施していると判定した場合、前記第1の作業画像が示す作業の次に実施される前記作業画像を、前記作業画像列から抽出し、
前記作業用出力部は、前記抽出された次に実施される作業画像を、前記出力装置に表示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記作業状況判定部が、前記作業者が適切に作業を実施していないと判定した場合、前記作業用出力部は、文字、映像、音、声、または振動の、少なくとも一つを用いて、前記出力装置から前記作業者が適切に作業を実施していないことを示す情報を出力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記注視画像対応付け部が、前記第1の作業画像と前記抽出された注視画像とを対応付けて前記メモリに格納した後、または、前記ヒヤリハット対応付け部が、前記第2の作業画像と前記抽出されたヒヤリハット画像とを対応付けて前記メモリに格納した後、前記編集用出力部は、前記出力装置から、前記作業手順書に対応付けられる画像が取得されたことを示す情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の作業支援システム。
【請求項8】
前記編集部は、
前記表示された注視画像を前記作業手順書に挿入する指示が入力された場合、前記指示に基づいて、前記表示された注視画像を、作業手順を示す前記作業画像として、または、注意すべき画像として、前記作業手順書に挿入し、
前記表示されたヒヤリハット画像を前記作業手順書に挿入する指示が入力された場合、前記指示に基づいて、前記表示されたヒヤリハット画像を、作業手順を示す前記作業画像として、または、注意すべき画像として、前記作業手順書に挿入することを特徴とする請求項3または請求項7に記載の作業支援システム。
【請求項9】
前記作業支援システムは、複数の作業用端末と、前記各端末に接続される管理用端末とを備え、
前記管理用端末は、前記画像列生成部を備え、
前記各作業用端末は、
前記画像列生成部によって生成された前記作業画像列を受信する受信部と、
前記作業用出力部と、前記注視画像抽出部と、前記類似度算出部と、前記作業状況判定部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の作業支援システム。
【請求項10】
作業者に作業手順書を表示する出力装置を備えた作業支援システムによる作業支援方法であって、
前記作業手順書は、前記作業者が実施する作業を示す作業画像を含み、
前記作業支援システムは、プロセッサとメモリと入力装置とを備え、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記作業支援システムに入力された前記作業手順書から、前記作業者が実施する作業の順番に前記作業画像を含む、作業画像列を生成する画像列生成手順と、
前記プロセッサが、前記作業画像列から抽出された作業画像を、前記出力装置に表示する作業用出力手順と、
前記プロセッサが、前記入力装置を介して取得された前記作業者が見る方向の画像を含む複数の視野画像から、前記作業者が注視している特定の対象物の画像を含む注視画像を抽出する注視画像抽出手順と、
前記プロセッサが、前記抽出された注視画像と、前記抽出された注視画像が前記視野画像として取得された際に前記作業用出力手順によって表示された第1の作業画像と、の類似度を算出する類似度算出手順と、
前記プロセッサが、前記作業者が適切に作業を実施しているか否かを、前記作業画像が表示された時刻からの経過時間、前記抽出された注視画像、または、前記算出された類似度を用いて判定する作業状況判定手順と、を含み、
前記作業用出力手順は、前記プロセッサが、前記作業状況判定手順による前記判定結果に従って、前記作業者が実施する作業に関する情報を前記出力装置に出力する手順を含むことを特徴とする作業支援方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記プロセッサが、前記注視画像が抽出され、かつ、前記作業者が適切に作業を実施していないと判定された場合、前記第1の作業画像と、前記抽出された注視画像と、を対応付けて前記メモリに格納する注視画像対応付け手順と、
前記プロセッサが、前記第1の作業画像を含む前記作業手順書と、前記第1の作業画像に対応付けられて格納される前記注視画像と、を前記出力装置に表示する編集用出力手順と、
前記プロセッサが、前記表示された注視画像に基づいて前記作業手順書を更新する指示が、前記入力装置を介して入力された場合、前記指示に基づいて、前記作業手順書を更新する編集手順と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の作業支援方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記プロセッサが、前記作業者の生体情報を測定し、前記測定された生体情報に基づいて、前記作業が不適切に実施されているために前記作業者がヒヤリまたはハッとした状態となるヒヤリハット状態が、前記作業者に発生した時刻を検出するヒヤリハット検出手順と、
前記プロセッサが、前記検出されたヒヤリハット状態が作業者に発生した時刻に基づいて、前記ヒヤリハット状態において前記取得された視野画像を、ヒヤリハット画像として抽出するヒヤリハット画像抽出手順と、
前記プロセッサが、前記抽出されたヒヤリハット画像が前記視野画像として取得された際に前記作業者が実施した作業を示す第2の作業画像と、前記抽出されたヒヤリハット画像と、を対応付けて前記メモリに格納するヒヤリハット対応付け手順と、を備え、
前記編集用出力手順は、前記プロセッサが、前記第2の作業画像を含む前記作業手順書と、前記第2の作業画像に対応付けられて格納される前記ヒヤリハット画像と、を前記出力装置に表示する手順を含み、
前記編集手順は、前記プロセッサが、前記表示されたヒヤリハット画像に基づいて前記作業手順書を更新する指示が、前記入力装置を介して入力された場合、前記指示に基づいて、前記作業手順書を更新する手順を含むことを特徴とする請求項10または請求項11のいずれかに記載の作業支援方法。
【請求項13】
管理用端末に接続され、作業者に作業手順書を表示する出力装置を備える作業用端末であって、
前記作業手順書は、前記作業者が実施する作業を示す作業画像を含み、
前記作業用端末は、
プロセッサとメモリと入力装置とを備え、
前記作業者が実施する作業の順番に前記作業画像を含む作業画像列を、前記管理用端末から受信する受信部と、
前記作業画像列から抽出された作業画像を、前記出力装置に表示する作業用出力部と、
前記入力装置を介して取得された前記作業者が見る方向の画像を含む複数の視野画像から、前記作業者が注視している特定の対象物の画像を含む注視画像を抽出する注視画像抽出部と、
前記抽出された注視画像と、前記抽出された注視画像が前記視野画像として取得された際に前記作業用出力部によって表示された第1の作業画像と、の類似度を算出する類似度算出部と、
前記作業者が適切に作業を実施しているか否かを、前記作業画像が表示された時刻からの経過時間、前記抽出された注視画像、または、前記算出された類似度を用いて判定する作業状況判定部と、を備え、
前記作業用出力部は、前記作業状況判定部による前記判定結果に従って、前記作業者が実施する作業に関する情報を前記出力装置に出力することを特徴とする作業用端末。
【請求項14】
前記作業用端末は、
前記注視画像が抽出され、かつ、前記作業者が適切に作業を実施していないと判定された場合、前記第1の作業画像と、前記抽出された注視画像と、を対応付けて前記メモリに格納する注視画像対応付け部と、
前記第1の作業画像と、前記取得された注視画像と、を対応付けて前記管理用端末に送信する送信部と、を備えることを特徴とする請求項13に記載の作業用端末。
【請求項15】
前記作業用端末は、
前記作業者の生体情報を測定し、前記測定された生体情報に基づいて、前記作業が不適切に実施されているために前記作業者がヒヤリまたはハッとした状態となるヒヤリハット状態が、前記作業者に発生した時刻を検出するヒヤリハット検出部と、
前記検出されたヒヤリハット状態が作業者に発生した時刻に基づいて、前記ヒヤリハット状態において前記取得された視野画像を、ヒヤリハット画像として抽出するヒヤリハット画像抽出部と、
前記抽出されたヒヤリハット画像が前記視野画像として取得された際に前記作業者が実施した作業を示す第2の作業画像と、前記抽出されたヒヤリハット画像と、を対応付けて前記メモリに格納するヒヤリハット対応付け部と、を備え、
前記送信部は、前記第2の作業画像と、前記抽出されたヒヤリハット画像と、を対応付けて前記管理用端末に送信することを特徴とする請求項13または請求項14のいずれかに記載の作業用端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−97466(P2013−97466A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237891(P2011−237891)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】