説明

作業機のクローラ走行装置

【課題】走行振動やスリップを緩和抑制した走行や旋回が可能で構造簡単な作業機のクローラ走行装置の提供。
【解決手段】トラックフレーム22の前後方向に並ぶ複数の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26のうち、最も後端側に位置する最後接地転輪26と、最後接地転輪よりも前方側に最後接地転輪と隣り合って位置する後接地転輪25とをトラックフレームに昇降不能に支持させてある。トラックフレームの前後方向に並ぶ複数の接地転輪のうちの最後接地転輪26と後接地転輪25とを除く接地転輪24,24a,24b,24cを隣り合う二個の接地転輪が一つの転輪グループを形成するようグループ分けした状態で、各転輪グループの二個の接地転輪を纏めてトラックフレームに連結する状態で、接地転輪をトラックフレームに連結する天秤連結部材40を備えてある。各天秤連結部材を、二個の接地転輪を背反昇降自在にトラックフレームに支持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機のクローラ走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラ走行装置において、トラックフレームの前後方向に並ぶ接地転輪が地面の凹凸に追従してトラックフレームに対して昇降すると、走行振動やスリップを緩和や抑制した良好な走行や旋回が可能となる。
この種の作業機のクローラ走行装置として、例えば特許文献1に記載されたものを先に開発した。
特許文献1に記載されたクローラ走行装置では、トラックフレームの前後方向に並ぶ全ての接地転輪を、隣り合う二個の接地転輪が一つの転輪グループを形成するようグループ分けし、各転輪グループの二個の接地転輪を、天秤リンクを介してトラックフレームに支持させている。
つまり、全ての接地転輪がトラックフレームに対して揺動昇降自在になっている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−248561号公報(段落〔0025〕、図2,4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のクローラ走行装置の場合、構造面で不利になっていた。
つまり、接地転輪を揺動昇降可能に支持させる支持機構を数多く設ける必要があった。
また、機体の走行停止の際、最も端に位置する接地転輪がトラックフレームに対して上昇することによって発生する機体の沈み込みを抑制するのに、接地転輪の上昇を規制するストッパー機構を、最もトラックフレーム前端側に位置する接地転輪に対しても、最もトラックフレーム後端側に位置する接地転輪に対しても設ける必要があった。
【0005】
本発明の目的は、走行振動やスリップを緩和や抑制した走行や旋回が可能でありながら構造簡単に得ることができる作業機のクローラ走行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明による作業機のクローラ走行装置は、トラックフレームの前後方向に並ぶ複数の接地転輪のうち、最もトラックフレーム後端側に位置する最後接地転輪と、前記最後接地転輪よりもトラックフレーム前方側に最後接地転輪と隣り合って位置する後接地転輪とを前記トラックフレームに昇降不能に支持させ、
トラックフレームの前後方向に並ぶ前記複数の接地転輪のうちの前記最後接地転輪と前記後接地転輪とを除く接地転輪を隣り合う二個の接地転輪が一つの転輪グループを形成するようグループ分けした状態で、かつ各転輪グループの二個の接地転輪を纏めて前記トラックフレームに連結する状態で、前記接地転輪を前記トラックフレームに連結する天秤連結部材を備え、
前記各天秤連結部材を、二個の接地転輪を背反昇降自在にトラックフレームに支持させるよう構成してある。
【0007】
たとえば、コンバインでは、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量が掛かった場合のことを考慮し、機体重心がトラックフレームの前後方向での中心よりも前方側に位置するよう設計され、後接地転輪と最後接地転輪との接地荷重が比較的小になる。すると、本第1発明の構成によると、後接地転輪と最後接地転輪とのトラックフレームに対する昇降が不可能であることに起因した地面凹凸に対する追従性の大きな悪化が発生せず、後接地転輪と最後接地転輪とを除く接地転輪のトラックフレームに対する背反昇降によって地面凹凸に対する追従を良好に行わせることができる。
【0008】
これにより、地面凹凸に追従して走行振動やスリップを良好に緩和や抑制することが可能でありながら、後接地転輪と最後接地転輪とは回転自在に支持させるだけの構造簡単なものに済ませてコストダウンをしたクローラ走行装置を得ることができる。
【0009】
本第2発明では、走行機体側面視で走行機体の機体重心が前記トラックフレームの前後方向での中心よりもトラックフレーム前方側に位置する。
【0010】
本第2発明の構成によると、後接地転輪と最後接地転輪との接地荷重が比較的小になって、後接地転輪と最後接地転輪とのトラックフレームに対する昇降が不可能であることに起因した地面凹凸に対する追従性の大きな悪化が発生せず、後接地転輪と最後接地転輪とを除く接地転輪のトラックフレームに対する背反昇降によって地面凹凸に対する追従を良好に行わせることができる。
【0011】
これにより、地面凹凸に追従して走行振動やスリップを良好に緩和や抑制することが可能でありながら、後接地転輪と最後接地転輪とは回転自在に支持させるだけの構造簡単なものに済ませてコストダウンをしたクローラ走行装置を得ることができる。
【0012】
本第3発明では、前記複数の接地転輪のうちの最もトラックフレーム前端側に位置する接地転輪のトラックフレームに対する上昇限界を設定するよう前記天秤連結部材の前端部に当接作用するストッパーを備えてある。
【0013】
本第3発明の構成によると、ストッパーが接地転輪における接地反力の作用線に合致した位置ややその近くで天秤連結部材を介して接地転輪を受け止め支持し、ストッパーに掛かる荷重を接地転輪に掛かる接地反力と等しいまたはそれに近い強さの荷重にすることができる。
【0014】
これにより、接地転輪の上昇を規制するストッパー機構を、ストッパー、およびストッパーを支持する部材の面から極力小型かつコンパクトに得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るクローラ走行装置1が備えられた作業機の側面図である。この図に示すように、この作業機は、左右一対の本実施例に係るクローラ走行装置1,1によって自走するように構成され、かつ運転座席2が装備された運転部を備えた走行機体と、この走行機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部10とを備え、前記機体フレーム3の後部側に機体横方向に並べて設けた脱穀装置4と穀粒タンク5とを備えている。
【0016】
この作業機は、稲や麦などを収穫する。
すなわち、刈取り部10は、前記機体フレーム3の前部に上下揺動自在に連結された刈取り部フレーム11を備え、この刈取り部フレーム11が油圧シリンダ12によって上下に揺動操作されることにより、刈取り部10の前端部に機体横方向に並んで位置する分草具13が地面近くに下降した下降作業状態と、前記分草具13が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。
【0017】
刈取り部10を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部10は、刈取り対象の植立穀稈を各分草具13によって機体横方向に並ぶ複数の引起し装置14のうちの分草具13に対応した引起し装置14に導入して引起し処理し、各引起し装置14によって引起し処理される植立穀稈を一つのバリカン形の刈取り装置15によって刈取り処理し、刈取り装置15からの刈取り穀稈を供給装置16によって脱穀装置4の脱穀フィードチェーン4aの始端部に供給する。
【0018】
脱穀装置4は、脱穀フィードチェーン4aによって刈取り穀稈の株元側を機体後方向きに挟持搬送し、その刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒タンク5は、脱穀装置4から搬送された脱穀粒を回収して貯留していく。
【0019】
図2は、前記左側のクローラ走行装置1の側面図である。図3は、前記左側のクローラ走行装置1の平面図である。右側のクローラ走行装置1は、左側のクローラ走行装置1と同じ構成を備えており、右側のクローラ走行装置1の図示を省略する。これらの図に示すように、クローラ走行装置1は、前記機体フレーム3に前後一対の支持アーム20,21を介して連結しているトラックフレーム22と、このトラックフレーム22の前方上方でミッションケース(図示せず)を介して前記機体フレーム3に支持させた駆動回転自在なクローラ駆動輪23と、前記トラックフレーム22の走行機体横外側に位置する方の横側方にトラックフレーム前後方向に並べてトラックフレーム22に支持させた八個の遊転自在な接地転輪24,24a,24b,24c,25,26と、前記八個の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26のうちの最もトラックフレーム後端側に位置する接地転輪26の後方上方に位置させてトラックフレーム22の後端部に設けた緊張輪27と、前記トラックフレーム22の上方で前記機体フレーム3に支持させた前後一対の遊転自在なキャリヤローラ28,28とを備え、前記クローラ駆動輪23と前記八個の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26と前記緊張輪27と前記前後一対のキャリヤローラ28,28とにわたって巻回されたゴム製のクローラベルト29を備えて構成してある。
【0020】
前記前側の支持アーム20は、この支持アーム20の基部を機体フレーム3に回転自在に連結している回転支軸20aと、この回転支軸20aの前記支持アーム20が連結している側とは反対側の端部に一体回転自在に設けた連動アーム30とを介して油圧シリンダ31のシリンダロッド31aに連動されている。
すなわち、前側の支持アーム20は、前記油圧シリンダ31によって前記回転支軸20aの軸芯まわりに機体フレーム3に対して上下に揺動操作されてトラックフレーム22の前端側を機体フレーム3に対して昇降操作する。
【0021】
前記後側の支持アーム21は、この支持アーム21の基部を機体フレーム3に回転自在に連結している回転支軸21aと、この回転支軸21aの前記支持アーム21が連結している側とは反対側の端部に一体回転自在に設けた連動アーム32とを介して油圧シリンダ33のシリンダロッド33aに連動されている。後側の支持アーム21の遊端側は、キャンセルリンク34を介してトラックフレーム22の後端側に連結されている。
すなわち、後側の支持アーム21は、前記油圧シリンダ33によって前記回転支軸21aの軸芯まわりに機体フレーム3に対して上下に揺動操作され、キャンセルリンク34を介してトラックフレーム22の後端側を機体フレーム3に対して昇降操作する。
【0022】
つまり、左右のクローラ走行装置1,1における前後一対の支持アーム20,21が揺動操作されることにより、走行機体が地面に対して横方向や前後方向に傾斜する。
すなわち、左右のクローラ走行装置1の一方における前後一対の支持アーム20,21が共に上昇あるいは下降揺動するように、かつ、前後一対の支持アーム20,21の上昇あるいは下降ストロークが同一になるように揺動操作されることにより、左右のクローラ走行装置1の一方におけるトラックフレーム22が機体フレーム3に対して平行に上昇あるいは下降し、走行機体の横方向での一端が他端側のクローラ走行装置1による接地点を揺動支点にして地面に対して昇降する。
【0023】
左右のクローラ走行装置1における前側の支持アーム20と後側の支持アーム21との一方が上昇あるいは下降揺動するように、かつ左右のクローラ走行装置1における支持アーム20,21の上昇あるいは下降ストロークが同一になるように揺動操作されることにより、左右のクローラ走行装置1におけるトラックフレーム22が前端側での接地点を揺動支点にして機体フレーム3に対して上下に揺動するか、あるいは後端側での接地点を揺動支点にして機体フレーム3に対して上下に揺動し、走行機体の前後方向での一端が他端側を揺動支点にして地面に対して昇降する。
【0024】
図5(a),(b)に示すように、前記機体フレーム3は、この機体フレーム3を構成するフレーム材に前記キャンセルリンク34の近くに配置して固定されたストッパー35を備えている。
【0025】
図5(a)は、機体フレーム3の水平状態を示している。図5(b)は、機体フレーム3の前上がり傾斜状態を示している。これらの図に示すように、前記支持アーム20の下降揺動操作によってトラックフレーム22の前端側が下降操作されて機体フレーム3が前上がり状態に傾斜していくと、前記キャンセルリンク34の被当接部が前記ストッパー35に当接する。すると、ストッパー35がキャンセルリンク34のトラックフレーム22に対する揺動をロックし、これによってトラックフレーム22の機体フレーム3に対する揺動をストップさせる。すなわち、トラックフレーム22の後端側が機体フレーム3に対して上昇揺動してクローラベルト29が機体フレーム3に当接することを防止する。
【0026】
次に、前記八個の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26のうちの最もトラックフレーム後端側に位置する接地転輪26を最後接地転輪26と称し、前記八個の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26のうちの前記最後接地転輪26よりも前方に最後接地転輪26と隣り合って位置する接地転輪25を後接地転輪25と称して説明する。
【0027】
図4,6に示すように、前記後接地転輪25と前記最後接地転輪26とは、トラックフレーム22に遊転のみ自在に支持されており、トラックフレーム22に対して昇降不能になっている。
【0028】
図2,4,8に示すように、前記八個の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26のうちの前記最後接地転輪26と前記後接地転輪25とを除く接地転輪24,24a,24b,24cは、隣り合う二個の接地転輪24,24が一つの転輪グループを形成するようグループ分けされ、各転輪グループの二個の接地転輪24,24が纏めて一つの天秤連結部材40によってトラクフレーム22に連結される状態でトラックフレーム22に支持されている。
【0029】
前記した各天秤連結部材40は、これの中間部に位置した連結軸41を介してトラックフレーム22に回転自在に支持されている。各転輪グループを形成している二個の接地転輪24,24の一方の接地転輪24は、前記天秤連結部材40の前記連結軸41よりも前端側に位置する部位に遊転自在に支持され、他方の接地転輪24は、前記天秤連結部材40の前記連結軸41よりも後端側に位置する部位に遊転自在に支持されている。
【0030】
これにより、八個の接地転輪24,24a,24b,24c,25,26のうちの前記最後接地転輪26と前記後接地転輪25とを除く接地転輪24であって、前記各転輪グループを形成している二個の接地転輪24,24は、天秤連結部材40によってトラックフレーム22に取り付けられており、天秤連結部材40の揺動により、前記連結軸41の軸芯を揺動支点にしてトラックフレーム22に対して背反的に昇降する。
【0031】
図2は、穀粒タンク5が空になっており、かつ走行機体が前後方向での水平姿勢になっている状態における走行機体の機体重心Gのクロー走行装置1に対する位置を示している。この図に示すように、前記機体重心Gは、走行機体側面視において、前記トラックフレーム22の前後方向での中心Cよりもトラックフレーム前方側に位置し、かつ、走行機体前方側から三番目の接地転輪24aと四番目の接地転輪24bを支持する前記天秤連結部材40の揺動軸芯40aを通る鉛直線上に位置している。
【0032】
これにより、左右のクローラ走行装置1は、後接地転輪25と最後接地転輪26との接地荷重を他の接地転輪24,24a,24b,24cのそれに比して小にし、後接地転輪25と最後接地転輪26とのトラックフレーム22に対する昇降が不可能であることに起因したクローラベルト29の地面凹凸に対する追従性の大きな悪化を発生させず、後接地転輪25と最後接地転輪26とを除く接地転輪24,24a,24b,24cのトラックフレーム22に対する背反昇降によってクローラベルト29を地面凹凸に追従させながら走行機体を走行させる。
【0033】
クローラ走行装置1は、前記各転輪グループに対応させて設けたクローラガイド42と、前記後接地転輪25と前記最後接地転輪26とに対応させて設けたクローラガイド43とを備えている。
【0034】
図2,3に示すように、前記各転輪グループに対応する前記クローラガイド42は、転輪グループの一方の接地転輪24の左右一対の案内輪体部の間と、他方の接地転輪24の左右一対の案内輪体部の間とにわった位置する棒状のカイド本体42aと、このガイド本体42aを前記天秤連結部材25に連結する連結杆42bとを備えて構成してあり、ガイド本体42aによってクローラベルト29の左右の芯金突起29a,29aに係止作用してクローベルト29の外れ止めを行う。各転輪グループに対応するクローラガイド42は、前記ガイド本体42aと前記連結杆42bとを前記天秤連結部材40と共に一体鋳造することによって作製してある。
【0035】
前記最後接地転輪26と前記後接地転輪25とに対応する前記クローラガイド43は、後接地転輪25の左右一対の案内輪体部の間と最後接地転輪26の左右一対の案内輪体部の間とにわった位置する棒状のカイド本体43aと、このガイド本体43aをトラックフレーム22が備えるガイド取り付け部44に連結する連結杆43bとを備えて構成してあり、ガイド本体43aによってクローラベルト29の左右の芯金突起29aに係止作用してクローベルト29の外れ止めを行う。このクローラガイド43は、前記ガイド本体43aと前記連結杆43bとを一体鋳造することによって作製してある。
【0036】
図7に示すように、トラックフレーム22の前記ガイド取り付け部44は、トラックフレーム22の横側面に金属ブロックを付設して構成してある。このガイド取り付け部44は、ガイド取り付け部44の端部に三本の連結ボルト45をトラックフレーム22の上下方向と前後方向とに三角配置に並べて装着されることにより、前記クローラガイド43の連結杆43bを支持する。
【0037】
図2に示すように、クローラ走行装置1は、トラックフレーム22の前端部の近くに配置したストッパー51を有したストッパー機構50を備え、八個の接地転輪24,25,26のうちの最もトラックフレーム前端側に位置する接地転輪24cのトラックフレーム22に対する上昇を前記ストッパー機構50によって規制する。
【0038】
図8は、前記ストッパー機構50の平面図である。図9は、前記ストッパー機構50の側面図である。これらの図に示すように、前記ストッパー機構50は、前記ストッパー51を備える他、このストッパー51を支持するようトラックフレーム22の前端部から延出された支持部材52を備えて構成してある。
【0039】
前記支持部材52は、トラックフレーム22に前記天秤連結部材40のための支持部53を構成している部材との一体鋳造によって前記支持部53に一体成形してある。
【0040】
前記ストッパー51は、前記支持部材53の取り付け孔に装着した走行機体上下向きのネジ軸によって構成してある。
【0041】
図9は、前記ストッパー51の作用状態を示している。この図に示すように、前記ストッパー51は、前記接地転輪24cが天秤連結部材40の連結軸41の軸芯まわりにトラックフレーム22に対して上昇するに伴い、ストッパー51の先端部51aを天秤連結部材40の前端部であって、接地転輪24cの支軸54の直上方に位置する部位に当接作用させる。つまり、ストッパー51は、接地転輪24cにおける接地反力の作用線Lに合致した位置で天秤連結部材40を介して接地転輪24cを受け止め支持して接地転輪24cの上昇限界を設定する
【0042】
図10は、前記キャリヤローラ28の断面図である。この図に示すように、前記キャリヤローラ28は、支軸60に一対のベアリング61,61を介して外嵌する筒軸62と、この筒軸62の両端部に一体回転自在に設けた輪体63とを備えて構成してある。
【0043】
キャリヤローラ28は、前記支軸60の周囲に前記筒軸62と、この筒軸62の端部に内嵌したカラー68とによって形成されたグリス室64を備えている。前記カラー68と筒軸62との間は、Oリング65によってシールされている。前記グリス室64は、前記カラー68の中心部に装着されたグリスニップル66からのグリスを、支軸60の端部に位置する給油路67を介して供給されて貯留し、ベアリング61に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】作業機の側面図
【図2】クローラ走行装置の側面図
【図3】クローラ走行装置の平面図
【図4】クローラ走行装置の後部の側面図
【図5】(a)は、機体フレームの水平状態での側面図、(b)は、機体フレームの前上がり傾斜状態での側面図
【図6】後接地転輪と最後接地転輪との配設部の平面図
【図7】クローラガイド取り付け部の側面図
【図8】ストッパー機構の平面図
【図9】ストッパー機構の側面図
【図10】キャリヤローラの断面図
【符号の説明】
【0045】
22 トラックフレーム
24,24a,24b,24c 接地転輪
25 後接地転輪
26 最後接地転輪
40 天秤連結部材
51 ストッパー
G 機体重心
C トラックフレームの中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックフレームの前後方向に並ぶ複数の接地転輪のうち、最もトラックフレーム後端側に位置する最後接地転輪と、前記最後接地転輪よりもトラックフレーム前方側に最後接地転輪と隣り合って位置する後接地転輪とを前記トラックフレームに昇降不能に支持させ、
トラックフレームの前後方向に並ぶ前記複数の接地転輪のうちの前記最後接地転輪と前記後接地転輪とを除く接地転輪を隣り合う二個の接地転輪が一つの転輪グループを形成するようグループ分けした状態で、かつ各転輪グループの二個の接地転輪を纏めて前記トラックフレームに連結する状態で、前記接地転輪を前記トラックフレームに連結する天秤連結部材を備え、
前記各天秤連結部材を、二個の接地転輪を背反昇降自在にトラックフレームに支持させるよう構成してある作業機のクローラ走行装置。
【請求項2】
走行機体側面視で走行機体の機体重心が前記トラックフレームの前後方向での中心よりもトラックフレーム前方側に位置する請求項1又は2記載の作業機のクローラ走行装置。
【請求項3】
前記複数の接地転輪のうちの最もトラックフレーム前端側に位置する接地転輪のトラックフレームに対する上昇限界を設定するよう前記天秤連結部材の前端部に当接作用するストッパーを備えてある請求項1又は2記載の作業機のクローラ走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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