説明

作業機械の開閉式カバーの断熱構造

【課題】 作業機械のカバーを閉める時に、高温による影響を受けずに直接手で保持部材を動かすことができる構造を提供しようとする。
【解決手段】 開状態のカバー4と機体3との間に介在されて、開状態のカバー4を保持する保持部材1を、断熱材2で覆った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業機械の開閉式カバーの断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械には機体内のメンテナンス等を行うためにエンジンフード等の開閉式カバーが備えられている。
【0003】
開閉式カバーにはカバー開放時に、カバーを開けたままの状態を維持することによって、作業をし易くするように、開状態のカバーを支えるロッドやステー等の保持部材が配置されている。ロッドやステー等の保持部材は、カバーを開けたとき機体との間に介在させてカバーを開状態に保持させるもので、カバーを開け閉めするときに手で動かす構造のものもある。
【0004】
例えば、特開平7−257434に開示される構造を図4として示す。これは、上下開閉式カバー8の保持部材としてステー6を有し、そのステー6の一端はカバー8の内面部に枢着され、他端はフレームに形成したガイド溝7に遊挿されている。カバー8を開けるとステー6はガイド溝7を上り、深溝部7aに到達すると深溝部7aに嵌まって、カバー8を固定する仕組みとなっている。この構造では上下開閉式カバー8であるため、重力によりステー6が嵌まり込む仕組みとなっているが、深溝部7aにステー6が嵌まらなかったときや上下開閉式カバー8を閉めるときに、手動によりステー6を移動させることになる。
【0005】
また、このような構造が左右開閉式カバーに用いられた場合は、保持状態を解除して溝からロッドやステー等を取り外すときに手動でロッドやステー等を持ち上げて動かすことになる。
【特許文献1】特開平7−257434(図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カバー内が高温となるエンジンフードカバー等においては、ロッドやステー等が、高温(50〜60℃)となっていたことから直接触って取り外す等の作業が困難となり、布で覆ったりする必要があって非常に煩雑であった。
【0007】
この発明は、従来技術の以上のような問題に鑑み創案されたもので、作業機械のカバーを閉める時に、高温による影響を受けずに直接手で動かすことができる保持部材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、この発明に係る開閉式カバーの断熱構造は、開状態のカバーと機体との間に介在されて、開状態のカバーを保持する保持部材を、断熱材で覆うことを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、保持部材を断熱材で覆っているため、エンジンルーム内の温度が上昇しても保持部材表面は高温にはならない。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ゴム、ビニール、発泡スチロール等の発泡樹脂材等の断熱材をロッドやステー等の保持部材に被覆することによって、表面温度が上がるのを防ぐことができ、作業者は容易に手に持って取り外し等の作業をすることができる。
【0011】
また、高温のロッドやステー等に断熱材を被覆することによって、誤って作業者がそれに接触しても支障がないため、作業者はメンテナンス作業等に集中することができ、作業効率が上がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願に係る発明の具体的実施形態例を図面に基づき説明する。
【0013】
本形態例は、図3に示す油圧ショベル(ただし機体のみ)のエンジンフードカバー4に適用された例である。保持部材としてのロッド1は図1に示すように、開状態のフードカバー4とエンジンルーム側機体3間に設置され、開状態のカバー4を保持するために設置される。
【0014】
前記ロッド1は、図2に示すように両端に突出部10,11が形成される。ロッドの一端突出部10はカバー開閉ヒンジ近傍の機体3に枢支される。他端突出部11にはフランジ13とフランジに接した段部12が設けられている。他端突出部11の先端はエンジンフード4のエンジンルームに面した側面の下部に設けられたガイド構内5に摺動自在に遊嵌される。該ガイド溝5は、水平方向に所定の長さで切られており、カバー開閉ヒンジ側の端部に係合溝5aが形成されている。係合溝5aは、段部12の直径にあわせた円溝である。
【0015】
またロッド1は、ゴムホース2を装着して、断熱材としてのゴムにより覆うものとしている。
【0016】
フードカバー4の開閉時、その開閉動作に伴って、前記ロッド1の他端突出部11の先端はガイド溝に沿って摺動するが、カバー4を全開すると段部12が係合溝5aに嵌まってロッド1が固定され、開状態のカバー4は保持される。一方、カバー4を閉じる際は、手でロッドを持ち上げ、他端突出部11の段部12を係合溝5aから引き抜き、他端突出部11の先端をガイド溝5本体側へ移動させる。このとき、本形態例のロッド1は以上のように形成されているので、エンジンルーム内が高温となっても、ロッド1は断熱材としてのゴムホース2によって遮温されている。このため、ロッド1表面は高温とならないため、手で直接触れて係合溝5aから動かすことができ、容易にカバー閉じ操作を行うことができる。
【0017】
また、本形態例ではロッド1を断熱材であるゴムで覆っているので、誤って作業時に体の一部が触れてしまっても熱さを感じず、ロッド1を気にすることなく作業に集中でき、作業効率が上がる。
【0018】
本形態例の断熱材はゴムであるが、その他、ビニール、発泡スチロール等の発泡樹脂材等であっても良い。また、作業機械、保持部材、フードカバー、カバー被覆の仕方等が他のものであっても、本発明の範囲に含まれるものである。もちろん、特開平7−257434に開示されるステー(本願図4に示す6)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明は、作業機械のエンジンフードカバー等の開閉式カバーに利用できる技術である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本形態例が適用される油圧ショベルの機体下部を示し、(a)はエンジンフードを開いた状態の図であり、(b)は(a)に示すA部分の拡大図であり、また(c)は(b)に示すフードカバーガイド溝と係合溝の形状を表した図である。
【図2】図1に示す保持部材としてのロッドを示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】本形態例が適用される油圧ショベル(ただし機体のみ)を後ろから見た説明図である。
【図4】特開平7−257434に開示される保持部材の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ロッド
2 ゴムホース
3 機体
4 エンジンフードカバー
5 フードカバーガイド溝
5a 係合溝
10 一端突出部
11 他端突出部
12 段部
13 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開状態のカバーと機体との間に介在されて、開状態のカバーを保持する保持部材を、断熱材で覆うことを特徴とする作業機械の開閉式カバーの断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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