説明

作業機械デモセンタのディスプレイ表示システム

【課題】作業機械の動作と映写される画像とを容易に一致させることができる等の効果が得られるシステムを提供しようとする。
【解決手段】複数の作業機械1〜4に搭載される撮像手段1a,2a,3a,4aと、前記撮像手段1a,2a,3a,4aで撮像した画像を画像信号として送信させる画像送信手段1b,2b,3b,4bと、作業機械1〜4を観覧する場所に掲示されるディスプレイ5と、前記画像送信手段1b,2b,3b,4bから送信された画像信号を受信しディスプレイ5に出力する画像受信手段6と、任意の作業機械の撮像手段1a,2a,3a,4aからの画像信号を、前記ディスプレイ5に表示するものとして選択指令出力をすることのできる選択手段7と、該選択手段7により、任意の画像信号を選択する出力がされた場合、その出力の対象となった画像送信手段に、その画像信号の送信を指令すると同時に、選択されない他の画像送信手段に、それらの画像信号の送信を遮断する指令をそれぞれ出力する制御手段8とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業機械デモセンタのディスプレイ表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械のメーカの一部では、作業機械はどのように操作されるのか、また操作席及び操作席周辺はどのようになっているのかといった作業機械の操作状況を理解してもらうために、作業機械が作業する様子を観覧できるデモセンタを設けており、そのデモセンタでは、座席が配置された観覧室において、一般の人向けに作業機械の実演説明を行っている(図2、図3)。
【0003】
実演説明では、観覧者は、図2に示す実演エリア10の正面に設けられた観覧室9に案内され、説明員11から実演エリア10で動く作業機械1〜4の説明を受けることになる(図3)。一方、実演エリア10の作業機械を動かすオペレータには、あらかじめ実演説明における作業機械1〜4を動かす手順が記されたマニュアルが手渡されており、実演エリア10においては、設置されたスピーカから説明員11の説明が聞けるようになっている。したがって、オペレータは、作業機械1〜4の窓を開けてスピーカから聞こえる説明を確認しながら、マニュアル通りに作業機械1〜4を操作することになる。また、作業機械1〜4の操作をより理解できるように、観覧室9では作業機械1〜4の動作を事前に録画した画像もあわせて映写されている。
【0004】
加えて、作業機械の操作方法や操作席周辺の状況については、事前に録画した画像や、補助席がある車両であれば、観覧者を同乗させることにより紹介されている。なお、これら先行技術は文献公知発明に係るものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、あらかじめマニュアルが用意されていたり、実演エリアにスピーカが設置されているといっても、説明員の説明や事前に録画された画像に合わせて作業機械を操作するのは困難であり、説明や画像と作業機械の動作がずれてしまうため、観覧者に違和感を与えることとなっていた。また、ディスプレイには録画された画像のみ映写されていたため、説明員が説明したい作業機械を任意に選択することはできなかった。そのため、作業機械の運転操作方法や運転席周辺の紹介においても、実演されている作業機械とは全く関連なく、事前録画の画像に従って説明がなされるのみであった。したがって、観覧者は、離れた実演エリアで操作される作業機械を遠まきにみることしかできないことになり、せっかくの実演も臨場感に欠けていた。また、作業機械の補助席に観覧者を同乗させて説明する場合においても、補助席を設置できる機種には限りがあり、また、設置できる補助席数にも限度があるため、観覧者全員に対応できていなかった。
【0006】
この発明は、従来技術の以上のような問題に鑑み創案されたもので、実演における作業機械の動作と映写される画像とを容易に一致させることができ、また、観覧者に違和感を与えず、作業機械の運転操作や運転席周辺まで観覧可能なシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、この発明に係る作業機械デモセンタのディスプレイ表示システムは、デモセンタで稼働する複数の作業機械にそれぞれ搭載される撮像手段と、同じく各作業機械にそれぞれ搭載される、前記撮像手段で撮像した画像を画像信号として送信させる画像送信手段と、稼働する複数の作業機械を観覧する場所に掲示されるディスプレイと、前記画像送信手段から送信された画像信号を受信しディスプレイに出力する画像受信手段と、複数の作業機械の撮像手段のうち、任意の作業機械の撮像手段からの画像信号を、前記ディスプレイに表示するものとして選択指令出力をすることのできる選択手段と、該選択手段により、任意の作業機械の撮像手段からの画像信号を選択する出力がされた場合、その出力の対象となった作業機械の画像送信手段に、その画像信号の送信を指令すると同時に、選択されない他の作業機械の画像送信手段に、それらの画像信号の送信を遮断する指令をそれぞれ出力する制御手段とからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、作業機械の実演説明の際に、説明員がディスプレイに表示させる画像を任意に選択できるため、希望の作業機械の動作にあわせて、説明をすることができ、観覧者に違和感を与えることはない。また、観覧者の希望に沿った作業機械を選択して説明することもできる。さらに、運転席周辺を紹介する場合は、その画像を映しながら説明すれば、観覧者はあたかも補助席に乗って説明を受けるのと同様の臨場感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を具現化した実施形態例に係るシステム構成図である。
【図2】作業機械のデモセンタを斜め上空から示した概略模式図である。
【図3】図2におけるデモセンタの観覧室内を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願に係る発明の具体的実施形態例を図面に基づき説明する。本形態例は、図2、図3に一例として示すデモセンタと同様の場で適用されることを前提とする(このため、説明の便宜上、両図の符号を適宜用いる)。図1は、本発明を具現化した形態例に係るシステム構成図であり、本形態例では、モータグレーダ1、ダンプトラック2、ホイールローダ3、ブルドーザ4の4台の各作業機械に適用される。なお、以下に示す形態例はあくまでも本発明の一例であって、適用される作業機械の種類はもちろんのこと、実演エリア、観覧室、観覧席、ディスプレイ等の具体的形態についてもそれらに本発明が限定されないことは当然である。
【0011】
本形態例のディスプレイ表示システムは、モータグレーダ1、ダンプトラック2、ホイールローダ3、ブルドーザ4にそれぞれ搭載される手段と、観覧室側に配置される手段とから構成される。
【0012】
各作業機械1〜4に搭載される手段は、カメラ(撮像手段)1a,2a,3a,4aと、画像送信装置(画像送信手段)1b,2b,3b,4bと、作業機械側コントローラ1c,2c,3c,4cである。
【0013】
各カメラ1a,2a,3a,4aは、各作業機械1〜4の運転席の操作部を画像範囲として配置されるが、それに加えて他の箇所を撮影するカメラを適宜配置しても良い。
【0014】
各画像送信装置1b,2b,3b,4bは、それぞれ各カメラ1a,2a,3a,4aに接続され、そのカメラが撮影する画像を画像信号として無線で送信する。本形態例では、いずれの画像送信装置1b,2b,3b,4bも同一の周波数が設定されている。
【0015】
各作業機械側コントローラ1c,2c,3c,4cは、受信機能を備えるとともに、後述する観覧室側コントローラ8から送信される指令出力により、各画像送信装置1b,2b,3b,4bの送信のオンオフを制御する。
【0016】
観覧室側に配置される手段は、ディスプレイ5と、画像受信装置6(画像受信手段)と、画像切替リモコン7(選択手段)と、観覧室側コントローラ8(制御手段)である。
【0017】
ディスプレイ5は、画像受信装置6が受信する所定の画像信号(この画像信号の選択については後述する)の画像を表示する。このため、画像受信装置6の出力ラインがディスプレイ5に接続される。
【0018】
画像切替リモコン7は、前記カメラ1a,2a,3a,4aのうち、任意のカメラの画像を前記ディスプレイ5に表示するものとして選択指令出力をするために、本形態例では押し釦式操作手段となっており、その指令信号は無線で観覧室側コントローラ8に送信される。なお、画像切替リモコン7は、押し釦式操作手段に限らず選択指令出力ができるものであればよく、例えば、タッチパネル式等であってもかまわない。
【0019】
該観覧室側コントローラ8は、前記画像切替リモコン7からの選択指令が入力されて、その指令に基づき、各作業機械の作業機械側コントローラ1c,2c,3c,4cと協働して、各作業機械の画像送信装置1b,2b,3b,4bの送信オンオフ制御、言い換えれば画像信号の選択制御を行うものであり、各作業機械の作業機械側コントローラ1c,2c,3c,4cにその指令信号を送信する送信機能を備える。その画像選択制御は、前記画像切替リモコン7から、ある作業機械のカメラの画像、例えばモータグレーダ1の画像を前記ディスプレイ5に表示するものとして選択指令出力がされた場合、選択指令の対象となった作業機械の作業機械側コントローラ1cに対し、その作業機械の画像送信装置1bをオンにする制御指令を出力すると同時に、選択指令がされない他の作業機械2〜4の各作業機械側コントローラ2c,3c,4cに対し、それぞれの作業機械の画像送信装置2b,3b,4bをオフにする制御指令を出力する。各作業機械の作業機械側コントローラ1c,2c,3c,4cは、その制御指令に基づき、各画像送信装置1b,2b,3b,4bに対してオンオフ指令信号を出力し、その結果、前記画像切替リモコン7で選択した作業機械のカメラの画像のみ送信され、他の作業機械のカメラの画像は送信されないことになって、所望の画像選択制御が行われる。
【0020】
以下、本発明の作業機械のデモセンタのディスプレイ表示システムによる具体的操作状態を図3を用いて説明する。図3に示す観覧室9には、観覧席12が設けられており、その正面はガラス張りとなっていて遠目に実演エリア10で作業する各作業機械1〜4が観覧できるようになっている。正面のガラス全面には前記ディスプレイ5が設置されており、各作業機械1〜4の画像送信装置1b,2b,3b,4b(図1に明示)から送信される画像信号は、説明員11が操作する画像切替リモコン7によって選択され、選択された画像信号のみが前記観覧室側コントローラ8(図1に明示)の画像選択制御によって、ディスプレイ5に出力される。説明員11は随時説明に合わせ、画像切替リモコン7を使って、必要な画像を選択し、ディスプレイ5に映写する。
【0021】
以上よりなる本形態例において、モータグレーダ1、ダンプトラック2、ホイールローダ3、ブルドーザ4の実演説明のときに、説明員11がディスプレイ5に表示する画像を選択しながら、説明することができるため、観覧者は説明と作業機械の動作が一致しないことから生じていた違和感を覚えることがなく説明に集中することができる。また、観覧者の希望に添った画像を選択し、映写しながら説明することもできるようになる。さらに、運転席周辺を紹介する場合は、その画像を映しながら説明できることにより、観覧者はあたかも補助席に乗って説明を受けるのと同様の臨場感が得られることになる。
【0022】
なお、本形態例は作業機械としてモータグレーダ1、ダンプトラック2、ホイールローダ3、ブルドーザ4のみを例として挙げているが、本発明は、他の作業機械についてももちろん適用可能である。また、説明員が複数いる場合やディスプレイ5が複数設置される場合の他、ディスプレイ5に加えてモニター13を設置していてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、作業機械の動作を説明するデモセンタに適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1〜4 作業機械
1a、2a、3a、4a カメラ(撮像手段)
1b、2b、3b、4b 画像送信装置(画像送信手段)
1c、2c、3c、4c 作業機械側コントローラ
5 ディスプレイ
6 画像受信装置(画像受信手段)
7 画像切替リモコン(選択手段)
8 観覧室側コントローラ(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デモセンタで稼働する複数の作業機械にそれぞれ搭載される撮像手段と、同じく各作業機械にそれぞれ搭載される、前記撮像手段で撮像した画像を画像信号として送信させる画像送信手段と、稼働する複数の作業機械を観覧する場所に掲示されるディスプレイと、前記画像送信手段から送信された画像信号を受信しディスプレイに出力する画像受信手段と、複数の作業機械の撮像手段のうち、任意の作業機械の撮像手段からの画像信号を、前記ディスプレイに表示するものとして選択指令出力をすることのできる選択手段と、該選択手段により、任意の作業機械の撮像手段からの画像信号を選択する出力がされた場合、その出力の対象となった作業機械の画像送信手段に、その画像信号の送信を指令すると同時に、選択されない他の作業機械の画像送信手段に、それらの画像信号の送信を遮断する指令をそれぞれ出力する制御手段とからなる作業機械デモセンタのディスプレイ表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−4078(P2011−4078A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144537(P2009−144537)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(505236469)キャタピラー エス エー アール エル (144)
【Fターム(参考)】