説明

作業機械及びフィルタ清掃装置

【課題】本発明の作業機械は、電気その他のエネルギを用いずに、フィルタに付着した異物を除去する。
【解決手段】ハンマーナイフモア1が移動することによって、その移動による影響を受けて錘部材46Aが揺動し、第1回転方向への錘部材46Aの移動がワンウェイクラッチ46Cによってワイパ42を回転させる駆動力として伝達され、それによりワイパ42が回転し、第2回転方向への錘部材46Aの移動が、ワンウェイクラッチ46Cによってワイパ42を回転させる駆動力として伝達されないため、ワイパ42を回転しない。これによって、錘部材46Aが揺動を繰り返すと、第1回転方向へ移動するたびに、ワイパ42が回転されることとなり、電気その他の動力エネルギを消費することなく、フィルタ41に付着した草や茎またはこれらの破片等の異物を、自動的に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力を発生する動力装置と、動力装置が収容された機械室内へ流入する空気から異物を除去するフィルタとを備えた作業機械、及び、フィルタを清掃するフィルタ清掃装置に関し、例えば、ハンマーナイフモア等のような自走式または乗用式の作業機械等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、堤防等の傾斜地や荒れ地等の不整地に生い茂る雑草や樹木を刈り取るために、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械が用いられる(特許文献1)。草刈り用作業機械は、内蔵エンジンから生じる力を用いて、草や茎を刈取り、破砕する。草刈り用作業機械はフィルタを備えており、このフィルタによって、草や茎その他の破片がエンジン等に供給される空気中に混入するのを防止している。
【0003】
草や茎の破片がフィルタに付着して、フィルタが目詰まりすると、エンジンへの吸気が妨げられたり、車体内部の温度が上昇したりする。そこで、オペレータは、定期的または不定期に、フィルタを手作業で清掃する。
【0004】
なお、刈り取られた草によって、草刈り用作業機械内部の通路が目詰まりするのを防止するようにした技術は知られている(特許文献2,特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−225530号公報
【特許文献2】特開平10−248351号公報
【特許文献3】特開平11−275924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、ハンマーナイフモアのような草刈り用の作業機械では、走行しながら多量の雑草等を高速回転で刈り取るため、刈り取った草や茎の破片その他が巻き上げられる。この巻き上げられる草や茎の破片その他によって、フィルタが目詰まりし易い。このため、従来技術では、オペレータは、時々、手作業でフィルタを清掃する必要があり、使い勝手の点で改善の余地がある。また、手作業によるフィルタ清掃作業の頻度が多くなると、草刈り作業の効率が低下する。手作業でフィルタを清掃するためには、草刈り作業を一時中断する必要があるためである。しかし、草刈り作業を行っている間は、雑草等の異物が絶え間なくフィルタに付着するため、草刈り作業を中断させる回数が増大し、この結果、草刈り作業の効率が低下する。
【0007】
なお、前記特許文献2,3には、刈り取った草を集めるための通路が、刈り取られた草によって詰まるのを防止する技術について開示されているが、フィルタの目詰まりに関する言及は全く含まれていない。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、フィルタの清掃作業を軽減できるようにした作業機械及びフィルタ清掃装置を提供することにある。本発明の他の目的は、特別な動力を用いずに、フィルタに付着した異物の少なくとも一部を自動的に除去することができるようにした作業機械及びフィルタ清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点に従う作業機械(1)は、動力を発生する動力装置(22)と、前記動力装置が収容された機械室(20)内へ流入する空気から異物を除去するフィルタ(41)とを備えた作業機械(1)であって、前記フィルタ(41)の表面に付着した異物を掻き取る掻き取り部(42C)を有し、所定の第1軸(A1)を中心に回転可能なワイパ(42)と、所定の第2軸(A1)を中心に揺動可能に設けられた錘部材(46A)と、前記錘部材(46A)の第1回転方向(R1)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向と逆の第2回転方向(R2)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達させない第1の動力断続部(46C、50A、50B)とを有する。
【0010】
前記作業機械に草を刈るための草刈り部(4)を更に備えるようにしてもよい。
【0011】
前記錘部材(46A)は、前記作業機械の前後方向に対して揺動可能になっていてもよい。
【0012】
前記第1軸と前記第2軸は、同軸(A1)であってもよい。
【0013】
前記第1軸に沿った第1軸部材(51)を備え、前記ワイパは、前記第1軸部材に前記第1の動力断続部(50A)を介して接続されていてもよい。
【0014】
前記第2軸に沿った第2軸部材(43)を備え、前記錘部材は、前記第2軸部材に前記第1の動力断続部(46C)を介して接続されていてもよい。
【0015】
また、前記ワイパを複数(50、50)備え、前記第1の動力断続部(50A、50B)は、前記錘部材(46A)の第1回転方向(R1)への移動を、複数の前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向と逆の第2回転方向(R2)への移動を、複数の前記ワイパを回転させる駆動力として伝達しないようにしてもよい。
【0016】
また、前記ワイパを複数(50、50)備え、前記錘部材の前記第2回転方向への移動を、少なくとも1つの前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向への移動を、前記少なくとも1つのワイパを回転させる駆動力として伝達しない第2の動力断続部(50B)を更に備えるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の他の観点に従うフィルタ清掃装置(40)は、動力装置(22)が収容された機械室(20)内へ流入する空気から異物を除去するフィルタ(41)を清掃するフィルタ清掃装置(40)であって、前記フィルタ(41)の表面に付着した異物を掻き取る掻き取り部(42C)を有し、所定の第1軸(A1)を中心に回転可能なワイパ(42、50)と、所定の第2軸(A1)を中心に揺動可能に設けられた錘部材(46A)と、前記錘部材(46A)の第1回転方向(R1)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材(R2)の前記第1回転方向と逆の第2回転方向(R2)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達しない動力断続部(46C、50A)とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の作業機械によれば、作業機械が移動することによって、その移動による影響を受けて錘部材(46A)が第2軸を中心に揺動し、錘部材が揺動すると、第1回転方向への錘部材の移動がワイパを回転させる駆動力として伝達され、それによりワイパが前記第1軸中心に回転し、逆の第2回転方向への錘部材の移動が、ワイパを回転させる駆動力として伝達されないため、ワイパを回転させない。これによって、錘部材が揺動を繰り返すと、第1回転方向へ移動するたびに、ワイパが第1軸中心に回転されることとなり、ワイパの掻き取り部がフィルタにおける第1軸中心とした円の領域内の異物を掻き取ることができる。これにより、電気その他の動力エネルギを消費することなく、フィルタに付着した草や茎またはこれらの破片等の異物を、自動的に除去することができる。従って、フィルタ清掃作業の頻度を低減して使い勝手を向上することができ、例えば、草刈り作業の効率を高めることができる。
【0019】
また、前記錘部材(46A)が前記作業機械の前後方向に対して揺動可能になっていれば、作業機械の前後移動による慣性力等の影響により、錘部材が効果的に揺動することとなり、効果的にワイパを回転させて、フィルタから異物を効果的に掻き取ることができる。
【0020】
また、前記第1軸と前記第2軸とを、同軸(A1)にすれば、動力の伝達に必要な部材の構成を簡易にでき、或いは、部材数を削減することができる。
【0021】
また、前記ワイパを複数(50、50)備え、前記第1の動力断続部(50A)は、前記錘部材(46A)の第1回転方向への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向と逆の第2回転方向への移動を、前記複数のワイパを回転させる駆動力として伝達させないようにすれば、複数のワイパを回転させてフィルタから効果的に異物を取り除くことができる。
【0022】
また、前記ワイパを複数(50、50)備え、前記錘部材の前記第2回転方向への移動を、少なくとも1つの前記ワイパブレードを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向への移動を、前記少なくとも1つのワイパブレードを回転させる駆動力として伝達しない第2の動力断続部を更に備えるようにすれば、錘部材46が揺動すると、いずれかのワイパ50を回転させることができ、また、ワイパ50の回転方向を逆にすることができる。
【0023】
また、本発明のフィルタ清掃装置によれば、フィルタ清掃装置が移動されることによって、その移動による影響を受けて錘部材(46A)が第2軸を中心に揺動し、錘部材が揺動すると、第1回転方向への錘部材の移動がワイパを回転させる駆動力として伝達され、それによりワイパが前記第1軸中心に回転し、逆の第2回転方向への錘部材の移動が、ワイパを回転させる駆動力として伝達されないため、ワイパを回転させない。これによって、錘部材が揺動を繰り返すと、第1回転方向へ移動するたびに、ワイパが第1軸中心に回転されることとなり、掻き取り部がフィルタにおける第1軸中心とした円の領域内の異物を掻き取ることができる。これにより、電気その他の動力エネルギを消費することなく、フィルタに付着した草や茎またはこれらの破片等の異物を、自動的に除去することができる。従って、フィルタ清掃作業の頻度を低減して使い勝手を向上することができ、例えば、草刈り作業の効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、草刈り用の作業機械の一例としてハンマーナイフモアを説明する。以下に詳述するように、本実施形態では、ハンマーナイフモア1の側面に設けられるフィルタ41の表面に、ワイパ42を回転可能に設けている。ハンマーナイフモア1が走行しながら草刈り作業を行うと、この作業に伴って発生する慣性力や振動等により、ワイパ42は回転し、フィルタ41に付着した異物を掻き落とす。掻き落とされた異物は、クローラ3に落下し、クローラ3によって運ばれて捨てられる。本発明の理解及び実施のために、まず最初に、ハンマーナイフモアの全体構造について説明し、次に、フィルタ機構部について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、ハンマーナイフモア1の斜視図である。ハンマーナイフモア1は、後述のように、ハンマーのようなカッター16(図2参照)を高速回転させながら走行することにより、雑草や小型の樹木等を破砕する装置である。ハンマーナイフモア1は、例えば、車両本体2と、クローラ3と、作業機4とを備えて構成される。
【0026】
車両本体2の下側には、クローラ3が設けられている。車両本体2には、後述のように、「動力装置」の一例としてのエンジン22(図4参照)や油圧装置(図示せず)を収容するための機械室20,30(図3参照)が設けられている。車両本体2の外側は、外装5によって覆われている。
【0027】
車両本体2の上側には、カバー6が開閉可能に取り付けられている。カバー6の基端側は、車両本体2の前側に回動可能に取り付けられている。カバー6の先端側は、操縦装置8側に向けて延びるようにして設けられている。これにより、カバー6は、車両本体2の上側を覆うようにして、開閉可能に設けられる。カバー6を開くことにより、オペレータは、機械室20,30の整備等を行うことができる。車両本体2の後側下部には、ステップ7が設けられている。オペレータは、ステップ7に立って、ハンマーナイフモア1を操作する。車両本体2の後側には、後述の操縦装置8が設けられており、操縦装置8を操作するオペレータを取り囲むようにして保護バー8Aが設けられている。
【0028】
車両本体2の前側には、「草刈り部」としての作業機4が上下に揺動可能に設けられている。作業機4は、例えば、カッターケース10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15(図2参照)及び複数のカッター16とを備えて構成される。
【0029】
カッターケース10は、回転軸15及びカッター16を収容する。カッターケース10の前側の下部には、カッターカバー11がリンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、刈取り対象物である雑草等の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。雑草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がカッターケース10内から前方に飛散するのを防止する。雑草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量は大きくなる。これにより、背丈の高い雑草を大量にカッターケース10内に取り込んで、破砕することができる。カッターケース10の両側面の下側には、ソリ14が設けられている。
【0030】
図2は、カッターカバー11を開いた状態で示す正面図である。カッターケース10内に設けられた回転軸15は、例えば、油圧モータ等によって回転される。回転軸15には、その軸方向に離間して、ハンマナイフ型のカッター16が複数設けられている。
【0031】
図3は、ハンマーナイフモア1の側面図である。車両本体2は、機械室20,30を備える。機械室20は車両本体2の後側に、機械室30は車両本体2の前側に、それぞれ位置する。一方の機械室20は、例えば、エンジン22やラジエータ23等(図3参照)を収容する。他方の機械室30は、例えば、燃料タンク31及び作動油タンク32を収容する。
【0032】
機械室20の側面には、「フィルタ清掃装置」の一例としてのフィルタ機構部40が設けられる。フィルタ機構部40は、機械室20内に異物が含まれていない空気を供給するためのものである。フィルタ機構部40の詳細は後述するが、簡単に説明すると、フィルタ機構部40は、例えば、少なくとも一つのフィルタ41と少なくとも一つのワイパ42とを備えて構成される。ワイパ42の略中心部分は、「第1軸部材」及び「第2軸部材」の一例としての軸部材43に回動可能に取り付けられている。軸部材43は、ハンマーナイフモア1の走行や作業によって生じる慣性力や振動による影響を受けて、回転するようになっており、ワイパ42は、軸部材43を中心に回転する。このワイパ42の回転により、フィルタ41に付着した異物はクローラ3上に落下する。
【0033】
操縦装置8は、車両本体2の後側に設けられている。操縦装置8は、例えば、走行レバー8B、駐車ブレーキレバー、カッタークラッチレバー、刈取り高さ調節用ノブ、エンジン回転数調整レバー、エンジン始動スイッチ、モニタパネル等を備えて構成される。
【0034】
図4は、フィルタ機構部40とエンジン22等との関係を示す説明図である。図4は、機械室20の横断面を模式的に示している。図4の上側は、ハンマーナイフモア1の後部側であり、図4中の下側は、ハンマーナイフモア1の前部側である。この例では、フィルタ機構部40は、ハンマーナイフモア1の左側面に設けられている。
【0035】
エンジン22の駆動軸22Aには、冷却ファン24が設けられている。冷却ファン24の前側(図面右側)には、ラジエータ23が設けられている。ラジエータ23の前側には、フィルタ機構部40が設けられている。即ち、機械室20内には、外側(図面右側)から順番に、フィルタ機構部40、ラジエータ23、冷却ファン24、エンジン22が配置されている。
【0036】
ラジエータ23は、エンジン22から熱を奪った水等の媒体を冷却するための熱交換装置である。ラジエータ23は、多数のフィン23Aを備えている。ラジエータ23は、各フィン23Aの表面から空気中に熱を放出させることにより、媒体を冷却する。
【0037】
ここで、本実施例では、フィンピッチP2よりも、フィルタ41の空気流通孔41A(図7参照)の径寸法P1の方が小さくなるように設定されている(P2>P1)。これにより、フィルタ41を通過した微少な異物が、フィン23A間に詰まって冷却効率が低下するのを抑制することができる。
【0038】
冷却ファン24が回転すると、ハンマーナイフモア1の外側にある空気は、矢示A1のように、フィルタ41に向かって流れ、フィルタ41によって異物が取り除かれた後に機械室20内に流入する。フィルタ41を通過した空気は、矢示A2のように、ラジエータ23の各フィン23A間を通過し、ラジエータ23から熱を奪う。ラジエータ23からの熱を吸収した温かい空気は、冷却ファン24の後方に流れ、図示せぬ排気口から機械室20の外部に排出される。
【0039】
ここで、本実施例では、ラジエータ23及び冷却ファン24の外側を取り囲むようにして、ダクト25が設けられている。ダクト25は、例えば、円筒状または角筒状に形成されており、フィルタ41の背面側(機械室20内部に面する側)から冷却ファン24の後方に至るまでの範囲を覆うようにして設けられる。このダクト25によって、冷却ファン24による送風量を増加させることができる。また、ダクト25によって、ラジエータ23を通過した温かい空気が再びラジエータ23を通過するのを防止することができる。これにより、冷却効率の低下を防止できる。なお、図4中では、ダクト25が、エンジン22に近接する位置まで覆うかのように示しているが、ダクト25の長さは、例えば、ファン送風量を増大させるという観点から適宜設定される。
【0040】
図3,図4と共に述べたように、フィルタ機構部40は、クローラ3の上側に位置して機械室20の側面に設けられている。フィルタ機構部40は、例えば、フィルタ41と、ワイパ42とを含んで構成される。
【0041】
フィルタ41は、例えば、略平板状の金属製フィルタとして構成される。いわゆるパンチングボードのように、金属板に多数の小孔を穿設することにより、フィルタ41を製造することができる。但し、フィルタ41は、金属製フィルタである必要は無く、その材質や形状は特に問わない。フィルタ41は、ラジエータ23に対面するようにして、機械室20の側面部に設けられている。既に述べた通り、フィルタ41の空気流通孔の径寸法P1は、ラジエータ23のフィンピッチP2よりも小さくなるように設定される。
【0042】
図5は、ハンマーナイフモア1の左側面からフィルタ機構40を正面に見た場合の模式図である。図5では、図面左側がハンマーナイフモア1の前側であり、図面右側がハンマーナイフモア1の後側である。フィルタ41の外面側には、ワイパ42が回転可能に設けられている。フィルタ41には、空気流通孔41Aが形成された通過領域41Bが設けられている。本実施形態では、2つの略矩形形状の通過領域41Bが設けられているが、本発明はこれに限られず、1つの通過領域だけであってもよい。また、通過領域の形状は、矩形形状に限らず任意の形状であってよい。
【0043】
図6は、フィルタ機構部の断面図である。フィルタ機構部40には、フィルタ41と、ワイパ42と、軸部材43と、振り子部46と、ボス45と、ワッシャ47、48と、スナップリング49が設けられている。ワイパ42は、例えば、長い板状のワイパブレード42Aと、ワイパブレード42Aの略中心に設けられた軸部材43と接続するための取付部42Bと、ワイパブレード42Aの背面側(フィルタ41側)に設けられる「掻き取り部」の一例としてのワイパブラシ42Cとを備えている。ここで、例えば、ワイパブレード42Aは、フィルタ41の通過領域41Bの高さ方向(図面上下方向)の長さ寸法よりも長く設定することができる。これにより、ワイパブラシ42Cは、通過領域41Bの高さ方向の外側をも清掃することができ、より広い範囲を清掃可能となっている。但し、以上の説明は一例であって、特許請求の範囲で明確に限定されない限り、本発明は、ワイパブレード42Aの長さ寸法とフィルタ41の通過領域41Bの長さ寸法との関係を特に問わない。
【0044】
取付部42Bには取付穴が設けられており、この取付穴にボルト44が嵌め込まれることにより、軸部材43とワイパ42とが螺合される。ワイパ42は、軸A1(第1軸)を中心に回転可能になっている。ワイパブラシ42Cについては、別図と共に後述する。軸部材43は、軸A1に沿って伸びる略円柱状の棒部材であり、一端の取付部43Aがワイパ42とボルト44によって螺合される。
【0045】
軸部材43は、取付部43A側から順に、ボス45、ワッシャ47、振り子部46のワンウェイクラッチ46C、ワッシャ48に挿入されている。軸部材43の他端側には、スナップリング49がはめ込まれており、軸部材43が抜け落ちないようになっている。ボス45は、車両本体2に固定されている。ボス45は、軸部材43が貫挿される内側に軸受けが形成されている。このボス45によって軸部材43が車体本体2に軸A1を中心に回転可能に保持されることになる。
【0046】
振り子部46は、錘部材46Aと、接続部46Bと、「第1の動力断続部」の一例としてのワンウェイクラッチ46Cとを有する。振り子部46は、フィルタ41よりも機械室20の内側に位置するので、外部からの小石等により損傷を受けることがない。錘部材46Aは、所定の重さ、例えば、200グラムの錘である。重さは、これに限られず、揺動することにより、軸部材43に接続されたワイパ42を回転させることのできる重さであればよい。接続部46Bは、例えば、棒状の部材であり、錘部材46Aと、ワンウェイクラッチ46Cとを接続する。
【0047】
ワンウェイクラッチ46Cは、振り子部46の軸A1(第2軸)における第1回転方向(例えば、図面左側から見たときの時計周り方向:かみ合い方向という)に対する移動時に軸部材43とかみ合って軸部材43を回転させ、振り子部46の軸A1における逆の第2回転方向(この例では、反時計回り方向:空転方向という)に対する移動時に軸部材43とのかみ合いことなく、軸部材43を回転させないようになっている。このため、錘部材46Aがかみ合い方向に移動する際には、力を軸部材43に伝達することができ、軸部材43に接続されているワイパ42を同一回転方向に回転させることができる。一方、錘部材46Aが空転方向に移動する際には、力を軸部材43に伝達することがないので、ワイパ42を回転させることがない。このように、錘部材46Aが、かみ合い方向と、空転方向とに揺動することによって、断続的に軸部材43に力が伝達され、断続的にワイパ42がかみ合い方向に回転することとなり、結果として、ワイパ42は、軸A1を中心とした領域S1(図5参照)に示す範囲内において、ワイパブラシ42Cによる掻き取りを行うことができる。
【0048】
本実施例では、振り子部46の揺動する方向は、ハンマーナイフモア1の前後方向に向いているので、ハンマーナイフモア1の移動開始時、停止時、加減速時における加速度の変化に応じて効果的に揺動するようになっている。
【0049】
図5に戻る。ワイパ42は、振り子部46の揺動により、フィルタ41の外面側を矢示R1方向に回転する。なお、ワイパ42は、矢示R1と逆の回転方向にオペレータが手動で容易に回転することができる。例えば、ハンマーナイフモア1が停車状態から前進する場合、ハンマーナイフモア1が前進状態または後進状態のいずれかから停車する場合、ハンマーナイフモア1が停車状態から後進する場合のそれぞれの場合において、振り子部46に慣性力が働く。これによって、振り子部46が揺動することとなり、上述のように振り子部42の揺動によって、ワイパ42は、R1方向に回転する。ワイパ42がR1方向に回転することにより、フィルタ41の外面の範囲S1の内側において清掃される。
【0050】
ワイパ42が範囲S1を回転することにより、フィルタ41に付着した異物は、ワイパブラシ42Cによって掻き落とされ、クローラ3上に落下する。異物は、クローラ3によって運搬され、地面に落下する。クローラ3は、地面に落下した異物の上を通過し、踏み固める。従って、フィルタ41から掻き落とされた異物が再び舞い上がって、フィルタ41に再付着するのを抑制することができる。
【0051】
図7は、フィルタ機構部による掻き取りの様子を示す説明図である。ワイパブラシ42Cは、例えば、合成樹脂のような、可撓性を有する複数の毛材により構成されている。即ち、ワイパブラシ42Cは、弾力性を備えており、外部から加えられた荷重に応じてたわむようになっている。ワイパブラシ42Cには、初期荷重がかけられており、たわんだ状態でフィルタ41の外面に接触している。ワイパブラシ42Cは、フィルタ41に押しつけられた状態で、フィルタ41の外面を移動することにより、フィルタ41に付着した異物を掻き取ることができる。また、ワイパブラシ42Cは、複数の毛材により構成されており、各毛材がフィルタ41の空気流通孔41Aにも入り込むことができ、空気流通孔41Aの内部に付着した異物をも掻き取ることができる。
【0052】
図8は、振り子部の揺動と、ワイパの回転の様子を示す説明図である。
【0053】
ハンマーナイフモア1が停止している場合には、図8(a)に示すように、振り子部46の錘部材46Aは、停止している。この場合に、ハンマーナイフモア1が、例えば、前進を開始したとすると、図8(b)に示すように、錘部材46Aは、方向R2に回転することとなる。この場合、振り子部46のワンウェイクラッチ46Cは、方向R2の回転時には、軸部材43とかみ合わないので、ワイパ42は回転することがない。
【0054】
その後、ハンマーナイフモア1が停止すると、方向R2に回転した錘部材46Aは、図8(c)に示すように、方向R1に移動することとなる。振り子部46のワンウェイクラッチ46Cは、方向R1の回転時には、軸部材43とかみ合って、軸部材43とともに回転することとなるので、軸部材43に接続されているワイパ42が方向R1に回転することとなる。
【0055】
そして、図8(d)に示すように、錘部材46Aが図8(a)に示す位置より高い位置となって、釣り合いが取れた場合には、R1方向の回転を停止する。そして、その後、振り子の作用によって、図8(e)に示すように錘部材46Aが再びR2方向に回転することとなる。このようにして、錘部材46Aが方向R1及び方向R2に揺動することとなり、錘部材46Aが方向R1に回転する際には、その力によってワイパ42も方向R1に回転することとなる。
【0056】
したがって、錘部材46Aが方向R1及び方向R2に揺動を繰り返すと、図8(f)に示すように、ワイパ42は、断続的にR1方向に周回し、フィルタ41の外面の範囲S1内において清掃されることとなる。
【0057】
図9は、ハンマーナイフモア1による除草作業の一例を示す説明図である。ハンマーナイフモア1は、例えば、堤防のような傾斜地1000に生い茂る雑草1002を効率的に除去するために使用される。なお、傾斜地1000の雑草1002に限らず、平坦地1001に生えている雑草も、ハンマーナイフモア1により刈り取ることができる。ハンマーナイフモア1の一つの利点は、主に雑草の地上部分を粉砕し、雑草の根は残すことができる点である。従って、ハンマーナイフモア1を用いることにより、堤防や畦等の構造物の強度を低下させることなく、雑草を刈り取ることができる。
【0058】
ハンマーナイフモア1によって傾斜地1000の雑草1002を除去する場合、ハンマーナイフモア1は、走行路W1〜W4に示すように、進行方向を反転させながら傾斜地1000を走行する。ハンマーナイフモア1は、走行路W1〜W4を走行中に、一時的に停止し、再発進することがある。発進時や停止時、カーブ走行時等に生じる慣性力によって、振り子部46が揺動し、それによってワイパ42が回転されて、フィルタ41の外面を清掃する。
【0059】
さらに、平坦地1001及び傾斜地1000には、多数の凹凸があり、さらに、空き瓶や空き缶、小石、様々な異物が散在している。従って、例えば、カッター16が小石等の異物を叩いたり、クローラ3が凹凸のある地面を走行すると、ハンマーナイフモア1には振動が加わる。ハンマーナイフモア1の作業中に生じる振動によって、振り子部46が揺動し、それによってワイパ42が回転されて、フィルタ41の外面を清掃する。
【0060】
このように構成される本実施例によれば、ハンマーナイフモア1の通常の使用によって自然に得られる慣性力や振動を利用して、ワイパ42を動作させることができ、フィルタ41に付着した雑草等の異物を除去することができる。従って、本実施例では、電気モータ等の特別な動力源を用いることなく、フィルタ41を自動的に清掃できる。
【0061】
これにより、オペレータは、手作業でフィルタ41を清掃する必要がなく、草刈り作業の効率が向上する。また、少なくともワイパ42により清掃される範囲S1内において空気の流入面積を確保できるため、エンジン温度等の上昇を抑制し、オーバーヒートの発生を防止することができ、ハンマーナイフモア1の使い勝手が向上する。
【0062】
本実施例では、クローラ3の上部にフィルタ機構部40を設け、ワイパ42により除去された異物をクローラ3上に落下させる構成のため、フィルタ41から取り除かれた異物をクローラ3によって運搬し、地面に埋め込むようにして廃棄することができる。従って、フィルタ51から掻き落とされた異物がフィルタ51の下側に溜まったままの状態になるのを防止することができる。つまり、フィルタ51から掻き落とされた異物を、クローラ3によって自動的に清掃することができ、使い勝手が向上する。さらに、フィルタ41から取り除かれた異物が舞い上がって、再びフィルタ41に付着するのを抑制することができる。
【0063】
本実施例では、ダクト25を、フィルタ41の裏面側から冷却ファン24の後方まで覆うように設けるため、フィルタ41によって異物の除去された空気をラジエータ23に効率よく導くことができ、ファン送風量を増大させることができる。また、ダクト25は、少なくともフィルタ41の裏面側からラジエータ23の全体を覆うようにして設けられるため、ラジエータ23を通過した温かい空気が再びラジエータ23に導かれるのを防止することができ、ラジエータ23の冷却効率を高めることができる。
【0064】
本実施例では、フィルタ41の空気流通孔の径寸法P1をラジエータ23のフィンピッチP2よりも小さくなるように設定するため、微少な異物がフィルタ41を通過した場合でも、この微少な異物によってフィン23A間の隙間が詰まるのを抑制することができ、ラジエータ23の冷却性能の低下を抑制することができる。
【0065】
本実施例では、錘部材46Aは、ハンマーナイフモア1の前後方向に対して揺動可能になっているため、ハンマーナイフモア1の前後移動による慣性力の影響により、錘部材46Aを効果的に揺動することができ、ワイパ42を効果的に回転させることができ、フィルタ41から異物を効果的に掻き取ることができる。
【0066】
本実施例では、ワイパ42の回転軸と振り子部46の回転軸とを同軸としていたので、それらを接続する軸部材43を簡易な構成とすることができる。
【実施例2】
【0067】
図10に基づいて第2実施例を説明する。本実施例は、第1実施例とは、フィルタ構成部40の構成が異なるのみである。なお、第1実施例と同様な構成部分については、同一の番号を付すこととする。図10は、第2実施例のハンマーナイフモアに使用されるフィルタ機構部の断面図である。
【0068】
フィルタ機構部40には、フィルタ41と、複数(本例では2つ)のワイパ50と、「第1軸部材」及び「第2軸部材」の一例としての軸部材51と、振り子部52と、ボス53と、スナップリング54と、ワッシャ55、57、58、59と、端部材60と、ボルト61とが設けられている。
【0069】
ワイパ50は、それぞれ、例えば、長い板状のワイパブレード42Aと、ワイパブレード42Aの略中心に設けられ、軸部材51を貫挿して、軸部材51との動力の伝達を断続するための「第1の動力断続部」の一例としてのワンウェイクラッチ50A、50Bと、ワイパブレード42Aの背面側に設けられるワイパブラシ42Cとを備えている。本実施例では、一方のワイパ50は、フィルタ41の外側に配置され、ワイパブラシ42Cがフィルタ41の外側面に接触するようになっている。また、他方のワイパ50は、フィルタ41の機械室20側に配置され、ワイパブラシ42Cが機械室20側からフィルタ41の内側面に接触するようになっている。このように、フィルタ41に対して、両面からワイパブラシ42cが接触するようになっているので、フィルタ41の両面を適切に清掃することができる。
【0070】
ワンウェイクラッチ50A、50Bは、軸部材51が第1回転方向(例えば、図面左側から見たときの時計周り方向:かみ合い方向という)に回転する際にかみ合ってワイパ50を軸部材51とともに回転させ、軸部材51が第1回転方向と逆の第2回転方向(この例では、反時計回り方向:空転方向という)に回転する際に軸部材51とかみ合うことなく、軸部材51によってワイパ50が回転しないようになっている。このため、錘部材46Aがかみ合い方向に移動する際には、軸部材51からワイパ50に力を伝達することができ、軸部材51に接続されているワイパ50を同一回転方向に回転させることができる。一方、錘部材46Aが空転方向に移動する際には、軸部材51からワイパ50に力が伝達されることがないので、ワイパ50を回転させることがない。このように、錘部材46Aが、かみ合い方向と、空転方向とに揺動することによって、軸部材51からワイパ50に断続的に力が伝達され、断続的にワイパ50がかみ合い方向に回転することとなり、結果として、ワイパ50は、軸A1を中心とした領域S1に示す範囲内に対して、フィルタ41の両面からワイパブラシ42Cによる掻き取りを行うことができる。
【0071】
本実施例では、振り子部46の揺動する方向は、ハンマーナイフモア1の前後方向に向いているので、ハンマーナイフモア1の移動開始時、停止時、加減速時における加速度の変化に応じて効果的に揺動するようになっている。
【0072】
なお、フィルタ41の内側のワイパ50のワンウェイクラッチ50Aと、外側のワイパ50のワンウェイクラッチ50Bとのかみ合い方向と空転方向とを、それぞれ同じ方向としてもよいし、また、逆方向としてもよい。例えば、内側のワイパ50のワンウェイクラッチ50Aと、外側のワイパ50のワンウェイクラッチ50Bとのかみ合い方向を逆方向とすると、錘部材46が揺動していると、いずれかのワイパ50を回転させることができ、また、各ワイパ50の回転方向を逆にすることができる。
【0073】
軸部材51は、軸A1に沿って伸びる略円柱状の棒部材である。軸部材51の一端の近傍には、スナップリング54がはめ込まれており、軸部材51の抜け落ちが防止されている。軸部材51は、一端側から順に、ワッシャ55、ワンウェイクラッチ50A、ワッシャ56、ワンウェイクラッチ50A、ワッシャ57、ボス53、ワッシャ58、接続部52A、ワッシャ59に挿入されている。軸部材51の他端には、端材60がボルト61によって螺合されている。
【0074】
ボス53は、車両本体2に固定されており、このボス53によって軸部材51が車体本体2に軸A1を中心に回転可能に保持されることになる。
【0075】
振り子部52は、錘部材46Aと、接続部46Bと、接続部52Aと、固定部52Bとを有する。錘部材46Aは、所定の重さ、例えば、200グラムの錘である。重さは、これに限られず、揺動することにより、軸部材51に接続されたワイパ50を回転させることのできる重さであればよい。接続部46Bは、例えば、棒状の部材であり、錘部材46Aと、接続部52Aとを接続する。
【0076】
接続部52Aは、内部に軸部材51が貫挿され、軸部材51と振り子部52とを接続する。固定部52Bは、振り子部52が軸部材51と一体して回転可能なように、振り子部52を軸部材51に固定する。このような構成により、振り子部52が揺動すると、振り子部52の揺動方向に軸部材51が回転する。
【0077】
このように構成される本実施例も前記第1実施例と同様の効果を奏する。即ち、本実施例でも、電気モータ等の特別な駆動源を使用せずに、ハンマーナイフモア1の作業中に生じる力を利用して、ワイパ52を回転させて、フィルタ41を清掃することができる。
【0078】
更に、本実施例では、複数のワイパ50によりフィルタ41の両面から異物を掻き取るようにしたので、より効果的にフィルタ41を掃除することができる。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0080】
例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作する形式のハンマーナイフモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械、または各種農業用の作業機械にも適用可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、フィルタを掻き取るための掻き取り部の一例としてワイパブラシを例に説明していたが、本発明はこれに限られず、例えば、可撓性を有するゴムを用いるようにしてもよい。
【0082】
また、上記第1実施例では、振り子部46の前方向への移動時に、ワイパ42に回転のための力が伝達されるようにしていたが、本発明はこれに限られず、後方向の移動時に、ワイパ42に回転のための力が伝達されるようにしてもよい。
【0083】
また、上記第1実施例では、振り子部46にワンウェイクラッチを備えるようにしていたが、本発明はこれに限られず、ワイパ42にワンウェイクラッチを備え、軸部材43と接続するようにしてもよい。
【0084】
また、上記第1実施例では、1つの層のフィルタ41をワイパ42により清掃するようにしていたが、例えば、フィルタを機械室20内から複数層備えるとともに、各フィルタに対応させてワイパ42をそれぞれ備えるようにし、各フィルタを各ワイパ42で清掃するようにしてしもよい。また、この場合には、各ワイパ42を同一の軸部材にそれぞれ接続するようにしてもよい。
【0085】
また、上記第1実施例及び第2実施例では、ワイパ42の回転軸と、振り子部46の回転軸とを同軸にしていたが、本発明はこれに限られず、それぞれの回転軸を異なる軸上に設けるようにしてもよい。なお、この場合には、ワイパ42の回転軸となる軸部材と、振り子部46の回転軸となる軸部材との間での力の伝達を可能にする部材を備えればよい。
【0086】
また、上記第2実施例では、複数のワイパ50にワンウェイクラッチ50A、50Bを備えて軸部材51と接続するようにしていたが、本発明はこれに限られず、複数のワイパ50にワンウェイクラッチを備えずに軸部材51と接続し、振り子部52にワンウェイクラッチを備えて軸部材51と接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】ハンマーナイフモアの斜視図。
【図2】ハンマーナイフモアの正面図。
【図3】ハンマーナイフモアの側面図。
【図4】フィルタ及びエンジン等の関係を模式的に示す、説明用の上面図。
【図5】フィルタ機構部とクローラの関係を模式的に示す、説明用の側面図。
【図6】フィルタ機構部の断面図。
【図7】フィルタ機構部による掻き取りの様子を示す説明図。
【図8】振り子部の揺動と、ワイパの回転の様子を示す説明図。
【図9】ハンマーナイフモアによる草刈り作業の様子を示す説明図。
【図10】第2実施例のハンマーナイフモアに使用されるフィルタ機構部の断面図。
【符号の説明】
【0088】
1…ハンマーナイフモア、2…車両本体、3…クローラ、4…作業機、5…外装、6…カバー、7…ステップ、8…操縦装置、8A…保護バー、8B…走行レバー、10…カッターケース、11…カッターカバー、12…リンク、13…バネ、14…ソリ、15…回転軸、16…カッター、20,30…機械室、22…エンジン、22A…駆動軸、23…ラジエータ、24…冷却ファン、25…ダクト、31…燃料タンク、32…作動油タンク、40…フィルタ機構部、41…フィルタ、41A…空気流通孔、41B…通過領域、42,50…ワイパ、42A,52A…ワイパブレード、42B…取付穴、42C…ワイパブラシ、43,51…軸部材、46,52…振子部、46A…錘部材、46C,50A,50B…ワンウェイクラッチ、A1,A2:空気の流れ、S1:ワイパによる清掃可能範囲、R1,R2…回転方向、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生する動力装置(22)と、前記動力装置が収容された機械室(20)内へ流入する空気から異物を除去するフィルタ(41)とを備えた作業機械(1)であって、
前記フィルタ(41)の表面に付着した異物を掻き取る掻き取り部(42C)を有し、所定の第1軸(A1)を中心に回転可能なワイパ(42)と、
所定の第2軸(A1)を中心に揺動可能に設けられた錘部材(46A)と、
前記錘部材(46A)の第1回転方向(R1)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向と逆の第2回転方向(R2)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達しない第1の動力断続部(46C、50A、50B)と
を有する作業機械。
【請求項2】
草を刈るための草刈り部(4)を更に備える請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記錘部材(46A)は、前記作業機械の前後方向に対して揺動可能になっている
請求項1又は請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記第1軸と前記第2軸は、同軸(A1)である
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記第1軸に沿った第1軸部材(51)を備え、
前記ワイパは、前記第1軸部材に前記第1の動力断続部(50A)を介して接続されている
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記第2軸に沿った第2軸部材(43)を備え、
前記錘部材は、前記第2軸部材に前記第1の動力断続部(46C)を介して接続されている
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
前記ワイパを複数(50、50)備え、
前記第1の動力断続部(50A、50B)は、前記錘部材(46A)の第1回転方向(R1)への移動を、複数の前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向と逆の第2回転方向(R2)への移動を、複数の前記ワイパを回転させる駆動力として伝達しない
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項8】
前記ワイパを複数(50、50)備え、
前記錘部材の前記第2回転方向への移動を、少なくとも1つの前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材の前記第1回転方向への移動を、前記少なくとも1つのワイパを回転させる駆動力として伝達しない第2の動力断続部(50B)を更に備える
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項9】
動力装置(22)が収容された機械室(20)内へ流入する空気から異物を除去するフィルタ(41)を清掃するフィルタ清掃装置(40)であって、
前記フィルタ(41)の表面に付着した異物を掻き取る掻き取り部(42C)を有し、所定の第1軸(A1)を中心に回転可能なワイパ(42、50)と、
所定の第2軸(A1)を中心に揺動可能に設けられた錘部材(46A)と、
前記錘部材(46A)の第1回転方向(R1)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達するとともに、前記錘部材(R2)の前記第1回転方向と逆の第2回転方向(R2)への移動を、前記ワイパを回転させる駆動力として伝達しない第1の動力断続部(46C、50A、50B)と
を有するフィルタ清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−271929(P2008−271929A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122770(P2007−122770)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】