説明

作業機械

【課題】リターン流路での圧力損失が効果的に抑制でき、キャビテーションの発生も防止できる作業機械を提供する。
【解決手段】上部旋回体2は、作業機6やタンク10、油圧ポンプ9、油圧制御機構20等を有している。作業機6は支持腕6aや揺動腕6b、油圧シリンダ62を有している。油圧シリンダ62のシリンダ本体71内は、ロッド側スペース74とヘッド側スペース75とに区画されている。油圧制御機構20は、方向制御弁24やバイパス流路26を開閉する開閉制御弁27等を有している。方向切替弁24が、ヘッド側スペース75から作動油を返す第1の方向に切り替えられている場合、開閉制御弁27は開くように制御され、キャビテーション防止装置50によって特定状態が検出された場合に開閉制御弁27は閉じられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関し、その中でも特に、油圧制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等には、上部旋回体の旋回動作や、ブームやアーム等の変位動作を行うために、旋回モータや油圧シリンダ等、作動油で駆動する油圧機器が多数備えられている。そして、作動油を貯留するタンクと油圧機器との間には、作動油供給用のフィード流路や作動油回収用のリターン流路で構成された油圧回路が設けられている。油圧ポンプにより、各油圧機器に作動油が圧送され、作動油は、油圧回路を通じて油圧機器とタンクとの間を循環する。
【0003】
本発明に関し、油圧シリンダのリターン流路での圧力損失の抑制等を目的とした油圧回路が開示されている(特許文献1)。
【0004】
具体的には、油圧シリンダのヘッド側から作動油がタンクに戻される場合には、戻り油の量が相対的に多くなるため、リターン流路の管路で生じる圧力損失が大きくなる。その結果、作動油の発熱を招くという問題や、ヘッド側の油圧が高くなるという問題がある。
【0005】
そこで、リターン流路に直接タンクに連通するクイックリターン流路を設け、作動油が大量に戻される場合に、オイルクーラが配置された通常のリターン流路を通じて作動油を回収しながら、一部の作動油をクイックリターン流路を通じて直接タンクに回収している。
【0006】
より具体的には、クイックリターン流路にはクイックリターン弁が設けられている。そして、大量の戻り油が発生するフル動作領域に操作レバーが入るとクイックリターン弁が開かれ、作動油の一部が直接タンクに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−339904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のクイックリターン流路のように、直接タンクに連通するバイパス流路を通じて作動油を回収すれば、リターン流路で発生する圧力損失の抑制が可能になる。
【0009】
しかし、リターン流路内に、直接タンクに連通するバイパス流路を設けると、リターン流路内の油圧が大きく低下することになるため、油圧シリンダや旋回モータでキャビテーションが発生する虞がある。
【0010】
従来より、旋回減速時に旋回モータで発生するキャビテーションを防止するために、リターン流路には一定の背圧が加えられている。
【0011】
具体的には、上部旋回体の旋回を減速する場合には、油圧ポンプから旋回モータへの作動油の圧送量を減らすと同時に戻り回路を絞ってブレーキをかけるなどの油圧制御が行われる。しかし、作動油の圧送が減少した後も、慣性によって上部旋回体が旋回するため、旋回モータも直ぐには減速しない。その結果、作動油の供給が不足すると旋回モータでキャビテーションが発生する。
【0012】
そこで、リターン流路に一定の背圧を加え、リターン流路から旋回モータに不足分の作動油を供給することで、旋回モータでのキャビテーションの発生を防止している。ところが、バイパス流路が開かれるとリターン流路の内圧が低下するため、旋回モータへ充分な作動油の供給ができなくなり、旋回モータでキャビテーションが発生する虞がある。
【0013】
図1に、油圧ショベルの一例を示す。油圧ショベルには、下部走行体101と、その上に旋回自在に搭載された上部旋回体102とが備えられている。上部旋回体102の前側には、油圧制御によって変位駆動されるアタッチメント106が配置されている。アタッチメント106は、ブーム106a、アーム106b、バケット106c、そして、油圧シリンダであるブームシリンダ107、アームシリンダ108、バケットシリンダ109などで構成されている。
【0014】
油圧シリンダでのキャビテーションに関し、ここではアームシリンダ108を例に説明する。例えば、同図において、実線で示す、アーム106bの先端側がブーム106aに引き寄せられた状態(抱え込み姿勢)から、仮想線で示す、アーム106bの先端側がブームから離れた状態へ、矢印で示すようにアーム106bが押し出し操作された場合には、アームシリンダ108は縮む方向に油圧制御される。
【0015】
図2に示すように、油圧シリンダは、シリンダ本体71やロッド72、ピストン73などで構成され、シリンダ本体71の内部は、ピストン73により、ロッド側スペース74とヘッド側スペース75とに区画されている。アーム106bの押し出し操作時には、同図に矢印で示すように、ロッド側スペース74に作動油が圧送され、ヘッド側スペース75から作動油が回収される。このとき、断面積の違いから、作動油の圧送量よりも回収量の方が多くなるため、リターン流路での圧力損失が増加する。
【0016】
それに対し、上述したようなバイパス流路が設けてあると、バイパス流路を開くことで作動油の一部を直接タンクに回収することができるので、圧力損失を抑制することができる。ところが、このとき、ヘッド側スペース75の内圧も大きく低下するため、アーム106bの押し出し操作の際には、アームシリンダ108でキャビテーションが発生する虞が生じる。
【0017】
具体的には、アーム106bの押し出し操作が行われた場合、油圧ポンプから作動油がロッド側スペース74に所定の流量で送られる。ところが、抱え込み姿勢にあってアーム106bの先端側が高い位置にある場合には、自重によってアーム106bは降下する。そのため、油圧を加えなくてもアームシリンダ108は縮む方向に作動する。従来のように、リターン流路に一定の背圧が保持されていれば、抱え込み姿勢から押し出し操作しても、この背圧に抗してピストン73を変位させることになるので、安定した油圧制御ができていた。
【0018】
ところが、バイパス流路が開かれ、リターン流路の内圧が大きく減少すると、ピストン73の変位に抗する圧力も減少する。その結果、アーム106bの自重でピストン73が過度に大きく変位すると、ピストン73の変位にロッド側スペース74への作動油の供給が追いつかなくなってアームシリンダ108でキャビテーションが発生する。
【0019】
そこで本発明の目的は、リターン流路での圧力損失が効果的に抑制でき、油圧シリンダや旋回モータでのキャビテーションの発生も防止できる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明では、押し出し操作時には、優先的に弁を開いて油圧シリンダから直接タンクに作動油を返すようにし、キャビテーションが発生し得る特定状態の場合に弁を閉じて背圧を保持するようにした。
【0021】
具体的には、本発明の作業機械は、作業機及び旋回モータとタンクとの間で、油圧ポンプにより作動油を循環供給する油圧制御機構を有している。前記作業機は、支持腕に回動自在に支持された揺動腕と、当該揺動腕を駆動する油圧シリンダと、を有している。前記油圧シリンダのシリンダ本体内は、スライド変位するピストンによってロッド側スペースとヘッド側スペースとに区画されている。
【0022】
前記油圧制御機構は、前記油圧シリンダへ作動油を送るフィード流路と、前記タンクに作動油を返すリターン流路と、当該リターン流路内を所定圧に保持する背圧保持弁と、前記油圧シリンダへの作動油の流路を切り替える方向制御弁と、当該方向制御弁と前記ヘッド側スペースとの間の流路から前記タンクに作動油を返すバイパス流路と、当該バイパス流路を開閉する開閉制御弁と、前記油圧シリンダ及び前記旋回モータの少なくともいずれかにおいて、作動油の供給不足が発生し得る特定状態を検出するキャビテーション防止装置と、当該キャビテーション防止装置から入力される情報に基づいて前記開閉制御弁を制御する制御装置と、を有している。
【0023】
そして、前記方向切替弁は、前記ロッド側スペースに作動油を送る第1の方向と、前記ヘッド側スペースに作動油を送る第2の方向と、に切り替え可能であり、前記方向制御弁が前記第1の方向に切り替えられている場合、前記開閉制御弁は開くように制御されており、前記キャビテーション防止装置によって前記特定状態が検出された場合に前記開閉制御弁は閉じられるように構成されている。
【0024】
このように構成された作業機械によれば、作業機や旋回モータとタンクとの間には、油圧ポンプで作動油を循環供給する油圧制御機構が設けられている。その油圧制御機構では、油圧シリンダからタンクに作動油を返すリターン流路に背圧保持弁が配置されていて、リターン流路内は所定圧に保持される。方向制御弁とヘッド側スペースとの間の流路からタンクに作動油を返すバイパス流路が設けられている。
【0025】
方向切替弁が第1の方向に切り替えられている場合、つまり押し出し操作時には、バイパス流路を開閉する開閉制御弁は優先的に開くように制御されている。従って、ヘッド側スペースの作動油は、方向切替弁等を経由せずに直接タンクに返すことができるので、圧力損失を抑制することができる。
【0026】
そして、キャビテーション防止装置により、作動油の供給不足が発生し得る特定状態が検出された場合には、開閉制御弁は閉じられる。従って、キャビテーションの発生を防止することができる。
【0027】
すなわち、本発明の作業機械では、キャビテーションが発生しない条件を選択して作動油を直接タンクに返すようにしたので、リターン流路での圧力損失が効果的に抑制でき、油圧シリンダや旋回モータでのキャビテーションの発生も防止できる。
【0028】
例えば、前記特定状態は、前記旋回モータが減速制御されている状態である。この場合、前記キャビテーション防止装置は、前記旋回モータの制御状態を検出するモータ制御検出装置を有し、前記モータ制御検出装置の検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御するように構成できる。
【0029】
また、他の前記特定状態は、前記油圧シリンダが伸びて、前記揺動腕が自重に基づく力のモーメントに抗して持ち上げられた状態の場合である。この場合、前記キャビテーション防止装置は、前記ロッド側スペースの内圧を検出するロッド側圧力センサと、前記ヘッド側スペースの内圧を検出するへッド側圧力センサとを有し、前記ロッド側圧力センサ及び前記ヘッド側圧力センサの検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御するように構成できる。
【0030】
またこの場合、例えば、前記支持腕が回動自在であれば、前記キャビテーション防止装置は、前記支持腕の角度を検出する第1角度センサと、前記揺動腕の角度を検出する第2角度センサとを有し、前記第1角度センサ及び前記第2角度センサの検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御するように構成できる。
【0031】
また、他の前記特定状態は、前記油圧ポンプを駆動するエンジンの回転数が所定の低速回転域にある状態である場合である。この場合、前記キャビテーション防止装置は、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出装置、を有し、前記エンジン回転数検出装置の検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御するように構成できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、リターン流路での圧力損失が効果的に抑制でき、油圧シリンダや旋回モータでのキャビテーションの発生も防止できる作業機械を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の油圧ショベルの一例を示す概略図である。
【図2】従来の油圧シリンダの基本的な構成を示す概略図である。
【図3】本発明を適用した油圧ショベルを示す概略図である。
【図4】油圧制御機構を示す概略図である。
【図5】開閉制御弁の制御を示すフローチャートである。
【図6】開閉制御弁の制御を示すフローチャートである。
【図7】開閉制御弁の制御を示すフローチャートである。
【図8】第1変形例の油圧制御機構を示す概略図である。
【図9】第1変形例での開閉制御弁の制御を示すフローチャートである。
【図10】第2変形例の油圧制御機構を示す概略図である。
【図11】第2変形例での開閉制御弁の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0035】
図3に、本発明を適用した油圧ショベル(作業機械の一例)を示す。この油圧ショベルでは、クローラ式の下部走行体1の上に上部旋回体2が旋回自在に搭載されている。上部旋回体2には、キャブ3、機械室4、カウンターウエイト5、アタッチメント6(作業機)などが備えられている。キャブ3の内部には、操作レバー7a、7bなどの各種操作機器が配置されている。
【0036】
機械室4の内部には、エンジン8や、エンジン8の駆動により作動油を圧送する油圧ポンプ9、作動油を貯留するタンク10、上部旋回体2を旋回駆動する旋回モータ11などの機器が配置されている。また、詳細は後述するが、アタッチメント6や旋回モータ11を駆動するために、これらとタンク10との間には、作動油を循環供給する油圧制御機構20が設けられている。
【0037】
アタッチメント6は、上部旋回体2の前側に配置され、ブーム6a(支持腕)やアーム6b(揺動腕)、バケット6c、ブームシリンダ61、アームシリンダ62、バケットシリンダ63などで構成されている。なお、ブームシリンダ61やアームシリンダ62、バケットシリンダ63はいずれも従来の油圧シリンダと基本的な構造は同じである。
【0038】
ブーム6aは、側面視略く字状形状をした支持部材であり、上部旋回体2に起伏自在に支持されている。ブーム6aの基端部位は上部旋回体2に軸支されており、ブーム6aは略水平方向に延びる第1回転軸A1回りに回動する。アーム6bは、ブーム6aよりも短寸の支持部材であり、ブーム6aに揺動自在に支持されている。アーム6bの基端部位はブーム6aの先端部位に軸支されており、アーム6bは略水平方向に延びる第2回転軸A2回りに回動する。バケット6cは、容器状の部材であり、アーム6bに揺動自在に支持されている。バケット6cの基端部位はアーム6bの先端部位に軸支されており、バケット6cは略水平方向に延びる第3回転軸A3回りに回動する。
【0039】
ブーム6aはブームシリンダ61によって駆動され、アーム6bはアームシリンダ62によって駆動される。バケット6cはバケットシリンダ63によって駆動される。アームシリンダ62の場合、シリンダ本体71のヘッド側の部位はブーム6aに軸支され、シリンダ本体71から突出したロッド72の突端はアーム6bの基端部位に軸支されている。ブームシリンダ61やバケットシリンダ63もこれと同様に軸支されている。
【0040】
図2に示したように、ブームシリンダ61等では、円筒状のシリンダ本体71の内部にスライド変位するピストン73が配置されている。シリンダ本体71には、円柱状のロッド72が出退自在に挿入されていて、その一端がピストン73に固定され、他端はシリンダ本体71の外側に突出している。
【0041】
シリンダ本体71は液密状に封止されていて、その内部は、ロッド72側に位置するロッド側スペース74と、ヘッド側スペース75とにピストン73によって区画されている。シリンダ本体71には、ロッド側スペース74に連通するロッド側送油口76と、ヘッド側スペース75に連通するヘッド側送油口77とが設けられている。これら送油口76,77を通じて作動油が各スペース74,75と油圧制御機構20との間を出入りする。
【0042】
図4に、油圧制御機構20を示す。油圧制御機構20は、フィード流路21やリターン流路22、背圧保持弁23、第1方向制御弁(CV1)24、第2方向制御弁(CV2)25、バイパス流路26、開閉制御弁(CV3)27、制御装置28、キャビテーション防止装置50などで構成されている。
【0043】
フィード流路21は、旋回モータ11やアームシリンダ62等へ作動油を送る送油配管で構成されている。フィード流路21の上流側の一端は油圧ポンプ9の吐出口に接続されている。フィード流路21は途中で分岐して、その下流側の一方の端部は第1方向制御弁24に接続され、その下流側の他方の端部は第2方向制御弁25に接続されている。なお、油圧ポンプ9の供給口は配管を介してタンク10に接続されている(図示せず)。
【0044】
リターン流路22は、旋回モータ11やアームシリンダ62等からタンク10に作動油を返す送油配管で構成されている。リターン流路22の下流側の一端は背圧保持弁23を介してタンク10に接続されている。リターン流路22は途中で分岐して、その上流側の一方の端部は第1方向制御弁24に接続され、その上流側の他方の端部は第2方向制御弁25に接続されている。背圧保持弁23は、リターン流路22内を所定圧に保持する機能を有し、リターン流路22が所定圧以上になると開いてタンク10に作動油が流出する。
【0045】
第2方向制御弁25は、流路の切り替えにより、旋回モータ11の回転方向を切り替える機能を有している。具体的には、第2方向制御弁25には、旋回モータ11の第1モータ入出口11aに接続された第1モータ配管29と、旋回モータ11の第2モータ入出口11bに接続された第2モータ配管30とが接続されている。第2方向制御弁25は、旋回モータ11用の操作レバー7aの操作に応じて、流路を遮断する中立位置と、右回転位置と左回転位置とに切り替わる。右回転位置では、第1モータ配管29とフィード流路21が接続され、第2モータ配管30とリターン流路22が接続される。左回転位置では、第2モータ配管30とフィード流路21が接続され、第1モータ配管29とリターン流路22が接続される。
【0046】
第1モータ配管29と第2モータ配管30との間には、補油回路31が設けられている。補油回路31に作動油を供給する補油配管31aは、リターン流路22に接続されている。従って、第1モータ配管29及び第2モータ配管30のいずれか一方の油圧が不足した場合には、背圧の加わったリターン流路22から作動油が補油回路31を通じて各モータ配管29,30に供給される。
【0047】
第1方向制御弁24は、流路の切り替えにより、アームシリンダ62の伸縮方向を切り替える機能を有している。具体的には、第1方向制御弁24には、アームシリンダ62のロッド側送油口76に接続されたロッド側配管32と、アームシリンダ62のヘッド側送油口77に接続されたヘッド側配管33とが接続されている。
【0048】
第1方向制御弁24は、アーム6b用の操作レバー7bの操作に応じて、流路を遮断する中立位置と、アームシリンダ62が縮む押し出し位置と、アームシリンダ62が伸びる引き寄せ位置とに切り替わる。押し出し位置では、ロッド側配管32とフィード流路21が接続され、ヘッド側配管33とリターン流路22が接続される。引き寄せ位置では、ヘッド側配管33とフィード流路21が接続され、ロッド側配管32とリターン流路22が接続される。
【0049】
すなわち、操作レバー7bの操作により、第1方向制御弁24は、ロッド側スペース74に作動油を送り、ヘッド側スペース75から作動油を返す第1の方向(押し出し位置)と、ヘッド側スペース75に作動油を送り、ロッド側スペース74から作動油を返す第2の方向(引き寄せ位置)とに切り替わる。
【0050】
バイパス流路26は、ヘッド側スペース75の作動油を、リターン流路22を介さずに直接タンク10に返すために設けられている。具体的には、バイパス流路26の一端はヘッド側配管33に接続され、他端はタンク10に接続されている。
【0051】
開閉制御弁27は、バイパス流路26を開閉する機能を有し、バイパス流路26の途中に配設されている。
【0052】
制御装置28は、後述するキャビテーション防止装置50等から情報を入力し、その情報に基づいて開閉制御弁27を制御する機能を有している。アーム6bの押し出し操作が行われる場合(第1方向制御弁24は押し出し位置にある)、タンク10に返る作動油量が多くなるため、リターン流路22のみでは圧力損失が増加する。
【0053】
そのため、この油圧ショベルでは、アーム6bの押し出し操作が行われる場合には、優先的に開閉制御弁27を開いてバイパス流路26からも作動油を回収するようにしている。
【0054】
具体的には、アームシリンダ62用の操作レバー7bの油圧回路に、押し出し操作時のパイロット圧を検出する第1パイロット圧検出センサ35が設けられている。第1パイロット圧検出センサ35での検出値は、制御装置28に入力される。制御装置28は、第1パイロット圧検出センサ35から入力された検出値に基づいてアーム6bの押し出し操作の有無を判断し、開閉制御弁27を開閉制御している。
【0055】
ところが、開閉制御弁27が開かれると、リターン流路22やヘッド側配管33の内圧が低下するため、所定の背圧が保持できなくなる。その結果、旋回モータ11やアームシリンダ62等でキャビテーションが発生する虞がある。
【0056】
そこで、この油圧ショベルでは、キャビテーションの発生を防止するために、キャビテーション防止装置50が油圧制御機構20に組み込まれている。そして、アーム6bの押し出し操作が行われる場合であっても、キャビテーション防止装置50により予め設定された特定状態が検出された場合には、開閉制御弁27を強制的に閉じるように設定されている。
【0057】
本実施形態では、そのキャビテーション防止装置50として、モータ制御検出装置51や第1角度センサ52、第2角度センサ53、エンジン回転数検出装置54が設置されている。
【0058】
モータ制御検出装置51は、旋回モータ11用の操作レバー7aのパイロット圧を検出する第2パイロット圧検出センサ51aを有している。具体的には、旋回モータ11用の操作レバー7aの油圧回路に、左右の回転操作時のパイロット圧を検出する第2パイロット圧検出センサ51aが設けられている。第2パイロット圧検出センサ51aでの検出値は、制御装置28に入力される。制御装置28は、第2パイロット圧検出センサ51aから入力された検出値に基づいて旋回モータ11の旋回操作の有無や旋回の加速や減速を判断する。
【0059】
特に、旋回モータ11が減速制御されている状態(第1の特定状態)であるか否かが判断される。
【0060】
図5に、旋回モータ11に関連した開閉制御弁27の制御のフローチャートを示す。まず、第1パイロット圧検出センサ35から入力される検出値(P1)に基づいてアーム6bの押し出し操作の有無が判断される。例えば、検出値(P1)が0より大きいか否か判断され、0以下である場合には(ステップS1でNo)、第1方向制御弁24は押し出し位置にないため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS2)。
【0061】
検出値(P1)が0より大きい場合には(ステップS1でYes)、続いて、第2パイロット圧検出センサ51aから入力された検出値(P2)に基づいて旋回操作の有無が判断される(ステップS3)。具体的には、検出値(P2)が0より大きいか否か判断され、検出値(P2)が0以下の場合には(ステップS3でNo)、旋回操作無しと判断され、開閉制御弁27は開かれる(ステップS4)。
【0062】
検出値(P2)が0より大きい場合には(ステップS3でYes)、旋回操作有りと判断され、第2パイロット圧検出センサ51aから入力された検出値(P2)に基づいて減速の有無が判断される(ステップS5)。具体的には、制御装置28は、経時的に連続して入力される検出値(P2)の大小を比較する。
【0063】
例えば、ある検出値(P2(tn))とその後に入力された検出値(P2(tn+1))とを比較する。その結果、検出値(P2(tn+1))が検出値(P2(tn))以上の場合(ステップS5でYes)、減速無しと判断され、開閉制御弁27は開けられる(ステップS4)。対して、検出値(P2(tn+1))が検出値(P2(tn))より小さい場合(ステップS5でNo)、減速有りと判断され、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS2)。
【0064】
図3に示したように、第1角度センサ52はブーム6aの基端部に設置され、第2角度センサ53はアーム6bの基端部に設置されている。第1角度センサ52はブーム6aの回転角度を検出し、第2角度センサ53はアーム6bの回転角度を検出する。両センサ52,53の検出値は、制御装置28に入力される。制御装置28は、両センサ52,53から入力される検出値に基づいてアーム6bの姿勢を判断する。
【0065】
特に、アーム6bが抱え込み姿勢にあり、アーム6bが自重に基づく力のモーメントに抗して持ち上げられた状態(単に抱え込み姿勢という:第2の特定状態)にあるか否かが判断される。
【0066】
図6に、アーム6bに関連した開閉制御弁27の制御のフローチャートを示す。まず、第1パイロット圧検出センサ35から入力される検出値(P1)に基づいてアーム6bの押し出し操作の有無が判断される。検出値(P1)が0以下である場合には(ステップS11でNo)、第1方向制御弁24は押し出し位置にないため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS12)。
【0067】
検出値(P1)が0より大きい場合には(ステップS11でYes)、続いて、第1角度センサ52から入力される検出値(θB)と、第2角度センサ53から入力される検出値(θA)とに基づいてアーム6bが抱え込み姿勢にあるか否かが判断される(ステップS13)。
【0068】
例えば、所定の基準値(θA’、θB’)と各検出値(θA,θB)の大小を比較し、両検出値(θA,θB)が基準値(θA’、θB’)以下の場合には(ステップS13でNo)、アーム6bは抱え込み姿勢にあるため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS12)。対して、両検出値(θA,θB)が基準値(θA’、θB’)より大きい場合には(ステップS13でYes)、アーム6bは抱え込み姿勢にないため、開閉制御弁27は開かれる(ステップS14)。
【0069】
エンジン回転数検出装置54は、エンジン8に実装されていて、エンジン8の回転数を検出する。エンジン回転数検出装置54の検出値は制御装置28に入力される。制御装置28は、エンジン回転数検出装置54から入力される検出値に基づいてエンジン8の回転数の高低を判断する。
【0070】
特に、エンジン8の回転数が所定の低速回転域にある状態(第3の特定状態)であるか否かが判断される。この場合、油圧ポンプ9からの作動油の吐出量が少なくなるため、キャビテーションが発生し得る。
【0071】
図7に、エンジン8の回転数に関連した開閉制御弁27の制御のフローチャートを示す。まず、第1パイロット圧検出センサ35から入力される検出値(P1)に基づいてアーム6bの押し出し操作の有無が判断される。検出値(P1)が0以下である場合には(ステップS21でNo)、第1方向制御弁24は押し出し位置にないため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS22)。
【0072】
検出値(P1)が0より大きい場合には(ステップS21でYes)、続いて、エンジン8の回転数が所定の低速回転域にあるか否かが判断される(ステップS23)。例えば、エンジン回転数検出装置54から入力される検出値(N)と、予め設定された所定の回転数(N’)の大小を比較する。その結果、検出値(N)が所定の回転数(N’)よりも小さい場合には(ステップS23でYes)、エンジン8の回転数は所定の低速回転域にあるため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS22)。対して、検出値(N)が所定の回転数(N’)以上の場合には(ステップS23でNo)、エンジン8の回転数は所定の低速回転域にないため、開閉制御弁27は開けられる(ステップS24)。
【0073】
(第1変形例)
図8に本変形例の油圧ショベルの油圧制御機構20を示す。この油圧ショベルでは、アームシリンダ62に関するキャビテーション防止装置50が上述した実施形態の油圧ショベルと異なっている。
【0074】
具体的には、第1角度センサ52や第2角度センサ53の代わりに、ロッド側圧力センサ56とへッド側圧力センサ57とが設けられている。なお、油圧ショベルや油圧制御機構20の各装置等、その他の構成については、上述した実施形態の油圧ショベルと同様であるため、同じ構成の装置については同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0075】
ロッド側圧力センサ56は、ロッド側スペース74の内圧を検出し、その検出値を制御装置28に出力する。へッド側圧力センサ57は、へッド側スペース75の内圧を検出し、その検出値を制御装置28に出力する。
【0076】
制御装置28は、これらロッド側圧力センサ56及びヘッド側圧力センサ57の検出値に基づいて、第2の特定状態を検出する。
【0077】
図9に、その具体的な開閉制御弁27の制御のフローチャートを例示する。まず、第1パイロット圧検出センサ35から入力される検出値(P1)に基づいてアーム6bの押し出し操作の有無が判断される。検出値(P1)が0以下である場合には(ステップS31でNo)、第1方向制御弁24は押し出し位置にないため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS32)。
【0078】
検出値(P1)が0より大きい場合には(ステップS31でYes)、続いて、ピストン73に作用する力のうち、ロッド側スペース74側の力がへッド側スペース75側の力よりも小さいか否かが判断される(ステップS33)。ロッド側スペース74側からピストン73に作用する力は、ピストン73のロッド72を除く断面積(Ar)と、ロッド側スペース74の内圧(Pr)の積算によって求められ、ヘッド側スペース75側からピストン73に作用する力は、ピストン73の断面積(Ah)と、ヘッド側スペース75の内圧(Ph)の積算によって求められる。
【0079】
その結果、ロッド側スペース74側の力がへッド側スペース75側の力よりも小さい場合は(ステップS33でYes)、ロッド側スペース74で油圧の不足が生じているため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS32)。対して、ロッド側スペース74側の力がへッド側スペース75側の力以上の場合は(ステップS33でNo)、ロッド側スペース74で油圧の不足は生じていないため、開閉制御弁27は開けられる(ステップS34)。
【0080】
(第2変形例)
図10に本変形例の油圧ショベルの油圧制御機構20を示す。この油圧ショベルでは、旋回モータ11に関するキャビテーション防止装置50が上述した実施形態の油圧ショベルと異なっている。
【0081】
具体的には、本変形例のモータ制御検出装置51には、第2パイロット圧検出センサ51aに加え、旋回モータ11の回転数を検出するモータ速度センサ59が設けられている。なお、油圧ショベルや油圧制御機構20の各装置等、その他の構成については、上述した実施形態の油圧ショベルと同様であるため、同じ構成の装置については同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0082】
モータ速度センサ59は旋回モータ11に設けられている。モータ速度センサ59は、旋回モータ11の角速度等を検出し、その検出値を制御装置28に出力する。
【0083】
図11に、本変形例での開閉制御弁27の制御のフローチャートを示す。まず、第1パイロット圧検出センサ35から入力される検出値(P1)に基づいてアーム6bの押し出し操作の有無が判断される。具体的には、検出値(P1)が0より大きいか否か判断され、0以下である場合には(ステップS41でNo)、第1方向制御弁24は押し出し位置にないため、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS42)。
【0084】
検出値(P1)が0より大きい場合には(ステップS41でYes)、続いて、第2パイロット圧検出センサ51aから入力された検出値(P2)に基づいて旋回操作の有無が判断される(ステップS43)。具体的には、検出値(P2)が0より大きいか否か判断され、検出値(P2)が0以下の場合には(ステップS43でNo)、旋回操作無しと判断され、開閉制御弁27は開かれる(ステップS44)。
【0085】
検出値(P2)が0より大きい場合には(ステップS43でYes)、旋回操作有りと判断され、モータ速度センサ59から入力される検出値に基づいて減速の有無が判断される(ステップS45)。例えば、制御装置28は、経時的に連続して入力される旋回モータ11の角速度(ω)の単位時間当たりの変化率(Δω/Δt)を求め、0より小さいか否かを判断する。
【0086】
その結果、変化率(Δω/Δt)が0よりも小さい場合には(ステップS45でYes)、減速有りと判断され、開閉制御弁27は閉じられる(ステップS42)。対して、変化率が0以上の場合には(ステップS45でNo)、減速無しと判断され、開閉制御弁27は開けられる(ステップS44)。
【0087】
なお、本発明にかかる作業機械は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、作業機械は、油圧ショベルに限らずクレーン等であってもよい。油圧シリンダは、アームシリンダ62に限らず、ブームシリンダ61やバケットシリンダ63にも同様に適用できる。
【0088】
キャビテーション防止装置50をそれぞれ組み合わせて開閉制御弁27を開閉制御してもよい。例えば、第3の特定状態にある場合において、第1の特定状態や第2の特定状態になった場合にのみ開閉制御弁27を開くようにしてもよい。
【0089】
また、キャビテーション防止装置50をそれぞれ個別に組み付けて開閉制御弁27を開閉制御してもよい。例えば、エンジン回転数検出装置54だけにすれば、既存の装置が活用できるので、部品点数やコストが削減できる。
【符号の説明】
【0090】
1 下部走行体
2 上部旋回体
5 カウンターウエイト
6 アタッチメント(作業機)
6a ブーム(支持腕)
6b アーム(揺動腕)
6c バケット
7a,7b 操作レバー
8 エンジン
9 油圧ポンプ
10 タンク
11 旋回モータ
20 油圧制御機構
21 フィード流路
22 リターン流路
23 背圧保持弁
24 第1方向制御弁
25 第2方向制御弁
26 バイパス流路
27 開閉制御弁
28 制御装置
29 第1モータ配管
30 第2モータ配管
31 補油回路
31a 補油配管
32 ロッド側配管
33 ヘッド側配管
35 第1パイロット圧検出センサ
50 キャビテーション防止装置
51 モータ制御検出装置
51a 第2パイロット圧検出センサ
52 第1角度センサ
53 第2角度センサ
54 エンジン回転数検出装置
56 ロッド側圧力センサ
57 へッド側圧力センサ
59 モータ速度センサ
62 アームシリンダ(油圧シリンダ)
71 シリンダ本体
72 ロッド
73 ピストン
74 ロッド側スペース
75 ヘッド側スペース
A1 第1回転軸
A2 第2回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機及び旋回モータとタンクとの間で、油圧ポンプにより作動油を循環供給する油圧制御機構を有している作業機械であって、
前記作業機は、支持腕に回動自在に支持された揺動腕と、当該揺動腕を駆動する油圧シリンダと、を有し、
前記油圧シリンダのシリンダ本体内は、スライド変位するピストンによってロッド側スペースとヘッド側スペースとに区画され、
前記油圧制御機構は、前記油圧シリンダへ作動油を送るフィード流路と、前記タンクに作動油を返すリターン流路と、当該リターン流路内を所定圧に保持する背圧保持弁と、前記油圧シリンダへの作動油の流路を切り替える方向制御弁と、当該方向制御弁と前記ヘッド側スペースとの間の流路から前記タンクに作動油を返すバイパス流路と、当該バイパス流路を開閉する開閉制御弁と、前記油圧シリンダ及び前記旋回モータの少なくともいずれかにおいて、作動油の供給不足が発生し得る特定状態を検出するキャビテーション防止装置と、当該キャビテーション防止装置から入力される情報に基づいて前記開閉制御弁を制御する制御装置と、を有し、
前記方向切替弁は、前記ロッド側スペースに作動油を送る第1の方向と、前記ヘッド側スペースに作動油を送る第2の方向と、に切り替え可能であり、
前記方向制御弁が前記第1の方向に切り替えられている場合、前記開閉制御弁は開くように制御されており、前記キャビテーション防止装置によって前記特定状態が検出された場合に前記開閉制御弁は閉じられる作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記特定状態は、前記旋回モータが減速制御されている状態であり、
前記キャビテーション防止装置は、前記旋回モータの制御状態を検出するモータ制御検出装置を有し、
前記モータ制御検出装置の検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御する作業機械。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の作業機械において、
前記特定状態は、前記油圧シリンダが伸びて、前記揺動腕が自重に基づく力のモーメントに抗して持ち上げられた状態であり、
前記キャビテーション防止装置は、前記ロッド側スペースの内圧を検出するロッド側圧力センサと、前記ヘッド側スペースの内圧を検出するへッド側圧力センサと、を有し、
前記ロッド側圧力センサ及び前記ヘッド側圧力センサの検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御する作業機械。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の作業機械において、
前記支持腕が回動自在であり、
前記特定状態は、前記油圧シリンダが伸びて、前記揺動腕が自重に基づく力のモーメントに抗して持ち上げられた状態であり、
前記キャビテーション防止装置は、前記支持腕の角度を検出する第1角度センサと、前記揺動腕の角度を検出する第2角度センサと、を有し、
前記第1角度センサ及び前記第2角度センサの検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御する作業機械。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の作業機械において、
前記特定状態は、前記油圧ポンプを駆動するエンジンの回転数が所定の低速回転域にある状態であり、
前記キャビテーション防止装置は、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出装置、を有し、
前記エンジン回転数検出装置の検出値に基づいて、前記制御装置が前記開閉制御弁を制御する作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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