説明

作業用走行車

【課題】パネルバイザーの開口隣接位置に電装部品を配置しても、この電装部品を水から保護することができるようにし、完全防水の電装部品を採用したり、開口から離れた位置に電装部品を配置する必要がないものとする。
【解決手段】運転席8の前方に設けられるパネルバイザー14に、チルトハンドル機構12を収容する開口14bを設けるとともに、キースイッチ13(電装部品)を装着するトラクタにおいて、パネルバイザー14の開口14b端縁部に裏面側に延出するリブ14dを形成し、該リブ14dを、開口14bと、該開口14bに隣接して配置されるキースイッチ13との間の隔壁として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業用走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転席の前方に設けられるパネルバイザー(ダッシュパネル)に、チルトハンドル機構を収容する開口を設けるとともに、キースイッチ等の電装部品を装着する作業用走行車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭62−129368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、チルトハンドル機構を収容する開口を設けたパネルバイザーでは、開口(チルトハンドル機構を覆うカバーとパネルバイザーとの隙間)からの水の侵入を完全に防止することは困難であるため、パネルバイザーにキースイッチ等の電装部品を装着する場合は、完全防水の電装部品を採用したり、開口から離れた位置に電装部品を配置する必要があった。このため、部品コストが上昇するだけでなく、パネルバイザーにおける電装部品等の配置の自由度が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、運転席の前方に設けられるパネルバイザーに、チルトハンドル機構を収容する開口を設けるとともに、キースイッチ等の電装部品を装着する作業用走行車において、前記パネルバイザーの前記開口端縁部に裏面側に延出するリブを形成し、該リブを、前記開口と、該開口に隣接して配置される前記電装部品との間の隔壁として機能させることを特徴とする。このようにすると、パネルバイザーの開口隣接位置に電装部品を配置しても、リブからなる隔壁によって電装部品を水から保護することができるので、完全防水の電装部品を採用したり、開口から離れた位置に電装部品を配置する必要がない。その結果、部品コストの上昇を回避できるだけでなく、パネルバイザーにおける電装部品等の配置の自由度を高めることができる。また、リブは、開口端縁部の補強リブとしても機能するので、パネルバイザーの剛性も高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はトラクタ(作業用走行車)の走行機体であって、該走行機体1は、機体前部に搭載されるエンジン(図示せず)と、エンジン動力を変速するミッションケース2と、ミッションケース2から伝動される走行動力で回転駆動される前輪3及び後輪4と、運転操作部5を覆うキャビン6と、各種の作業機(図示せず)が連結される昇降リンク機構7とを備えて構成されている。
【0006】
図2に示すように、運転操作部5には、オペレータが座る運転席8が設けられるとともに、運転席8の前方には、ダッシュパネル9やステアリングハンドル10が設けられている。図3に示すように、ダッシュパネル9は、計器パネル11やチルトハンドル機構12を収容するとともに、キースイッチ13等の各種の電装部品が装着されるようになっている。本実施形態のダッシュパネル9は、計器パネル11を収容する開口14aや、チルトハンドル機構12を収容する開口14bが形成されるとともに、キースイッチ13等の各種の電装部品が装着されるパネルバイザー14と、該パネルバイザー14の下側の開口14cを覆うパネルリヤカバー15とを備えて構成されている。
【0007】
ところで、チルトハンドル機構12を収容する開口14bを設けたパネルバイザー14では、開口14b(チルトハンドル機構12を覆うカバーとパネルバイザー14との隙間)からの水の侵入を完全に防止することは困難である。そのため、従来では、パネルバイザー14にキースイッチ13等の電装部品を装着する場合は、完全防水の電装部品を採用したり、開口14bから離れた位置に電装部品を配置する必要があった。
【0008】
そこで、本発明では、図4〜図10に示すように、パネルバイザー14における開口14bの端縁部に裏面側に延出するリブ14dを形成し、このリブ14dを、開口14bと、開口14bに隣接して配置される電装部品(キースイッチ13)との間の隔壁として機能させる。これにより、パネルバイザー14における開口14bの隣接位置にキースイッチ13等の電装部品を配置しても、リブ14dからなる隔壁によってキースイッチ13等の電装部品を水から保護することができるので、完全防水の電装部品を採用したり、開口14bから離れた位置に電装部品を配置する必要がない。その結果、部品コストの上昇を回避できるだけでなく、パネルバイザー14における電装部品等の配置の自由度を高めることができる。しかも、リブ14dは、開口14bの端縁部を補強する補強リブとしても機能させることができるので、パネルバイザー14の剛性も高められる。
【0009】
次に、本実施形態に係るパネルバイザー14の具体的な構造について、図4〜図10を参照して説明する。これらの図に示すように、本実施形態のパネルバイザー14は、前述したように、計器パネル11を収容する開口14aと、チルトハンドル機構12を収容する開口14bと、その下方に連続して形成され、パネルリヤカバー15によって覆われる開口14cと、前述した隔壁及び補強リブとして機能するリブ14dとを有する樹脂成形品であって、さらに、開口14bの右側隣接位置には、キースイッチ13が取付けられるキースイッチ取付孔14eが形成されるとともに、その上方裏面側には、図示しない基板を取付けるための基板取付部14fが形成されている。
【0010】
リブ14dは、パネルバイザー14における開口14bの端縁部から裏面側に延出し、開口14bと、開口14bに隣接して配置されるキースイッチ13との間の隔壁として機能するが、さらに、本実施形態のリブ14dは、基板取付部14fの上方位置まで延長形成されている。これにより、基板取付部14fに装着される基板の隔壁としても機能し、基板を水から保護することができる。また、本実施形態では、リブ14dを基板取付部14fの上方まで延長するにあたり、リブ14dを背面視で逆L字状に形成するとともに、逆L字状のコーナー部を波形状に湾曲させている。このようにすると、リブ14dの補強リブとしての性能が高められるので、パネルバイザー14の剛性をさらに向上させることができる。
【0011】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、運転席8の前方に設けられるパネルバイザー14に、チルトハンドル機構12を収容する開口14bを設けるとともに、キースイッチ13(電装部品)を装着するトラクタにおいて、パネルバイザー14の開口14b端縁部に裏面側に延出するリブ14dを形成し、該リブ14dを、開口14bと、該開口14bに隣接して配置されるキースイッチ13との間の隔壁として機能させるので、パネルバイザー14の開口14b隣接位置にキースイッチ13を配置しても、リブ14dからなる隔壁によってキースイッチ13を水から保護することができる。これにより、完全防水の電装部品を採用したり、開口14bから離れた位置に電装部品を配置することが不要になる。その結果、部品コストの上昇を回避できるだけでなく、パネルバイザー14における電装部品等の配置の自由度を高めることができる。また、リブ14dは、開口14b端縁部の補強リブとしても機能するので、パネルバイザー14の剛性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】運転操作部の平面図である。
【図3】ダッシュパネルの正面図である。
【図4】パネルバイザーの正面図である。
【図5】パネルバイザーの背面図である。
【図6】パネルバイザーのA−A断面図である。
【図7】キースイッチ取付状態を示すパネルバイザーの正面図である。
【図8】キースイッチ取付状態を示すパネルバイザーの背面図である。
【図9】キースイッチ取付状態を示すパネルバイザーのA−A断面図である。
【図10】キースイッチ取付状態を示すパネルバイザーの要部斜視図である。
【符号の説明】
【0013】
1 走行機体
5 運転操作部
8 運転席
9 ダッシュパネル
10 ステアリングハンドル
11 計器パネル
12 チルトハンドル機構
13 キースイッチ
14 パネルバイザー
14b 開口
14d リブ
14e キースイッチ取付孔
15 パネルリヤカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の前方に設けられるパネルバイザーに、チルトハンドル機構を収容する開口を設けるとともに、キースイッチ等の電装部品を装着する作業用走行車において、
前記パネルバイザーの前記開口端縁部に裏面側に延出するリブを形成し、該リブを、前記開口と、該開口に隣接して配置される前記電装部品との間の隔壁として機能させることを特徴とする作業用走行車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−247300(P2008−247300A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93702(P2007−93702)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】