作業用足場装置
【課題】組立セグメントの切羽側に接近できる作業用足場装置を提供する。
【解決手段】地山を掘り進んで形成されるトンネル穴4の中心軸と同軸上で回転する環状の回転フレーム7を有し該回転フレーム7のトンネル掘進方向後方にセグメント1を把持して組み立てるエレクタ装置5でセグメント1を組み立てるとき、セグメント1、2同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置3において、上記回転フレーム7に板状の作業足場31を上記エレクタ装置5のセグメント把持部10に臨むように設けたものである。
【解決手段】地山を掘り進んで形成されるトンネル穴4の中心軸と同軸上で回転する環状の回転フレーム7を有し該回転フレーム7のトンネル掘進方向後方にセグメント1を把持して組み立てるエレクタ装置5でセグメント1を組み立てるとき、セグメント1、2同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置3において、上記回転フレーム7に板状の作業足場31を上記エレクタ装置5のセグメント把持部10に臨むように設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てたセグメントをボルト締めするとき、ボルト締結位置の近傍に足場を形成する作業用足場装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12(a)に示すように、セグメント40のリング間をボルト(図示せず)で締結する場合、エレクタ装置5でセグメント40を所定の組立位置にセットすると共に、旋回式足場装置41の乗用バケット42を上記組立位置に接近させ、組立セグメント40の坑口側(トンネル掘進方向後側)に設けられたボルトボックス(図示せず)からボルトを挿入し、ボルトを締めてセグメント40の組立作業を行っている。
【0003】
【特許文献1】特許第2617663号公報
【特許文献2】特許第3272586号公報
【特許文献3】特開平9−195694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セグメントには、セグメントの切羽側から坑口側に貫通する通しボルトを用いて締結するように形成されたものがある。図12(b)に示すように、かかるセグメント43を通しボルト44で締結する場合、通しボルト44の頭部が組立セグメント43の切羽側に位置されるため、上述した旋回式足場装置41では通しボルト44の頭部に接近することができず、作業者によって通しボルト44を締めることは困難であった。
【0005】
特に大口径のトンネルを構築する場合、安全のために足場装置を具備することが望ましいが、セグメント43を締結するとき通しボルト44の頭部に接近できる適当な足場装置が存在しないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、組立セグメントの切羽側に接近できる作業用足場装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、地山を掘り進んで形成されるトンネル穴の中心軸と同軸上で回転する環状の回転フレームを有し該回転フレームのトンネル掘進方向後方にセグメントを把持して組み立てるエレクタ装置でセグメントを組み立てるとき、セグメント同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置において、上記回転フレームに板状の作業足場を上記エレクタ装置のセグメント把持部に臨むように設けたものである。
【0008】
上記作業足場が、上記回転フレームの周方向に延びる第一足場板と、該第一足場板から径方向外方に延び表裏にステップを有する第二足場板とからなるとよい。
【0009】
上記第一足場板は上記回転フレームの内周に沿う段状に形成されるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、これまで手が届かなかった組立セグメントの切羽側での作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、セグメント1、2同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置3はトンネル穴4の内周面に沿ってセグメント1を組み立てるエレクタ装置5に設けられている。トンネル穴4は、地山をバックホウなどの土木機器(図示せず)で掘り進む山岳工法にて形成される。セグメント1は、所定長さの筒体を周方向に複数に分割した円弧状に形成されており、トンネル掘進方向の前後に貫通する通しボルト(図示せず)で既設セグメント2の前端に組み付けられるようになっている。
【0013】
エレクタ装置5は、トンネル穴4内で走行する作業台車6の後部に設けられている。具体的には、エレクタ装置5は、作業台車6にトンネル穴4の中心軸と同軸上で回転するように回転自在に設けられた環状の回転フレーム7と、回転フレーム7に後方(坑口の方向)に延びて設けられた支持フレーム8と、支持フレーム8にトンネル穴4の径方向に移動可能に設けられ直径方向の一方に延びる吊りビーム9と、吊りビーム9の先端に設けられセグメント1を把持するセグメント把持部10とを備えて構成されている。
【0014】
支持フレーム8は、回転フレーム7の後部に周方向に180度の間隔で一対設けられている。
【0015】
図1及び図2に示すように、吊りビーム9は、それぞれの支持フレーム8にトンネル穴4の直径方向に摺動可能に挿通されるガイド柱部11と、これらガイド柱部11の一端間に掛け渡して設けられる連結フレーム部12とからU字状に形成されており、連結フレーム部12と支持フレーム8との間に介設されたジャッキ13によってトンネル径方向に移動されるようになっている。
【0016】
セグメント把持部10は、連結フレーム部12に前後方向に延びて設けられたガイドロッド14に前後スライド可能に挿通されており、ガイドロッド14とセグメント把持部10との間に介設されたジャッキ(図示せず)によって前後方向に移動されるようになっている。セグメント把持部10は、セグメント1の内周面に形成された補強リブ(図示せず)をトンネル軸方向から挟んでボルト等によって連結する連結部15を有する。なお、セグメント把持部10は、これに限るものではなく、バキュームパッド(図示せず)でセグメント1を吸着、解放するバキューム式であってもよい。
【0017】
作業台車6は、鋼材を枠状に組み立てて形成され前後に貫通する通路を有する台車本体16と、台車本体16の底部に設けられトンネル穴4内に敷設されたレール17上で走行する車輪18と、台車本体16の底部に設けられレール17から反力をとって推進力を得る自走装置19と、台車本体16の上部と下部と両側部とに設けられ停止時に台車本体16の前後方向の位置を固定すべくトンネル穴4の内面を押圧する複数のグリッパジャッキ20とを備える。自走装置19は、レールクランプ式であり、台車本体16の底部に一端を連結された伸縮自在なジャッキ21と、ジャッキ21の他端に連結されレール17を把持するレール把持部22とを備える。
【0018】
また、台車本体16には、エレクタ装置5で組み立てたセグメント1を後方に押し付けるためのセグメント押付けジャッキ23と、セグメント1を組み立てて成るトンネル壁24の形状を保持するための形状保持装置25と、後述する作業用足場装置3に作業員を案内するための連絡足場26(図7参照)とが設けられている。
【0019】
形状保持装置25は、上下方向に拡張する上下フレーム27、28間に上下フレーム27、28を拡縮するジャッキ(図示せず)を設けて構成されている。
【0020】
図3及び図7に示すように、連絡足場26は、台車本体16の上部に後方に延びて設けられ後端が吊りビーム9の内周側上部に位置される上部連絡足場29と、台車本体16の両側に後方に延びて設けられ後端が吊りビーム9の内周側側部に位置される側部連絡足場30とからなる。
【0021】
図1、図2及び図7に示すように、作業用足場装置3は、回転フレーム7の後側に周方向に延びると共に後方に延びる板状の作業足場31をセグメント把持部10に臨むように設けて構成されている。具体的には、作業足場31は、回転フレーム7の周方向に延びる第一足場板32と、第一足場板32に設けられ第一足場板32から径方向外方に延びる第二足場板33とからなる。
【0022】
第一足場板32は、周方向の位置がセグメント把持部10と重なるように回転フレーム7に設けられており、回転フレーム7の内周に沿うように段状に形成されている。また、第一足場板32の周方向の中央部には、連絡足場26から作業員が径方向に通り抜けるための抜け孔34が複数形成されている。抜け孔34は、特に回転フレーム7に近接する前側の第一足場板32に形成されており、セグメント1をボルト締めするときには作業中の作業員の足が掛からないようになっている。
【0023】
第二足場板33は、特に左右両側のセグメント1をボルト締めするとき用いるものであり、表裏にステップを有する。これにより、左右いずれのセグメント1を組み立てるときでも第二足場板33上に作業員が乗れるようになっている。また、第二足場板33は、トンネルの径方向外側の先端が回転フレーム7の外周端近傍まで延びており、左右両側のセグメント1を組み立てるときには、足場として機能し、トンネル底部のセグメント1を組み立てるときには、セグメント1上で作業する作業員の邪魔をしないようになっている。第二足場板33は、第一足場板32に周方向に間隔を隔てて複数設けられる。
【0024】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0025】
図1、図3及び図7に示すように、トンネル頂部にセグメント1を組み立てる場合、上部連絡足場29から第一足場板32の抜け孔34を通って第一足場板32上に乗る。この後、既設セグメント2にエレクタ装置5で保持されているセグメント1をボルト締めする。このとき、セグメント1、2同士を締結する通しボルトの頭部はエレクタ装置5で保持されているセグメント1、すなわち組立セグメント1の前側(切羽側)に位置されることとなるが、第一足場板32はエレクタ装置5の回転フレーム7とセグメント把持部10との間に配置されているため、作業員の手は容易に通しボルトの頭部に届く。また、セグメント把持部10に対する第一足場板32の位置は常に一定であるため、常に作業位置を最適にでき容易に通しボルトを締めることができる。第一足場板32は、周方向に延びるため、十分広い作業空間を得ることができ、複数の人数で同時にセグメント1の締結作業を行うことができ、効率よく作業を行うことができる。
【0026】
図4及び図8に示すように、トンネル斜め上部にセグメント1を組み立てる場合、第一足場板32は斜めになるため、第一足場板32上に一方の足を乗せつつ、第二足場板33上に他方の足を乗せ、体を鉛直に保つ。作業用足場装置3はエレクタ装置5の回転フレーム7と一体に回転するため、セグメント1との距離は常に一定であり、トンネル頂部にセグメント1を組み立てる場合と同様に容易にセグメント1をボルト締めすることができる。
【0027】
図9に示すように、トンネル側部にセグメント1を組み立てる場合、第一足場板32は略鉛直になるため、第二足場板33上に乗る。このとき、第二足場板33は、第一足場板32に周方向に間隔を隔てて複数設けられているため、各第二足場板33に作業員が乗ることができ、複数の人数で効率よく作業を行うことができる。第二足場板33への乗降は、側部連絡足場30から第一足場板32の抜け孔34を通ることで容易に行うことができる。また、図9とは反対側のトンネル側部にセグメント1を組み立てる場合、同様に第二足場板33上に乗る。すなわち、第二足場板33は左右いずれのセグメント1を組み立てるかで使用するステップ面が替わり、表裏の両面がステップとして機能する。
【0028】
図5、図6、図10及び図11に示すように、トンネル斜め下部またはトンネル底部にセグメント1を組み立てる場合、トンネル穴4の内面または組立セグメント1上に乗って作業を行う。このとき、第二足場板33と組立セグメント1との間には、四つん這いになれば入れる程度の隙間が形成されているため、第二足場板33が作業の邪魔になることはない。また、組立セグメント1が比較的傾斜している場合等、必要に応じて第二足場板33に体の一部を当てることができ、体を容易に固定することができる。
【0029】
このように、回転フレーム7に板状の作業足場31をエレクタ装置5のセグメント把持部10に臨むように設けたため、組立セグメント1の切羽側に容易に手が届き、通しボルトを用いたセグメント1の締結作業を容易かつ安全にできる。
【0030】
作業足場31が、回転フレーム7の周方向に延びる第一足場板32と、第一足場板32から径方向外方に延び表裏にステップを有する第二足場板33とからなるものとしたため、第一足場板32が傾斜しても第一足場板32と第二足場板33に跨って乗ることができ、第一足場板32が鉛直に起立しても第二足場板33上に乗ることができ、トンネル穴4の全周に亘って作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、第一足場板32は回転フレーム7の内周に沿う段状に形成されるものとしたため、作業エリアを広くでき、ボルト締結等の作業を効率よくできる。
【0032】
なお、エレクタ装置5は作業台車6に設けられるものについて説明したが、これに限るものではない。エレクタ装置5は、シールド掘進機に具備されるものであってもよい。すなわち、作業用足場装置3はシールド掘進機のエレクタ装置5の回転フレーム7に設けられるものであってもよい。
【0033】
作業用足場装置3は、回転フレーム7からセグメント把持部10の後方まで延びるものとしてもよい。組立セグメント1の後部でボルト締結するタイプのセグメントでも容易にボルト締結作業をすることができる。
【0034】
また、山岳工法においては、組み立てたセグメント1の前端にセグメント1、2とトンネル穴4との間の空隙を塞ぐ型妻枠を設け、セグメント1のグラウトホールからセグメント1、2の外側に裏込め材を注入してセグメント1、2とトンネル穴4との間の空隙を埋める作業がある。作業用足場装置3は、セグメント1の前端に型妻枠を設けるときの足場として用いてもよい。この場合、作業用足場装置3は、必ずしもエレクタ装置5のセグメント把持部10に臨む位置に配置される必要はない。例えば、セグメント1の前端に型枠を設けるための専用の作業用足場装置3を設置する場合、回転フレーム7に後方に延びる板状の作業足場31を設けるとよい。この場合、作業用足場装置3はセグメント把持部10から周方向に離間してることが好ましい。作業足場31の構成、形状は上述と同様でよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す作業用足場装置の側面図である。
【図2】図1の要部平面図である。
【図3】作業用足場装置を切羽側から見下ろした斜視図である
【図4】作業用足場装置を坑口側から見下ろした斜視図である。
【図5】トンネル上部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置を坑口側から視た斜視図である。
【図6】トンネル頂部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置を切羽側から見上げた斜視図である。
【図7】トンネル底部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図8】トンネル下部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図9】トンネル側部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図10】トンネル上部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図11】トンネル頂部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図12】(a)は旋回式足場装置を用いてセグメントをボルト締結する作業の説明図であり、(b)は通しボルトを用いてセグメントを締結する作業の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 組立セグメント(セグメント)
2 既設セグメント(セグメント)
3 作業用足場装置
4 トンネル穴
5 エレクタ装置
7 回転フレーム
10 セグメント把持部
31 作業足場
32 第一足場板
33 第二足場板
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てたセグメントをボルト締めするとき、ボルト締結位置の近傍に足場を形成する作業用足場装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12(a)に示すように、セグメント40のリング間をボルト(図示せず)で締結する場合、エレクタ装置5でセグメント40を所定の組立位置にセットすると共に、旋回式足場装置41の乗用バケット42を上記組立位置に接近させ、組立セグメント40の坑口側(トンネル掘進方向後側)に設けられたボルトボックス(図示せず)からボルトを挿入し、ボルトを締めてセグメント40の組立作業を行っている。
【0003】
【特許文献1】特許第2617663号公報
【特許文献2】特許第3272586号公報
【特許文献3】特開平9−195694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セグメントには、セグメントの切羽側から坑口側に貫通する通しボルトを用いて締結するように形成されたものがある。図12(b)に示すように、かかるセグメント43を通しボルト44で締結する場合、通しボルト44の頭部が組立セグメント43の切羽側に位置されるため、上述した旋回式足場装置41では通しボルト44の頭部に接近することができず、作業者によって通しボルト44を締めることは困難であった。
【0005】
特に大口径のトンネルを構築する場合、安全のために足場装置を具備することが望ましいが、セグメント43を締結するとき通しボルト44の頭部に接近できる適当な足場装置が存在しないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、組立セグメントの切羽側に接近できる作業用足場装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、地山を掘り進んで形成されるトンネル穴の中心軸と同軸上で回転する環状の回転フレームを有し該回転フレームのトンネル掘進方向後方にセグメントを把持して組み立てるエレクタ装置でセグメントを組み立てるとき、セグメント同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置において、上記回転フレームに板状の作業足場を上記エレクタ装置のセグメント把持部に臨むように設けたものである。
【0008】
上記作業足場が、上記回転フレームの周方向に延びる第一足場板と、該第一足場板から径方向外方に延び表裏にステップを有する第二足場板とからなるとよい。
【0009】
上記第一足場板は上記回転フレームの内周に沿う段状に形成されるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、これまで手が届かなかった組立セグメントの切羽側での作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、セグメント1、2同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置3はトンネル穴4の内周面に沿ってセグメント1を組み立てるエレクタ装置5に設けられている。トンネル穴4は、地山をバックホウなどの土木機器(図示せず)で掘り進む山岳工法にて形成される。セグメント1は、所定長さの筒体を周方向に複数に分割した円弧状に形成されており、トンネル掘進方向の前後に貫通する通しボルト(図示せず)で既設セグメント2の前端に組み付けられるようになっている。
【0013】
エレクタ装置5は、トンネル穴4内で走行する作業台車6の後部に設けられている。具体的には、エレクタ装置5は、作業台車6にトンネル穴4の中心軸と同軸上で回転するように回転自在に設けられた環状の回転フレーム7と、回転フレーム7に後方(坑口の方向)に延びて設けられた支持フレーム8と、支持フレーム8にトンネル穴4の径方向に移動可能に設けられ直径方向の一方に延びる吊りビーム9と、吊りビーム9の先端に設けられセグメント1を把持するセグメント把持部10とを備えて構成されている。
【0014】
支持フレーム8は、回転フレーム7の後部に周方向に180度の間隔で一対設けられている。
【0015】
図1及び図2に示すように、吊りビーム9は、それぞれの支持フレーム8にトンネル穴4の直径方向に摺動可能に挿通されるガイド柱部11と、これらガイド柱部11の一端間に掛け渡して設けられる連結フレーム部12とからU字状に形成されており、連結フレーム部12と支持フレーム8との間に介設されたジャッキ13によってトンネル径方向に移動されるようになっている。
【0016】
セグメント把持部10は、連結フレーム部12に前後方向に延びて設けられたガイドロッド14に前後スライド可能に挿通されており、ガイドロッド14とセグメント把持部10との間に介設されたジャッキ(図示せず)によって前後方向に移動されるようになっている。セグメント把持部10は、セグメント1の内周面に形成された補強リブ(図示せず)をトンネル軸方向から挟んでボルト等によって連結する連結部15を有する。なお、セグメント把持部10は、これに限るものではなく、バキュームパッド(図示せず)でセグメント1を吸着、解放するバキューム式であってもよい。
【0017】
作業台車6は、鋼材を枠状に組み立てて形成され前後に貫通する通路を有する台車本体16と、台車本体16の底部に設けられトンネル穴4内に敷設されたレール17上で走行する車輪18と、台車本体16の底部に設けられレール17から反力をとって推進力を得る自走装置19と、台車本体16の上部と下部と両側部とに設けられ停止時に台車本体16の前後方向の位置を固定すべくトンネル穴4の内面を押圧する複数のグリッパジャッキ20とを備える。自走装置19は、レールクランプ式であり、台車本体16の底部に一端を連結された伸縮自在なジャッキ21と、ジャッキ21の他端に連結されレール17を把持するレール把持部22とを備える。
【0018】
また、台車本体16には、エレクタ装置5で組み立てたセグメント1を後方に押し付けるためのセグメント押付けジャッキ23と、セグメント1を組み立てて成るトンネル壁24の形状を保持するための形状保持装置25と、後述する作業用足場装置3に作業員を案内するための連絡足場26(図7参照)とが設けられている。
【0019】
形状保持装置25は、上下方向に拡張する上下フレーム27、28間に上下フレーム27、28を拡縮するジャッキ(図示せず)を設けて構成されている。
【0020】
図3及び図7に示すように、連絡足場26は、台車本体16の上部に後方に延びて設けられ後端が吊りビーム9の内周側上部に位置される上部連絡足場29と、台車本体16の両側に後方に延びて設けられ後端が吊りビーム9の内周側側部に位置される側部連絡足場30とからなる。
【0021】
図1、図2及び図7に示すように、作業用足場装置3は、回転フレーム7の後側に周方向に延びると共に後方に延びる板状の作業足場31をセグメント把持部10に臨むように設けて構成されている。具体的には、作業足場31は、回転フレーム7の周方向に延びる第一足場板32と、第一足場板32に設けられ第一足場板32から径方向外方に延びる第二足場板33とからなる。
【0022】
第一足場板32は、周方向の位置がセグメント把持部10と重なるように回転フレーム7に設けられており、回転フレーム7の内周に沿うように段状に形成されている。また、第一足場板32の周方向の中央部には、連絡足場26から作業員が径方向に通り抜けるための抜け孔34が複数形成されている。抜け孔34は、特に回転フレーム7に近接する前側の第一足場板32に形成されており、セグメント1をボルト締めするときには作業中の作業員の足が掛からないようになっている。
【0023】
第二足場板33は、特に左右両側のセグメント1をボルト締めするとき用いるものであり、表裏にステップを有する。これにより、左右いずれのセグメント1を組み立てるときでも第二足場板33上に作業員が乗れるようになっている。また、第二足場板33は、トンネルの径方向外側の先端が回転フレーム7の外周端近傍まで延びており、左右両側のセグメント1を組み立てるときには、足場として機能し、トンネル底部のセグメント1を組み立てるときには、セグメント1上で作業する作業員の邪魔をしないようになっている。第二足場板33は、第一足場板32に周方向に間隔を隔てて複数設けられる。
【0024】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0025】
図1、図3及び図7に示すように、トンネル頂部にセグメント1を組み立てる場合、上部連絡足場29から第一足場板32の抜け孔34を通って第一足場板32上に乗る。この後、既設セグメント2にエレクタ装置5で保持されているセグメント1をボルト締めする。このとき、セグメント1、2同士を締結する通しボルトの頭部はエレクタ装置5で保持されているセグメント1、すなわち組立セグメント1の前側(切羽側)に位置されることとなるが、第一足場板32はエレクタ装置5の回転フレーム7とセグメント把持部10との間に配置されているため、作業員の手は容易に通しボルトの頭部に届く。また、セグメント把持部10に対する第一足場板32の位置は常に一定であるため、常に作業位置を最適にでき容易に通しボルトを締めることができる。第一足場板32は、周方向に延びるため、十分広い作業空間を得ることができ、複数の人数で同時にセグメント1の締結作業を行うことができ、効率よく作業を行うことができる。
【0026】
図4及び図8に示すように、トンネル斜め上部にセグメント1を組み立てる場合、第一足場板32は斜めになるため、第一足場板32上に一方の足を乗せつつ、第二足場板33上に他方の足を乗せ、体を鉛直に保つ。作業用足場装置3はエレクタ装置5の回転フレーム7と一体に回転するため、セグメント1との距離は常に一定であり、トンネル頂部にセグメント1を組み立てる場合と同様に容易にセグメント1をボルト締めすることができる。
【0027】
図9に示すように、トンネル側部にセグメント1を組み立てる場合、第一足場板32は略鉛直になるため、第二足場板33上に乗る。このとき、第二足場板33は、第一足場板32に周方向に間隔を隔てて複数設けられているため、各第二足場板33に作業員が乗ることができ、複数の人数で効率よく作業を行うことができる。第二足場板33への乗降は、側部連絡足場30から第一足場板32の抜け孔34を通ることで容易に行うことができる。また、図9とは反対側のトンネル側部にセグメント1を組み立てる場合、同様に第二足場板33上に乗る。すなわち、第二足場板33は左右いずれのセグメント1を組み立てるかで使用するステップ面が替わり、表裏の両面がステップとして機能する。
【0028】
図5、図6、図10及び図11に示すように、トンネル斜め下部またはトンネル底部にセグメント1を組み立てる場合、トンネル穴4の内面または組立セグメント1上に乗って作業を行う。このとき、第二足場板33と組立セグメント1との間には、四つん這いになれば入れる程度の隙間が形成されているため、第二足場板33が作業の邪魔になることはない。また、組立セグメント1が比較的傾斜している場合等、必要に応じて第二足場板33に体の一部を当てることができ、体を容易に固定することができる。
【0029】
このように、回転フレーム7に板状の作業足場31をエレクタ装置5のセグメント把持部10に臨むように設けたため、組立セグメント1の切羽側に容易に手が届き、通しボルトを用いたセグメント1の締結作業を容易かつ安全にできる。
【0030】
作業足場31が、回転フレーム7の周方向に延びる第一足場板32と、第一足場板32から径方向外方に延び表裏にステップを有する第二足場板33とからなるものとしたため、第一足場板32が傾斜しても第一足場板32と第二足場板33に跨って乗ることができ、第一足場板32が鉛直に起立しても第二足場板33上に乗ることができ、トンネル穴4の全周に亘って作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、第一足場板32は回転フレーム7の内周に沿う段状に形成されるものとしたため、作業エリアを広くでき、ボルト締結等の作業を効率よくできる。
【0032】
なお、エレクタ装置5は作業台車6に設けられるものについて説明したが、これに限るものではない。エレクタ装置5は、シールド掘進機に具備されるものであってもよい。すなわち、作業用足場装置3はシールド掘進機のエレクタ装置5の回転フレーム7に設けられるものであってもよい。
【0033】
作業用足場装置3は、回転フレーム7からセグメント把持部10の後方まで延びるものとしてもよい。組立セグメント1の後部でボルト締結するタイプのセグメントでも容易にボルト締結作業をすることができる。
【0034】
また、山岳工法においては、組み立てたセグメント1の前端にセグメント1、2とトンネル穴4との間の空隙を塞ぐ型妻枠を設け、セグメント1のグラウトホールからセグメント1、2の外側に裏込め材を注入してセグメント1、2とトンネル穴4との間の空隙を埋める作業がある。作業用足場装置3は、セグメント1の前端に型妻枠を設けるときの足場として用いてもよい。この場合、作業用足場装置3は、必ずしもエレクタ装置5のセグメント把持部10に臨む位置に配置される必要はない。例えば、セグメント1の前端に型枠を設けるための専用の作業用足場装置3を設置する場合、回転フレーム7に後方に延びる板状の作業足場31を設けるとよい。この場合、作業用足場装置3はセグメント把持部10から周方向に離間してることが好ましい。作業足場31の構成、形状は上述と同様でよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す作業用足場装置の側面図である。
【図2】図1の要部平面図である。
【図3】作業用足場装置を切羽側から見下ろした斜視図である
【図4】作業用足場装置を坑口側から見下ろした斜視図である。
【図5】トンネル上部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置を坑口側から視た斜視図である。
【図6】トンネル頂部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置を切羽側から見上げた斜視図である。
【図7】トンネル底部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図8】トンネル下部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図9】トンネル側部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図10】トンネル上部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図11】トンネル頂部にセグメントを組み立てるときの作業用足場装置の背面図である。
【図12】(a)は旋回式足場装置を用いてセグメントをボルト締結する作業の説明図であり、(b)は通しボルトを用いてセグメントを締結する作業の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 組立セグメント(セグメント)
2 既設セグメント(セグメント)
3 作業用足場装置
4 トンネル穴
5 エレクタ装置
7 回転フレーム
10 セグメント把持部
31 作業足場
32 第一足場板
33 第二足場板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山を掘り進んで形成されるトンネル穴の中心軸と同軸上で回転する環状の回転フレームを有し該回転フレームのトンネル掘進方向後方にセグメントを把持して組み立てるエレクタ装置でセグメントを組み立てるとき、セグメント同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置において、上記回転フレームに板状の作業足場を上記エレクタ装置のセグメント把持部に臨むように設けたことを特徴とする作業用足場装置。
【請求項2】
上記作業足場が、上記回転フレームの周方向に延びる第一足場板と、該第一足場板から径方向外方に延び表裏にステップを有する第二足場板とからなる請求項1記載の作業用足場装置。
【請求項3】
上記第一足場板は上記回転フレームの内周に沿う段状に形成された請求項2記載の作業用足場装置。
【請求項1】
地山を掘り進んで形成されるトンネル穴の中心軸と同軸上で回転する環状の回転フレームを有し該回転フレームのトンネル掘進方向後方にセグメントを把持して組み立てるエレクタ装置でセグメントを組み立てるとき、セグメント同士をボルト締めする作業位置の近傍に作業用の足場を形成する作業用足場装置において、上記回転フレームに板状の作業足場を上記エレクタ装置のセグメント把持部に臨むように設けたことを特徴とする作業用足場装置。
【請求項2】
上記作業足場が、上記回転フレームの周方向に延びる第一足場板と、該第一足場板から径方向外方に延び表裏にステップを有する第二足場板とからなる請求項1記載の作業用足場装置。
【請求項3】
上記第一足場板は上記回転フレームの内周に沿う段状に形成された請求項2記載の作業用足場装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−48016(P2010−48016A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214175(P2008−214175)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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