説明

作業車

【課題】ステアリングホイールの操作性を損なうおそれも、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに不測に接当するおそれも低く、前進位置の前後進切換レバーも把持し易い作業車を提供する。
【解決手段】ステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視での前後進切換レバー16のステアリングホイール14の外周からの突出量dが、前後進切換レバー16を後進位置に揺動操作したときに、前進位置に揺動操作したときよりも小さくなるように、前後進切換レバー16の揺動中心Zが、ステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視で、ステアリングホイール14の回転軸芯X2よりも車体横外側で、かつ、車体前方側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作自在なステアリングホイールと、走行方向を前進に切換可能な前進位置と後進に切換可能な後進位置とに亘って中立位置を挟んで揺動操作自在な前後進切換レバーとを運転座席の前方側に備え、前記前後進切換レバーが、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記ステアリングホイールの外周よりも内側において当該ステアリングホイールよりも低い位置に配設された揺動中心の周りで揺動操作自在、かつ、揺動端側が前記ステアリングホイールの外周よりも横外側に突出するように支持されていると共に、前記前進位置が、前記後進位置よりも車体前方側に設定されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車は、回転操作自在なステアリングホイールと、走行方向を前進に切換可能な前進位置と後進に切換可能な後進位置とに亘って中立位置を挟んで揺動操作自在な前後進切換レバーとを運転座席の前方側に備えているので、ステアリングホイールを操作している運転者が、姿勢を変えることなく前後進切換レバーを操作し易い。
また、前後進切換レバーが、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、ステアリングホイールの外周よりも内側において当該ステアリングホイールよりも低い位置に配設された揺動中心の周りで揺動操作自在に支持されているので、前後進切換レバーをステアリングホイールの下側にコンパクトに配置できる。
さらに、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前後進切換レバーの揺動端側がステアリングホイールの外周よりも横外側に突出するように支持されているので前後進切換レバーを把持し易いと共に、前進位置が、後進位置よりも車体前方側に設定されているので、前後進切換レバーの操作感覚が実際の走行感覚に馴染み易く、前後進切換レバーの誤操作を防止し易い。
上記作業車では、従来、前後進切換レバーの揺動軸芯とステアリングホイールの回転軸芯とを互いに平行に、かつ、車体幅方向と平行に並べて、前後進切換レバーの揺動中心を、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、ステアリングホイールの回転軸芯の車体幅方向の真横に配置してある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−6902号公報(図16(正面図),図17,図19(側面図))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の上記作業車では、前後進切換レバーの揺動中心が、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、ステアリングホイールの回転軸芯の車体幅方向の真横に配置されている。
このため、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに不測に接当するおそれが低くなるように、前後進切換レバーの揺動中心をステアリングホイールの回転軸芯と共に運転座席から十分離れた前方側に配置すると、ステアリングホイールの操作性を損なうおそれが高くなる欠点がある。
また、従来の上記作業車では、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視での前後進切換レバーのステアリングホイールの外周からの突出量を、前後進切換レバーを前進位置に揺動操作したときも、後進位置に揺動操作したときも、同じ突出量になるように設定してある。
このため、運転座席から遠い前進位置の前後進切換レバーが把持し易くなるように、前後進切換レバーを前進位置に揺動操作したときの前記突出量が大きくなるように設定すると、前後進切換レバーを運転座席から近い後進位置に揺動操作したときの前記突出量も大きくなるので、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに接当するおそれが高くなる欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、ステアリングホイールの操作性を損なうおそれも、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに接当するおそれも低く、前進位置の前後進切換レバーも把持し易い作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、回転操作自在なステアリングホイールと、走行方向を前進に切換可能な前進位置と後進に切換可能な後進位置とに亘って中立位置を挟んで揺動操作自在な前後進切換レバーとを運転座席の前方側に備え、前記前後進切換レバーが、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記ステアリングホイールの外周よりも内側において当該ステアリングホイールよりも低い位置に配設された揺動中心の周りで揺動操作自在、かつ、揺動端側が前記ステアリングホイールの外周よりも横外側に突出するように支持されていると共に、前記前進位置が、前記後進位置よりも車体前方側に設定されている作業車であって、
前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視での前記前後進切換レバーの前記ステアリングホイールの外周からの突出量が、前記前後進切換レバーを前記後進位置に揺動操作したときに、前記前進位置に揺動操作したときよりも小さくなるように、前記前後進切換レバーの揺動中心が、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記ステアリングホイールの回転軸芯よりも車体横外側で、かつ、車体前方側に配置されている点にある。
【0006】
本構成の作業車は、前後進切換レバーの揺動中心を、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、ステアリングホイールの回転軸芯よりも車体横外側で、かつ、車体前方側に配置して、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視での前後進切換レバーのステアリングホイールの外周からの突出量を、前後進切換レバーを後進位置に揺動操作したときに、前進位置に揺動操作したときよりも小さくしてある。
したがって、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに接当して走行方向が切り換わらないように、前後進切換レバーの揺動中心を運転座席から十分離れた前方側に配置しても、ステアリングホイールの操作性を損なうおそれが低い。
また、運転座席から遠い前進位置の前後進切換レバーが把持し易くなるように、前後進切換レバーを前進位置に揺動操作したときの前記突出量が大きくなるように設定しても、前後進切換レバーを後進位置に揺動操作したときの前記突出量を小さくして、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに接当するおそれを低くすることができる。
よって、本構成の作業車であれば、ステアリングホイールの操作性を損なうおそれも、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに接当するおそれも低く、前進位置の前後進切換レバーも把持し易い。
特に、運転者が乗り降りする際にも、運転者の体が後進位置の前後進切換レバーに接当するおそれが低いので、運転者が乗り降りし易い。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向での前記前後進切換レバーと前記ステアリングホイールとの間隔が、前記前後進切換レバーを前記後進位置に揺動操作したときに、前記前進位置に揺動操作したときよりも小さくなるように、前記前後進切換レバーの揺動軸芯を、前記ステアリングホイールの回転軸芯に対して、上方側ほど当該回転軸芯から車体前方側に離間するように傾斜させてある点にある。
【0008】
本構成の作業車は、前後進切換レバーの揺動軸芯を、ステアリングホイールの回転軸芯に対して、上方側ほど当該回転軸芯から車体前方側に離間するように傾斜させて、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向での前後進切換レバーとステアリングホイールとの間隔を、前後進切換レバーを後進位置に揺動操作したときに、前進位置に揺動操作したときよりも小さくしてある。
したがって、前後進切換レバーの揺動軸芯をステアリングホイールの回転軸芯と平行に配置してある場合に比べて、後進位置に揺動操作したときの前後進切換レバーの高さ位置を高くすることができる。
よって、本構成であれば、前後進切換レバーを運転座席から遠い前進位置に揺動操作したときの当該前後進切換レバーとステアリングホイールとの間隔を大きくして、前進位置に揺動操作したときの前後進切換レバーの握り易さを維持しながら、後進位置に揺動操作したときの前後進切換レバーに運転者の体のうちの脚部などが接当するおそれを一層低くすることができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記前後進切換レバーが、その長手方向中間箇所において揺動方向に沿う方向に屈曲している形状に形成されている点にある。
【0010】
本構成であれば、前後進切換レバーの長手方向中間箇所における屈曲形状を選択することにより、前後進切換レバーで切り換えられる切換部との連係構造を変更することなく、前後進切換レバーの揺動端側、つまり、ステアリングホイールの外周よりも横外側に突出している部分の揺動範囲を所望の範囲になるように設定し易い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】作業車(トラクタ)の全体側面図である。
【図2】伝動構造を示すブロック図である。
【図3】ステアリング操作部と前後進切換操作部とを示す側面図である。
【図4】ステアリングホイールと前後進切換レバーとを示す、ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視での平面図である。
【図5】前後進切換レバーの揺動支軸及び係合軸部とガイド板の案内部との関係を示す要部平面図である。
【図6】ステアリング操作部と前後進切換操作部とを示す車体前方向視の側面図である。
【図7】前後進切換操作部を示す要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による作業車の一例としてのトラクタの全体側面図であり、図2は、トラクタの伝動構造を示すブロック図である。
【0013】
トラクタは、エンジン1の後部に、主クラッチ2を内装するクラッチハウジング2aと、主変速機構3aと前後進切換機構3bと副変速機構3c及びPTO変速機構3dを内装するミッションケース3と、デフケース4aを含む後部ミッションケース部分4とを、ハウジングフレーム5を介して連結して機体ボディ6が構成されている。
【0014】
ミッションケース3の後端に直結されたデフケース4aに左右の後輪7が軸支されているとともにPTO軸8が後ろ向きに突設され、左右の前輪9を操向自在に備えた前車軸ケース10が、エンジン1に連結された前フレーム11にローリング自在に装着支持されている。
【0015】
機体ボディ6の上部に装備してある運転部12には、運転座席13の前方側に、左右の前輪9に連係された回転操作自在なステアリングホイール14を備えたステアリング操作部15と、走行方向を前進又は後進に切換自在な前後進切換レバー16を備えた前後進切換操作部17とを備えている。
【0016】
ステアリング操作部15は、図3,図6に示すように、ステアリングホイール14を回転操作自在に支持する回転支軸18と、回転支軸18に直結してあるパワーステアリングユニット19とを有する。
回転支軸18及びパワーステアリングユニット19は、機体ボディ6の側に固定された支持ボックス20に防振ゴム41を介して防振支持されている。
【0017】
前後進切換操作部17は、図3,図4,図6,図7に示すように、前後進切換レバー16を、走行方向を前進に切換可能な前進位置と後進に切換可能な後進位置とに亘って中立位置を挟んで揺動操作自在に支持する揺動支軸21と、揺動支軸21を抜け止め状態で回転自在に支持する支持部材22(20,26)と、前後進切換レバー16に係合してその揺動移動を案内可能な案内部23を形成してあるガイド板24とを有し、前進位置は後進位置よりも車体前方側に設定されている。
ガイド板24は、揺動支軸21に直交する方向に沿わせて設けてあり、したがって、案内部23は、揺動支軸21に直交する板面に形成されている。
【0018】
揺動支軸21は、ユニバーサルジョイントを介さずに、前後進切換レバー16の揺動操作に伴う当該揺動支軸21の回転により前後進切換機構3bを切換作動させることができるように、図6に示すように、その下端部21aをL字状に屈曲させて前後進切換機構3bの切換操作用リンク部材25に連係させてある。
したがって、前後進切換レバー16と前後進切換機構3bとの連係構造を簡素化することができるとともに、前後進切換機構3bの操作感覚が前後進切換レバー16を介して運転者に伝わり易い。
【0019】
揺動支軸21の支持部材22は、図6に示すように、揺動支軸21が抜け止め状態で挿通される支持筒26と、この支持筒26を溶接などで内側に一体に固定してある支持ボックス20とで構成されている。
揺動支軸21は、防振支持されているステアリングホイール14の回転支軸18の側に支持してあるのではなく、防振されていない支持部材22(20,26)に支持してあるので、前後進切換レバー16の操作感が損なわれるおそれがない。
したがって、回転支軸18やパワーステアリングユニット19からの振動が前後進切換レバー16に伝わり難い。
【0020】
前後進切換レバー16は、図3,図4,図6,図7に示すように、レバー本体27と、レバー本体27の揺動端側に固定されていて運転者が把持する把持部28と、揺動支軸21に対して相対回転不能かつ揺動軸芯X1(揺動支軸21の軸芯)に直交する横軸芯Yの周りで上下揺動自在にボルト固定される平面視でU字状の揺動支持部29と、ガイド板24の案内部23に係合する係合軸部30とを備えている。
【0021】
つまり、揺動支持部29は、前後進切換レバー16と共に揺動支軸21と平行な方向から当該揺動支軸21に組み付けられており、揺動支持部29に形成した貫通孔29aと、揺動支軸21の先端部に形成した貫通孔21aとに亘ってボルト40aを挿通して、ナット40bでボルト40aの軸芯Yの周りで上下揺動自在にボルト固定してある。
【0022】
前後進切換レバー16は、図3に示す側面視で「く」字状に屈曲しており、図4に示す平面視(ステアリングホイール14の回転軸芯X2の方向視)で、レバー本体27の把持部28の側が車体前方側に向けて屈曲するように、レバー本体27の屈曲部27aを把持部28と揺動軸芯X1とを結ぶ線分よりも車体後方側に位置させて、レバー本体27の長手方向中間箇所(屈曲部27a)が揺動方向に沿う方向に屈曲している「V」の字形状に形成されている。
尚、前後進切換レバー16は、レバー本体27の把持部28の側が車体後方側に向けて屈曲するように、レバー本体27の屈曲部27aを把持部28と揺動軸芯X1とを結ぶ線分よりも車体前方側に位置させて、「く」の字形状に形成されていてもよい。
【0023】
レバー本体27は揺動支持部29の一端側に溶接で一体に固定してある。
係合軸部30は、揺動支持部29の他端側に揺動軸芯X1、つまり、揺動支軸21の軸芯と略平行に、かつ、下向きに突出するように溶接で一体に固定して、揺動支軸21よりも回転支軸18の側において案内部23に係合するように設けてある。
【0024】
図6,図7に示すように、前後進切換レバー16の把持部28の側が揺動支軸21に対して下向きに揺動し、かつ、係合軸部30が揺動軸芯X1から離れる側に揺動するように付勢する付勢バネ31が、前後進切換レバー16と揺動支軸21とに亘って装着されている。
【0025】
ガイド板24は一枚の帯状平板を屈曲させて形成してあり、図5,図6,図7に示すように、揺動支軸21の支持部材22である支持ボックス20にボルト固定される固定板部32と、揺動支軸21を回転自在に支持する軸受け33がボルト固定される軸受け板部34と、揺動支軸21を挿通させて当該揺動支軸21とガイド板24とを係合させる支軸挿通孔35及び前後進切換レバー16の係合軸部30が係合する案内部23を形成してある係合板部36とを一体に備えている。
【0026】
案内部23は、前後進切換レバー16が前進位置に移動したときに係合軸部30が接当する前進側孔端部37と、前後進切換レバー16が後進位置に移動したときに係合軸部30が接当する後進側孔端部38とに亘って円弧状に長い長孔で構成して、前後進切換レバー16を前進位置と後進位置、及び、前進位置と後進位置との中間の中立位置とに択一的に案内可能に設けてある。
【0027】
したがって、前後進切換レバー16を揺動支軸21に組み付けるにあたって、係合軸部30を案内部23である長孔に対して上方から差し込んで組み付けることができるので、前後進切換レバー16の組み付け作業の簡略化を図ることができる。
【0028】
前後進切換レバー16が中立位置に移動したときに、係合軸部30が付勢バネ31の付勢力で入り込んで係合する係合凹部39を円弧状の長孔の長手方向中央部に形成して、中立位置に移動している前後進切換レバー16が前進位置又は後進位置に不測に移動することを防止してある。
【0029】
したがって、中立位置に移動していて係合軸部30が係合凹部39に係合している前後進切換レバー16を前進位置又は後進位置に移動させるときは、前後進切換レバー16の把持部28の側を付勢力に抗して上方に揺動することにより係合軸部30と係合凹部39との係合を解除して、前進位置又は後進位置に揺動移動させることができる。
【0030】
前後進切換レバー16は、図4に示すステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視で、ステアリングホイール14の外周よりも内側において、図3に示すように当該ステアリングホイール14よりも低い位置に配設された揺動中心Zの周りで揺動操作自在に支持してある。
【0031】
前後進切換レバー16の揺動中心Zは、具体的には、揺動支持部29を揺動支軸21に対して上下揺動自在に支持しているボルト40aの軸芯である横軸芯Yと、揺動支軸21の軸芯X1との交点である。
【0032】
前後進切換レバー16は、図4に示すステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視で、その揺動端側、つまり、把持部28の側が、ステアリングホイール14の外周よりも横外側に突出するように支持されている。
【0033】
前後進切換レバー16の揺動中心Zは、図4に示すステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視で、ステアリングホイール14の回転軸芯X2よりも車体横外側で、かつ、車体前方側に配置してある。
【0034】
揺動中心Zをこのように配置することにより、図4に示すステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視での、前後進切換レバー16のステアリングホイール14の外周からのステアリングホイール径方向への突出量dを、前後進切換レバー16を後進位置に揺動操作したときの突出量d2が前進位置に揺動操作したときの突出量d1よりも小さくなるように設定してある。
前後進切換レバー16を中立位置に操作したときの突出量dは、突出量d1,d2の中間の値となる。
【0035】
図3に示すように、前後進切換レバー16の揺動軸芯X1(揺動支軸21の軸芯)を、ステアリングホイール14の回転軸芯X2に対して、上方側ほど当該回転軸芯X2から車体前方側に離間するように傾斜させてある。
【0036】
揺動軸芯X1をこのように傾斜させることにより、ステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向での前後進切換レバー16とステアリングホイール14との間隔cを、前後進切換レバー16を後進位置に揺動操作したときの間隔c2が前進位置に揺動操作したときの間隔c1よりも小さくなるように設定してある。
前後進切換レバー16を中立位置に操作したときの間隔cは、間隔c1,c2の中間の値となる。
【0037】
したがって、従来よりも車体前方側に傾斜した前後進切換レバー16を有しており、前進に切り換えたときは、ステアリングホイール14と前後進切換レバー16との間に上下の十分なスペースができる。そのため、握りこぶしを入れやすくなる。後進に切り換えたときは、把持部(レバーグリップ)28の位置がさほど下がらず、運転者のヒザや太腿に当たり難いので、乗り降りがし易い。
【0038】
〔その他の実施形態〕
本発明による作業車は、前後進切換レバー16の揺動中心Zが、ステアリングホイール14の回転軸芯X2に沿う方向視で、ステアリングホイール14の回転軸芯X2よりも左側の車体横外側で、かつ、車体前方側に配置されていても、ステアリングホイール14の回転軸芯X2よりも右側の車体横外側で、かつ、車体前方側に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、トラクタ以外の作業車、例えばコンバイン等の農作業車やバックホー等の建設作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
13 運転座席
14 ステアリングホイール
16 前後進切換レバー
c 間隔
d 突出量
X1 揺動軸芯
X2 回転軸芯
Z 揺動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作自在なステアリングホイールと、走行方向を前進に切換可能な前進位置と後進に切換可能な後進位置とに亘って中立位置を挟んで揺動操作自在な前後進切換レバーとを運転座席の前方側に備え、
前記前後進切換レバーが、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記ステアリングホイールの外周よりも内側において当該ステアリングホイールよりも低い位置に配設された揺動中心の周りで揺動操作自在、かつ、揺動端側が前記ステアリングホイールの外周よりも横外側に突出するように支持されていると共に、前記前進位置が、前記後進位置よりも車体前方側に設定されている作業車であって、
前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視での前記前後進切換レバーの前記ステアリングホイールの外周からの突出量が、前記前後進切換レバーを前記後進位置に揺動操作したときに、前記前進位置に揺動操作したときよりも小さくなるように、
前記前後進切換レバーの揺動中心が、前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記ステアリングホイールの回転軸芯よりも車体横外側で、かつ、車体前方側に配置されている作業車。
【請求項2】
前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向での前記前後進切換レバーと前記ステアリングホイールとの間隔が、前記前後進切換レバーを前記後進位置に揺動操作したときに、前記前進位置に揺動操作したときよりも小さくなるように、
前記前後進切換レバーの揺動軸芯を、前記ステアリングホイールの回転軸芯に対して、上方側ほど当該回転軸芯から車体前方側に離間するように傾斜させてある請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記ステアリングホイールの回転軸芯に沿う方向視で、前記前後進切換レバーが、その長手方向中間箇所において揺動方向に沿う方向に屈曲している形状に形成されている請求項1又は2記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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