作業車
【課題】操作の煩わしさの少ない状態で燃料消費の抑制や騒音の低減を図ることが可能なものでありながら、燃料用の報知処理が誤って実行される不利を回避することが可能な作業車を提供する。
【解決手段】キースイッチがオン操作されている状態において、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行する制御装置Hが、キースイッチがオン操作されている状態において、燃料タンク30が所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、ブザー37にて報知させる燃料用報知処理を実行し、エンジン停止処理を実行することによりエンジンの作動を停止させているときは、燃料用報知処理を実行しないように構成されている。
【解決手段】キースイッチがオン操作されている状態において、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行する制御装置Hが、キースイッチがオン操作されている状態において、燃料タンク30が所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、ブザー37にて報知させる燃料用報知処理を実行し、エンジン停止処理を実行することによりエンジンの作動を停止させているときは、燃料用報知処理を実行しないように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちに前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の一例としての乗用型田植機では、従来、他の操作具としての走行用の変速操作具がエンジン停止位置に操作されるとエンジン停止処理を実行し、走行用の変速操作具がエンジン停止位置から別の操作位置に操作されると、エンジン始動処理を実行するように構成され、エンジンの作動状態がどのような作動状態であっても、このようなエンジン停止処理及びエンジン始動処理を実行するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記構成は、前記エンジン停止処理を実行することにより、例えば、消費された植付け苗を補給する作業等を行うために圃場内での作業を一時中断させるような場合に、キースイッチ以外の他の操作具としての走行用の変速操作具を操作することにより、エンジンを停止させたり、エンジンを始動させるようにして、キースイッチを再度操作するといった操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。
【0004】
又、この種の作業車では、エンジンに供給する燃料を貯留するための燃料タンクが備えられており、搭載された燃料タンクの燃料貯留量を検出するフロート式の燃料センサが備えられ、キースイッチをオフ操作してエンジンの作動を停止させたのちに、キースイッチをオン操作させている状態において、燃料センサの検出結果に基づいて、燃料タンクに対する燃料補給中に燃料が満量状態になったことが判別されると、ブザー(報知手段)を作動させて運転者にそのことを報知するように構成されていた(例えば、特許文献2参照。)。ちなみに、燃料補給後にエンジンを作動させるときは、キースイッチをエンジン始動位置に操作することでエンジンを始動させることになる。
尚、特許文献2では、作業車としてコンバインに適用したものを示しているが、このような燃料タンクの満量状態を検出する構成は田植機やトラクタ等の種々の作業車に適用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−94753号公報
【特許文献2】特開2000−146665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成では、上述したような燃料タンクの満量状態の報知等の燃料用の報知処理を実行する構成を備える場合、前記エンジン停止処理が実行されてエンジンが停止しているときに、誤って報知手段による報知処理が実行される不利があった。
【0007】
説明を加えると、傾斜地で車体を停止させている状態で、エンジン停止処理を実行することによりエンジンを停止させているときに、車体が傾斜に沿ってずれ動いて傾斜姿勢が徐々に変化することがある。例えば、消費された植付け苗の補給作業を行っているときに、植付け苗を苗載せ台に載置させるときに衝撃が発生する場合や、苗を運ぶために運転者が車体に乗り降りするような場合に、車体がずれ動いてしまうことがある。
【0008】
そして、エンジン停止処理を実行してエンジンを停止させているときは、キースイッチがオン操作されている状態が維持されるから、上述したように車体の傾斜姿勢が徐々に変化したとき、燃料センサの検出結果に基づいて燃料補給中に満量状態になったことが誤って判別され、報知手段による報知作動が実行されることがあった。その結果、運転者が報知手段による報知作動により異常状態であると勘違いする等のおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、操作の煩わしさの少ない状態で燃料消費の抑制や騒音の低減を図ることが可能なものでありながら、運転者が異常状態であると勘違いする等の不利を回避することが可能な作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る作業車は、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちに前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行する制御手段が備えられているものであって、その第1特徴構成は、燃料タンク内の燃料貯留量を検出する燃料貯留量検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことを報知手段にて報知させる燃料用報知処理を実行するように構成され、且つ、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行することにより前記エンジンの作動を停止させているときは、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別しても、前記燃料用報知処理を実行しないように構成されている点にある。
【0011】
第1特徴構成によれば、キースイッチがオン操作されている状態において、燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことを報知手段にて報知させる燃料用報知処理を実行することになる。
例えば、キースイッチをオフ操作することによりエンジンの作動を停止させたのちに、運転者が燃料タンクに燃料を補給する作業を行うような場合に、運転者がキースイッチをオン操作させた状態で燃料補給作業を行うようにすると、燃料タンクが所定の燃料貯留状態になると報知手段にて報知されるので、運転者は、燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったこと、例えば満量状態になったことや設定量まで貯留されたこと等を認識することができる。その結果、燃料タンクの内部を覗き込んで確認しながら補給する等の煩わしさのない状態で、過不足のない状態で所定の燃料貯留状態にすることを能率よく行える。
ちなみに、この燃料補給作業が終了したのちは、通常のエンジン始動操操作、すなわち、キースイッチをエンジン始動位置に操作することにより、エンジンを始動させることになる。
【0012】
そして、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止処理を実行することにより、エンジンの作動を停止させているときには、例えば、車体が傾斜地で停止しているときに、車体に衝撃を受けたり運転者が車体に乗り降りするような場合に車体がずれ動いて、燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを誤って判別することがあっても、燃料用報知処理を実行しないので、運転者が報知手段による報知作動により異常状態であると勘違いする等の不利はない。
【0013】
従って、操作の煩わしさの少ない状態で燃料消費の抑制や騒音の低減を図ることが可能なものでありながら、運転者が異常状態であると勘違いする等の不利を回避することが可能な作業車を提供できるに至った。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、前記所定の燃料貯留状態が、前記燃料タンクの燃料貯留量が満量状態になったことである点にある。
【0015】
第2特徴構成によれば、燃料補給作業を行う場合には、運転者がキースイッチをオン操作させた状態で燃料補給作業を行うことにより、燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、燃料タンクの燃料貯留量が満量状態になると、燃料用報知処理を実行するので、エンジンを停止させている状態で燃料タンクに燃料補給を行っているときに、燃料タンクの中を覗きこまなくても、満量状態になったことが報知手段による報知処理により判るので、燃料が溢れ出す等の不利のない状態で良好に燃料補給作業を行える。但し、エンジン停止処理を実行することによりエンジンの作動を停止させているときは、圃場内での作業の途中である場合が多く、燃料補給作業を行うことは少ないので、燃料用報知処理を実行しなくても支障はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】動力系統図である。
【図4】主変速装置の操作構造を示す側面図である。
【図5】主変速装置の操作構造を示す正面図である。
【図6】変速操作用のガイド板の平面図である。
【図7】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図8】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図9】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】電源供給状態を示す図である。
【図12】制御動作のフローチャートである。
【図13】制御動作のフローチャートである。
【図14】制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る作業車の実施形態を作業車の一例としての乗用型田植機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪1及び左右一対の駆動自在な後輪2が装備された走行機体3の後部に、作業装置としての苗植付装置4が油圧シリンダ5にて駆動昇降自在にリンク機構6を介して連結され、走行機体3の車体後部に施肥装置7を備えて構成されている。
【0019】
走行機体3における機体フレーム8の前部には、前輪1を軸支したミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には、後輪2を軸支した後部伝動ケース10がローリング自在に支持されている。また、ミッションケース9から前方に延出された前フレーム11にエンジン12が横向きに搭載されてボンネット13で覆われているとともに、エンジン12の後方に位置する機体操縦部には、前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル14、運転座席15、運転部ステップ16などが備えられ、また、機体前部の左右には、予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台17が設けられている。
【0020】
苗植付装置4は、6条分の苗を載置して設定ストロークで往復横移動される苗のせ台21、苗のせ台21の下端から1株分ずつ苗を切り出して田面Gに植付けてゆく6組の回転式の植付機構22、植付け箇所を整地する3個の接地フロート23等を備えて構成されている。
【0021】
施肥装置7は、運転座席15と苗植付装置4との間において走行機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー24、この肥料ホッパー24内の肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し機構25、繰り出された肥料を供給ホース26を介して各接地フロート23に備えた作溝器27に風力搬送する電動ブロア28等を備えており、作溝器27によって田面Gに形成した溝に肥料を送り込んで埋設してゆくよう構成されている。
【0022】
図1及び図3に示すように、ミッションケース9の側面には、エンジン12にベルト連動された静油圧式の無段変速装置(HST)からなる主変速装置41が連結され、その出力がミッションケース9に入力されて作業系と走行系とに分岐される。分岐された作業系の動力は、ワンウェイクラッチ42によってその正転動力のみが取出され、手動操作にて6段のギヤ変速が可能な株間変速機構43および植付クラッチ(図示せず)を経て作業用動力取出し軸(PTO軸)45(図1参照)から取出され、苗植付装置4に伝達されるようになっている。
【0023】
分岐された走行系動力は、ギヤ式の副変速装置47によって高低2段に変速された後、前輪系と後輪系に再度分岐され、前輪系の動力はデフロック可能な差動装置48を介して左右の前輪1に伝達されるとともに、後輪系の動力は伝動軸49を介して後部伝動ケース10に伝達され、多板式のサイドクラッチ50を介して左右の後輪2に伝達される。又、後部伝動ケース10には機体停止用の多板式のブレーキ51が装備されており、このブレーキ51は、運転部ステップ16の右側足元に配備された足踏み操作式のブレーキ操作具52に機械的に連動連結されている。
【0024】
又、図7〜図10に示すように、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されたことを検出するブレーキセンサS1が備えられている。このブレーキセンサS1は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されていなければオフ状態となり、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されるとオン状態に切り換わるように構成されている。
【0025】
次に、主変速装置41の変速操作構造について説明する。
主変速装置41は、ステアリングハンドル14の左脇に配備された変速操作具としての主変速レバー53(キースイッチ以外の他の操作具Dの一例)で変速操作されるよう構成されている。
すなわち、図4及び図5に示すように、ステアリングハンドル14を支持するように立設されたハンドルポスト55には支持ブラケット56が固着され、この支持ブラケット56の左側端部には、支軸57を介してデテント板58が横向き支点a周りに前後揺動可能に支持され、このデテント板58に主変速レバー53が前後向き支点b周りに左右揺動可能に支持されている。ハンドルポスト55を立設支持する支持枠59に、横向き支点c周りに回動可能に中継回動部材60が支持されており、この中継回動部材60とデテント板58とが連係ロッド61を介して連係され、さらに、この中継回動部材60と、主変速装置41の変速操作軸62に連結された変速アーム63とが操作ロッド64を介して連係されている。
【0026】
支持ブラケット56にはガイド板65が固着されており、このガイド板65に形成された段違い状の案内溝66に係合する基端側案内部53aが主変速レバー53の基端部に一体的に設けられている。
すなわち、図5及び図6に示すように、主変速レバー53の基部に、棒体を略L字形に折り曲げて形成された基端側案内部53aが一体的に固定される状態で設けられている。この基端側案内部53aがデテント板58にて前後向き支点bの周りで回動自在に支持されており、案内溝66を上下に貫通しており、案内溝66と基端側案内部53aとの係合案内作用によって主変速レバー53を所定の段違い操作経路に沿って前後に揺動すべく案内するように構成されている。
【0027】
図6に示すように、段違い操作経路の段違い部位が主変速装置41の中立位置Nに相当し、中立位置Nは前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとがあり、前進側中立位置Nfの前方に前進変速操作経路Fが形成され、且つ、後進側中立位置Nrの後方に後進変速操作経路Rが形成されている。前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとが走行停止用の操作位置に相当し、前進変速操作経路Fと後進変速操作経路Rとが走行変速用の操作位置に相当しており、これらにより変速操作用の通常操作経路が構成される。
【0028】
図4に示すように、デテント板58の外周に並列形成した9つの凹部67に、片持ちバネレバー68の遊端に支持したデテントローラ69を弾性係入させることで、主変速レバー53を前進5段(F1〜F5)、中立位置N、および、後進3段(R1〜R3)の各変速位置に保持することができるようになっている。
【0029】
図6に示すように、ガイド板65に形成される案内溝66における前進側中立位置Nfの横外側には、走行停止状態をもたらすエンジン停止位置Qが設定されるとともに、主変速レバー53の基端側案内部53aがエンジン停止位置Qに操作されたことを検知する停止位置検出センサS2が装備されている。
【0030】
そして、主変速レバー53の横方向への操作の中心となる前後向き支点bには、ネジリバネ70が装備されており、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに向けて移動付勢されるように構成されている。
又、案内溝66における前進側中立位置Nfとエンジン停止位置Qとの間には、バネ板からなる弾性抵抗部材79が設けられ、前進側中立位置Nfからエンジン停止位置Qへの移動に適度の抵抗が付与されるように構成されている。
【0031】
弾性抵抗部材79による抵抗力を、主変速レバー53がネジリバネ70によってエンジン停止位置Qに向けて操作される付勢力よりも大きく設定しておくことで、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに位置する状態で手を離しても直ちにエンジン停止位置Qに移行することはなく、意識的に弾性抵抗部材79を乗り越える操作を行ってエンジン停止位置Qに移行させることになる。
【0032】
主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作すると停止位置検出センサS2がオン状態になり、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから離れると、停止位置検出センサS2がオフ状態になるように構成されている。
【0033】
次に、図7〜図9を参照しながら、主変速レバー53とブレーキ操作具52との連係構造について説明する。
主変速レバー53が前進変速操作経路Fに操作されている前進走行状態、あるいは、後進変速操作経路Rに操作されている後進走行状態において、機体停止用のブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、主変速レバー53が中立位置Nにまで強制的に復帰操作されるように、主変速レバー53とブレーキ操作具52とが連動連係されている。
【0034】
説明を加えると、中継回動部材60の機体後方側箇所に、支点e周りに前後揺動可能に牽制作動部材81が配備されている。この牽制作動部材81にはアジャストボルト81bによって支点f周りに位置微調節可能な牽制金具81aが備えられており、牽制作動部材81の前縁部が、前記中継回動部材60の支点cより上方箇所に設けた第1接当ピン82に後方から対向するよう構成されるとともに、牽制金具81aの前縁部が、中継回動部材60の支点cより下方箇所に設けた第2接当ピン83に後方から対向するよう配備されている。
【0035】
他方、ブレーキ操作具52を連結したペダル支軸84の他端部には牽制操作アーム85が固着され、この牽制操作アーム85の遊端に回動自在に枢支したボス部材86に、前記牽制作動部材81の下端から後方に向けて延出された押し引きロッド87の後端部が挿通連結されている。ここで、押し引きロッド87は、ボス部材86に対して一定範囲でのみ前後にスライド自在に挿通支持されるとともに、予め初期圧縮変形して押し引きロッド87に外嵌装着した圧縮コイルバネ88によって押し引きロッド87はボス部材86に対して前方スライド限界にスライド付勢されている。
【0036】
図7は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が前進の最高速である前進5速F5にある状態を示し、また、図8は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が後進の最高速である後進3速R3にある状態を示している。
【0037】
主変速レバー53が前進変速操作経路Fにある状態(図7の状態)でブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、牽制操作アーム85が図中反時計方向に回動されることで押し引きロッド87が前方(図では左方)に突き出され、牽制作動部材81は支点e周りに時計方向に揺動操作される。これによって、図9に示すように、牽制作動部材81は第1接当ピン82を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り反時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0038】
また、主変速レバー53が後進変速操作経路Rにある状態(図8の状態)でブレーキ操作具52を踏み込み操作するときには、牽制作動部材81の牽制金具81aが第2接当ピン83を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0039】
主変速レバー53が中立位置Nに到ると(図9の状態)、第1接当ピン82および第2接当ピン83が共に牽制作動部材81に接当することで、牽制作動部材81及び中継回動部材60は、主変速レバー53が中立位置Nとなる一定姿勢に保持される。
なお、牽制作動部材81の牽制金具81aを位置調節することで、第1接当ピン82および第2接当ピン83を共に牽制作動部材81に接当させて中継回動部材60を正確に中立復帰させることができる。
【0040】
ここで、圧縮コイルバネ88によって与えられた初期圧縮力は、主変速レバー53を強制移動させるのに必要な操作力より大きく設定されており、主変速レバー53が中立位置Nに到るまでは、圧縮コイルバネ88は操作反力で圧縮変形されることはない。そして、主変速レバー53が中立位置Nに到った後、更にブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、前方に移動不能となった押し引きロッド87に対して牽制操作アーム85が圧縮コイルバネ88を更に圧縮変形させながら図中反時計方向に回動されることで十分なブレーキ操作ストロ−クが確保される。
【0041】
副変速装置47は、植付け作業用の植付け変速状態と路上走行用変速状態の2段階に切り換え自在に構成されるとともに、この副変速装置47は運転座席15の左脇に配備された副変速レバー54で操作されるように構成されている。つまり、副変速レバー54が、植付け変速用操作位置と、路上走行用操作位置とに切り換え自在に設けられ、その切り換え操作に基づいて副変速装置47の変速状態が切り換わる構成となっている。そして、圃場での植付け作業中は、副変速装置47は植付け変速状態に維持されることになる。
【0042】
図10に示すように、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する制御弁29が備えられており、制御弁29により油圧シリンダ5に作動油が供給されると、油圧シリンダ5が収縮作動して苗植付装置4が上昇し、制御弁29により油圧シリンダ5から作動油が排出されると、油圧シリンダ5が伸長作動して苗植付装置4が下降するように構成されている。
【0043】
又、走行機体3に対するリンク機構6の昇降角度を検出するポテンショメータからなるリンク角センサS4が備えられて、リンク角センサS4の検出値が制御装置Hに入力されており、走行機体3に対するリンク機構6の角度を検出することにより、走行機体3に対する苗植付装置4の高さを検出することができるようになっている。
【0044】
運転部ステップ16の下方に位置する状態で燃料タンク30が設けられ、この燃料タンク30内の燃料貯留量を検出する燃料貯留量検出手段としてのフロート式の燃料センサS3が設けられている。図10に示すように、この燃料センサS3は、タンク上壁部31にポテンショメータ32が支持され、このポテンショメータ32に横軸芯周りに回動自在に支持された検出アーム33の先端部に燃料タンク30内の液面高さの変化によって上下するフロート34が備えられ、その検出アーム33の回動角をポテンショメータ32にて検出して、そのポテンショメータ32の検出情報であるフロート34の上下位置つまり液面高さによって、燃料タンク30内の燃料貯留量が検出されるように構成されている。
【0045】
又、運転座席15の前方に位置する操作パネル35には、報知手段の一例としてのブザー37(図10参照)が備えられ、燃料センサS3の検出情報に基づいて、燃料タンク30の燃料貯留状態が所定の燃料貯留状態になると、ブザー37が鳴動して報知するように構成されている。
【0046】
操作パネル35の中央部には、液晶表示パネルを用いた情報表示部36が備えられている。詳述はしないが、この情報表示部36には、例えば、苗のせ台21上に苗残量が少なくなったこと、燃料タンク30の燃料残量が残り少なくなったこと、バッテリーVの電圧が低下していること等の種々の情報が表示される。
【0047】
図10に示すように、ブレーキセンサS1、停止位置検出センサS2、燃料センサS3、リンク角センサS4の検出値が制御装置Hに入力されており、これ以外にも、エンジン12の回転数を検出するエンジン回転数センサS5が備えられ、このエンジン回転数センサS5の情報も制御装置Hに入力されるように構成されている。
【0048】
図11は、制御装置Hやその他の電装品への電源供給状態を示しており、この図に示すように、制御装置Hは、キーKにて操作されるキースイッチ90が電源入り位置(ON)に操作される(オン操作される)と、バッテリーVの電源が投入されて起動される。
キースイッチ90が電源切り位置(OFF)に操作(オフ操作)されても、直ちに電源の供給が停止されるのではなく、自己保持回路91によって電源供給が継続されるようになっており、キースイッチ90がオフ操作されたときにおける各部の動作状態を図示しない不揮発性メモリに書き込み記憶させたのちに、自己保持回路91を遮断して電源供給を停止するように構成されている。
【0049】
キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されたとき(エンジン始動が指令されたとき)には、バッテリーVとエンジン始動用モータ93との間の電源供給路に介装された起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12を始動させることになる。
尚、図示はしていないが、エンジン12に対する燃料供給量を変更調節自在な調速装置が備えられ、主変速レバー53の操作状態に対応して速度が大になるほど燃料供給量を増加させるように調速装置を連動操作する連動操作機構が備えられている。
【0050】
又、バッテリーVから制御装置Hを含む全ての電装品に対して電力を供給する主電源線95には、電力供給を断続自在な断続回路96が介装されており、この断続回路96は、制御装置Hからの指令によって電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができるように構成され、又、キースイッチ90にてエンジン始動が指令されたときに電力が供給されて作動する駆動回路97によっても電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができるように構成されている。
【0051】
そして、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている、つまり、電源入り位置(ON)に維持されている場合であっても、エンジン停止条件が成立するとエンジン12の作動を停止させるエンジン停止処理を実行し、その後、エンジン始動条件が成立するとエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0052】
このようなエンジン停止処理やエンジン始動処理は、圃場において苗植付け作業を行なっている場合に、例えば、苗植付け作業にて消費された植付け苗を補給する苗補給作業等を行うときに、エンジン12を一時的に停止させることにより、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。又、苗補給作業等が終了すると、エンジン12を始動させて苗植付け作業を行うことができる。
【0053】
前記エンジン停止条件は、停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されるという条件が設定されている。設定時間の継続操作を条件とするのは、誤操作により設定短時間が経過する間だけ、操作されることによりエンジン12を停止させないようにしたものである。
ちなみに、エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12に対する燃料供給を断続する燃料遮断弁74を遮断状態に切り換える構成である。尚、エンジン12を停止させるための構成として、エンジン12が点火プラグを備えるものであれば、点火プラグに対する通電を遮断する構成とするものでもよい。
【0054】
又、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている状態において、燃料センサS3の検出結果に基づいて、燃料タンク30が所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことをブザー37にて報知させる燃料用報知処理を実行するように構成され、且つ、キースイッチ90がオン操作されている状態において、エンジン停止処理を実行することによりエンジン12の作動を停止させているときは、燃料タンク30が所定の燃料貯留状態になっても燃料用報知処理を実行しないように構成されている。そして、前記所定の燃料貯留状態というのは、燃料タンク30の燃料貯留量が満量状態になったことである。
【0055】
次に、図12〜図14のフローチャートに基づいて、制御装置Hによる制御動作について説明する。
例えば、キースイッチ90をオフ操作することによりエンジン12の作動を停止させたのちに、運転者がキースイッチ90をオン操作させた状態で燃料補給作業を行うような場合、すなわち、キースイッチ90がオン操作され(ステップ1)、後述するようなエンジン自動停止処置を実行していない状態で(ステップ2)、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されておらず(ステップ3)、且つ、エンジン12が作動していないときに(ステップ4)、燃料センサS3の検出結果に基づいて燃料タンク30への給油中において燃料供給量が満量状態になったことを判別すると、ブザー37を作動させる(燃料用報知作動に相当)(ステップ5,6,7)。
【0056】
燃料タンク30への給油中であるか否かの判別について説明を加えると、燃料センサS3の検出値を設定単位時間毎に読み込み、その検出値が設定回数(例えば数回)連続して増えると燃料貯留量が増加していると判断し、検出値が減少することなく、増加していると判断する状態が設定回数にわたり発生すると、燃料補給中であると判別するようになっている。そして、そのような燃料補給中に燃料センサS3の検出値が満量状態に相当する値(具体的には、検出アーム33がストッパーstに当たる位置にまで回動している状態の検出値)になると、満量状態であると判別するのである。
【0057】
そして、給油中に満量状態であることを判別してブザー37による報知作動を実行しているときに、運転者がそのことを認識して、給油作業を停止して操作パネル35に備えられた報知停止スイッチ38(図10参照)を操作すると報知作動を停止する(ステップ8,9)。
尚、報知停止スイッチ38を操作する代わりに、キースイッチ90をオフ操作するか又は始動位置(ST)に操作すると、報知作動を停止するようになっている(ステップ19,20,24,25)。
【0058】
キースイッチ90がオン操作されている状態であって且つエンジン自動停止処置を実行していない状態において、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2がオン状態になり(ステップ3)、その状態が設定時間(数秒間)以上継続すると(ステップ10)、苗植付装置4の上昇操作(ステップ11)を実行したのちに、燃料遮断弁74を遮断状態に切り換えてエンジン12を停止させるエンジン停止処理を実行する(ステップ12)。
【0059】
ステップ11の苗植付装置4の上昇操作について説明を加えると、リンク角センサS4の検出情報に基づいて、油圧シリンダ5を収縮作動させるように制御弁29を制御して、苗植付装置4を最大上昇位置にまで上昇させる操作を実行する。
【0060】
尚、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されてエンジン12が停止したのちに、運転者が主変速レバー53から手を離しても、弾性抵抗部材79による抵抗力により主変速レバー53はエンジン停止位置Qに維持される。
【0061】
制御装置Hは、エンジン停止処理を実行する場合、それまで実行していた苗植付け作業における各部の動作状態(苗植付装置4の種々の作業条件等)について図示しない不揮発性メモリに記憶しておき、エンジン12を始動させて作業を再開するときに、記憶していた動作状態と同じ状態で作業を行うようにしている。
【0062】
エンジン停止処理を実行してから設定時間が経過しても、後述するようなエンジン始動条件が成立しないときは(ステップ13)、バッテリーVの放電を防ぐために電源供給を遮断するようになっている(ステップ18)。具体的には、断続回路96に電力遮断状態への切り換えを指令して断続回路96を遮断させ、すべての電装品への電力供給を遮断させる。
【0063】
このように電力遮断状態に切り換えられたのち、電力供給状態を再開させたりエンジン12を始動させるためには、運転者がキースイッチ90を始動位置(ST)に操作することで対応できる。つまり、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されると、駆動回路97が作動して断続回路96を電力供給状態に切り換えるので、制御装置Hやその他の電装品にも電力が供給され、エンジン12の始動も行われることになる。
【0064】
エンジン停止処理によってエンジン12を停止させている場合、エンジン停止処理を実行してから設定時間が経過するまでの間に、エンジン始動条件が成立すると、すなわち、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されることにより、ブレーキセンサS1がオフ状態からオン状態に切り換わったことが検出され(ステップ15)、さらに、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから外れて、停止位置検出センサS2がオフ状態に切り換わると(ステップ16)、エンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行する(ステップ17)。すなわち、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始させてエンジン12の回転操作を開始した後、エンジン回転数センサS5にて検出されるエンジン回転数が設定回転数以上になってエンジン12が始動したことが検出されると、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させる。
【0065】
尚、運転者がブレーキ操作具52を踏み操作している状態で、主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作してエンジン12を停止させたような場合には、ブレーキセンサS1はオン状態に維持されているが、そのときは、オフ状態からオン状態への切り換わりではないので、ステップ15における切り換えの判別は行われず、エンジン12が始動することはない。又、エンジン12が停止したのちに、運転者が一旦、ブレーキ操作具52の踏み込み操作を解除してブレーキセンサS1をオフ状態に切り換えたのちに、再度、ブレーキ操作具52を踏み込み操作すると、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出されてエンジン12が始動することになる。
【0066】
エンジン停止処理(ステップ12)を実行してエンジン12の作動を停止させているときに、燃料センサS3の検出情報に基づいて燃料補給状態が検出され、燃料タンク30への給油が行われたことが判別された場合には、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりに基づいてエンジン12を始動させる処理を実行しないようになっている(ステップ14,1,2,13)。
尚、この場合には、キースイッチ90を始動位置(ST)に操作することにより、エンジン12を始動させることができる(ステップ21)。又、キースイッチ90を始動位置(ST)に操作すると、上述したように、ブザー37による報知作動を実行しているときには、報知作動を停止させることになる(ステップ19,20)。
【0067】
キースイッチ90がオン操作されている状態から、キースイッチ90がオフ操作されると、そのときエンジン12が作動中であれば、エンジン12の作動を停止させ、且つ、ブザー37による報知作動を実行しているときには、報知作動を停止させることになる(ステップ22〜25)。
【0068】
上述の説明では、エンジン停止処理を実行することによりエンジン12の作動を停止させているときには、燃料用報知処理を実行しない点について説明したが、エンジン停止処理を実行していない場合であっても車体が大きく傾斜しているような場合には、燃料用報知処理を実行しないようになっている。
すなわち、車体の傾斜角(前後方向での傾斜角あるいは左右方向での傾斜角、又は、それらの両方の傾斜角)を検出する傾斜角センサ(図示せず)が備えられ、この傾斜角センサの検出値が設定角を超えており、給油に適した姿勢ではない場合には、燃料用報知処理を実行しないようにしている。
【0069】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、所定の燃料貯留状態として、燃料補給中に満量状態になったことが判別されると、報知手段としてのブザー37による報知処理を実行するようにしたが、所定の燃料貯留状態としては、例えば、燃料貯留量が予め設定されている中間値になったことを判別するようにしたり、燃料貯留量が小側の設定量よりも少なくなったことを判別する等、種々の形態で実施することができる。又、報知手段としては、文字情報、画像情報、光の点滅等にて報知する表示式の報知手段により報知する構成としてもよく、ブザー37に代えて、音声情報(例えば、「燃料タンクが満杯になりました」という音声等)で報知するスピーカを用いるようにしてもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、キースイッチ90以外の他の操作具Dとして主変速レバー53を用いるようにしたが、このような構成に代えて、次の(2−1)〜(2−3)に記載の構成としてもよい。
【0071】
(2−1)キースイッチ90以外の他の操作具Dとして、例えば、押しボタンスイッチ等からなるエンジン停止専用の停止用操作具(図示せず)を備えて、エンジン停止用操作検出手段として、停止用操作具が操作されたことを検出する検出センサ(図示せず)を備え、停止用操作具が設定時間以上継続して操作されると、例えば主変速レバー53がいずれの操作位置に操作されていてもエンジン12を停止させる構成としてもよい。又、上記検出センサは、搭乗運転部の操作パネル35に設ける構成だけでなく、主変速レバー53等の各種の操作レバーの握り部に設ける構成としてもよい。
【0072】
(2−2)ブレーキ操作具52が、キースイッチ90以外の他の操作具Dとして機能するものでもよい。つまり、エンジン12が作動している状態で、ブレーキ操作具52を新たに操作してブレーキセンサS1がオンとなり、そのオン状態が長めに設定された設定時間(例えば、数秒〜数十秒間)継続すると、例えば、主変速レバー53がいずれの操作位置に操作されていてもエンジン12を停止させる構成としてもよい。
【0073】
(2−3)エンジン12から主変速装置41への伝動途中に主クラッチ(図示せず)と、この主クラッチを入切操作するクラッチ操作具(図示せず)とを備える構成とし、エンジン停止用操作検出手段として、クラッチ操作具による主クラッチ切り操作が行われたことを検出する検出センサ(図示せず)を備え、クラッチ操作具による主クラッチ切り操作が設定時間以上継続して操作されると、主変速レバー53がいずれの操作位置に操作されていてもエンジン12を停止させる構成としてもよい。
【0074】
(3)上記実施形態では、ブレーキ操作具52が操作されると、主変速レバー53が中立位置Nに強制的に復帰するように連動連係する構成とし、ブレーキ操作具52が操作されるとエンジン12を始動させる構成としたが、このような構成に代えて、エンジン12から主変速装置41への伝動途中に主クラッチ(図示せず)と、この主クラッチを操作するクラッチ操作具(図示せず)とを備える構成とし、ブレーキ操作具52あるいはクラッチ操作具のいずれかが操作されると、エンジン12を始動させる構成としてもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、主変速レバー53がネジリバネ70により走行停止位置として前進側中立位置Nfに復帰付勢される構成としたが、主変速レバー53が走行停止位置として後進側中立位置Nrに復帰付勢される構成としてもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、作業車として乗用型田植機を例示したが、本発明は乗用型直播機や乗用型耕耘機等の作業車にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の作業車であって、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるように構成されている作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
12 エンジン
30 燃料タンク
37 報知手段
90 キースイッチ
D 他の操作具
H 制御手段
S3 燃料貯留量検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちに前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の一例としての乗用型田植機では、従来、他の操作具としての走行用の変速操作具がエンジン停止位置に操作されるとエンジン停止処理を実行し、走行用の変速操作具がエンジン停止位置から別の操作位置に操作されると、エンジン始動処理を実行するように構成され、エンジンの作動状態がどのような作動状態であっても、このようなエンジン停止処理及びエンジン始動処理を実行するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記構成は、前記エンジン停止処理を実行することにより、例えば、消費された植付け苗を補給する作業等を行うために圃場内での作業を一時中断させるような場合に、キースイッチ以外の他の操作具としての走行用の変速操作具を操作することにより、エンジンを停止させたり、エンジンを始動させるようにして、キースイッチを再度操作するといった操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。
【0004】
又、この種の作業車では、エンジンに供給する燃料を貯留するための燃料タンクが備えられており、搭載された燃料タンクの燃料貯留量を検出するフロート式の燃料センサが備えられ、キースイッチをオフ操作してエンジンの作動を停止させたのちに、キースイッチをオン操作させている状態において、燃料センサの検出結果に基づいて、燃料タンクに対する燃料補給中に燃料が満量状態になったことが判別されると、ブザー(報知手段)を作動させて運転者にそのことを報知するように構成されていた(例えば、特許文献2参照。)。ちなみに、燃料補給後にエンジンを作動させるときは、キースイッチをエンジン始動位置に操作することでエンジンを始動させることになる。
尚、特許文献2では、作業車としてコンバインに適用したものを示しているが、このような燃料タンクの満量状態を検出する構成は田植機やトラクタ等の種々の作業車に適用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−94753号公報
【特許文献2】特開2000−146665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成では、上述したような燃料タンクの満量状態の報知等の燃料用の報知処理を実行する構成を備える場合、前記エンジン停止処理が実行されてエンジンが停止しているときに、誤って報知手段による報知処理が実行される不利があった。
【0007】
説明を加えると、傾斜地で車体を停止させている状態で、エンジン停止処理を実行することによりエンジンを停止させているときに、車体が傾斜に沿ってずれ動いて傾斜姿勢が徐々に変化することがある。例えば、消費された植付け苗の補給作業を行っているときに、植付け苗を苗載せ台に載置させるときに衝撃が発生する場合や、苗を運ぶために運転者が車体に乗り降りするような場合に、車体がずれ動いてしまうことがある。
【0008】
そして、エンジン停止処理を実行してエンジンを停止させているときは、キースイッチがオン操作されている状態が維持されるから、上述したように車体の傾斜姿勢が徐々に変化したとき、燃料センサの検出結果に基づいて燃料補給中に満量状態になったことが誤って判別され、報知手段による報知作動が実行されることがあった。その結果、運転者が報知手段による報知作動により異常状態であると勘違いする等のおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、操作の煩わしさの少ない状態で燃料消費の抑制や騒音の低減を図ることが可能なものでありながら、運転者が異常状態であると勘違いする等の不利を回避することが可能な作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る作業車は、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちに前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行する制御手段が備えられているものであって、その第1特徴構成は、燃料タンク内の燃料貯留量を検出する燃料貯留量検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことを報知手段にて報知させる燃料用報知処理を実行するように構成され、且つ、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行することにより前記エンジンの作動を停止させているときは、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別しても、前記燃料用報知処理を実行しないように構成されている点にある。
【0011】
第1特徴構成によれば、キースイッチがオン操作されている状態において、燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことを報知手段にて報知させる燃料用報知処理を実行することになる。
例えば、キースイッチをオフ操作することによりエンジンの作動を停止させたのちに、運転者が燃料タンクに燃料を補給する作業を行うような場合に、運転者がキースイッチをオン操作させた状態で燃料補給作業を行うようにすると、燃料タンクが所定の燃料貯留状態になると報知手段にて報知されるので、運転者は、燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったこと、例えば満量状態になったことや設定量まで貯留されたこと等を認識することができる。その結果、燃料タンクの内部を覗き込んで確認しながら補給する等の煩わしさのない状態で、過不足のない状態で所定の燃料貯留状態にすることを能率よく行える。
ちなみに、この燃料補給作業が終了したのちは、通常のエンジン始動操操作、すなわち、キースイッチをエンジン始動位置に操作することにより、エンジンを始動させることになる。
【0012】
そして、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止処理を実行することにより、エンジンの作動を停止させているときには、例えば、車体が傾斜地で停止しているときに、車体に衝撃を受けたり運転者が車体に乗り降りするような場合に車体がずれ動いて、燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを誤って判別することがあっても、燃料用報知処理を実行しないので、運転者が報知手段による報知作動により異常状態であると勘違いする等の不利はない。
【0013】
従って、操作の煩わしさの少ない状態で燃料消費の抑制や騒音の低減を図ることが可能なものでありながら、運転者が異常状態であると勘違いする等の不利を回避することが可能な作業車を提供できるに至った。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、前記所定の燃料貯留状態が、前記燃料タンクの燃料貯留量が満量状態になったことである点にある。
【0015】
第2特徴構成によれば、燃料補給作業を行う場合には、運転者がキースイッチをオン操作させた状態で燃料補給作業を行うことにより、燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、燃料タンクの燃料貯留量が満量状態になると、燃料用報知処理を実行するので、エンジンを停止させている状態で燃料タンクに燃料補給を行っているときに、燃料タンクの中を覗きこまなくても、満量状態になったことが報知手段による報知処理により判るので、燃料が溢れ出す等の不利のない状態で良好に燃料補給作業を行える。但し、エンジン停止処理を実行することによりエンジンの作動を停止させているときは、圃場内での作業の途中である場合が多く、燃料補給作業を行うことは少ないので、燃料用報知処理を実行しなくても支障はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】動力系統図である。
【図4】主変速装置の操作構造を示す側面図である。
【図5】主変速装置の操作構造を示す正面図である。
【図6】変速操作用のガイド板の平面図である。
【図7】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図8】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図9】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】電源供給状態を示す図である。
【図12】制御動作のフローチャートである。
【図13】制御動作のフローチャートである。
【図14】制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る作業車の実施形態を作業車の一例としての乗用型田植機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪1及び左右一対の駆動自在な後輪2が装備された走行機体3の後部に、作業装置としての苗植付装置4が油圧シリンダ5にて駆動昇降自在にリンク機構6を介して連結され、走行機体3の車体後部に施肥装置7を備えて構成されている。
【0019】
走行機体3における機体フレーム8の前部には、前輪1を軸支したミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には、後輪2を軸支した後部伝動ケース10がローリング自在に支持されている。また、ミッションケース9から前方に延出された前フレーム11にエンジン12が横向きに搭載されてボンネット13で覆われているとともに、エンジン12の後方に位置する機体操縦部には、前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル14、運転座席15、運転部ステップ16などが備えられ、また、機体前部の左右には、予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台17が設けられている。
【0020】
苗植付装置4は、6条分の苗を載置して設定ストロークで往復横移動される苗のせ台21、苗のせ台21の下端から1株分ずつ苗を切り出して田面Gに植付けてゆく6組の回転式の植付機構22、植付け箇所を整地する3個の接地フロート23等を備えて構成されている。
【0021】
施肥装置7は、運転座席15と苗植付装置4との間において走行機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー24、この肥料ホッパー24内の肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し機構25、繰り出された肥料を供給ホース26を介して各接地フロート23に備えた作溝器27に風力搬送する電動ブロア28等を備えており、作溝器27によって田面Gに形成した溝に肥料を送り込んで埋設してゆくよう構成されている。
【0022】
図1及び図3に示すように、ミッションケース9の側面には、エンジン12にベルト連動された静油圧式の無段変速装置(HST)からなる主変速装置41が連結され、その出力がミッションケース9に入力されて作業系と走行系とに分岐される。分岐された作業系の動力は、ワンウェイクラッチ42によってその正転動力のみが取出され、手動操作にて6段のギヤ変速が可能な株間変速機構43および植付クラッチ(図示せず)を経て作業用動力取出し軸(PTO軸)45(図1参照)から取出され、苗植付装置4に伝達されるようになっている。
【0023】
分岐された走行系動力は、ギヤ式の副変速装置47によって高低2段に変速された後、前輪系と後輪系に再度分岐され、前輪系の動力はデフロック可能な差動装置48を介して左右の前輪1に伝達されるとともに、後輪系の動力は伝動軸49を介して後部伝動ケース10に伝達され、多板式のサイドクラッチ50を介して左右の後輪2に伝達される。又、後部伝動ケース10には機体停止用の多板式のブレーキ51が装備されており、このブレーキ51は、運転部ステップ16の右側足元に配備された足踏み操作式のブレーキ操作具52に機械的に連動連結されている。
【0024】
又、図7〜図10に示すように、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されたことを検出するブレーキセンサS1が備えられている。このブレーキセンサS1は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されていなければオフ状態となり、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されるとオン状態に切り換わるように構成されている。
【0025】
次に、主変速装置41の変速操作構造について説明する。
主変速装置41は、ステアリングハンドル14の左脇に配備された変速操作具としての主変速レバー53(キースイッチ以外の他の操作具Dの一例)で変速操作されるよう構成されている。
すなわち、図4及び図5に示すように、ステアリングハンドル14を支持するように立設されたハンドルポスト55には支持ブラケット56が固着され、この支持ブラケット56の左側端部には、支軸57を介してデテント板58が横向き支点a周りに前後揺動可能に支持され、このデテント板58に主変速レバー53が前後向き支点b周りに左右揺動可能に支持されている。ハンドルポスト55を立設支持する支持枠59に、横向き支点c周りに回動可能に中継回動部材60が支持されており、この中継回動部材60とデテント板58とが連係ロッド61を介して連係され、さらに、この中継回動部材60と、主変速装置41の変速操作軸62に連結された変速アーム63とが操作ロッド64を介して連係されている。
【0026】
支持ブラケット56にはガイド板65が固着されており、このガイド板65に形成された段違い状の案内溝66に係合する基端側案内部53aが主変速レバー53の基端部に一体的に設けられている。
すなわち、図5及び図6に示すように、主変速レバー53の基部に、棒体を略L字形に折り曲げて形成された基端側案内部53aが一体的に固定される状態で設けられている。この基端側案内部53aがデテント板58にて前後向き支点bの周りで回動自在に支持されており、案内溝66を上下に貫通しており、案内溝66と基端側案内部53aとの係合案内作用によって主変速レバー53を所定の段違い操作経路に沿って前後に揺動すべく案内するように構成されている。
【0027】
図6に示すように、段違い操作経路の段違い部位が主変速装置41の中立位置Nに相当し、中立位置Nは前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとがあり、前進側中立位置Nfの前方に前進変速操作経路Fが形成され、且つ、後進側中立位置Nrの後方に後進変速操作経路Rが形成されている。前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとが走行停止用の操作位置に相当し、前進変速操作経路Fと後進変速操作経路Rとが走行変速用の操作位置に相当しており、これらにより変速操作用の通常操作経路が構成される。
【0028】
図4に示すように、デテント板58の外周に並列形成した9つの凹部67に、片持ちバネレバー68の遊端に支持したデテントローラ69を弾性係入させることで、主変速レバー53を前進5段(F1〜F5)、中立位置N、および、後進3段(R1〜R3)の各変速位置に保持することができるようになっている。
【0029】
図6に示すように、ガイド板65に形成される案内溝66における前進側中立位置Nfの横外側には、走行停止状態をもたらすエンジン停止位置Qが設定されるとともに、主変速レバー53の基端側案内部53aがエンジン停止位置Qに操作されたことを検知する停止位置検出センサS2が装備されている。
【0030】
そして、主変速レバー53の横方向への操作の中心となる前後向き支点bには、ネジリバネ70が装備されており、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに向けて移動付勢されるように構成されている。
又、案内溝66における前進側中立位置Nfとエンジン停止位置Qとの間には、バネ板からなる弾性抵抗部材79が設けられ、前進側中立位置Nfからエンジン停止位置Qへの移動に適度の抵抗が付与されるように構成されている。
【0031】
弾性抵抗部材79による抵抗力を、主変速レバー53がネジリバネ70によってエンジン停止位置Qに向けて操作される付勢力よりも大きく設定しておくことで、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに位置する状態で手を離しても直ちにエンジン停止位置Qに移行することはなく、意識的に弾性抵抗部材79を乗り越える操作を行ってエンジン停止位置Qに移行させることになる。
【0032】
主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作すると停止位置検出センサS2がオン状態になり、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから離れると、停止位置検出センサS2がオフ状態になるように構成されている。
【0033】
次に、図7〜図9を参照しながら、主変速レバー53とブレーキ操作具52との連係構造について説明する。
主変速レバー53が前進変速操作経路Fに操作されている前進走行状態、あるいは、後進変速操作経路Rに操作されている後進走行状態において、機体停止用のブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、主変速レバー53が中立位置Nにまで強制的に復帰操作されるように、主変速レバー53とブレーキ操作具52とが連動連係されている。
【0034】
説明を加えると、中継回動部材60の機体後方側箇所に、支点e周りに前後揺動可能に牽制作動部材81が配備されている。この牽制作動部材81にはアジャストボルト81bによって支点f周りに位置微調節可能な牽制金具81aが備えられており、牽制作動部材81の前縁部が、前記中継回動部材60の支点cより上方箇所に設けた第1接当ピン82に後方から対向するよう構成されるとともに、牽制金具81aの前縁部が、中継回動部材60の支点cより下方箇所に設けた第2接当ピン83に後方から対向するよう配備されている。
【0035】
他方、ブレーキ操作具52を連結したペダル支軸84の他端部には牽制操作アーム85が固着され、この牽制操作アーム85の遊端に回動自在に枢支したボス部材86に、前記牽制作動部材81の下端から後方に向けて延出された押し引きロッド87の後端部が挿通連結されている。ここで、押し引きロッド87は、ボス部材86に対して一定範囲でのみ前後にスライド自在に挿通支持されるとともに、予め初期圧縮変形して押し引きロッド87に外嵌装着した圧縮コイルバネ88によって押し引きロッド87はボス部材86に対して前方スライド限界にスライド付勢されている。
【0036】
図7は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が前進の最高速である前進5速F5にある状態を示し、また、図8は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が後進の最高速である後進3速R3にある状態を示している。
【0037】
主変速レバー53が前進変速操作経路Fにある状態(図7の状態)でブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、牽制操作アーム85が図中反時計方向に回動されることで押し引きロッド87が前方(図では左方)に突き出され、牽制作動部材81は支点e周りに時計方向に揺動操作される。これによって、図9に示すように、牽制作動部材81は第1接当ピン82を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り反時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0038】
また、主変速レバー53が後進変速操作経路Rにある状態(図8の状態)でブレーキ操作具52を踏み込み操作するときには、牽制作動部材81の牽制金具81aが第2接当ピン83を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0039】
主変速レバー53が中立位置Nに到ると(図9の状態)、第1接当ピン82および第2接当ピン83が共に牽制作動部材81に接当することで、牽制作動部材81及び中継回動部材60は、主変速レバー53が中立位置Nとなる一定姿勢に保持される。
なお、牽制作動部材81の牽制金具81aを位置調節することで、第1接当ピン82および第2接当ピン83を共に牽制作動部材81に接当させて中継回動部材60を正確に中立復帰させることができる。
【0040】
ここで、圧縮コイルバネ88によって与えられた初期圧縮力は、主変速レバー53を強制移動させるのに必要な操作力より大きく設定されており、主変速レバー53が中立位置Nに到るまでは、圧縮コイルバネ88は操作反力で圧縮変形されることはない。そして、主変速レバー53が中立位置Nに到った後、更にブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、前方に移動不能となった押し引きロッド87に対して牽制操作アーム85が圧縮コイルバネ88を更に圧縮変形させながら図中反時計方向に回動されることで十分なブレーキ操作ストロ−クが確保される。
【0041】
副変速装置47は、植付け作業用の植付け変速状態と路上走行用変速状態の2段階に切り換え自在に構成されるとともに、この副変速装置47は運転座席15の左脇に配備された副変速レバー54で操作されるように構成されている。つまり、副変速レバー54が、植付け変速用操作位置と、路上走行用操作位置とに切り換え自在に設けられ、その切り換え操作に基づいて副変速装置47の変速状態が切り換わる構成となっている。そして、圃場での植付け作業中は、副変速装置47は植付け変速状態に維持されることになる。
【0042】
図10に示すように、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する制御弁29が備えられており、制御弁29により油圧シリンダ5に作動油が供給されると、油圧シリンダ5が収縮作動して苗植付装置4が上昇し、制御弁29により油圧シリンダ5から作動油が排出されると、油圧シリンダ5が伸長作動して苗植付装置4が下降するように構成されている。
【0043】
又、走行機体3に対するリンク機構6の昇降角度を検出するポテンショメータからなるリンク角センサS4が備えられて、リンク角センサS4の検出値が制御装置Hに入力されており、走行機体3に対するリンク機構6の角度を検出することにより、走行機体3に対する苗植付装置4の高さを検出することができるようになっている。
【0044】
運転部ステップ16の下方に位置する状態で燃料タンク30が設けられ、この燃料タンク30内の燃料貯留量を検出する燃料貯留量検出手段としてのフロート式の燃料センサS3が設けられている。図10に示すように、この燃料センサS3は、タンク上壁部31にポテンショメータ32が支持され、このポテンショメータ32に横軸芯周りに回動自在に支持された検出アーム33の先端部に燃料タンク30内の液面高さの変化によって上下するフロート34が備えられ、その検出アーム33の回動角をポテンショメータ32にて検出して、そのポテンショメータ32の検出情報であるフロート34の上下位置つまり液面高さによって、燃料タンク30内の燃料貯留量が検出されるように構成されている。
【0045】
又、運転座席15の前方に位置する操作パネル35には、報知手段の一例としてのブザー37(図10参照)が備えられ、燃料センサS3の検出情報に基づいて、燃料タンク30の燃料貯留状態が所定の燃料貯留状態になると、ブザー37が鳴動して報知するように構成されている。
【0046】
操作パネル35の中央部には、液晶表示パネルを用いた情報表示部36が備えられている。詳述はしないが、この情報表示部36には、例えば、苗のせ台21上に苗残量が少なくなったこと、燃料タンク30の燃料残量が残り少なくなったこと、バッテリーVの電圧が低下していること等の種々の情報が表示される。
【0047】
図10に示すように、ブレーキセンサS1、停止位置検出センサS2、燃料センサS3、リンク角センサS4の検出値が制御装置Hに入力されており、これ以外にも、エンジン12の回転数を検出するエンジン回転数センサS5が備えられ、このエンジン回転数センサS5の情報も制御装置Hに入力されるように構成されている。
【0048】
図11は、制御装置Hやその他の電装品への電源供給状態を示しており、この図に示すように、制御装置Hは、キーKにて操作されるキースイッチ90が電源入り位置(ON)に操作される(オン操作される)と、バッテリーVの電源が投入されて起動される。
キースイッチ90が電源切り位置(OFF)に操作(オフ操作)されても、直ちに電源の供給が停止されるのではなく、自己保持回路91によって電源供給が継続されるようになっており、キースイッチ90がオフ操作されたときにおける各部の動作状態を図示しない不揮発性メモリに書き込み記憶させたのちに、自己保持回路91を遮断して電源供給を停止するように構成されている。
【0049】
キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されたとき(エンジン始動が指令されたとき)には、バッテリーVとエンジン始動用モータ93との間の電源供給路に介装された起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12を始動させることになる。
尚、図示はしていないが、エンジン12に対する燃料供給量を変更調節自在な調速装置が備えられ、主変速レバー53の操作状態に対応して速度が大になるほど燃料供給量を増加させるように調速装置を連動操作する連動操作機構が備えられている。
【0050】
又、バッテリーVから制御装置Hを含む全ての電装品に対して電力を供給する主電源線95には、電力供給を断続自在な断続回路96が介装されており、この断続回路96は、制御装置Hからの指令によって電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができるように構成され、又、キースイッチ90にてエンジン始動が指令されたときに電力が供給されて作動する駆動回路97によっても電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができるように構成されている。
【0051】
そして、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている、つまり、電源入り位置(ON)に維持されている場合であっても、エンジン停止条件が成立するとエンジン12の作動を停止させるエンジン停止処理を実行し、その後、エンジン始動条件が成立するとエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0052】
このようなエンジン停止処理やエンジン始動処理は、圃場において苗植付け作業を行なっている場合に、例えば、苗植付け作業にて消費された植付け苗を補給する苗補給作業等を行うときに、エンジン12を一時的に停止させることにより、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。又、苗補給作業等が終了すると、エンジン12を始動させて苗植付け作業を行うことができる。
【0053】
前記エンジン停止条件は、停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されるという条件が設定されている。設定時間の継続操作を条件とするのは、誤操作により設定短時間が経過する間だけ、操作されることによりエンジン12を停止させないようにしたものである。
ちなみに、エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12に対する燃料供給を断続する燃料遮断弁74を遮断状態に切り換える構成である。尚、エンジン12を停止させるための構成として、エンジン12が点火プラグを備えるものであれば、点火プラグに対する通電を遮断する構成とするものでもよい。
【0054】
又、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている状態において、燃料センサS3の検出結果に基づいて、燃料タンク30が所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことをブザー37にて報知させる燃料用報知処理を実行するように構成され、且つ、キースイッチ90がオン操作されている状態において、エンジン停止処理を実行することによりエンジン12の作動を停止させているときは、燃料タンク30が所定の燃料貯留状態になっても燃料用報知処理を実行しないように構成されている。そして、前記所定の燃料貯留状態というのは、燃料タンク30の燃料貯留量が満量状態になったことである。
【0055】
次に、図12〜図14のフローチャートに基づいて、制御装置Hによる制御動作について説明する。
例えば、キースイッチ90をオフ操作することによりエンジン12の作動を停止させたのちに、運転者がキースイッチ90をオン操作させた状態で燃料補給作業を行うような場合、すなわち、キースイッチ90がオン操作され(ステップ1)、後述するようなエンジン自動停止処置を実行していない状態で(ステップ2)、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されておらず(ステップ3)、且つ、エンジン12が作動していないときに(ステップ4)、燃料センサS3の検出結果に基づいて燃料タンク30への給油中において燃料供給量が満量状態になったことを判別すると、ブザー37を作動させる(燃料用報知作動に相当)(ステップ5,6,7)。
【0056】
燃料タンク30への給油中であるか否かの判別について説明を加えると、燃料センサS3の検出値を設定単位時間毎に読み込み、その検出値が設定回数(例えば数回)連続して増えると燃料貯留量が増加していると判断し、検出値が減少することなく、増加していると判断する状態が設定回数にわたり発生すると、燃料補給中であると判別するようになっている。そして、そのような燃料補給中に燃料センサS3の検出値が満量状態に相当する値(具体的には、検出アーム33がストッパーstに当たる位置にまで回動している状態の検出値)になると、満量状態であると判別するのである。
【0057】
そして、給油中に満量状態であることを判別してブザー37による報知作動を実行しているときに、運転者がそのことを認識して、給油作業を停止して操作パネル35に備えられた報知停止スイッチ38(図10参照)を操作すると報知作動を停止する(ステップ8,9)。
尚、報知停止スイッチ38を操作する代わりに、キースイッチ90をオフ操作するか又は始動位置(ST)に操作すると、報知作動を停止するようになっている(ステップ19,20,24,25)。
【0058】
キースイッチ90がオン操作されている状態であって且つエンジン自動停止処置を実行していない状態において、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2がオン状態になり(ステップ3)、その状態が設定時間(数秒間)以上継続すると(ステップ10)、苗植付装置4の上昇操作(ステップ11)を実行したのちに、燃料遮断弁74を遮断状態に切り換えてエンジン12を停止させるエンジン停止処理を実行する(ステップ12)。
【0059】
ステップ11の苗植付装置4の上昇操作について説明を加えると、リンク角センサS4の検出情報に基づいて、油圧シリンダ5を収縮作動させるように制御弁29を制御して、苗植付装置4を最大上昇位置にまで上昇させる操作を実行する。
【0060】
尚、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されてエンジン12が停止したのちに、運転者が主変速レバー53から手を離しても、弾性抵抗部材79による抵抗力により主変速レバー53はエンジン停止位置Qに維持される。
【0061】
制御装置Hは、エンジン停止処理を実行する場合、それまで実行していた苗植付け作業における各部の動作状態(苗植付装置4の種々の作業条件等)について図示しない不揮発性メモリに記憶しておき、エンジン12を始動させて作業を再開するときに、記憶していた動作状態と同じ状態で作業を行うようにしている。
【0062】
エンジン停止処理を実行してから設定時間が経過しても、後述するようなエンジン始動条件が成立しないときは(ステップ13)、バッテリーVの放電を防ぐために電源供給を遮断するようになっている(ステップ18)。具体的には、断続回路96に電力遮断状態への切り換えを指令して断続回路96を遮断させ、すべての電装品への電力供給を遮断させる。
【0063】
このように電力遮断状態に切り換えられたのち、電力供給状態を再開させたりエンジン12を始動させるためには、運転者がキースイッチ90を始動位置(ST)に操作することで対応できる。つまり、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されると、駆動回路97が作動して断続回路96を電力供給状態に切り換えるので、制御装置Hやその他の電装品にも電力が供給され、エンジン12の始動も行われることになる。
【0064】
エンジン停止処理によってエンジン12を停止させている場合、エンジン停止処理を実行してから設定時間が経過するまでの間に、エンジン始動条件が成立すると、すなわち、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されることにより、ブレーキセンサS1がオフ状態からオン状態に切り換わったことが検出され(ステップ15)、さらに、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから外れて、停止位置検出センサS2がオフ状態に切り換わると(ステップ16)、エンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行する(ステップ17)。すなわち、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始させてエンジン12の回転操作を開始した後、エンジン回転数センサS5にて検出されるエンジン回転数が設定回転数以上になってエンジン12が始動したことが検出されると、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させる。
【0065】
尚、運転者がブレーキ操作具52を踏み操作している状態で、主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作してエンジン12を停止させたような場合には、ブレーキセンサS1はオン状態に維持されているが、そのときは、オフ状態からオン状態への切り換わりではないので、ステップ15における切り換えの判別は行われず、エンジン12が始動することはない。又、エンジン12が停止したのちに、運転者が一旦、ブレーキ操作具52の踏み込み操作を解除してブレーキセンサS1をオフ状態に切り換えたのちに、再度、ブレーキ操作具52を踏み込み操作すると、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出されてエンジン12が始動することになる。
【0066】
エンジン停止処理(ステップ12)を実行してエンジン12の作動を停止させているときに、燃料センサS3の検出情報に基づいて燃料補給状態が検出され、燃料タンク30への給油が行われたことが判別された場合には、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりに基づいてエンジン12を始動させる処理を実行しないようになっている(ステップ14,1,2,13)。
尚、この場合には、キースイッチ90を始動位置(ST)に操作することにより、エンジン12を始動させることができる(ステップ21)。又、キースイッチ90を始動位置(ST)に操作すると、上述したように、ブザー37による報知作動を実行しているときには、報知作動を停止させることになる(ステップ19,20)。
【0067】
キースイッチ90がオン操作されている状態から、キースイッチ90がオフ操作されると、そのときエンジン12が作動中であれば、エンジン12の作動を停止させ、且つ、ブザー37による報知作動を実行しているときには、報知作動を停止させることになる(ステップ22〜25)。
【0068】
上述の説明では、エンジン停止処理を実行することによりエンジン12の作動を停止させているときには、燃料用報知処理を実行しない点について説明したが、エンジン停止処理を実行していない場合であっても車体が大きく傾斜しているような場合には、燃料用報知処理を実行しないようになっている。
すなわち、車体の傾斜角(前後方向での傾斜角あるいは左右方向での傾斜角、又は、それらの両方の傾斜角)を検出する傾斜角センサ(図示せず)が備えられ、この傾斜角センサの検出値が設定角を超えており、給油に適した姿勢ではない場合には、燃料用報知処理を実行しないようにしている。
【0069】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、所定の燃料貯留状態として、燃料補給中に満量状態になったことが判別されると、報知手段としてのブザー37による報知処理を実行するようにしたが、所定の燃料貯留状態としては、例えば、燃料貯留量が予め設定されている中間値になったことを判別するようにしたり、燃料貯留量が小側の設定量よりも少なくなったことを判別する等、種々の形態で実施することができる。又、報知手段としては、文字情報、画像情報、光の点滅等にて報知する表示式の報知手段により報知する構成としてもよく、ブザー37に代えて、音声情報(例えば、「燃料タンクが満杯になりました」という音声等)で報知するスピーカを用いるようにしてもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、キースイッチ90以外の他の操作具Dとして主変速レバー53を用いるようにしたが、このような構成に代えて、次の(2−1)〜(2−3)に記載の構成としてもよい。
【0071】
(2−1)キースイッチ90以外の他の操作具Dとして、例えば、押しボタンスイッチ等からなるエンジン停止専用の停止用操作具(図示せず)を備えて、エンジン停止用操作検出手段として、停止用操作具が操作されたことを検出する検出センサ(図示せず)を備え、停止用操作具が設定時間以上継続して操作されると、例えば主変速レバー53がいずれの操作位置に操作されていてもエンジン12を停止させる構成としてもよい。又、上記検出センサは、搭乗運転部の操作パネル35に設ける構成だけでなく、主変速レバー53等の各種の操作レバーの握り部に設ける構成としてもよい。
【0072】
(2−2)ブレーキ操作具52が、キースイッチ90以外の他の操作具Dとして機能するものでもよい。つまり、エンジン12が作動している状態で、ブレーキ操作具52を新たに操作してブレーキセンサS1がオンとなり、そのオン状態が長めに設定された設定時間(例えば、数秒〜数十秒間)継続すると、例えば、主変速レバー53がいずれの操作位置に操作されていてもエンジン12を停止させる構成としてもよい。
【0073】
(2−3)エンジン12から主変速装置41への伝動途中に主クラッチ(図示せず)と、この主クラッチを入切操作するクラッチ操作具(図示せず)とを備える構成とし、エンジン停止用操作検出手段として、クラッチ操作具による主クラッチ切り操作が行われたことを検出する検出センサ(図示せず)を備え、クラッチ操作具による主クラッチ切り操作が設定時間以上継続して操作されると、主変速レバー53がいずれの操作位置に操作されていてもエンジン12を停止させる構成としてもよい。
【0074】
(3)上記実施形態では、ブレーキ操作具52が操作されると、主変速レバー53が中立位置Nに強制的に復帰するように連動連係する構成とし、ブレーキ操作具52が操作されるとエンジン12を始動させる構成としたが、このような構成に代えて、エンジン12から主変速装置41への伝動途中に主クラッチ(図示せず)と、この主クラッチを操作するクラッチ操作具(図示せず)とを備える構成とし、ブレーキ操作具52あるいはクラッチ操作具のいずれかが操作されると、エンジン12を始動させる構成としてもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、主変速レバー53がネジリバネ70により走行停止位置として前進側中立位置Nfに復帰付勢される構成としたが、主変速レバー53が走行停止位置として後進側中立位置Nrに復帰付勢される構成としてもよい。
【0076】
(5)上記実施形態では、作業車として乗用型田植機を例示したが、本発明は乗用型直播機や乗用型耕耘機等の作業車にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の作業車であって、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるように構成されている作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
12 エンジン
30 燃料タンク
37 報知手段
90 キースイッチ
D 他の操作具
H 制御手段
S3 燃料貯留量検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちに前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行する制御手段が備えられている作業車であって、
燃料タンク内の燃料貯留量を検出する燃料貯留量検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことを報知手段にて報知させる燃料用報知処理を実行するように構成され、且つ、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行することにより前記エンジンの作動を停止させているときは、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別しても、前記燃料用報知処理を実行しないように構成されている作業車。
【請求項2】
前記所定の燃料貯留状態が、前記燃料タンクの燃料貯留量が満量状態になったことである請求項1記載の作業車。
【請求項1】
キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちに前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行する制御手段が備えられている作業車であって、
燃料タンク内の燃料貯留量を検出する燃料貯留量検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別すると、そのことを報知手段にて報知させる燃料用報知処理を実行するように構成され、且つ、
前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行することにより前記エンジンの作動を停止させているときは、前記燃料貯留量検出手段の検出結果に基づいて、前記燃料タンクが所定の燃料貯留状態になったことを判別しても、前記燃料用報知処理を実行しないように構成されている作業車。
【請求項2】
前記所定の燃料貯留状態が、前記燃料タンクの燃料貯留量が満量状態になったことである請求項1記載の作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−43476(P2013−43476A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180712(P2011−180712)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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