作物収穫機
【課題】本発明は、作物収穫機による収穫作物の満杯状態で回収するための検出をセンサで精度よく行えるようにすることにある。
【解決手段】本発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部41と、収穫作物を回収する回収部60を備えた作物収穫機において、回収部60に収穫作物を搬送するコンベヤ41の搬送終端部に回収部60に回収された収穫作物の嵩を検出する接触式センサ75を備え、接触式センサ75はコンベヤ41の搬送終端部に横軸心周りに揺動自在に支持された検出板77を備え、検出板77は横軸心より下方に向けて配設されているとともに、収穫作物の検出に伴ってコンベヤ41の底部に近接する側に変位するように配設してある。
【解決手段】本発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部41と、収穫作物を回収する回収部60を備えた作物収穫機において、回収部60に収穫作物を搬送するコンベヤ41の搬送終端部に回収部60に回収された収穫作物の嵩を検出する接触式センサ75を備え、接触式センサ75はコンベヤ41の搬送終端部に横軸心周りに揺動自在に支持された検出板77を備え、検出板77は横軸心より下方に向けて配設されているとともに、収穫作物の検出に伴ってコンベヤ41の底部に近接する側に変位するように配設してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部と、収穫作物を回収する回収部等を備えた作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の作物収穫機として、従来、例えば特許文献1に示されているように、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫部の後方に位置し、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、搬送部で搬送された収穫作物を受け継いで機体横方向に搬送しながら選別する選別部と、前記選別部から受け継いだ収穫作物を機体前方に搬送しながら回収しやすいように持ち上げる持上げ部と、持上げ部の前側で収穫作物を回収する回収部とを備えているものがある。特許文献1では、回収部の固定の枠体に収容袋の収穫作物の受入れ口の周辺を支持するとともに、昇降台に収容袋の底部分を載置し、収容袋の収穫作物の受入れ口に臨ませる状態で機体固定部に発光部と受光部を対向配置した光センサを設置した技術が知られている。
【0003】
これによれば、収容袋を載置した昇降台を上昇させた状態で収穫作物を収容袋に収容し、収容量が増えて発光部から発した光ビームが収容した収穫作物で遮られると、収容物が所定高さを超える収容量になったことを検出し、昇降台を下降させ光ビームが受光部に感知すると昇降台の下降と停止し、これを繰り返して昇降台が最下降位置に達するとこれ報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−287343号公報(図2、図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されている光センサは、発光部と受光部とを受入れ口で大きく離間して配置することによってセンサが邪魔にならないように配置できる利点があるが、ある1本の線上の位置する高さしか検出しないので収容袋の状態や収穫作物に性状によって満杯となるときの収容量にバラツキが大きくなる不都合がある。
【0006】
本発明は、作物収穫機による収穫作物の満杯状態で回収するための検出を単一のセンサで精度よく行えるようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部と、収穫作物を回収する回収部を備えた作物収穫機において、
前記回収部に収穫作物を搬送するコンベヤの搬送終端部に、前記回収部に回収された収穫作物の嵩を検出する接触式センサを備え、前記接触式センサは前記コンベヤの搬送終端部に横軸心周りに揺動自在に支持された検出板を備え、当該検出板は前記横軸心より下方に向けて配設されているとともに、収穫作物の検出に伴って前記コンベヤの底部に近接する側に変位するように配設してある。
【0008】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、回収部に収穫作物を搬送するコンベヤの搬送終端部に、回収部に回収された収穫作物の嵩を検出する検出板を備えた接触式センサを備えてあるので、例えば検出板の幅を大きくすることにより、収穫作物を幅広く検出することが容易に行える。検出板は下方に向けて配設して収穫作物の検出に伴ってコンベヤの底部に近接する側に変位するように配設してあるので、検出板で収穫作物を検出するに当たって検出板の動きが、回収部での収穫作物の回収の邪魔にならない。
【0009】
〔第1発明の効果〕
第1発明によれば、接触式センサの検出板により幅広く収穫作物を検出でき、又、収穫作物の検出に当たって検出板の動きが回収部での収穫作物の回収の邪魔にならないので検出精度が向上するようになった。
【0010】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記接触式センサの横軸心からの前記検出板の長さを調節自在に構成してある。
【0011】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、同種の収穫作物の場合は、検出板の長さを変更することによって満杯量を変更することができるとともに、種類の異なる収穫作物の場合、或いは性状の異なる収穫作物の場合は、収穫作物の種類や性状に適した満杯量に設定することができる。
【0012】
〔第3発明の構成〕
第3発明は、第1発明または第2発明の構成において、前記回収部に、回収体を昇降させる昇降装置を備え、前記接触式センサにより回収体内の収穫作物の嵩の検出に基づいて前記昇降装置を下降させることにより前記回収体を下降させるように構成してある。
【0013】
〔第3発明の作用効果〕
第3発明によれば、コンベヤの搬送終端部から落下する収穫作物を回収体で回収する場合、回収体が空のときは、回収体を昇降装置で上昇させて収穫作物の落下距離が短くなるようにし、回収体への収穫作物の回収に伴って昇降装置で回収体を下降させることができるので、コンベヤの搬送終端部からの収穫作物の落下距離を終始短くでき、落下による衝撃で収穫作物の品質を低下させることを抑制できる。
【0014】
〔第4発明の構成〕
第4発明は、第3発明の構成において、前記昇降装置に前記回収体を支持する支持部を上下揺動自在に備え、前記支持部を初期状態では上向き姿勢で、前記回収体への収穫作物の回収に伴って前記コンベヤの搬送終端部から離れる方向に向けて下方に揺動するように構成するとともに、前記横軸心よりも下方に向けて配設した前記検出板を、収穫作物の検出に伴って、前記コンベヤ側に揺動させるように構成してある。
【0015】
〔第4発明の作用効果〕
第4発明によれば、回収体への収穫作物の回収に伴って回収体を支持する支持部をコンベヤの搬送終端部から離れる方向に向けて揺動させるとともに、収穫作物の検出に伴って検出板をコンベヤ側に揺動させることで、回収体(支持部)と検出板とが互いに離れる方向に揺動することになるので、回収体乃至支持部と、検出板とが干渉しないで収穫作物を満杯となるまで回収することができる。
【0016】
〔第5発明の構成〕
第5発明は、第3発明または第4発明の構成において、前記接触式センサの検出板が所定角度以上揺動された状態が所定時間継続すると前記昇降装置を所定量下降させるように構成してある。
【0017】
〔第5発明の作用効果〕
第5発明によれば、検出板が所定角度以上揺動した状態が所定時間継続すると昇降装置を下降させるので、検出板が収穫作物の跳ね返りや移動により一時的に動いた分は無視されることとなり、昇降装置の不要な動きを防止できるに至った。
【0018】
〔第6発明の構成〕
第6発明は、第3発明〜第5発明のいずれかの構成において、前記回収体は可撓性の袋である。
【0019】
〔第6発明の作用効果〕
第6発明によれば、収穫作物を回収する袋内で収穫作物に直接検出板を接当させることにより収穫作物の嵩を検出することも、袋の膨れ具合を検出板で検出して収穫作物の嵩を検出することも、いずれも良好に検出することができ、接触式センサによる収穫作物の検出の仕方並びに袋の取り扱いがし易い。
【0020】
〔第7発明の構成〕
第7発明は、第1発明〜第6発明のいずれかの構成において、前記回収部に収穫作物を搬送する前記コンベヤは前記選別部の選別コンベヤである。
【0021】
〔第7発明の作用効果〕
第7発明によれば、選別コンベヤで不良品を除去して出荷に適した良好な収穫作物を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】作物収穫機の全体の左側面図である。
【図2】作物収穫機の全体の右側面図である。
【図3】作物収穫機の全体の平面図である。
【図4】搬送部と持上げ部と選別部の位置関係を示す作物収穫機の全体の背面図である。
【図5】搬送部と持上げ部と選別部を示す背面図である。
【図6】持上げ部と選別部を示す右側面図である。
【図7】(a)は持上げ部上部の一部縦断右側面図、(b)は持上げ部の無端帯の縦断正面図である。
【図8】(a)は選別部の一部縦断正面図、(b)は選別部の無端帯の縦断側面図である。
【図9】回収部の吊り下げアームを下降させた状態を示す右側面図である。
【図10】(a)は非検出状態を示すセンサの右側面図、(b)は収穫作物の検出状態を示すセンサの右側面図である。
【図11】(a)は回収部の吊り下げアームを上昇させた状態を示す右側面図、(b)は回収部の袋詰めをしている吊り下げアームの下降途中を示す右側面図である。
【図12】ブロック図である。
【図13】(a)は検出板と検出アームを示す側面図、(b)は同正面図である。
【図14】回収部における昇降装置の昇降制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は作物収穫機の全体の左側面図、図2は同右側面図、図3は作物収穫機の全体の平面図である。これらの図に示すように、作物収穫機は、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走するように構成され、かつエンジン2と、エンジン2の上方に位置する運転座席3が備えられた運転部4とを有した自走機体5と、この自走機体5の左横側部に設けられ、収穫作物としての一例の人参を圃場から収穫する収穫部10と、この収穫部10の後方に位置し、人参を機体後方側に水平に搬送する搬送部としての搬送コンベヤ21と、この搬送コンベヤ21の横側に配置され、搬送コンベヤ21で搬送された人参を受け継いで機体横方向上方に搬送する持上げ部としての持上げコンベヤ24と、この持上げコンベヤ24から受け継いだ人参を作業者に選別されながら機体後方側に搬送する選別部としての選別コンベヤ41と、選別コンベヤ41の搬送下手側である後方で人参を回収する回収部60とを備えている。
【0024】
すなわち、この作物収穫機は、人参の収穫作業を行う。
前記収穫部10は、左右一対の引起し装置11,11によって人参の茎葉を引き起こし、人参の横側の土中に入り込ませた土ほぐし刃12による振動付与によって引き抜きやすくなった人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る引き抜きベルト13,13によって挟持して機体後方向きに持ち上げ搬送することにより、人参を圃場から抜き上げて収穫する。この収穫部10は、前記引き抜きベルト13によって収穫した人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る茎葉除去ベルト14,14によって挟持搬送することにより、収穫した人参を吊り下げ状態で機体後方向きに搬送し、回転カッター15によって茎葉を切断して茎葉と人参とを分離させ、人参を搬送コンベヤ21に落下させ、茎葉を茎葉除去ベルト14によって回転カッター15よりも後方に搬送してシュート16に落下させ、落下した茎葉を前記搬送コンベヤ21の後半部で受け止めて搬送終端部21bから機体後方の機外に排出する。
【0025】
引起し装置11の前方には茎葉を分草するデバイダ7が設けられており、引き抜きベルト13,13の挟持搬送始端部で構成される引き抜き部8よりも前方で、デバイダ7の後部に引き抜き部8の高さ(或いは掘り取り深さ)を検出するセンサ9を備えている。引き抜き部8の前後位置に相当する収穫部10の右側部に、デバイダ7や引起し装置11の突っ込みを防止するとともに引き抜き部8の最低地上高を確保するための支持輪17を取り付けてある。
【0026】
前記収穫部10は、油圧シリンダ18の伸縮作動により、揺動軸心P周りに上下に揺動自在に構成されている。運転座席3の前方の運転部4に設けた操作レバー19を後方に操作すると収穫部10が上昇し、操作レバー19を前方に操作すると収穫部10が下降し、支持輪17が接地する少し前に前記センサ9が接地する。センサ9が接地している状態では、支持輪17が略接地する高さに維持されるように、センサ9の検出結果に基づいて収穫部10が昇降制御される。支持輪17が接地している状態では、この接地輪17により収穫部10はこれ以上下降されない。即ち、支持輪17により収穫部10の最低地上高を確保することができる。
【0027】
前記搬送コンベヤ21の搬送中間部に到達した人参は、搬送コンベヤ21から横側部に送る横送り体としての横送りローラ22によって搬送コンベヤ21から機体横側に送り出されて上方へ搬送する持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに供給される。横送りローラ22は、搬送コンベヤ21の搬送上面から所定の隙間を置いて搬送コンベヤ21の上側に配置されており、細かいゴミや土、或いはシュート16から搬送コンベヤ21上に落下した茎葉は、横送りローラ22の下を通って後方に搬送されて排出される。横送りローラ22により持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに供給された人参は、持上げコンベヤ24で機体前後方向中央部の左下から右上に向けて持ち上げ搬送されて、運転座席3の後方の位置から自走機体5の後方に向う選別コンベヤ41に落下供給される。
【0028】
前記横送りローラ22は、搬送コンベヤ21の搬送作用面上に近接してされており、搬送コンベヤ21で搬送されている人参を持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに向けて移送されるように方向転換させる。持上げコンベヤ24の搬送始端部24aは搬送コンベヤ21の下方位置に臨ませ、持上げコンベヤ24の搬送終端部24bは選別コンベヤ41の搬送作用面上に臨ませてある。
【0029】
前記選別コンベヤ41の左右両側には選別作業者用の座席42,42を配置し、これらの下方に床板43を設けている。これにより、座席42に着座した選別作業者は、選別コンベヤ41によって機体後方に向けて若干持ち上げ搬送される人参を見て、収穫に適した大きさや形状などの性状を備えた収穫適合人参と、収穫に適した性状を備えない収穫非適合人参とに選別し、収穫非適合人参を選別コンベヤ41から人為的に取り出し、収穫適合人参は選別コンベヤ41に残され回収部60に搬送される。
【0030】
図3〜図7に示すように、前記持上げコンベヤ24は、前後一対のコンベヤフレーム25,25を備えるとともに、コンベヤフレーム25の下端部に駆動回動自在に設けた始端輪体26と、前記コンベヤフレーム25の上端部に遊転自在に設けた終端輪体27と、始端輪体26と終端輪体27とに亘って巻回した無端帯28を備えている。
【0031】
前記無端帯28は、無端帯28の横幅方向に並ぶ一対の無端回動チェーン28a,28aと、無端帯28の長手方向に並べて前記一対の無端回動チェーン28a,28aに連結されたコンベヤバー28bと、所定間隔を隔ててコンベヤバー28bに代えて配設された搬送係止片28cとを備えて構成してある。所定間隔毎に無端帯28に備えられた多数の搬送係止片28cは、隣接する搬送係止片28c,28c間に載置された人参に対する傾斜面下方への所定間隔以上の転がりを防止するストッパーとして機能している。
【0032】
無端帯28の搬送始端部24aは、前記搬送コンベヤ21の側部から下方に臨んでいる。無端帯28は、搬送始端部24aが緩傾斜で徐々に急傾斜状態に持ち上がり、搬送中間部24cから搬送終端部24bの近くまで直線的な急傾斜となり、搬送終端部24bで水平となる搬送作用面が形成されている。無端帯28の搬送始端部24bにおける搬送作用面の裏面側の左右に直線状緩傾斜にチェーン案内杆29を設けるとともに、搬送作用面側の左右に上方ほど急傾斜となる湾曲状のチェーン案内杆30を設け、搬送中間部24cから搬送終端部24bの近くまで直線的急傾斜で、且つ搬送終端部24bで水平に屈曲したチェーン案内杆31を設け、チェーン案内杆31の水平延長線上に巻回外周部が位置するように終端輪体27を配設してある。更にチェーン案内杆31の上端の屈曲部に対応する下方の戻り経路側に遊転自在に支持した戻りガイド輪体32と、戻り経路の中間部に設けた戻りガイド輪体33と、中間部の戻りガイド輪体33より無端帯28を下方に案内する大径ガイド転輪34と、大径ガイド輪体34の経路下手側で大径ガイド輪体34の軸芯周りに揺動するテンション輪体35を備えている。
【0033】
前記搬送コンベヤ21上に落下した人参は横送りローラ22により持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに落下供給され、持上げコンベヤ24に落下供給された人参は搬送係止片28cに受け止められて選別コンベヤ41の搬送始端部41aの上方に向けて搬送され、無端帯28が終端輪体27で回動される位置まで搬送されると、選別コンベヤ41の搬送始端部41aに落下供給される。
【0034】
図3、図6及び図8に示すように、前記選別コンベヤ41は、左右一対の選別フレーム44,44を備えるとともに、選別フレーム44の前端部に駆動回動自在に設けた始端輪体45と、前記選別フレーム44の後端部に遊転自在に設けた終端輪体46と、始端輪体45と終端輪体46とに亘って巻回した無端帯47を備えている。
【0035】
前記無端帯47は、無端帯47の横幅方向に並ぶ一対の無端回動チェーン47a,47aと、無端帯47の長手方向に並べて前記一対の無端回動チェーン47a,47aに連結されたコンベヤバー47bと、所定間隔を隔ててコンベヤバー47bに代えて配設された搬送係止片47cとを備えて構成してある。所定間隔毎に無端帯47に備えられた多数の搬送係止片47cは、隣接する搬送係止片47c,47c間に載置された人参に対する傾斜面下方への前記所定間隔以上の転がりを防止するストッパーとして機能している。
【0036】
持上げコンベヤ24で搬送された人参が選別コンベヤ41に落下供給される範囲の選別コンベヤ41の搬送始端部41aの前後の受け継ぎ範囲は水平で、搬送始端部41aの後部位置より搬送終端部41bの位置まで直線状の登り緩傾斜の搬送作用面に形成されている。無端帯47の搬送始端部41aにおける搬送作用面の裏面側の左右に水平なチェーン案内杆49を設けるとともに、略水平な搬送始端部41aの範囲の後部における左右の無端回動チェーン47aの上面に搬送ガイド輪体50を備え、搬送ガイド輪体50の後方から搬送終端部41bにかけて直線状にチェーン案内杆51を設け、チェーン案内杆51の延長線上に巻回外周部が位置するように終端輪体46を配設してある。更に傾斜した戻り経路側における無端回動チェーン47aの下側に直線状にチェーン案内杆52を設け、水平な搬送作用面に対応する戻り経路となる屈曲部に遊転自在に支持した戻りガイド輪体53を備えている。
【0037】
前記持上げコンベヤ24の搬送終端部24bより選別コンベヤ41の搬送始端部41aに落下供給された人参は搬送終端部41bの後方に設けられた回収部60に向けて搬送される。その搬送中に選別コンベヤ41の左右に設けられた座席42に着座している選別作業者により人参を収穫適合人参と収穫非適合人参とに選別され、収穫非適合人参が取り出されるが、選別コンベヤ41の搬送作用面は緩傾斜に形成されているので、搬送中の振動等で人参が後方(搬送上手側)に転がりやすい。しかも、選別コンベヤ41を構成する無端帯47には、所定間隔毎に無端帯47の搬送面に対して略直交する外方、即ち、人参搬送面に対して上方に、上記所定間隔の範囲でだけ人参の転がりを許容するためのストッパーとして機能する搬送係止片47cを備えてあるので、無端帯47上での人参が転がる長さは所定範囲以内となり、これにより人手で全ての人参を手に持って全周を確認しなくても収穫非適合人参を選別除去しやすくなっている。
【0038】
図3、図4、図9〜図11に示すように、前記回収部60には、回収体としての可撓性の布袋73を昇降させる昇降装置61が備えられている。前記昇降装置61は、布袋73を支持して基部枢支部64c周りに持上げ姿勢から水平姿勢に亘って揺動する平面視門形の吊り下げアーム64と、この吊り下げアーム64を昇降させる左右一対の油圧シリンダ65とを備えている。
自走機体5の後端の機体フレーム6に選別コンベヤ41の下方に位置する状態で、門形フレーム62を立設し、門形フレーム62の後方に左右一対の支持フレーム63を固定してある。
前記吊り下げアーム64は、左右の吊り下げアーム部分64b,64bの先端に横杆64aが連結され、基部が左右の支持フレーム63の背後に取り付けた取付けブラケット63aに枢支連結されている。吊り下げアーム64には、鉤状の複数個の袋吊り下げ支持金具66を備えている。前記左右一対の油圧シリンダ65は、左右の吊り下げアーム部分64b,64bの中間と支持フレーム63の背後に取り付けた取付けブラケット63bとの間に備えられている。
【0039】
側面視で、前記吊り下げアーム64の基部枢支部64cと、油圧シリンダ65の基部枢支部65aとの間において、油圧シリンダ65の基部枢支部65aに近いに箇所における門形フレーム62の部分に取付けブラケット62bを設け、板状の袋支持台67を取付け部材67bを介して枢支部67c周りに取付けブラケット62bに上下揺動自在に枢支連結してある。袋支持台67の左右側部と左右の吊り下げアーム部分64bとに亘ってチェーン68やワイヤ又はロープを連結している。図9に示すように、吊り下げアーム64を水平状態にしたときには袋支持台67が支持フレーム63に沿う垂下姿勢となり、図11(a)に示すように、吊り下げアーム64を最上昇位置まで上昇させたときには、袋支持台67の支持面67aが略水平姿勢となるように連係させてある。
【0040】
前記支持フレーム63の下端は機体フレーム6の下端よりも地面に近い下方に延設してあり、左右の支持フレーム63の両下端部の背面を連結杆69で連結してある。前記袋支持台67は垂下姿勢で連結杆69の位置まで伸びており、連結杆69の左右背面にゴム製の緩衝材70を圧入して、袋支持台67が垂下姿勢で前後に揺れても緩衝材70により金属音が発生しないようにしてある。
【0041】
図9に示すように、左右の選別フレーム44の後端部に、布袋73内に収容した人参の収容高さを検出する接触式センサ75を備えている。接触式センサ75は、人参に接触することにより人参を検出する検出操作部76とポテンショメータでなるボリューム81とで構成されている。前記検出操作部76は、前記左右の選別フレーム44,44間に亘る横幅を有し、人参に接触して人参の位置を検出する検出板77と、左右の選別フレーム44の外面に横軸心x周りに揺動自在に支持された状態で検出板77を取り付けた検出アーム78と、検出板77をバランス位置に付勢するコイルスプリング79と、ボリューム81のアーム82を揺動させる検出レバー80とで構成されている。前記検出板77は、前記横軸心xより下方に向けて配設されているとともに、人参の検出に伴って選別コンベヤ41の底部に近接する側に変位するように配設されている。
【0042】
図12に示すように、前記吊り下げフレーム64が図9に示す下限の水平姿勢になると、それを検知しコントローラ59を介して電磁弁71を中立復帰させて油圧シリンダ65の収縮作動を停止させるためのリミットスイッチからなる下限センサ84を備えている。
又、前記下限センサ84が吊り下げフレーム64の下限姿勢を検知している状態で、接触式センサ75が人参の検出作動をしたときに、それを報知するブザー85及び警報ランプ86を備えた警報器87を備えている。ブザー85については警報停止信号を発信する手動操作式の警報停止スイッチ88を備えてあり、点灯した警報ランプ85は人参が満杯となった布袋73を取り外す等して接触式センサ75が人参を感知しなくなると消灯するように構成してある。
【0043】
収穫作業を行うときには、布袋73に設けた複数の紐83をそれぞれ袋吊り下げ支持金具66に係止或いは括り付ける。図11(a)に示すように、油圧シリンダ65を伸長して吊り下げアーム64を上昇させて、袋支持台67を水平姿勢まで上昇させる。この状態で収穫作業を開始すると、収穫された人参は収穫部10、搬送コンベヤ21、持上げコンベヤ24、選別コンベヤ41へと搬送され、選別コンベヤ41で搬送された人参は、布袋73の開口部74から袋内へ順次回収される。袋支持台67が水平の状態で袋内への人参が収容されていき、人参が検出板77に到達すると、接触式センサ75の検出板77がコイルスプリング79に抗して選別コンベヤ41の底部に近接する側に変位するように揺動して、検出レバー80がボリューム81のアーム82を図9の時計回りに上昇揺動させる。
【0044】
これによりボリューム81の検出値が変化し、油圧シリンダ65の電磁弁71がアンロード側に開いてピストンロッド72が収縮作動し、吊り下げアーム64が下降する。これに伴って吊り下げアーム64とチェーン68で連係した袋支持台67が下降する。布袋73が下降すると人参全体が下降するので、人参による検出板77への押圧力がなくなり、ボリューム81は元の位置に戻る。これにより電磁弁71が中立に戻り、油圧シリンダ65が停止し、袋支持台67の下降が止まる。引き続き袋内に人参が回収されると、再び人参が検出板77に到達し、検出板77が揺動してボリューム81の検出値が変化し、前述の袋支持台67の動作が繰り返され、布袋73が下降する。吊り下げアーム64が水平状態まで下降したときには、これを下限センサ84が検知して電磁弁71が閉じ油圧シリンダ65が停止する。このとき、袋支持台67は垂下状態になり、布袋73は紐83で吊り下げられた状態となる。この状態で更に人参が布袋73に供給されて接触式センサ75が人参を検知すると、ブザー85及び警報ランプ86による警報器87で布袋73が満杯状態となったことが報知される。
【0045】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、袋支持台67を油圧シリンダ65を電磁弁71の切り換えによって動かしている構成を示したが、油圧シリンダ65及び電磁弁71に代えて、電動シリンダと電動モータとを用いて、ボリューム81の検出値の変化で電動モータを作動させて電動シリンダを伸縮作動するように構成してもよい。
【0046】
(2)図13に示すように、前記検出アーム78と検出板77とを支軸89周りに回動自在に枢支連結する。検出アーム78に支軸89の軸心を中心とした複数の孔90を形成する。複数の孔90のうちから選択された一つの孔90と検出板77に形成した一つの孔とをボルト91で固定することにより、検出板77と検出アーム78との間の取付け角度を変更可能に構成してある。又、検出板77を板本体77aとスライド板77bとで構成する。板本体77aの左右の側板77cにガイド片77dを取り付け、スライド板77bを板本体77aとガイド片77dの間に通してスライド板77bを板本体77aに対してスライド自在に構成する。ガイド片77dにネジ孔を形成し、このネジ孔にボルト77eを螺合して、スライド板77bをボルト先端と板本体77aとの間で挟持固定する。そして、左右のボルト77eを緩めてスライド板77bをガイド片77dに沿って移動させて再度、ボルト77eで固定することにより、検出板77の長さを調節できるようにしてある。検出アーム78に対する検出板77の角度調節と検出板77の長さを調節することにより、接触式センサ75の検出感度を調節できるようにしてある。
【0047】
(3)主たる実施の形態では、接触式センサ75の検出板77が所定角度以上揺動されると昇降装置61を所定量下降させるように構成してあるが、接触式センサ75の検出板77が所定角度以上揺動された状態が所定時間継続したときに昇降装置61を所定量下降させるように構成してもよい。
【0048】
すなわち、図14に示すように、昇降装置61の昇降制御において、接触式センサ75の検出値Aが設定値Bを超えたかどうかを判定し(ステップ#1)、A>Bであると、タイマーを作動させて(ステップ#2)、タイムカウントをする(ステップ#3)。接触式センサ75の検出値Aが設定値B以下になったかどうかを判定し(ステップ#4)、A≦Bであると、タイマーをリセットし(ステップ#5)、A>Bを維持しているときは、タイマーが設定時間を越えたかどうかを判定し(ステップ#6)、タイマーの計測時間が設定時間を越えていない場合はタイムのカウントを継続するようにステップ#3、#4、#6を繰り返す。この繰り返しの途中で接触式センサ75の検出値AがA≦Bとなるとタイマーはリセットされる(ステップ#5)。ステップ#6でタイマー(カウント時間)が設定時間を越えるとタイマーをリセットし(ステップ#7)、油圧シリンダ65を収縮させる側に電磁弁71を開く(ステップ#8)。これにより、油圧シリンダ65が収縮し、吊り下げアーム64が下降する。吊り下げアーム64が下降すると布袋73が下がり、接触式センサ75に接触している人参も下降するので、それに伴って接触式センサ75の検出板77も下方に動き接触式センサ75による検出値Aが変化する。接触式センサ75の検出値Aが設定値B以下になったかどうかを判定し(ステップ9)、A>Bであると判断されているときは、電磁弁71の開状態を継続した状態でステップ#9の判定を繰り返し、検出値Aが設定値B以下(A≦B)になると、電磁弁71を閉じる。
【0049】
(4)主たる実施の形態では、昇降装置61を吊り下げアーム64を基部枢支部64c周りで上下に揺動させて布袋73の高さを調節する構成を示したが、これに限らず、布袋73を載置する支持台を一定姿勢(水平姿勢)に保ったまま上下に昇降させるものでもよい。
【0050】
(5)布袋73に回収した人参の嵩を検出するのに、主たる実施の形態では、人参に直接検出板77を接触させることで検出する構成を示したが、検出板77を布袋73の外側近傍に配置して人参が布袋73に回収されるに伴って検出板77が布袋73の外面に接触して布袋73の膨れ具合を接触式センサ75で検出するようにして、検出板77の所定位置を越える揺動で昇降装置61を作動させて吊り下げアーム64及び袋支持台67を下降させるようにしてもよい。
【0051】
(6)主たる実施の形態では、昇降装置61を上昇させた人参の回収初期には吊り下げアーム64と袋支持台67とによって布袋73を支持し、満杯に近い状態になると吊り下げアーム64で布袋73を支持しているが、布袋73の開口部74の位置(高さ)を変えないで布袋73を吊り下げ部材(図示せず)に紐83で固定し、布袋73の低部を載置支持する袋支持台67を、その載置面を水平な状態で上下に昇降させるように構成して、昇降装置61で袋支持台67を昇降させるようにしてもよい。
この場合、布袋73の外面から検出板77を接触させることで、布袋73の膨れ具合から人参の嵩を良好に検出することができる。
【0052】
(7)人参の満杯状態を報知する警報器87としては、ブザー85のみでもよい。
【0053】
(8)人参を回収する回収体(容器)としては布袋73の他、木箱や樹脂製の箱体であってもよい。
【0054】
(9)回収体73が、木箱(又は樹脂製の箱体)であるときは、木箱73を吊り下げアーム64に吊り下げ固定する。接触式センサ75の検出板77は木箱73の内部に臨むように配設しておく。人参を回収する初期状態では、木箱73の底板側が下り傾斜となるように木箱73の側板が緩傾斜状態となるまで、吊り下げアーム64を上昇させる。人参の回収開始時には側板上に人参を落下収容し、接触式センサ75が人参の嵩を検出するに従って木箱73の底板が急傾斜から緩傾斜(木箱73の側板が緩傾斜から急傾斜)になるように昇降装置61を操作して、吊り下げアーム64を下降させる。これに伴って人参の載置面が木箱73の側板から底板に変化しながら人参が回収される。
【0055】
(10)回収体73を支持する構成要素としては、主たる実施の形態では、吊り下げアーム64と袋支持台67よりなるが、別実施の形態で示したように、吊り下げアーム64のみで構成してもよく、又、載置面が水平に昇降する袋支持台67で構成されていてもよい。これらを支持部と総称する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上記した実施の形態の人参収穫機に替え、大根、玉ねぎ、芋類など各種の作物を収穫対象とする構成を備えた作物収穫機においても本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 収穫部
21 搬送部
41 選別部(選別コンベヤ)
60 回収部
61 昇降装置
64 支持部(吊り下げアーム)
73 回収体(袋)
75 接触式センサ
77 検出板
x 横軸心
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部と、収穫作物を回収する回収部等を備えた作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の作物収穫機として、従来、例えば特許文献1に示されているように、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫部の後方に位置し、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、搬送部で搬送された収穫作物を受け継いで機体横方向に搬送しながら選別する選別部と、前記選別部から受け継いだ収穫作物を機体前方に搬送しながら回収しやすいように持ち上げる持上げ部と、持上げ部の前側で収穫作物を回収する回収部とを備えているものがある。特許文献1では、回収部の固定の枠体に収容袋の収穫作物の受入れ口の周辺を支持するとともに、昇降台に収容袋の底部分を載置し、収容袋の収穫作物の受入れ口に臨ませる状態で機体固定部に発光部と受光部を対向配置した光センサを設置した技術が知られている。
【0003】
これによれば、収容袋を載置した昇降台を上昇させた状態で収穫作物を収容袋に収容し、収容量が増えて発光部から発した光ビームが収容した収穫作物で遮られると、収容物が所定高さを超える収容量になったことを検出し、昇降台を下降させ光ビームが受光部に感知すると昇降台の下降と停止し、これを繰り返して昇降台が最下降位置に達するとこれ報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−287343号公報(図2、図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されている光センサは、発光部と受光部とを受入れ口で大きく離間して配置することによってセンサが邪魔にならないように配置できる利点があるが、ある1本の線上の位置する高さしか検出しないので収容袋の状態や収穫作物に性状によって満杯となるときの収容量にバラツキが大きくなる不都合がある。
【0006】
本発明は、作物収穫機による収穫作物の満杯状態で回収するための検出を単一のセンサで精度よく行えるようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔第1発明の構成〕
第1発明は、作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部と、収穫作物を回収する回収部を備えた作物収穫機において、
前記回収部に収穫作物を搬送するコンベヤの搬送終端部に、前記回収部に回収された収穫作物の嵩を検出する接触式センサを備え、前記接触式センサは前記コンベヤの搬送終端部に横軸心周りに揺動自在に支持された検出板を備え、当該検出板は前記横軸心より下方に向けて配設されているとともに、収穫作物の検出に伴って前記コンベヤの底部に近接する側に変位するように配設してある。
【0008】
〔第1発明の作用〕
第1発明によれば、回収部に収穫作物を搬送するコンベヤの搬送終端部に、回収部に回収された収穫作物の嵩を検出する検出板を備えた接触式センサを備えてあるので、例えば検出板の幅を大きくすることにより、収穫作物を幅広く検出することが容易に行える。検出板は下方に向けて配設して収穫作物の検出に伴ってコンベヤの底部に近接する側に変位するように配設してあるので、検出板で収穫作物を検出するに当たって検出板の動きが、回収部での収穫作物の回収の邪魔にならない。
【0009】
〔第1発明の効果〕
第1発明によれば、接触式センサの検出板により幅広く収穫作物を検出でき、又、収穫作物の検出に当たって検出板の動きが回収部での収穫作物の回収の邪魔にならないので検出精度が向上するようになった。
【0010】
〔第2発明の構成〕
第2発明は、第1発明の構成において、前記接触式センサの横軸心からの前記検出板の長さを調節自在に構成してある。
【0011】
〔第2発明の作用効果〕
第2発明によれば、同種の収穫作物の場合は、検出板の長さを変更することによって満杯量を変更することができるとともに、種類の異なる収穫作物の場合、或いは性状の異なる収穫作物の場合は、収穫作物の種類や性状に適した満杯量に設定することができる。
【0012】
〔第3発明の構成〕
第3発明は、第1発明または第2発明の構成において、前記回収部に、回収体を昇降させる昇降装置を備え、前記接触式センサにより回収体内の収穫作物の嵩の検出に基づいて前記昇降装置を下降させることにより前記回収体を下降させるように構成してある。
【0013】
〔第3発明の作用効果〕
第3発明によれば、コンベヤの搬送終端部から落下する収穫作物を回収体で回収する場合、回収体が空のときは、回収体を昇降装置で上昇させて収穫作物の落下距離が短くなるようにし、回収体への収穫作物の回収に伴って昇降装置で回収体を下降させることができるので、コンベヤの搬送終端部からの収穫作物の落下距離を終始短くでき、落下による衝撃で収穫作物の品質を低下させることを抑制できる。
【0014】
〔第4発明の構成〕
第4発明は、第3発明の構成において、前記昇降装置に前記回収体を支持する支持部を上下揺動自在に備え、前記支持部を初期状態では上向き姿勢で、前記回収体への収穫作物の回収に伴って前記コンベヤの搬送終端部から離れる方向に向けて下方に揺動するように構成するとともに、前記横軸心よりも下方に向けて配設した前記検出板を、収穫作物の検出に伴って、前記コンベヤ側に揺動させるように構成してある。
【0015】
〔第4発明の作用効果〕
第4発明によれば、回収体への収穫作物の回収に伴って回収体を支持する支持部をコンベヤの搬送終端部から離れる方向に向けて揺動させるとともに、収穫作物の検出に伴って検出板をコンベヤ側に揺動させることで、回収体(支持部)と検出板とが互いに離れる方向に揺動することになるので、回収体乃至支持部と、検出板とが干渉しないで収穫作物を満杯となるまで回収することができる。
【0016】
〔第5発明の構成〕
第5発明は、第3発明または第4発明の構成において、前記接触式センサの検出板が所定角度以上揺動された状態が所定時間継続すると前記昇降装置を所定量下降させるように構成してある。
【0017】
〔第5発明の作用効果〕
第5発明によれば、検出板が所定角度以上揺動した状態が所定時間継続すると昇降装置を下降させるので、検出板が収穫作物の跳ね返りや移動により一時的に動いた分は無視されることとなり、昇降装置の不要な動きを防止できるに至った。
【0018】
〔第6発明の構成〕
第6発明は、第3発明〜第5発明のいずれかの構成において、前記回収体は可撓性の袋である。
【0019】
〔第6発明の作用効果〕
第6発明によれば、収穫作物を回収する袋内で収穫作物に直接検出板を接当させることにより収穫作物の嵩を検出することも、袋の膨れ具合を検出板で検出して収穫作物の嵩を検出することも、いずれも良好に検出することができ、接触式センサによる収穫作物の検出の仕方並びに袋の取り扱いがし易い。
【0020】
〔第7発明の構成〕
第7発明は、第1発明〜第6発明のいずれかの構成において、前記回収部に収穫作物を搬送する前記コンベヤは前記選別部の選別コンベヤである。
【0021】
〔第7発明の作用効果〕
第7発明によれば、選別コンベヤで不良品を除去して出荷に適した良好な収穫作物を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】作物収穫機の全体の左側面図である。
【図2】作物収穫機の全体の右側面図である。
【図3】作物収穫機の全体の平面図である。
【図4】搬送部と持上げ部と選別部の位置関係を示す作物収穫機の全体の背面図である。
【図5】搬送部と持上げ部と選別部を示す背面図である。
【図6】持上げ部と選別部を示す右側面図である。
【図7】(a)は持上げ部上部の一部縦断右側面図、(b)は持上げ部の無端帯の縦断正面図である。
【図8】(a)は選別部の一部縦断正面図、(b)は選別部の無端帯の縦断側面図である。
【図9】回収部の吊り下げアームを下降させた状態を示す右側面図である。
【図10】(a)は非検出状態を示すセンサの右側面図、(b)は収穫作物の検出状態を示すセンサの右側面図である。
【図11】(a)は回収部の吊り下げアームを上昇させた状態を示す右側面図、(b)は回収部の袋詰めをしている吊り下げアームの下降途中を示す右側面図である。
【図12】ブロック図である。
【図13】(a)は検出板と検出アームを示す側面図、(b)は同正面図である。
【図14】回収部における昇降装置の昇降制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は作物収穫機の全体の左側面図、図2は同右側面図、図3は作物収穫機の全体の平面図である。これらの図に示すように、作物収穫機は、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走するように構成され、かつエンジン2と、エンジン2の上方に位置する運転座席3が備えられた運転部4とを有した自走機体5と、この自走機体5の左横側部に設けられ、収穫作物としての一例の人参を圃場から収穫する収穫部10と、この収穫部10の後方に位置し、人参を機体後方側に水平に搬送する搬送部としての搬送コンベヤ21と、この搬送コンベヤ21の横側に配置され、搬送コンベヤ21で搬送された人参を受け継いで機体横方向上方に搬送する持上げ部としての持上げコンベヤ24と、この持上げコンベヤ24から受け継いだ人参を作業者に選別されながら機体後方側に搬送する選別部としての選別コンベヤ41と、選別コンベヤ41の搬送下手側である後方で人参を回収する回収部60とを備えている。
【0024】
すなわち、この作物収穫機は、人参の収穫作業を行う。
前記収穫部10は、左右一対の引起し装置11,11によって人参の茎葉を引き起こし、人参の横側の土中に入り込ませた土ほぐし刃12による振動付与によって引き抜きやすくなった人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る引き抜きベルト13,13によって挟持して機体後方向きに持ち上げ搬送することにより、人参を圃場から抜き上げて収穫する。この収穫部10は、前記引き抜きベルト13によって収穫した人参の茎葉を、左右一対の無端回動ベルトで成る茎葉除去ベルト14,14によって挟持搬送することにより、収穫した人参を吊り下げ状態で機体後方向きに搬送し、回転カッター15によって茎葉を切断して茎葉と人参とを分離させ、人参を搬送コンベヤ21に落下させ、茎葉を茎葉除去ベルト14によって回転カッター15よりも後方に搬送してシュート16に落下させ、落下した茎葉を前記搬送コンベヤ21の後半部で受け止めて搬送終端部21bから機体後方の機外に排出する。
【0025】
引起し装置11の前方には茎葉を分草するデバイダ7が設けられており、引き抜きベルト13,13の挟持搬送始端部で構成される引き抜き部8よりも前方で、デバイダ7の後部に引き抜き部8の高さ(或いは掘り取り深さ)を検出するセンサ9を備えている。引き抜き部8の前後位置に相当する収穫部10の右側部に、デバイダ7や引起し装置11の突っ込みを防止するとともに引き抜き部8の最低地上高を確保するための支持輪17を取り付けてある。
【0026】
前記収穫部10は、油圧シリンダ18の伸縮作動により、揺動軸心P周りに上下に揺動自在に構成されている。運転座席3の前方の運転部4に設けた操作レバー19を後方に操作すると収穫部10が上昇し、操作レバー19を前方に操作すると収穫部10が下降し、支持輪17が接地する少し前に前記センサ9が接地する。センサ9が接地している状態では、支持輪17が略接地する高さに維持されるように、センサ9の検出結果に基づいて収穫部10が昇降制御される。支持輪17が接地している状態では、この接地輪17により収穫部10はこれ以上下降されない。即ち、支持輪17により収穫部10の最低地上高を確保することができる。
【0027】
前記搬送コンベヤ21の搬送中間部に到達した人参は、搬送コンベヤ21から横側部に送る横送り体としての横送りローラ22によって搬送コンベヤ21から機体横側に送り出されて上方へ搬送する持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに供給される。横送りローラ22は、搬送コンベヤ21の搬送上面から所定の隙間を置いて搬送コンベヤ21の上側に配置されており、細かいゴミや土、或いはシュート16から搬送コンベヤ21上に落下した茎葉は、横送りローラ22の下を通って後方に搬送されて排出される。横送りローラ22により持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに供給された人参は、持上げコンベヤ24で機体前後方向中央部の左下から右上に向けて持ち上げ搬送されて、運転座席3の後方の位置から自走機体5の後方に向う選別コンベヤ41に落下供給される。
【0028】
前記横送りローラ22は、搬送コンベヤ21の搬送作用面上に近接してされており、搬送コンベヤ21で搬送されている人参を持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに向けて移送されるように方向転換させる。持上げコンベヤ24の搬送始端部24aは搬送コンベヤ21の下方位置に臨ませ、持上げコンベヤ24の搬送終端部24bは選別コンベヤ41の搬送作用面上に臨ませてある。
【0029】
前記選別コンベヤ41の左右両側には選別作業者用の座席42,42を配置し、これらの下方に床板43を設けている。これにより、座席42に着座した選別作業者は、選別コンベヤ41によって機体後方に向けて若干持ち上げ搬送される人参を見て、収穫に適した大きさや形状などの性状を備えた収穫適合人参と、収穫に適した性状を備えない収穫非適合人参とに選別し、収穫非適合人参を選別コンベヤ41から人為的に取り出し、収穫適合人参は選別コンベヤ41に残され回収部60に搬送される。
【0030】
図3〜図7に示すように、前記持上げコンベヤ24は、前後一対のコンベヤフレーム25,25を備えるとともに、コンベヤフレーム25の下端部に駆動回動自在に設けた始端輪体26と、前記コンベヤフレーム25の上端部に遊転自在に設けた終端輪体27と、始端輪体26と終端輪体27とに亘って巻回した無端帯28を備えている。
【0031】
前記無端帯28は、無端帯28の横幅方向に並ぶ一対の無端回動チェーン28a,28aと、無端帯28の長手方向に並べて前記一対の無端回動チェーン28a,28aに連結されたコンベヤバー28bと、所定間隔を隔ててコンベヤバー28bに代えて配設された搬送係止片28cとを備えて構成してある。所定間隔毎に無端帯28に備えられた多数の搬送係止片28cは、隣接する搬送係止片28c,28c間に載置された人参に対する傾斜面下方への所定間隔以上の転がりを防止するストッパーとして機能している。
【0032】
無端帯28の搬送始端部24aは、前記搬送コンベヤ21の側部から下方に臨んでいる。無端帯28は、搬送始端部24aが緩傾斜で徐々に急傾斜状態に持ち上がり、搬送中間部24cから搬送終端部24bの近くまで直線的な急傾斜となり、搬送終端部24bで水平となる搬送作用面が形成されている。無端帯28の搬送始端部24bにおける搬送作用面の裏面側の左右に直線状緩傾斜にチェーン案内杆29を設けるとともに、搬送作用面側の左右に上方ほど急傾斜となる湾曲状のチェーン案内杆30を設け、搬送中間部24cから搬送終端部24bの近くまで直線的急傾斜で、且つ搬送終端部24bで水平に屈曲したチェーン案内杆31を設け、チェーン案内杆31の水平延長線上に巻回外周部が位置するように終端輪体27を配設してある。更にチェーン案内杆31の上端の屈曲部に対応する下方の戻り経路側に遊転自在に支持した戻りガイド輪体32と、戻り経路の中間部に設けた戻りガイド輪体33と、中間部の戻りガイド輪体33より無端帯28を下方に案内する大径ガイド転輪34と、大径ガイド輪体34の経路下手側で大径ガイド輪体34の軸芯周りに揺動するテンション輪体35を備えている。
【0033】
前記搬送コンベヤ21上に落下した人参は横送りローラ22により持上げコンベヤ24の搬送始端部24aに落下供給され、持上げコンベヤ24に落下供給された人参は搬送係止片28cに受け止められて選別コンベヤ41の搬送始端部41aの上方に向けて搬送され、無端帯28が終端輪体27で回動される位置まで搬送されると、選別コンベヤ41の搬送始端部41aに落下供給される。
【0034】
図3、図6及び図8に示すように、前記選別コンベヤ41は、左右一対の選別フレーム44,44を備えるとともに、選別フレーム44の前端部に駆動回動自在に設けた始端輪体45と、前記選別フレーム44の後端部に遊転自在に設けた終端輪体46と、始端輪体45と終端輪体46とに亘って巻回した無端帯47を備えている。
【0035】
前記無端帯47は、無端帯47の横幅方向に並ぶ一対の無端回動チェーン47a,47aと、無端帯47の長手方向に並べて前記一対の無端回動チェーン47a,47aに連結されたコンベヤバー47bと、所定間隔を隔ててコンベヤバー47bに代えて配設された搬送係止片47cとを備えて構成してある。所定間隔毎に無端帯47に備えられた多数の搬送係止片47cは、隣接する搬送係止片47c,47c間に載置された人参に対する傾斜面下方への前記所定間隔以上の転がりを防止するストッパーとして機能している。
【0036】
持上げコンベヤ24で搬送された人参が選別コンベヤ41に落下供給される範囲の選別コンベヤ41の搬送始端部41aの前後の受け継ぎ範囲は水平で、搬送始端部41aの後部位置より搬送終端部41bの位置まで直線状の登り緩傾斜の搬送作用面に形成されている。無端帯47の搬送始端部41aにおける搬送作用面の裏面側の左右に水平なチェーン案内杆49を設けるとともに、略水平な搬送始端部41aの範囲の後部における左右の無端回動チェーン47aの上面に搬送ガイド輪体50を備え、搬送ガイド輪体50の後方から搬送終端部41bにかけて直線状にチェーン案内杆51を設け、チェーン案内杆51の延長線上に巻回外周部が位置するように終端輪体46を配設してある。更に傾斜した戻り経路側における無端回動チェーン47aの下側に直線状にチェーン案内杆52を設け、水平な搬送作用面に対応する戻り経路となる屈曲部に遊転自在に支持した戻りガイド輪体53を備えている。
【0037】
前記持上げコンベヤ24の搬送終端部24bより選別コンベヤ41の搬送始端部41aに落下供給された人参は搬送終端部41bの後方に設けられた回収部60に向けて搬送される。その搬送中に選別コンベヤ41の左右に設けられた座席42に着座している選別作業者により人参を収穫適合人参と収穫非適合人参とに選別され、収穫非適合人参が取り出されるが、選別コンベヤ41の搬送作用面は緩傾斜に形成されているので、搬送中の振動等で人参が後方(搬送上手側)に転がりやすい。しかも、選別コンベヤ41を構成する無端帯47には、所定間隔毎に無端帯47の搬送面に対して略直交する外方、即ち、人参搬送面に対して上方に、上記所定間隔の範囲でだけ人参の転がりを許容するためのストッパーとして機能する搬送係止片47cを備えてあるので、無端帯47上での人参が転がる長さは所定範囲以内となり、これにより人手で全ての人参を手に持って全周を確認しなくても収穫非適合人参を選別除去しやすくなっている。
【0038】
図3、図4、図9〜図11に示すように、前記回収部60には、回収体としての可撓性の布袋73を昇降させる昇降装置61が備えられている。前記昇降装置61は、布袋73を支持して基部枢支部64c周りに持上げ姿勢から水平姿勢に亘って揺動する平面視門形の吊り下げアーム64と、この吊り下げアーム64を昇降させる左右一対の油圧シリンダ65とを備えている。
自走機体5の後端の機体フレーム6に選別コンベヤ41の下方に位置する状態で、門形フレーム62を立設し、門形フレーム62の後方に左右一対の支持フレーム63を固定してある。
前記吊り下げアーム64は、左右の吊り下げアーム部分64b,64bの先端に横杆64aが連結され、基部が左右の支持フレーム63の背後に取り付けた取付けブラケット63aに枢支連結されている。吊り下げアーム64には、鉤状の複数個の袋吊り下げ支持金具66を備えている。前記左右一対の油圧シリンダ65は、左右の吊り下げアーム部分64b,64bの中間と支持フレーム63の背後に取り付けた取付けブラケット63bとの間に備えられている。
【0039】
側面視で、前記吊り下げアーム64の基部枢支部64cと、油圧シリンダ65の基部枢支部65aとの間において、油圧シリンダ65の基部枢支部65aに近いに箇所における門形フレーム62の部分に取付けブラケット62bを設け、板状の袋支持台67を取付け部材67bを介して枢支部67c周りに取付けブラケット62bに上下揺動自在に枢支連結してある。袋支持台67の左右側部と左右の吊り下げアーム部分64bとに亘ってチェーン68やワイヤ又はロープを連結している。図9に示すように、吊り下げアーム64を水平状態にしたときには袋支持台67が支持フレーム63に沿う垂下姿勢となり、図11(a)に示すように、吊り下げアーム64を最上昇位置まで上昇させたときには、袋支持台67の支持面67aが略水平姿勢となるように連係させてある。
【0040】
前記支持フレーム63の下端は機体フレーム6の下端よりも地面に近い下方に延設してあり、左右の支持フレーム63の両下端部の背面を連結杆69で連結してある。前記袋支持台67は垂下姿勢で連結杆69の位置まで伸びており、連結杆69の左右背面にゴム製の緩衝材70を圧入して、袋支持台67が垂下姿勢で前後に揺れても緩衝材70により金属音が発生しないようにしてある。
【0041】
図9に示すように、左右の選別フレーム44の後端部に、布袋73内に収容した人参の収容高さを検出する接触式センサ75を備えている。接触式センサ75は、人参に接触することにより人参を検出する検出操作部76とポテンショメータでなるボリューム81とで構成されている。前記検出操作部76は、前記左右の選別フレーム44,44間に亘る横幅を有し、人参に接触して人参の位置を検出する検出板77と、左右の選別フレーム44の外面に横軸心x周りに揺動自在に支持された状態で検出板77を取り付けた検出アーム78と、検出板77をバランス位置に付勢するコイルスプリング79と、ボリューム81のアーム82を揺動させる検出レバー80とで構成されている。前記検出板77は、前記横軸心xより下方に向けて配設されているとともに、人参の検出に伴って選別コンベヤ41の底部に近接する側に変位するように配設されている。
【0042】
図12に示すように、前記吊り下げフレーム64が図9に示す下限の水平姿勢になると、それを検知しコントローラ59を介して電磁弁71を中立復帰させて油圧シリンダ65の収縮作動を停止させるためのリミットスイッチからなる下限センサ84を備えている。
又、前記下限センサ84が吊り下げフレーム64の下限姿勢を検知している状態で、接触式センサ75が人参の検出作動をしたときに、それを報知するブザー85及び警報ランプ86を備えた警報器87を備えている。ブザー85については警報停止信号を発信する手動操作式の警報停止スイッチ88を備えてあり、点灯した警報ランプ85は人参が満杯となった布袋73を取り外す等して接触式センサ75が人参を感知しなくなると消灯するように構成してある。
【0043】
収穫作業を行うときには、布袋73に設けた複数の紐83をそれぞれ袋吊り下げ支持金具66に係止或いは括り付ける。図11(a)に示すように、油圧シリンダ65を伸長して吊り下げアーム64を上昇させて、袋支持台67を水平姿勢まで上昇させる。この状態で収穫作業を開始すると、収穫された人参は収穫部10、搬送コンベヤ21、持上げコンベヤ24、選別コンベヤ41へと搬送され、選別コンベヤ41で搬送された人参は、布袋73の開口部74から袋内へ順次回収される。袋支持台67が水平の状態で袋内への人参が収容されていき、人参が検出板77に到達すると、接触式センサ75の検出板77がコイルスプリング79に抗して選別コンベヤ41の底部に近接する側に変位するように揺動して、検出レバー80がボリューム81のアーム82を図9の時計回りに上昇揺動させる。
【0044】
これによりボリューム81の検出値が変化し、油圧シリンダ65の電磁弁71がアンロード側に開いてピストンロッド72が収縮作動し、吊り下げアーム64が下降する。これに伴って吊り下げアーム64とチェーン68で連係した袋支持台67が下降する。布袋73が下降すると人参全体が下降するので、人参による検出板77への押圧力がなくなり、ボリューム81は元の位置に戻る。これにより電磁弁71が中立に戻り、油圧シリンダ65が停止し、袋支持台67の下降が止まる。引き続き袋内に人参が回収されると、再び人参が検出板77に到達し、検出板77が揺動してボリューム81の検出値が変化し、前述の袋支持台67の動作が繰り返され、布袋73が下降する。吊り下げアーム64が水平状態まで下降したときには、これを下限センサ84が検知して電磁弁71が閉じ油圧シリンダ65が停止する。このとき、袋支持台67は垂下状態になり、布袋73は紐83で吊り下げられた状態となる。この状態で更に人参が布袋73に供給されて接触式センサ75が人参を検知すると、ブザー85及び警報ランプ86による警報器87で布袋73が満杯状態となったことが報知される。
【0045】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、袋支持台67を油圧シリンダ65を電磁弁71の切り換えによって動かしている構成を示したが、油圧シリンダ65及び電磁弁71に代えて、電動シリンダと電動モータとを用いて、ボリューム81の検出値の変化で電動モータを作動させて電動シリンダを伸縮作動するように構成してもよい。
【0046】
(2)図13に示すように、前記検出アーム78と検出板77とを支軸89周りに回動自在に枢支連結する。検出アーム78に支軸89の軸心を中心とした複数の孔90を形成する。複数の孔90のうちから選択された一つの孔90と検出板77に形成した一つの孔とをボルト91で固定することにより、検出板77と検出アーム78との間の取付け角度を変更可能に構成してある。又、検出板77を板本体77aとスライド板77bとで構成する。板本体77aの左右の側板77cにガイド片77dを取り付け、スライド板77bを板本体77aとガイド片77dの間に通してスライド板77bを板本体77aに対してスライド自在に構成する。ガイド片77dにネジ孔を形成し、このネジ孔にボルト77eを螺合して、スライド板77bをボルト先端と板本体77aとの間で挟持固定する。そして、左右のボルト77eを緩めてスライド板77bをガイド片77dに沿って移動させて再度、ボルト77eで固定することにより、検出板77の長さを調節できるようにしてある。検出アーム78に対する検出板77の角度調節と検出板77の長さを調節することにより、接触式センサ75の検出感度を調節できるようにしてある。
【0047】
(3)主たる実施の形態では、接触式センサ75の検出板77が所定角度以上揺動されると昇降装置61を所定量下降させるように構成してあるが、接触式センサ75の検出板77が所定角度以上揺動された状態が所定時間継続したときに昇降装置61を所定量下降させるように構成してもよい。
【0048】
すなわち、図14に示すように、昇降装置61の昇降制御において、接触式センサ75の検出値Aが設定値Bを超えたかどうかを判定し(ステップ#1)、A>Bであると、タイマーを作動させて(ステップ#2)、タイムカウントをする(ステップ#3)。接触式センサ75の検出値Aが設定値B以下になったかどうかを判定し(ステップ#4)、A≦Bであると、タイマーをリセットし(ステップ#5)、A>Bを維持しているときは、タイマーが設定時間を越えたかどうかを判定し(ステップ#6)、タイマーの計測時間が設定時間を越えていない場合はタイムのカウントを継続するようにステップ#3、#4、#6を繰り返す。この繰り返しの途中で接触式センサ75の検出値AがA≦Bとなるとタイマーはリセットされる(ステップ#5)。ステップ#6でタイマー(カウント時間)が設定時間を越えるとタイマーをリセットし(ステップ#7)、油圧シリンダ65を収縮させる側に電磁弁71を開く(ステップ#8)。これにより、油圧シリンダ65が収縮し、吊り下げアーム64が下降する。吊り下げアーム64が下降すると布袋73が下がり、接触式センサ75に接触している人参も下降するので、それに伴って接触式センサ75の検出板77も下方に動き接触式センサ75による検出値Aが変化する。接触式センサ75の検出値Aが設定値B以下になったかどうかを判定し(ステップ9)、A>Bであると判断されているときは、電磁弁71の開状態を継続した状態でステップ#9の判定を繰り返し、検出値Aが設定値B以下(A≦B)になると、電磁弁71を閉じる。
【0049】
(4)主たる実施の形態では、昇降装置61を吊り下げアーム64を基部枢支部64c周りで上下に揺動させて布袋73の高さを調節する構成を示したが、これに限らず、布袋73を載置する支持台を一定姿勢(水平姿勢)に保ったまま上下に昇降させるものでもよい。
【0050】
(5)布袋73に回収した人参の嵩を検出するのに、主たる実施の形態では、人参に直接検出板77を接触させることで検出する構成を示したが、検出板77を布袋73の外側近傍に配置して人参が布袋73に回収されるに伴って検出板77が布袋73の外面に接触して布袋73の膨れ具合を接触式センサ75で検出するようにして、検出板77の所定位置を越える揺動で昇降装置61を作動させて吊り下げアーム64及び袋支持台67を下降させるようにしてもよい。
【0051】
(6)主たる実施の形態では、昇降装置61を上昇させた人参の回収初期には吊り下げアーム64と袋支持台67とによって布袋73を支持し、満杯に近い状態になると吊り下げアーム64で布袋73を支持しているが、布袋73の開口部74の位置(高さ)を変えないで布袋73を吊り下げ部材(図示せず)に紐83で固定し、布袋73の低部を載置支持する袋支持台67を、その載置面を水平な状態で上下に昇降させるように構成して、昇降装置61で袋支持台67を昇降させるようにしてもよい。
この場合、布袋73の外面から検出板77を接触させることで、布袋73の膨れ具合から人参の嵩を良好に検出することができる。
【0052】
(7)人参の満杯状態を報知する警報器87としては、ブザー85のみでもよい。
【0053】
(8)人参を回収する回収体(容器)としては布袋73の他、木箱や樹脂製の箱体であってもよい。
【0054】
(9)回収体73が、木箱(又は樹脂製の箱体)であるときは、木箱73を吊り下げアーム64に吊り下げ固定する。接触式センサ75の検出板77は木箱73の内部に臨むように配設しておく。人参を回収する初期状態では、木箱73の底板側が下り傾斜となるように木箱73の側板が緩傾斜状態となるまで、吊り下げアーム64を上昇させる。人参の回収開始時には側板上に人参を落下収容し、接触式センサ75が人参の嵩を検出するに従って木箱73の底板が急傾斜から緩傾斜(木箱73の側板が緩傾斜から急傾斜)になるように昇降装置61を操作して、吊り下げアーム64を下降させる。これに伴って人参の載置面が木箱73の側板から底板に変化しながら人参が回収される。
【0055】
(10)回収体73を支持する構成要素としては、主たる実施の形態では、吊り下げアーム64と袋支持台67よりなるが、別実施の形態で示したように、吊り下げアーム64のみで構成してもよく、又、載置面が水平に昇降する袋支持台67で構成されていてもよい。これらを支持部と総称する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上記した実施の形態の人参収穫機に替え、大根、玉ねぎ、芋類など各種の作物を収穫対象とする構成を備えた作物収穫機においても本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 収穫部
21 搬送部
41 選別部(選別コンベヤ)
60 回収部
61 昇降装置
64 支持部(吊り下げアーム)
73 回収体(袋)
75 接触式センサ
77 検出板
x 横軸心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部と、収穫作物を回収する回収部を備えた作物収穫機において、
前記回収部に収穫作物を搬送するコンベヤの搬送終端部に、前記回収部に回収された収穫作物の嵩を検出する接触式センサを備え、前記接触式センサは前記コンベヤの搬送終端部に横軸心周りに揺動自在に支持された検出板を備え、当該検出板は前記横軸心より下方に向けて配設されているとともに、収穫作物の検出に伴って前記コンベヤの底部に近接する側に変位するように配設してある作物収穫機。
【請求項2】
前記接触式センサの横軸心からの前記検出板の長さを調節自在に構成してある請求項1記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記回収部に、回収体を昇降させる昇降装置を備え、前記接触式センサにより回収体内の収穫作物の嵩の検出に基づいて前記昇降装置を下降させることにより前記回収体を下降させるように構成してある請求項1または2記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記昇降装置に前記回収体を支持する支持部を上下揺動自在に備え、前記支持部を初期状態では上向き姿勢で、前記回収体への収穫作物の回収に伴って前記コンベヤの搬送終端部から離れる方向に向けて下方に揺動するように構成するとともに、前記横軸心よりも下方に向けて配設した前記検出板を、収穫作物の検出に伴って、前記コンベヤ側に揺動させるように構成してある請求項3記載の作物収穫機。
【請求項5】
前記接触式センサの検出板が所定角度以上揺動された状態が所定時間継続すると前記昇降装置を所定量下降させるように構成してある請求項3または4記載の作物収穫機。
【請求項6】
前記回収体は可撓性の袋である請求項3〜5のいずれか一項に記載の作物収穫機。
【請求項7】
前記回収部に収穫作物を搬送する前記コンベヤは前記選別部の選別コンベヤである請求項1〜6のいずれか一項に記載の作物収穫機。
【請求項1】
作物を圃場から収穫する収穫部と、収穫作物を機体後方側に搬送する搬送部と、収穫作物を選別する選別部と、収穫作物を回収する回収部を備えた作物収穫機において、
前記回収部に収穫作物を搬送するコンベヤの搬送終端部に、前記回収部に回収された収穫作物の嵩を検出する接触式センサを備え、前記接触式センサは前記コンベヤの搬送終端部に横軸心周りに揺動自在に支持された検出板を備え、当該検出板は前記横軸心より下方に向けて配設されているとともに、収穫作物の検出に伴って前記コンベヤの底部に近接する側に変位するように配設してある作物収穫機。
【請求項2】
前記接触式センサの横軸心からの前記検出板の長さを調節自在に構成してある請求項1記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記回収部に、回収体を昇降させる昇降装置を備え、前記接触式センサにより回収体内の収穫作物の嵩の検出に基づいて前記昇降装置を下降させることにより前記回収体を下降させるように構成してある請求項1または2記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記昇降装置に前記回収体を支持する支持部を上下揺動自在に備え、前記支持部を初期状態では上向き姿勢で、前記回収体への収穫作物の回収に伴って前記コンベヤの搬送終端部から離れる方向に向けて下方に揺動するように構成するとともに、前記横軸心よりも下方に向けて配設した前記検出板を、収穫作物の検出に伴って、前記コンベヤ側に揺動させるように構成してある請求項3記載の作物収穫機。
【請求項5】
前記接触式センサの検出板が所定角度以上揺動された状態が所定時間継続すると前記昇降装置を所定量下降させるように構成してある請求項3または4記載の作物収穫機。
【請求項6】
前記回収体は可撓性の袋である請求項3〜5のいずれか一項に記載の作物収穫機。
【請求項7】
前記回収部に収穫作物を搬送する前記コンベヤは前記選別部の選別コンベヤである請求項1〜6のいずれか一項に記載の作物収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−115069(P2011−115069A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273764(P2009−273764)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599118768)株式会社斎藤農機製作所 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599118768)株式会社斎藤農機製作所 (47)
【Fターム(参考)】
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