説明

作画装置及び作画プログラム

【課題】プログラマブル表示器に実行されたときに、ユーザの意図に沿った正常な動作が行われる画面プログラムを、容易に作成することを可能にする作画装置や、当該作画装置で実行される作画プログラムを提供する
【解決手段】作画装置1は、部品プログラムを含む画面プログラムを作成する画面プログラム作成部111と、部品プログラムに関連付けられる設定プログラムを作成する設定プログラム作成部112と、予め作成された部品プログラムと当該部品プログラムに関連付けられ予め作成された設定プログラムとを記録する記録部12と、を備える。画面プログラム作成部111は、記録部12に記録されている部品プログラムを含む画面プログラムを作成する場合、設定プログラム作成部112は、記録部12に記録されている設定プログラムを取得して、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器が表示する画面プログラムを作成する作画装置や、当該画面プログラムを作成する際に作画装置に実行される作画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械等の駆動を制御したり、センサなどの検出装置の検出結果を取得したりするなど、各種機器を制御する制御装置として、PLC(Programmable Logic Controller)が広く利用されている。PLCは、事前に作成された制御プログラムに従って、各種機器の制御を行う。
【0003】
ユーザは、例えば特許文献1で提案されるような制御プログラム作成装置を用いて、制御プログラムを作成することができる。なお、特許文献1で提案される制御プログラム作成装置は、制御プログラムの流用時において、PLCが備えるメモリ(以下、PLCメモリとする)のアドレスの不整合を解消するものである。具体的に、この制御プログラム作成装置は、ユーザが、ある機器を制御する制御プログラムの一部を複製して、当該ある機器を制御する他の制御プログラムに貼り付けるように指示する場合、複製元と貼付先とで当該ある機器に割り当てられるPLCメモリのアドレスが異なることを確認すると、当該ある機器に割り当てられるPLCメモリのアドレスが貼付先と一致するように修正した上で、複製した部分を貼り付ける。
【0004】
ところで、PLCや各種機器の監視や制御を一元的に行うべく、プログラマブル表示器を導入することがある(例えば、特許文献2参照)。このプログラマブル表示器は、例えば、ユーザが特許文献2で提案されるような作画装置を用いて作成したプロジェクトを実行することで、ユーザの指示を受け付けPLCや各種機器の制御を行ったり、PLCや各種機器の状態をユーザに報知したりする。例えば、プロジェクトには、プログラマブル表示器が画面を表示するための画面プログラムや、プログラマブル表示器がPLCや各種機器の動作制御を行うための制御プログラム、各種事項を規定する設定プログラムなどが含まれ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−299204号公報
【特許文献2】特開2010−128735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザは、PLCまたは機器の監視や、制御の便宜上、実行し得る動作モード(例えば、メンテナンスや試運転、通常運転など)や制御する機器の種類等に応じて、1つのプロジェクト内に画面プログラムを複数作成することがある。このような場合、ユーザが、例えば過去に自身が作成した画面プログラムや部品プログラムを流用したり、作画装置または作画プログラムのメーカ等が作成した部品プログラムを流用したりすることができれば、容易に画面プログラムを作成することができるため、好ましい。
【0007】
しかしながら、プログラマブル表示器が、流用した画面プログラムや部品プログラムを実行する場合、ユーザが意図した通りの正常な動作が行われない場合が生じ得る。具体的に例えば、機器の異常を報知する部品画像(アラーム部品画像)を表示するための部品プログラムを流用した場合、プログラマブル表示器が、流用した当該部品プログラムを実行する際に、不適切な設定プログラム(例えば、流用先のプロジェクトに含まれる設定プログラム)を参照したり、設定プログラムを参照することができなかったりするなど、正常な動作が行われないことが生じ得る。
【0008】
そこで、本発明は、プログラマブル表示器に実行されたときに、ユーザの意図に沿った正常な動作が行われる画面プログラムを、容易に作成することを可能にする作画装置や、当該作画装置で実行される作画プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の作画装置は、プログラマブル表示器が画面を表示するための画面プログラムを作成する作画装置であって、部品プログラムを含む画面プログラムを作成する画面プログラム作成部と、部品プログラムに関連付けられる設定プログラムを作成する設定プログラム作成部と、予め作成された部品プログラムと、当該部品プログラムに関連付けられ予め作成された設定プログラムと、を記録する記録部と、を備え、前記プログラマブル表示器は、部品プログラムを実行する際に、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを参照するものであり、前記画面プログラム作成部が、前記記録部に記録されている予め作成された部品プログラムを含む画面プログラムを作成する場合、前記設定プログラム作成部は、前記記録部に記録されている当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを取得して、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムとして作成することを特徴とする。
【0010】
また、上記構成の作画装置において、1つの設定プログラムに、複数の部品プログラムが関連付けられ得ることとしても構わない。
【0011】
このように構成すると、設定プログラムが部品プログラムと切り離されて規定され、必要に応じて部品プログラムに関連付けられる構成となる。そのため、ユーザが部品プログラム毎に重複した内容を規定する必要が無くなるため、画面プログラムの作成は容易になるが、ユーザに部品プログラムの流用のみで動作可能と解釈される可能性がある。そこで、上記のように部品プログラム及び設定プログラムがもれなく流用される構成とすることで、ユーザの意図に沿った正常な動作が行われ得る画面プログラムが、作成可能になる。
【0012】
また、上記構成の作画装置において、ユーザに報知する報知部と、前記アドレス割当部の状態に応じて前記報知部を制御する制御部と、をさらに備え、所定の事項を規定する設定プログラムの総数に、上限が設定されており、前記画面プログラム作成部が、前記記録部に記録されている予め作成された部品プログラムを含む画面プログラムを作成する場合、前記設定プログラム作成部が、前記上限を超えるために、前記記録部に記録されている当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを取得して、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムとして作成することができない状態になったことを、前記制御部が確認すると、前記制御部は、前記報知部を制御して、当該画面プログラムを作成することができない旨を、ユーザに対して報知させることとしても構わない。
【0013】
このように構成すると、画面プログラム作成部が、設定プログラムが関連付けられた部品プログラムを含む画面プログラムを作成しようとすることで、設定プログラムの上限が超えられようとする場合、ユーザに対して、当該画面プログラムを作成することができない旨が報知される。そのため、プログラマブル表示器が正常に実行可能な画面プログラムを、容易に作成することが可能になる。
【0014】
また、本発明の作画プログラムは、コンピュータを上記の作画装置の各部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、画面プログラム作成部が、部品プログラムを含む画面プログラムや部品プログラムを流用して、画面プログラムを作成すると、設定プログラム作成部が、流用した部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを流用して、設定プログラムを作成する。そのため、ユーザの意図に沿った正常な動作が行われる画面プログラムを、容易に作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は、本発明の実施形態に係る作画装置を含むシステムの全体構成例を示すブロック図である。
【図2】は、プログラマブル表示器の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図3】は、作画装置によるプロジェクトの作成動作例を示すフローチャートである。
【図4】は、図3のSTEP1、2及び4〜6の動作について具体的に説明する図である。
【図5】は、図3のSTEP1、2、4、5及び7の動作について具体的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<システムの全体構成例>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。最初に、本発明の実施形態に係る作画装置を含むシステムの全体構成例を、図1を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る作画装置を含むシステムの全体構成例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すシステムは、プロジェクトを作成する作画装置1と、作画装置1が作成したプロジェクトやユーザから入力される指示に基づいて画面を表示するとともに各種機器を制御するプログラマブル表示器2と、プログラマブル表示器2によって制御されるPLC3と、PLC3によって制御される機器4と、を備える。なお、図1では、作画装置1及びプログラマブル表示器2が、常時通信可能に接続されているように図示しているが、これらは必要な場合のみ(例えば、作画装置1が、プログラマブル表示器2へプロジェクトを出力するときのみ)通信可能に接続すれば足りる。
【0019】
作画装置1が作成するプロジェクトには、制御プログラムや、画面プログラム、設定プログラムが含まれ、1つのプロジェクトには、少なくとも1つの画面プログラムが含まれる。1つのプロジェクトに複数の画面プログラムが含まれる場合、例えばユーザが、プロジェクトを実行中のプログラマブル表示器2に所定の操作をすることで、プログラマブル表示器2が表示する画面全体(即ち、処理する画面プログラム)が切り替えられ得る。
【0020】
例えば、設定プログラムには、プログラマブル表示器2、PLC3及び機器4などから構成されるシステムの各種設定を規定するシステム設定や、プロジェクト内で共通し得る各種設定を規定する共通設定などが含まれる。さらに例えば、システム設定によって、プログラマブル表示器2とPLC3との通信方法(PLC3のメーカによって異なる)などが規定される。また例えば、共通設定によって、報知し得るアラーム内容(例えば、報知すべき機器4の異常、異常履歴の作成の有無、異常検出時に報知するメッセージなど)や、機器4が検出しPLC3を介してプログラマブル表示器2に入力されるデータの、プログラマブル表示器2によるサンプリング方法(例えば、データを取得する時間周期や、取得するデータのビット数など)などが規定される。
【0021】
1つの設定プログラムは、複数の部品プログラムに関連付けられ得る。換言すると、設定プログラムは、プログラマブル表示器2が画面プログラムに依らずに実行する処理(例えば、PLC3との通信や、異常検出、データのサンプリングなど、常時実行し得る処理)の方法を、規定するものである。また、プログラマブル表示器2は、設定プログラムが関連付けられた部品プログラムを実行するとき、当該設定プログラムを参照する。
【0022】
設定プログラムが規定する内容を、部品プログラム毎や画面プログラム毎に規定する場合、重複した内容を規定する必要が生じ得るため、ユーザによるプロジェクトの作成が煩雑となる。そのため、これらの規定内容を設定プログラムとして、部品プログラムと切り離して規定し、必要に応じて部品プログラムに関連付けられる構成とすることで、重複した内容を規定する必要が無くなり、ユーザによるプロジェクトの作成が容易になる。
【0023】
作画装置1は、プロジェクトを作成するプロジェクト作成部11と、予め作成された部品プログラムと当該部品プログラムに関連づけられて予め作成された設定プログラムとが記録される記録部12と、画像を表示する表示部13と、ユーザに操作されることでユーザの指示が入力される操作部14と、プログラマブル表示器2と接続するI/F(Interface)15と、作画装置1の全体の動作を制御するとともにデータをやり取りする作画制御部16と、作画装置1の各部が処理を行う際にデータを展開及び記憶する作画メモリ17と、を備える。なお、作画装置1は、作画プログラムがインストールされたコンピュータなどから成る。
【0024】
プロジェクト作成部11は、画面プログラムを作成する画面プログラム作成部111と、設定プログラムを作成する設定プログラム作成部112と、制御プログラムを作成する制御プログラム作成部113と、を備える。このプロジェクト作成部11は、作画制御部16が、必要なデータを作画メモリ17に展開し処理することで実行し得る機能の一部として解釈され得るものであるが、説明の便宜上、以下では作画制御部16及び作画メモリ17から独立したものとして扱う。なお、プロジェクト作成部11の動作の詳細については、後述する。
【0025】
記録部12は、ユーザが過去に作成したプロジェクトや画面プログラム、部品プログラム、設定プログラムなどを記録する。また、記録部12は、作画装置1または作画プログラムのメーカが作成した部品プログラムや設定プログラムなどを記録する。即ち、記録部12は、ユーザやメーカ等によって予め作成された部品プログラム(予め作成された画面プログラムやプロジェクトに含まれる部品プログラムをも含む)や、当該部品プログラムに関連付けられて予め作成された設定プログラムを、記録する。この記録部12に記録される部品プログラムや設定プログラムは、単体または画面プログラムやプロジェクトと併せて、プロジェクト作成部11の画面プログラム作成部111や設定プログラム作成部112に読み出され得る。
【0026】
表示部13は、例えば液晶パネルなどの表示装置から成り、作画装置1の処理結果をユーザに対して表示する。操作部14は、例えばキーボードやマウスなどの入力装置から成り、ユーザに操作されることで入力された指示を作画装置1へ出力する。ユーザは、表示部13に表示される画像を確認しながら、操作部14を操作することで、所望のプロジェクトや画面プログラム、設定プログラムなどを作成する。また、作画装置1は、作成したプロジェクトを、I/F15を介してプログラマブル表示器2へ出力する。
【0027】
プログラマブル表示器2は、作画装置1と接続するI/F21と、画面を表示するとともにユーザに操作されることでユーザの指示が入力されるタッチパネル22と、PLC3と接続するI/F23と、プログラマブル表示器2の全体の動作を制御するとともにデータをやり取りするHMI制御部24と、プログラマブル表示器2の各部が処理を行う際にデータを展開及び記憶するHMIメモリ25と、を備える。
【0028】
タッチパネル22は、画面を表示する表示部221と、表示部221上のユーザが触れた位置を検出する位置検出部222と、を備える。表示部221は、作画装置1によって作成されたプロジェクトに含まれる画面プログラムに従って、画面を表示する。
【0029】
HMIメモリ25には、I/F21を介して作画装置1から入力されるプロジェクトが、記憶(または記録)される。HMI制御部24は、HMIメモリ25に記憶されるプロジェクトを実行することで、画面プログラムに従った画面を表示部221に表示させたり、制御プログラムに従った指示をI/F23を介してPLC3へ出力したりする。HMI制御部24は、画面プログラムに従った画面を表示部221に表示させる際に、必要に応じてHMIメモリ25に記憶されているデータ(例えば、後述するPLCメモリ34に記憶される機器4のデータ)や設定プログラムを参照する。なお、プログラマブル表示器2の動作については、後に具体例を挙げて詳述する。
【0030】
PLC3は、プログラマブル表示器2と接続するI/F31と、機器4と接続するI/F32と、PLC3の全体の動作を制御するとともにデータをやり取りするPLC制御部33と、PLC3の各部が処理を行う際にデータを展開及び記憶するPLCメモリ34と、を備える。
【0031】
PLCメモリ34には、I/F32を介して機器4から入力されるデータが記憶される。当該データは、I/F31を介してプログラマブル表示器2から入力され、上述のようにHMIメモリ25に記憶される。また、PLCメモリ34には、ユーザ等によって設定されたり、I/F31を介してプログラマブル表示器2から入力されたりする、制御プログラムが記憶(または記録)され得る。PLC制御部33は、I/F31を介してプログラマブル表示器2から入力される指示や、PLCメモリ34に記憶している制御プログラムに従い、機器4の動作を制御する指示を、I/F32を介して機器4へ出力する。
【0032】
図1では、プログラマブル表示器2に接続されて制御されるPLC3が1つの場合を例示しているが、複数のPLC3がプログラマブル表示器2に接続されても構わない。同様に、図1では、PLC3に接続されて制御される機器4が1つの場合を例示しているが、複数の機器4がPLC3に接続されても構わない。また、PLC3を介することなく、プログラマブル表示器2に直接的に接続されて制御される機器4を備えても構わない。ただし、以下では説明の簡略化のため、原則的に図1に示すシステムについて説明する。
【0033】
<プログラマブル表示器の動作例>
プログラマブル表示器2によるプロジェクトの実行例について、図2を参照して説明する。図2は、プログラマブル表示器の表示部に表示される画面の一例を示す図である。HMI制御部24は、プロジェクトを実行すると、当該プロジェクトに含まれる画面プログラムに従った画面を表示部221に表示する。図2に示す例では、表示部221が表示する画面の中に、アラーム部品画像A1が含まれている。
【0034】
例えば、アラーム部品画像A1を表示するための部品プログラムに関連付けられた設定プログラムは、アラーム部品画像A1が表示し得るアラーム内容(例えば、表示すべき機器4の異常や、異常履歴の作成の有無、表示され得るメッセージなど)を規定する。また例えば、アラーム部品画像A1を表示するための部品プログラムは、関連付けられる設定プログラムや、アラーム部品画像A1内で一度に表示する異常の数(行数、文字数)、表示する項目(異常が発生した日付、異常の発報時間、メッセージなど)、ユーザの操作を受け付けるスイッチ画像などを規定する。
【0035】
図2に示すアラーム部品画像A1には、1行の項目名と2つ(2行)の異常を表示する表示領域と、操作対象となる異常(図中の反転表示されている異常)を選択するスイッチ画像(図中の「UP」及び「DOWN」のスイッチ画像)と、操作対象の異常を削除するスイッチ画像(図中の「クリア」のスイッチ画像)と、が含まれている。
【0036】
ユーザは、図2に示すような表示部221が表示する画面を確認することで、現在発生している異常や、現在発生している及び過去に発生した異常(設定プログラムで異常履歴を作成するように設定されている場合)を、確認することができる。このとき、ユーザは、例えば表示部221の表面に設けられた略透明な位置検出部222に触れる操作を行う。これにより、ユーザの指示が位置検出部222に入力され、位置検出部222は当該指示をHMI制御部24へ出力する。当該指示が入力されたHMI制御部24は、必要に応じて、表示部221に表示する画面を制御する。
【0037】
具体的に例えば、ユーザが、表示部221のスイッチ画像「UP」に触れた場合、HMI制御部24は、一つ上の異常が操作対象になるように、表示部221に表示される画面を制御する。また例えば、ユーザが、表示部221のスイッチ画像「DOWN」に触れた場合、一つ下の異常が操作対象になるように、表示部221に表示される画面を制御する。なお、アラーム部品画像A1の表示領域に表示しきれない(本例の場合、3つを超える)異常がある場合、HMI制御部24は、操作対象の変更に伴い、これらの異常がアラーム部品画像A1の表示領域内に表示されるように、表示部221を制御しても構わない。また、ユーザが、表示部221のスイッチ画像「クリア」に触れた場合、HMI制御部24は、操作対象の異常が表示されなくなる(削除される)ように、表示部221に表示される画面を制御する。
【0038】
HMI制御部24は、表示部221に表示する画面(実行する画面プログラム)に依らず、PLC3から入力されてHMIメモリ25に記憶されるデータを監視して、異常を検出する。HMI制御部24による異常の検出方法は、設定プログラムによって規定され得る。なお、HMI制御部24が、異常を検出したことをトリガとして、画面を切り替えたり(例えば、図2に示すアラーム部品画像A1を含む画面を表示したり)、現在表示している画面中にアラーム部品画像を表示したりしても構わない。
【0039】
また、HMI制御部24は、上記のようにプロジェクトを実行する以前に、I/F23を介してPLC3と通信することで、当該プロジェクトを実行可能か否か(例えば、プログラマブル表示器2に接続されるPLC3や、PLC3に接続される機器4が、当該プロジェクトで規定されたものであるか否か)を確認しても構わない。さらに、HMI制御部24は、プロジェクトの実行が不可能であることを確認する場合、表示部221にその旨を表示しても構わない。
【0040】
<作画装置の動作例>
作画装置1の動作例(プロジェクト作成部11によるプロジェクトの作成動作例、特に画面プログラム及び設定プログラムの作成動作例)について、図面を参照して説明する。図3は、作画装置によるプロジェクトの作成動作例を示すフローチャートである。
【0041】
図3に示す動作は、ユーザが、作成中の画面プログラムに部品プログラム(例えば、メーカ等が予め作成したもの)を追加する指示を入力する場合や、部品プログラムを含む画面プログラム(例えば、ユーザが以前に作成したプロジェクトに含まれるもの)を作成中のプロジェクトに追加する指示を入力する場合などに、行われるものである。即ち、図3に示す動作は、画面プログラム作成部111が、記録部12に記録されている予め作成された部品プログラムを含めた画面プログラムを作成しようとする際に、行われるものである。また、図3に示す動作は、繰り返し行われ得る。
【0042】
図3に示す動作が開始されると、画面プログラム作成部111は、ユーザから指示された部品プログラム(または、部品プログラムを含む画面プログラム)を追加するべく、記録部12から、指示された部品プログラム(または、部品プログラムを含む画面プログラム)を読み出す(STEP1)。このとき、設定プログラム作成部112は、当該部品プログラムに設定プログラムが関連付けられているか否かを確認する(STEP2)。
【0043】
設定プログラム作成部112が、当該部品プログラムに設定プログラムが関連付けられていないことを確認する場合(STEP2、NO)、画像プログラム作成部111は、当該部品プログラムを画面プログラムに追加(または、部品プログラムを含む画面プログラムをプロジェクトに追加)して(STEP3)、図3に示す動作を終了する。
【0044】
一方、設定プログラム作成部112は、当該部品プログラムに設定プログラムが関連付けられていることを確認すると(STEP2、YES)、当該設定プログラムを記録部12から読み出す(STEP4)。そして、設定プログラム作成部112は、当該設定プログラムを、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムとして作成可能か否かを確認する(STEP5)。
【0045】
プログラマブル表示器2が円滑にプロジェクトを実行するために、1つのプロジェクトに対して、所定の事項を規定する設定プログラムの総数に上限(例えば、規定可能なアラーム内容の数や、サンプリング方法の数)が設定され得る。設定プログラム作成部112は、上記のように設定プログラムを作成しようとするとき、この上限を超えるか否かを確認することで、設定プログラムの作成が可能か否かを確認する。なお、この上限は、ユーザの規定内容に応じて変動するようにしても構わない。例えば、プログラマブル表示器2にかける負荷が大きい内容を規定する設定プログラムが作成されると、上限が小さくなるようにしても構わない。
【0046】
設定プログラム作成部112が、上述の設定プログラムの作成が可能である場合(STEP5、YES)、画面プログラム作成部111は、ユーザから指示された部品プログラムを画面プログラムに追加(または、部品プログラムを含む画面プログラムをプロジェクトに追加)する。さらに、設定プログラム作成部112は、上述の設定プログラムを作成し(STEP6)、図3に示す動作を終了する。
【0047】
上記のSTEP1、2及び4〜6の動作の具体例について、図面を参照して説明する。図4は、図3のSTEP1、2及び4〜6の動作について具体的に説明する図である。なお、以下の図4についての説明は、後述する図5にも矛盾無き限り適用されるものである。
【0048】
図4は、ユーザが、作成中の画面の所望の位置に、所望の部品画像を追加配置する(例えば、操作部14を成すマウスを用いて部品画像をドラッグアンドドロップする)ことで、画面プログラムに部品プログラムが追加される場合を例示したものである。本例において、図4(a)及び図4(b)に示す「作成中の画面」は、作画装置1の表示部13に表示する必要があるが、「追加しようとする部品画像」や「設定プログラム」は、表示すると好ましいものの、必ずしも表示を要するものではない。また、「設定プログラム」に示す各「ブロック」は、所定の事項についてそれぞれ異なる内容を規定するものであり、それぞれが1つの設定プログラムを成すものとして解釈され得る。なお、本例では、1つのプロジェクトについて、ユーザが最大で4つのブロックを作成可能(最大で4つのアラーム内容を規定する設定プログラムを作成可能)である。また、本例では、処理の便宜上、設定プログラムが一体となっている(結合した状態となっている)。
【0049】
図4(a)は、ユーザが、作成中の画面にアラーム部品画像を配置する前の状態を示すものである。この状態において、「ブロック1」が既に作成されている(図中の「作成済」)。一方、「ブロック2」〜「ブロック4」は、未だ作成されていない(図中の「未」)。
【0050】
ユーザは、アラーム部品画像を表示するための部品プログラムを、作成中の画面プログラムに追加しようとする。このとき、設定プログラム作成部112は、当該部品プログラムに設定プログラムが関連付けられていることを確認すると、記録部12から当該設定プログラムを読み出し、取得する。さらに、設定プログラム作成部112は、「ブロック2」〜「ブロック4」が未だ作成されておらず、取得した当該設定プログラムをプロジェクト内に作成可能であることを確認する。すると、図4(b)に示すように、設定プログラム作成部112は、当該部品プログラムに関連付けられた当該設定プログラムを、「ブロック2」として作成する(取得した設定プログラムを、一体となっている設定プログラムに結合させる)。そして、画面プログラム作成部111は、当該部品プログラムを、作成中の画面プログラムに追加する。
【0051】
以上に対して、設定プログラム作成部112が、上述の設定プログラムの作成が不可能であることを、作画制御部16が確認すると(STEP5、NO)、作画制御部16は、部品プログラムの追加が不可能である(部品プログラムを含む画面プログラムの作成が不可能である)旨をユーザに報知し(STEP7)、図3に示す動作を終了する。なお、STEP7において、作画制御部16が、表示部13を制御して画像の表示によってユーザに報知を行っても構わないし、他の方法(例えば、スピーカが発する音等)によって報知を行っても構わない。
【0052】
上記のSTEP1、2、4、5及び7の動作の具体例について、図面を参照して説明する。図5は、図3のSTEP1、2、4、5及び7の動作について具体的に説明する図である。上述のように、図4の説明は矛盾無き限り図5にも適用されるため、重複する説明については省略する。
【0053】
図5(a)は、ユーザが、作成中の画面に部品画像を配置する前の状態を示すものである。この状態において、「ブロック1」〜「ブロック4」の全てが既に作成されている。
【0054】
ユーザは、アラーム部品画像を表示するための部品プログラムを、作成中の画面プログラムに追加しようとする。このとき、設定プログラム作成部112は、当該部品プログラムに設定プログラムが関連付けられていることを確認し、記録部12から当該設定プログラムを読み出し、取得する。しかし、設定プログラム作成部112は、「ブロック1」〜「ブロック4」の全てが既に作成されているため、取得した当該設定プログラムをプロジェクト内に作成する(取得した設定プログラムを、一体となっている設定プログラムに結合させる)ことは不可能である。作画制御部16は、設定プログラム作成部112がこの状態になったことを確認すると、図5(b)に示すように、表示部13を制御して、部品プログラムを追加することができず、画面プログラムを作成することができない旨を示すエラーメッセージ(具体的に例えば、部品画像を配置できない旨や、配置できなかった部品画像及び配置できない理由)を表示させる。
【0055】
以上のように、画面プログラム作成部111が、部品プログラムを含む画面プログラムや部品プログラムを流用して、画面プログラムを作成すると、設定プログラム作成部112が、流用した部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを流用して、設定プログラムを作成する。そのため、ユーザの意図に沿った正常な動作が行われる画面プログラムを、容易に作成することが可能になる。
【0056】
また、設定プログラムは部品プログラムと切り離されて規定され、必要に応じて部品プログラムに関連付けられる構成である。そのため、ユーザが部品プログラム毎に重複した内容を規定する必要が無くなるため、画面プログラムの作成は容易になるが、ユーザに部品プログラムの流用のみで動作可能と解釈される可能性がある。そこで、上記のように部品プログラム及び設定プログラムがもれなく流用される構成とすることで、ユーザの意図に沿った正常な動作が行われ得る画面プログラムが、作成可能になる。
【0057】
さらに、画面プログラム作成部111が、設定プログラムが関連付けられた部品プログラムを含む画面プログラムを作成しようとすることで、設定プログラムの上限が超えられようとする場合、ユーザに対して、当該画面プログラムを作成することができない旨が報知される。そのため、プログラマブル表示器2が正常に実行可能な画面プログラムを、容易に作成することが可能になる。
【0058】
なお、図3のSTEP6において、設定プログラム作成部112が設定プログラムを作成(結合)する際に、作成(結合)の実行をユーザに報知しても構わない。例えば、作成(結合)を実行する旨を、表示部13に表示しても構わない。
【0059】
以上、本発明における実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、プログラマブル表示器が表示する画面プログラムを作成する作画装置や、当該画面プログラムを作成する際に作画装置に実行される作画プログラムに利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 作画装置
11 プロジェクト作成部
111 画面プログラム作成部
112 設定プログラム
113 制御プログラム作成部
12 記録部
13 表示部
14 操作部
15 I/F
16 作画制御部
17 作画メモリ
2 プログラマブル表示器
21 I/F
22 タッチパネル
221 表示部
222 位置検出部
23 I/F
24 HMI制御部
25 HMIメモリ
3 PLC
31 I/F
32 I/F
33 PLC制御部
34 PLCメモリ
4 機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラマブル表示器が画面を表示するための画面プログラムを作成する作画装置であって、
部品プログラムを含む画面プログラムを作成する画面プログラム作成部と、
部品プログラムに関連付けられる設定プログラムを作成する設定プログラム作成部と、
予め作成された部品プログラムと、当該部品プログラムに関連付けられ予め作成された設定プログラムと、を記録する記録部と、を備え、
前記プログラマブル表示器は、部品プログラムを実行する際に、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを参照するものであり、
前記画面プログラム作成部が、前記記録部に記録されている予め作成された部品プログラムを含む画面プログラムを作成する場合、前記設定プログラム作成部は、前記記録部に記録されている当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを取得して、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムとして作成することを特徴とする作画装置。
【請求項2】
1つの設定プログラムに、複数の部品プログラムが関連付けられ得ることを特徴とする請求項1に記載の作画装置。
【請求項3】
ユーザに報知する報知部と、
前記アドレス割当部の状態に応じて前記報知部を制御する制御部と、をさらに備え、
所定の事項を規定する設定プログラムの総数に、上限が設定されており、
前記画面プログラム作成部が、前記記録部に記録されている予め作成された部品プログラムを含む画面プログラムを作成する場合、
前記設定プログラム作成部が、前記上限を超えるために、前記記録部に記録されている当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムを取得して、当該部品プログラムに関連付けられた設定プログラムとして作成することができない状態になったことを、前記制御部が確認すると、
前記制御部は、前記報知部を制御して、当該画面プログラムを作成することができない旨を、ユーザに対して報知させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作画装置。
【請求項4】
コンピュータを請求項1〜請求項3のいずれかに記載の作画装置の各部として機能させることを特徴とする作画プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−123612(P2012−123612A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273544(P2010−273544)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】