作画装置
【課題】表示オブジェクトの定義によりメインオブジェクトとサブオブジェクトが適切に生成され、表示オブジェクトの特定において、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されないようにする作画装置を提供する。
【解決手段】表示オブジェクトが定義されると、所定要素を特定するメインオブジェクトを登録し、他の要素を特定するサブオブジェクトを、該メインオブジェクトにリンクさせて登録する機能と、メインオブジェクトとサブオブジェクトの指定を受付ける処理、および、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される表示オブジェクトが、表示モデルに配置された状態とする処理を実行する機能と、を備え、サブオブジェクトについては、指定されたメインオブジェクトにリンクされているもののみが、指定可能となっている作画装置とする。
【解決手段】表示オブジェクトが定義されると、所定要素を特定するメインオブジェクトを登録し、他の要素を特定するサブオブジェクトを、該メインオブジェクトにリンクさせて登録する機能と、メインオブジェクトとサブオブジェクトの指定を受付ける処理、および、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される表示オブジェクトが、表示モデルに配置された状態とする処理を実行する機能と、を備え、サブオブジェクトについては、指定されたメインオブジェクトにリンクされているもののみが、指定可能となっている作画装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画面に表示される図形、静止画や動画、好ましくは動画の作成に用いられる作画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによる動画の定義(画像がどのように動くか等の取決め)を受付けて登録しておき、登録されている動画を表示させることが可能な動画作成装置(作画装置の一種)が提案されている。このような動画作成装置の動作内容について、以下に、一例を挙げて説明する。
【0003】
当該動画作成装置においては、ユーザによる動画モデル(動画の内容を表す情報)の定義を受付け、定義された動画モデルを登録する「動画モデル登録モード」、および、登録されている動画モデルを表示する「ランタイムモード」の、各動作モードが設けられている。
【0004】
動画モデル登録モードでは、図18に示すようなエディタ画面100が表示される。またエディタ画面100には、描画領域101、メインオブジェクト一覧領域102、およびサブオブジェクト一覧領域103が設けられており、メインオブジェクト一覧領域102にはメインオブジェクトの一覧が、サブオブジェクト一覧領域103にはサブオブジェクトの一覧が、それぞれ示されている。
【0005】
ここでメインオブジェクトおよびサブオブジェクトは、動画モデルに配置させることができる動画オブジェクト(表示オブジェクトの一種)を特定するための要素である。メインオブジェクトは複数の動画オブジェクトに共通の内容(ここでは、動画オブジェクトの種類)を表す要素として、サブオブジェクトはその他を表す要素(ここでは、動き方を定めるもの)として、動画作成装置に予め登録されている。
【0006】
なお図18に示す状況では、「赤点灯」と「青点灯」の各サブオブジェクトは、「丸ランプ」のメインオブジェクトを補完する(どのような色に点灯するかを定める)要素として設けられており、「左回転」と「右回転」の各サブオブジェクトは、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトを補完する(どちらに回転するかを定める)要素として設けられている。
【0007】
そして例えば、ユーザが「丸ランプ」と「赤点灯」を指定すれば、表示状態が非点灯から「赤点灯」の状態に変化する「丸ランプ」を表す動画オブジェクトが、描画領域101の所望位置に配置される。また「丸ランプ」と「青点灯」を選択すれば、表示状態が非点灯から「青点灯」の状態に変化する「丸ランプ」を表す動画オブジェクトが、描画領域101の所望位置に配置される。
【0008】
ユーザは、このような作業を繰り返して描画領域101を所望の表示状態とし、この表示状態を表す動画モデルを、動画作成装置に登録させることが可能となっている。またランタイムモードでは、このようにして登録された動画モデルが表示されることにより、動画が表示される。
【0009】
上述したように動画モデル登録モードでは、ユーザは、メインオブジェクトとサブオブジェクトを指定することにより、動画モデルに配置させたい動画オブジェクトを特定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−99757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した動画作成装置によれば、動画オブジェクトを特定する各項目の要素が、メインオブジェクトとサブオブジェクトに分けられており、ユーザがそれぞれを指定することが可能となっている。そのためユーザにとっては、所望の動画オブジェクトが指定し易くなり、動画モデルを定義するための作業効率が良くなる。
【0012】
しかしながら、動画オブジェクトの特定にあたっては、指定されたメインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定される可能性がある。例えばユーザによって「丸ランプ」のメインオブジェクトが選択されたにも関わらず、「丸ランプ」に対応していない「左回転」(「ベルトコンベア」に対応している)のサブオブジェクトが選択される可能性がある。
【0013】
この場合、正しく表示されない動画オブジェクトが動画モデルに配置されてしまい、ランタイムモードにおいて不具合が生じることとなる。特に、一の動画オブジェクトを特定するために、多数のサブオブジェクトを指定する必要がある場合、或いは、サブオブジェクトの構造や内容が複雑な場合などにおいては、このような不具合が起こり易いと考えられる。
【0014】
なおユーザは動画モデルを定義した後、ランタイムモードによって、正しく表示されない動画オブジェクトが動画モデルに配置されていないかを、確認することは可能である。しかし、動画モデルに多数の動画オブジェクトが配置されている場合、複雑な振る舞いをする動画オブジェクトが配置されている場合、或いは、多数の動画モデルが登録される場合などにおいては、このような確認作業を適切に行うことは難しい。また、上述した動画作成装置においては、ユーザ等によって予め動画オブジェクトが定義されると、各オブジェクト(メインオブジェクトおよびサブオブジェクト)が、適切に生成されることが望ましい。
【0015】
本発明は上述した問題点に鑑み、表示オブジェクトが定義されると、メインオブジェクトとサブオブジェクトが適切に生成されるとともに、表示オブジェクトの特定において、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されることを回避することが可能な作画装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る作画装置は、複数の要素によって特定される表示オブジェクトの定義を受付けるオブジェクト定義部と、少なくとも1個の表示オブジェクトにより特定される表示モデルの定義を受付けるとともに、該定義された表示モデルを登録しうる表示モデル登録部と、を備えた表示オブジェクトであって、前記オブジェクト定義部は、表示オブジェクトの定義がなされた後、該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの所定要素を特定するメインオブジェクトを生成して登録する第1の処理、および、該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの他の要素を特定するサブオブジェクトを生成し、該メインオブジェクトにリンクさせて登録する第2の処理、の各処理を実行するものであり、前記表示モデル登録部は、登録されているメインオブジェクトの何れかの指定を受付ける第3の処理、登録されているサブオブジェクトの何れかの指定を受付ける第4の処理、および、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される表示オブジェクトが、前記表示モデルに配置された状態とする第5の処理、の各処理を実行するものであり、第4の処理においては、第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっている構成とする。
【0017】
本構成によれば、表示オブジェクトが定義されると、メインオブジェクトとサブオブジェクトを適切に生成することが可能となる。また、メインオブジェクトとサブオブジェクトがそれぞれ指定されることにより表示オブジェクトを特定して、この表示オブジェクトを表示モデルを特定する要素として使用することが可能になる。そして更に、サブオブジェクトの指定の受付けにおいては、指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となる。そのため、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されることを回避することが可能となる。
【0018】
なお「表示モデル」は、表示の内容を表す情報であって、表示オブジェクトが配置される(つまり、表示オブジェクトの表示状態が表示モデルの表示に反映されるように、組み込まれる)ものである。また「表示オブジェクト」は、表示に関する情報を有するものであり、表示状態が変動するもの(例えば、実施例における「動画オブジェクト」)の他、表示状態が変動しないものであっても構わない。
【0019】
また上記構成において、前記オブジェクト定義部は、前記所定要素において共通する複数種の表示オブジェクトが定義された場合、該複数種の表示オブジェクトに共通する一つのメインオブジェクトを生成して登録する処理を、前記第1の処理として実行し、該複数種の表示オブジェクトについてのサブオブジェクトの各々を生成し、該共通する一つのメインオブジェクトにリンクさせて登録する処理を、前記第2の処理として実行する構成としてもよい。
【0020】
本構成によれば、所定要素において共通する複数種の表示オブジェクトが定義された場合に、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録が省略される。そのため、表示オブジェクトの生成や登録の処理効率を向上させることが可能となる。
【0021】
また上記構成において、前記オブジェクト定義部は、表示オブジェクトの定義がなされたとき、該定義された表示オブジェクトについてのメインオブジェクトが、既に生成されて登録済みである場合には、前記第1の処理および第2の処理の実行に代えて、該定義された表示オブジェクトについてのサブオブジェクトを生成して、該登録済みのメインオブジェクトにリンクさせて登録する構成としてもよい。
【0022】
本構成によれば、例えば、既に登録済みの表示オブジェクトと所定要素において共通する表示オブジェクトが追加定義された場合に、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録が省略される。そのため、表示オブジェクトの生成や登録の処理効率を向上させることが可能となる。
【0023】
また上記構成としてより具体的には、前記表示オブジェクトは、前記複数の要素が特定されることにより、少なくとも、初期表示状態、イベント表示状態、およびイベント実行条件が特定され、該表示オブジェクトが配置された表示モデルの表示中において、該イベント実行条件が満たされた場合には、表示状態が、該初期表示状態から該イベント表示状態に変化するものである構成としてよい。
【0024】
また上記構成において、前記第3の処理が実行されるときには、登録されているメインオブジェクトの一覧が表示され、前記第4の処理が実行されるときには、該第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、一覧表示される構成としてもよい。
【0025】
本構成によれば、一覧中の何れかをユーザに選択させて、メインオブジェクトとサブオブジェクトの指定を受付けるようにすることが容易となる。またその場合、指定されたメインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトについては表示されないから、ユーザにとっては、サブオブジェクトの指定がより容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る作画装置によれば、実際に動作する表示オブジェクトを定義した後、表示オブジェクトのメイン要素を特定するメインオブジェクトと、サブ要素を特定するサブオブジェクトとを生成し、実際に動作する表示オブジェクトにおけるメインオブジェクトとサブオブジェクトとをリンクして登録する。そして、メインオブジェクトにリンクされていないサブオブジェクトは指定できないようになっている。したがって、メインオブジェクトと指定可能なサブオブジェクトを組み合わせて特定される表示オブジェクトは常に正しく動作する。換言すれば、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが誤って指定されることが回避され、その結果、実際に動作しない表示オブジェクトが特定されることが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る動画作成装置の構成図である。
【図2】当該動画作成装置において実行される処理の全体的な流れ図である。
【図3】オブジェクト登録モードに関する処理の流れ図である。
【図4】動画モデル登録モードに関する処理の流れ図である。
【図5】ランタイムモードに関する処理の流れ図である。
【図6】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図7A】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図7B】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図8】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図9】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図10】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図11】ランタイムモードに関する説明図である。
【図12】ランタイムモードに関する説明図である。
【図13】ランタイムモードに関する説明図である。
【図14】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図15】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図16】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図17】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図18】従来技術における動画モデルの登録に関する説明図である。
【図19】従来技術における動画モデルの登録に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について、動画モデル(表示モデルの一種)を作成するために用いられる動画作成装置(作画装置の一種)を例に挙げて、各図面を参照しながら以下に説明する。なお当該動画作成装置は、以降の説明で明らかとなるように、ユーザによって動画モデルを定義でき、かつ定義した動画モデルを登録(記憶)できると共に、登録した動画モデルを表示できる装置である。なお、以下の説明において「動画」という用語には、一般的な意味での動画のみならず、換言すれば、一連の画像を短い間隔で連続表示することにより得られる動きのある映像のみならず、色のみが変化するような映像も含むものとして説明する。
【0029】
図1は、当該動画作成装置の概略的な構成図である。本図に示すように、動画作成装置9は、操作部1、演算制御部2、記憶部3、および表示部4を備えている。
【0030】
操作部1は、一般的なキーボード(各アルファベットに対応したボタンを備えている)およびマウス(左ボタンと右ボタンを備えている)などから構成されており、ユーザによって動画作成装置9への入力操作(各種ボタンの押下等)がなされる。操作の内容は、演算制御部2に伝送される。これにより、動画作成装置9は、ユーザの意図を反映させた各処理を行うことが可能となっている。
【0031】
演算制御部2は、例えばCPU[Central Processing Unit]とメモリに読み出された制御ソフトとによって実現される機能ブロックであり、各種情報についての演算処理や、動画表示装置9における各部の制御などを実行する。なお演算制御部2は、機能的な観点から見れば、ユーザによる動画オブジェクト(表示オブジェクトの一種であり、詳しくは後述する)の定義を受付けて登録するオブジェクト定義部、ユーザによる動画モデルの定義を受付けて登録する動画モデル登録部、および、動画モデルを表示させるランタイム部などを有しているとも言える。
【0032】
記憶部3は、例えばハードディスクやRAM[Random Access Memory]等によって構成されており、各種の情報を記憶する。記憶部3は、演算制御部2によって情報の読み書きが可能となっている。また記憶部3は、機能的な観点から見れば、メインオブジェクトを記憶するメインオブジェクト記憶部、サブオブジェクトを記憶するサブオブジェクト記憶部、および、動画モデルを記憶する動画モデル記憶部などを有している。なお、メインオブジェクト記憶部が、ビジュアルコントロールレジストリによって実現され、サブオブジェクト記憶部が、データベースサーバによって実現されていても良い。
【0033】
表示部4は、動画等を表示することが可能な、例えば、液晶パネルなどにより構成され、演算制御部2から伝送される情報に基づいた表示を行う。次に、動画作成装置9において実行される処理の全体的な内容について、図2に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0034】
演算制御部2は、通常時、オブジェクト登録モードへの移行指示が有ったか(ステップS1)、動画モデル登録モードへの移行指示が有ったか(ステップS2)、およびランタイムモードへの移行指示が有ったか(ステップS3)を監視する。このときユーザは、操作部1における所定操作を通じて、動画作成装置9にこれらの移行指示を与えることが可能となっている。
【0035】
そしてオブジェクト登録モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS1のY)、演算制御部2は、動画作成装置9における処理形態を、オブジェクト登録モードに移行させる(ステップS4)。オブジェクト登録モードは、動画モデル登録モードで使用される動画オブジェクトを、予め登録しておくために設けられたものである。なお、オブジェクト登録モードにおいて実行される処理の内容については、改めて説明する。
【0036】
一方、動画モデル登録モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS2のY)、演算制御部2は、動画作成装置9における処理形態を、動画モデル登録モードに移行させる(ステップS5)。動画モデル登録モードは、ランタイムモードにて表示させる動画モデルを、予め登録しておくために設けられたものである。なお、動画モデル登録モードにおいて実行される処理の内容については、改めて説明する。
【0037】
またランタイムモードへの移行指示がなされた場合には(ステップS3のY)、演算制御部2は、動画作成装置9における処理形態を、ランタイムモードに移行させる(ステップS6)。ランタイムモードは、予め登録されている動画モデルを表示させるために設けられたものである。なお、ランタイムモードにおいて実行される処理の内容については、改めて説明する。
【0038】
次に、オブジェクト登録モード(ステップS4)にて実行される処理の内容について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
オブジェクト登録モードに移行すると、演算制御部2は、所定のオブジェクトエディタ画面を表示部4に表示させる(ステップS41)。オブジェクトエディタ画面には、一般的なビジュアルエディタ画面(ユーザによる図形の定義等に用いられる)やスプレッドシート(ユーザによる数値の定義等に用いられる)などが用意されている。これによりユーザは、操作部1を使った情報入力を通じて、1種または複数種の動画オブジェクトを定義することが可能となっている。
【0040】
なお「動画オブジェクト」は、初期表示状態(イベントが実行されていないときの表示状態)、イベント表示状態(イベントが実行されているときの表示状態)、イベント実行条件(イベントが実行されるための条件であって、例えば、操作部1において所定操作がなされた場合に満たされるもの)、および付随情報(例えば、データ型、ラベル、アクセス権などに関する情報)の各々によって特定されるものであり、動画モデルに配置される動画のパーツを表すオブジェクト(情報)である。なおユーザは、オブジェクトエディタ画面を用いてこれらを特定することにより、所望の動画オブジェクトを定義することが可能である。
【0041】
また演算制御部2は、オブジェクトエディタ画面を表示させた状態で、ユーザによって動画オブジェクトが定義されたか(ステップS42)、およびユーザによるオブジェクト登録モードの終了指示がなされたか(ステップS43)を監視する。そして動画オブジェクトが定義された場合には(ステップS42のY)、この定義された動画オブジェクトについての、メインオブジェクトとサブオブジェクトが、演算制御部2によって生成される(ステップS44)。
【0042】
より具体的には、先ず、定義された全ての動画オブジェクトが、メイン要素が共通する動画オブジェクト(以下、「動画オブジェクト群」とする)に分類される。その後、各動画オブジェクト群について、メイン要素を特定するメインオブジェクト、および、サブ要素(メイン要素を除いた要素)を特定する各サブオブジェクトが生成される。当該処理は、所定のモデルスキーマコンパイラ(予め作成されているもの)を用いたコンパイル(例えばXMLデータが生成される)により、実現されるようになっていても良い。
【0043】
なおメインオブジェクトとしては、自己がメインオブジェクトである旨の情報、自己のID情報、および特定する要素の内容を表す情報などを含んだものが生成される。またサブオブジェクトとしては、自己がサブオブジェクトである旨の情報、自己のID情報、および特定する要素の内容を表す情報などを含んだものが生成される。
【0044】
また「メイン要素」および「サブ要素」は、それぞれ、先述した「初期表示状態」、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付随情報」のうちの何れか(もしくは組合せ)である。「メイン要素」および「サブ要素」がどのように設定されるかについては、任意とすることが可能であり、またユーザの指示等に応じて適宜変更可能となっていても良い。
【0045】
このようにして、全ての動画オブジェクト群についてメインオブジェクトとサブオブジェクトが生成されたら、演算制御部2は、まず各メインオブジェクトを記憶部3のメインオブジェクト記憶部に記憶させる。これにより、各メインオブジェクトは動画表示装置9に登録される(ステップS45)。
【0046】
また演算制御部2は、各サブオブジェクトを、対応する(同じ動画オブジェクト群に属する)メインオブジェクトにリンクさせた上で(例えば、対応するメインオブジェクトのID情報を付加させた上で)、記憶部3のサブオブジェクト記憶部に記憶させる。これにより、各サブオブジェクトは、動画作成装置9に登録される(ステップS46)。
【0047】
なおこのように、各サブオブジェクトを、対応するメインオブジェクトにリンクさせて登録することにより、メインオブジェクトとサブオブジェクトの連携に関するスキーマ(規則)が定められる。そのため、後述する通り、動画モデル登録モードにおける動画オブジェクトの特定においては、メインオブジェクトとサブオブジェクトを整合させることが可能となる。
【0048】
その後、演算制御部2は、ステップS43の処理に戻る。以上の通り、ステップS44〜S46の処理によって、動画オブジェクト群が定義される度に、メインオブジェクトとサブオブジェクトとを登録することが可能となっている。一方、オブジェクト登録モードの終了指示がなされた場合には(ステップS43のY)、演算制御部2は、オブジェクト登録モードを終了し、ステップS1の処理に戻る。なお、オブジェクト登録モードの終了時には定義された動画オブジェクト群を適当な記憶部3に記憶させて登録することが好ましいが、必ずしも動画オブジェクト群を登録する必要は無い。
【0049】
ここでステップS44からS46までの各処理について、より理解容易とするために、具体的な事例(以下、「事例1」とする)を挙げて説明する。なお事例1では、図6に示すように、「丸ランプ(赤点灯)」、「丸ランプ(青点灯1)」、「丸ランプ(青点灯2)」、「ベルトコンベア(左回転)」、および「ベルトコンベア(右回転)」の、5個の動画オブジェクトが定義された場合を想定する。また、「初期表示状態」が、メイン要素に、「イベント表示状態」と「イベント実行条件」と「付随情報」の組合せが、サブ要素に設定されているとする。
【0050】
なお図6に示すように、例えば「丸ランプ(赤点灯)」の動画オブジェクトに関しては、「初期表示状態」は、丸ランプを示す表示(中央にある円が点灯部であり、白に着色されている)であり、この表示の情報を「A1」とする。また同じく「イベント表示状態」は、「初期表示状態」と同じ形状であるが、点灯部が赤に着色された丸ランプを表す表示であり、この表示の情報を「B1」とする。また同じく「イベント実行条件」は、マウスの左ボタンが押下状態であることであり、この条件の情報を「C1」とする。また「付随情報」の情報を「D1」とする。
【0051】
また例えば「ベルトコンベア(左回転)」の動画オブジェクトに関しては、「初期表示状態」は、ベルトコンベア(静止した状態)を示す表示であり、この表示の情報を「A2」とする。また同じく「イベント表示状態」は、ベルトコンベア(ローラが左回転しているように見える)を示す表示であり、この表示の情報を「B3」とする。また同じく「イベント実行条件」は、キーボードの「L」ボタンが押下状態であることであり、この条件の情報を「C3」とする。また「付随情報」の情報を「D4」とする。
【0052】
このように各動画オブジェクトが定義されると(ステップS42のY)、演算制御部2は、初期表示状態(メイン要素)が「A1(丸ランプ)」で共通する「丸ランプ(赤点灯)」、「丸ランプ(青点灯1)」、および「丸ランプ(青点灯2)」からなる動画オブジェクト群と、初期表示状態が「A2(ベルトコンベア)」で共通する「ベルトコンベア(左回転)」および「ベルトコンベア(右回転)」からなる動画オブジェクト群に、各動画オブジェクトを分類する。
【0053】
そして演算制御部2は、「丸ランプ」に係る動画オブジェクト群については、A1の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「丸ランプ」)、B1とC1とD1からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「赤点灯」)、B2とC1とD2からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「青点灯1」)、および、B2とC2とD3からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「青点灯2」)を生成する。
【0054】
また演算制御部2は、「ベルトコンベア」に係る動画オブジェクト群については、A2の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「ベルトコンベア」)、B3とC3とD4からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「左回転」)、B4とC4とD5からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「右回転」)を生成する。このようにして、定義された動画オブジェクトについての、メインオブジェクトとサブオブジェクトが生成される(ステップS44)。
【0055】
更に演算制御部2は、「丸ランプ」と「ベルトコンベア」のメインオブジェクトをメインオブジェクト記憶部に登録する(ステップS45)。また演算制御部2は、「赤点灯」、「青点灯1」、および「青点灯1」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせてサブオブジェクト記憶部に登録し、「左回転」および「右回転」のサブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせてサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。以上の結果、図7Aに示す通りの各オブジェクトが、登録されることになる。
【0056】
なお例えば、図7Aに示されている「丸ランプ」のメインオブジェクトを、図7Bの上段に示すようなデータとし、同じく「赤点灯」のサブオブジェクトを、図7Bの下段に示すようなデータとしても良い。この場合、「丸ランプ」のメインオブジェクトと「赤点灯」のサブオブジェクトが合成されると(メインオブジェクト中のXXXにB1が、YYYにC1が、ZZZにD1が、それぞれ組み込まれると)、振る舞い等の定まった動画オブジェクトが特定される。
【0057】
また上述した通り、メイン要素(所定要素)において共通する複数種の動画オブジェクトが定義された場合には、これらの動画オブジェクトに共通する一つのメインオブジェクトが生成され、登録されるようになっている。そして、これらの動画オブジェクトについてのサブオブジェクトの各々は、生成された後、当該共通する一つのメインオブジェクトにリンクされ、登録されるようになっている。
【0058】
このように、メイン要素において共通する複数種の動画オブジェクトが定義された場合、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録は省略されるようになっている。そのため、動画オブジェクトの生成や登録の処理効率を、向上させることが可能となっている。
【0059】
なお、動画オブジェクトの定義がなされたとき、当該定義された動画オブジェクトについてのメインオブジェクトが既に生成されて登録済みである場合にも、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録は省略されるようになっている。つまり、当該定義された動画オブジェクトについて、サブオブジェクトは生成されるが、メインオブジェクトの生成や登録は省略される。そして当該サブオブジェクトは、この登録済みであるメインオブジェクトにリンクされ、登録されるようになっている。
【0060】
例えば、図7Aに示すように各オブジェクトが登録されている状態で、メイン要素が「A1」である何らかの動画オブジェクトが追加的に定義された場合には、この動画オブジェクトについてのサブオブジェクトは生成されるが、メインオブジェクトは生成されない。そしてこの生成されたサブオブジェクトは、登録済みであるメインオブジェクト(メインオブジェクトIDが「丸ランプ」)にリンクされ、登録されることになる。また、メインオブジェクトとサブオブジェクトとが一対一になる場合もある。すなわち、一つのメインオブジェクトにより定義される動画オブジェクトの振る舞いが、1種類だけの場合もある。
【0061】
次に、動画モデル登録モード(ステップS5)にて実行される処理の内容について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0062】
動画モデル登録モードに移行すると、演算制御部2は、所定の動画モデルエディタ画面を表示部4に表示させる(ステップS51)。動画モデルエディタ画面では、図8に示すように、動画モデル作成領域41、メインオブジェクト一覧領域42、およびサブオブジェクト一覧領域43などが用意されている。
【0063】
動画モデル作成領域41は、動画モデルの内容を定義するための領域であり、ユーザによる操作部1の入力操作に応じて、各種の図形や文字等が配置可能となっている。また動画モデル作成領域41には、後述するように、入力操作に応じた動画オブジェクトの配置も可能となっている。ユーザは、このような入力操作を繰り返して作画を行い、1個または複数個の動画オブジェクトを動画モデル作成領域41に配置することで特定された動画モデルを定義することが可能である。
【0064】
またメインオブジェクト一覧領域42には、予め登録されているメインオブジェクトの一覧が表示されている。ユーザは、当該一覧に示されているメインオブジェクトの何れかを、自在に指定することが可能となっている。
【0065】
演算制御部2は、動画モデルエディタ画面を表示させた状態において、ユーザによって何れかのメインオブジェクトが指定されたか(ステップS52)、動画モデルの登録指示がなされたか(ステップS53)、および、動画モデル登録モードの終了指示がなされたか(ステップS54)を監視する。なおステップS52に係る指定は、ユーザが、定義中の動画モデルに、所望の動画オブジェクトを挿入しようとする場合になされる。
【0066】
そして、何れかのメインオブジェクトが指定された場合には(ステップS52のY)、演算制御部2は、登録されているサブオブジェクトのうち、指定されたメインオブジェクトにリンクしているもの(よって、リンクしていないものは除かれる)についての一覧を、サブオブジェクト一覧43に表示させる(ステップS55)。
【0067】
また演算制御部2は、サブオブジェクトの一覧を表示させた状態で、ユーザによる1個のサブオブジェクトの指定(当該一覧の中からの指定)、および、動画オブジェクトを配置させる位置の指定(例えば、動画モデル作成領域41の何処かがマウスポインタで指し示される)を受付ける(ステップS56)。そしてこれらの指定がなされたら(ステップS56のY)、演算制御部2は、指定された位置に、指定されたメインオブジェクトおよび指定されたサブオブジェクトによって(例えばこれらが合成されて)特定される動画オブジェクトを配置する(ステップS57)。その後、演算制御部2は、ステップS53の処理に戻る。
【0068】
ステップS57の処理は、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される動画オブジェクトが、動画モデルに配置された状態とする処理といえる。なおこのように、動画オブジェクトが動画モデルに配置された状態とする手法や手順については、他の態様となっていても構わない。例えば、メインオブジェクトが何らかの表示(例えば、初期表示状態)である場合、まず指定されたメインオブジェクトが動画モデルに配置され、その後、この配置されたメインオブジェクトに、指定されたサブオブジェクトが関連付けられる(これにより、動画オブジェクトが特定される)ようになっていても良い。
【0069】
一方、動画モデルの登録指示がなされた場合には(ステップS53のY)、演算制御部2は、現時点での動画モデル作成領域41の表示状態に応じた動画モデル(どの動画オブジェクトが、どの位置に配置されているか等を表す情報)を生成し、記憶部3の動画モデル記憶部に記憶させる。これにより、動画モデル作成領域41に表示されていた動画モデルが動画作成装置9に登録される(ステップS58)。その後、演算制御部2は、ステップS54の処理に戻る。また動画モデル登録モードの終了指示がなされた場合には(ステップS54のY)、演算制御部2は、動画モデル登録モードを終了し、ステップS1の処理に戻る。
【0070】
ここで動画モデル登録モードにて実行される処理(特に、ステップS51〜52およびS55〜S57)について、より理解容易とするために、具体的な事例(以下、「事例2」とする)を挙げて説明する。なお事例2では、先述した事例1に係る各処理が実行されたことにより、図7Aに示す各オブジェクトが既に登録されているとする。またここでは、ユーザが、「丸ランプ(赤点灯)」の動画オブジェクトを、動画モデル作成領域41に配置させる場合を想定する。
【0071】
動画モデル登録モードに移行すると、先ず、図8に示すような動画モデルエディタ画面が表示される(ステップS51)。このとき、メインオブジェクト表示領域42には、登録されている各メインオブジェクトを表す「丸ランプ」と「ベルトコンベア」が表示される。
【0072】
そしてユーザによって「丸ランプ」が指定されると(ステップS52のY)、サブオブジェクト表示領域43には、登録されている各サブオブジェクトのうち、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「赤点灯」、「青点灯1」、および「青点灯2」が表示される(ステップS55)。これによりユーザは、「赤点灯」、「青点灯1」、および「青点灯2」の何れか1個を、更に指定することが可能となる。
【0073】
なお、「丸ランプ」にリンクしていないサブオブジェクトを表す「左回転」および「右回転」は表示されないから、ユーザは、「左回転」および「右回転」を指定することができない。そのため、これらのサブオブジェクトが誤って指定されるという不具合は、未然に防止されることになる。また、指定不可であるサブオブジェクトが表示されないことにより、ユーザにとっては、サブオブジェクトの指定を迅速かつ容易に行うことが可能である。
【0074】
そして図9に示すように、ユーザによって、「赤点灯」および動画モデル作成領域41における所望位置44が指定されると(ステップS56のY)、演算制御部2は、図10に示すように、当該位置44に「丸ランプ(赤点灯)」の動画オブジェクトを配置させる(ステップS57)。このようにしてユーザは、所望の動画オブジェクトを、動画モデル作成領域41の所望位置に配置させることが可能である。
【0075】
次に、ランタイムモード(ステップS6)にて実行される処理の内容について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0076】
ランタイムモードに移行すると、演算制御部2は、図11に示すようなランタイム画面を、表示部4に表示させる(ステップS61)。なおランタイム画面には、動画モデルの表示に用いられる動画表示領域46、および登録されている動画モデルの一覧が表示される動画モデル一覧領域47が用意されている。
【0077】
なおランタイム画面は、例えば、一般的なWebブラウザを利用したものとしても構わない。また演算制御部2は、ランタイム画面を表示させた状態で、ユーザによる動画モデルの何れかの指定(当該一覧の中からの指定)を受付ける(ステップS62)。
【0078】
そして何れかの動画モデルが指定されたら(ステップS62のY)、演算制御部2は、指定された動画モデルを、動画表示領域46に表示させる(ステップS63)。なおこのとき、当該動画モデルに配置されている動画オブジェクトは、何れも初期表示状態となっている。
【0079】
その後、演算制御部2は、動画モデルに配置されている各動画オブジェクトについて、イベント実行条件が満たされているかを検出する(ステップS64)。また当該検出の結果に基づいて、各動画オブジェクトの表示状態を制御する(ステップS65)。より具体的には、イベント実行条件が満たされていない動画オブジェクトについては、その表示状態を、初期表示状態とする。一方、イベント実行条件が満たされている動画オブジェクトについては、その表示状態を、イベント表示状態とする。
【0080】
その後、演算制御部2は、ユーザによってランタイムモードの終了指示がなされたかを判断し(ステップS66)、当該終了指示がなされた場合には(ステップS66のY)、ランタイムモードを終了し、ステップS1の処理に戻る。一方、終了指示がなされていない場合には(ステップS66のN)、演算制御部2は、ステップS64以降の処理を繰り返す。
【0081】
ここでランタイムモードにおいて実行される処理について、より理解容易とするために、具体的な事例(以下、「事例3」とする)を挙げて説明する。なお事例3では、「A001」、「A002」、および「A003」というIDの動画モデルが、それぞれ予め登録されているとする。
【0082】
ランタイムモードに移行すると、先ず、図11に示すようなランタイム画面が表示される(ステップS61)。このとき、動画モデル一覧領域47には、各動画モデルを表す「A001」、「A002」、および「A003」が表示される。
【0083】
そして「A001」の動画モデルが指定されると(ステップS62のY)、図12に示すように、「A001」の動画モデルが動画表示領域46に表示される(ステップS63)。なお当該表示に含まれている丸ランプ48aは、事例1で登録された丸ランプ(赤点灯)の動画オブジェクトであり、同じくベルトコンベア48bは、事例1で登録されたベルトコンベア(左回転)の動画オブジェクトであるとする(動画オブジェクトの内容については、図6を参照)。なおこのとき、丸ランプ48aは点灯部が白色であり、ベルトコンベア48bは静止状態(つまり、何れも初期表示状態)となっている。
【0084】
その後、ユーザがマウスの左ボタンを押下すると、丸ランプ48aについて、イベント実行条件が満たされたことが検出される(ステップS64)。そのため図13に示すように、丸ランプ48aの点灯部が赤色(イベント表示状態)となる(ステップS65)。
【0085】
更にその後、ユーザがマウスの左ボタンの押下を止めると、丸ランプ48aについて、イベント実行条件が満たされていないことが検出される(ステップS64)。そのため再び図12に示すように、丸ランプ48aの点灯部が白色(初期表示状態)となる(ステップS65)。
【0086】
ところで先述した事例1および事例2では、サブ要素の種類(項目)が一つだけである場合としたが、複数種のサブ要素が設けられるようにしても構わない。このようにした場合の具体的な事例(「事例4」とする)について、以下に説明する。
【0087】
なお事例4では、「初期表示状態」がメイン要素に、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付随情報」の各々が、別個のサブ要素に設定されているとする。またオブジェクト登録モードにおいて、図14に示すように、「丸ランプ」の動画オブジェクトについては、「初期表示状態」として「A1」が、「イベント表示状態」として「B1」と「B2」が、「イベント実行条件」として「C1」と「C2」が、「付随情報」として「D1」と「D2」と「D3」が、それぞれ定義されたとする。
【0088】
また「ベルトコンベア」の動画オブジェクトについては、「初期表示状態」として「A2」が、「イベント表示状態」として「B3」と「B4」が、「イベント実行条件」として「C3」と「C4」が、「付随情報」として「D4」と「D5」が、それぞれ定義されたとする。
【0089】
すなわち図14に示す状況では、「丸ランプ」については、1(「初期表示状態」の総数)×2(「イベント表示状態」の総数)×2(「イベント実行条件」の総数)×3(「付随情報」の総数)=12通りの動画オブジェクトが定義されたことになる。また同じく「ベルトコンベア」については、1(「初期表示状態」の総数)×2(「イベント表示状態」の総数)×2(「イベント実行条件」の総数)×2(「付随情報」の総数)=8通りの動画オブジェクトが定義されたことになる。
【0090】
このように各動画オブジェクトが定義されると(ステップS42のY)、演算制御部2は、初期表示状態(メイン要素)が「A1(丸ランプ)」で共通する動画オブジェクト群(12個の動画オブジェクト)と、初期表示状態が「A2(ベルトコンベア)」で共通する動画オブジェクト群(8個の動画オブジェクト)に、各動画オブジェクトを分類する。
【0091】
そして演算制御部2は、「丸ランプ」に係る動画オブジェクト群に関しては、
・A1の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「丸ランプ」)、
・「イベント表示状態」について、B1の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「赤点灯」)と、B2の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「青点灯」)、
・「イベント実行条件」について、C1の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「左ボタン押下」)と、C2の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「右ボタン押下」)、
・「付随情報」について、D1の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報1」)と、D2の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報2」)と、D3の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報3」)、
をそれぞれ生成する。
【0092】
また演算制御部2は、「ベルトコンベア」に係る動画オブジェクト群に関しては、
・A2の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「ベルトコンベア」)、
・「イベント表示状態」について、B3の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「左回転」)と、B4の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「右回転」)、
・「イベント実行条件」について、C3の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「Lボタン押下」)と、C4の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「Rボタン押下」)、
・「付随情報」について、D4の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報4」)と、D5の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報5」)、
をそれぞれ生成する。このようにして、定義された動画オブジェクトについての、メインオブジェクトとサブオブジェクトが生成される(ステップS44)。
【0093】
なお各メインオブジェクトは、自己がメインオブジェクトである旨の情報、自己のID情報、および特定する要素の内容を表す情報などを有している。また各サブオブジェクトは、自己がサブオブジェクトである旨の情報、どのサブ要素に対応するかを示す情報、自己のID情報、特定する要素の内容を表す情報、およびリンク先となるメインオブジェクトのID情報などを有している。
【0094】
更に演算制御部2は、「丸ランプ」と「ベルトコンベア」のメインオブジェクトをメインオブジェクト記憶部に登録する(ステップS45)。また演算制御部2は、「イベント表示状態」に関して、「赤点灯」と「青点灯」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせる一方、「左回転」と「右回転」の各サブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせて、それぞれサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。
【0095】
また演算制御部2は、「イベント実行条件」について、「左ボタン押下」と「右ボタン押下」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせる一方、「Lボタン押下」と「Rボタン押下」の各サブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせて、それぞれサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。
【0096】
また演算制御部2は、「付随情報」について、「付随情報1」と「付随情報2」と「付随情報3」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせる一方、「付随情報4」と「付随情報5」の各サブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせて、それぞれサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。以上の結果、図15に示す通りの各オブジェクトが、登録されることになる。
【0097】
このように各オブジェクトが登録された場合、動画モデル登録モードに移行すると、表示部4には、図16に示すような動画モデルエディタ画面が表示される(ステップS51)。この動画モデルエディタ画面は、基本的には図8に示すものと同様であるが、サブオブジェクト一覧領域43の代わりに、「イベント表示状態」についてのサブオブジェクトが表示される領域43a、「イベント実行条件」についてのサブオブジェクトが表示される領域43b、および「付随情報」についてのサブオブジェクトが表示される領域43c、の各々が表示される。
【0098】
そしてユーザによって、例えば「丸ランプ」が指定されると(ステップS52のY)、領域43aには、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「赤点灯」と「青点灯」が、領域43bには、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「左ボタン押下」と「右ボタン押下」が、領域43cには、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「付随情報1」と「付随情報2」と「付随情報3」が、それぞれ表示される(ステップS55)。
【0099】
これによりユーザは、「赤点灯」と「青点灯」のうちの何れか1個と、「左ボタン押下」と「右ボタン押下」のうちの何れか1個と、「付随情報1」と「付随情報2」と「付随情報3」のうちの何れか1個を、更に指定することが可能となる。つまり、サブ要素の各々について、1個ずつのサブオブジェクトの指定が受けられる。これにより、例えば同一のサブ要素において複数のサブオブジェクトが指定されたり、一つもサブオブジェクトが指定されないサブ要素が生じたりすることが、未然に回避される。
【0100】
なお、「丸ランプ」にリンクしていないサブオブジェクトを表す「左回転」、「右回転」、「Lボタン押下」、「Rボタン押下」、「付随情報4」、および「付随情報5」は表示されないから、ユーザは、これらを指定することができない。そのため、これらのサブオブジェクトが誤って指定されるという不具合は、未然に防止される。
【0101】
そして図17に示すように、ユーザによって、各サブオブジェクトおよび動画モデル作成領域41における所望位置44が指定されると(ステップS56のY)、演算制御部2は、これらの指定に応じた動画オブジェクトを、当該位置44に配置させる(ステップS57)。このようにしてユーザは、所望の動画オブジェクトを、動画モデル作成領域41の所望位置に配置させることが可能である。
【0102】
なお本実施形態では、動画オブジェクトは、「初期表示状態」、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付属情報」の各々によって特定されるようになっているが、他の内容によって特定されるものであっても構わない。また「イベント実行条件」は、操作部1での操作内容に対応したものの他、例えば動画モデルの表示開始から所定時間が経過した場合に満たされるとするもの等、種々の条件とすることが可能である。また、各一覧領域(42、43、43a〜43c、47)においては、一覧が文字で表示される代わりに、予め設定されたアイコン等によって表示されるようになっていても良い。
【0103】
また、1個の動画オブジェクトの中に、互いに独立して表示の変化する部分が、複数設けられていても構わない。例えば「人の顔」を表す動画オブジェクトにおいては、「目」や「口」等の各々に対して、「初期表示状態」、「イベント表示状態」および「イベント実行条件」が別個に設定されることにより、「目」や「口」等が、それぞれ独立して動くようにすることも可能である。
【0104】
以上に説明した通り、本実施形態に係る動画作成装置9は、複数の要素(「初期表示状態」、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付随情報」の何れか、もしくはこれらの組合せ)によって特定される動画オブジェクトの定義を受付けるとともに、該定義された動画オブジェクトを登録しうる機能部(オブジェクト定義部)と、1個または複数個の動画オブジェクトが配置された動画モデルの定義を受付けるとともに、該定義された動画モデルを登録しうる機能部(動画モデル登録部)と、を備えたものとなっている。
【0105】
そしてオブジェクト定義部は、動画オブジェクトの定義がなされたとき、該定義された動画オブジェクトについての、所定要素(例えば「初期表示状態」)を特定するメインオブジェクトを生成して登録する処理(ステップS44、S45)、および、該定義された動画オブジェクトについての、他の要素(例えば「イベント表示状態」と「イベント実行条件」と「付随情報」の組み合わせ)を特定するサブオブジェクトを生成し、メインオブジェクトにリンクさせて登録する処理(ステップS44、S46)、の各処理を実行する。
【0106】
また動画モデル登録部は、登録されているメインオブジェクトの何れかの指定を受付ける処理(ステップS52)、登録されているサブオブジェクトの何れかの指定を受付ける処理(ステップ56)、および、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される動画オブジェクトを、動画モデルに配置する処理(ステップS57)、の各処理を実行する。そして更に、ステップS56の処理においては、ステップS52の処理において指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっている。
【0107】
そのため、動画オブジェクトが定義されると、メインオブジェクトとサブオブジェクトを適切に生成することが可能となっている。また、メインオブジェクトとサブオブジェクトがそれぞれ指定されることにより動画オブジェクトを特定して、この動画オブジェクトを動画モデルに配置することが可能となっている。そして更に、サブオブジェクトの指定の受付けにおいては、指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっている。そのため、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されることを回避することが可能となっている。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えて実施されうるものであり、例えば、処理の順番は、上記実施形態のものには限られず、本発明の効果を奏する限りにおいて適宜順序を入れ替えることは可能である。
【0109】
また本発明に係る作画装置(モデル駆動型表示装置)は、例えばプログラマブル表示器など、各種表示モデルを表示する種々の機器に応用することが可能である。なお、動画作成装置で作成した動画モデルをプログラマブル表示器で表示させることも可能である。プログラマブル表示器において動画モデルを表示する場合、プログラマブル表示器に制御装置(プログラマブルロジックコントローラ)を介して、あるいは直接接続された制御対象機器の状態(温度や速度等)を示すデータを、イベント実行条件として用いても良い。例えば、制御対象機器の温度が第1の所定の温度以上に上昇した場合に、丸ランプが黄点灯するようにし、さらに温度が上昇し、前記第1の所定の温度より高い第2所定の温度に達した場合に、丸ランプが赤点灯するようにしてもよい。
【0110】
また以上に説明した通り、本発明に係る作画装置を動画作成装置として用いれば、一般に表示モデルとしてもっとも複雑な振る舞いをする動画(動画モデル)を容易かつ簡便に作成することができる。ただしこれは一例であって、本発明に係る作画装置は、表示装置の画面に表示される種々のもの(動画だけでなく、例えば、図形や静止画も含む)を作成する作画装置として、広く利用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、動画を作成および表示させる動画作成装置等の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 操作部
2 演算制御部
3 記憶部
4 表示部
9 動画作成装置
41 動画モデル作成領域
42 メインオブジェクト一覧領域
43、43a、43b、43c サブオブジェクト一覧領域
44 ユーザに指定された位置
45 動画オブジェクト
46 動画モデル表示領域
47 動画モデル一覧領域
48a 動画オブジェクト(丸ランプ)
48b 動画オブジェクト(ベルトコンベア)
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画面に表示される図形、静止画や動画、好ましくは動画の作成に用いられる作画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによる動画の定義(画像がどのように動くか等の取決め)を受付けて登録しておき、登録されている動画を表示させることが可能な動画作成装置(作画装置の一種)が提案されている。このような動画作成装置の動作内容について、以下に、一例を挙げて説明する。
【0003】
当該動画作成装置においては、ユーザによる動画モデル(動画の内容を表す情報)の定義を受付け、定義された動画モデルを登録する「動画モデル登録モード」、および、登録されている動画モデルを表示する「ランタイムモード」の、各動作モードが設けられている。
【0004】
動画モデル登録モードでは、図18に示すようなエディタ画面100が表示される。またエディタ画面100には、描画領域101、メインオブジェクト一覧領域102、およびサブオブジェクト一覧領域103が設けられており、メインオブジェクト一覧領域102にはメインオブジェクトの一覧が、サブオブジェクト一覧領域103にはサブオブジェクトの一覧が、それぞれ示されている。
【0005】
ここでメインオブジェクトおよびサブオブジェクトは、動画モデルに配置させることができる動画オブジェクト(表示オブジェクトの一種)を特定するための要素である。メインオブジェクトは複数の動画オブジェクトに共通の内容(ここでは、動画オブジェクトの種類)を表す要素として、サブオブジェクトはその他を表す要素(ここでは、動き方を定めるもの)として、動画作成装置に予め登録されている。
【0006】
なお図18に示す状況では、「赤点灯」と「青点灯」の各サブオブジェクトは、「丸ランプ」のメインオブジェクトを補完する(どのような色に点灯するかを定める)要素として設けられており、「左回転」と「右回転」の各サブオブジェクトは、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトを補完する(どちらに回転するかを定める)要素として設けられている。
【0007】
そして例えば、ユーザが「丸ランプ」と「赤点灯」を指定すれば、表示状態が非点灯から「赤点灯」の状態に変化する「丸ランプ」を表す動画オブジェクトが、描画領域101の所望位置に配置される。また「丸ランプ」と「青点灯」を選択すれば、表示状態が非点灯から「青点灯」の状態に変化する「丸ランプ」を表す動画オブジェクトが、描画領域101の所望位置に配置される。
【0008】
ユーザは、このような作業を繰り返して描画領域101を所望の表示状態とし、この表示状態を表す動画モデルを、動画作成装置に登録させることが可能となっている。またランタイムモードでは、このようにして登録された動画モデルが表示されることにより、動画が表示される。
【0009】
上述したように動画モデル登録モードでは、ユーザは、メインオブジェクトとサブオブジェクトを指定することにより、動画モデルに配置させたい動画オブジェクトを特定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−99757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した動画作成装置によれば、動画オブジェクトを特定する各項目の要素が、メインオブジェクトとサブオブジェクトに分けられており、ユーザがそれぞれを指定することが可能となっている。そのためユーザにとっては、所望の動画オブジェクトが指定し易くなり、動画モデルを定義するための作業効率が良くなる。
【0012】
しかしながら、動画オブジェクトの特定にあたっては、指定されたメインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定される可能性がある。例えばユーザによって「丸ランプ」のメインオブジェクトが選択されたにも関わらず、「丸ランプ」に対応していない「左回転」(「ベルトコンベア」に対応している)のサブオブジェクトが選択される可能性がある。
【0013】
この場合、正しく表示されない動画オブジェクトが動画モデルに配置されてしまい、ランタイムモードにおいて不具合が生じることとなる。特に、一の動画オブジェクトを特定するために、多数のサブオブジェクトを指定する必要がある場合、或いは、サブオブジェクトの構造や内容が複雑な場合などにおいては、このような不具合が起こり易いと考えられる。
【0014】
なおユーザは動画モデルを定義した後、ランタイムモードによって、正しく表示されない動画オブジェクトが動画モデルに配置されていないかを、確認することは可能である。しかし、動画モデルに多数の動画オブジェクトが配置されている場合、複雑な振る舞いをする動画オブジェクトが配置されている場合、或いは、多数の動画モデルが登録される場合などにおいては、このような確認作業を適切に行うことは難しい。また、上述した動画作成装置においては、ユーザ等によって予め動画オブジェクトが定義されると、各オブジェクト(メインオブジェクトおよびサブオブジェクト)が、適切に生成されることが望ましい。
【0015】
本発明は上述した問題点に鑑み、表示オブジェクトが定義されると、メインオブジェクトとサブオブジェクトが適切に生成されるとともに、表示オブジェクトの特定において、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されることを回避することが可能な作画装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る作画装置は、複数の要素によって特定される表示オブジェクトの定義を受付けるオブジェクト定義部と、少なくとも1個の表示オブジェクトにより特定される表示モデルの定義を受付けるとともに、該定義された表示モデルを登録しうる表示モデル登録部と、を備えた表示オブジェクトであって、前記オブジェクト定義部は、表示オブジェクトの定義がなされた後、該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの所定要素を特定するメインオブジェクトを生成して登録する第1の処理、および、該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの他の要素を特定するサブオブジェクトを生成し、該メインオブジェクトにリンクさせて登録する第2の処理、の各処理を実行するものであり、前記表示モデル登録部は、登録されているメインオブジェクトの何れかの指定を受付ける第3の処理、登録されているサブオブジェクトの何れかの指定を受付ける第4の処理、および、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される表示オブジェクトが、前記表示モデルに配置された状態とする第5の処理、の各処理を実行するものであり、第4の処理においては、第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっている構成とする。
【0017】
本構成によれば、表示オブジェクトが定義されると、メインオブジェクトとサブオブジェクトを適切に生成することが可能となる。また、メインオブジェクトとサブオブジェクトがそれぞれ指定されることにより表示オブジェクトを特定して、この表示オブジェクトを表示モデルを特定する要素として使用することが可能になる。そして更に、サブオブジェクトの指定の受付けにおいては、指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となる。そのため、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されることを回避することが可能となる。
【0018】
なお「表示モデル」は、表示の内容を表す情報であって、表示オブジェクトが配置される(つまり、表示オブジェクトの表示状態が表示モデルの表示に反映されるように、組み込まれる)ものである。また「表示オブジェクト」は、表示に関する情報を有するものであり、表示状態が変動するもの(例えば、実施例における「動画オブジェクト」)の他、表示状態が変動しないものであっても構わない。
【0019】
また上記構成において、前記オブジェクト定義部は、前記所定要素において共通する複数種の表示オブジェクトが定義された場合、該複数種の表示オブジェクトに共通する一つのメインオブジェクトを生成して登録する処理を、前記第1の処理として実行し、該複数種の表示オブジェクトについてのサブオブジェクトの各々を生成し、該共通する一つのメインオブジェクトにリンクさせて登録する処理を、前記第2の処理として実行する構成としてもよい。
【0020】
本構成によれば、所定要素において共通する複数種の表示オブジェクトが定義された場合に、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録が省略される。そのため、表示オブジェクトの生成や登録の処理効率を向上させることが可能となる。
【0021】
また上記構成において、前記オブジェクト定義部は、表示オブジェクトの定義がなされたとき、該定義された表示オブジェクトについてのメインオブジェクトが、既に生成されて登録済みである場合には、前記第1の処理および第2の処理の実行に代えて、該定義された表示オブジェクトについてのサブオブジェクトを生成して、該登録済みのメインオブジェクトにリンクさせて登録する構成としてもよい。
【0022】
本構成によれば、例えば、既に登録済みの表示オブジェクトと所定要素において共通する表示オブジェクトが追加定義された場合に、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録が省略される。そのため、表示オブジェクトの生成や登録の処理効率を向上させることが可能となる。
【0023】
また上記構成としてより具体的には、前記表示オブジェクトは、前記複数の要素が特定されることにより、少なくとも、初期表示状態、イベント表示状態、およびイベント実行条件が特定され、該表示オブジェクトが配置された表示モデルの表示中において、該イベント実行条件が満たされた場合には、表示状態が、該初期表示状態から該イベント表示状態に変化するものである構成としてよい。
【0024】
また上記構成において、前記第3の処理が実行されるときには、登録されているメインオブジェクトの一覧が表示され、前記第4の処理が実行されるときには、該第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、一覧表示される構成としてもよい。
【0025】
本構成によれば、一覧中の何れかをユーザに選択させて、メインオブジェクトとサブオブジェクトの指定を受付けるようにすることが容易となる。またその場合、指定されたメインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトについては表示されないから、ユーザにとっては、サブオブジェクトの指定がより容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る作画装置によれば、実際に動作する表示オブジェクトを定義した後、表示オブジェクトのメイン要素を特定するメインオブジェクトと、サブ要素を特定するサブオブジェクトとを生成し、実際に動作する表示オブジェクトにおけるメインオブジェクトとサブオブジェクトとをリンクして登録する。そして、メインオブジェクトにリンクされていないサブオブジェクトは指定できないようになっている。したがって、メインオブジェクトと指定可能なサブオブジェクトを組み合わせて特定される表示オブジェクトは常に正しく動作する。換言すれば、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが誤って指定されることが回避され、その結果、実際に動作しない表示オブジェクトが特定されることが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る動画作成装置の構成図である。
【図2】当該動画作成装置において実行される処理の全体的な流れ図である。
【図3】オブジェクト登録モードに関する処理の流れ図である。
【図4】動画モデル登録モードに関する処理の流れ図である。
【図5】ランタイムモードに関する処理の流れ図である。
【図6】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図7A】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図7B】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図8】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図9】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図10】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図11】ランタイムモードに関する説明図である。
【図12】ランタイムモードに関する説明図である。
【図13】ランタイムモードに関する説明図である。
【図14】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図15】オブジェクト登録モードに関する説明図である。
【図16】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図17】動画モデル登録モードに関する説明図である。
【図18】従来技術における動画モデルの登録に関する説明図である。
【図19】従来技術における動画モデルの登録に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について、動画モデル(表示モデルの一種)を作成するために用いられる動画作成装置(作画装置の一種)を例に挙げて、各図面を参照しながら以下に説明する。なお当該動画作成装置は、以降の説明で明らかとなるように、ユーザによって動画モデルを定義でき、かつ定義した動画モデルを登録(記憶)できると共に、登録した動画モデルを表示できる装置である。なお、以下の説明において「動画」という用語には、一般的な意味での動画のみならず、換言すれば、一連の画像を短い間隔で連続表示することにより得られる動きのある映像のみならず、色のみが変化するような映像も含むものとして説明する。
【0029】
図1は、当該動画作成装置の概略的な構成図である。本図に示すように、動画作成装置9は、操作部1、演算制御部2、記憶部3、および表示部4を備えている。
【0030】
操作部1は、一般的なキーボード(各アルファベットに対応したボタンを備えている)およびマウス(左ボタンと右ボタンを備えている)などから構成されており、ユーザによって動画作成装置9への入力操作(各種ボタンの押下等)がなされる。操作の内容は、演算制御部2に伝送される。これにより、動画作成装置9は、ユーザの意図を反映させた各処理を行うことが可能となっている。
【0031】
演算制御部2は、例えばCPU[Central Processing Unit]とメモリに読み出された制御ソフトとによって実現される機能ブロックであり、各種情報についての演算処理や、動画表示装置9における各部の制御などを実行する。なお演算制御部2は、機能的な観点から見れば、ユーザによる動画オブジェクト(表示オブジェクトの一種であり、詳しくは後述する)の定義を受付けて登録するオブジェクト定義部、ユーザによる動画モデルの定義を受付けて登録する動画モデル登録部、および、動画モデルを表示させるランタイム部などを有しているとも言える。
【0032】
記憶部3は、例えばハードディスクやRAM[Random Access Memory]等によって構成されており、各種の情報を記憶する。記憶部3は、演算制御部2によって情報の読み書きが可能となっている。また記憶部3は、機能的な観点から見れば、メインオブジェクトを記憶するメインオブジェクト記憶部、サブオブジェクトを記憶するサブオブジェクト記憶部、および、動画モデルを記憶する動画モデル記憶部などを有している。なお、メインオブジェクト記憶部が、ビジュアルコントロールレジストリによって実現され、サブオブジェクト記憶部が、データベースサーバによって実現されていても良い。
【0033】
表示部4は、動画等を表示することが可能な、例えば、液晶パネルなどにより構成され、演算制御部2から伝送される情報に基づいた表示を行う。次に、動画作成装置9において実行される処理の全体的な内容について、図2に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0034】
演算制御部2は、通常時、オブジェクト登録モードへの移行指示が有ったか(ステップS1)、動画モデル登録モードへの移行指示が有ったか(ステップS2)、およびランタイムモードへの移行指示が有ったか(ステップS3)を監視する。このときユーザは、操作部1における所定操作を通じて、動画作成装置9にこれらの移行指示を与えることが可能となっている。
【0035】
そしてオブジェクト登録モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS1のY)、演算制御部2は、動画作成装置9における処理形態を、オブジェクト登録モードに移行させる(ステップS4)。オブジェクト登録モードは、動画モデル登録モードで使用される動画オブジェクトを、予め登録しておくために設けられたものである。なお、オブジェクト登録モードにおいて実行される処理の内容については、改めて説明する。
【0036】
一方、動画モデル登録モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS2のY)、演算制御部2は、動画作成装置9における処理形態を、動画モデル登録モードに移行させる(ステップS5)。動画モデル登録モードは、ランタイムモードにて表示させる動画モデルを、予め登録しておくために設けられたものである。なお、動画モデル登録モードにおいて実行される処理の内容については、改めて説明する。
【0037】
またランタイムモードへの移行指示がなされた場合には(ステップS3のY)、演算制御部2は、動画作成装置9における処理形態を、ランタイムモードに移行させる(ステップS6)。ランタイムモードは、予め登録されている動画モデルを表示させるために設けられたものである。なお、ランタイムモードにおいて実行される処理の内容については、改めて説明する。
【0038】
次に、オブジェクト登録モード(ステップS4)にて実行される処理の内容について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
オブジェクト登録モードに移行すると、演算制御部2は、所定のオブジェクトエディタ画面を表示部4に表示させる(ステップS41)。オブジェクトエディタ画面には、一般的なビジュアルエディタ画面(ユーザによる図形の定義等に用いられる)やスプレッドシート(ユーザによる数値の定義等に用いられる)などが用意されている。これによりユーザは、操作部1を使った情報入力を通じて、1種または複数種の動画オブジェクトを定義することが可能となっている。
【0040】
なお「動画オブジェクト」は、初期表示状態(イベントが実行されていないときの表示状態)、イベント表示状態(イベントが実行されているときの表示状態)、イベント実行条件(イベントが実行されるための条件であって、例えば、操作部1において所定操作がなされた場合に満たされるもの)、および付随情報(例えば、データ型、ラベル、アクセス権などに関する情報)の各々によって特定されるものであり、動画モデルに配置される動画のパーツを表すオブジェクト(情報)である。なおユーザは、オブジェクトエディタ画面を用いてこれらを特定することにより、所望の動画オブジェクトを定義することが可能である。
【0041】
また演算制御部2は、オブジェクトエディタ画面を表示させた状態で、ユーザによって動画オブジェクトが定義されたか(ステップS42)、およびユーザによるオブジェクト登録モードの終了指示がなされたか(ステップS43)を監視する。そして動画オブジェクトが定義された場合には(ステップS42のY)、この定義された動画オブジェクトについての、メインオブジェクトとサブオブジェクトが、演算制御部2によって生成される(ステップS44)。
【0042】
より具体的には、先ず、定義された全ての動画オブジェクトが、メイン要素が共通する動画オブジェクト(以下、「動画オブジェクト群」とする)に分類される。その後、各動画オブジェクト群について、メイン要素を特定するメインオブジェクト、および、サブ要素(メイン要素を除いた要素)を特定する各サブオブジェクトが生成される。当該処理は、所定のモデルスキーマコンパイラ(予め作成されているもの)を用いたコンパイル(例えばXMLデータが生成される)により、実現されるようになっていても良い。
【0043】
なおメインオブジェクトとしては、自己がメインオブジェクトである旨の情報、自己のID情報、および特定する要素の内容を表す情報などを含んだものが生成される。またサブオブジェクトとしては、自己がサブオブジェクトである旨の情報、自己のID情報、および特定する要素の内容を表す情報などを含んだものが生成される。
【0044】
また「メイン要素」および「サブ要素」は、それぞれ、先述した「初期表示状態」、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付随情報」のうちの何れか(もしくは組合せ)である。「メイン要素」および「サブ要素」がどのように設定されるかについては、任意とすることが可能であり、またユーザの指示等に応じて適宜変更可能となっていても良い。
【0045】
このようにして、全ての動画オブジェクト群についてメインオブジェクトとサブオブジェクトが生成されたら、演算制御部2は、まず各メインオブジェクトを記憶部3のメインオブジェクト記憶部に記憶させる。これにより、各メインオブジェクトは動画表示装置9に登録される(ステップS45)。
【0046】
また演算制御部2は、各サブオブジェクトを、対応する(同じ動画オブジェクト群に属する)メインオブジェクトにリンクさせた上で(例えば、対応するメインオブジェクトのID情報を付加させた上で)、記憶部3のサブオブジェクト記憶部に記憶させる。これにより、各サブオブジェクトは、動画作成装置9に登録される(ステップS46)。
【0047】
なおこのように、各サブオブジェクトを、対応するメインオブジェクトにリンクさせて登録することにより、メインオブジェクトとサブオブジェクトの連携に関するスキーマ(規則)が定められる。そのため、後述する通り、動画モデル登録モードにおける動画オブジェクトの特定においては、メインオブジェクトとサブオブジェクトを整合させることが可能となる。
【0048】
その後、演算制御部2は、ステップS43の処理に戻る。以上の通り、ステップS44〜S46の処理によって、動画オブジェクト群が定義される度に、メインオブジェクトとサブオブジェクトとを登録することが可能となっている。一方、オブジェクト登録モードの終了指示がなされた場合には(ステップS43のY)、演算制御部2は、オブジェクト登録モードを終了し、ステップS1の処理に戻る。なお、オブジェクト登録モードの終了時には定義された動画オブジェクト群を適当な記憶部3に記憶させて登録することが好ましいが、必ずしも動画オブジェクト群を登録する必要は無い。
【0049】
ここでステップS44からS46までの各処理について、より理解容易とするために、具体的な事例(以下、「事例1」とする)を挙げて説明する。なお事例1では、図6に示すように、「丸ランプ(赤点灯)」、「丸ランプ(青点灯1)」、「丸ランプ(青点灯2)」、「ベルトコンベア(左回転)」、および「ベルトコンベア(右回転)」の、5個の動画オブジェクトが定義された場合を想定する。また、「初期表示状態」が、メイン要素に、「イベント表示状態」と「イベント実行条件」と「付随情報」の組合せが、サブ要素に設定されているとする。
【0050】
なお図6に示すように、例えば「丸ランプ(赤点灯)」の動画オブジェクトに関しては、「初期表示状態」は、丸ランプを示す表示(中央にある円が点灯部であり、白に着色されている)であり、この表示の情報を「A1」とする。また同じく「イベント表示状態」は、「初期表示状態」と同じ形状であるが、点灯部が赤に着色された丸ランプを表す表示であり、この表示の情報を「B1」とする。また同じく「イベント実行条件」は、マウスの左ボタンが押下状態であることであり、この条件の情報を「C1」とする。また「付随情報」の情報を「D1」とする。
【0051】
また例えば「ベルトコンベア(左回転)」の動画オブジェクトに関しては、「初期表示状態」は、ベルトコンベア(静止した状態)を示す表示であり、この表示の情報を「A2」とする。また同じく「イベント表示状態」は、ベルトコンベア(ローラが左回転しているように見える)を示す表示であり、この表示の情報を「B3」とする。また同じく「イベント実行条件」は、キーボードの「L」ボタンが押下状態であることであり、この条件の情報を「C3」とする。また「付随情報」の情報を「D4」とする。
【0052】
このように各動画オブジェクトが定義されると(ステップS42のY)、演算制御部2は、初期表示状態(メイン要素)が「A1(丸ランプ)」で共通する「丸ランプ(赤点灯)」、「丸ランプ(青点灯1)」、および「丸ランプ(青点灯2)」からなる動画オブジェクト群と、初期表示状態が「A2(ベルトコンベア)」で共通する「ベルトコンベア(左回転)」および「ベルトコンベア(右回転)」からなる動画オブジェクト群に、各動画オブジェクトを分類する。
【0053】
そして演算制御部2は、「丸ランプ」に係る動画オブジェクト群については、A1の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「丸ランプ」)、B1とC1とD1からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「赤点灯」)、B2とC1とD2からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「青点灯1」)、および、B2とC2とD3からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「青点灯2」)を生成する。
【0054】
また演算制御部2は、「ベルトコンベア」に係る動画オブジェクト群については、A2の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「ベルトコンベア」)、B3とC3とD4からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「左回転」)、B4とC4とD5からなる要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「右回転」)を生成する。このようにして、定義された動画オブジェクトについての、メインオブジェクトとサブオブジェクトが生成される(ステップS44)。
【0055】
更に演算制御部2は、「丸ランプ」と「ベルトコンベア」のメインオブジェクトをメインオブジェクト記憶部に登録する(ステップS45)。また演算制御部2は、「赤点灯」、「青点灯1」、および「青点灯1」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせてサブオブジェクト記憶部に登録し、「左回転」および「右回転」のサブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせてサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。以上の結果、図7Aに示す通りの各オブジェクトが、登録されることになる。
【0056】
なお例えば、図7Aに示されている「丸ランプ」のメインオブジェクトを、図7Bの上段に示すようなデータとし、同じく「赤点灯」のサブオブジェクトを、図7Bの下段に示すようなデータとしても良い。この場合、「丸ランプ」のメインオブジェクトと「赤点灯」のサブオブジェクトが合成されると(メインオブジェクト中のXXXにB1が、YYYにC1が、ZZZにD1が、それぞれ組み込まれると)、振る舞い等の定まった動画オブジェクトが特定される。
【0057】
また上述した通り、メイン要素(所定要素)において共通する複数種の動画オブジェクトが定義された場合には、これらの動画オブジェクトに共通する一つのメインオブジェクトが生成され、登録されるようになっている。そして、これらの動画オブジェクトについてのサブオブジェクトの各々は、生成された後、当該共通する一つのメインオブジェクトにリンクされ、登録されるようになっている。
【0058】
このように、メイン要素において共通する複数種の動画オブジェクトが定義された場合、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録は省略されるようになっている。そのため、動画オブジェクトの生成や登録の処理効率を、向上させることが可能となっている。
【0059】
なお、動画オブジェクトの定義がなされたとき、当該定義された動画オブジェクトについてのメインオブジェクトが既に生成されて登録済みである場合にも、内容の重複するメインオブジェクトの生成や登録は省略されるようになっている。つまり、当該定義された動画オブジェクトについて、サブオブジェクトは生成されるが、メインオブジェクトの生成や登録は省略される。そして当該サブオブジェクトは、この登録済みであるメインオブジェクトにリンクされ、登録されるようになっている。
【0060】
例えば、図7Aに示すように各オブジェクトが登録されている状態で、メイン要素が「A1」である何らかの動画オブジェクトが追加的に定義された場合には、この動画オブジェクトについてのサブオブジェクトは生成されるが、メインオブジェクトは生成されない。そしてこの生成されたサブオブジェクトは、登録済みであるメインオブジェクト(メインオブジェクトIDが「丸ランプ」)にリンクされ、登録されることになる。また、メインオブジェクトとサブオブジェクトとが一対一になる場合もある。すなわち、一つのメインオブジェクトにより定義される動画オブジェクトの振る舞いが、1種類だけの場合もある。
【0061】
次に、動画モデル登録モード(ステップS5)にて実行される処理の内容について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0062】
動画モデル登録モードに移行すると、演算制御部2は、所定の動画モデルエディタ画面を表示部4に表示させる(ステップS51)。動画モデルエディタ画面では、図8に示すように、動画モデル作成領域41、メインオブジェクト一覧領域42、およびサブオブジェクト一覧領域43などが用意されている。
【0063】
動画モデル作成領域41は、動画モデルの内容を定義するための領域であり、ユーザによる操作部1の入力操作に応じて、各種の図形や文字等が配置可能となっている。また動画モデル作成領域41には、後述するように、入力操作に応じた動画オブジェクトの配置も可能となっている。ユーザは、このような入力操作を繰り返して作画を行い、1個または複数個の動画オブジェクトを動画モデル作成領域41に配置することで特定された動画モデルを定義することが可能である。
【0064】
またメインオブジェクト一覧領域42には、予め登録されているメインオブジェクトの一覧が表示されている。ユーザは、当該一覧に示されているメインオブジェクトの何れかを、自在に指定することが可能となっている。
【0065】
演算制御部2は、動画モデルエディタ画面を表示させた状態において、ユーザによって何れかのメインオブジェクトが指定されたか(ステップS52)、動画モデルの登録指示がなされたか(ステップS53)、および、動画モデル登録モードの終了指示がなされたか(ステップS54)を監視する。なおステップS52に係る指定は、ユーザが、定義中の動画モデルに、所望の動画オブジェクトを挿入しようとする場合になされる。
【0066】
そして、何れかのメインオブジェクトが指定された場合には(ステップS52のY)、演算制御部2は、登録されているサブオブジェクトのうち、指定されたメインオブジェクトにリンクしているもの(よって、リンクしていないものは除かれる)についての一覧を、サブオブジェクト一覧43に表示させる(ステップS55)。
【0067】
また演算制御部2は、サブオブジェクトの一覧を表示させた状態で、ユーザによる1個のサブオブジェクトの指定(当該一覧の中からの指定)、および、動画オブジェクトを配置させる位置の指定(例えば、動画モデル作成領域41の何処かがマウスポインタで指し示される)を受付ける(ステップS56)。そしてこれらの指定がなされたら(ステップS56のY)、演算制御部2は、指定された位置に、指定されたメインオブジェクトおよび指定されたサブオブジェクトによって(例えばこれらが合成されて)特定される動画オブジェクトを配置する(ステップS57)。その後、演算制御部2は、ステップS53の処理に戻る。
【0068】
ステップS57の処理は、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される動画オブジェクトが、動画モデルに配置された状態とする処理といえる。なおこのように、動画オブジェクトが動画モデルに配置された状態とする手法や手順については、他の態様となっていても構わない。例えば、メインオブジェクトが何らかの表示(例えば、初期表示状態)である場合、まず指定されたメインオブジェクトが動画モデルに配置され、その後、この配置されたメインオブジェクトに、指定されたサブオブジェクトが関連付けられる(これにより、動画オブジェクトが特定される)ようになっていても良い。
【0069】
一方、動画モデルの登録指示がなされた場合には(ステップS53のY)、演算制御部2は、現時点での動画モデル作成領域41の表示状態に応じた動画モデル(どの動画オブジェクトが、どの位置に配置されているか等を表す情報)を生成し、記憶部3の動画モデル記憶部に記憶させる。これにより、動画モデル作成領域41に表示されていた動画モデルが動画作成装置9に登録される(ステップS58)。その後、演算制御部2は、ステップS54の処理に戻る。また動画モデル登録モードの終了指示がなされた場合には(ステップS54のY)、演算制御部2は、動画モデル登録モードを終了し、ステップS1の処理に戻る。
【0070】
ここで動画モデル登録モードにて実行される処理(特に、ステップS51〜52およびS55〜S57)について、より理解容易とするために、具体的な事例(以下、「事例2」とする)を挙げて説明する。なお事例2では、先述した事例1に係る各処理が実行されたことにより、図7Aに示す各オブジェクトが既に登録されているとする。またここでは、ユーザが、「丸ランプ(赤点灯)」の動画オブジェクトを、動画モデル作成領域41に配置させる場合を想定する。
【0071】
動画モデル登録モードに移行すると、先ず、図8に示すような動画モデルエディタ画面が表示される(ステップS51)。このとき、メインオブジェクト表示領域42には、登録されている各メインオブジェクトを表す「丸ランプ」と「ベルトコンベア」が表示される。
【0072】
そしてユーザによって「丸ランプ」が指定されると(ステップS52のY)、サブオブジェクト表示領域43には、登録されている各サブオブジェクトのうち、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「赤点灯」、「青点灯1」、および「青点灯2」が表示される(ステップS55)。これによりユーザは、「赤点灯」、「青点灯1」、および「青点灯2」の何れか1個を、更に指定することが可能となる。
【0073】
なお、「丸ランプ」にリンクしていないサブオブジェクトを表す「左回転」および「右回転」は表示されないから、ユーザは、「左回転」および「右回転」を指定することができない。そのため、これらのサブオブジェクトが誤って指定されるという不具合は、未然に防止されることになる。また、指定不可であるサブオブジェクトが表示されないことにより、ユーザにとっては、サブオブジェクトの指定を迅速かつ容易に行うことが可能である。
【0074】
そして図9に示すように、ユーザによって、「赤点灯」および動画モデル作成領域41における所望位置44が指定されると(ステップS56のY)、演算制御部2は、図10に示すように、当該位置44に「丸ランプ(赤点灯)」の動画オブジェクトを配置させる(ステップS57)。このようにしてユーザは、所望の動画オブジェクトを、動画モデル作成領域41の所望位置に配置させることが可能である。
【0075】
次に、ランタイムモード(ステップS6)にて実行される処理の内容について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0076】
ランタイムモードに移行すると、演算制御部2は、図11に示すようなランタイム画面を、表示部4に表示させる(ステップS61)。なおランタイム画面には、動画モデルの表示に用いられる動画表示領域46、および登録されている動画モデルの一覧が表示される動画モデル一覧領域47が用意されている。
【0077】
なおランタイム画面は、例えば、一般的なWebブラウザを利用したものとしても構わない。また演算制御部2は、ランタイム画面を表示させた状態で、ユーザによる動画モデルの何れかの指定(当該一覧の中からの指定)を受付ける(ステップS62)。
【0078】
そして何れかの動画モデルが指定されたら(ステップS62のY)、演算制御部2は、指定された動画モデルを、動画表示領域46に表示させる(ステップS63)。なおこのとき、当該動画モデルに配置されている動画オブジェクトは、何れも初期表示状態となっている。
【0079】
その後、演算制御部2は、動画モデルに配置されている各動画オブジェクトについて、イベント実行条件が満たされているかを検出する(ステップS64)。また当該検出の結果に基づいて、各動画オブジェクトの表示状態を制御する(ステップS65)。より具体的には、イベント実行条件が満たされていない動画オブジェクトについては、その表示状態を、初期表示状態とする。一方、イベント実行条件が満たされている動画オブジェクトについては、その表示状態を、イベント表示状態とする。
【0080】
その後、演算制御部2は、ユーザによってランタイムモードの終了指示がなされたかを判断し(ステップS66)、当該終了指示がなされた場合には(ステップS66のY)、ランタイムモードを終了し、ステップS1の処理に戻る。一方、終了指示がなされていない場合には(ステップS66のN)、演算制御部2は、ステップS64以降の処理を繰り返す。
【0081】
ここでランタイムモードにおいて実行される処理について、より理解容易とするために、具体的な事例(以下、「事例3」とする)を挙げて説明する。なお事例3では、「A001」、「A002」、および「A003」というIDの動画モデルが、それぞれ予め登録されているとする。
【0082】
ランタイムモードに移行すると、先ず、図11に示すようなランタイム画面が表示される(ステップS61)。このとき、動画モデル一覧領域47には、各動画モデルを表す「A001」、「A002」、および「A003」が表示される。
【0083】
そして「A001」の動画モデルが指定されると(ステップS62のY)、図12に示すように、「A001」の動画モデルが動画表示領域46に表示される(ステップS63)。なお当該表示に含まれている丸ランプ48aは、事例1で登録された丸ランプ(赤点灯)の動画オブジェクトであり、同じくベルトコンベア48bは、事例1で登録されたベルトコンベア(左回転)の動画オブジェクトであるとする(動画オブジェクトの内容については、図6を参照)。なおこのとき、丸ランプ48aは点灯部が白色であり、ベルトコンベア48bは静止状態(つまり、何れも初期表示状態)となっている。
【0084】
その後、ユーザがマウスの左ボタンを押下すると、丸ランプ48aについて、イベント実行条件が満たされたことが検出される(ステップS64)。そのため図13に示すように、丸ランプ48aの点灯部が赤色(イベント表示状態)となる(ステップS65)。
【0085】
更にその後、ユーザがマウスの左ボタンの押下を止めると、丸ランプ48aについて、イベント実行条件が満たされていないことが検出される(ステップS64)。そのため再び図12に示すように、丸ランプ48aの点灯部が白色(初期表示状態)となる(ステップS65)。
【0086】
ところで先述した事例1および事例2では、サブ要素の種類(項目)が一つだけである場合としたが、複数種のサブ要素が設けられるようにしても構わない。このようにした場合の具体的な事例(「事例4」とする)について、以下に説明する。
【0087】
なお事例4では、「初期表示状態」がメイン要素に、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付随情報」の各々が、別個のサブ要素に設定されているとする。またオブジェクト登録モードにおいて、図14に示すように、「丸ランプ」の動画オブジェクトについては、「初期表示状態」として「A1」が、「イベント表示状態」として「B1」と「B2」が、「イベント実行条件」として「C1」と「C2」が、「付随情報」として「D1」と「D2」と「D3」が、それぞれ定義されたとする。
【0088】
また「ベルトコンベア」の動画オブジェクトについては、「初期表示状態」として「A2」が、「イベント表示状態」として「B3」と「B4」が、「イベント実行条件」として「C3」と「C4」が、「付随情報」として「D4」と「D5」が、それぞれ定義されたとする。
【0089】
すなわち図14に示す状況では、「丸ランプ」については、1(「初期表示状態」の総数)×2(「イベント表示状態」の総数)×2(「イベント実行条件」の総数)×3(「付随情報」の総数)=12通りの動画オブジェクトが定義されたことになる。また同じく「ベルトコンベア」については、1(「初期表示状態」の総数)×2(「イベント表示状態」の総数)×2(「イベント実行条件」の総数)×2(「付随情報」の総数)=8通りの動画オブジェクトが定義されたことになる。
【0090】
このように各動画オブジェクトが定義されると(ステップS42のY)、演算制御部2は、初期表示状態(メイン要素)が「A1(丸ランプ)」で共通する動画オブジェクト群(12個の動画オブジェクト)と、初期表示状態が「A2(ベルトコンベア)」で共通する動画オブジェクト群(8個の動画オブジェクト)に、各動画オブジェクトを分類する。
【0091】
そして演算制御部2は、「丸ランプ」に係る動画オブジェクト群に関しては、
・A1の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「丸ランプ」)、
・「イベント表示状態」について、B1の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「赤点灯」)と、B2の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「青点灯」)、
・「イベント実行条件」について、C1の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「左ボタン押下」)と、C2の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「右ボタン押下」)、
・「付随情報」について、D1の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報1」)と、D2の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報2」)と、D3の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報3」)、
をそれぞれ生成する。
【0092】
また演算制御部2は、「ベルトコンベア」に係る動画オブジェクト群に関しては、
・A2の要素を特定するメインオブジェクト(メインオブジェクトIDは「ベルトコンベア」)、
・「イベント表示状態」について、B3の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「左回転」)と、B4の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「右回転」)、
・「イベント実行条件」について、C3の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「Lボタン押下」)と、C4の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「Rボタン押下」)、
・「付随情報」について、D4の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報4」)と、D5の要素を特定するサブオブジェクト(サブオブジェクトIDは「付随情報5」)、
をそれぞれ生成する。このようにして、定義された動画オブジェクトについての、メインオブジェクトとサブオブジェクトが生成される(ステップS44)。
【0093】
なお各メインオブジェクトは、自己がメインオブジェクトである旨の情報、自己のID情報、および特定する要素の内容を表す情報などを有している。また各サブオブジェクトは、自己がサブオブジェクトである旨の情報、どのサブ要素に対応するかを示す情報、自己のID情報、特定する要素の内容を表す情報、およびリンク先となるメインオブジェクトのID情報などを有している。
【0094】
更に演算制御部2は、「丸ランプ」と「ベルトコンベア」のメインオブジェクトをメインオブジェクト記憶部に登録する(ステップS45)。また演算制御部2は、「イベント表示状態」に関して、「赤点灯」と「青点灯」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせる一方、「左回転」と「右回転」の各サブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせて、それぞれサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。
【0095】
また演算制御部2は、「イベント実行条件」について、「左ボタン押下」と「右ボタン押下」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせる一方、「Lボタン押下」と「Rボタン押下」の各サブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせて、それぞれサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。
【0096】
また演算制御部2は、「付随情報」について、「付随情報1」と「付随情報2」と「付随情報3」の各サブオブジェクトについては、「丸ランプ」のメインオブジェクトにリンクさせる一方、「付随情報4」と「付随情報5」の各サブオブジェクトについては、「ベルトコンベア」のメインオブジェクトにリンクさせて、それぞれサブオブジェクト記憶部に登録する(ステップS46)。以上の結果、図15に示す通りの各オブジェクトが、登録されることになる。
【0097】
このように各オブジェクトが登録された場合、動画モデル登録モードに移行すると、表示部4には、図16に示すような動画モデルエディタ画面が表示される(ステップS51)。この動画モデルエディタ画面は、基本的には図8に示すものと同様であるが、サブオブジェクト一覧領域43の代わりに、「イベント表示状態」についてのサブオブジェクトが表示される領域43a、「イベント実行条件」についてのサブオブジェクトが表示される領域43b、および「付随情報」についてのサブオブジェクトが表示される領域43c、の各々が表示される。
【0098】
そしてユーザによって、例えば「丸ランプ」が指定されると(ステップS52のY)、領域43aには、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「赤点灯」と「青点灯」が、領域43bには、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「左ボタン押下」と「右ボタン押下」が、領域43cには、「丸ランプ」にリンクしているものを表す「付随情報1」と「付随情報2」と「付随情報3」が、それぞれ表示される(ステップS55)。
【0099】
これによりユーザは、「赤点灯」と「青点灯」のうちの何れか1個と、「左ボタン押下」と「右ボタン押下」のうちの何れか1個と、「付随情報1」と「付随情報2」と「付随情報3」のうちの何れか1個を、更に指定することが可能となる。つまり、サブ要素の各々について、1個ずつのサブオブジェクトの指定が受けられる。これにより、例えば同一のサブ要素において複数のサブオブジェクトが指定されたり、一つもサブオブジェクトが指定されないサブ要素が生じたりすることが、未然に回避される。
【0100】
なお、「丸ランプ」にリンクしていないサブオブジェクトを表す「左回転」、「右回転」、「Lボタン押下」、「Rボタン押下」、「付随情報4」、および「付随情報5」は表示されないから、ユーザは、これらを指定することができない。そのため、これらのサブオブジェクトが誤って指定されるという不具合は、未然に防止される。
【0101】
そして図17に示すように、ユーザによって、各サブオブジェクトおよび動画モデル作成領域41における所望位置44が指定されると(ステップS56のY)、演算制御部2は、これらの指定に応じた動画オブジェクトを、当該位置44に配置させる(ステップS57)。このようにしてユーザは、所望の動画オブジェクトを、動画モデル作成領域41の所望位置に配置させることが可能である。
【0102】
なお本実施形態では、動画オブジェクトは、「初期表示状態」、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付属情報」の各々によって特定されるようになっているが、他の内容によって特定されるものであっても構わない。また「イベント実行条件」は、操作部1での操作内容に対応したものの他、例えば動画モデルの表示開始から所定時間が経過した場合に満たされるとするもの等、種々の条件とすることが可能である。また、各一覧領域(42、43、43a〜43c、47)においては、一覧が文字で表示される代わりに、予め設定されたアイコン等によって表示されるようになっていても良い。
【0103】
また、1個の動画オブジェクトの中に、互いに独立して表示の変化する部分が、複数設けられていても構わない。例えば「人の顔」を表す動画オブジェクトにおいては、「目」や「口」等の各々に対して、「初期表示状態」、「イベント表示状態」および「イベント実行条件」が別個に設定されることにより、「目」や「口」等が、それぞれ独立して動くようにすることも可能である。
【0104】
以上に説明した通り、本実施形態に係る動画作成装置9は、複数の要素(「初期表示状態」、「イベント表示状態」、「イベント実行条件」、および「付随情報」の何れか、もしくはこれらの組合せ)によって特定される動画オブジェクトの定義を受付けるとともに、該定義された動画オブジェクトを登録しうる機能部(オブジェクト定義部)と、1個または複数個の動画オブジェクトが配置された動画モデルの定義を受付けるとともに、該定義された動画モデルを登録しうる機能部(動画モデル登録部)と、を備えたものとなっている。
【0105】
そしてオブジェクト定義部は、動画オブジェクトの定義がなされたとき、該定義された動画オブジェクトについての、所定要素(例えば「初期表示状態」)を特定するメインオブジェクトを生成して登録する処理(ステップS44、S45)、および、該定義された動画オブジェクトについての、他の要素(例えば「イベント表示状態」と「イベント実行条件」と「付随情報」の組み合わせ)を特定するサブオブジェクトを生成し、メインオブジェクトにリンクさせて登録する処理(ステップS44、S46)、の各処理を実行する。
【0106】
また動画モデル登録部は、登録されているメインオブジェクトの何れかの指定を受付ける処理(ステップS52)、登録されているサブオブジェクトの何れかの指定を受付ける処理(ステップ56)、および、指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される動画オブジェクトを、動画モデルに配置する処理(ステップS57)、の各処理を実行する。そして更に、ステップS56の処理においては、ステップS52の処理において指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっている。
【0107】
そのため、動画オブジェクトが定義されると、メインオブジェクトとサブオブジェクトを適切に生成することが可能となっている。また、メインオブジェクトとサブオブジェクトがそれぞれ指定されることにより動画オブジェクトを特定して、この動画オブジェクトを動画モデルに配置することが可能となっている。そして更に、サブオブジェクトの指定の受付けにおいては、指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっている。そのため、メインオブジェクトに対応していないサブオブジェクトが、誤って指定されることを回避することが可能となっている。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えて実施されうるものであり、例えば、処理の順番は、上記実施形態のものには限られず、本発明の効果を奏する限りにおいて適宜順序を入れ替えることは可能である。
【0109】
また本発明に係る作画装置(モデル駆動型表示装置)は、例えばプログラマブル表示器など、各種表示モデルを表示する種々の機器に応用することが可能である。なお、動画作成装置で作成した動画モデルをプログラマブル表示器で表示させることも可能である。プログラマブル表示器において動画モデルを表示する場合、プログラマブル表示器に制御装置(プログラマブルロジックコントローラ)を介して、あるいは直接接続された制御対象機器の状態(温度や速度等)を示すデータを、イベント実行条件として用いても良い。例えば、制御対象機器の温度が第1の所定の温度以上に上昇した場合に、丸ランプが黄点灯するようにし、さらに温度が上昇し、前記第1の所定の温度より高い第2所定の温度に達した場合に、丸ランプが赤点灯するようにしてもよい。
【0110】
また以上に説明した通り、本発明に係る作画装置を動画作成装置として用いれば、一般に表示モデルとしてもっとも複雑な振る舞いをする動画(動画モデル)を容易かつ簡便に作成することができる。ただしこれは一例であって、本発明に係る作画装置は、表示装置の画面に表示される種々のもの(動画だけでなく、例えば、図形や静止画も含む)を作成する作画装置として、広く利用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、動画を作成および表示させる動画作成装置等の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 操作部
2 演算制御部
3 記憶部
4 表示部
9 動画作成装置
41 動画モデル作成領域
42 メインオブジェクト一覧領域
43、43a、43b、43c サブオブジェクト一覧領域
44 ユーザに指定された位置
45 動画オブジェクト
46 動画モデル表示領域
47 動画モデル一覧領域
48a 動画オブジェクト(丸ランプ)
48b 動画オブジェクト(ベルトコンベア)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の要素によって特定される表示オブジェクトの定義を受付けるオブジェクト定義部と、
少なくとも1個の表示オブジェクトにより特定される表示モデルの定義を受付けるとともに、該定義された表示モデルを登録しうる表示モデル登録部と、を備えた作画装置であって、
前記オブジェクト定義部は、
表示オブジェクトの定義がなされた後、
該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの所定要素を特定するメインオブジェクトを生成して登録する第1の処理、および、
該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの他の要素を特定するサブオブジェクトを生成し、該メインオブジェクトにリンクさせて登録する第2の処理、
の各処理を実行するものであり、
前記表示モデル登録部は、
登録されているメインオブジェクトの何れかの指定を受付ける第3の処理、
登録されているサブオブジェクトの何れかの指定を受付ける第4の処理、および、
指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される表示オブジェクトが、前記表示モデルに配置された状態とする第5の処理、
の各処理を実行するものであり、
第4の処理においては、第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっていることを特徴とする作画装置。
【請求項2】
前記オブジェクト定義部は、
前記所定要素において共通する複数種の表示オブジェクトが定義された場合、
該複数種の表示オブジェクトに共通する一つのメインオブジェクトを生成して登録する処理を、前記第1の処理として実行し、
該複数種の表示オブジェクトについてのサブオブジェクトの各々を生成し、該共通する一つのメインオブジェクトにリンクさせて登録する処理を、前記第2の処理として実行することを特徴とする請求項1に記載の作画装置。
【請求項3】
前記オブジェクト定義部は、
表示オブジェクトの定義がなされたとき、
該定義された表示オブジェクトについてのメインオブジェクトが、既に生成されて登録済みである場合には、
前記第1の処理および第2の処理の実行に代えて、該定義された表示オブジェクトについてのサブオブジェクトを生成して、該登録済みのメインオブジェクトにリンクさせて登録することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作画装置。
【請求項4】
前記表示オブジェクトは、
前記複数の要素として、少なくとも、初期表示状態、イベント表示状態、およびイベント実行条件が特定され、
該表示オブジェクトが配置された表示モデルの表示中において、該イベント実行条件が満たされた場合には、表示状態が、該初期表示状態から該イベント表示状態に変化するものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の作画装置。
【請求項5】
前記第3の処理が実行されるときには、
登録されている前記メインオブジェクトの一覧が表示され、
前記第4の処理が実行されるときには、
該第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、一覧表示されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の作画装置。
【請求項1】
複数の要素によって特定される表示オブジェクトの定義を受付けるオブジェクト定義部と、
少なくとも1個の表示オブジェクトにより特定される表示モデルの定義を受付けるとともに、該定義された表示モデルを登録しうる表示モデル登録部と、を備えた作画装置であって、
前記オブジェクト定義部は、
表示オブジェクトの定義がなされた後、
該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの所定要素を特定するメインオブジェクトを生成して登録する第1の処理、および、
該定義された表示オブジェクトについての、前記複数の要素のうちの他の要素を特定するサブオブジェクトを生成し、該メインオブジェクトにリンクさせて登録する第2の処理、
の各処理を実行するものであり、
前記表示モデル登録部は、
登録されているメインオブジェクトの何れかの指定を受付ける第3の処理、
登録されているサブオブジェクトの何れかの指定を受付ける第4の処理、および、
指定されたメインオブジェクトおよびサブオブジェクトによって特定される表示オブジェクトが、前記表示モデルに配置された状態とする第5の処理、
の各処理を実行するものであり、
第4の処理においては、第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、指定可能となっていることを特徴とする作画装置。
【請求項2】
前記オブジェクト定義部は、
前記所定要素において共通する複数種の表示オブジェクトが定義された場合、
該複数種の表示オブジェクトに共通する一つのメインオブジェクトを生成して登録する処理を、前記第1の処理として実行し、
該複数種の表示オブジェクトについてのサブオブジェクトの各々を生成し、該共通する一つのメインオブジェクトにリンクさせて登録する処理を、前記第2の処理として実行することを特徴とする請求項1に記載の作画装置。
【請求項3】
前記オブジェクト定義部は、
表示オブジェクトの定義がなされたとき、
該定義された表示オブジェクトについてのメインオブジェクトが、既に生成されて登録済みである場合には、
前記第1の処理および第2の処理の実行に代えて、該定義された表示オブジェクトについてのサブオブジェクトを生成して、該登録済みのメインオブジェクトにリンクさせて登録することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作画装置。
【請求項4】
前記表示オブジェクトは、
前記複数の要素として、少なくとも、初期表示状態、イベント表示状態、およびイベント実行条件が特定され、
該表示オブジェクトが配置された表示モデルの表示中において、該イベント実行条件が満たされた場合には、表示状態が、該初期表示状態から該イベント表示状態に変化するものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の作画装置。
【請求項5】
前記第3の処理が実行されるときには、
登録されている前記メインオブジェクトの一覧が表示され、
前記第4の処理が実行されるときには、
該第3の処理にて指定されたメインオブジェクトにリンクされているサブオブジェクトのみが、一覧表示されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の作画装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−198301(P2010−198301A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42202(P2009−42202)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】
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