説明

使用に時間制限がある回転作動式電子コンポーネント

【課題】回転により作動する電子コンポーネント、望ましくは、読み取られる際に回転する担体(CDやDVD等)に取り付けられ又は組み込まれるRFIDタグにより回転する担体の使用時間を制限する方法を提供する。
【解決手段】RFIDタグ210は、アンテナ、回転スイッチ214、コンポーネント216(有利に、プロセッサ)及び時間使用リミッタ218を有する。アンテナは、受け取ったRFID信号を電気エネルギに変換して、コンポーネント216に給電するよう構成される。回転スイッチ214は、担体200が一定の回転速度以上で回転しない限り回路を遮断するよう構成される。時間使用リミッタ218は、回転スイッチ214を介して給電される場合にタイマをカウントダウンし、タイマの設定時間が満了するとRFIDタグ210を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子コンポーネント、より具体的には、使用に時間制限がある回転作動式電子コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
本項目は、以下で記載及び/又は請求される本発明の様々な態様に関連する技術の様々な側面を読む者に紹介することを目的とする。この議論は、本発明の様々な態様のより良い理解を助けるよう読む者に背景情報を提供するのに役立つと信じられている。従って、当然、これらの記述は、先行技術の容認としてではなく、この観点から読まれるべきである。
【0003】
無線周波数識別(RFID)は、例えば、窃盗防止、サプライチェーン・マネージメント又は建物へのアクセスのためのシステムにおいて、送信される無線波と相互に作用する対象、すなわちRFIFタグ(以降、単に「タグ」と呼ばれることもある。)を使用する。典型的なタグは、少なくとも2つの部分、すなわち、無線周波数(RF)信号を送受信するアンテナと、情報を記憶及び処理し且つ信号を処理する集積回路とを有する。「アクティブ」と呼ばれる一部のタグはバッテリを有しており、自律している。一方、「パッシブ」タグはバッテリを有しておらず、従って、適切に働くためには外部電力(しばしば、受信されるRF信号)に依存する必要がある。
【0004】
例えば、国際公開第2006/032613号パンフレット(特許文献1)では、CDやDVD等のデジタル担体の上又は中でタグを使用することが提案されている。これは、例えば、デジタル担体上のコンテンツを保護するために(この場合、タグには、コンテンツにアクセスするために必要な情報が含まれる。)、又はコンテンツの再生に関する好みを記憶するために、実施されてよい。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0157974(A1)号明細書(特許文献2)は、RFIDタグが時間に基づいて無効にされ(、後に再び有効にされ)る解決法を提示している。その解決法は、例えば、ビデオレンタル店で使用されてよく、DVDの注文時等にカウンタダウンタイマを起動する。その場合に、RFIDタグは、カウントダウンタイマの設定時間が満了するまで有効であり、その後、カウントダウンタイマの設定時間が満了すると無効にされる。この解決法は目的を達成することができる一方で、カウントダウンがイベントの発生時に始まって、否応なくカウントダウンを行うという点で、実現性に関して若干制限されている。
【0006】
米国特許出願公開第2006/250923号明細書(特許文献3)は、データ記憶媒体に変更を加えて、記憶媒体上のデータを読み出せないよう又はアクセスできないようにする回転作動式メカニズムを記載している。かかるメカニズムは、液滴介在メカニズム及び機械スイッチを有し、例えば、光学媒体の読取面を変更することによって、物理的に媒体を変更するが、それは、例えば特許文献2がどんな方法を使っても、時間を制限するためには使用され得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/032613号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0157974(A1)号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/250923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記から、先行技術に対する代替案を提供する解決法が必要とされていることは明らかである。本発明は、このような解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様で、本発明は、外部装置と相互に作用するよう構成される通信手段と、電源と、前記通信手段から受信した第1の情報を処理し、且つ、前記外部装置を対象とする第2の情報を前記通信手段へ送信するよう構成されるコンポーネントとを有する電子モジュールを対象とする。電子モジュールは、使用時に所定時間後に電子モジュールを無効にする時間使用リミッタと、前記時間使用リミッタが使用時に時間の経過を追うことができるように、所定回転速度にある場合に前記時間使用リミッタに電力を供給するよう構成されるスイッチとを更に有する。
【0010】
第1の好ましい実施形態で、前記スイッチは、前記回転速度が閾値を上回る場合に電力を供給する。前記スイッチによって供給される電力は、前記コンポーネントにも供給されることが有利である。
【0011】
第2の好ましい実施形態で、前記通信手段はアンテナである。当該電子モジュールは無線周波数識別(RFID)タグであることが有利である。また、前記アンテナは、更に、無線周波数(RF)信号を電気エネルギに変換することによって前記電源として機能するよう構成されることも有利である。
【0012】
第3の好ましい実施形態で、前記電源はバッテリである。
【0013】
第4の好ましい実施形態で、前記時間使用リミッタは、当該電子モジュールの一部を物理的に破壊することによって当該電子モジュールを無効にする。
【0014】
第2の態様で、本発明は、上記の第1の態様に従う電子モジュールを有し、コンテンツを記憶するよう構成される情報媒体を対象とする。
【0015】
第1の好ましい実施形態で、当該情報媒体に記憶されているコンテンツへのアクセスは、前記電子モジュールからアクセス可能な情報によって拡張され又は有効にされる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の実施形態によれば、担体が十分に回転している場合にのみタイマを作動させて、タイマの設定時間が満了するまで担体の使用を有効とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】回転作動式RFIDタグを概略的に表す。
【図2】本発明の好ましい実施形態に従う、時間制限された回転作動式RFIDタグを概略的に表す。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従うRFIDタグの実施を表す。
【図4】回転スイッチの実施例を表す。
【図5】本発明の好ましい実施形態に従うRFIDタグを備えた媒体を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい特徴は、一例として添付の図面を参照して、記載される。
【0019】
欧州特許出願第09305533.3号は、回転可能な担体(例えば、有利に、DVD、CD−ROM、ブルーレイディスク等)での使用を対象としたRFIDタグを開示している。RFIDタグはスイッチを有し、このスイッチは、一実施形態において、少なくとも担体が最低速度で回転しない限りRFIDタグが通信を行わないようにすることができる。先行技術に従うRFIDタグの使用例は、RFID読取器の近くにある担体の上又は中のRFIDタグではなく、使用される担体のRFIDタグのみがRFID読取器からの要求に応答することを確かにすることである。図1は、このRFIDタグの実施例を表す。タグ110は、回転している担体100、すなわち、回転することができる担体に取り付けられている。タグ110は、電源112と、回転スイッチ114と、望ましくはプロセッサ機能及びメモリ機能を有するコンポーネント116とを有する。電源112とコンポーネント116との間には回転スイッチ114が置かれている。回転スイッチ114は、十分な回転速度にない限り電源112とコンポーネント116との間の電気接触を遮断するよう配置される。このように、コンポーネント116は、回転している担体が十分に速く回転していない場合には給電されない。コンポーネント116が給電される場合、コンポーネント116は、先行技術に従うタグの給電されたコンポーネントがするように、すなわち、RFID読取器と通信するように、機能する。
【0020】
本発明の主たるアイディアは、制限時間に達した場合に回転スイッチ機能を無効にすることによって、電子モジュールの使用に時間的な制限を加えることである。しかし、本発明は、特許文献2等に記載される先行技術が絶対時間を使用し、一方、本発明がRFIDタグの能動的使用を制限するよう構成される点で、先行技術と相違する。この相違点を説明するために、先行技術による解決法は、賃借の時間からカウントされる24時間の連続的な時間に使用を制限するが、本発明は、例えば、ほとんど無制限な時間にわたって広がった4時間に使用を制限することができる。
【0021】
図2は、本発明の好ましい実施形態に従う、時間制限された、回転により作動するRFIDタグ(本願では「回転作動式RFIDタグ」と呼ばれる。)を概略的に表す。RFIDタグ210は、回転可能な担体200に取り付けられ又は組み込まれている。RFIDタグ210は、電源212、例えば、バッテリ、又は無線波を電気エネルギに変換するアンテナを有する。RFIDタグ210は、回転スイッチ214と、コンポーネント216(例えば、プロセッサ)と、時間使用リミッタ218とを更に有する。回転スイッチ214は、十分な回転速度が自身に加えられている場合に、コンポーネント216及び時間使用リミッタ218に電力を供給するよう構成される。
【0022】
時間使用リミッタ218は、所定値からデクリメントするカウントダウンタイマを有する。カウントダウンタイマが零に達すると、時間使用リミッタ218はRFIDタグ210を無効にする。しかし、時間使用リミッタ218は十分な回転速度でしか給電されないので、カウントダウンタイマは、そのような場合にしかデクリメントしない。当然、これは、担体が回転していない場合に起こる可能性は低く、従って、使用は、最低限でも意図された値に近い。
【0023】
望ましくは、時間使用リミッタ218は、恒久的に電子モジュールに対する電力供給を無効にする物理的な動作を通じてRFIDタグ210を無効にするが、論理的にRFIDタグ210を無効にすることも可能である。前者の場合に、その動作は、ヒューズの永続的な切断であってよく、後者の場合に、その動作は、もはや後戻りできない非作動状態に入るようコンポーネントに命じるコマンドを送信することであってよい。
【0024】
好ましい実施形態で、時間使用リミッタ218は、回転スイッチ214又はコンポーネント216のいずれかに組み込まれ、望ましくは、3つとも1つの物理的コンポーネントに組み込まれる。このような組み込みは、無効化を回避することをより難しくする。
【0025】
図3は、本発明の好ましい実施形態に従うRFIDタグ310の実施を表す。RFIDタグ310は、コンポーネント316と、アンテナ312によって具現される電源と、回転スイッチ314とを有する。アンテナ312は、RF通信、すなわち、RF信号の送信及び受信に適合し、RF信号エネルギを電気エネルギに変換することによって電源として機能する。回転スイッチ314は、十分な回転エネルギがある場合にショートカット接続を中断し、そうでない場合に接続を確立するよう動くことができる第1の部分を有する。すなわち、電気エネルギは、回転エネルギが十分である場合に供給される。当業者には当然ながら、ショートカット接続の使用は、望ましくは、電源がバッテリではなくアンテナである場合にのみ使用される。
【0026】
RFIDタグ310は、所定値からカウントダウンするよう構成される時間使用リミッタ318を更に有する。カウントダウンが零に達すると、時間使用リミッタ318はRFIDタグ310を無効にするよう働き出す。2、3の無効化による解決法が既に上文で記載されてきた。図3の例となる時間使用リミッタ318は、望ましくは、回路を中断することによってRFIDタグ310を無効にし、コンポーネント316の出力が決してアンテナ312に届かないようにする。もちろん、時間使用リミッタ318は、RFIDタグ310が無効にされた場合に如何なる入力もコンポーネント316に達することができないように、同様にコンポーネント316の前に置かれてよい。
【0027】
当業者には当然に、アンテナ312、回転スイッチ314及びコンポーネント316を直列に配置することも可能である(あらゆる適切な実施形態に当てはまるもの)。
【0028】
図4の(a)及び(b)は、回転スイッチの実施例を表す。例となる好ましい実施形態は、回転エネルギがないときはタグに給電しない。
【0029】
回転スイッチ414は筐体410を有する。第1の電極430及び第2の電極440は筐体410に入っているが、互いから隔てて配置されている。第1の電極430と第2の電極440との間の空間は、バネ460の上に配置されている可動式の導電コネクタ450によって橋渡しされてよい。おもり420はコネクタ450の上に配置されているが、このおもり420は、当然、コネクタ450の一体部分であってよい。
【0030】
図4(a)は、回転スイッチ414に与えられる回転速度が全くないか又は不十分である状況を示す。この場合に、コネクタ450は、第1の電極430及び第2の電極440を接続し、それによって短絡回路を引き起こす。これは、並列に配置されているコンポーネントが給電されないことを意味する。言い換えると、回転スイッチ414が十分に回転していない場合に、コンポーネントは動作不能である。
【0031】
図4(b)は、十分な回転速度470が回転スイッチ414に加えられる状況を示す。おもり420及びコネクタ450に回転によって与えられる回転力は、このとき、バネ460によって供給される相反する力よりも大きい。これにより、第1の電極430と第2の電極440との間の接続は中断される。これは、短絡回路がもはや作用しないことを意味する。次いで、電源によって供給されるエネルギがコンポーネントに達し、それによって、コンポーネントに給電する。
【0032】
図5の(a)、(b)及び(c)は、本発明の好ましい実施形態に従うRFIDタグ510を備えた媒体500(例えば、DVD)を表す。媒体500は、媒体500のための読取器(例えば、DVDプレーヤ)等の外部装置のアンテナ520の通信範囲内にある。
【0033】
図5(a)には、どのようにアンテナ520がRFエネルギ522をRFIDタグ510のアンテナ(図示せず)に向けて送信するのかが表されている。しかし、媒体はRFIDタグ510のコンポーネント(図示せず。)に給電することができるほど十分には回転していない場合、RFIDタグ510は応答しない。
【0034】
他方で、図5(b)は、媒体500及びそのRFIDタグ510が、回転スイッチ(図示せず。)がコンポーネントに給電するようにされるほど十分な回転エネルギ530を加えられている場合を表す。この場合に、アンテナ520がRF信号524をRFIDタグ510に送信すると、RFIDタグ510は信号524に含まれる情報を処理して、応答526を送信することができる。更に、電力が時間使用リミッタにも供給される場合、タイマがカウントダウンされる。
【0035】
最後に、図5(c)は、カウントダウンタイマが零に達し、RFIDタグが無効にされる場合を表す。たとえ十分な回転エネルギ530が回転スイッチに加えられるとしても、時間使用リミッタ(図示せず。)がRFIDタグ510を無効にしたので、信号524に対する応答は送信されない。
【0036】
当業者には当然に、タグ510によって与えられる情報は、媒体500上のコンテンツの(場合により、拡張又は改善された)使用を可能にすることができる。この情報を得るために、読取器はRF信号をタグに送り、タグは必要とされる情報を返す。例えば、情報は解読キー、タグのコンポーネント(すなわち、そのプロセッサ)によって実行される計算の結果、媒体上のコンテンツのレンダリングに関する情報(例えば、ボリューム、言語、サブタイトル)、あるいは、コンピュータゲームの場合に、ゲームの現在の状態に関する情報(例えば、キャラクタの装備及び特性、利用可能な車及び競技場、プレイヤーのハイスコア等)であってよい。
【0037】
当然、本発明は、回転している担体の上又は中でのRFIDタグの使用のための時間制御を確かにすることができる。
【0038】
当然、タグは、何らかの適切な担体に貼付されてよく、モジュールを製造するのに便利且つ経済的な方法である。しかし、例えばタグを担体に含めることによって、使用中に回転するよう意図されたより大きな構造体の一部としてタグを含めることも可能である。
【0039】
本明細書、(必要に応じて)特許請求の範囲及び図面に開示される夫々の特徴は、独立して、又は何らかの適切な組合せにおいて、提供されてよい。特許請求の範囲に現れる参照符号は、例示のためだけに付されたものであり、特許請求の範囲の適用範囲を制限するためのものではない。
【符号の説明】
【0040】
100,200,500 担体(媒体)
110,210,310,510 タグ
112,212 電源
114,214,314,414 回転スイッチ
116,216,316 コンポーネント
218,318 時間使用リミッタ
312 アンテナ
410 筐体
420 おもり
430,440 電極
450 導電コネクタ
460 バネ
470 回転速度
530 回転エネルギ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と相互に作用するよう構成される通信手段と、
電源と、
前記通信手段から受信した第1の情報を処理し、且つ、前記外部装置を対象とする第2の情報を前記通信手段へ送信するよう構成されるコンポーネントと、
使用時に所定時間後に電子モジュールを無効にする時間使用リミッタと、
前記時間使用リミッタが使用時に時間の経過を追うことができるように、所定回転速度にある場合に前記時間使用リミッタに電力を供給するよう構成されるスイッチと
を有することを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
前記スイッチは、前記回転速度が閾値を上回る場合に電力を供給する、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記スイッチによって供給される電力は、前記コンポーネントにも供給される、請求項2に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記通信手段はアンテナである、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項5】
無線周波数識別タグである、請求項4に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記アンテナは、更に、無線周波数信号を電気エネルギに変換することによって前記電源として機能するよう構成される、請求項4に記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記電源はバッテリである、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記時間使用リミッタは、当該電子モジュールの一部を物理的に破壊することによって当該電子モジュールを無効にする、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の電子モジュールを有し、コンテンツを記憶するよう構成される情報媒体。
【請求項10】
当該情報媒体に記憶されているコンテンツへのアクセスは、前記電子モジュールからアクセス可能な情報によって拡張され又は有効にされる、請求項9に記載の情報媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−165180(P2011−165180A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−14701(P2011−14701)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】