説明

使用済みの垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法

【課題】使用済みの垂れ幕や横断幕を廃棄することなく、これを適宜の大きさにカットしてかばん等の袋物、財布、カードケース、テントシート等の2次製品を製作すると共に、前記2次製品としてカットした残りの端切れを詰め込んで縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物を製作して、完全再利用処理する。
【解決手段】1枚または複数枚の使用済みの垂れ幕または横断幕1をすべて再利用して2次製品2および詰め物8を製作すべく、該使用済みの垂れ幕または横断幕1の生地、大きさ、文字や模様あるいは色彩、または構成部材に応じて、2次製品2を製作するための2次製品袋物用材料片3と、端切れ片7を詰め込んで詰め物8を製作するための詰め物用材料片9とにカットし、前記2次製品用材料片3を用いて2次製品3を製作すると共に、詰め物用材料片9と端切れ片7を用いて詰め物8を製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告や宣伝、あるいは案内表示等の目的で、屋外のビル等の壁面や、道路の横断歩道橋の橋桁等に取付けられた垂れ幕や横断幕の使用後に、これら使用済みの垂れ幕や横断幕を廃棄することなく、これを適宜の大きさにカットしてかばん等の袋物、財布、カードケース、テントシート等の2次製品を製作すると共に、前記2次製品としてカットした残りの端切れを詰め込んで縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物を製作して、前記使用済みの垂れ幕または横断幕すべてを再利用することができる使用済みの垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みの垂れ幕または横断幕は、再利用されることなく、廃棄物として処理されていた。そして、使用済みの垂れ幕または横断幕の再利用方法につき過去の特許文献を遡及検索しても、1件の特許文献をも発見することができなかった。そして、下記の2件の特許文献に開示された横断幕が公知であるが、いずれも分別処理をしないですべて焼却処理ができるということが、その効果として記載されている。しかしながら、下記の特許文献に記載の発明には、使用済みの横断幕を再利用するということについては全く記載されておらず、またそれを示唆する記載も全くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3105616号公報
【特許文献2】実用新案登録第3113898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、従来は使用済みの垂れ幕または横断幕を再利用するという発想は全くなく、また前記各特許文献に記載の横断幕も使用済みとなった場合は、焼却処理することを目的としているため、再利用を図ることを全く考慮にいれていないので、強靭で、防水性および耐熱性に優れている素材により形成された垂れ幕や横断幕が、使用後に廃棄されるのは、資源の無駄使いであって、「エコ」とか「再利用(リユース)」、あるいは「リサイクル」など、声高に叫ばれている昨今の状況には全くそぐわないという課題があった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであって、使用済みの垂れ幕または横断幕を全く廃棄することなく、これを適宜の大きさにカットして手提げバッグ、財布、カードケース、テントシート等の2次製品を製作すると共に、前記2次製品用としてカットした残りの端切れを詰め込んで縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物を製作して、すべて再利用するようにした使用済みの垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1において、1枚または複数枚の使用済みの垂れ幕または横断幕をすべて再利用して2次製品および詰め物を製作すべく、前記垂れ幕または横断幕の生地、大きさ、文字や模様あるいは色彩、または構成部材に応じて、2次製品を製作するための2次製品用材料片と、端切れ片を詰め込んで詰め物を製作するための詰め物用材料片とにカットする型紙を作成して、該型紙に合わせて該垂れ幕または横断幕にカットラインを形成し、前記カットラインに沿って前記垂れ幕または横断幕をカットして、2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片をそれぞれ切り取り、且つ該2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片をすべて洗浄して、前記2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片に付着した汚れを落した後、乾燥させて清浄な2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片とする一方、前記乾燥させた2次製品用材料片を用いて2次製品を製作すると共に、詰め物用材料片と端切れ片を用いて詰め物を製作するという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
更に、本発明は、請求項2において、1枚または複数枚の使用済みの垂れ幕または横断幕をすべて再利用して2次製品および詰め物を製作すべく、前記垂れ幕または横断幕の生地、大きさ、文字や模様あるいは色彩、または構成部材に応じて、2次製品を製作するための2次製品袋物用材料片と端切れ片とにカットする型紙を作成して、該型紙に合わせて該垂れ幕または横断幕にカットラインを形成し、前記カットラインに沿って前記垂れ幕または横断幕をカットして、2次製品用材料片および端切れ片をそれぞれ切り取り、且つ該2次製品用材料片および端切れ片をすべて洗浄して、前記2次製品用材料片および端切れ片に付着した汚れを落した後、乾燥させて清浄な2次製品用材料片および端切れ片とする一方、前記乾燥させた2次製品用材料片を用いて2次製品を製作すると共に、端切れ片を詰め物本来の外層材内に詰め込んで詰め物を製作するという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明方法によれば、使用済みの垂れ幕または横断幕を全く廃棄することなく、これを適宜の大きさにカットして手提げバッグ、財布、カードケース、テントシート等の2次製品を製作すると共に、前記2次製品としてカットした残りの端切れを詰め込んで縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物を製作してすべて再利用するようにした使用済みの垂れ幕または横断幕を完全再利用することができるので、使用済み垂れ幕または横断幕の処理依頼者は安心して、その処理の依頼ができるし、また、購入者にとっても前記再利用製品を購入することで、資源の無駄使いをなくすということに協力するという意欲を高めて、購入者の購入意欲をそそり、販売上有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明使用済みの垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法において、使用済みの横断幕にカットラインを形成した状態を示す平面図である。
【図2】本発明使用済みの垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法を用いて製造された2次製品の斜視図である。
【図3】本発明使用済みの垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法を用いて製造された詰め物の一部切欠き斜視図である。
【実施例】
【0009】
垂れ幕または横断幕の生地は、該垂れ幕または横断幕が屋外において長期間に亘って、風雨や太陽光に曝されるものであるため、これら風雨や太陽光に耐え得る防水性や耐熱性を有する強靭な素材により形成されており、特にビニール系のターポリン、テトロン系化繊であるトロマット、綿系の帆布が一般に使用されている。
【0010】
本発明者は、長期間に亘って風雨や太陽光に曝されても破損することのない、前記防水性や耐熱性を有する強靭な生地により形成された垂れ幕または横断幕の使用後、廃棄処分されるのは資源の無駄使いであるという観点から、特に、一般の素材を使用することなく、今迄にない変った素材を使用することが、若者に受け入れられる傾向にあることから、前記使用済み垂れ幕または横断幕の文字等の表示や色彩、あるいはロープやハト目等の各素材をそのまま利用して、手提げバッグ、財布、カードケース、テントシート等の2次製品を製作すると共に、前記2次製品用としてカットした残りの端切れを用いて縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物を製作し、完成した手提げバッグ、財布、カードケース、テントシート等の2次製品として販売し、または縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物として販売し、従来は廃棄処分していた使用済みの垂れ幕または横断幕すべてを再利用することにより、資源の有効利用を図ることを目的として発明したものである。
【0011】
本発明で再利用する使用済みの垂れ幕または横断幕の生地は、前記ターポリン、トロマット、あるいは帆布の外、垂れ幕または横断幕として使用されたものはすべて利用する。また、垂れ幕または横断幕の構造も、生地に糸、あるいはハト目を使用してロープ材を固着したもの等、種々のものが存在するが、本発明においては、幕生地やロープ材の外、ハト目等の金属部材を含めてすべて再利用の材料として使用する。以下、本発明における使用済み垂れ幕または横断幕の再利用の方法について詳細に説明する。
【0012】
本発明においては、使用済みの垂れ幕または横断幕の生地の種類、大きさ、文字や模様、あるいは色彩、ロープ等の構成部材等に関係なく、1枚の垂れ幕または横断幕ごとに再利用することが好ましいが、複数枚の垂れ幕または横断幕を合わせて使用することもできる。
【0013】
垂れ幕または横断幕の掲示期間が終った後、使用済みの垂れ幕または横断幕1は、その掲示者より処理を依頼されると、再利用処理ヤードに運ばれて、該使用済みの垂れ幕または横断幕1の大きさ、文字や模様あるいは色彩、またはロープ等の構成部材等によって、デザイナー等がどの部分をカットして、手提げバッグ、財布、カードケース、テントシート等の2次製品2を製作する2次製品用材料片3とするかの型紙(図示せず)を作成し、然る後、該型紙に合わせて前記使用済みの垂れ幕または横断幕1にカットライン4を形成する。その際、前記使用済みの垂れ幕または横断幕1を構成するロープ材5およびハト目等の金属部材6等の構成部材を含めて、2次製品用材料片3の一部とすることも可能である。
【0014】
更に、後述するように、前記2次製品用材料片3をカットライン4に沿ってカットした後に残った端切れ片7を利用して、縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグ等の詰め物8を製作する詰め物用材料片9とするカットライン4をも合わせて形成する。図3においては、詰め物8の例として、縫いぐるみが図示されている。以下、説明の都合上、詰め物8を縫いぐるみとして説明する。
【0015】
前記使用済みの垂れ幕または横断幕1をカットライン4に沿ってカットして、2次製品用材料片3、詰め物用材料片9および端切れ片7をそれぞれ切り取り、且つ該各2次製品用材料片3、詰め物用材料片9および端切れ片7をすべて洗濯機等の洗浄装置に投入して洗浄し、前記2次製品用材料片3、詰め物用材料片9および端切れ片7に付着した汚れを落して乾燥させ、清浄な2次製品用材料片3、詰め物用材料片9および端切れ片7とする。
【0016】
次に、前記清浄な2次製品袋物用材料片3を前記型紙に基づいて縫着して、必要であればファスナー、ボタンや持ち手等の補助部材10を使用して、手提げバッグ、財布、カードケース、テントシート等の2次製品2を製作する。前記2次製品2は、使用済みの垂れ幕または横断幕1の大きさによって、その製作される数は制約される。
【0017】
一方、前記2次製品用材料片3を用いて2次製品2を製作すると同時に、詰め物用材料片9と端切れ片7を用いて縫いぐるみ等の詰め物8を製作するが、該詰め物用材料片9に端切れ片7を詰め込むための詰込み用開口部11を残して縫着し、該詰込み用開口部11からすべての端切れ片7を詰め込んで、然る後、前記詰込み用開口部11を縫合して縫いぐるみ等の詰め物8を完成する。なお、前記詰め物8の大きさは、型紙を作成する段階で、詰め物用材料片9と端切れ片7の量を予め想定して作成する必要がある。
【0018】
なお、前記詰め物8は、すべて使用済みの垂れ幕または横断幕1を用いて製造することができない場合、該詰め物8を構成する外層材は、図示していないが、一般に使用されている詰め物本来の外層材を用いて、その内部に前記端切れ片7を詰め込んで製造しても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 使用済みの垂れ幕または横断幕
2 2次製品
3 2次製品用材料片
4 カットライン
5 ロープ材
6 金属材料
7 端切れ片
8 詰め物
9 詰め物用材料片
10 補助部材
11 詰め込み用開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚または複数枚の使用済みの垂れ幕または横断幕をすべて再利用して2次製品および詰め物を製作すべく、前記垂れ幕または横断幕の生地、大きさ、文字や模様あるいは色彩、または構成部材に応じて、2次製品を製作するための2次製品袋物用材料片と、端切れ片を詰め込んで詰め物を製作するための詰め物用材料片とにカットする型紙を作成して、該型紙に合わせて該垂れ幕または横断幕にカットラインを形成し、前記カットラインに沿って前記垂れ幕または横断幕をカットして、2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片をそれぞれ切り取り、且つ該2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片をすべて洗浄して、前記2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片に付着した汚れを落した後、乾燥させて清浄な2次製品用材料片、詰め物用材料片および端切れ片とする一方、前記乾燥させた2次製品用材料片を用いて2次製品を製作すると共に、詰め物用材料片と端切れ片を用いて詰め物を製作することを特徴とする使用済み垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法。
【請求項2】
1枚または複数枚の使用済みの垂れ幕または横断幕をすべて再利用して2次製品および詰め物を製作すべく、前記垂れ幕または横断幕の生地、大きさ、文字や模様あるいは色彩、または構成部材に応じて、2次製品を製作するための2次製品袋物用材料片と端切れ片とにカットする型紙を作成して、該型紙に合わせて該垂れ幕または横断幕にカットラインを形成し、前記カットラインに沿って前記垂れ幕または横断幕をカットして、2次製品用材料片および端切れ片をそれぞれ切り取り、且つ該2次製品用材料片および端切れ片をすべて洗浄して、前記2次製品用材料片および端切れ片に付着した汚れを落した後、乾燥させて清浄な2次製品用材料片および端切れ片とする一方、前記乾燥させた2次製品用材料片を用いて2次製品を製作すると共に、端切れ片を詰め物本来の外層材内に詰め込んで詰め物を製作することを特徴とする使用済み垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法。
【請求項3】
2次製品が、手提げバッグ、財布、カードケース、テントシートである請求項1または請求項2記載の使用済み垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法。
【請求項4】
詰め物が、縫いぐるみ、ボール、マット、サンドバッグである請求項1または請求項2記載の使用済み垂れ幕または横断幕の完全再利用処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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