説明

侵入防止装置

【課題】 有刺鉄線が切断された場合でも継続して侵入防止効果を維持でき、しかも装置のコンパクト化を図ることが可能な侵入防止装置を提供する。
【解決手段】 上下方向に延びる支柱101の間に設けられ、水平方向に延びる保持軸10と、保持軸10の外周に設けられるとともに、保持軸10の軸方向に沿って螺旋状に延び、外方に突出する複数の鋭利な突起部22を有する有刺鉄線20と、を備え、有刺鉄線20は、保持軸10に軸心P回りに回動自在に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部から電力管理施設などへの第三者の侵入を防止するための侵入防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給事業者における発変電所などの電力管理施設には、第三者の侵入を防止するための外柵を設置している。電力管理施設のうち特に重要度の高い施設では、外柵の上部に有刺鉄線を設けて第三者の侵入を防止するようにしている。
【0003】
従来から電力管理施設への侵入を防止する技術として、回転障害物を用いた侵入防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この侵入防止装置は、放射状に延びる針山状の突き棒が設けられた回転障害物を柵の上部に取付けることにより、電力管理施設への第三者の侵入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−262754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、有刺鉄線は、ニッパー等の工具を用いることにより人為的に切断される場合や、強風や積雪時には倒木による外力によって断線する場合があり、第三者の侵入を確実に防止することができないという問題がある。また、有刺鉄線は、外柵の上部に設置された忍び返しに取付けられるが、1箇所切断されるだけで全体が垂れ下がり、第三者の侵入防止機能が損なわれるという問題がある。したがって、有刺鉄線が切断された場合は、第三者は外柵を容易によじ登ることが可能となり、第三者の管理施設内への侵入を防止することが困難となる。
【0006】
上述の特許文献1の場合も、針山状の突き棒は軸方向に長く延びているので、第三者による切断が容易となり、第三者の侵入を確実に防止することができない。また、突き棒は放射状に延びているので、積雪時には突き棒を有する回転障害物に大量に雪が付着することになる。そのため、積雪の重量に耐えるためには、侵入防止装置の剛性の高める必要があり、装置が大型化するという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、有刺鉄線が切断された場合でも継続して侵入防止効果を維持でき、しかも装置のコンパクト化を図ることが可能な侵入防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、上下方向に延びる支柱の間に設けられ、水平方向に延びる保持軸と、前記保持軸の外周に設けられるとともに、前記保持軸の軸方向に沿って螺旋状に延び、外方に突出する複数の鋭利な突起部を有する有刺鉄線と、前記有刺鉄線を前記保持軸に軸心回りに回動自在に保持するころがり軸受と、を備えたことを特徴とする侵入防止装置である。
【0009】
この発明によれば、保持軸の軸方向に沿って螺旋状に延びる有刺鉄線は、保持軸に軸心回りに回動自在に保持されるので、有刺鉄線が途中で切断された場合でも、有刺鉄線全体が垂れ下がるのを回避することが可能となり、第三者に対する侵入防止効果が維持される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の侵入防止装置において、前記保持軸は、複数の分割軸を軸方向に連結して形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の侵入防止装置において、前記有刺鉄線は、前記保持軸の軸方向に分割されており、分割された各有刺鉄線の端部はころがり軸受を介して前記保持軸に保持されていることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の侵入防止装置において、前記有刺鉄線は、既存の有刺鉄線または鋼材を塑性加工することにより形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、有刺鉄線が途中で切断・断線した場合でも、有刺鉄線全体の垂れ下がりが回避されるので、有刺鉄線を張り替える作業が不要となり、保守が容易となる。また、螺旋状の有刺鉄線は、ころがり軸受を介して保持軸に回動自在に保持されるため、侵入しようとする第三者が有刺鉄線をつかみにくくなり、第三者の侵入防止効果を高めることができる。さらに、有刺鉄線は、保持軸の軸方向に螺旋状に延びているので、有刺鉄線が保持軸から外方に大きく突き出すことがなくなり、装置のコンパクト化が図れる。これにより、装置に雪が大量に積もるのを回避することができ、積雪を考慮して装置の剛性を高める必要もなくなる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、保持軸は複数の分割軸を軸方向に連結して構成されているので、保持軸を分割して持ち運びすることが可能となり、電力管理施設などへの保持軸の持ち運びが容易となる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、有刺鉄線は保持軸の軸方向に分割されているので、保持軸が軸方向に長い場合でも、有刺鉄線の自重による弛みを抑制することができる。これにより、有刺鉄線の保持軸との接触抵抗を小とすることができ、有刺鉄線の軸心回りの回動を円滑にすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、鋼材を塑性加工したものから形成されているので、既存の有刺鉄線に対して異なる形状の有刺鉄線を製作することができ、保持軸に対する回動を円滑にすることが可能となる。また、螺旋状の有刺鉄線は、既存の有刺鉄線を利用することもできるので、形状の異なる有刺鉄線を新たに製作する場合に比べてコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる侵入防止装置の要部断面図である。
【図2】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図3】図2のC−C線に沿う断面図である。
【図4】図1の侵入防止装置を設けた外柵の正面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図5の外柵の変形例を示す側面図である。
【図7】図1の侵入防止装置のおける有刺鉄線の拡大正面図である。
【図8】図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図9】図7のD−D線に沿う断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係わる侵入防止装置の正面図である。
【図11】図10の保持軸の連結部分を示す拡大断面図である。
【図12】図7の有刺鉄線の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12の有刺鉄線の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1ないし図9は、本発明の実施の形態1を示している。図4および図5に示すように、侵入防止装置1は、例えば電力供給事業者における発変電所などの電力管理施設の外柵100に設けられている。外柵100は、上下方向に延びる複数の支柱101を有している。支柱101の下部は、地上G側に埋設されている。支柱101の上部101aは、電力管理施設の外側に向かって斜めに延びている。また、外柵100を敷地の境界に近接して設ける場合は、図6に示すように、支柱101の上部101aが直型となる外柵100が使用される。隣接する支柱101同士は、上部と下部が横柱102を介して連結されている。支柱101には、横柱102の端部を連結する連結具102aが取付けられている。一方の支柱101と他方の支柱101との間には、支線103が設けられている。支線103の端部は、支持具103aを介して支柱101に連結されている。外柵100における左右の支柱101と上下の横柱102によって包囲された部位には、金網104が設けられている。
【0020】
侵入防止装置1は、一方の支柱101の上部傾斜部101aと、他方の支柱101の上部傾斜部101aとの間に設けられている。侵入防止装置1は、保持軸10と、有刺鉄線20と、軸受部30とを備えている。保持軸10は、例えばステンレス鋼などの耐食性に優れた円柱状の金属部材から構成されており、水平方向に延びている。この実施の形態1においては、保持軸10は、複数の分割軸11、12を軸方向に連結して形成されている。分割軸11は、保持軸10の中央部を構成する部分であり、一端部に雄ネジ10aが形成されており、他端部に雌ネジ10bが形成されている。分割軸12は、保持軸10の両端部を構成する部分であり、軸方向の一端部には雄ネジ10aまたは雌ネジ10bが形成されている。分割軸12の端部12aは、後述する理由から外径が保持軸10における他の部位よりも小径に形成されているが、保持軸10の径を全長にわたって同一の径とする構成であってもよい。
【0021】
図7は、棒状の鋼材を塑性加工によって所定の形状に形成した新規な有刺鉄線20を示している。有刺鉄線20には、軸方向に所定の間隔をもって複数の鋭利な突起部22が形成されている。有刺鉄線20は、図8に示すように、断面形状が円形をした線状部21と、線状部21から外方に突出する円錐状の突起部22から構成されている。有刺鉄線20は、保持軸10の外周に設けられるとともに、保持軸10の軸方向に螺旋状に延びるように形成されている。すなわち、図7の有刺鉄線20は、保持軸10に取付けられる前に、図1に示すように予め螺旋状に加工されている。これにより、保持軸10は、螺旋状の有刺鉄線20の内側に容易に挿入することが可能となっている。有刺鉄線20の突起部22は、保持軸10の外側に設けられた状態では、図8に示すように、軸心Pに対して外方にのみ放射状に延びている。有刺鉄線20の内側と保持軸10の外面との間には、保持軸10に対して有刺鉄線20を軸心P回りに回動させるための隙間S1が形成されている。
【0022】
図1に示すように、保持軸10における分割軸12の端部12aは、軸受部30を介して支柱101に支持されている。軸受部30は、保持ケース31と、ころがり軸受けとしてのボールベアリング32と、固定ネジ33と、固定板34、連結ボルト36とから構成されている。保持ケース31は、保持軸10の分割軸12が挿入可能な金属製のブロックから構成されている。保持ケース31には、分割軸12の端部12aが嵌合可能な保持穴31aが形成されている。また、保持ケース31には、ボールベアリング32の外輪部32aが嵌合される嵌合穴31bが形成されている。分割軸12の端部12aは、保持ケース31に螺合された固定ネジ33の押圧によって保持ケース31に固定されている。保持ケース31における支柱101側の端面には、円弧状の固定板34が溶接などによって取付けられている。固定板34は、連結ボルト36を介して支柱101に連結されている。
【0023】
有刺鉄線20の軸方向の端部は、ボールベアリング32を介して保持軸10の分割軸12の端部12aに保持されている。図3に示すように、ボールベアリング32は、外輪部32aと、内輪部32bと、複数のボール(鋼球)32cとから構成されている。複数のボール32cは、外輪部32aと内輪部32bとの間に設けられており、外輪部32aと内輪部32bに形成された保持溝によって転動可能に保持されている。ボールベアリング32は、側面部にボール32cを保護するためのシール板(図示略)を有している。
【0024】
分割軸12の端部12aの外周面と内輪部32bの内周面との間には、隙間S2が形成されている。これにより、分割軸12における端部12aの外周面は、ボールベアリング32の内輪部32bと非接触となっている。また、保持軸10における分割軸11および端部12aを除く分割軸12の外径D1は、ボールベアリング32の内輪部32bの内周面の径よりも僅かに小に形成されている。これにより、ボールベアリング32の内輪部32bの内側には、保持軸10が挿入可能となっている。有刺鉄線20の軸方向の端部は、例えば溶接の一種であるろう付けによってボールベアリング32の内輪部32bの側面に連結されている。ろう付けは、接合する母材よりも融点の低い金属を溶かして接合剤として用いるものであり、母材自体を溶融させずに有刺鉄線20と内輪部32bとを接合することができる。
【0025】
この実施の形態1においては、分割軸12の端部12aの径を他の部位よりも小に形成しているが、これは保持軸10の組立能率および保持軸10をガタなく支柱101に保持させることを考慮したものである。すなわち、保持軸10は複数の分割軸11、12から構成されるので、分割軸12の端部12aの径を高精度の機械加工によって小に形成することにより、組立時において軸端に位置する分割軸12が容易に目視で判断できるとともに、保持ケース31の保持穴31aとの嵌合精度を高めることができ、保持ケース31を介して保持軸10を支柱101にガタなく保持させることが可能となる。また、図1および図2に示すように、分割軸12の大径部分の軸方向端部には、保持軸10が軸方向に移動するのを防止するストッパー10cが設けられている。
【0026】
つぎに、実施の形態1における侵入防止装置1の組み付け手順および作用について説明する。
【0027】
まず、侵入防止装置1は、構成部材ごとに分解された状態で発変電所などの電力管理施設に設置された既存の外柵100の近傍までに運ばれる。ここで、保持軸10は複数の分割軸11、12を軸方向に連結して構成されているので、保持軸10を分割して持ち運びすることが可能となり、電力管理施設などへの保持軸10の持ち運びが容易となる。電力管理施設に設置された既存の外柵100への侵入防止装置1の取付けは、つぎのように行われる。
【0028】
保持軸10の組立は、分割軸11と分割軸12とを雄ネジ10aおよび雌ネジ10bを利用して連結することにより行う。保持軸10の連結が完了した状態では、保持軸10の両端部には分割軸12が位置することになる。つぎに、両端にボールベアリング32が連結された螺旋状の有刺鉄線20の内側に、連結が完了した保持軸10が挿入される。ここで、保持軸10の外径D1は、ボールベアリング32の内輪部32bの内周面よりも径が小であり、かつ螺旋状の有刺鉄線20の内径D2よりも小であるので、保持軸10を容易に螺旋状の有刺鉄線20の内側およびボールベアリング32の内輪部32bの内側に挿入することが可能となる。
【0029】
その後、ボールベアリング32の外輪部32aを保持ケース31の嵌合穴31bに嵌合させるとともに、分割軸12の端部12aを保持ケース31の保持穴31aに嵌合させる。この状態では、保持ケース31は、保持軸10の軸方向に移動可能となっている。つぎに、保持ケース31の端部に設けられた固定板34を連結ボルト36を介して支柱101に固定する。そして、固定板34が支柱101に固定された状態で固定ネジ33を締付け、保持軸10の分割軸12を保持ケース31に固定する。これにより、保持軸10の軸方向の移動および軸心P回りの動きが阻止され、保持軸10は軸受部30を介して支柱101に固定されることになる。
【0030】
この実施の形態1においては、予め螺旋状に形成された所定の長さの有刺鉄線20を用いるので、螺旋状の有刺鉄線20の内側に保持軸10を挿入する作業は、既存の有刺鉄線を利用する場合よりも作業性が著しく高くなる。すなわち、既存の有刺鉄線を利用する場合は、既存の有刺鉄線を保持軸10の軸方向に延ばしながら必要な長さに切断し、保持軸10の軸方向に沿って螺旋状に形成する必要があるので、現地での作業に手間取るが、予め螺旋状に形成された有刺鉄線20を用いることで、現地での作業性が著しく高めることが可能となる。
【0031】
このように構成された侵入防止装置1においては、図8に示すように、螺旋状の有刺鉄線20に矢印F方向の外力を与えた場合は、螺旋状の有刺鉄線20は軸心Pを中心として回動することになる。有刺鉄線20は、保持軸10の軸方向に沿って螺旋状に延びているので、有刺鉄線20が途中で切断された場合でも、有刺鉄線20の垂れ下がりが回避され、有刺鉄線20を張り替える作業が不要となる。また、螺旋状の有刺鉄線20は、ボールベアリング32を介して保持軸10に回動自在に保持されるため、侵入しようとする第三者が有刺鉄線20をつかみにくくなり、第三者の侵入防止効果を高めることができる。さらに、有刺鉄線20は、保持軸10の軸方向に沿って延びているので、有刺鉄線20が保持軸10から外方に大きく突き出すことがなくなり、侵入防止装置1のコンパクト化が図れる。これにより、侵入防止装置1に雪が大量に積もるのを回避することができ、積雪を考慮して侵入防止装置1の剛性を高める必要もなくなる。
【0032】
この実施の形態1では、有刺鉄線20は、鋼材を塑性加工したものから形成されているので、図8に示すように突起部22を外方に向かって延びる放射状に形成することができる。したがって、既存の有刺鉄線の場合よりも保持軸10との接触抵抗を低減でき、保持軸10に対する回動を円滑にすることが可能となる。さらに、螺旋状の有刺鉄線20は、既存の有刺鉄線を利用することもできるので、この場合は形状の異なる有刺鉄線を新たに製作する場合に比べてコスト低減が可能となる。また、有刺鉄線20が軸心P回りに回動する際には、有刺鉄線20と保持軸10との接触音が生じることになり、この接触音の発生は、第三者の侵入を防止する防犯効果をもたらすことになる。
【0033】
(実施の形態2)
図10および図11は、本発明の実施の形態2を示している。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、有刺鉄線20の分割構造のみであり、その他の部分は実施の形態1に準じるので、準じる部分に実施の形態1と同一の符号を付すことにより、順ずる部分の説明を省略する。
【0034】
図10に示すように、螺旋状の有刺鉄線20は、軸心P回りの回転をさらに円滑にするために軸方向に4つに分割されている。分割された各有刺鉄線20は、ころがり軸受けとしてのボールベアリング35によって回動自在に保持軸10に保持されている。すなわち、分割された有刺鉄線20は、図1に示す軸方向の端部を保持する軸受部30を除き、ボールベアリング35を介して回動自在に保持軸10に保持されている。
【0035】
ボールベアリング35の内側は、軸方向に連結された分割軸11、12が挿入されている。ボールベアリング35は、外輪部35aと、内輪部35bと、ボール(鋼球)35cとから構成されている。ボール35cは、外輪部35aと内輪部35bとによって転動自在に保持されている。ボールベアリング35は、側面部にボール35cを保護するためのシール板(図示略)を有している。図10においては、内輪部35bの内側に、保持軸10の分割軸11が嵌合されている。螺旋状の有刺鉄線20の軸方向の端部は、例えば実施の形態1と同様に、ろう付けによってボールベアリング35の外輪部35aの側面に連結されている。図10および図11に示すように、分割軸11の外周面には、ボールベアリング35が軸方向に移動するのを防止するストッパー10cが設けられている。
【0036】
このように構成された実施の形態2においては、複数に分割された有刺鉄線20の軸方向の端部をボールベアリング35を介して保持軸10に保持するようにしているので、保持軸10が軸方向に長い場合でも、有刺鉄線20の自重による弛みを抑制することができる。これにより、有刺鉄線20の軸方向の中央部が保持軸10と接触する接触抵抗を小とすることができ、有刺鉄線20の軸心回りの回動を円滑にすることができる。したがって、有刺鉄線20はさらにつかみにくくなり、第三者による第三者の侵入防止効果をさらに高めることができる。
【0037】
図12および図13は、実施の形態1、2の変形例を示している。実施の形態1、2では、断面形状が円形の線状部21を有する有刺鉄線20を用いたが、図11および図12に示すように、リボン状の有刺鉄線25を螺旋状に形成したものを用いた構成としてもよい。リボン状の有刺鉄線25には、プレス加工によって外方に突出する円錐状の鋭利な突起部25aが長手方向に所定の間隔をもって形成されている。突起部25aの内側と保持軸10の外周面との間には、ころがり軸受としてのボール(鋼球)26が回動自在に保持されている。有刺鉄線25は、ボール26によって僅かに保持軸10の外周面から離れており、有刺鉄線25は保持軸10に対して軸心回りに回動自在となっている。
【0038】
図12および図13においては、実施の形態1、2のようにボールベアリング32、35が不要となるので、構成が著しく簡素化でき、装置のコスト低減を図ることができる。また、保持軸10の軸方向の長さが長くなる場合でも、各突起部25aの内側にボール26が設けられるので、有刺鉄線25が回動する際の保持軸10との接触抵抗を小とすることができる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態1、2に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1、2においては、有刺鉄線20とボールベアリング32、35との連結をろう付けによって行う構成としたが、有刺鉄線20とボールベアリング32、35との連結は、これに限定されることはなく、係合構造によって連結する構成であってもよい。さらに、ころがり軸受としてボールベアリング32、35を使用したが、ローラベアリングやその他の種類のころがり軸受けを使用した構成であってもよい。
【0040】
また、有刺鉄線20は、電力管理施設の重要度に対して、保持軸10への螺旋の粗密を変えるようにしてもよい。すなわち、重要度の高い電力管理施設の場合は、保持軸10に対する有刺鉄線20の巻き数を多くし、重要度の低い電力管理施設の場合は、保持軸10に対する有刺鉄線20の巻き数を少なくする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 侵入防止装置
10 保持軸
11 分割軸(保持軸)
12 分割軸(保持軸)
20 有刺鉄線
22 突起部
25 有刺鉄線
25a 突起部
26 ボール(ころがり軸受け)
30 軸受部
32 ボールベアリング(ころがり軸受)
35 ボールベアリング(ころがり軸受)
100 外柵
101 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる支柱の間に設けられ、水平方向に延びる保持軸と、
前記保持軸の外周に設けられるとともに、前記保持軸の軸方向に沿って螺旋状に延び、外方に突出する複数の鋭利な突起部を有する有刺鉄線と、
前記有刺鉄線を前記保持軸に軸心回りに回動自在に保持するころがり軸受と、
を備えたことを特徴とする侵入防止装置。
【請求項2】
前記保持軸は、複数の分割軸を軸方向に連結して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の侵入防止装置。
【請求項3】
前記有刺鉄線は、前記保持軸の軸方向に分割されており、分割された各有刺鉄線の端部はころがり軸受を介して前記保持軸に保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の侵入防止装置。
【請求項4】
前記有刺鉄線は、既存の有刺鉄線または鋼材を塑性加工することにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の侵入防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−162902(P2012−162902A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23472(P2011−23472)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】