説明

侵襲性DNAを使用する核酸酵素ライトアップセンサー

本発明は、サンプル中の分析物の存在および必要に応じての分析物の濃度を測定する比色分析ライトアップセンサーを提供する。また、該センサーの使用方法および該センサーを含むキットも提供する。該センサーは、侵襲性DNAを使用して、核酸酵素、基質および粒子を含む凝集物の上記分析物依存性解離を助長させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(政府委託研究開発)
本出願の主題は、次の研究助成および協定において1部見出され得る:DOE Grant No. DEFG02-01-ER63179、NSF CTS-0120978、およびNSF DMR-0117792。米国政府は、本発明における権利を有する。
【0002】
(技術背景)
サンプル中の分析物の存在を判定する能力は、有意の利益を有する。例えば、鉛、水銀、カドミウム、クロムおよびヒ素のような多くの金属および金属イオンは、飲用水源(water supply)中に存在するとき、有意の健康上のリスクをもたらす。飲用水および他の水源の汚染を防止するには、水処理プラントへ放出する前の産業廃棄流を試験することが一般的である。また、血液および身体組織に由来する液体のような生体液も各種分析物について試験して、身体が有害な因子に暴露されているかどうかまたは疾病症状が存在するかどうかを判定することができる。例えば、最近では、各種サンプル中の痕跡量の炭疽菌および他の生物学的有害因子を検出する必要が存在する。
比色分析法は、土壌、水、廃棄物流、生物学的サンプル、体液等中の金属およびイオンの検出において一般的に使用されている。原子吸光分析法のような分析法をベースとする計器と対比して、比色分析法は、迅速性を有し且つ装置または使用者熟練性の形での要求が殆どなされない傾向にある。例えば、増分濃度の硝酸(NO3-)イオンを含有する水性サンプルに添加したときに暗色のピンクを変色させる比色分析試験は、水槽管理者にとって利用可能である。この方法において、比色分析試験は、硝酸塩のような興味ある分析物がサンプル中に存在することを明らかにし、さらにまた、発生した色の特定の色合によってサンプル中の分析物の量の指標を提供し得る。
比色分析試験は、極めて有用であるが、限られた群の分析物に対しての存在でしかあり得ず、多くの場合、極めて少量または痕跡量の分析物を検出し得ず、サンプルの性質にもよるが、許容し得ないレベルの偽陽性または偽陰性結果を発生させ得る。偽陽性は、比色分析用試薬が、分析物が存在しないときに、分析物の存在に関連する色を発生させる場合に生じ;一方、偽陰性は、興味ある分析物はサンプル中に存在するが予測した色が発生しない場合に生じる。偽陽性は、多くの場合、比色分析試験が興味ある分析物と識別できないサンプル中の構成成分の結果である。偽陰性は、多くの場合、分析物と関連する色を発色する化学反応を干渉するサンプル構成成分に由来する結果である。
上記の説明から理解し得るように、痕跡量のより広い範囲の分析物を同定し得る比色分析試験が継続的に求められている。さらにまた、偽陽性および/または偽陰性結果のより低い発生率を有する比色分析試験は、有意の利益を提供するであろう。
【0003】
(発明の開示)
本発明の1つの局面においては、核酸酵素、該核酸酵素に対する基質、第1の粒子、および侵襲性DNAを含むセンサー系を開示する。上記基質は第1のポリヌクレオチドを含み得、上記第1の粒子は上記第1の粒子と結合する第2のポリヌクレオチドを含み得る。上記侵襲性DNAは、第4のポリヌクレオチドを含み得る。第1のポリヌクレオチドは、第2および第4のポリヌクレオチドと少なくとも部分的に相補性である。また、上記センサー系は、第1のポリヌクレオチドと少なくとも部分的に相補性である第3のポリヌクレオチドを含む第2の粒子も含み得る。
本発明のもう1つの局面においては、凝集物、サンプル、および侵襲性DNAを結合させて分析物に対する変色応答を検出することを含む分析物の検出方法を開示する。上記凝集物は、基質および第1の粒子を含み得る、また、上記凝集物は、第2の粒子およびエンドヌクレアーゼを含み得る。
本発明のもう1つの局面においては、第1のポリヌクレオチドおよび第1の粒子を含む凝集物を形成する系を含有する第1の容器と、侵襲性DNAを含有する第2の容器とを含む分析物の検出用キットを開示する。
【0004】
本明細書および特許請求の範囲の明確且つ一貫した理解を提供するために、以下の定義を示す。
用語“サンプル”または“試験サンプル”とは、分析に供する、興味ある分析物を含有する疑いのある組成物として定義する。典型的には、分析用のサンプルは液体形であり、好ましくは、サンプルは水性混合物である。サンプルは、廃棄物流由来の産業的サンプル、或いは血液、尿または唾液のような生物学的サンプルのような任意の源に由来し得る。サンプルは、抽出物、希釈物、濾液または再構築沈降物のような産業的または生物学的サンプルの由来物である。
用語“分析物”とは、サンプル中に潜在的に存在する1種以上の物質として定義する。上記分析方法は、サンプル中に存在する分析物の存在、量または濃度を測定する。
用語“比色分析”とは、上記センサー系を構成する単数または複数の試薬が分析物の存在または不存在下に色変化を発生させる分析方法として定義する。
用語“感度”とは、センサー系が分析物を検出し得る下限濃度を称する。即ち、センサー系が分析物に対して感受性が高いほど、その系は、低濃度の分析物を検出するのに良好である。
用語“選択性”とは、センサー系が所望の分析物を他の種の存在において検出する能力を称する。
用語“ハイブリッド化”とは、第1のポリヌクレオチドが低緊縮条件下において少なくとも1種の第2のヌクレオチドと少なくとも1個の水素結合を形成する能力を称する。
【0005】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、添付図面および以下の説明を参照することによって、さらに良好に理解し得るであろう。添付図面中の各構成要素は必ずしも尺度合わせしていなく、また、分子またはその相互作用を正確に示すものではないが、代りに、本発明の原理を例証することに重点を置いている。
2002年5月10日に出願され、“Simple catalytic DNA biosensors for ions based on color changes”と題する関連出願の米国特許出願第10/144,679号においては、1つの局面において、加熱を使用して凝集物の分析物触媒性解離を促進させる比色分析センサーを開示している。この従来のセンサー系においては、サンプルをDNAザイム/基質/粒子凝集物に混合している。その後、混合物を加熱して、サンプルが選択した分析物を含む場合に、凝集物の解離を生じさせている。
本発明は、DNA-RNAザイム/基質/粒子凝集物への侵襲性DNAの添加により、上記凝集物の解離が加熱なしで促進され得るという発見を使用する。この方法において、選択した分析物に応答しての所望の色変化を室温において受け、それによって、米国特許出願第10/144,679号に開示されたセンサー系の欠点を克服するライトアップ(light-up)比色分析センサーを提供する。
図1は、サンプル102 (図示せず)中の分析物105の存在および必要に応じての該分析物の濃度を測定する比色分析方法100を示す。110において、方法100によりその存在/濃度を測定する分析物105を選択する。
1つの局面においては、分析物105は、以下でさらに説明するように、開裂反応において共同因子として作用し得る任意のイオンであり得る。+1形式酸化状態(I)(+1 formal oxidation state (I))を有する好ましい1価の金属イオンとしては、Li(I)、Tl(I)およびAg(I)がある。+2形式酸化状態(II)を有する好ましい2価の金属イオンとしては、Mg(II)、Ca(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)、Zn(II)、Cd(II)、Cu(II)、Pb(II)、Hg(II)、Pt(II)、Ra(II)、Sr(II)、Ni(II)およびBa(II)がある。+3(III)、+4(IV)、+5(V)または+6(VI)の形式酸化状態を有する好ましい3価以上の金属イオンとしては、Co(III)、Cr(III)、Ce(IV)、As(V)、U(VI)、Cr(VI)、およびランタノイドイオンがある。より好ましい分析物イオンとしては、これらのイオンの生活生物体に対する毒性故の、Ag(I)、Pb(II)、Hg(II)、U(VI)およびCr(VI)がある。現時点において、とりわけ好ましい分析物イオンは、Pb(II)である。
【0006】
分析物105を110で選択した時点で、120において、定向進化法(directed evolution)122を実施して、分析物の存在下に基質開裂を触媒作用し得るDNAザイム124またはRNAザイム126のような核酸酵素を分離し得る。定向進化法122は、好ましくは、分子をその他の構成成分と相互作用する能力に基づいて選択する生体外選択方法の1つのタイプである。定向進化法122の手順は、選択した分析物105の存在下に基質開裂の増強を示すDNA-RNAザイムが得られるように選定し得る(それによって、センサー感度が得られる)。また、上記手順は、選択した分析物の存在下で開裂示すがサンプル102中に存在する選択していない分析物および/または他の種の存在下でも開裂をさらに示すDNA-RNAザイムを除外するようにも選定し得る(それによって、センサー感度が得られる)。
定向進化法122は、所望の感度と選択性を有する所望の分析物の存在下に基質の開裂を触媒作用する核酸酵素を得る任意の選択定番法である。1つの局面においては、定向進化法122は、大収集量の、各々が種々の塩基変異体を有するストランド(例えば、1016配列変異体)を含むDNAライブラリーによって開始し得る。ホスホラミダイト(phosphoramidite)化学を使用してストランドを産生させ得る。その後、DNAライブラリーを、分析物に結合するストランドについてスクリーニングする。これらのストランドを分離し、PCRによるようにして増幅させる。その後、増幅ストランドを変異体化して変異を再導入する。次いで、これらのストランドを、分析物により効率的に結合するストランドについてスクリーニングし得る。選択、増幅および変異体シークエンスを、選択に必要な結合効率量を増大させながら繰返しことによって、分析物により効率的に結合し、それよってより高い感度を与えるストランドを産生させ得る。
1つの局面においては、生体外選択および進化と称する方法を使用して定向進化法122を実施し得る。この方法に関する詳細は、Breaker, R. R., Joyce, G. F., “A DNA enzyme with Mg2+-dependent RNA phosphoesterase activity.,” Chem. Biol. 1995, 2:655-660;およびJing Li, et al., “In Vitro Selection and Characterization of a Highly Efficient Zn(II)-dependent RNA-cleaving Deoxyribozyme.,” Nucleic Acids Res. 28, 481-488 (2000)において見出し得る。
【0007】
もう1つの局面においては、特異的分析物に対するより高い選択性を有する核酸酵素は、定向進化法122に陰性選択法を導入することによって得ることができる。分析物に対する高選択性を有するストランドを選択した後、同様な選択、増幅および変異シークエンスを応用するが、選択するには、ストランドは、密接に関連する分析物に結合してはならない。
例えば、Pb(II)に特異的に結合するが、Mg(II)、Ca(II)、Co(II)または他の拮抗性金属イオンには特異的に結合しないDNAザイムを選択し得る。1つの局面においては、この選択を、Pb(II)に結合するDNAザイムを分離し、次いで、Mg(II)、Ca(II)またはCo(II)に結合するあらゆるDNAザイムを除去することによって達成し得る。もう1つの局面においては、Mg(II)、Ca(II)またはCo(II)に結合するDNAザイムを先ず廃棄し、次いで、Pb(II)に結合するDNAザイムを分離する。この方法において、DNAザイムの選択性を増強させ得る。DNAザイム選択性を増強させる方法に関する詳細は、Bruesehoff, P.J., et al., “Improving Metal Ion Specificity During In Vitro Selection of Catalytic DNA,” Combinatorial Chemistry and High Throughput Screening, 5, 327-355 (2002)において見出し得る。
【0008】
DNA-RNAザイム124、126は、共同因子の存在下に、加水分解性開裂のような化学反応を触媒作用する能力を有する核酸酵素である。DNAザイム124はデオキシリボヌクレオチドを含み、一方、RNAザイム126はリボヌクレオチドを含む。DNA-RNAザイム124126を構成するヌクレオチドは、天然、非天然または修飾核酸であり得る。また、ポリアミド主鎖とヌクレオシド塩基を含むペプチド核酸(PNA)(例えば、マサチューセッツ州ベッドフォードのBiosearch社から入手し得る)も有用であり得る。
下記の表は、特異的分析物、該分析物を開裂共同因子として利用する相応の核酸酵素配列を見出し得る添付図面、並びに各核酸酵素配列が記載されている文献(1以上)を記載している。図10A〜10Dおよび10Gは、+2形式酸化状態を有する金属イオンに対して特異性であるトランス-作用性核酸酵素を示している。図10K〜10Lは、これも適切な核酸酵素として作用し得るトランス-作用性核酸酵素を示している。図10E〜10Fおよび10H〜10Jは、+2形式酸化状態を有する金属イオンに対して特異性であるシス-作用性核酸酵素を示している。図10M〜10Sは、これも適切な核酸酵素として作用し得るシス-作用性核酸酵素を示している。好ましくは、シス-作用性核酸酵素を、酵素10M〜10Qの右側に存在するGAAAループを開裂させることによるようにして、2本のストランド(切断型)に切断して、触媒系を得ることができる。任意のこれらおよび他の核酸配列を、DNA-RNAザイム124、126として使用するのに適合させ得る。トランス-およびシス-作用性酵素は、さらに図2Aに関連して説明する。

































【0009】








【0010】
DNAザイムとRNAザイムは、共に、下記で説明する基質134のようなDNA系基質と二本鎖(duplex)を形成し得るものの、RNAザイム/基質二本鎖の方が、DNAザイム/基質二本鎖よりも低安定であり得る。さらに、DNAザイムは、そのRNAザイム対応物よりも合成するのが容易であり且つ堅牢である。
DNA124および相補性基質ストランド134のデオキシリボヌクレオチドは、これらの相応するリボヌクレオチドで置換し、それによってRNAザイム126を得ることができる。例えば、1個以上のリボシトシンでシトシンを置換し得、1個以上のリボグアニンでグアニンを置換し得、1個以上のリボアデノシンでアデノシンを置換し得、1個以上のウラシルでチミジンを置換し得る。この方法において、DNA塩基、RNA塩基またはその双方を含む核酸酵素を、個々に、DNA塩基、RNA塩基またはその双方を含む相補性基質ストランドとハイブリッド化させ得る。
120において適切な核酸酵素(1種以上)を選択した後、凝集物132を130において形成させ得る。凝集物132は、上記核酸酵素;基質134;およびオリゴヌクレオチド官能化粒子136を含む。その構成成分の物理的サイズを考慮すれば、凝集物132は、全く大きくあり得る。事実、透過電子顕微鏡(TEM)試験は、個々の凝集物が100nm〜1ミクロンの範囲にあり得、凝塊化してより大きめの構造体を形成し得ることを示唆している。
基質134は、分析物105の存在下の上記核酸酵素とハイブリッド化し得、また、上記核酸酵素によって開裂し得る任意のオリゴヌクレオチドであり得る。該オリゴヌクレオチドは、上記核酸酵素による上記基質の2つのフラグメントへの開裂を可能にする開裂種によって修飾し得る。1つの局面においては、基質134は、上記核酸酵素に対して相補性のストランドであり、延長させて各末端上に12量体オーバーハングを形成させ、オリゴヌクレオチド官能化粒子136とハイブリッド化させ得る。例えば、オリゴヌクレオチド官能化粒子が5'-CACGAGTTGACAの塩基配列を有する場合、基質における適切なオーバーハング配列は、3'-GTGCTCAACTGTであり得る。
【0011】
粒子136は距離依存性光学特性を示すので、該粒子は、凝集物132に緊密に保持されている場合は1つの色であり、粒子間の距離が増大したとき色変化を受ける。例えば、粒子136が金ナノ粒子である場合、凝集物132は水溶液中では青色を呈し、この色は、解離が進行するにつれて赤色に変化する。解離は、官能化粒子136を一緒に保持している基質134を開裂させたときに生じ、それによって粒子を凝集物132から分離せしめる。粒子136が凝集物132から離散するにつれ、溶液は、青から赤に変化する。
粒子136は、距離依存性光学特性を示し且つ当該センサー系の操作と適合し得る任意の種であり得る。適切な粒子としては、金、銀、銅および白金のような金属;CdSe、CdS、およびZnSでコーティーングしたCdSまたはCdSeのような半導体;および、Josephson, Lee, et al., Angewandte Chemie, International Edition (2001), 40(17), 3204-3206に記載されている材料のような磁性コロイド状材料があり得る。特定の有用な粒子としては、ZnS、ZnO、TiO2、AgI、AgBr、HgI2、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In2S3、In2Se3、Cd3P2、Cd3As2、InAsおよびGaAsがあり得る。
好ましい局面においては、上記粒子は、金(Au)ナノ粒子であり、5〜70ナノメートル(nm)または10〜50nmの平均直径を有する。現時点におけるとりわけ好ましい局面においては、10〜15nmの平均直径を有する金ナノ粒子をオリゴヌクレオチドに対して官能化させる。
金官能化オリゴヌクレオチドを調製するためのさらに詳細な処理については、米国特許第6,361,944号;Mirkin, et al., Nature (London) 1996, 382, 607-609;Storhoff, et al., J. Am. Chem. Soc. 1998, 20, 1959-1064;およびStorhoff, et al., Chem. Rev. (Washington, D. C.) 1999, 99, 1849-1862を参照されたい。金ナノ粒子が現在のところ好ましいが、距離依存性色変化を受ける染料、無機結晶体、量子ドット等のような他のフルオロフォアもオリゴヌクレオチドに結合させて使用し得る。
【0012】
140において、130からの凝集物132を、サンプル102および侵襲性DNA144と結合させ得る。150において、サンプル102を色変化についてモニターする。色変化が生じなかった場合、分析物105は、サンプル102中に存在しない。色変化が160において生じた場合、分析物105は、サンプル102中に存在する。即ち、当該分析方法100は、色変化が分析物105の存在下に生じるので、“ライトアップ”センサー系を提供する。
上記色変化は、分析物105が、オリゴヌクレオチド官能化粒子136とハイブリッド化している基質134の開裂を触媒作用する適切な共同因子であることを意味する。この開裂は、基質134を2つのフラグメントに分割し、それによって粒子136を凝集物132からサンプル102の溶液中に離散させるものと信じている。基質134のこの開裂は室温で進行すると信じられるが、基質の各開裂部分を形成する9個の塩基対の有意の部分は核酸酵素とハイブリッド化したままであることが教示されている。従って、解離が生じるためには、このハイブリッド形成を破壊することが好ましい。
侵襲性DNA144は、凝集物132を“侵襲”し、開裂基質フラグメントの放出を助長するものと信じている。何ら特定の理論によって拘束することは望まないけれども、平衡力により、基質134の開裂部分の部位に対する拮抗が上記核酸酵素と侵襲性DNA144との間に生じるものと信じている。この平衡は基質134と侵襲性DNA144とのハイブリッド化に有利に作用するので、基質134の開裂部分は、核酸酵素から引離され、それによって解離を促進させる。基質134の開裂部分が侵襲性DNA144とハイブリッド化するとき、結合粒子136は、凝集物132から離散し、所望の色変化をもたらす。用語“侵襲性DNA”を本明細書および特許請求の範囲の全体に亘って一貫して使用しているけれども、基質134がリボヌクレオチドを含む場合、侵襲性DNA144もリボヌクレオチドを含み得る。
【0013】
侵襲性DNA144は、基質134の開裂フラグメントに対して少なくとも部分的に相補性である任意のオリゴヌクレオチドであり得るけれども、好ましくは、侵襲性DNA144は、比較的短いDNA片を含む。1つの局面においては、侵襲性DNA144は、各々が2つの開裂基質フラグメントの1つに対して少なくとも部分的に相補性である少なくとも2つのタイプのDNAストランドを含む。もう1つの局面においては、開裂基質フラグメントの各々の少なくとも1個の末端塩基は、侵襲性DNAストランドの各々の少なくとも1個の末端塩基に対して相補性である。さらにもう1つの局面においては、侵襲性DNA144は、各々が2つの開裂基質フラグメントの1つに対して十分に相補性である少なくとも2つのタイプのDNAストランドを含む。さらにもう1つの局面においては、侵襲性DNA144は、2〜10個または4〜8個(2、4、6または8個のような)少ない、相応する開裂基質フラグメントとハイブリッド化し得る塩基を有する。現時点においては、とりわけ好ましい侵襲性DNAストランドは、相応する開裂基質フラグメントよりも6個少ない相補性塩基を有する。
分析物105に応答しての色変化の度合は、170において、当業者にとって既知の比色分析定量法によって定量し得る。コロラド州ラブランドのHach社またはメリーランド州テェスタータウンのLaMotte社から入手し得るホイールのような各種の比色系ホイールを本発明における使用に適合させ得る。既知量の選択分析物を含有する標準サンプルを、試験サンプルに加えて分析して比較の精度を向上させ得る。高めの精度を所望する場合、種々のタイプの分光光度計を使用して、所望濃度範囲におけるビアー(Beer's)曲線をプロットし得る。その後、試験サンプルの色を、測定した試験サンプル中に存在する分析物の曲線および濃度と比較し得る、適切な分光光度計としては、Hewlett-Packard 8453およびBausch & Lomb Spec-20がある。
【0014】
さらにもう1つの局面においては、方法100は、分析物105を検出するための核酸酵素のようなエンドヌクレアーゼの感度および選択性を判定するように修正し得る。この局面においては、凝集物を、130において、基質134と粒子136から、DNA-RNAザイム124,126を含ませないで調製する。この凝集物を、140において、興味ある分析物および侵襲性DNAと結合させる。その後、定向進化法122によって産生させたもののようなエンドヌクレアーゼを添加する。該エンドヌクレアーゼが分析物105の存在下に所望の感度および選択性でもって基質134を開裂し得る場合、該エンドヌクレアーゼは、比色分析センサー系において分析物105について分析するのに使用し得る。この局面においては、上記エンドヌクレアーゼまたは核酸酵素も分析物とみなし得る。この方法において、定向進化法122により産生させた複数のエンドヌクレアーゼを、比色分析センサー系における使用について試験し得る。
図2Aは、共同因子としてのPb(II)に依存して触媒活性を示すDNAザイム224を示している。各塩基対から理解し得るように、DNAザイム224は、リボ-アデノシン235のような開裂種を含む相補性基質ストランド234にハイブリッド化し得る。リボ-アデノシン235開裂種を除いて、図示した相補性基質ストランド234は、デオキシリボヌクレオシドから形成されている。DNAザイムおよび相補性基質ストランドにおいて1つの塩基配列を示しているけれども、各塩基を双方のストランドにおいて変更してもその対合を維持し得る。例えば、いずれかのストランド上の任意のCは、対合塩基をGからAに変更する限り、Tに変更し得る。
DNAザイム224および相補性基質ストランド234の塩基対合領域は、十分な塩基が存在して基質の所望の開裂を維持する限りは、延長または切断し得る。酵素および基質に対する多くの修飾が可能であるが、酵素の触媒性コア領域に対してなされた修飾は、酵素の触媒有効性および分析物特異性に対して有意の効果を有し得る。そのような修飾および触媒活性に対して得られる効果のさらに詳細な説明は、Brown, A., et al., “A Lead-dependent DNAzyme with a Two-Step Mechanism,” Biochemistry, 42, 7152-7161 (2003)において見出し得る。
【0015】
リボ-アデノシン(rA)235は開裂部位237を与え、この部位において、DNAザイム224は、図2Bに示すように、共同因子の存在下に基質234を加水分解的に開裂させるものと信じている。この開裂反応は、図2Bに示すように、3'および5'フラグメントに分割される基質234を生じる。リボ-アデノシン235以外に、これもDNAザイム224のようなDNAザイムと一緒に使用する開裂種としては、リボ-シトシン(rC)、リボ-グアニン(rG)およびウラシル(U)があり得る。同様に、核酸酵素がRNAザイムである場合(図示していない)、適切な開裂種としては、この場合も、rA、rC、rGおよびUがあり得る。
DNAザイム224と相補性基質ストランド234は、図2Aに示すように、別個のストランドであり得、或いは上記DNAザイムと上記基質は、同じ核酸ストランドの1部であり得る。上記DNAザイムと上記相補性基質が異なる核酸ストランドである場合、上記DNAザイムは、“トランス-作用性酵素”と称し得る。トランス-作用性酵素は、複数の相補性基質を開裂し得るという利点を有する。上記DNAザイムと上記相補性基質が、例えば、図10Eに示しているような同じ核酸ストランドの1部である場合、上記DNAザイムは、“シス-作用性酵素”と称し得る。
図3Aは、Pb(II)分析物305および侵襲性DNA344の存在下での凝集物332の解離を示している。凝集物332は、3'および5'チオール-オリゴヌクレオチド官能化粒子336および337にそれぞれハイブリッド化しているDNAザイム324および基質ストランド334から形成されている。基質ストランド334は、3'-および5'-末端の双方において12個の塩基で延長されて、12量体DNA官能化粒子336、337とのハイブリッド化を可能にしていた。DNAザイム324の触媒性コアは、Pb(II)カチオンの存在下に高活性を示す“8〜17”DNAザイムモチーフを含む。
【0016】
侵襲性DNA344は、3'ストランド387および5'ストランド386を含む。分析物305並びに侵襲性ストランド386および387の存在下において、青色凝集物332は、解離し始めて部分的凝集物390を形成する。この部分的解離は、粒子が凝集物332から離散するにつれ、青色溶液に赤色が加わり、それによって紫色溶液を生じる。十分量の分析物305がサンプル中に存在する場合、反応は、凝集物332が完全に解離して395を生じるまで続く。これによって、ナノ粒子間のより大きい距離故の赤色溶液を生じさせる。
粒子相互のアラインメント(尾部-尾部または頭部-尾部)は、凝集物を形成する成分が如何に緊密に一緒に結合するかに影響を与え得る。図3Aおよび3Bは、凝集物332をDNAザイム324および基質ストランド344から形成させて、336および337のような官能化粒子が尾部-尾部(図3B)配列で基質ストランド344とハイブリッド化し得ることを示している。尾部-尾部または頭部-尾部(図3C)ハイブリッド化は、粒子を結合させるオリゴヌクレオチドの末端を逆にすることによって選定し得る。即ち、頭部-尾部アラインメントは、337のような単一チオール修飾DNAストランドの使用により選定し得、一方、尾部-尾部アラインメントにおいては、3'-および5'-チオール修飾DNAストランドの双方を粒子にカップリングさせ得る。
現在のところ、図3Aおよび3Bの尾部-尾部ハイブリッド化配列の方が、図3Cの頭部-尾部ハイブリッド化配列はDNAザイムの触媒活性を立体的に妨げる凝集物を生成し得るので好ましい。しかしながら、この立体障害は、例えば、粒子の平均直径を小さくすることにより或いは長めの基質を使用することにより減じ得る。
【0017】
サンプルのイオン強度は、凝集物を形成する成分が如何に緊密に一緒に結合するかに影響を与え得る。高めの塩濃度は凝集に有利に作用し、従って、センサー応答を示すが、低めの塩濃度は、凝集物を維持するのに必要なイオン強度を欠如し得る。1つの局面においては、サンプルは、30mM以上の1価金属イオン濃度を含み得、或いはそのような1価金属イオン濃度を含ませるように試薬によって改変し得る。サンプルのイオン強度は、例えば、Na+イオンにより改変し得る。好ましい局面においては、凝集物を含有するサンプルの1価金属イオン濃度は、28〜40mMである。現時点においてが、とりわけ好ましい1価金属イオン濃度は、約30mMである。また、pHも、おそらくは低pHでのポリヌクレオチド塩基対のプロトン化に起因して、凝集物結合性に影響を与え得る。1つの局面においては、およそ中性のpHが好ましい。
即ち、センサーの性能は、サンプルを凝集物と結合させる前に、サンプルのイオン強度およびpHを調整することによって改良し得る。サンプルによるが、サンプルまたは分析物を、凝集物を含有する溶液(イオン強度およびpHを調整し得る)に添加すること或いはその逆が好ましい。
上記基質、オリゴヌクレオチド官能化粒子および侵襲性DNAを含むセンサー系は、キットの形で提供し得る。1つの局面においては、キットは、基質に対して少なくとも部分的に相補性である所望の分析物特異性エンドヌクレアーゼまたは核酸酵素を含む。もう1つの局面においては、キットはエンドヌクレアーゼ/核酸酵素を除外し、その場合、エンドヌクレアーゼ/核酸酵素は使用者が調製するか或いは別途提供する。この局面においては、キットは、選択した分析物に対する種々のエンドヌクレアーゼの特異性および/または選択性を判定するのにも使用し得る。即ち、キットは、分析物の検出に加え、適切なエンドヌクレアーゼを選択するのにも使用し得る。さらにもう1つの局面においては、キットは、DNAザイム、相補性基質、オリゴヌクレオチド官能化粒子および侵襲性DNAを入れる外部パッケージを含む。
これらの成分の1以上を個々の容器に別々にしてもよく、或いはこれらの成分をその凝集状態で提供してもよい。別々にする場合、凝集物は、サンプルを導入する前に調製し得る。侵襲性DNAは、別個の容器中で保持し得、凝集物との結合前にサンプルに添加するようにし得る。さらに、緩衝液および/またはpH改良剤もキット中で提供してサンプルのイオン強度およびpHを調整し得る。
【0018】
容器は、部分的にまたは全体的にプラスチック、ガラス、紙、ホイル、MYLARR、ワックス等から形成し得るボトル、小型容器、小袋、封筒、チューブ、アンプル等の形状であり得る。容器は、当初は容器の1部であり得るか或いは機械的、接着または他の手段により容器に取付け得る全体的にまたは部分的に脱着可能な蓋を備え得る。また、容器は、シリンジ針による内容物へのアクセスを可能にするストッパーを備え得る。1つの局面においては、外部パッケージは紙またはプラスチックから製造し得、一方、容器はガラスアンプルである。
外部パッケージは、各構成成分の使用に関する使用説明書を含み得る。また、比色計;分析物の10μm溶液のような標準分析物溶液;並びに、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート、試験管およびキュベットのような目視助材も含ませ得る。取外して混合を可能にする膜によって分離された2以上のコンパートメントを有する容器も含ませ得る。また、外部パッケージは、分析用のサンプルの調製を可能にするフィルターおよび希釈用試薬を含み得る。
もう1つの局面においては、本発明のセンサー系以外に、キットは、分析物測定の信頼度をさらに高めるための、また、使用者誤操作の可能性を減じるための複数のセンサー系も含ませ得る。1つの局面においては、本発明に従う複数のライトアップセンサー系を含ませ得る。もう1つの局面においては、“ライトダウン(light-down)”センサー系を、本発明のライトアップセンサー系と一緒に含ませ得る。
【0019】
本発明で特許請求しているセンサー系は、色変化(青色から赤色へ)が分析物の存在下に生じるので、ライトアップセンサーとみなし得る。逆に、ライトダウンセンサー系においては、色変化は、分析物の存在下において観測されない。即ち、ライトアップ系が、分析物が存在しないときに、ライトアップにより偽結果を示し得るのに対し、ライトダウンセンサー系は、分析物が存在するとき、色変化を受けない。ライトダウン化学を使用するセンサー系を本発明で特許請求しているライトアップセンサーと組合せることにより、不正確な分析物測定の可能性を減じ得る。
本発明で特許請求しているキットに含ませるための適切なライトダウンセンサーは、選択した分析物の存在下で形成されないDNAザイム/基質/粒子凝集物に依存し得る。即ち、これらのセンサーにおいては、凝集物形成による色変化は、選択した分析物がサンプル中に存在しないときに観測される。1つの局面においては、これらのライトダウンセンサーは、約43nmの平均直径を有するナノ粒子と結合させた尾部-尾部粒子配列に依存して、分析物の不存在下に室温で凝集を生じさせ得る。本発明で特許請求するキットに含ませるための適切な、ライトダウンセンサー系のさらに詳細な説明は、例えば、2004年1月13日に出願され、“Biosensors Based on Directed Assembly of Particles”と題する米国特許出願第10/756,825号において見出される;該米国特許出願は、参考として本明細書に合体させる。
上記の説明は、本発明の範囲を説明した好ましい実施態様に限定するものではなくて、むしろ当業者が本発明を実施し使用することを意図する。同様に、以下の実施例も、特許請求の範囲またはその等価物を限定するものとして解釈すべきでなく、単なる例として提示する。多くの変更が下記の手順に対してなされ得、これらの変更は、特許請求の範囲およびその等価物に属するものと理解すべきである。
【0020】
(実施例)
DNAサンプルは、全て、アイオワ州コーラルビルのIntegrated DNA Technology社から購入した。基質およびDNAザイムの酵素部分は、使用前に、HPLCによって精製した。13nmの平均直径を有する金ナノ粒子を製造し、例えば、Storhoff, J., et al., “One-pot colorimetric differentiation of polynucleotides with single base imperfections using gold particle probes,” JACS 120: 1959-1964 (1998)に開示されている手法のような文献手法に従い、12量体チオール修飾DNAにより官能化した。金ナノ粒子の平均直径は、透過型電子顕微鏡(JEOL 2010)により検証した。
【0021】
実施例1
青色凝集物の調製
酵素(17E、400nM)、基質(35SubAu、100nM)、3´DNAAu (6nM)および5´DNAAu (6nM)を、25mM Tris酢酸緩衝液、pH 8.2、300mM NaClと混合した。混合物(通常、1mL容量で)を65℃に3分間加熱し、室温におよそ4時間でゆっくり冷却させた。青色ナノ粒子凝集物が生じ、沈降した。必要に応じて、凝集物を卓上遠心分離機によりさらに沈降させて、上清を除去した。沈降凝集物を、100mM NaClおよび25mM tris酢酸を含有する緩衝液(pH 8.2)で3回洗浄し、200μLの新鮮25mM tris酢酸緩衝液(100mM NaClを含む)中に再分散させた。
この未希釈混合物中の凝集物濃度を、10μLの上記凝集物含有混合物を80μLの脱イオン水に添加して凝集物を分散させることによって標準化した。その後、この9倍希釈混合物の消光を522nmで測定した。この測定から、522nmで1の消光値を得るのに必要な緩衝溶液の量を未希釈混合物について算出した。その後、100mMのNaClを含有する緩衝液の適切量を未希釈混合物に添加した。この方法において、緩衝溶液中の凝集物濃度を、解離したとき、混合物が522nmで9倍希釈後に~9または~1の消光をもたらすように調整した。
5'DNAAu (SEQ ID NO:4)および 3'DNAAu (SEQ ID NO:5)オリゴヌクレオチド官能化金ナノ粒子にハイブリッド化させた17E DNAザイム (SEQ ID NO:1)および12個塩基35SubAu (SEQ ID NO:3;rは1個のリボンヌクレオチドを示す)により各末端において延長した17DS基質(SEQ ID NO:2;rは1個のリボンヌクレオチドを示す)の各配列を下記の表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
実施例2
分析物および侵襲性DNAの添加
21mMのNaCl、25mMのtirs酢酸塩(pH 8.2)、2.25μMの侵襲性DNA、および試験サンプル中で所望するよりも12.5%高い濃度のPb(OAc)2を含む80μLの溶液を、実施例1からの凝集物を含有する10μLの100mM NaCl溶液と混合した。得られた試験サンプルは、30mM NaCl、2 μM 侵襲性DNAおよび所望Pb(II)濃度の濃度を有していた。溶液の色変化を、約5分後、〜22℃で判定した。
【0024】
実施例3
センサー性能のモニタリング
実施例2からのサンプルの色変化をUV-vis消光分光測定によってモニターした。図4は、解離中のサンプルから特定波長で得られた消光比に関するグラフである。図4における点線は、分離した13nmのナノ粒子が示す、深赤色を呈する522nmでの強い消光ピークを示している。図4における実線から理解し得るように、凝集時においては、522nmピークは、強度的に低下し、より長めの波長へシフトしているが、700nm領域での消光は増大し、赤色-青色変化をもたらしている。従って、522〜700nmでの高めの消光比は、分離ナノ粒子の赤色に関連し、一方、低消光比は、凝集ナノ粒子の青色に関連している。この消光比を使用してナノ粒子の凝集状態をモニターした。
図5Aは、侵襲性DNA (Inva)およびPb(II)を含有するサンプル(○)、侵襲性DNA (Inva)を含有するがPB(II)を含まないサンプル(▲)、およびPb(II)を含有するが侵襲性DNAを含まない対照サンプル(■)における経時的消光比の変化を示すグラフである。図5Bは、Inva-AストランドをInvaストランドの代りに使用した同様なグラフである。消光比は、侵襲性DNA/Pb(II)サンプルにおいて時間と共に急速に増大し、青から赤への急速色変化およびPb(II)分析物の存在を示していた。しかしながら、侵襲性DNAのみのサンプルにおいては、青から赤への色変化は、消光比の遅い増大によって示される遅い速度で生じていた。この試験により、望ましくない色変化がInvaまたはInva-Aのいずれかの侵襲性DNAストランド単独により生じ得ることを確証した。即ち、“侵襲性”過ぎるDNAは、分析物(共同因子)なしで凝集物の解離をもたらし得、色変化の偽陽性または望ましくない背景値を生じ得る。侵襲性DNAおよびPb(II)を含まない対照は、消光比の極めて遅い増大を示し、色変化を殆ど示さなかった。
これらの試験は、分析物を検出するに当ってのセンサー系の有用性を実証したが、侵襲性DNAの適切な侵襲性の選定が、背景色変化を減じ且つ偽陽性を生じる性向を減じたセンサーを提供し得ることを示唆していた。
【0025】
実施例4
侵襲性DNAの侵襲性の純化
侵襲性の低いDNAを見出すために、減少数の塩基対合を有しDNA基質の開裂フラグメントを含む1連の侵襲性DNAストランドを以下のようにして試験した。合成石英UV-vis分光光度計セル(ドイツのHellma社)を、ブランクとして、60.3μLの25mM tris酢酸(pH 8.2)、17μLの100mM NaCl-25mM tris酢酸(pH 8.2)、1.8μLの0.1mM 侵襲性DNAおよび1μLの1mM Pb(OAc)2を混合することによって準備した。ベースライン測定後、10μLの実施例1からの凝集物混合物をセルに添加した。この添加により、各DNAストランドにおいて、30mMの最終NaCl濃度および2μMの最終侵襲性DNA濃度を得た。最終Pb(II)濃度は、10μMであった。Pb(II)分析物を含まないサンプルも、60.3μLの代りに61.3μLの25mM tris酢酸(pH 8.2)緩衝液を添加してサンプル容量を構築した以外は、同様にして調製した。
上記で該略したようにして調製した好ましい塩基対合低減侵襲性DNAストランドは、下記の表2に、Inva-2 (SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:9,、それぞれ、左から右)、Inva-4 (SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:11)、Inva-6 (SEQ ID NO:12およびSEQ ID NO:13)、およびInva-8 (SEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:15)として記載している。Invaは、図5Aにおけるデータを生じるように使用した22量体侵襲性DNAストランド(SEQ ID NO:6およびSEQ ID NO:7)を称する。好ましい配列の基礎をなす初期Invaストランドは、基質の開裂フラグメントに対して完全相補性である。
【0026】
【表2】

【0027】
試験したさらなる塩基対合低減侵襲性ストランドは、下記の表3に、Inva-2A (SEQ ID NO:18およびSEQ ID NO:19、それぞれ、左から右)、Inva-4A (SEQ ID NO:20およびSEQ ID NO:21)、Inva-6A (SEQ ID NO:22およびSEQ ID NO:23)、およびInva-8A (SEQ ID NO:24およびSEQ ID NO:25)として記載している。Inva Aは、実施例3において使用し図5Bにおけるデータを生じさせるための23および21量体侵襲性DNAストランド(SEQ ID NO:16およびSEQ ID NO:17)を称する。上記さらなる配列の基礎をなす初期Inva-Aストランドは、基質の各開裂フラグメントに対し部分的に相補性であり、各ストランドは1個の塩基によって“オフセット”である。即ち、23量体侵襲性Inva-Aストランドは1個の“余分”な塩基を含むのに対し、21量体侵襲性Inva-Aストランドは、開裂基質フラグメントよりも1個少ない塩基を含む。この方法において、“不整合”を侵襲性Inva-Aストランドと開裂基質フラグメント間に生じさせる。
【0028】
【表3】

【0029】
図6Aおよび6Bは、Pb(II)分析物を含むまたは含まない短縮された(原InvaまたはInva-Aストランドに対して)侵襲性DNAストランドの各々における、時間の関数としての消光比の変化をプロットしたグラフである。各ストランドが短縮し、基質の開裂部分を含む塩基対合数が減少するにつれて、Pb(II)分析物の不存在下での色変化速度は低下していた。色変化の速度は、同じ侵襲性DNAにおいては、Pb(II)分析物の存在下において常に速く、従って、分析物を検出するセンサーの能力が確証された。
好ましいInva DNA配列は、開裂基質の2つのフラグメントの各々に対して完全に相補性であり、一方、さらなるInva-A DNA配列は、部分的に相補性であり、1個の塩基により不整合型である。完全相補性Invaストランドまたは不整合型Inva-Aストランドにおいて塩基対合数を減少させることにより、DNAの全体的侵襲性は低下し、分析物不存在下で背景色変化レベルの望ましい低下がもたらされるものの、塩基低減Inva-6ストランドは、分析物の存在下において迅速な解離速度を維持していた。
即ち、基質の開裂部分よりも6個少ない塩基を有するInva-6ストランドを、分析物に応答しての色変化の速度と侵襲性DNA単独解離に起因する背景色変化レベル間の最良の妥協物として選択した。これらの理由により、Inva-6ストランドを使用してセンサーの感度および選択性を試験した。
何ら特定の理論によって拘束することは望まないが、相補性塩基対合数は、侵襲性に対しより大きな効果(熱力学的制御)を有し;一方、解離速度は、開裂基質フラグメントの各末端の侵襲性DNAストランドと初期にハイブリッド化する能力(動的制御)により強く依存しているものと信じている。侵襲性DNAのこれらのパラメーターを改変することにより、背景レベルおよび色変化速度は、特定のDNA-RNAザイムおよび/または分析物において最適にし得る。
侵襲性DNAストランドの塩基数を開裂基質フラグメントと対比して減少させることによって相補性を低下させること以外に、他の相補性低下方法も使用し得る。例えば、侵襲性DNAストランドは、開裂基質フラグメントの塩基と有効にはハイブリッド化しない塩基を含み得る。もう1つの局面においては、基質と侵襲性DNAを集合させる塩基を、他の塩基対と対比して弱くハイブリッド化するように選定する。また、当業者にとって既知であるような、開裂基質フラグメントと侵襲性DNAストランド間のハイブリッド化強度の他の低下方法も使用し得る。
【0030】
実施例5
センサーの選択性および感度の確認
合成石英UV-vis分光光度計セル(ドイツのHellma社)内で、60.3μLの25mM tris酢酸(pH 8.2)、17μLの100mM NaCl-25mM tris酢酸(pH 8.2)、1.8μLの0.1mM Inva-6侵襲性DNAおよび1μLの金属塩含有0.5mM溶液を混合した。以下の金属塩を含む各サンプルを調製した:Pb(OAc)2、CoCl2、ZnCl2、CdCl2、NiCl2、CuCl2、MgCl2、およびCaCl2。ベースライン測定後、10μLの実施例1からの凝集物混合物を各セルに添加した。この添加により、30mMの最終NaCl濃度、各DNAストランドにおける2μMの最終Inva-6侵襲性DNA濃度、および各試験金属における5μMの最終金属イオン濃度を得た。完全分散後、522nmでの消光は、〜1であった。
各金属イオンにおける分散速度を、Hewlett-Packard 8453分光光度計を使用して時間の関数としてモニターした。図7Aは、時間の関数としてプロットした522および700nmでの消光比を示すグラグである。各プロットから理解し得るように、Pb(II)のみが時間の関数としての消光比の有意の増大を示したが、他の金属イオンZn(II)、Co(II)、Cd(II)、Mg(II)、Cu(II)、Ni(II)およびCa(II)は、背景と一致した色変化を生じていた。従って、センサーの高選択性は、確認された。
図7Bは、凝集5分後の、センサー系の色変化において観測した消光比とPb(II)分析物の濃度間の相関を示すグラフである。センサー系の例外的な直線性は、約0.1〜約2μMから明白である。図7Cは、Inva-6による10分間に亘っての複数のPb(II)分析物濃度における消光比を示すグラフである。該グラフは、センサー系の種々の分析物濃度を数分以内で有効に識別する能力を実証している。即ち、センサー系の正確な定量的情報を提供する能力が確証された。
図7Bの機器による方法以外に、当該センサーによって発色させた色は、センサー溶液をアルミナTLCプレート上に点滴することによっても好都合に観測された。青色から赤色への色進行は、Pb(II)の濃度が0から10μMに増大したときに観測された。他の金属イオンは、背景と同様な色を呈した。
【0031】
実施例6
センサーにおける好ましいイオン強度環境の測定
実施例1からの凝集物の急速分散を容易にするため、凝集物をNaCl含有緩衝液中に懸濁させて凝集物を安定化させ得る最低NaCl濃度を測定した。図8は、凝集物のNaCl依存安定性を示すグラフである。データは、Hewlett-Packard 8453分光光度計において獲得した。緩衝液は、20、25、30および40mMのNaCl濃度を有する25 mM Tris酢酸、pH 7.6であった。サンプル容器が96ウェルプレートの代りに石英UV-visセルであったため、消光比は、前の実施例において得られた値と異なっている。半時間以内で、凝集物は、NaCl濃度が約30mMおよびそれ以上であったときに安定であった。従って、30mM NaCl溶液を、センサー応答時間に対し実質的な悪影響を有しないで凝集物を安定化させる適切なイオン強度を有するものとして選定した。
実施例7
凝集物の特性決定
図9は、DNAザイム集合化13mm金ナノ粒子凝集物の透過電子顕微鏡(TEM)画像である。スケール棒は、200nmに相当する。この画像から、凝集物が実質的数の金ナノ粒子を含有することが明白である。
【0032】
当業者であれば、上記の説明、図面および実施例から、本発明の好ましい実施態様に対する修正および変更が、特許請求の範囲において定義した本発明の範囲およびその等価物から逸脱することなくなし得ることは、承知であろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】サンプル中の分析物の存在および必要に応じての分析物の濃度を測定する比色分析方法を示す。
【図2A】共同因子としてのPb(II)に依存して触媒活性を示すDNAザイムを示す。
【図2B】DNAザイムによるDNA系基質の開裂を示す。
【図3A】Pb(II)分析物および侵襲性DNAの存在下での凝集物の解離を示す。
【図3B】オリゴヌクレオチド官能化粒子によるDNA系基質の尾部-尾部ハイブリッド化を示す。
【図3C】オリゴヌクレオチド官能化粒子によるDNA系基質の頭部-尾部ハイブリッド化を示す。
【図4】凝集(実線)および解離(点線)金ナノ粒子によってサンプルから発出した光の波長に対する消光比に関するグラフである。
【図5A】侵襲性DNA (Inva)およびPb(II)を含有するサンプル(○)、侵襲性DNA (Inva)を含有するがPB(II)を含まないサンプル(▲)、およびPb(II)を含有するが侵襲性DNAを含まない対照サンプル(■)における経時的消光比の変化を示すグラフである。
【図5B】侵襲性DNA (Inva-A)およびPb(II)を含有するサンプル(○)、侵襲性DNA (Inva-A)を含有するがPb(II)を含まないサンプル(▲)、およびPb(II)を含有するが侵襲性DNAを含まない対照サンプル(■)における経時的消光比の変化を示すグラフである。
【図6A】Pb(II)分析物を含むまたは含まない短縮された(原Invaストランドに対して)好ましい侵襲性DNAストランドの各々における、時間の関数としての消光比の変化をプロットしたグラフである。
【図6B】Pb(II)分析物を含むまたは含まない短縮された(原Invaストランドに対して)別の侵襲性DNAストランドの各々における、時間の関数としての消光比の変化をプロットしたグラフである。
【図7A】複数の金属カチオンにおける時間の関数としてプロットした522および700nmでの消光比を示すグラグである。
【図7B】5分後の、センサー系の色変化において観測した消光比とPb(II)分析物の濃度間の相関を示すグラフである。
【図7C】Inva-6による10分間に亘っての複数のPb(II)分析物濃度における消光比を示すグラフである。
【図8】金ナノ粒子凝集物のNaCl依存安定性を示すグラフである。
【図9】DNAザイム集合化13mm金ナノ粒子凝集物のTEM画像写真である。
【図10A−10S】各々、触媒開裂反応における共同因子として特定の分析物を使用した核酸酵素を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸酵素;
第1のポリヌクレオチドを含む、前記核酸酵素に対する基質;
第2のポリヌクレオチドを含む第1の粒子(第2のポリヌクレオチドは第1の粒子に結合しており、第1のポリヌクレオチドは第2のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である);および、
第4のポリヌクレオチドを含む侵襲性DNA(第4のポリヌクレオチドは第1のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である)
を含むことを特徴とする、分析物検出用のセンサー系。
【請求項2】
第3のポリヌクレオチドを含む第2の粒子をさらに含み、該第3のポリヌクレオチドは5'末端で該粒子に結合しており;前記第2のポリヌクレオチドが3'末端において前記第1の粒子に結合しており、前記第1のポリヌクレオチドが第3のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である、請求項1記載のセンサー。
【請求項3】
前記核酸酵素がDNAを含む、請求項1〜2のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項4】
前記第1の粒子群が、金属、半導体、磁化可能物質およびこれらの組合せからなる群から選ばれる物質を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項5】
前記第1の粒子群と前記第2の粒子群が金を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項6】
前記第1の粒子群が5nm〜70nmの平均直径を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項7】
前記第1の粒子群が10nm〜15nmの平均直径を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項8】
前記分析物が、核酸酵素を活性化または不活化させる、請求項1〜7のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項9】
前記分析物が、Ag(I)、Pb(II)、Hg(II)、As(III)、Fe(III)、Zn(II)、Cd(II)、Cu(II)、Sr(II)、Ba(II)、Ni(II)、Co(II)、As(V)、U(VI)およびCr(VI)からなる群から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項10】
前記分析物が、+2形式酸化状態を有する金属イオンを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項11】
前記分析物がPb(II)を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項12】
前記核酸酵素が、SEQ ID NO:26〜44およびこれらの保存的修飾変異体からなる群から選ばれる配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項13】
前記核酸酵素が、SEQ ID NO:1およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含み;前記第1のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:3およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1〜12のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項14】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、前記基質を前記核酸酵素によって開裂したとき、開裂基質ストランドの少なくとも1個の末端塩基に対して相補性である少なくとも1個の末端塩基を有する、請求項1〜13のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項15】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、前記基質を前記核酸酵素によって開裂したとき、完全相補性ストランドよりも2〜10個少ない、開裂基質ストランドとハイブリッド化し得る塩基を有する、請求項1〜14のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項16】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、前記基質を前記核酸酵素によって開裂したとき、完全相補性ストランドよりも6個少ない、開裂基質ストランドとハイブリッド化し得る塩基を有する、請求項1〜15のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項17】
前記第4のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25およびこれらの保存的修飾変異体からなる群から選ばれたポリヌクレオチドを含む、請求項1〜16のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項18】
前記第4のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:12およびその保存的修飾変異体並びにSEQ ID NO:13およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1〜17のいずれか1項記載のセンサー。
【請求項19】
下記の工程:
凝集物、サンプルおよび侵襲性DNAを混合する工程;および、
分析物対する色変化を検出する工程;
を含み
該凝集物は、第1のポリヌクレオチドを含む基質と、第2のポリヌクレオチドを含む第1の粒子(第2のポリヌクレオチドは第1の粒子に結合しており、第1のポリヌクレオチドは第2のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である)とを含む
ことを特徴とする、分析物の検出方法。
【請求項20】
前記サンプルのイオン強度を調整する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記サンプルおよび侵襲性DNAを凝集物に添加する、請求項19〜20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
前記凝集物を前記サンプルおよび侵襲性DNAに添加する、請求項19〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記凝集物が第3のポリヌクレオチドを含む第2の粒子をさらに含み、該第3のポリヌクレオチドは5'末端において前記粒子に結合しており、第2のポリヌクレオチドは、3'末端で第1の粒子に結合し、前記第1のポリヌクレオチドは前記第3のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である、請求項19〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が金を含む、請求項19〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記凝集物が、分析物に対する結合部位を含むエンドヌクレアーゼをさらに含み;該エンドヌクレアーゼが、前記基質に対して少なくとも部分的に相補性である、請求項19〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記エンドヌクレアーゼが核酸酵素を含む、請求項19〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記核酸酵素が、SEQ ID NO:26〜44およびこれらの保存的修飾変異体からなる群から選ばれた配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項19〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記核酸酵素が、SEQ ID NO:1およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含み;前記第1のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:3およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項19〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記侵襲性DNAが、核酸酵素と拮抗して前記基質とハイブリッド化する、請求項19〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
色変化が、前記凝集物、前記サンプルおよび前記侵襲性DNAの混合後5分間で、少なくとも95%完了する、請求項19〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記混合が20〜30℃で生じる、請求項19〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記凝集物が、前記分析物に応答して解離する、請求項19〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記応答が、サンプル中の分析物の量に比例する、請求項19〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記分析物が、前記核酸酵素を活性化または不活化させる、請求項19〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記分析物が、Ag(I)、Pb(II)、Hg(II)、As(III)、Fe(III)、Zn(II)、Cd(II)、Cu(II)、Sr(II)、Ba(II)、Ni(II)、Co(II)、As(V)、U(VI)およびCr(VI)からなる群から選ばれる、請求項19〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記分析物がPb(II)を含む、請求項19〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、開裂基質ストランドの少なくとも1個の末端塩基に対して相補性である少なくとも1個の末端塩基を有する、請求項19〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、完全相補性ストランドよりも2〜10個少ない、開裂基質ストランドとハイブリッド化し得る塩基を有する、請求項19〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、完全相補性ストランドよりも6個少ない、開裂基質ストランドとハイブリッド化し得る塩基を有する、請求項19〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記第4のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25およびこれらの保存的修飾変異体からなる群から選ばれたポリヌクレオチドを含む、請求項19〜39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
前記第4のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:12およびその保存的修飾変異体並びにSEQ ID NO:13およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項19〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
前記サンプルが生物学的源に由来する、請求項19〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
前記サンプルが産業廃棄物流に由来する、請求項19〜42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
前記サンプルが、水をヒト消費用に汲み上げる水源に由来する、請求項19〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
色変化を定量することをさらに含む、請求項19〜44のいずれか1項記載の方法。
【請求項46】
以下を含む分析物の検出用のキット:
第1のポリヌクレオチドを含むa、第2のポリヌクレオチドを含む第1の粒子を含む凝集物を形成する系(前記第2のポリヌクレオチドは前記第1の粒子に結合しており、前記第1のポリヌクレオチドは前記第2のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である);
前記凝集物形成性系を収容する少なくとも1つの第1の容器;
第4のポリヌクレオチドを含む侵襲性DNA(該第4のポリヌクレオチドは前記第1のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である);
前記侵襲性DNAを収容する少なくとも1つの第2の容器(サンプルは、前記第1の容器、前記第2の容器および第3の容器を含む群から選ばれる容器に添加し得る)。
【請求項47】
前記系が第3のポリヌクレオチドをさらに含み、該第3のポリヌクレオチドが、5'末端において前記粒子に結合し;前記第2のポリヌクレオチドが、3'末端において第1の粒子に結合しており、前記第1のポリヌクレオチドが、前記第3のポリヌクレオチドに対して少なくとも部分的に相補性である、請求項46記載のキット。
【請求項48】
前記サンプルのイオン強度を改変するための試薬をさらに含む、請求項46〜47のいずれか1項記載のキット。
【請求項49】
サンプルのpHを改変するための試薬をさらに含み、該試薬が、酸および塩基からなる群から選ばれる、請求項46〜48のいずれか1項記載のキット。
【請求項50】
凝集物を形成するための使用説明書をさらに含む、請求項46〜49のいずれか1項記載のキット。
【請求項51】
前記サンプルのイオン強度を改変するための使用説明書をさらに含む、請求項46〜50のいずれか1項記載のキット。
【請求項52】
前記分析物に対する結合部位を含むエンドヌクレアーゼをさらに含み、該エンドヌクレアーゼが、前記基質に対して少なくとも部分的に相補性である、請求項46〜51のいずれか1項記載のキット。
【請求項53】
前記エンドヌクレアーゼが、核酸酵素を含む、請求項46〜52のいずれか1項記載のキット。
【請求項54】
前記核酸酵素が、SEQ ID NO:26〜44およびその保存的修飾変異体からなる群から選ばれた配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項46〜53のいずれか1項記載のキット。
【請求項55】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2本の異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、前記基質を前記核酸酵素によって開裂したときに、開裂基質ストランドの少なくとも1個の末端塩基に対して相補性である少なくとも1個の末端塩基を有する、請求項46〜54のいずれか1項記載のキット。
【請求項56】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2つの異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、前記基質を前記核酸酵素によって開裂したときに、完全相補性ストランドよりも2〜10個少ない、開裂基質ストランドとハイブリッド化し得る塩基を有する、請求項46〜55のいずれか1項記載のキット。
【請求項57】
前記第4のポリヌクレオチドが少なくとも2つの異なるストランドを含み、該ストランドの各々が、前記基質を前記核酸酵素によって開裂したときに、完全相補性ストランドよりも6個少ない、開裂基質ストランドとハイブリッド化し得る塩基を有する、請求項46〜56のいずれか1項記載のキット。
【請求項58】
第4のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25およびこれらの保存的修飾変異体からなる群から選ばれたポリヌクレオチドを含む、請求項46〜57のいずれか1項記載のキット。
【請求項59】
前記第4のポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:12およびその保存的修飾変異体並びにSEQ ID NO:13およびその保存的修飾変異体の配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項46〜58のいずれか1項記載のキット。
【請求項60】
前記凝集物の解離に応答しての色変化を定量する装置をさらに含む、請求項46〜59のいずれか1項記載のキット。
【請求項61】
前記装置が、分光光度計および比色計からなる群から選ばれる、請求項46〜60のいずれか1項記載のキット。
【請求項62】
前記分析物に対して応答性のライトダウンセンサー系をさらに含む、請求項46〜61のいずれか1項記載のキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図10J】
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【図10K】
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【図10L】
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【図10M】
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【図10N】
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【図10O】
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【図10P】
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【図10Q】
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【図10R】
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【図10S】
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【公表番号】特表2008−518633(P2008−518633A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540337(P2007−540337)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/037896
【国際公開番号】WO2006/052419
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(500033634)ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ (21)
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE UNIVERSITY OF ILLINOIS
【住所又は居所原語表記】506 South Wright Street, Urbana, IL 61801
【Fターム(参考)】