説明

便器と排水管の接続構造

【課題】 本発明の目的は、壁掛け洋風便器を固定する際、排水ソケットを壁面に固定するが、開口部にバリがあった場合、壁掛け洋風便器の排水口が差し込まれる排水ソケットが適正な角度で固定されず、排水パッキンがねじれや偏りによって漏水の不安があったが、開口部のバリがあっても、排水ソケットが適正な角度で固定できる技術を提供するものである。

【解決手段】 本発明では、排水ソケットと壁面との間に緩衝材を配置することにより、開口部のバリの影響を受けず、適正な角度で排水ソケットを設置し、常に排水パッキンを適正な位置に施工することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器と排水管の接続構造に係り、特に壁掛け型大便器と排水管との接続に好適な施工構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、壁掛け型洋風便器施工構造について、第6図に示す。(例えば特許文献1参照)
【0003】
この技術では、排水ソケット102が排水管107と一体に固定され開口部100に直接当接され、接続用のパッキン104が固定された便器排水口103が差し込まれる構造となっている。
【0004】
排水ソケット102が開口部100に直接当接されているため、開口部100にバリが出ている場合、排水ソケット102が開口部100に傾いて当接し、排水口133に対して傾いて固定されてしまうため、接続用のパッキン104が片寄せもしくはねじれが発生し、大便器使用中に漏水の恐れがあった。

【特許文献1】特開平08−209786号公報(7頁、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の便器と排水管の接続方法では、開口部にバリがでている場合、排水ソケットを適正な位置、方向に配置することができない。よってバリがでている場合は、便器と排水管の接続不良が発生する場合があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、開口部にバリがでている状態でも、便器排水口と排水ソケットの接続不良を確実に防止できる便器と排水管の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明のよれば、壁面の背後空間の排水本管から分岐した排水枝管の先端にソケットを取り付け、前記ソケットに対し便器背面の排水口を接続した構造において、前記ソケットには、前記ソケットの外周面から外方に突出した突出部が設けられ、前記ソケットは前記突出部を前記壁面当接させて配設するものであって、前記突出部には、前記突出部の表面が前記壁面に設けられた配管挿通用開口部表面の周縁部に当節しないように凹部を設けた。
【0008】
また、請求項2記載の発明のよれば、壁面の背後空間の排水本管から分岐した排水枝管の先端にソケットを取り付け、前記ソケットに対し便器背面の排水口を接続した構造において、前記ソケットには、前記ソケットの外周面から外方に突出した突出部が設けられ、
前記壁面に設けられた配管挿通用開口部へ前記ソケットを配設する際に、前記壁面と前記突出部の間に前記緩衝材を設けた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排水ソケットが、開口部にバリがでている場合でも、開口部のバリの影響をうけずに、排水口と排水ソケットが適正な位置で接続され、施工後の漏水の不安を解決するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図6にて実施例について説明する。
【実施例】
【0011】
図1において、本実施例を採用した施工例である。フレーム4をトイレ室内壁側3と床側5に固定し、フレーム4の壁面2が固定され、壁面2に第2図、もしくは第4図の構造が設置され、洋風便器1が固定される。実施例では、壁掛け洋風便器をあげているが、本発明は、壁掛け小便器も適用される。
【0012】
図2に本発明の第一の実施形態を示す。図2において排水横管10にジャバラホース9とつながっており、ジャバラホース9の先端が、排水ソケットのジャバラ管接続側11cと接続される構造となっている。排水ソケット11は、外周面から外方に突出した突出部11bが設けられ、前記壁面2に設けられた配管挿通用開口部8へ前記ソケットを配設する際に、前記壁面2と前記突出部11bの間に緩衝材7を備えている。緩衝材7は、発泡ウレタンが望ましい。緩衝材7は開口部8のバリを吸収するものであり、排水ソケット11は、緩衝材7により洋風便器1の排水口13に対して適正な角度となり、洋風便器1を取り付ける時、排水口13と排水ソケット11が適正な角度でパッキン3と排水ソケット11が嵌合される。また、突出部11bと開口部8との間に緩衝材7を備えることにより、開口部8だけでなく前記壁面2の傾きや凹凸に対しても対応が可能である。
【0013】

図3に、本発明の第一の実施形態における排水ソケット11についての詳細図を示す。壁面2は、排水ソケット11のジャバラ接続側11cの外形よりも大きい開口部2aがあり、排水ソケット11の突出部11bの径は、壁面2の配管挿通用開口部8よりも大きい。突出部11bと壁面2の間に緩衝材7を配している。また、排水口13が差し込まれるパッキン接続側11aよりも大きいクッション材13とスリップ材14を設置し、押え部材9を壁面2に固定し排水ソケット11を挟み込む形となる。押え部材12の開口部12aは、パッキン接続側11aの外径よりも大きく突出部11bよりも小さい。突出部11bと壁面2の間に緩衝材7を配していることにより、配管挿通用開口部8のバリや、凹凸の影響を受けず適正な角度で排水ソケット11を配置できる。また、突出部11bと開口部8の間に緩衝材7を配していることにより、壁面2の傾きや凹凸に対しても適正な角度で排水ソケット11を配置できるという効果もある。
【0014】
図4に本発明の緩衝材7の実施形態を示す。図4において、緩衝材7は図3に示すような円形に限定されず、図4aに示すように緩衝材7aのような半円のものを図4cのように突出部11bに2枚設置する場合や、図4bに示すように緩衝材7aよりもさらに小さい緩衝材7bを図4cのように2枚設置しても同様の効果が得られる。
【0015】
図5に本発明の第二の実施形態を示す。図5において排水横管10にジャバラホース9とつながっており、ジャバラホース9の先端が、排水ソケット11のジャバラ接続側11cと接続される構造となっている。排水ソケット11は、外周面から外方に突出した突出部11bが設けられ、前記壁面2に設けられた配管挿通用開口部8へ前記ソケットを配設する際に、前記突出部11bが配管挿通用開口部8の周縁部に当接しないように前記突出部11bに凹部17を設けている。このように排水ソケット11の突出部11bが配管挿通用開口部8に直接当接させない形状とすることにより、開口部8のバリに影響しない形状となっており、排水ソケット11は、凹部17により洋風便器1の排水口13に対して適正な角度で配設することが可能となり、洋風便器1を取り付ける時、排水口13と排水ソケット11が適正な角度でパッキン3と排水ソケット11が嵌合される。
【0016】
図6に、本発明の第二の実施形態における排水ソケット11についての詳細図を示す。排水ソケット11の突出部11bにはジャバラ接続側11cの外形よりも大きい凹部17を備えている。凹部17を設けることによって、配管挿通用開口部8の周縁部に排水ソケット11の突出部11bが当接しない形状となっているので、配管挿通用開口部8のバリの影響を受けず適正な角度で排水ソケット11を配置できる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は壁掛け洋風便器や壁掛け小便器にも適用可能である
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を利用した施工例を示す立面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における排水ソケットの詳細を示す斜視図である
【図4】本発明の第一の実施形態における緩衝材の詳細を示す斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態における排水ソケットの詳細を示す斜視図である
【図7】従来構造示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1…壁掛け大便器
2…壁面
6…パッキン
7…緩衝材
8…配管挿通用開口部
9…蛇腹管
11…排水ソケット
11b…突出部
12…押え部材
13…クッション材
14…スリップ材
17…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面の背後空間の排水本管から分岐した排水枝管の先端にソケットを取り付け、前記ソケットに対し便器背面の排水口を接続した構造において、
前記ソケットには、前記ソケットの外周面から外方に突出した突出部が設けられ、
前記ソケットは前記突出部を前記壁面当接させて配設するものであって、
前記突出部には、前記突出部の表面が前記壁面に設けられた配管挿通用開口部表面の周縁部に当接しないように凹部が設けられたことを特徴とする便器と排水管の接続構造。
【請求項2】
壁面の背後空間の排水本管から分岐した排水枝管の先端にソケットを取り付け、前記ソケットに対し便器背面の排水口を接続した構造において、
前記ソケットには、前記ソケットの外周面から外方に突出した突出部が設けられ、
前記壁面に設けられた配管挿通用開口部へ前記ソケットを配設する際に、
前記壁面と前記突出部の間に緩衝材を設けたことを特徴とする便器と排水管の接続構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−249859(P2006−249859A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70574(P2005−70574)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】