便器洗浄および/または脱臭装置
便器の内側表面に洗浄および/または脱臭用化学物質を噴霧する装置を開示する。本装置は、化学物質の容器と、噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に化学物質を噴霧することが可能な、その噴霧器と、便器のリムのそばに噴霧器を取り付ける手段と、容器および噴霧器と流体連通している流体導管と、手動ポンプの動作時に化学物質を容器から流体導管を介して噴霧器に供給する、その手動ポンプと、を含むことが可能である。一形態では、ポンプは、容器と流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバと流体連通し、流体導管と流体連通している吐出導管と、ポンプチャンバ内を往復することにより、流体を、容器からポンプチャンバに引き込み、ポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管へ移動させるピストンと、を含む。本装置は、便器の内側表面の全周にわたって化学物質を当てることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の内側表面の、便器の喫水線より下にある場所、および/または便器の喫水線にある場所、および/または便器の喫水線より上にある場所、および/または便器リムの下の場所を、便器の全周にわたって洗浄することが可能な便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器は、見苦しい付着物の蓄積防止、臭気の低減、および細菌の増殖防止のための手入れが必要である。従来、便器の洗浄、脱臭、および消毒は、液体または粉末の洗浄殺菌剤を使用して、手でこすり洗いをすることで行われてきた。この仕事は、便器を清潔に保つために、人手による骨の折れる作業が必要であった。
【0003】
この嫌な、手によるこすり洗いを不要にするために、様々な便器用洗剤ディスペンサが提案されてきた。あるタイプのディスペンサは、洗浄および清浄化のための物質の固形ブロックまたは固形粒子を、便器のリムから、噴出水の経路中に配置された容器の中につり下げる。(参照によって、本明細書で引用されている他のすべての文書とともに本明細書に組み込まれている)米国特許第4,777,670号は、このタイプの便器洗浄システムの一例を示している。典型的には、水を噴出させるたびに、固形ブロックの一部が噴出水に溶解し、溶解した製品を含む一定量の噴出水が便器洗浄のために便器内に供給される。
【0004】
他の便器洗浄システムは、便器内に一定量供給される液体洗剤を用いる。たとえば、米国特許第6,178,564号および第6,230,334号、ならびにPCT国際公開第99/66139号および第99/66140号はすべて、水を噴出させるたびに液体作用物質を瓶から噴出水に投入するために便器のリムからつり下げることが可能な洗浄および/または清浄化装置を開示している。これらの、便器のリム下に配置される装置の場合、液体作用物質は、リザーバから下に向かって(便器リムからつり下げられた台座で支持されている)ディスペンサプレートに吐出される。この装置は、便器からの噴出水の流れが噴出時にディスペンサプレートに当たるように、便器リムからつり下げられる。噴出水は、ディスペンサプレート上の液体作用物質を便器内に運び、便器を洗浄および清浄化する。
【0005】
他の便器用ディスペンサは、一定量のエアロゾル脱臭剤および/または洗剤を、便器リムに取り付けられた導管を通して便器内に供給する。たとえば、米国特許第3,178,070号は、ブラケットで便器リムに取り付けられて、リムの上に管が延びるエアロゾル容器を開示しており、米国特許第6,029,286号および第5,862,532号は、流体の加圧リザーバと、流体源に接続された導管と、便器リムに取り付けられた噴霧ノズルとを含む便器用ディスペンサを開示している。
【0006】
これらの既知の便器リム型ディスペンサ装置の弱点の1つは、これらの装置が、脱臭剤および/または洗剤を、便器内の水の一か所、または、便器内の水または便器の内側表面の、限定された範囲にしか当てることができない点である。結果として、便器の内側表面の洗浄は、便器の、装置のそばの範囲に限定される可能性がある。
【0007】
本発明の所有者が所有する米国特許出願第11/312281号は、いろいろ示している中で特に、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置について説明している。その出願で例示されている一実施形態では、流体導管の下流端部が、流体を外に向けて噴霧して便器の内側表面に当てることが可能な回転ノズルの中で終わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4777670号
【特許文献2】米国特許第6178564号
【特許文献3】米国特許第6230334号
【特許文献4】米国特許第3178070号
【特許文献5】米国特許第6029286号
【特許文献6】米国特許第5862532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国特許出願第11/312281号の装置によって提供される技術の進歩を踏まえて、この技術をさらに改良することは、消費者の利益になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先述の要件は、化学物質を便器内に吐出する、本発明による便器洗浄および/または脱臭装置によって満たすことが可能である。用語「化学物質」は、1つの化学成分、または複数の化学成分の混合物を意味する。様々な洗浄および/または脱臭用化学物質が、本発明による便器洗浄装置での使用に好適である。本発明による便器洗浄および/または脱臭装置は、適切な化学物質およびディスペンサシステムを含む。本明細書においては、用語「洗浄」は、「殺菌」および/または「消毒」も含み、用語「脱臭」は、「清浄化」も含む。
【0011】
化学物質に関して言えば、便器を洗浄および清浄化するために、便器の内側表面および/または便器内の水に、化学物質を直接当てる。便器の内側表面に当てる場合、化学物質は、典型的には、液体(単一種類または複数種類の化学物質)である。便器内の水に加える場合も、化学物質は、予防策として動作させるため、または、便器を自動的に洗浄するように働く環境を形成するために加える液体(単一種類または複数種類の化学物質)であることが可能である。
【0012】
ディスペンサシステムに関して言うと、ディスペンサシステムは、洗浄プロセスを実施するために便器の内側表面に適切な化学物質を当てる手段であるいくつかのサブシステムを含む。ディスペンサシステムは、(i)化学物質貯蔵容器、(ii)化学物質推進システム、(iii)化学物質吐出システム、および(iv)便器接続手段を含むことが可能であり、これらに限定されない。
【0013】
化学物質貯蔵容器は、便器の洗浄に用いる化学物質を保持および貯蔵する。限定ではない例として、トリガ式噴霧器において見られるような、標準的なプラスチック瓶がある。
【0014】
化学物質推進システムは、化学物質に適切なエネルギーを与えて、吐出システム内を移動させ、化学物質が貯蔵容器から便器内の適切な範囲まで移動できるようにする方法を提供する。このサブシステムの例として、液体を移動させるポンプあるいはポンプ機構があり、これは、たとえば、ベインポンプ、ふいごポンプ、インペラ駆動ポンプ、ピストンポンプ、蠕動ポンプ、ギア駆動ポンプなどである。
【0015】
化学物質吐出システムは、化学物質を、その貯蔵容器から便器内の適切な範囲へ移動させる方法を提供する。この吐出サブシステムは、ホースおよび噴霧器(たとえば、ノズル)を含むことが可能である。
【0016】
便器接続手段は、ホースを邪魔にならないようにし、ホースが折れ曲がらないようにし、噴霧ノズルを便器リムまたは便器蓋の所定位置に固定するための、便器への取り付けの手段および方法を提供する。
【0017】
これらのサブシステムは、連係して動作して(所定量の)適切な化学物質を吐出することにより、所望の消費者利益を提供する。
【0018】
したがって、一態様では、本発明は、エンクロージャの壁の内側表面に流体を噴霧する装置を提供する。エンクロージャは、バスタブ、シャワー、便器などのいずれかであってよい。本装置は、流体の容器と、流体噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に流体を噴霧することが可能な、その流体噴霧器と、流体噴霧器を、エンクロージャの壁の内側表面のそばに取り付ける手段と、容器および流体噴霧器と流体連通している流体導管と、手動ポンプの動作時に流体を容器から流体導管を介して流体噴霧器に供給する、その手動ポンプと、を含むことが可能である。「手動」ポンプは、空気圧駆動式装置(たとえば、ガスが充填された缶)や電気的装置(たとえば、バッテリ給電式またはAC給電式の装置)ではなく手または足で操作するポンプを意味する。
【0019】
本発明の一形態では、ポンプは、容器と流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバと流体連通し、流体導管と流体連通している吐出導管と、ポンプチャンバ内を往復することにより、流体を、容器からポンプチャンバに引き込み、ポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管へ移動させるピストンと、を含む。ポンプはさらに、ポンプチャンバ内でピストンを手動で往復させるための、ピストンと接触している操作部を含むことが可能である。操作部は、ピストンに対してほぼ直角の旋回トリガまたは横材であってよい。
【0020】
ポンプはさらに、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作でポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管に移動する流体の量を調節する手段を含むことが可能である。ポンプはさらに、流体導管と吐出導管との間にチェック弁を含むことが可能である。一形態では、ポンプチャンバは、容器の垂直軸と同じ線上または平行な方向を向いている。一例では、本装置は、便器の内側表面に噴霧し、ポンプは、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作で約5〜10ミリリットルの流体を流体噴霧器に供給する。別の例では、本装置は、シャワーエンクロージャの内側表面に噴霧し、ポンプは、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作で最大約50〜60ミリリットルの流体を流体噴霧器に供給する。
【0021】
本発明の一形態では、流体噴霧器は、流体噴霧器の周辺全体にわたって横方向に流体を噴霧できるように構成される。流体噴霧器は、回転ノズルであってよい。一形態では、ノズルは、偏向板と、ノズルの上端にある流体注入口と、流体注入口と偏向板との間を延びる通路と、通路の下端と流体連通している溝と、溝の両側に位置して、偏向板から上方に延びる、一対のフィンと、を含む。フィンに流体が当たることによって、ノズルが回転し、流体噴霧器の周辺全体にわたって横方向に流体が噴霧される。
【0022】
本発明の一形態では、流体噴霧器をエンクロージャの壁の内側表面のそばに取り付ける手段は、ベースと、エンクロージャの壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、流体噴霧器をベースに取り付ける手段と、を含む。流体噴霧器をベースに取り付ける手段は、ベースから延びるアームであってよい。
【0023】
別の態様では、本発明は、便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置を提供する。本装置は、化学物質の容器と、噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に化学物質を噴霧することが可能な、その噴霧器と、便器のリムのそばに噴霧器を取り付ける手段と、容器および噴霧器と流体連通している流体導管と、手動ポンプの動作時に化学物質を容器から流体導管を介して噴霧器に供給する、その手動ポンプと、を含む。
【0024】
本発明の一形態では、ポンプは、容器と流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバと流体連通し、流体導管と流体連通している吐出導管と、ポンプチャンバ内を往復することにより、化学物質を、容器からポンプチャンバに引き込み、ポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管へ移動させるピストンと、を含む。ポンプは、ポンプチャンバ内でピストンを手動で往復させるための、ピストンと接触している手動式または足動式操作部を含むことが可能である。ポンプはさらに、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作でポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管に移動する化学物質の量を調節する手段を含むことが可能である。
【0025】
本発明の一形態では、噴霧器は、噴霧器の周辺全体にわたって横方向に化学物質を噴霧できるように構成される。一形態では、便器のリムのそばに噴霧器を取り付ける手段は、ベースと、便器のリムのそばでベースを支持するように構成されたフックと、噴霧器をベースに取り付ける手段と、を含む。噴霧器は、流体注入口および偏向板を有するノズルを含むことが可能であり、流体注入口は、流体導管および偏向板と流体連通しており、流体注入口からの化学物質が偏向板に当たって偏向板が回転することにより、噴霧器の周辺全体にわたって横方向に化学物質が噴霧され、便器の内側表面の全周にわたって化学物質が噴霧される。
【0026】
したがって、本発明の利点は、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する便器洗浄装置を提供することである。本装置は、光沢を強化し、生物膜、かび、および/または白かびの成長を阻止することにより、便器全体を清潔にする。本装置は、しみ(硬水、石灰かす、金属、有機物)、かび、白かび、微生物、におい、およびバクテリアを除去または排除する液体を吐出することが可能である。本装置は、便器全体に噴霧することが可能であり、便器の1つの狭い範囲だけに限定されない。
【0027】
これらおよび他の、本発明の特徴、態様、および利点は、以下の詳細説明、図面、および添付クレームを検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】便器に取り付けられた、本発明の一実施形態による便器洗浄装置の斜視図である。
【図2】図1の便器洗浄装置のクリップおよび噴霧ノズルを示す、図1の線2−2に沿った部分の斜視図である。
【図3】図2のクリップの内部の一部を示す切り欠きを有する側面図である。
【図4】図2のクリップの背面斜視図である。
【図5】図2のクリップのフックを示す正面図である。
【図6】図2のクリップの一部分の背面図である。
【図7】回転した後の向き(一点鎖線)および回転していない向き(実線)のクリップを示す、図2のクリップの正面図である。
【図8】図3の線8−8に沿った、クリップの噴霧器の一部分の上面図である。
【図9】流体を容器から本発明の噴霧器に注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプの斜視図である。
【図10】図9の流体ディスペンサポンプの垂直断面図である。
【図11】流体を容器から本発明の噴霧器に注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプの正面図である。
【図12】図11の線12−12に沿った、図11の流体ディスペンサポンプの流体吐出システムの詳細垂直断面図である。
【図13】流体を容器から本発明の噴霧器に注入することに使用可能な、さらに別の流体ディスペンサポンプの詳細垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下で図面を説明する場合、複数の図面にわたる類似の要素については類似の参照符号を用いる。
【0030】
本発明は、便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置を提供する。以下、図面を参照しながら、本発明の各種実施形態を説明する。それらの実施形態は、例示を目的として図示および説明されるものであって、本発明をいかなるかたちでも限定するものではない。
【0031】
図1および2は、便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置の一例示的実施形態を示す。本装置は、エンクロージャ(ここでは便器12)に取り付けるためのクリップ10を含んでいる。クリップ10は、フック16によって、便器12のリム14に固定されている。ベース18が、フック16で支持され、流体噴霧器(ここでは噴霧ノズル20)を収容している。流体が、容器22から流体導管24を介してノズル20に供給され、便器12の内側表面26に一定量が当てられる。流体は、後で詳述する様々なタイプの手動ポンプによって、容器22から流体噴霧器に供給可能である。
【0032】
図3、4、および5を参照すると、フック16は、ベース18を支持し、クリップ10を便器12に取り付け、3つの主要部分を有する。それらは、便器部分28、上部リム部分30、および内側リム部分32である。3つの部分28、30、32のすべてが、好ましくは、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から一体成形されて、フレキシブルフック16を形成する。便器部分28は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12へのクリップ10の固定を支援するために、エラストマー製リブ37が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部34を下端に有する。把持用足部34およびリブ37に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、これらに限定されない。便器部分28は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部35において上部リム部分30とつながっている。フレキシブル肘部35により、フック16は、主に(図3に示した)F−F方向に曲がることによって、クリップ10を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分30は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12のリム14の端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部36で内側リム部分32とつながり、ここでもフレキシブル肘部36によってフック16を曲げることが可能である。内側リム部分32は、肘部36から垂直に下方に延び、ベース18を連結して支持するように構成されている。
【0033】
フック16の内側リム部分32は、前面38と背面40とが、2つの短い側面42でつながれている。内側リム部分32の背面40からリブ44が突出し、内側リム部分32の長さだけ延びている。後で詳述するように、リブ44は、フック16に対するベース18の回転角度を制限する。本例示的実施形態のリブ44は、ほぼ長方形の断面を有するが、リブ44は、湾曲断面であっても、方形断面であっても、互いに離れている2つの部材で構成されていても、それ以外であってもよい。さらに、リブ44は、ベース18の所望の調節可能範囲にわたってベース18と連結されていれば、内側リム部分32の長さまで延びていなくてもよい。短い側面42は、ラチェット歯46を有し、ラチェット歯46は、ベース18と連結されて、ベース18の垂直方向の動きを、垂直軸48に沿うように制限する。他の制限(たとえば、フック16とベース18との間の摩擦嵌合など)も可能である。
【0034】
便器部分28および上部リム部分30は、一連のC字形溝50を含んでおり、溝50は、導管24がフック16の周辺部を引き回されてベース18のノズル20に達するように、導管24を拘束している。本実施形態の便器部分28は、開口部が互い違いである3つのC字形溝50を含んでいる。導管24は、C字形溝50に押し込まれているが、溝50は、導管24を拘束するために長方形または他の任意の好適な形状であってよい。上部リム部分30では、好ましくは1つの溝50が導管24の引き回しを支援するが、必要に応じて複数の溝50を用いてよい。
【0035】
図3、4、および6を参照すると、ベース18は、背面52と、背面52から前方に延びる、互いに離れている一対の側面54と、側面54の間に延びる上面56および前面58と、側面54、上面56、および前面58の間に延びる曲面60と、を有している。面52、54、56、58、60は、ノズル20の一部を収容する部分キャビティ62を定義している。ベース18は、ベース18の背面52から後方に延びるタブ53を有している。タブ53は、後述するように、クリップ10が便器12に取り付けられる際に、リム14に対するベース18の方向づけを支援する。タブ53は、本例示的実施形態に示すように、連続した1つの部材であってよい。代替として、タブ53は、ベース18から延びる複数の部材を含んでもよい。ベース18は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。
【0036】
図6を重点的に参照すると、ベース18は、フック16の内側リム部分32を受ける溝64を含んでいる。溝64は、リブ44を受けるスリット66を含んでおり、スリット66は、入口68、出口70、および中間部72を有している。スリット66の幅は、入口68から中間部72にかけて狭まっており、中間部72から出口70にかけて広がっている。一実施形態では、中間部72は、入口68と出口70とのほぼ中間にあるが、最も狭くなる箇所は、入口68と出口70との中間でなくてもよく、スリット66の両端の間のどこにあってもよい。さらに、スリット66の最大幅は、フック16に対するベース18の所望の調節度合に応じて異なってよい。ベース18の所望の回転調節度合がより大きければ、入口68および出口70におけるスリット66の最大幅を増やすことが可能であり、代替として(または追加で)リブ44の幅を減らすことが可能である。
【0037】
溝64は、溝64の短い側面65の壁から延びる一対の突起74を含んでおり、突起74は、フック16の内側リム部分32が溝64内をスライドするときにフック16のラチェット歯46と噛み合う。突起74は、ラチェット歯46と噛み合うことによって、ベース18がフック16に対して垂直方向に滑ることを抑えるように構成されている。突起74は、丸みのある形状、とがった形状、または他の好適な形状であってよい。この所望の制限は、他の多くの構造によって提供可能であり、たとえば、バネ仕掛けの玉が、溝64内に形成されたキャビティに収容されていて、溝64の外形(たとえば、ラチェット歯46)に対して押し出される構造によって可能である。突起74とラチェット歯46との噛み合いは、突起74とラチェット歯46との噛み合いが外れることなくベース18の所望の回転(後述)が可能であるように行われる。
【0038】
ベース18はさらに、ノズル20を取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル20は、流体注入口80とバレル78との間で横方向に拘束されている。ベース18は、ベース18から下方に延びるアーム76を含んでいる。アーム76は、J字形に曲がって先に延びる平棒を有し、アーム76の遠位端にバレル78がある。バレル78は、ノズル20の底部を受けるくぼみを含んでいる。さらに、ベース18の曲面60の中に流体注入口80があり、流体注入口80は開口部から先細りになっている(図3参照)。流体注入口80とバレル78との組み合わせによって、ノズル20の横方向の動きが制限されているが、ノズル20がノズル軸82のまわりを回転することは可能である。クリップ10を取り巻く環境を感知するセンサ98を、ベース18に取り付けることが可能である。
【0039】
図8を参照して、ノズル20の一例示的実施形態を説明する。ノズル20は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル20は、円形偏向板84と、偏向板84から上方に延びていて流体注入口80と流体連通している通路86とを含んでいる。偏向板84のそばの通路86から半径方向に外に向かって溝88が延びており、溝88は、図8に示すように、点Aで、溝88の最初の通り道から曲げられている。溝88の両側に、偏向板84から上方に延びる一対のフィン90が位置する。溝88およびフィン90の外形は、ノズル20の所望の回転速度、流体の圧力などに応じて様々であってよい。
【0040】
図3および8に最も明確に示すように、偏向板84の下側から延びるスピンドル92をアーム76のバレル78のくぼみに差し込むことによって、かつ、流体注入口80の先細った端部を通路86に差し込んで、通路86内に形成された棚状突起94に当てることによって、ノズル20は、ベース18内で横方向に拘束されている。ノズル20は、ノズル軸82のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【0041】
流体噴霧器を取り付ける手段は、アーム76を使用せずに、ノズル20をベース18からつり下げることを含んでよい。ノズル20は、ベース18にパチンとはめ込んでもよく、ベース18にねじ留めしてもよく、ベース18に押し込んでもよい。さらに、ベース18から弧状アーム(図示せず)を延ばしてノズル20を支持してもよい。
【0042】
稼働時には、流体は、容器22から、フック16に沿って溝50内を引き回された導管24を通って、ベース18の流体注入口80に移動する。流体は、ノズル20の上部に流れ込み、通路86を下り、溝88によって半径方向に外へ向けられる。流体が溝88を出ると、流体の経路は、溝88の両側に位置する、角度を付けられたフィン90によって変更される。その反動によって、ノズル20は、図8に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル20から半径方向に外に向けて吐出され、便器12の内側表面26に当たる。
【0043】
流体吐出装置の全体的な構造および動作について説明したが、次に、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲を、ベース18を回転させて調節する手段に着目する。図4および6に戻り、かつ、図7を参照すると、ベース18は、垂直軸48とベース18の背面52とで定義される面からほぼ垂直に延びる水平軸96のまわりを、フック16に対して回転することが可能である。溝64に形成されたスリット66は、入口68および出口70においてフレアー状になっている。これにより、ベース18は、フック16から突出しているリブ44が、背面52に形成されたスリット側面45に当たるまで、中間位置72の近辺で、水平軸96のまわりを回転することが可能になる。
【0044】
たとえば、図7を参照すると、ベース18が垂直軸48に対して(一点鎖線で示すように)角度R1だけ回転した場合、ノズル20の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース18が反対方向に角度R2だけ回転すると、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース18が回転するにつれて、突起74は、ラチェット歯46のそれぞれの歯の中で滑る。従って、突起74とラチェット歯46との噛み合いは、ベース18を自由に回転させながら、なおかつ、ベース18の垂直方向の動きを抑えるものでなければならない。このように回転を調節することにより、クリップ10は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。
【0045】
ベース18を回転させる手段は、前述したスリット66を含まなくてもよい。たとえば、背面52は、フック16のリブ44の回転を制限するために、何対かの対向するフィンガーを、背面52で定義された面に含むことが可能である。入口そばの対向するフィンガーの対の間の開口、ならびに出口そばの対向するフィンガーの対の間の開口は、入口のフィンガーと出口のフィンガーとの間に位置する、対向するフィンガーの対の間の開口より大きい。結果として、ベース18は、リブ44が入口および出口のそばのフィンガーと噛み合うまで回転可能である。別の実施形態では、スリット66は、入口から出口にかけて(または出口から入口にかけて)先細るV字形であることが可能である。したがって、ベース18の回転点は、スリット66の出口のそば、または、入口および出口のうちの小さい方のそばにある。この場合も、ベース18の回転は、リブ44とスリット側面45との噛み合いによって制限される。
【0046】
ベース18の回転調節は、クリップ10のユーザが手動で行ってもよく、クリップ10をエンクロージャ(ここでは便器12)に取り付ける際に自動で行われてもよい。図1〜4、6、および7を全体的に参照すると、クリップ10の取り付け方法は、おおむね次のとおりである。便器12のリム14にクリップ10を固定する。そのためには、フック16をベース18から離すようにF−F方向に押し広げて、クリップ10をリム14にかぶせる。フック16を固定したら、タブ53がリム14の下側と嵌合するまで、ベース18を、垂直軸48に沿って、フック16およびラチェット歯46の上方へスライドさせる。ベース18のタブ53はリム14の下側と嵌合し続けるため、ベース18は、水平軸96のまわりを回転し、これによって、ノズル20がリム14の下側の面と並び、ノズル20からの流体が確実に便器12の内側表面26に一定量供給されることを支援する(リム14の下側の面は、リム14の上部側面によって定義される面と平行であると仮定している)。タブ53はさらに、タブ53の遠位端から突出するエラストマー製把持部51を含むことが可能であり、把持部51は、ベース18をリム14上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース18は、タブ53を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース18は、ユーザが手動で回転させることによって、フック16に対して調節可能である。
【0047】
噴霧ノズル20を便器12のリム14のそばに固定するためのクリップ10について説明してきたが、容器から噴霧ノズル20へ流体を供給する様々な手動ポンプについても説明が可能である。図9および10は、容器122から(前述のように、噴霧ノズル20に流体を供給する)導管24へ流体を注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプ120を示す。流体ディスペンサポンプ120は、図1に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ120は、従来のように、ねじ付き密封装置124で容器122に接続可能である。
【0048】
流体ディスペンサポンプ120は、ディスペンサヘッド126を含んでおり、ディスペンサヘッド126は、操作部を定義しており、吐出導管128を有している。ディスペンサヘッド126は、中空の管状ピストン130に接続されており、ピストン130の上端にボール弁132がある。ピストン130は、密封装置124の開口部に固定されているカラー134の中を平行移動する。流体ディスペンサポンプ120はさらに、アキュムレータ136を含んでおり、アキュムレータ136は、ポンプチャンバを定義しており、ハウジング138に収容されている。ピストン130の底部にある環状封止材140が、アキュムレータ136の内側表面142を封止している。ピストン130の下部ショルダ146とアキュムレータ136の下部ショルダ148との間に、圧縮コイルばね144が配置されている。アキュムレータ136の下端にボール弁150がある。アキュムレータ136はさらに、環状注入ポート152を有しており、環状注入ポート152は、容器122から流体を吸引する浸漬管154を受けている。アキュムレータ136の方向は、容器122の垂直(長手方向)軸と同一直線上にある。
【0049】
図10は、ディスペンサヘッド126が上方位置にある様子を示している。ディスペンサヘッド126を手(または足)でその上方位置から方向Dに押し下げ、その後、解放すると、ピストン130の上昇に伴って流体が容器からアキュムレータ136に吸引される(この上昇は、ばね144の上向きのバイアス力によるものである)。ピストン130の下降および上昇が何度か繰り返されて、アキュムレータ136に十分な量の流体が溜まると、その後のピストン130の下降で、流体が上昇してボール弁132を通り越し、吐出導管128に出て行く。吐出導管128は、導管156と流体連通しており、導管156は、一方向チェック弁アセンブリ158を介して導管24と流体連通している。一方向チェック弁アセンブリ158は、図9に示した方向Wにのみ流体が流れるようにしている。導管24に入った流体は、前述のように、ノズル20によって、便器12の内側表面26に対して噴霧される。流体ディスペンサポンプ120の1回の下降によって供給される流体の量は、ポンプ部品(ピストン130やアキュムレータ136など)のサイズを変えることにより変えることが可能である。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ120は、ピストン130の1回の下降で8ミリリットルの流体を吐出する。流体圧力は、10〜20psi(69〜138キロパスカル)の範囲であることが可能である。
【0050】
図11および12は、容器222から(前述のように、噴霧ノズル20に流体を供給する)導管24へ流体を注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプ220を示す。流体ディスペンサポンプ220は、図1に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ220は、従来のように、ねじ付き密封装置224で容器222に接続可能である。
【0051】
流体ディスペンサポンプ220は、ピストン225を含んでおり、ピストン225は、操作部を定義している上側の末端把持部226を有している。ピストン225はさらに、ピストンヘッド228を有している。ピストン225は、中空シリンダ236に取り付けられたカラー234の中を平行移動し、シリンダ236は、ポンプチャンバを定義しており、密封装置224に固定されたベース238と一体化されている。ピストンヘッド228は、シリンダ236の内側表面242を封止している。ピストン225の末端把持部226の下部表面とカラー234の上部表面との間に、圧縮コイルばね244が配置されている。シリンダ236の方向は、容器222の垂直(長手方向)軸と平行である。
【0052】
ベース238は、注入ポート252と流体連通している中央マニホールド246を有しており、注入ポート252は、容器222から流体を吸引する浸漬管254を受けている。注入ポート252の上には、ピストン225の下降時に流体が容器222へ戻ることを防ぐボール弁255が設置されている。シリンダ236とマニホールド246は、流体通路256によって流体連通している。ベース238はさらに、中央マニホールド246と流体連通している吐出導管258を有している。カプリング262により、導管24を吐出導管258と流体連通させることが可能である。圧縮ばね266により、吐出導管258の弁シート265からボール弁264にバイアスがかかっている。ボール弁264は、ピストンの下降時に流体が吐出導管258から流れ出ることを可能にするとともに、ピストン225の上昇時に流体が中央マニホールド246に戻るのを防ぐ。
【0053】
図11は、ピストン225が上方位置にある様子を示している。ピストン225を手(または足)で方向Dに押し下げ、その後、解放すると、ピストン225の上昇に伴って流体が容器222からシリンダ236に吸引される(この上昇は、ばね244の上向きのバイアス力によるものである)。このようにして、ポンプ220に呼び水をする。ピストン225のその後の下降により、流体は、ボール弁264を通り越し、吐出導管24に出て行く。導管24に入った流体は、前述のように、ノズル20によって、便器12の内側表面26に対して噴霧される。
【0054】
ピストン225の1回の下降で供給される流体の量は、ピストン225の末端把持部226とカラー234との間の距離を調節することにより、変えることが可能である。ピストン225の下降具合を変える手段は、シャフト272、カラー274、および設定ねじ276を含んでいる。シャフト272は、ピストン225の末端把持部226の下側に取り付けられており、カラー274の開口部を平行移動させる。設定ねじ276は、カラー274の開口部のねじ山が付いた側にはめ込まれており、カラー274内のシャフト272を、設定ねじ276とシャフト272との接触により、動かなくすることが可能である。カラー274内でシャフト272を下方に動かして、設定ねじ276でシャフト272を動かなくすることにより、ピストン225の末端把持部226とカラー234との距離が縮まり、これによって、ピストン225の上昇時にシリンダ236に吸引される流体の量が少なくなる。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ220は、ピストン225の1回の下降で最大10ミリリットルの流体を吐出することが可能であり、5〜10ミリリットルを吐出することが好ましく、7〜8ミリリットルを吐出することが最も好ましい。
【0055】
図13は、容器322から(前述のように、噴霧ノズル20に流体を供給する)導管24へ流体を注入することに使用可能な、さらに別の流体ディスペンサポンプ320を示す。流体ディスペンサポンプ320は、図1に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ320は、従来のように、ねじ付き密封装置324で容器322に接続可能である。ディスペンサ320は、本体332と、本体332によって保持されている(または本体332内に形成された)噴霧機構とを有する。噴霧機構は、ピストン336と、ピストン336の面の上方にシリンダヘッド空間340を有するシリンダ338と、を含んでいる。シリンダヘッド空間340と流体連通しているポンプチャンバ342が、シリンダ338によって定義されている。ディスペンサ320はさらに、流体を容器322からチャンバ342に移送する浸漬管344を含んでいる。流体移送手段は、流体移送手段によって移送される流体がチャンバ342に向かう方向にのみ流れ、チャンバから遠ざかる方向には流れないことを可能にするボールチェック弁346を含んでいる。
【0056】
ディスペンサ320はさらに、指で操作するトリガ348を含んでおり、トリガ348は、操作部を定義しており、ピストン336をシリンダ338内で往復させることにより、シリンダヘッド空間340を交互に増減させて、液体をポンプチャンバ342に吸引させ、その液体をチャンバ342から吐出させる。ディスペンサ320はさらに、吐出マニホールド350、ならびに、チャンバ342と吐出マニホールド350とを流体連通させる吐出導管352を含んでいる。吐出導管352は、吐出チェック弁354を有しており、吐出チェック弁354は、流体が吐出マニホールド350に向かって移動し、チャンバ342には戻らないことを可能にする。流体は、吐出マニホールド350から導管24に流れ込む。導管24は、ノズルキャップ362の開口部359への圧入によって固定されている。導管24に入った流体は、前述のように、ノズル20によって、便器12の内側表面26に対して噴霧される。
【0057】
このように、本発明は、装置のノズルの周辺に横方向に化学物質を噴霧する便器洗浄装置を提供する。結果として、便器の内側表面全体を化学物質でカバーすることが可能である。
【0058】
様々な洗浄および/または脱臭用化学物質が、本発明による便器洗浄装置での使用に好適である。たとえば、米国特許第6,471,974号および第6,162,371号に記載されているような弱酸性および近中性pH抗菌成分が、本発明による便器洗浄装置で使用した場合に有利であることが可能である。米国特許第6,425,406号に記載されているようなアルカリ性抗菌便器洗浄製剤も、有利であることが可能である。米国特許第6,812,196号に記載されているようなアルカリ性抗菌便器洗浄製剤も、有利であることが可能である。鋼製容器および酸性調合物を用いる場合は、鋼製容器の酸性腐食を最小限に抑えるために、プラスチックの裏打ちがなされた鋼製容器や、周囲噴射ガスの袋を有する鋼製容器が望ましいであろう。アルミニウム製の容器も、酸性調合物のための一選択肢であろう。便器および/または便器内の水に対して適用する化学物質の量は、調合物の選択に応じて異なる。たとえば、乳酸、界面活性剤、および溶剤を含む酸性調合物の場合、化学物質の1回分の用量は、2〜10ミリリットルが適当であろう。前述の化学物質は、本発明による便器洗浄装置での使用に好適な洗浄および/または脱臭用化学物質の、限定ではない、説明的な例である。他の好適な化学物質として、たとえば、酵素、キレート化剤、腐食剤、アミノ酸などがある。
【0059】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば理解されるように、本発明は、説明した実施形態以外の実施形態によっても実施可能であり、説明した実施形態は、限定ではなく例示を目的として提示したものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、便器の内側表面、および/または便器内の水、および/または便器リムの下に洗浄および/または脱臭用化学物質を噴霧する便器洗浄装置を提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の内側表面の、便器の喫水線より下にある場所、および/または便器の喫水線にある場所、および/または便器の喫水線より上にある場所、および/または便器リムの下の場所を、便器の全周にわたって洗浄することが可能な便器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器は、見苦しい付着物の蓄積防止、臭気の低減、および細菌の増殖防止のための手入れが必要である。従来、便器の洗浄、脱臭、および消毒は、液体または粉末の洗浄殺菌剤を使用して、手でこすり洗いをすることで行われてきた。この仕事は、便器を清潔に保つために、人手による骨の折れる作業が必要であった。
【0003】
この嫌な、手によるこすり洗いを不要にするために、様々な便器用洗剤ディスペンサが提案されてきた。あるタイプのディスペンサは、洗浄および清浄化のための物質の固形ブロックまたは固形粒子を、便器のリムから、噴出水の経路中に配置された容器の中につり下げる。(参照によって、本明細書で引用されている他のすべての文書とともに本明細書に組み込まれている)米国特許第4,777,670号は、このタイプの便器洗浄システムの一例を示している。典型的には、水を噴出させるたびに、固形ブロックの一部が噴出水に溶解し、溶解した製品を含む一定量の噴出水が便器洗浄のために便器内に供給される。
【0004】
他の便器洗浄システムは、便器内に一定量供給される液体洗剤を用いる。たとえば、米国特許第6,178,564号および第6,230,334号、ならびにPCT国際公開第99/66139号および第99/66140号はすべて、水を噴出させるたびに液体作用物質を瓶から噴出水に投入するために便器のリムからつり下げることが可能な洗浄および/または清浄化装置を開示している。これらの、便器のリム下に配置される装置の場合、液体作用物質は、リザーバから下に向かって(便器リムからつり下げられた台座で支持されている)ディスペンサプレートに吐出される。この装置は、便器からの噴出水の流れが噴出時にディスペンサプレートに当たるように、便器リムからつり下げられる。噴出水は、ディスペンサプレート上の液体作用物質を便器内に運び、便器を洗浄および清浄化する。
【0005】
他の便器用ディスペンサは、一定量のエアロゾル脱臭剤および/または洗剤を、便器リムに取り付けられた導管を通して便器内に供給する。たとえば、米国特許第3,178,070号は、ブラケットで便器リムに取り付けられて、リムの上に管が延びるエアロゾル容器を開示しており、米国特許第6,029,286号および第5,862,532号は、流体の加圧リザーバと、流体源に接続された導管と、便器リムに取り付けられた噴霧ノズルとを含む便器用ディスペンサを開示している。
【0006】
これらの既知の便器リム型ディスペンサ装置の弱点の1つは、これらの装置が、脱臭剤および/または洗剤を、便器内の水の一か所、または、便器内の水または便器の内側表面の、限定された範囲にしか当てることができない点である。結果として、便器の内側表面の洗浄は、便器の、装置のそばの範囲に限定される可能性がある。
【0007】
本発明の所有者が所有する米国特許出願第11/312281号は、いろいろ示している中で特に、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する、自動または手動の便器洗浄装置について説明している。その出願で例示されている一実施形態では、流体導管の下流端部が、流体を外に向けて噴霧して便器の内側表面に当てることが可能な回転ノズルの中で終わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4777670号
【特許文献2】米国特許第6178564号
【特許文献3】米国特許第6230334号
【特許文献4】米国特許第3178070号
【特許文献5】米国特許第6029286号
【特許文献6】米国特許第5862532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
米国特許出願第11/312281号の装置によって提供される技術の進歩を踏まえて、この技術をさらに改良することは、消費者の利益になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先述の要件は、化学物質を便器内に吐出する、本発明による便器洗浄および/または脱臭装置によって満たすことが可能である。用語「化学物質」は、1つの化学成分、または複数の化学成分の混合物を意味する。様々な洗浄および/または脱臭用化学物質が、本発明による便器洗浄装置での使用に好適である。本発明による便器洗浄および/または脱臭装置は、適切な化学物質およびディスペンサシステムを含む。本明細書においては、用語「洗浄」は、「殺菌」および/または「消毒」も含み、用語「脱臭」は、「清浄化」も含む。
【0011】
化学物質に関して言えば、便器を洗浄および清浄化するために、便器の内側表面および/または便器内の水に、化学物質を直接当てる。便器の内側表面に当てる場合、化学物質は、典型的には、液体(単一種類または複数種類の化学物質)である。便器内の水に加える場合も、化学物質は、予防策として動作させるため、または、便器を自動的に洗浄するように働く環境を形成するために加える液体(単一種類または複数種類の化学物質)であることが可能である。
【0012】
ディスペンサシステムに関して言うと、ディスペンサシステムは、洗浄プロセスを実施するために便器の内側表面に適切な化学物質を当てる手段であるいくつかのサブシステムを含む。ディスペンサシステムは、(i)化学物質貯蔵容器、(ii)化学物質推進システム、(iii)化学物質吐出システム、および(iv)便器接続手段を含むことが可能であり、これらに限定されない。
【0013】
化学物質貯蔵容器は、便器の洗浄に用いる化学物質を保持および貯蔵する。限定ではない例として、トリガ式噴霧器において見られるような、標準的なプラスチック瓶がある。
【0014】
化学物質推進システムは、化学物質に適切なエネルギーを与えて、吐出システム内を移動させ、化学物質が貯蔵容器から便器内の適切な範囲まで移動できるようにする方法を提供する。このサブシステムの例として、液体を移動させるポンプあるいはポンプ機構があり、これは、たとえば、ベインポンプ、ふいごポンプ、インペラ駆動ポンプ、ピストンポンプ、蠕動ポンプ、ギア駆動ポンプなどである。
【0015】
化学物質吐出システムは、化学物質を、その貯蔵容器から便器内の適切な範囲へ移動させる方法を提供する。この吐出サブシステムは、ホースおよび噴霧器(たとえば、ノズル)を含むことが可能である。
【0016】
便器接続手段は、ホースを邪魔にならないようにし、ホースが折れ曲がらないようにし、噴霧ノズルを便器リムまたは便器蓋の所定位置に固定するための、便器への取り付けの手段および方法を提供する。
【0017】
これらのサブシステムは、連係して動作して(所定量の)適切な化学物質を吐出することにより、所望の消費者利益を提供する。
【0018】
したがって、一態様では、本発明は、エンクロージャの壁の内側表面に流体を噴霧する装置を提供する。エンクロージャは、バスタブ、シャワー、便器などのいずれかであってよい。本装置は、流体の容器と、流体噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に流体を噴霧することが可能な、その流体噴霧器と、流体噴霧器を、エンクロージャの壁の内側表面のそばに取り付ける手段と、容器および流体噴霧器と流体連通している流体導管と、手動ポンプの動作時に流体を容器から流体導管を介して流体噴霧器に供給する、その手動ポンプと、を含むことが可能である。「手動」ポンプは、空気圧駆動式装置(たとえば、ガスが充填された缶)や電気的装置(たとえば、バッテリ給電式またはAC給電式の装置)ではなく手または足で操作するポンプを意味する。
【0019】
本発明の一形態では、ポンプは、容器と流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバと流体連通し、流体導管と流体連通している吐出導管と、ポンプチャンバ内を往復することにより、流体を、容器からポンプチャンバに引き込み、ポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管へ移動させるピストンと、を含む。ポンプはさらに、ポンプチャンバ内でピストンを手動で往復させるための、ピストンと接触している操作部を含むことが可能である。操作部は、ピストンに対してほぼ直角の旋回トリガまたは横材であってよい。
【0020】
ポンプはさらに、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作でポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管に移動する流体の量を調節する手段を含むことが可能である。ポンプはさらに、流体導管と吐出導管との間にチェック弁を含むことが可能である。一形態では、ポンプチャンバは、容器の垂直軸と同じ線上または平行な方向を向いている。一例では、本装置は、便器の内側表面に噴霧し、ポンプは、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作で約5〜10ミリリットルの流体を流体噴霧器に供給する。別の例では、本装置は、シャワーエンクロージャの内側表面に噴霧し、ポンプは、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作で最大約50〜60ミリリットルの流体を流体噴霧器に供給する。
【0021】
本発明の一形態では、流体噴霧器は、流体噴霧器の周辺全体にわたって横方向に流体を噴霧できるように構成される。流体噴霧器は、回転ノズルであってよい。一形態では、ノズルは、偏向板と、ノズルの上端にある流体注入口と、流体注入口と偏向板との間を延びる通路と、通路の下端と流体連通している溝と、溝の両側に位置して、偏向板から上方に延びる、一対のフィンと、を含む。フィンに流体が当たることによって、ノズルが回転し、流体噴霧器の周辺全体にわたって横方向に流体が噴霧される。
【0022】
本発明の一形態では、流体噴霧器をエンクロージャの壁の内側表面のそばに取り付ける手段は、ベースと、エンクロージャの壁のそばでベースを支持するように構成されたフックと、流体噴霧器をベースに取り付ける手段と、を含む。流体噴霧器をベースに取り付ける手段は、ベースから延びるアームであってよい。
【0023】
別の態様では、本発明は、便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置を提供する。本装置は、化学物質の容器と、噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に化学物質を噴霧することが可能な、その噴霧器と、便器のリムのそばに噴霧器を取り付ける手段と、容器および噴霧器と流体連通している流体導管と、手動ポンプの動作時に化学物質を容器から流体導管を介して噴霧器に供給する、その手動ポンプと、を含む。
【0024】
本発明の一形態では、ポンプは、容器と流体連通しているポンプチャンバと、ポンプチャンバと流体連通し、流体導管と流体連通している吐出導管と、ポンプチャンバ内を往復することにより、化学物質を、容器からポンプチャンバに引き込み、ポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管へ移動させるピストンと、を含む。ポンプは、ポンプチャンバ内でピストンを手動で往復させるための、ピストンと接触している手動式または足動式操作部を含むことが可能である。ポンプはさらに、ポンプチャンバ内でのピストンの1回の動作でポンプチャンバから吐出導管を介して流体導管に移動する化学物質の量を調節する手段を含むことが可能である。
【0025】
本発明の一形態では、噴霧器は、噴霧器の周辺全体にわたって横方向に化学物質を噴霧できるように構成される。一形態では、便器のリムのそばに噴霧器を取り付ける手段は、ベースと、便器のリムのそばでベースを支持するように構成されたフックと、噴霧器をベースに取り付ける手段と、を含む。噴霧器は、流体注入口および偏向板を有するノズルを含むことが可能であり、流体注入口は、流体導管および偏向板と流体連通しており、流体注入口からの化学物質が偏向板に当たって偏向板が回転することにより、噴霧器の周辺全体にわたって横方向に化学物質が噴霧され、便器の内側表面の全周にわたって化学物質が噴霧される。
【0026】
したがって、本発明の利点は、便器の全周にわたって便器の内側表面を洗浄する便器洗浄装置を提供することである。本装置は、光沢を強化し、生物膜、かび、および/または白かびの成長を阻止することにより、便器全体を清潔にする。本装置は、しみ(硬水、石灰かす、金属、有機物)、かび、白かび、微生物、におい、およびバクテリアを除去または排除する液体を吐出することが可能である。本装置は、便器全体に噴霧することが可能であり、便器の1つの狭い範囲だけに限定されない。
【0027】
これらおよび他の、本発明の特徴、態様、および利点は、以下の詳細説明、図面、および添付クレームを検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】便器に取り付けられた、本発明の一実施形態による便器洗浄装置の斜視図である。
【図2】図1の便器洗浄装置のクリップおよび噴霧ノズルを示す、図1の線2−2に沿った部分の斜視図である。
【図3】図2のクリップの内部の一部を示す切り欠きを有する側面図である。
【図4】図2のクリップの背面斜視図である。
【図5】図2のクリップのフックを示す正面図である。
【図6】図2のクリップの一部分の背面図である。
【図7】回転した後の向き(一点鎖線)および回転していない向き(実線)のクリップを示す、図2のクリップの正面図である。
【図8】図3の線8−8に沿った、クリップの噴霧器の一部分の上面図である。
【図9】流体を容器から本発明の噴霧器に注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプの斜視図である。
【図10】図9の流体ディスペンサポンプの垂直断面図である。
【図11】流体を容器から本発明の噴霧器に注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプの正面図である。
【図12】図11の線12−12に沿った、図11の流体ディスペンサポンプの流体吐出システムの詳細垂直断面図である。
【図13】流体を容器から本発明の噴霧器に注入することに使用可能な、さらに別の流体ディスペンサポンプの詳細垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下で図面を説明する場合、複数の図面にわたる類似の要素については類似の参照符号を用いる。
【0030】
本発明は、便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置を提供する。以下、図面を参照しながら、本発明の各種実施形態を説明する。それらの実施形態は、例示を目的として図示および説明されるものであって、本発明をいかなるかたちでも限定するものではない。
【0031】
図1および2は、便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置の一例示的実施形態を示す。本装置は、エンクロージャ(ここでは便器12)に取り付けるためのクリップ10を含んでいる。クリップ10は、フック16によって、便器12のリム14に固定されている。ベース18が、フック16で支持され、流体噴霧器(ここでは噴霧ノズル20)を収容している。流体が、容器22から流体導管24を介してノズル20に供給され、便器12の内側表面26に一定量が当てられる。流体は、後で詳述する様々なタイプの手動ポンプによって、容器22から流体噴霧器に供給可能である。
【0032】
図3、4、および5を参照すると、フック16は、ベース18を支持し、クリップ10を便器12に取り付け、3つの主要部分を有する。それらは、便器部分28、上部リム部分30、および内側リム部分32である。3つの部分28、30、32のすべてが、好ましくは、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から一体成形されて、フレキシブルフック16を形成する。便器部分28は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12へのクリップ10の固定を支援するために、エラストマー製リブ37が付いた、フレアー形のエラストマー製把持用足部34を下端に有する。把持用足部34およびリブ37に好適なエラストマー材料としては、ネオプレン、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどがあり、これらに限定されない。便器部分28は、ほぼ垂直に上方に延びて、フレキシブル肘部35において上部リム部分30とつながっている。フレキシブル肘部35により、フック16は、主に(図3に示した)F−F方向に曲がることによって、クリップ10を様々な形状およびサイズの便器に固定することが可能である。上部リム部分30は、ほぼ長方形の断面を有し、便器12のリム14の端から端まで水平方向に延びており、別のフレキシブル肘部36で内側リム部分32とつながり、ここでもフレキシブル肘部36によってフック16を曲げることが可能である。内側リム部分32は、肘部36から垂直に下方に延び、ベース18を連結して支持するように構成されている。
【0033】
フック16の内側リム部分32は、前面38と背面40とが、2つの短い側面42でつながれている。内側リム部分32の背面40からリブ44が突出し、内側リム部分32の長さだけ延びている。後で詳述するように、リブ44は、フック16に対するベース18の回転角度を制限する。本例示的実施形態のリブ44は、ほぼ長方形の断面を有するが、リブ44は、湾曲断面であっても、方形断面であっても、互いに離れている2つの部材で構成されていても、それ以外であってもよい。さらに、リブ44は、ベース18の所望の調節可能範囲にわたってベース18と連結されていれば、内側リム部分32の長さまで延びていなくてもよい。短い側面42は、ラチェット歯46を有し、ラチェット歯46は、ベース18と連結されて、ベース18の垂直方向の動きを、垂直軸48に沿うように制限する。他の制限(たとえば、フック16とベース18との間の摩擦嵌合など)も可能である。
【0034】
便器部分28および上部リム部分30は、一連のC字形溝50を含んでおり、溝50は、導管24がフック16の周辺部を引き回されてベース18のノズル20に達するように、導管24を拘束している。本実施形態の便器部分28は、開口部が互い違いである3つのC字形溝50を含んでいる。導管24は、C字形溝50に押し込まれているが、溝50は、導管24を拘束するために長方形または他の任意の好適な形状であってよい。上部リム部分30では、好ましくは1つの溝50が導管24の引き回しを支援するが、必要に応じて複数の溝50を用いてよい。
【0035】
図3、4、および6を参照すると、ベース18は、背面52と、背面52から前方に延びる、互いに離れている一対の側面54と、側面54の間に延びる上面56および前面58と、側面54、上面56、および前面58の間に延びる曲面60と、を有している。面52、54、56、58、60は、ノズル20の一部を収容する部分キャビティ62を定義している。ベース18は、ベース18の背面52から後方に延びるタブ53を有している。タブ53は、後述するように、クリップ10が便器12に取り付けられる際に、リム14に対するベース18の方向づけを支援する。タブ53は、本例示的実施形態に示すように、連続した1つの部材であってよい。代替として、タブ53は、ベース18から延びる複数の部材を含んでもよい。ベース18は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。
【0036】
図6を重点的に参照すると、ベース18は、フック16の内側リム部分32を受ける溝64を含んでいる。溝64は、リブ44を受けるスリット66を含んでおり、スリット66は、入口68、出口70、および中間部72を有している。スリット66の幅は、入口68から中間部72にかけて狭まっており、中間部72から出口70にかけて広がっている。一実施形態では、中間部72は、入口68と出口70とのほぼ中間にあるが、最も狭くなる箇所は、入口68と出口70との中間でなくてもよく、スリット66の両端の間のどこにあってもよい。さらに、スリット66の最大幅は、フック16に対するベース18の所望の調節度合に応じて異なってよい。ベース18の所望の回転調節度合がより大きければ、入口68および出口70におけるスリット66の最大幅を増やすことが可能であり、代替として(または追加で)リブ44の幅を減らすことが可能である。
【0037】
溝64は、溝64の短い側面65の壁から延びる一対の突起74を含んでおり、突起74は、フック16の内側リム部分32が溝64内をスライドするときにフック16のラチェット歯46と噛み合う。突起74は、ラチェット歯46と噛み合うことによって、ベース18がフック16に対して垂直方向に滑ることを抑えるように構成されている。突起74は、丸みのある形状、とがった形状、または他の好適な形状であってよい。この所望の制限は、他の多くの構造によって提供可能であり、たとえば、バネ仕掛けの玉が、溝64内に形成されたキャビティに収容されていて、溝64の外形(たとえば、ラチェット歯46)に対して押し出される構造によって可能である。突起74とラチェット歯46との噛み合いは、突起74とラチェット歯46との噛み合いが外れることなくベース18の所望の回転(後述)が可能であるように行われる。
【0038】
ベース18はさらに、ノズル20を取り付ける手段を含んでいる。本例示的実施形態では、ノズル20は、流体注入口80とバレル78との間で横方向に拘束されている。ベース18は、ベース18から下方に延びるアーム76を含んでいる。アーム76は、J字形に曲がって先に延びる平棒を有し、アーム76の遠位端にバレル78がある。バレル78は、ノズル20の底部を受けるくぼみを含んでいる。さらに、ベース18の曲面60の中に流体注入口80があり、流体注入口80は開口部から先細りになっている(図3参照)。流体注入口80とバレル78との組み合わせによって、ノズル20の横方向の動きが制限されているが、ノズル20がノズル軸82のまわりを回転することは可能である。クリップ10を取り巻く環境を感知するセンサ98を、ベース18に取り付けることが可能である。
【0039】
図8を参照して、ノズル20の一例示的実施形態を説明する。ノズル20は、プラスチック(たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン)から成形することが好ましい。ノズル20は、円形偏向板84と、偏向板84から上方に延びていて流体注入口80と流体連通している通路86とを含んでいる。偏向板84のそばの通路86から半径方向に外に向かって溝88が延びており、溝88は、図8に示すように、点Aで、溝88の最初の通り道から曲げられている。溝88の両側に、偏向板84から上方に延びる一対のフィン90が位置する。溝88およびフィン90の外形は、ノズル20の所望の回転速度、流体の圧力などに応じて様々であってよい。
【0040】
図3および8に最も明確に示すように、偏向板84の下側から延びるスピンドル92をアーム76のバレル78のくぼみに差し込むことによって、かつ、流体注入口80の先細った端部を通路86に差し込んで、通路86内に形成された棚状突起94に当てることによって、ノズル20は、ベース18内で横方向に拘束されている。ノズル20は、ノズル軸82のまわりを自由に回転するが、横方向の動きは抑えられている。
【0041】
流体噴霧器を取り付ける手段は、アーム76を使用せずに、ノズル20をベース18からつり下げることを含んでよい。ノズル20は、ベース18にパチンとはめ込んでもよく、ベース18にねじ留めしてもよく、ベース18に押し込んでもよい。さらに、ベース18から弧状アーム(図示せず)を延ばしてノズル20を支持してもよい。
【0042】
稼働時には、流体は、容器22から、フック16に沿って溝50内を引き回された導管24を通って、ベース18の流体注入口80に移動する。流体は、ノズル20の上部に流れ込み、通路86を下り、溝88によって半径方向に外へ向けられる。流体が溝88を出ると、流体の経路は、溝88の両側に位置する、角度を付けられたフィン90によって変更される。その反動によって、ノズル20は、図8に見られるように、反時計回りに回転する。結果として、流体は、ノズル20から半径方向に外に向けて吐出され、便器12の内側表面26に当たる。
【0043】
流体吐出装置の全体的な構造および動作について説明したが、次に、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲を、ベース18を回転させて調節する手段に着目する。図4および6に戻り、かつ、図7を参照すると、ベース18は、垂直軸48とベース18の背面52とで定義される面からほぼ垂直に延びる水平軸96のまわりを、フック16に対して回転することが可能である。溝64に形成されたスリット66は、入口68および出口70においてフレアー状になっている。これにより、ベース18は、フック16から突出しているリブ44が、背面52に形成されたスリット側面45に当たるまで、中間位置72の近辺で、水平軸96のまわりを回転することが可能になる。
【0044】
たとえば、図7を参照すると、ベース18が垂直軸48に対して(一点鎖線で示すように)角度R1だけ回転した場合、ノズル20の相対的な配置は、それに応じて角度が付き、これによって、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が変化する。さらに、ベース18が反対方向に角度R2だけ回転すると、ノズル20から一定量供給される流体によってカバーされる範囲が再度変化する。ベース18が回転するにつれて、突起74は、ラチェット歯46のそれぞれの歯の中で滑る。従って、突起74とラチェット歯46との噛み合いは、ベース18を自由に回転させながら、なおかつ、ベース18の垂直方向の動きを抑えるものでなければならない。このように回転を調節することにより、クリップ10は、様々な形状の便器およびエンクロージャに対応することが可能になる。
【0045】
ベース18を回転させる手段は、前述したスリット66を含まなくてもよい。たとえば、背面52は、フック16のリブ44の回転を制限するために、何対かの対向するフィンガーを、背面52で定義された面に含むことが可能である。入口そばの対向するフィンガーの対の間の開口、ならびに出口そばの対向するフィンガーの対の間の開口は、入口のフィンガーと出口のフィンガーとの間に位置する、対向するフィンガーの対の間の開口より大きい。結果として、ベース18は、リブ44が入口および出口のそばのフィンガーと噛み合うまで回転可能である。別の実施形態では、スリット66は、入口から出口にかけて(または出口から入口にかけて)先細るV字形であることが可能である。したがって、ベース18の回転点は、スリット66の出口のそば、または、入口および出口のうちの小さい方のそばにある。この場合も、ベース18の回転は、リブ44とスリット側面45との噛み合いによって制限される。
【0046】
ベース18の回転調節は、クリップ10のユーザが手動で行ってもよく、クリップ10をエンクロージャ(ここでは便器12)に取り付ける際に自動で行われてもよい。図1〜4、6、および7を全体的に参照すると、クリップ10の取り付け方法は、おおむね次のとおりである。便器12のリム14にクリップ10を固定する。そのためには、フック16をベース18から離すようにF−F方向に押し広げて、クリップ10をリム14にかぶせる。フック16を固定したら、タブ53がリム14の下側と嵌合するまで、ベース18を、垂直軸48に沿って、フック16およびラチェット歯46の上方へスライドさせる。ベース18のタブ53はリム14の下側と嵌合し続けるため、ベース18は、水平軸96のまわりを回転し、これによって、ノズル20がリム14の下側の面と並び、ノズル20からの流体が確実に便器12の内側表面26に一定量供給されることを支援する(リム14の下側の面は、リム14の上部側面によって定義される面と平行であると仮定している)。タブ53はさらに、タブ53の遠位端から突出するエラストマー製把持部51を含むことが可能であり、把持部51は、ベース18をリム14上の嵌合位置に固定することを支援する。ベース18は、タブ53を含まなくてもよく、この実施形態では、ベース18は、ユーザが手動で回転させることによって、フック16に対して調節可能である。
【0047】
噴霧ノズル20を便器12のリム14のそばに固定するためのクリップ10について説明してきたが、容器から噴霧ノズル20へ流体を供給する様々な手動ポンプについても説明が可能である。図9および10は、容器122から(前述のように、噴霧ノズル20に流体を供給する)導管24へ流体を注入することに使用可能な流体ディスペンサポンプ120を示す。流体ディスペンサポンプ120は、図1に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ120は、従来のように、ねじ付き密封装置124で容器122に接続可能である。
【0048】
流体ディスペンサポンプ120は、ディスペンサヘッド126を含んでおり、ディスペンサヘッド126は、操作部を定義しており、吐出導管128を有している。ディスペンサヘッド126は、中空の管状ピストン130に接続されており、ピストン130の上端にボール弁132がある。ピストン130は、密封装置124の開口部に固定されているカラー134の中を平行移動する。流体ディスペンサポンプ120はさらに、アキュムレータ136を含んでおり、アキュムレータ136は、ポンプチャンバを定義しており、ハウジング138に収容されている。ピストン130の底部にある環状封止材140が、アキュムレータ136の内側表面142を封止している。ピストン130の下部ショルダ146とアキュムレータ136の下部ショルダ148との間に、圧縮コイルばね144が配置されている。アキュムレータ136の下端にボール弁150がある。アキュムレータ136はさらに、環状注入ポート152を有しており、環状注入ポート152は、容器122から流体を吸引する浸漬管154を受けている。アキュムレータ136の方向は、容器122の垂直(長手方向)軸と同一直線上にある。
【0049】
図10は、ディスペンサヘッド126が上方位置にある様子を示している。ディスペンサヘッド126を手(または足)でその上方位置から方向Dに押し下げ、その後、解放すると、ピストン130の上昇に伴って流体が容器からアキュムレータ136に吸引される(この上昇は、ばね144の上向きのバイアス力によるものである)。ピストン130の下降および上昇が何度か繰り返されて、アキュムレータ136に十分な量の流体が溜まると、その後のピストン130の下降で、流体が上昇してボール弁132を通り越し、吐出導管128に出て行く。吐出導管128は、導管156と流体連通しており、導管156は、一方向チェック弁アセンブリ158を介して導管24と流体連通している。一方向チェック弁アセンブリ158は、図9に示した方向Wにのみ流体が流れるようにしている。導管24に入った流体は、前述のように、ノズル20によって、便器12の内側表面26に対して噴霧される。流体ディスペンサポンプ120の1回の下降によって供給される流体の量は、ポンプ部品(ピストン130やアキュムレータ136など)のサイズを変えることにより変えることが可能である。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ120は、ピストン130の1回の下降で8ミリリットルの流体を吐出する。流体圧力は、10〜20psi(69〜138キロパスカル)の範囲であることが可能である。
【0050】
図11および12は、容器222から(前述のように、噴霧ノズル20に流体を供給する)導管24へ流体を注入することに使用可能な、別の流体ディスペンサポンプ220を示す。流体ディスペンサポンプ220は、図1に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ220は、従来のように、ねじ付き密封装置224で容器222に接続可能である。
【0051】
流体ディスペンサポンプ220は、ピストン225を含んでおり、ピストン225は、操作部を定義している上側の末端把持部226を有している。ピストン225はさらに、ピストンヘッド228を有している。ピストン225は、中空シリンダ236に取り付けられたカラー234の中を平行移動し、シリンダ236は、ポンプチャンバを定義しており、密封装置224に固定されたベース238と一体化されている。ピストンヘッド228は、シリンダ236の内側表面242を封止している。ピストン225の末端把持部226の下部表面とカラー234の上部表面との間に、圧縮コイルばね244が配置されている。シリンダ236の方向は、容器222の垂直(長手方向)軸と平行である。
【0052】
ベース238は、注入ポート252と流体連通している中央マニホールド246を有しており、注入ポート252は、容器222から流体を吸引する浸漬管254を受けている。注入ポート252の上には、ピストン225の下降時に流体が容器222へ戻ることを防ぐボール弁255が設置されている。シリンダ236とマニホールド246は、流体通路256によって流体連通している。ベース238はさらに、中央マニホールド246と流体連通している吐出導管258を有している。カプリング262により、導管24を吐出導管258と流体連通させることが可能である。圧縮ばね266により、吐出導管258の弁シート265からボール弁264にバイアスがかかっている。ボール弁264は、ピストンの下降時に流体が吐出導管258から流れ出ることを可能にするとともに、ピストン225の上昇時に流体が中央マニホールド246に戻るのを防ぐ。
【0053】
図11は、ピストン225が上方位置にある様子を示している。ピストン225を手(または足)で方向Dに押し下げ、その後、解放すると、ピストン225の上昇に伴って流体が容器222からシリンダ236に吸引される(この上昇は、ばね244の上向きのバイアス力によるものである)。このようにして、ポンプ220に呼び水をする。ピストン225のその後の下降により、流体は、ボール弁264を通り越し、吐出導管24に出て行く。導管24に入った流体は、前述のように、ノズル20によって、便器12の内側表面26に対して噴霧される。
【0054】
ピストン225の1回の下降で供給される流体の量は、ピストン225の末端把持部226とカラー234との間の距離を調節することにより、変えることが可能である。ピストン225の下降具合を変える手段は、シャフト272、カラー274、および設定ねじ276を含んでいる。シャフト272は、ピストン225の末端把持部226の下側に取り付けられており、カラー274の開口部を平行移動させる。設定ねじ276は、カラー274の開口部のねじ山が付いた側にはめ込まれており、カラー274内のシャフト272を、設定ねじ276とシャフト272との接触により、動かなくすることが可能である。カラー274内でシャフト272を下方に動かして、設定ねじ276でシャフト272を動かなくすることにより、ピストン225の末端把持部226とカラー234との距離が縮まり、これによって、ピストン225の上昇時にシリンダ236に吸引される流体の量が少なくなる。一例示的実施形態では、流体ディスペンサポンプ220は、ピストン225の1回の下降で最大10ミリリットルの流体を吐出することが可能であり、5〜10ミリリットルを吐出することが好ましく、7〜8ミリリットルを吐出することが最も好ましい。
【0055】
図13は、容器322から(前述のように、噴霧ノズル20に流体を供給する)導管24へ流体を注入することに使用可能な、さらに別の流体ディスペンサポンプ320を示す。流体ディスペンサポンプ320は、図1に示すように、便器タンクの側面に取り付けることが可能であり、あるいは、便器タンクの上部に置いたり、床の上に置いたりすることも可能である。流体ディスペンサポンプ320は、従来のように、ねじ付き密封装置324で容器322に接続可能である。ディスペンサ320は、本体332と、本体332によって保持されている(または本体332内に形成された)噴霧機構とを有する。噴霧機構は、ピストン336と、ピストン336の面の上方にシリンダヘッド空間340を有するシリンダ338と、を含んでいる。シリンダヘッド空間340と流体連通しているポンプチャンバ342が、シリンダ338によって定義されている。ディスペンサ320はさらに、流体を容器322からチャンバ342に移送する浸漬管344を含んでいる。流体移送手段は、流体移送手段によって移送される流体がチャンバ342に向かう方向にのみ流れ、チャンバから遠ざかる方向には流れないことを可能にするボールチェック弁346を含んでいる。
【0056】
ディスペンサ320はさらに、指で操作するトリガ348を含んでおり、トリガ348は、操作部を定義しており、ピストン336をシリンダ338内で往復させることにより、シリンダヘッド空間340を交互に増減させて、液体をポンプチャンバ342に吸引させ、その液体をチャンバ342から吐出させる。ディスペンサ320はさらに、吐出マニホールド350、ならびに、チャンバ342と吐出マニホールド350とを流体連通させる吐出導管352を含んでいる。吐出導管352は、吐出チェック弁354を有しており、吐出チェック弁354は、流体が吐出マニホールド350に向かって移動し、チャンバ342には戻らないことを可能にする。流体は、吐出マニホールド350から導管24に流れ込む。導管24は、ノズルキャップ362の開口部359への圧入によって固定されている。導管24に入った流体は、前述のように、ノズル20によって、便器12の内側表面26に対して噴霧される。
【0057】
このように、本発明は、装置のノズルの周辺に横方向に化学物質を噴霧する便器洗浄装置を提供する。結果として、便器の内側表面全体を化学物質でカバーすることが可能である。
【0058】
様々な洗浄および/または脱臭用化学物質が、本発明による便器洗浄装置での使用に好適である。たとえば、米国特許第6,471,974号および第6,162,371号に記載されているような弱酸性および近中性pH抗菌成分が、本発明による便器洗浄装置で使用した場合に有利であることが可能である。米国特許第6,425,406号に記載されているようなアルカリ性抗菌便器洗浄製剤も、有利であることが可能である。米国特許第6,812,196号に記載されているようなアルカリ性抗菌便器洗浄製剤も、有利であることが可能である。鋼製容器および酸性調合物を用いる場合は、鋼製容器の酸性腐食を最小限に抑えるために、プラスチックの裏打ちがなされた鋼製容器や、周囲噴射ガスの袋を有する鋼製容器が望ましいであろう。アルミニウム製の容器も、酸性調合物のための一選択肢であろう。便器および/または便器内の水に対して適用する化学物質の量は、調合物の選択に応じて異なる。たとえば、乳酸、界面活性剤、および溶剤を含む酸性調合物の場合、化学物質の1回分の用量は、2〜10ミリリットルが適当であろう。前述の化学物質は、本発明による便器洗浄装置での使用に好適な洗浄および/または脱臭用化学物質の、限定ではない、説明的な例である。他の好適な化学物質として、たとえば、酵素、キレート化剤、腐食剤、アミノ酸などがある。
【0059】
特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば理解されるように、本発明は、説明した実施形態以外の実施形態によっても実施可能であり、説明した実施形態は、限定ではなく例示を目的として提示したものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に含まれている実施形態の記載に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、便器の内側表面、および/または便器内の水、および/または便器リムの下に洗浄および/または脱臭用化学物質を噴霧する便器洗浄装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置であって、
前記化学物質の容器と、
噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に前記化学物質を噴霧することが可能な前記噴霧器と、
前記便器のリムのそばに前記噴霧器を取り付ける手段と、
前記容器および前記噴霧器と流体連通している流体導管と、
手動ポンプの動作時に化学物質を前記容器から前記流体導管を介して前記噴霧器に供給する前記手動ポンプと、を備える装置。
【請求項2】
前記ポンプは、
前記容器と流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバと流体連通し、前記流体導管と流体連通している吐出導管と、
前記ポンプチャンバ内を往復することにより、化学物質を、前記容器から前記ポンプチャンバに引き込み、前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管へ移動させるピストンと、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポンプは、
前記ポンプチャンバ内で前記ピストンを手動で往復させるための、前記ピストンと接触している操作部をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ポンプは、
前記ポンプチャンバ内での前記ピストンの1回の動作で前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管に移動する前記化学物質の量を調節する手段をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記噴霧器は、前記噴霧器の周辺全体にわたって横方向に前記化学物質を噴霧できるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記便器の前記リムのそばに前記噴霧器を取り付ける前記手段は、
ベースと、
前記便器の前記リムのそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、
前記噴霧器を前記ベースに取り付ける手段と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
エンクロージャの壁の内側表面に流体を噴霧する装置であって、
前記流体の容器と、
流体噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に前記流体を噴霧することが可能な前記流体噴霧器と、
前記流体噴霧器を、前記エンクロージャの前記壁の前記内側表面のそばに取り付ける手段と、
前記容器および前記流体噴霧器と流体連通している流体導管と、
手動ポンプの動作時に流体を前記容器から前記流体導管を介して前記流体噴霧器に供給する前記手動ポンプと、を備え、前記ポンプは、
前記容器と流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバと流体連通し、前記流体導管と流体連通している吐出導管と、
前記ポンプチャンバ内を往復することにより、流体を、前記容器から前記ポンプチャンバに引き込み、前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管へ移動させるピストンと、を備える、装置。
【請求項8】
前記ポンプは、
前記ポンプチャンバ内での前記ピストンの1回の動作で前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管に移動する前記流体の量を調節する手段をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ポンプは、
前記流体導管と前記吐出導管との間にチェック弁をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ポンプチャンバは、前記容器の垂直軸と同じ線上または平行な方向を向いている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記ポンプは、前記ポンプチャンバ内での前記ピストンの1回の動作で約50ミリリットル以上の流体を前記流体噴霧器に供給することが可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記流体噴霧器は、前記流体噴霧器の周辺全体にわたって横方向に前記流体を噴霧できるように構成された、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルは回転ノズルであって、前記ノズルは、
偏向板と、
前記ノズルの上端にある流体注入口と、
前記流体注入口と前記偏向板との間を延びる通路と、
前記通路の下端と流体連通している溝と、
前記溝の両側に位置し、前記偏向板から上方に延び、前記流体が当たると前記ノズルを回転させる、一対のフィンと、を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
前記流体噴霧器を前記エンクロージャの前記壁の前記内側表面のそばに取り付ける前記手段は、
ベースと、
前記エンクロージャの前記壁のそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、
前記流体噴霧器を前記ベースに取り付ける手段と、を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記流体噴霧器を前記ベースに取り付ける前記手段は、
前記ベースから延びるアームを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項1】
便器の内側表面に化学物質を噴霧する装置であって、
前記化学物質の容器と、
噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に前記化学物質を噴霧することが可能な前記噴霧器と、
前記便器のリムのそばに前記噴霧器を取り付ける手段と、
前記容器および前記噴霧器と流体連通している流体導管と、
手動ポンプの動作時に化学物質を前記容器から前記流体導管を介して前記噴霧器に供給する前記手動ポンプと、を備える装置。
【請求項2】
前記ポンプは、
前記容器と流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバと流体連通し、前記流体導管と流体連通している吐出導管と、
前記ポンプチャンバ内を往復することにより、化学物質を、前記容器から前記ポンプチャンバに引き込み、前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管へ移動させるピストンと、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポンプは、
前記ポンプチャンバ内で前記ピストンを手動で往復させるための、前記ピストンと接触している操作部をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ポンプは、
前記ポンプチャンバ内での前記ピストンの1回の動作で前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管に移動する前記化学物質の量を調節する手段をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記噴霧器は、前記噴霧器の周辺全体にわたって横方向に前記化学物質を噴霧できるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記便器の前記リムのそばに前記噴霧器を取り付ける前記手段は、
ベースと、
前記便器の前記リムのそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、
前記噴霧器を前記ベースに取り付ける手段と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
エンクロージャの壁の内側表面に流体を噴霧する装置であって、
前記流体の容器と、
流体噴霧器の周辺の少なくとも途中まで横方向に前記流体を噴霧することが可能な前記流体噴霧器と、
前記流体噴霧器を、前記エンクロージャの前記壁の前記内側表面のそばに取り付ける手段と、
前記容器および前記流体噴霧器と流体連通している流体導管と、
手動ポンプの動作時に流体を前記容器から前記流体導管を介して前記流体噴霧器に供給する前記手動ポンプと、を備え、前記ポンプは、
前記容器と流体連通しているポンプチャンバと、
前記ポンプチャンバと流体連通し、前記流体導管と流体連通している吐出導管と、
前記ポンプチャンバ内を往復することにより、流体を、前記容器から前記ポンプチャンバに引き込み、前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管へ移動させるピストンと、を備える、装置。
【請求項8】
前記ポンプは、
前記ポンプチャンバ内での前記ピストンの1回の動作で前記ポンプチャンバから前記吐出導管を介して前記流体導管に移動する前記流体の量を調節する手段をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ポンプは、
前記流体導管と前記吐出導管との間にチェック弁をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ポンプチャンバは、前記容器の垂直軸と同じ線上または平行な方向を向いている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記ポンプは、前記ポンプチャンバ内での前記ピストンの1回の動作で約50ミリリットル以上の流体を前記流体噴霧器に供給することが可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記流体噴霧器は、前記流体噴霧器の周辺全体にわたって横方向に前記流体を噴霧できるように構成された、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルは回転ノズルであって、前記ノズルは、
偏向板と、
前記ノズルの上端にある流体注入口と、
前記流体注入口と前記偏向板との間を延びる通路と、
前記通路の下端と流体連通している溝と、
前記溝の両側に位置し、前記偏向板から上方に延び、前記流体が当たると前記ノズルを回転させる、一対のフィンと、を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
前記流体噴霧器を前記エンクロージャの前記壁の前記内側表面のそばに取り付ける前記手段は、
ベースと、
前記エンクロージャの前記壁のそばで前記ベースを支持するように構成されたフックと、
前記流体噴霧器を前記ベースに取り付ける手段と、を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記流体噴霧器を前記ベースに取り付ける前記手段は、
前記ベースから延びるアームを備える、請求項14に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−530037(P2010−530037A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507418(P2010−507418)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/005716
【国際公開番号】WO2008/137100
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/005716
【国際公開番号】WO2008/137100
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】
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