説明

便器洗浄装置及びその排水管詰り検出方法

【課題】
排水管の詰りを検出することができる便器洗浄装置及び同装置による排水管詰り検出方法を提供する。
【解決手段】
便器に対し洗浄水を供給可能とするバルブと、このバルブを開弁又は閉弁する制御手段と、送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するドップラーセンサとを備えた便器洗浄装置において、ドップラーセンサにより生成された前記差分信号の周波数及び振幅に基づいて、便器のトラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出する溜水検出手段を備え、制御手段は、バルブを開弁制御した後、溜水検出手段の検出状態に基づいて排水管の詰りを検出する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
バルブを開弁及び閉弁することによって洗浄水を便器へ供給し、便器内部を洗浄する便器洗浄装置及び、同便器洗浄装置における排水管詰り検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、小便器においては、小便器内へ洗浄水を供給することによって、小便器内の洗浄を自動で行うものがあり、その洗浄水の供給は、所定の時間ごとに行うものや小便器利用者が小用した後に行うものなどが存在している。
【0003】
特に近年、人体検出手段を用いて便器の使用者を検出し、便器の使用者を検出するたびに便器内への洗浄水の供給を行なう便器洗浄装置が主流になってきている。例えば、このような便器洗浄装置として、反射型の非アクティブセンサによりある一定期間人がいることを検出後、人がいなくなったことを検出した時に洗浄水を便器内へ供給するものがある。
【0004】
また、最近では、マイクロ波センサや水位センサを用いて利用者の小用を検出して便器内へ洗浄水を供給する便器洗浄装置が提案されてきている。
【0005】
例えば、マイクロ波センサを用いた便器洗浄装置では、送信したマイクロ波の周波数とその反射波の周波数との差分周波数からパワースペクトラムを求め、このパワースペクトラムのピーク値が所定の閾値以上に上昇し、一定期間その状態が継続した場合に小用したと判断し、便器内に洗浄水を供給するようにしている。
【0006】
また、水位センサを用いた便器洗浄装置では、便器のトラップ内の水位の変化を検出し、その水位変化量に応じて利用者の小用を検知し、便器内に洗浄水を供給するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このように人体検知手段を用いて小便器内を自動洗浄する場合、便器の使用者は洗浄水放出のために操作ボタン等を操作する必要がないことから衛生的であり、また使用者による操作が行われないことによって小便器内の洗浄がなされないといったことを防ぐことができることから、小便器を常に清浄に保つことができる利点がある。
【特許文献1】特開平7−189315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、反射型の非アクティブセンサやマイクロ波センサを用いた便器洗浄装置では、便器に接続された配管が詰まった状態であっても、利用者が便器を利用するたびに便器内へ洗浄水を供給しているため、便器内に洗浄水を供給すると便器から洗浄水が溢れるといった問題が生じる。
【0009】
この配管詰りの要因としては、利用者の尿に含まれているカルシウムが配管内に徐々に析出して尿石となり、この尿石が配管を塞いでしまうことが考えられる。
【0010】
この尿石は、銀イオンにより溶解されることが一般に知られている。
【0011】
そこで、マイクロ波センサを用いた便器洗浄装置において、マイクロ波センサにより人体を検出するのに加え、尿流量をマイクロ波センサで検出し、その尿流量に応じた量の銀イオンを含む洗浄水を供給することによって、配管詰りを防止することも考えられるが、尿に含まれるカルシウムの量には個人差があるため、完全に配管詰りを防止するができず、結果として便器から洗浄水が溢れることとなってしまう。
【0012】
一方、水位センサを用いた便器洗浄装置では、排水管を共用している他の便器が使用されて排水管に汚水が排出されると、これに伴って排水管内に風圧が生じ、使用されていない便器のトラップ内の水位が変化する。
【0013】
この水位の変化を使用されていない便器洗浄装置の水位センサが検出して誤作動し、無駄に洗浄水を供給してしまうといった問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、請求項1に係る本発明では、便器に対し洗浄水を供給可能とするバルブと、このバルブを開弁又は閉弁する制御手段と、送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するドップラーセンサとを備えた便器洗浄装置において、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数及び振幅に基づいて、便器のトラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出する溜水検出手段を備え、制御手段は、バルブを開弁制御した後、溜水検出手段の検出状態に応じた制御を行うこととした。
【0015】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の便器洗浄装置において、洗浄水の供給流路に銀電極を設け、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、銀電極への通電制御を行い、便器に銀イオンを含む洗浄水を供給することを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に係る本発明では、請求項2に記載の便器洗浄装置において、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に応じた通電時間により、銀電極への通電を行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、バルブを制御して洗浄水を供給するたびに、溜水検出手段の検出状態をそれぞれ記憶する記憶手段を備え、制御手段は、記憶手段に記憶した複数の検出状態に変化がないと判定すると、次回の洗浄水の供給量を増加させるようにバルブを制御することを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、制御手段は、バルブを開弁した後、溜水検出手段の検出状態が所定量以上の溜水面の揺れであると判定すると、溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、バルブの閉弁制御を行い、洗浄水の供給を停止することを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に係る本発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数に基づいて、便器と人体との接近又は離反を検出する人体検出手段と、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数に基づいて、尿流を検出する尿流検出手段と、を備え、制御手段は、尿流検出手段又は人体検出手段の検出結果に応じてバルブを開弁制御し、洗浄水を便器へ供給することを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に係る本発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、制御手段は、便器洗浄装置が一定期間使用されないと、バルブを開弁制御し、洗浄水を便器へ供給することを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に係る本発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、便器に接続された排水管の詰りを報知する報知手段を備え、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に基づいて排水管の詰りを検出した場合に、報知手段に報知させる制御を行うことを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に係る本発明において、バルブを開弁及び閉弁することによって洗浄水を便器へ供給し、便器内部を洗浄する便器洗浄装置における排水管詰り検出方法であって、バルブを開弁して洗浄水を便器へ供給するステップと、便器のトラップ又はボールへ向けて送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するステップと、差分信号の周波数及び振幅に基づいて、トラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出するステップと、溜水面揺れの検出結果に基づいて排水管の詰りを検出するステップとにより、排水管の詰りを検出することとした。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、以下に記載するような効果を奏する。
【0024】
そこで、請求項1に係る本発明では、便器に対し洗浄水を供給可能とするバルブと、このバルブを開弁又は閉弁する制御手段と、送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するドップラーセンサとを備えた便器洗浄装置において、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数及び振幅に基づいて、便器のトラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出する溜水検出手段を備え、制御手段は、バルブを開弁制御した後、溜水検出手段の検出状態に応じた制御を行うこととしたため、配管が詰まった状態で便器内に洗浄水を供給してしまい、便器から洗浄水が溢れるといった問題が生じることがなく、排水管を共用している他の便器が使用されて排水管に汚水が排出された場合であっても、便器に無駄な洗浄水を供給してしまうといった問題が生じることがない。
【0025】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の便器洗浄装置において、洗浄水の供給流路に銀電極を設け、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、銀電極への通電制御を行い、便器に銀イオンを含む洗浄水を供給することを特徴とするため、排水管が詰まった場合に、排水管詰りの原因と考えられる尿石を銀イオンを含んだ洗浄水により溶解して、排水管の詰りを解消することができる。
【0026】
また、請求項3に係る本発明では、請求項2に記載の便器洗浄装置において、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に応じた通電時間により、銀電極への通電を行うことを特徴とするため、無駄な電力を消費することなく的確に排水管の詰りを解消することができる。
【0027】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、バルブを制御して洗浄水を供給するたびに、溜水検出手段の検出状態をそれぞれ記憶する記憶手段を備え、制御手段は、記憶手段に記憶した複数の検出状態に変化がないと判定すると、次回の洗浄水の供給量を増加させるようにバルブを制御することを特徴とするため、排水管詰りの解消を促進させることができる。
【0028】
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、制御手段は、バルブを開弁した後、溜水検出手段の検出状態が所定量以上の溜水面の揺れであると判定すると、溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、バルブの閉弁制御を行い、洗浄水の供給を停止することを特徴とするため、排水管にゴミなどの異物が詰まった場合などのように、銀イオンを含んだ洗浄水を供給するだけでは解消できない排水管詰りが発生した場合に、洗浄水の供給を停止して、便器から洗浄水が溢れ出すことを防止することができる。
【0029】
また、請求項6に係る本発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数に基づいて、便器と人体との接近又は離反を検出する人体検出手段と、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数に基づいて、尿流を検出する尿流検出手段と、を備え、制御手段は、尿流検出手段又は人体検出手段の検出結果に応じてバルブを開弁制御し、洗浄水を便器へ供給することを特徴とするため、1つのドップラーセンサで複数種類の情報を検出することができるため、便器洗浄装置に設けるセンサの数を減少させることができ、洗浄便座装置の製造コストを低減することができる。
【0030】
また、請求項7に係る本発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、制御手段は、便器洗浄装置が一定期間使用されないと、バルブを開弁制御し、洗浄水を便器へ供給することを特徴とするため、長期間、利用者に使用されない便器洗浄装置であっても、排水管の詰りを確実に検出することができる。
【0031】
また、請求項8に係る本発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載の便器洗浄装置において、便器に接続された排水管の詰りを報知する報知手段を備え、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に基づいて排水管の詰りを検出した場合に、報知手段に報知させる制御を行うことを特徴とするため、この便器洗浄装置の施工者や管理者は、排水管が詰まったことを確実に認識することができる。
【0032】
また、請求項9に係る本発明において、バルブを開弁及び閉弁することによって洗浄水を便器へ供給し、便器内部を洗浄する便器洗浄装置における排水管詰り検出方法であって、バルブを開弁して洗浄水を便器へ供給するステップと、便器のトラップ又はボールへ向けて送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するステップと、差分信号の周波数及び振幅に基づいて、トラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出するステップと、溜水面揺れの検出結果に基づいて排水管の詰りを検出するステップとにより、排水管の詰りを検出することとしたため、排水管の詰りを確実に検出することができ、配管が詰まった状態で便器内に洗浄水を供給してしまい、便器から洗浄水が溢れるといった問題が生じることがなく、排水管を共用している他の便器が使用されて排水管に汚水が排出された場合であっても、便器に無駄な洗浄水を供給してしまうといった問題が生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明に係る便器洗浄装置は、便器に対し洗浄水を供給可能とするバルブと、このバルブを開弁又は閉弁する制御手段と、便器のトラップ又はトラップに対して送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するドップラーセンサとを備えている。
【0034】
さらに、この便器洗浄装置は、ドップラーセンサにより生成された差分信号の信号レベルや周波数及び振幅に基づいて、便器のトラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出することにより、この便器洗浄装置に接続されている排水管の詰りを検出する溜水検出手段を備えている。
【0035】
そして、制御手段は、バルブを開弁制御した後、溜水検出手段の検出状態に応じた制御を行うようにしている。
【0036】
このように、溜水検出手段により排水管の詰りを検出し、その検出状態に応じて制御手段が制御を行うので、配管が詰まった状態で便器内に洗浄水を供給してしまい、便器から洗浄水が溢れるといった問題が生じることがない。
【0037】
また、排水管を共用している他の便器が使用されて排水管に汚水が排出された場合であっても、便器に無駄な洗浄水を供給してしまうといった問題が生じることがない。
【0038】
さらに、この便器洗浄装置は、洗浄水の供給流路に銀電極を設け、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、銀電極への通電制御を行い、便器に銀イオンを含む洗浄水を供給するようにしている。
【0039】
これにより、排水管が詰まった場合に、排水管詰りの原因と考えられる尿石を銀イオンを含んだ洗浄水により溶解して、排水管の詰りを解消することができる。
【0040】
しかも、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に応じた通電時間により、銀電極への通電を行うようにしている。
【0041】
このように、制御手段は、溜水検出手段が溜水面の揺れに基づいて間接的に検出した排水管の詰りの程度に応じて、銀電極に通電する時間を調整することによって的確に排水管の詰りを解消することができる。
【0042】
また、この便器洗浄装置は、バルブを制御して洗浄水を便器に供給するたびに、溜水検出手段の検出状態をそれぞれ記憶する記憶手段を備えている。
【0043】
そして、制御手段は、この記憶手段に記憶した複数の検出状態に変化がなく、排水管の詰りに改善がみられないと判定すると、次回の洗浄水の供給量を増加させることによって、銀イオンを含んだ洗浄水の供給量を増加させるようにバルブを制御して、排水管詰りの解消を促進させることができる。
【0044】
また、制御手段は、バルブを開弁した後、溜水検出手段の検出状態が所定量以上の溜水面の揺れであり、排水管詰りの原因が尿石以外であると判定すると、溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、バルブの閉弁制御を行い、洗浄水の供給を停止するようにしている。
【0045】
これにより、排水管にゴミなどの異物が詰まった場合などのように、銀イオンを含んだ洗浄水を供給するだけでは解消できない排水管詰りが発生した場合に、洗浄水の供給を停止して、便器から洗浄水が溢れ出すことを防止することができる。
【0046】
また、この便器洗浄装置は、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数に基づいて、便器と人体との接近又は離反を検出する人体検出手段と、ドップラーセンサにより生成された差分信号の周波数に基づいて、尿流を検出する尿流検出手段とを備えている。
【0047】
この人体検出手段は、便器のトラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出するためのドップラーセンサが出力する差分信号に、特定の周波数成分が含まれているか否かにより便器と人体との接近又は離反を検出するようにしている。
【0048】
また、尿流検出手段は、このドップラーセンサが出力する差分信号に、人体検出手段が検出するものとは別の、特定の周波数成分が含まれているか否かにより、尿流を検出するようにしている。
【0049】
そして、制御手段は、尿流検出手段又は人体検出手段の検出結果に応じてバルブを開弁制御し、洗浄水を便器へ供給する。
【0050】
このように、1つのドップラーセンサで人体や尿流の存否、排水管の詰りといった複数種類の情報を検出することができるため、便器洗浄装置に設けるセンサの数を減少させることができ、洗浄便座装置の製造コストを低減することができる。
【0051】
また、制御手段は、便器洗浄装置が一定期間使用されないと、バルブを開弁制御し、洗浄水を便器へ供給することにより、定期的に便器のトラップ又はボール内の溜水面の揺れを監視して、排水管の詰り監視するようにしている。
【0052】
これにより、長期間、利用者に利用されない便器洗浄装置であっても、排水管の詰りを確実に検出することができる。
【0053】
また、この便器洗浄装置は、便器に接続された排水管の詰りを報知する報知手段を備えており、制御手段は、溜水検出手段の検出状態に基づいて排水管の詰りを検出した場合に、この報知手段に報知させる制御を行うようにしている。
【0054】
これにより、便器洗浄装置の施工者や管理者は、排水管が詰まったことを確実に認識することができるので、速やかに排水管詰りを解消する作業に取り掛かることができる。
【0055】
以下、本発明に係る便器洗浄装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0056】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る便器洗浄装置1は、内部にドップラーセンサ5が収められた便器本体2と、この便器本体2に接続され、便器本体2のボール2a及びトラップ2b内の空間を洗浄するための水(以下、「洗浄水」という。)を供給する供給流路(以下、「給水管3」という。)と、この給水管3の中途部に配置されて便器本体2への洗浄水の供給及びその停止を行うためのバルブ4と、給水管3の中途部に配置され、通電することにより洗浄水中に銀イオンを含有させるための銀電極6と、バルブ4を制御して洗浄水の供給及び停止を行うと共に、銀電極6への通電制御や、ドップラーセンサ5の制御等、便器洗浄装置1全体の制御を行う制御手段として機能する洗浄制御部7とを備えている。
【0057】
また、給水管3から便器本体2に供給された洗浄水は、この便器本体2のトラップ2bに連結された排水管8から排水されるようにしている。
【0058】
また、便器本体2と給水管3との連結部の洗浄水噴出口(以下「スプレッダ2c」という。)の近傍には、LED(発光ダイオード)9を備えている。
【0059】
そして、このLED9は、排水管8が詰まった場合に、洗浄制御部7の制御により一定の周期で点滅するか、若しくは、連続的に点灯することによって、排水管8の詰りを報知する報知手段として機能するものである。
【0060】
このように構成した便器洗浄装置1では、洗浄制御部7がドップラーセンサ5から入力される信号に基づいて、便器本体2のボール2a又はトラップ2b内の溜水面の揺れの検出や、便器本体2と人体との近接又は離反の検出、小用の際の尿流の検出などを行うと共に、これらの検出状態に応じてバルブ4の開閉制御や銀電極6への通電制御を行って、便器を洗浄するようにしている。
【0061】
ここで、ドップラーセンサ5の構成について、図2を参照して説明する。
【0062】
ドップラーセンサ5は、例えば周波数10.525GHz(FS)の電波信号を生成し、この信号を電波であるマイクロ波として送信する送信回路10と、この送信回路10が送信したマイクロ波の反射波受信する受信回路11と、送信回路10が送信するマイクロ波の周波数FSと受信回路11が受信するマイクロ波の周波数Fbとの周波数差ΔFの信号(以下、「差分信号」という。)を出力する差分検出回路12とを備えている。
【0063】
したがって、このドップラーセンサ5が動作しているときには、送信回路10からマイクロ波が送信され、受信回路11でその反射波を受信して、差分検出回路12から差分信号が出力される。
【0064】
また、本実施形態の便器洗浄装置1では、電波を用いた場合のドップラー効果を利用する構成としたが、これに限らず、例えば、超音波等の音波を利用するドップラーセンサを用いてもよい。
【0065】
次に、便器洗浄装置1の洗浄制御部7の構成について、図3を参照して説明する。
【0066】
図3に示すように、洗浄制御部7は、CPU(中央処理装置)13と、増幅回路14と、低域検出フィルタ15と、尿流帯域検出フィルタ16と、尿流検出手段16aと、切替手段19と、ボール部内水検出フィルタ17と、溜水検出手段17aと、人帯域検出フィルタ18と、人体検出手段18aと、LED駆動回路20と、バルブ駆動回路21と、記憶手段23とを備えている。
【0067】
増幅回路14は、ドップラーセンサ5の差分検出回路12から出力された差分信号を増幅して低域検出フィルタ15に入力する回路である。
【0068】
低域検出フィルタ15は、増幅回路14によって増幅された差分信号の高周波成分を低減させた差分信号を生成し、尿流帯域検出フィルタ16と切替手段19とに入力するフィルタ回路であり、ここでは、カットオフ周波数330Hzの特性を持つローパスフィルタ回路により構成している。
【0069】
切替手段19は、低域検出フィルタ15から入力される高周波成分を除去された差分信号をボール部内水検出フィルタ17又は人帯域検出フィルタ18のいずれか一方に入力するための切替えを行うスイッチ回路である。なお、切替手段19は、CPU13から入力される信号に基づいて切替動作を行うようにしている。
【0070】
尿流帯域検出フィルタ16は、低域検出フィルタ15から入力される差分信号のうち、尿流を示す80〜180Hzの周波数帯域付近の差分信号だけを通過させるバンドパスフィルタ回路である。
【0071】
尿流検出手段16aは、尿流帯域検出フィルタ16から入力される差分信号に基づいて、尿流の有無を検出し、その検出状態を示す信号をCPU13へ入力する回路である。
【0072】
ボール部内水検出フィルタ17は、低域検出フィルタ15から入力される差分信号から、便器のボール2a又はトラップ2b内に溜まった水の水面(以下、「溜水面」という。)の揺れを示す0〜15Hzの周波数帯域付近の差分信号だけを通過させるバンドパススフィルタ回路である。
【0073】
溜水検出手段17aは、ボール部内水検出フィルタ17から入力される差分信号の周波数と振幅とに基づいて、溜水面が揺れている程度を検出し、その検出状態を示す信号をCPU13へ入力する回路である。
【0074】
人帯域検出フィルタ18は、低域検出フィルタ15から入力される差分信号から、人体を示す0〜40Hzの周波数帯域付近の差分信号だけを通過させるバンドパスフィルタ回路である。
【0075】
人体検出手段18aは、人帯域検出フィルタ18から入力される差分信号に基づいて、便器本体2と人体との接近又は離反を検出し、その検出状態を示す信号をCPU13へ入力する回路である。
【0076】
LED駆動回路20は、CPU13から入力される信号に基づいてLED9の点灯又は消灯を行う回路である。
【0077】
バルブ駆動回路21は、CPU13から入力される信号に基づいてバルブ4の開閉を行う回路である。
【0078】
CPU13は、上記した尿流検出手段16a、溜水検出手段17a、人体検出手段18aからそれぞれ入力される検出状態を示す信号に基づいて、LED駆動回路20及びバルブ駆動回路21の駆動制御を行うとともに、銀電極6への通電制御を行い、この便器洗浄装置1全体の動作を制御する制御手段として機能するものである。
【0079】
記憶手段23は、CPU13の動作用プログラム等を予め記憶させたROMと、CPU13によりバルブ4を開弁制御して便器本体2へ洗浄水を供給するたびに、そのときの溜水検出手段17aの検出状態をそれぞれ記憶するRAMとを備えている。
【0080】
また、このCPU13は、内部にタイマを備えており、このタイマにより、後述する洗浄制御部処理フローにおいて、前回便器洗浄装置1が利用されてから、次に利用されるまでの時間を計測するようにしている。
【0081】
以下、このように構成した洗浄制御部7による便器洗浄装置1の制御について、図4及び図5を参照して具体的に説明する。
【0082】
ここで、図4は、利用者が小用のために便器洗浄装置1を使用してから、この便器本体2に接続された排水管8の詰りが検知されるまでの間に、低域検出フィルタ15が出力する差分信号の波形LPFと、尿流帯域検出フィルタ16が出力する差分信号の波形BPFとを示しており、さらに、これら波形LPF及び波形BPFに時間的に対応したバルブ駆動回路21の動作状態及び、人体検出手段18a、尿流検出手段16a、溜水検出手段17aの検出状態をそれぞれ示した説明図である。
【0083】
また、図5は、本実施形態に係る洗浄制御部7の制御動作を示すフローチャートである。
【0084】
この便器洗浄装置1に電源が投入されると、まず、ドップラーセンサ5が所定周波数の電波であるマイクロ波を送信すると共に、このマイクロ波の反射波を受信し、送信したマイクロ波の周波数と受信した反射波の周波数との差分の周波数を持つ差分信号を生成して洗浄制御部7へ入力する。
【0085】
このドップラーセンサ5によるマイクロ波の送受信及び差分信号の生成は、電源源が投入されている期間継続的に行うようにすることもできるが、洗浄制御部7の制御により間欠的に行うようにしてもよい。
【0086】
また、このときドップラーセンサ5は、便器本体2のボール2a又はトラップ2bへ向けてマイクロ波を送信するように構成しているが、上記したようにマイクロ波は電波であるので、所定の広がりをもっとトイレの空間内へ送信され、その結果、便器本体2に接近する利用者や使用者の尿流などに反射し、この反射波もドップラーセンサ5により受信される。
【0087】
洗浄制御部7では、ドップラーセンサ5から入力される差分信号の周波数及び振幅に基づいて、人体検出手段18aが便器本体への利用者の接近又は離反を検出し、尿流検出手段16aが尿流の有無を検出し、溜水検出手段17aが溜水面の揺れを検出する。
【0088】
これら人体検出手段18a、尿流検出手段16a、溜水検出手段17aの検出状態は全て所定の信号に変換されてCPU13に入力される。
【0089】
すなわち、この洗浄制御部7では、電源が投入されている期間、CPU13によりこれらの検知状態を監視するようにしている。
【0090】
このように電源が投入された状態においてCPU13は、利用者(人体)がこの便器洗浄装置1に近づいて来たか否の判断を継続的、若しくは、間欠的に行うようにしている(ステップS1)。なお、このときCPU13は、切替手段19に対し、差分信号を人帯域検出フィルタ18へ入力させるような命令信号を送信するようにしている。
【0091】
このとき、洗浄制御部7では、人体検出手段18aが人帯域検出フィルタ18から人体の接近を示す周波数0〜40Hzの差分信号を所定時間受信したときにHigh(アクティブ状態)となる信号をCPU13へ入力するようにしている。
【0092】
そして、CPU13は、人体検出手段18aから入力される信号がHighとなったときに人体が接近したと判断して処理をステップS2へ移し、人体検出手段18aから入力される信号がLow(非アクティブ状態)であるとき人体が近接していないと判断して処理をステップS3へ移す。
【0093】
ステップS3においてCPU13は、内部に備えるタイマを参照して、前回バルブ4を開弁してから所定時間(例えば、1時間。)が経過したか否かの判断を行い、所定時間が経過していないと判断した場合に処理をステップS1へ戻し、所定時間が経過した判断した場合に処理をステップS4へ移す。
【0094】
ステップS4においてCPU13は、バルブ駆動回路21にバルブ4を所定時間開弁させるための命令信号を送信することにより、所定時間(例えば、2s。)バルブ4を開放させて便器本体2へ洗浄水を供給した後、バルブを閉弁させ、その後、処理をステップS8へ移す。
【0095】
また、ステップS2においてCPU13は、バルブ駆動回路21にバルブ4を所定時間開弁させるための命令信号を送信することにより、所定時間(例えば、2s。)バルブ4を開放させて便器本体2へ洗浄水を供給した後、バルブを閉弁させ、その後、処理をステップS5へ移す(図4中、時刻t1参照。)。
【0096】
なお、本実施形態においてCPU13は、人体が接近したと判断した場合に、利用者の排尿に先がけて便器を洗浄するステップS2の処理(前洗浄処理)を行うように設定されているが、図示しない外部スイッチを操作することにより、この前洗浄処理を行わないように設定することもできる。
【0097】
ステップS5において、CPU13は、利用者の尿流の検出が終了したか否かの判断を行い、尿流の検出が終了していないと判断した場合にこの処理(ステップS5)を繰り返し行い、尿流の検出が終了したと判断した場合に処理をステップS6へ移す。
【0098】
このとき、洗浄制御部7では、尿流検出手段16aが尿流帯域検出フィルタ16から尿流を示す周波数80〜180Hzの差分信号を受信している間Highとなり、受信していない間Lowとなる信号をCPU13へ入力するようにしている。
【0099】
そして、CPU13は、尿流検出手段16aから入力される信号がHighとなっている間(図4中、時刻t2〜t3参照。)尿流の検出が終了していないと判断して処理をステップS1へ戻し、尿流検出手段16a入力される信号がHighからLowに切り替わったときに尿流の検出が終了したと判断して処理をステップS6へ移すようにしている。
【0100】
ステップS6においてCPU13は、利用者がこの便器洗浄装置1から離反したか否かの判断を行い、この処理(ステップS6)を繰り返し、離反したと判断した場合に処理をステップS7へ移す。
【0101】
このときCPU13は、人体検出手段18aから入力される信号がHigh状態である間、利用者が便器洗浄装置1から離反していないと判断し、人体検出手段18aから入力される信号がHighからLowに切り替わったときに利用者が離反したと判断するようにしている(図4中、時刻t4参照。)。
【0102】
ステップS7においてCPU13は、バルブ駆動回路21にバルブ4を所定時間開弁させるための命令信号を送信することにより、所定時間(例えば、10s。)バルブ4を開放させて便器本体2へ洗浄水を供給して便器を洗浄した後、バルブを閉弁させ、その後、処理をステップS8へ移す(図4中、時刻t4〜t5参照。)。
【0103】
ステップS8において、CPU13は、便器本体2のボール2a又はトラップ2b内の溜水面の揺れの程度を検出すると共に、その程度を記憶手段に23記憶させた後、処理をステップS9に移す。
【0104】
このとき、洗浄制御部7では、溜水検出手段17aがボール部内水検出フィルタ17からボール2a又はトラップ2b内の溜水面の揺れを示す周波数0〜15Hzの差分信号の振幅が所定の振幅を超えている間Highとなる信号をCPU13に入力する(図4中、時刻t6〜t7参照。)と共に、このときの差分信号の振幅を示すデータをCPU13に入力するようにしている。
【0105】
そして、CPU13は、この差分信号の振幅の大きさに基づいて溜水面の揺れ及びその程度を検出した後、この差分信号の振幅を示すデータを記憶手段23内部のRAMに書き込み、その後、ステップS9の処理を行うようにしている。
【0106】
また、CPU13は、ステップS4及びステップS8でバルブ4を開弁するたびに、RAMへ差分信号の振幅を示すデータを順次書き込むようにしており、そのデータを累積的にRAMに保存するようにしている。
【0107】
ステップS9において、CPU13は、便器本体2に接続されている排水管8が詰まっているか否かの判断を行い、詰まっていないと判断した場合に処理をステップS15へ移し、詰まっていると判断した場合に処理をステップS10へ移す。
【0108】
このとき、CPU13は、ステップS8でRAMに記憶させた差分信号の振幅が所定の閾値以上であった場合に排水管8が詰まっていると判断し、差分信号の振幅が所定の閾値未満であった場合に排水管8が詰まっていないと判断するようにしている。
【0109】
このように本実施形態に係る便器洗浄装置1は、バルブ4を開弁して洗浄水を便器本体2へ供給するステップと、便器本体2のトラップ2b又はボール2aへ向けて送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するステップと、差分信号の周波数及び振幅に基づいて、トラップ2b内又はボール2a内の溜水面の揺れを検出するステップと、溜水面揺れの検出結果に基づいて排水管8の詰りを検出するステップとにより、排水管8の詰りを検出するように構成しているため、排水管の詰りを確実に検出することができ、配管が詰まった状態で便器内に洗浄水を供給してしまい、便器から洗浄水が溢れるといった問題が生じることがなく、排水管を共用している他の便器が使用されて排水管に汚水が排出された場合であっても、便器に無駄な洗浄水を供給してしまうといった問題が生じることがない。
【0110】
ステップS10においてCPU13は、LED駆動回路20へLED9を点灯させるための命令信号を送信することによりLED9を点灯させ、排水管8が詰まっていることをこの便器洗浄装置1の施工業者や利用者などに報知するようにしている。
【0111】
その後、CPU13は、ステップS8においてRAMに記憶させた差分信号の振幅を示すデータと、前回RAMに記憶させておいた差分信号の振幅を示すデータとを比較し、溜水面の揺れ量に変化があったか否かの判断を行う(ステップS11)。
【0112】
ここで、CPU13は、溜水面の揺れ量に変化がない場合に、後述する銀イオンを含む洗浄水の供給を行っても排水管8の詰りが解消されていないと判断し、バルブ駆動回路21に以後バルブの開弁を行わせなくするための命令信号を送信することにより、バルブ4の閉弁制御を行って(ステップS13)処理を終了する。
【0113】
一方、CPU13は、ステップS11において溜水面の揺れ量に変化がある場合に、その揺れ量が前回よりも増大しているか否かの判断を行い(ステップS12)、増大していないと判断した場合に、後述する銀イオンを含む洗浄水の供給により、排水管8の詰りが低減したと判断して処理をステップS15へ移し、増大していると判断した場合に、後述する銀イオンを含む洗浄水の供給により排水管8の詰りが低減されていないと判断して処理をステップS14移す。
【0114】
ステップS14においてCPU13は、銀電極6に通電する時間と、この通電と同時にバルブ4を開弁する時間とを前回よりも長い時間(例えば、前回の2倍の時間。)に設定を更新して処理をステップS15へ移す。
【0115】
ステップS15においてCPU13は、ステップS14で設定された時間銀電極6に通電する通電制御を行うと共に、バルブ駆動回路21に対して通電時間と同じ時間バルブ4を開弁させるための命令信号を送信することによって、便器本体2に銀イオンを含んだ洗浄水を供給して排水管8の詰りの原因と予想される尿石を溶解させ、排水管8の詰りを解消させるように制御を行う。
【0116】
なお、CPU13は、ステップS12において、溜水面の揺れ量が増大していないと判断した場合に、前回設定しておいた時間だけ銀電極6に通電すると共に、その通電時間と同じ時間バルブ4を開弁するように制御を行う。
【0117】
次にCPU13は、LED駆動回路20に対してLED9を消灯させるための命令信号を送信することによってLED9を消灯させ(ステップS16)、その後、電源が投入されている期間S1〜S16までの洗浄制御部処理フローを繰り返し行うようにしている。
【0118】
また、本実施形態では、洗浄制御部7内に切替手段19を設け、この切替手段19により低域検出フィルタ15が出力する差分信号を、ボール部内水検出フィルタ17と人帯域検出フィルタ18とのいずれか一方に入力するように切替えているが、次のような人帯域検出フィルタを用いることにより、切替手段19を省略することもできる。
【0119】
すなわち、人帯域検出フィルタとして、15〜40Hzの周波数帯域付近の差分信号だけを通過させるバンドパスフィルタ回路を用いることによって、溜水検出手段17aは低域検出フィルタ15が出力する差分信号のうち、周波数が0〜15Hz近傍の差分信号により溜水面の揺れを検出することができ、人体検出手段18aは周波数が15〜40Hz近傍の差分信号により人体の接近又は離反を検出することができる。
【0120】
これにより、洗浄制御部7に切替手段19を設けることができるようになり、便器洗浄装置1の製造コストを低減することができる。
【0121】
なお、本実施形態では、図1にしめすように便器本2として小便器を用いた場合を例に挙げて説明を行ってきたが、本発明はこれに限定するものではなく、小用と大用との両方を兼用可能な様式便器に対しても適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態に係る便器洗浄装置をしめす説明図である。
【図2】ドップラーセンサを示すブロック図である。
【図3】洗浄制御部を示すブロック図である。
【図4】洗浄制御部の制御動作を示す説明図である。
【図5】洗浄制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
1 便器洗浄装置
2 便器本体
2a ボール
2b トラップ
2c スプレッダ
3 給水管
4 バルブ
5 ドップラーセンサ
6 銀電極
7 洗浄制御部
8 排水管
9 LED
10 送信回路
11 受信回路
12 差分検出回路
13 CPU
14 増幅回路
15 低域検出フィルタ
16 尿流帯域フィルタ
16a 尿流検出手段
17 ボール部内水検出フィルタ
17a 溜水検出手段
18 人帯域検出フィルタ
18a 人体検出手段
19 切替部
20 LED駆動回路
21 バルブ駆動回路
23 記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対し洗浄水を供給可能とするバルブと、このバルブを開弁又は閉弁する制御手段と、送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するドップラーセンサとを備えた便器洗浄装置において、
前記ドップラーセンサにより生成された前記差分信号の周波数及び振幅に基づいて、前記便器のトラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出する溜水検出手段を備え、
前記制御手段は、前記バルブを開弁制御した後、前記溜水検出手段の検出状態に応じた制御を行うことを特徴とする便器洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄水の供給流路に銀電極を設け、前記制御手段は、前記溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、前記銀電極への通電制御を行い、前記便器に銀イオンを含む洗浄水を供給することを特徴とする請求項1に記載の便器洗浄装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記溜水検出手段の検出状態に応じた通電時間により、前記銀電極への通電を行うことを特徴とする請求項2に記載の便器洗浄装置。
【請求項4】
前記バルブを制御して前記洗浄水を供給するたびに、前記溜水検出手段の検出状態をそれぞれ記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶した複数の前記検出状態に変化がないと判定すると、次回の洗浄水の供給量を増加させるように前記バルブを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記バルブを開弁した後、前記溜水検出手段の検出状態が所定量以上の溜水面の揺れであると判定すると、前記溜水検出手段の検出状態に応じた制御として、前記バルブの閉弁制御を行い、前記洗浄水の供給を停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項6】
前記ドップラーセンサにより生成された前記差分信号の周波数に基づいて、前記便器と人体との接近又は離反を検出する人体検出手段と、
前記ドップラーセンサにより生成された前記差分信号の周波数に基づいて、尿流を検出する尿流検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記尿流検出手段又は前記人体検出手段の検出結果に応じて前記バルブを開弁制御し、前記洗浄水を前記便器へ供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記便器洗浄装置が一定期間使用されないと、前記バルブを開弁制御し、前記洗浄水を前記便器へ供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項8】
前記便器に接続された排水管の詰りを報知する報知手段を備え、
前記制御手段は、前記溜水検出手段の検出状態に基づいて前記排水管の詰りを検出した場合に、前記報知手段に報知させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の便器洗浄装置。
【請求項9】
バルブを開弁及び閉弁することによって洗浄水を便器へ供給し、便器内部を洗浄する便器洗浄装置における排水管詰り検出方法であって、
前記バルブを開弁して洗浄水を便器へ供給するステップと、
前記便器のトラップ又はボールへ向けて送信した電波の周波数とその反射波の周波数との差分から差分信号を生成するステップと、
前記差分信号の周波数及び振幅に基づいて、前記トラップ内又はボール内の溜水面の揺れを検出するステップと、
前記溜水面揺れの検出結果に基づいて前記排水管の詰りを検出するステップと、
を有することを特徴とする排水管詰まり検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−299726(P2006−299726A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125959(P2005−125959)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】