説明

便座自立機構

【課題】手動開閉式の便座に、構造が簡素で高い信頼性を発揮する便座自立機構を組み込む。
【解決手段】一端部に便座4が固定される便座制動軸30の他端側に固定されたロータ部材41の周囲に、ロータ部材41の外周面に沿って半円弧状の板バネ42を配設し、板バネ42の周方向両端部に形成した固定凸条42aをロータ部材41の外周面に弾性的に当接させる。便座4を開いてロータ部材41が回転すると、ロータ部材41の外周面に形成した回転凸条41aが板バネ42の固定凸条42aに係合し、この時、便座制動軸30の回転が規制されて便座4が自立した開位置に保持される。便座自立機構40を、便座4の開閉動作を制御するダンパ80と別体に、かつ便座制動軸30上に直接設けて、構造の簡素化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式トイレに具備される手動開閉式の便座を自立した開位置に保持する便座自立機構に関する。
【背景技術】
【0002】
洋式トイレは、一般に、便器本体の開口部の縁に使用者が着座する便座が設けられるとともに便座の上に重なって開口部を覆う便蓋が設けられた構成となっている。便座および便蓋は回転軸を介して便器本体に回転自在に支持されており、使用者が回転させて開閉するようになっている。一方、便蓋の方を電動開閉式とするとともに、手動開閉式の便座においては、閉じる際の回転速度を遅くする一方向ロータリー型のダンパが具備されるとともに、開いた状態から不用意に閉じてしまうことを防ぐために便座を自立した開位置に保持する自立機構が設けられているものが提供されている(特許文献1参照)。この種の自立機構としては、上記ダンパに組み込まれた形式のものが知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344255号公報
【特許文献2】特開2004−194772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載される自立機構は、ダンパ内に組み込む構造であるため、構造が複雑になりがちであるとともに動作の信頼性が不十分である場合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、構造が簡素で高い信頼性を発揮する便座自立機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の便座自立機構は、手動開閉式の便座を自立した開位置に保持する便座自立機構であって、回転自在に支持され、一端部に、閉位置から開位置の範囲で開閉する便座が固定される便座制動軸と、この便座制動軸の他端側に固定されたロータ部材と、このロータ部材に近接して固定された固定部材と、前記ロータ部材と前記固定部材とに設けられ、互いに弾性的に係脱可能な状態に係合し合い、係合時に、ロータ部材の前記便座の閉方向への回転を規制する回転規制手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明では、便座が開けられて開位置に達すると、便座制動軸と一体回転していたロータ部材が回転規制手段を介して固定部材に係合し、便座は自立した開位置に保持される。本発明によれば、従来のようにダンパに組み込むことなく便座制動軸に対して独立して設けることができるため、構造を簡素とすることができ、また、簡素な構造ゆえに動作の信頼性を高めることができる。
【0008】
本発明では、前記ロータ部材は、前記便座制動軸と同軸的に配設された円筒状部材であり、前記固定部材は、前記ロータ部材の外周面に対向し、かつ該外周面の周方向に沿って配設された弾性を有する円弧状部材であり、前記回転規制手段は、前記ロータ部材の外周面の周方向に離間した2位置に設けられた被係合部と、前記固定部材の周方向の両端部に設けられ、該固定部材の弾性によって前記被係合部に弾性的に係合する係合部とからなることを具体的形態とする。この形態では、便座制動軸と一体回転するロータ部材側の2箇所の被係合部に対して固定部材側の係合部がそれぞれ係合するため、便座の自立状態が安定して保持される。
【0009】
本発明では、前記回転規制手段の互いの係合点が前記ロータ部材の回転角度に応じて任意に設定されることにより、前記便座の自立角度が変更可能とされることを特徴とする。この形態では、便座の自立角度を容易に変更することができるといった効果が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構造が簡素で高い信頼性を発揮する便座自立機構が提供されるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る便座自立機構を有する便蓋開閉ユニットが具備された洋式トイレの(a)平面図、(b)便蓋と便座が閉じた状態の側面図、(c)便蓋が開いた状態の側面図である。
【図2】便蓋開閉ユニットの(a)斜視図、(b)ケーシングを除去した状態の斜視図である。
【図3】便蓋開閉ユニットの(a)側面図、(b)第2ケーシングを除去した状態の正面図、(c)他方向側面図である。
【図4】便蓋開閉ユニットの正面断面図である。
【図5】便蓋開閉ユニットに組み込まれた一実施形態に係る便座自立機構およびダンパ等の正面図である。
【図6】一実施形態に係る便座自立機構の斜視図である。
【図7】便座自立機構の動作を示す図5のVII-VII断面図であって、(a)便座が閉じている時、(a)便座が自立している時を示している。
【図8】便座自立機構の他の形態を示す断面図であって、(a)便座が閉じている時、(a)便座が自立している時を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る便座自立機構を有する便蓋開閉ユニット7が具備された洋式トイレを示している。このトイレ1は、便器本体2と、便器本体2の上に設けられた便座ユニット3とから構成されている。便座ユニット3は、便器本体2の開口の縁に載せて設けられる環状の便座4と、便座4の上に重なって開口を覆う便蓋5と、便器本体2の後部上面を覆う本体カバー6と、便蓋5を電動で開閉させる便蓋開閉ユニット7とから構成されている。なお、図1でX1−X2は前後方向、Y1−Y2は左右方向と定義する。
【0013】
図2〜図4に示すように、便蓋開閉ユニット7は分離可能な第1ケーシング11と第2ケーシング12とが組み合わされてなるケーシング10を有している(図2(b)はケーシング10が無い状態、図3は第2ケーシング12が無い状態を示している)。ケーシング10は、組み合わされた状態で、左右方向(図4でY1−Y2方向)に延びる本体部10Aと、本体部10Aの一端側(図4でY2側)の下方部分に接続し、該下方部分から前後方向(図3でX1−X2方向)に延びるモータ収容部10Bとを有している。
【0014】
ケーシング10の本体部10Aの一端側からは、便蓋駆動軸20および便座制動軸30が突出している。便蓋開閉ユニット7は、図1に示すように、トイレ1の本体カバー6内の前方にモータ収容部10Bが前後方向に沿った状態に収容され、かつ、本体部10Aが本体カバー6の上方に突出して左右方向に沿うとともに便蓋駆動軸20および便座制動軸30が右方に向く状態に、本体カバー6内に設置される。
【0015】
ケーシング10の本体部10A内には、本体部10Aの長手方向と平行に便蓋駆動軸20が回転自在に設けられており、さらにこの便蓋駆動軸20の外周に円筒状の便座制動軸30が、同軸的、かつ相対的に摺動回転自在に設けられている。前述のようにこれら軸20,30は、一端側がケーシング10から突出しており、突出部分においては便座制動軸30が短く、便座制動軸30からさらに便蓋駆動軸20が突出している。
【0016】
ケーシング10から突出する便蓋駆動軸20には便蓋5の後端部が一体回転可能に固定されており、また、ケーシング10から突出する便座制動軸30には便座5の後端部が一体回転可能に固定されている。この場合、便蓋駆動軸20および便座制動軸30は、便座4および便蓋5の後端部の右端部にそれぞれ固定されており、便座4および便蓋5の後端部における便蓋駆動軸20および便座制動軸30と同軸上の所定箇所(例えば左端部)は、図示せぬ回転軸を介して便器本体2に回転自在に支持されている。
【0017】
図4に示すように、便蓋駆動軸20は、第2ケーシング12内の他端側の端面に挿入された軸受13と外周面を囲繞する軸受14とを介して第2ケーシング12側に回転自在に支持されている。また、便座制動軸30は、便座自立機構40を介して第1ケーシング11側に回転自在に支持されており、便蓋駆動軸20は、第1ケーシング11側においては便座制動軸30および便座自立機構40を介して回転自在に支持されている。便座自立機構40はケーシング10の本体部10A内において便座制動軸30の周囲に同軸的に配設されている。便蓋駆動軸20のケーシング10内の他端部には、便蓋駆動ギヤ21が同軸的に固定されている。
【0018】
図3(c)に示すように、ケーシング10のモータ収容部10B内にはモータ50が収容されている。モータ50は、円筒状のモータ本体51の一端から、モータ本体51と同程度の長さのモータ軸52が突出してなるものである。モータ50は、モータ軸52側を前方に向けるとともに軸方向が上方から見て便蓋駆動軸20および便座制動軸30に直交し、かつ、前方に向かうにしたがって下がり勾配になるように所定角度で傾斜した状態に配設されている。
【0019】
モータ軸52には、モータ軸52上に設けられたウォーム61とウォームホイール62とからなるウォームギヤ60が連結されている。そして、ケーシング10内のモータ50収容部10Bから本体部10Aにわたっては、ウォームホイール62と便蓋駆動ギヤ21とを連結してモータ50の動力を便蓋駆動軸20に伝達する第1伝達ギヤ71と第2伝達ギヤ72とが収容されている。
【0020】
ウォームギヤ60のウォームホイール62は、大小のギヤを有する2段ギヤであってウォームギヤ軸65を介してケーシング10に回転自在に支持されており、大径ギヤ62aがウォーム61に噛み合っている。第1伝達ギヤ71と第2伝達ギヤ72も大小のギヤを有する2段ギヤであり、それぞれウォームギヤ軸65と平行な第1伝達ギヤ軸75および第2伝達ギヤ軸76を介してケーシング10に回転自在に支持されている。
【0021】
ウォームホイール62の小径ギヤ62bは第1伝達ギヤ71の大径ギヤ71aに噛み合い、第1伝達ギヤ71の小径ギヤ71bは第2伝達ギヤ72の大径ギヤ72aに噛み合い、第2伝達ギヤ72の小径ギヤ72bは便蓋駆動ギヤ21に噛み合っている。これによりモータ50が作動して回転するモータ軸52の回転は、ウォームギヤ60、第1伝達ギヤ71、第2伝達ギヤ72を経て便蓋駆動ギヤ21に伝わり、便蓋駆動軸20が回転駆動されて便蓋5が開閉される。
【0022】
便蓋5は、モータ50が正転・逆転することにより開動作・閉動作がなされる。モータ50のON・OFFおよび回転方向の選択は、任意のスイッチによってなされる。モータ50のスイッチは、例えば使用者が直接操作するものでもよく、また、使用者の接近・離間を感知するセンサと組み合わせて、使用者が接近したら便蓋5が開き、使用者が去って一定の時間が経過したら便蓋5が閉じるように制御する形態であってもよい。
【0023】
また、モータ50内には、便蓋5が閉じた状態から手動で開かれたり、便蓋5が開いた状態から手動で閉じられたりしたことをモータ軸52の回転に応じて検知する手動開閉センサ(不図示)が設けられており、この手動開閉センサが作動すると、モータ50が便蓋5の回転方向に追従するように作動して手動から電動に切り替わるようになっている。なお、この場合のウォームギヤ60は、ウォーム61側からウォームホイール62に回転が伝わるのは勿論のこと、ウォームホイール62が駆動されてもその回転がウォーム61に伝わって回転する仕様になっており、したがって便蓋5が開いた状態から手動で閉じられたりした場合にも、モータ軸52にウォームホイール62から回転が伝わる。
【0024】
図4および図5に示すように、便座制動軸30上の、上記便蓋駆動ギヤ21と上記便座自立機構40との間には、ダンパ駆動ギヤ31が固定されている。一方、ケーシング10の本体部10Aにおける便座自立機構40の下方には、流体圧式(例えば油圧式)のダンパ80が配設されている。
【0025】
ダンパ80は、一般周知の一方向ロータリーダンパであって、便座制動軸30と平行で図4のY1方向に突出するダンパ入力軸81を有している。ダンパ入力軸81上にはダンパ入力ギヤ82が固定されており、このダンパ入力ギヤ82はダンパ駆動ギヤ31に噛み合わされている。これによりダンパ入力軸81には、便座4とともに回転する便座制動軸30の回転が、ダンパ駆動ギヤ31、ダンパ入力ギヤ82を介して伝わるようになっている。ダンパ80は、その回転方向、すなわち便座4の開方向および閉方向に応じて異なる作動を示す。
【0026】
すなわちダンパ80の作動は、手動開閉式の便座4を、閉位置(図1(b)の実線で示す)から自立した開位置(図1(c)の二点鎖線で示す)に開く動作の時には、便座4を弱い力で早く回転させて開くことができるように、開方向への回転は抵抗を弱くする。一方、便座4を閉じる際には便座4を閉方向に回転させると自重で閉じていくが、この時には遅く回転して便器本体2に載って閉じる際の衝撃が弱くなるように閉方向への回転は抵抗を強くする。ダンパ80はこのような作動が可能なように組み込まれている。
【0027】
このように開閉される便座4は、上記便座自立機構40により、自立した開位置から不用意に閉じてしまうことが防がれるようになっている。便座自立機構40は、図4、図6、図7に示すように、上記便座制動軸30の周囲に配設された円筒状のロータ部材41と、ロータ部材41の外周面に対向し、その外周面に沿って配設された半円弧状の板バネ(固定部材)42と、円筒状のホルダ43とから構成されている。
【0028】
ホルダ43は、便座制動軸30を囲繞する状態でケーシング10に固定されている。板バネ42は、ホルダ43内に、該ホルダ43の内周面に沿うように収容されている。板バネ42は、周方向の中央部に形成されたステー部42bを介してホルダ43に固定されており、これによって板バネ42は円弧が開いたり閉じたりするように撓んで変形可能となっている。板バネ42の周方向両端部には、内周面側に突出して軸方向に延びる断面略三角形状の凸条(係合部)42aが軸方向の全長にわたって形成されている。両端部の各凸条42aは、周方向に互いに略180°離間した位置に形成されている。
【0029】
板バネ42は、ロータ部材41とホルダ43間に組み込まれた状態で両端部がロータ部材41により押されて広がるように弾性変形しており、これによって両端部の凸条42aがロータ部材41の外周面に常に弾性的に当接するようになっている。ロータ部材41の外周面には、板バネ42の各凸条42aが板バネ42の弾性によってそれぞれ弾性的に係脱可能に係合する軸方向に延びる断面略三角形状の凸条(被係合部)41aが軸方向の全長にわたって形成されている。これら凸条41aも、周方向に互いに略180°離間した位置に形成されている。
【0030】
なお、以下の説明では、ロータ部材41側の凸条41aを、ロータ部材41が便座制動軸30と一体に回転することから回転凸条41aと称し、板バネ42側の凸条42aを、板バネ42がホルダ43を介してケーシング10に固定されていることから固定凸条42aと称する。これら回転凸条41aと凸条42aとにより、本発明の回転規制手段が構成されている。
【0031】
この便座自立機構40によれば、便座4が便器本体2に載って閉じている時には、図7(a)に示すように、各回転凸条41aは各固定凸条42a間に位置しており、各凸条41a,42aが周方向に交互に略90°離れて配された状態となる。次に、手動で便座4が開けられると便座制動軸30とともにロータ部材41は図7(a)において矢印方向に回転し、一方の回転凸条41aが一方の固定凸条42aに近付き、他方の回転凸条41aが他方の固定凸条42aに近付いていく。そしてさらに便座4が開けられると回転凸条41aは近付いた固定凸条42aに乗り上げて越える。この動作は、板バネ42が弾性変形して押し広げられることにより可能となっている。
【0032】
これにより、図7(b)に示すように、両端の回転凸条41aの間に各固定凸条42aが存在し、かつ、それら回転凸条41aに固定凸条42aが当接して係合した状態となる。この状態では、開方向、閉方向のいずれの方向にも固定凸条42aによりロータ部材41の回転が阻止され、便座4がほぼ直立して自立している開位置に保持される。
【0033】
一方、自立状態から、ある程度の力を与えながら便座4を手動で閉じようとして便座4を前側に回転させると、便座制動軸30とともにロータ部材41が図7(b)で矢印方向に回転させられ、その時、回転凸条41aは係合していた固定凸条42aに乗り上げて越え、係合が外れて自立解除となる。これにより便座4は上記ダンパ80の抵抗を受けながら自重で閉じていくことが可能となる。このように便座4を開閉させて回転凸条41aが固定凸条42aを乗り越える際には、使用者はクリック感を得ることができ、開いた際のクリック感により便座4の自立の保持が確認され、閉じる際のクリック感により閉じるという動作が確認される。
【0034】
便座4の開位置における自立角度は、板バネ42側の固定凸条42aの周方向位置、もしくはロータ部材41側の回転凸条41aの周方向位置を適宜に変更して互いの係合点をロータ部材41の回転角度に応じて任意に設定することにより、所望の角度に設定することができる。また、各凸条41a,42aの高さや立ち上がり角度、あるいは板バネ42の弾性強度等を適宜に変更することにより、凸条41a,42aどうしの係合強度が変更され、これにより、自立から自立解除、あるいはこの逆の自立解除から自立に移る変換点の抵抗感、すなわち自立の強度を、任意に設定することができる。
【0035】
上記一実施形態の便座自立機構40によれば、従来のようにダンパ内に組み込まれてはおらず便座制動軸30上に、直接、かつ独立した状態で設けられており、換言するとダンパ80とは別体に設けることができると言える。したがって当該便座自立機構40の構造を簡素とすることができ、また、簡素な構造ゆえに動作の信頼性を高めることができる。
【0036】
また、便座自立機構40は便座制動軸30に対してギヤ等の回転伝達部材を介することなく直接設けられている。すなわち便座制動軸30にロータ部材41が直接固定されている。このため、ロータ部材41に便座4の回転がバックラッシュ等のずれが起こることなく直接伝わり、その結果、便座4の自立位置を高い精度で位置決めすることができる。
【0037】
また、ダンパ80と便座自立機構40とを別体とすることにより、ダンパ80は汎用のもので賄うことができ、結果としてコスト低減が図られる。また、便座自立機構40の自立角度や自立強度等の設定をダンパ80とは関係なく独自に、かつ容易に行うことができるとともに、メンテナンス性も向上する。
【0038】
上記便座自立機構40の回転規制手段は、ロータ部材41と板バネ42の双方に形成した凸条41a,42aで構成されているが、回転規制手段の形態はこれに限定されず、互いに係合し合い、ロータ部材41を介して便座制動軸30の回転を規制可能なものであればいかなる形態であってよい。
【0039】
図8はその一例であって、ロータ部材41側の被係合部として上記回転凸条41aの代わりに溝41cを形成し、これら溝41cに板バネ42側の上記固定凸条42aが係脱可能に係合する形態としている。図8(a)は便座4が閉じており固定凸条42aに溝41cが係合しておらず、ここから便座4が開けられてロータ部材41が矢印方向に回転すると、図8(b)に示すように溝41cに固定凸条42aが嵌り込んで係合し、便座4が自立して開位置に保持される。
【符号の説明】
【0040】
4…便座
30…便座制動軸
40…便座自立機構
41…ロータ部材
41a…回転凸条(被係合部、回転規制手段)
41c…溝(被係合部、回転規制手段)
42…板バネ(固定部材)
42a…固定凸条(係合部、回転規制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動開閉式の便座を自立した開位置に保持する便座自立機構であって、
回転自在に支持され、一端部に、閉位置から開位置の範囲で開閉する便座が固定される便座制動軸と、
この便座制動軸の他端側に固定されたロータ部材と、
このロータ部材に近接して固定された固定部材と、
前記ロータ部材と前記固定部材とに設けられ、互いに弾性的に係脱可能な状態に係合し合い、係合時に、ロータ部材の前記便座の閉方向への回転を規制する回転規制手段と、
を具備することを特徴とする便座自立機構。
【請求項2】
前記ロータ部材は、前記便座制動軸と同軸的に配設された円筒状部材であり、
前記固定部材は、前記ロータ部材の外周面に対向し、かつ該外周面の周方向に沿って配設された弾性を有する円弧状部材であり、
前記回転規制手段は、前記ロータ部材の外周面の周方向に離間した2位置に設けられた被係合部と、前記固定部材の周方向の両端部に設けられ、該固定部材の弾性によって前記被係合部に弾性的に係合する係合部とからなることを特徴とする請求項1に記載の便座自立機構。
【請求項3】
前記回転規制手段の互いの係合点が前記ロータ部材の回転角度に応じて任意に設定されることにより、前記便座の自立角度が変更可能とされることを特徴とする請求項1または2に記載の便座自立機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate