説明

便座装置

【課題】ケーシングに取り付けた便座や便蓋がケーシングから外れることを抑制することができる便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】装着部を有するケーシングと、前記装着部に装着されるヒンジブロックと、基端部を回動中心として前記ヒンジブロックに回動自在に軸支される便座と、を備え、前記装着部および前記ヒンジブロックのいずれか一方は、いずれか他方を挿入可能な凹部を有し、前記装着部および前記ヒンジブロックは、前記凹部へ前記いずれか他方を挿入した状態において前記凹部からの前記いずれか他方の抜けを抑制する係合部を有することを特徴とする便座装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関し、具体的には便座および便蓋を着脱可能な便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座装置のなかには、例えば、便座および便蓋が、局部洗浄機能や脱臭機能や局部乾燥機能などの機能部を内蔵するケーシングに取り付けられたものがある。便座および便蓋は、それぞれ人が座ったり、また埃に曝される部材であるため、汚れや水跳ねした水などがその便座および便蓋に付着する場合がある。このため、前述したような便座装置では、便座や便蓋を拭き掃除する場合に、便座および便蓋がケーシングに連結されたままでは作業を行い難いため、その便座および便蓋をケーシングから取り外すことができると便利である。
【0003】
そこで、ケーシングに突設して設けた突部に、便座のヒンジブロックを差し込んで取り付ける便座および便蓋の取付構造がある(特許文献1および2)。また、支持部の壁面に対して進退自在に設けられた軸ピンを便座および便蓋に設けられた軸孔に挿通させることにより、便座および便蓋が軸ピンを中心に支持部に対して回動自在に軸支された便器装置がある(特許文献3)。特許文献1および2に記載された取付構造では、ケーシングの突部に便座のヒンジブロックを挿入し、その後、ヒンジブロックを突部に係合させることにより、便座のケーシングへの装着が完了する。これにより、便座および便蓋をケーシングから取り外したり、ケーシングに取り付けたりすることができる。
【0004】
しかしながら、使用者は、便座および便蓋をケーシングに取り付けたときに、ヒンジブロックを突部に係合させることを忘れる場合がある。この場合であっても、使用者が便座に座ると、便座の背面がヒンジブロックを押すことにより、一般的に、ヒンジブロックは突部に係合される。しかしながら、便座の下面を支持する洋式腰掛便器の上面に凹凸がある場合には、ヒンジブロックが突部に係合されていない状態において、例えば使用者が便座の前端部に勢いよく座ると、ヒンジブロックが突部から外れる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−258003号公報
【特許文献2】特開2005−161097号公報
【特許文献3】特開平11−28175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ケーシングに取り付けた便座や便蓋がケーシングから外れることを抑制することができる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、装着部を有するケーシングと、前記装着部に装着されるヒンジブロックと、基端部を回動中心として前記ヒンジブロックに回動自在に軸支される便座と、を備え、前記装着部および前記ヒンジブロックのいずれか一方は、いずれか他方を挿入可能な凹部を有し、前記装着部および前記ヒンジブロックは、前記凹部へ前記いずれか他方を挿入した状態において前記凹部からの前記いずれか他方の抜けを抑制する係合部を有することを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、ヒンジブロックに支持された便座をケーシングに取り付けると、突部とヒンジブロックとが係合し、抜け防止としてのロックが自動的にかかる。そのため、使用者などが便座をケーシングに取り付けたときに、ヒンジブロックを突部に確実にロックさせることができる。これにより、使用者が、便座をケーシングに取り付けた後に便座の前端部に勢いよく座った場合でも、ヒンジブロックが突部から外れる、すなわち便座がケーシングから外れることを抑制することができる。また、より安全性を高めることができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記ヒンジブロックは、ヒンジブロック本体と、前記ヒンジブロック本体に対して回動可能に支持され、少なくとも一部が弾性体により前記ヒンジブロック本体の方向に付勢されたカバー部材と、を有し、前記係合部は、前記装着部および前記カバー部材のいずれか一方に設けられた係合凸部と、前記装着部および前記カバー部材のいずれか他方に設けられ、前記係合凸部と係合可能な係合凹部と、を有し、前記係合凸部と前記係合凹部とは、前記凹部への前記いずれか他方の挿入により互いに係合し、前記カバー部材が前記弾性体の付勢力に抗って回動されることにより互いの係合が外れることを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、弾性体の付勢力を利用することにより、係合凸部と係合凹部とが係合し、ロックが自動的にかかる。そのため、使用者が、便座をケーシングに取り付けた後に便座の前端部に勢いよく座った場合でも、便座がケーシングから外れることを抑制することができる。また、より低コストで便座の抜け防止としてのロック機構を設けることができる。
【0009】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記カバー部材は、前記ヒンジブロック本体に対して回動可能に支持された部分よりも上側において、前記弾性体による付勢力に抗って押圧可能な押圧部を有することを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、使用者などは、弾性体の付勢力に抗ってカバー部材の押圧部を押すことにより、係合凸部と係合凹部とのロックを容易に解除できる。そのため、便座の取り外しを容易に行うことができる。
【0010】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記係合部は、前記突部および前記カバー部材のいずれか一方に設けられ、弾性体により付勢された突起と、前記突部および前記カバー部材のいずれか他方に設けられ、前記突起と係合可能な係合孔と、を有し、前記突起と前記係合孔とは、前記凹部への前記いずれか他方の挿入により互いに係合し、前記突起が前記弾性体の付勢力に抗って押圧されることにより互いの係合が外れることを特徴とする便座装置である。
この便座装置によれば、弾性体の付勢力を利用することにより、突起と係合孔とが係合し、ロックが自動的にかかる。そのため、使用者が、便座をケーシングに取り付けた後に便座の前端部に勢いよく座った場合でも、便座がケーシングから外れることを抑制することができる。また、より低コストで便座の抜け防止としてのロック機構を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、ケーシングに取り付けた便座や便蓋がケーシングから外れることを抑制することができる便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる便座装置を表す斜視模式図である。
【図2】ケーシングに対する便座および便蓋の連接構造を模式的に例示した概念模式図である。
【図3】ヒンジブロックと突部との連接構造を表す斜視模式図である。
【図4】係合凸部と係合凹部とのロックがかかった状態を表す断面模式図である。
【図5】係合凸部と係合凹部とのロックが解除された状態を表す断面模式図である。
【図6】本実施形態の変形例にかかる便座装置のヒンジブロックと突部との連接構造を表す斜視模式図である。
【図7】本変形例のヒンジブロックと突部との連接の内部構造を表す断面模式図である。
【図8】本実施形態の他の変形例にかかる便座装置のヒンジブロックと突部との連接の内部構造を表す断面模式図である。
【図9】本実施形態のさらに他の変形例にかかる便座装置のヒンジブロックと突部との連接の内部構造を表す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる便座装置を表す斜視模式図である。
また、図2は、ケーシングに対する便座および便蓋の連接構造を模式的に例示した概念模式図である。
【0014】
本実施形態にかかる便座装置10は、ケーシング100と、便座200と、便蓋300と、便座200および便蓋300を回動自在に軸支し連接するヒンジブロック410および回動ブロック420と、を備える。
【0015】
ケーシング100は、図1に表したように、表面側を部分的に突設させて形成した突部(装着部)110を有する。また、ケーシング100は、例えば、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴出する図示しない吐水ノズルを有する衛生洗浄機能部や、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥機能部や、その他脱臭ユニットや室内暖房ユニットの各種機能部などを内蔵する。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0016】
便座200は、回動ブロック420を挿入可能な回動ブロック挿入部210をその基端部に有する。また、便座200は、図1に表したように、その表面に支持部220を有する。そして、支持部220が図示しない洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)の上面に当接することにより、便座200は、便器の上面において支持される。また、便蓋300は、便座200と同様に、回動ブロック420を挿入可能な回動ブロック挿入部310をその基端部に有する。
【0017】
回動ブロック420は、図2に表したように、開閉ユニット(図示せず)を有するヒンジ胴部421と、ヒンジ軸423と、を有し、そのヒンジ胴部421は、ヒンジ軸423に対して回動自在とされている。なお、ヒンジ胴部421が有する開閉ユニットは、便座200および便蓋300の動作に抵抗を与えることができ、例えば、便座200および便蓋300が閉じるときの動作を緩やかにすることができる。
【0018】
ヒンジブロック410は、ヒンジブロック本体411を有し、そのヒンジブロック本体の底部には、ケーシング100の突部110を挿入可能な凹部412が設けられている。なお、突部110に凹部を設け、ヒンジブロック410をこの凹部に挿入可能としてもよい。またあるいは、突部110の代わりに、ケーシング100に装着部としての凹部を形成し、ヒンジブロック410をこの凹部に挿入可能としてもよい。
ヒンジブロック本体411は、回動ブロック420のヒンジ軸423を挿入し、固定支持する支持孔413を有する。そして、図2に表した連接構造では、便座200の基端部に設けられた回動ブロック挿入部210の一方(図2に表した連接構造では左側)をヒンジ胴部421と一体に回動するように固定し、他方(図2に表した連接構造では右側)の回動ブロック挿入部210をヒンジ胴部421に対し回動自在に軸支させる。また、固定した回動ブロック挿入部210とは逆側(図2に表した連接構造では右側)の回動ブロック挿入部310をヒンジ胴部421と一体に回動するように固定し、他方(図2に表した連接構造では左側)の回動ブロック挿入部310をヒンジ胴部421に対し回動自在に軸支させる。
【0019】
このようにして、便座200と、便蓋300と、ヒンジブロック410と、回動ブロック420と、は一体化される。そして、一体化された状態で、図2に表した矢印Aのように、ヒンジブロック410の凹部412をケーシング100の突部110に挿入させることにより、ケーシング100の突部110と、回動ブロック挿入部210、310と、をヒンジブロック410および回動ブロック420を介して連接させることができる。これによれば、便座200および便蓋300をケーシング100に装着することができる。一方、ケーシング100の突部110からヒンジブロック410の凹部412を引き上げることにより、便座200および便蓋300をケーシング100から取り外すことができる。
【0020】
図3は、ヒンジブロックと突部との連接構造を表す斜視模式図である。
ヒンジブロック410は、図2に関して前述したように、ヒンジブロック本体411を有し、そのヒンジブロック本体411は、凹部412および支持孔413を有する。また、ヒンジブロック410は、図3に表したように、ヒンジカバー(カバー部材)415を有する。ヒンジカバー415は、軸支部417においてヒンジブロック本体411に対して軸支されており、軸支部417を中心としてヒンジブロック本体411に対して回動できる。また、ヒンジカバー415は、その下端部近傍において、ヒンジブロック本体411側へ突出した係合凸部(係合部)416を有する。
【0021】
軸支部417には、例えば「ばね」などの弾性体418が設けられている。その弾性体418は、ヒンジカバー415の下端部をヒンジブロック本体411側に付勢している。すなわち、係合凸部416は、軸支部417に設けられた弾性体418により、ヒンジブロック本体411側に付勢されている。そのため、ヒンジカバー415における軸支部417よりも上側の部分(押圧部)を図3に表した矢印Bの方向に押すと、ヒンジカバー415の下端部あるいは係合凸部416は、弾性体418からの付勢力に逆らいつつ、図3に表した矢印Cの方向に軸支部417を中心として回動する。一方、ヒンジカバー415における軸支部417よりも上側の部分の押圧を止めると、ヒンジカバー415の下端部あるいは係合凸部416は、弾性体418からの付勢力を受け、図3に表した矢印Cとは反対方向に軸支部417を中心として回動する。
【0022】
ケーシング100の突部110は、図3に表したように、その表面から内側へ後退した係合凹部(係合部)111を有する。この係合凹部111は、ヒンジカバー415の係合凸部416の外形よりもやや大きい。そのため、ヒンジブロック410を突部110に挿入した際には、ヒンジカバー415の係合凸部416は、突部110の係合凹部111に挿入される。つまり、ヒンジブロック410を突部110に挿入した際には、係合凸部416と係合凹部111とは係合する。これは、軸支部417に設けられた弾性体418が、係合凸部416をヒンジブロック本体411側すなわち係合凹部111側へ付勢しているためである。そうすると、ヒンジブロック410は、突部110から上方へ抜けなくなる。
【0023】
これによれば、ヒンジブロック410を突部110に挿入すると、抜け防止としてのロックが自動的にかかる。そのため、回動ブロック420を介してヒンジブロック410と一体化された便座200および便蓋300が、ケーシング100から外れることを抑制することができる。一方、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合には、ヒンジカバー415における軸支部417よりも上側の部分(押圧部)を図3に表した矢印Bの方向に押してロックを解除しつつ、便座200および便蓋300を持ち上げることによりケーシング100から外すことができる。以下図面を参照しつつ、これについてさらに詳細に説明する。
【0024】
図4は、係合凸部と係合凹部とのロックがかかった状態を表す断面模式図である。
また、図5は、係合凸部と係合凹部とのロックが解除された状態を表す断面模式図である。
軸支部417に設けられた弾性体418は、図4に表した矢印Dのように、ヒンジカバー415における軸支部417よりも上側の部分をヒンジブロック本体411とは反対側に付勢している。その結果、図4に表した矢印Eのように、ヒンジカバー415の下端部あるいは係合凸部416は、軸支部417を中心としてヒンジブロック本体411側に付勢されている。
【0025】
そこで、回動ブロック420を介して便座200および便蓋300と一体化されたヒンジブロック410をケーシング100の突部110に挿入すると、図4に表したように、ヒンジカバー415の係合凸部416と、突部110の係合凹部111と、は自動的に係合する。これは、前述したように、係合凸部416がヒンジブロック本体411側すなわち係合凹部111側に付勢されているためである。そのため、ヒンジブロック410を突部110に挿入すると、係合凸部416と係合凹部111とは自動的に係合し、ロックがかかる。
【0026】
これによれば、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック410を突部110に係合(ロック)させることを忘れることはない。つまり、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック410を突部110に確実にロックさせることができる。そのため、使用者が、便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けた後に便座200の前端部に勢いよく座った場合でも、ヒンジブロック410が突部110から外れる、すなわち便座200および便蓋300がケーシング100から外れることを抑制することができる。また、より安全性を高めることができ、より低コストで便座200および便蓋300の抜け防止としてのロック機構を設けることができる。
【0027】
一方、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合には、使用者は、まず図5に表したように、便座200および便蓋300(図1参照)を開く。続いて、使用者は、ヒンジカバー415における軸支部417よりも上側の部分を弾性体418からの付勢力に逆らいつつ、図5あるいは図3に表した矢印Bの方向に押す。そうすると、ヒンジカバー415の係合凸部416は、図5あるいは図3に表した矢印Cの方向に軸支部417を中心として回動する。このとき、図5に表したように、係合凸部416と係合凹部111との係合は外れ、ロックが解除される。使用者は、この状態のままで、便座200および便蓋300を持ち上げることによりケーシング100から外すことができる。
【0028】
これによれば、使用者は、ヒンジカバー415における軸支部417よりも上側の部分を押すことにより、容易に係合凸部416と係合凹部111とのロックを解除できる。そのため、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合であっても、使用者は、容易にロックを解除しつつ便座200および便蓋300をケーシング100から取り外すことができる。
【0029】
なお、本実施形態では、係合凸部416がヒンジカバー415に設けられ、係合凹部111が突部110に設けられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。係合凸部416は突部110に設けられていてもよいし、係合凹部111はヒンジカバー415に設けられていてもよい。すなわち、係合凸部416は、ヒンジカバー415および突部110のいずれか一方に設けられ、係合凹部111は、ヒンジカバー415および突部110のいずれか他方に設けられ、係合凸部416と係合凹部111とは互いに係合できる形状を有していればよい。
【0030】
また、ヒンジブロック410のヒンジブロック本体411は、突部110に挿入される凹部412を有しているが、これだけに限定されず、突部110が凹部を有していてもよい。すなわち、突部110は、ヒンジブロック本体411を挿入可能な凹部を有していてもよい。これによっても、ヒンジブロック410を突部110の凹部に挿入することにより、便座200および便蓋300がケーシング100から外れることを抑制することができる。なお、これについては、後に詳述する。
【0031】
次に、本実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態の変形例にかかる便座装置のヒンジブロックと突部との連接構造を表す斜視模式図である。
また、図7は、本変形例のヒンジブロックと突部との連接の内部構造を表す断面模式図である。
【0032】
本変形例のヒンジブロック510は、図3に表したヒンジブロック410と同様に、ヒンジブロック本体511を有する。そのヒンジブロック本体511は、図6および図7に表したように、突部610を挿入可能な凹部512と、回動ブロック420のヒンジ軸423を挿入し固定支持する支持孔513と、突部610に設けられた突起611と係合可能な係合孔515と、を有する。一方、図3に表したようなヒンジカバー415については、設けられていない。
【0033】
また、本変形例の突部610は、図6に表したように、ヒンジブロック510に設けられた係合孔515と係合可能な突起611を有する。その突起611の一部は、突部610の側面から突出している。また、突起611の他部は、図7に表したように、突部610の内部に進入している。そして、突起611において突部610の内部に進入した部分には、例えば「ばね」などの弾性体613が付設されている。この弾性体613は、例えば突部610の内部に設けられた突壁615などにより固定支持され、突起611を突部610の内部から外部に(表面側に)突出させる方向に付勢している。
【0034】
そのため、突起611は、図7に表した矢印GおよびHのように、突部610の側面の略垂直方向に移動することができる。すなわち、突起611は、突部610の外部から力を受けると、図7に表した矢印Gのように、突部610の内部へ向かって移動できる。一方、突起611は、突部610の外部からの力が解除されると、図7に表した矢印Hのように、突部610の外部へ向かって移動できる。なお、突起611は、鍔部611aを有するため、突起611の全てが突部610の外部へ飛び出ることはない。また、その他の便座装置の構造については、図1および図2に関して前述した構造と同様である。
【0035】
そして、使用者が、図7に表した矢印Fのように、ヒンジブロック510を突部610に挿入すると、突起611は、ヒンジブロック510から外力を受けて矢印Gの方向、すなわち突部610の内側へ移動する。そうすると、ヒンジブロック510は、突部610の下方へさらに挿入される。そして、ヒンジブロック510に設けられた係合孔515が突起611の位置に略一致するところまでヒンジブロック510を突部610に挿入すると、その突起611は、係合孔515を通して矢印Hの方向、すなわち突部610の外側へ移動する。そうすると、突起611と係合孔515とは自動的に係合し、ロックがかかる。
【0036】
これによれば、図3〜図5に関して前述したように、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック510を突部610に係合(ロック)させることを忘れることはない。つまり、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック510を突部610に確実にロックさせることができる。そのため、使用者が、便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けた後に便座200の前端部に勢いよく座った場合でも、ヒンジブロック510が突部610から外れる、すなわち便座200および便蓋300がケーシング100から外れることを抑制することができる。また、その他の効果についても、図3〜図5に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0037】
一方、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合には、使用者は、まず、例えば指などにより突起611を矢印Gの方向に押す。そうすると、突起611は、突部610の内側へ移動し、突起611と係合孔515との係合は外れ、ロックが解除される。使用者は、この状態のままで、便座200および便蓋300を持ち上げることによりケーシング100から外すことができる。
【0038】
これによれば、使用者は、突起611を矢印Gの方向に押すことにより、容易に突起611と係合孔515とのロックを解除できる。そのため、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合であっても、使用者は、容易にロックを解除しつつ便座200および便蓋300をケーシング100から取り外すことができる。
【0039】
図8は、本実施形態の他の変形例にかかる便座装置のヒンジブロックと突部との連接の内部構造を表す断面模式図である。
本変形例のヒンジブロック520は、図6および図7に関して前述したヒンジブロック510と同様に、ヒンジブロック本体521を有する。そのヒンジブロック本体521は、突部620を挿入可能な凹部522と、突部620に設けられた突起621と係合可能な係合孔525と、を有する。この係合孔525は、図8に表したように、ヒンジブロック520において対向する側面に1つずつ設けられている。
【0040】
また、本変形例の突部620は、図8に表したように、ヒンジブロック520に設けられた係合孔525と係合可能な突起621を有する。この突起621は、突部620において対向する側面に1つずつ設けられている。そして、突起621の一部は、突部610の左右側面から突出し、突起621の他部は、突部610の内部に進入している。左右側面に1つずつ設けられた突起621は、例えば「板ばね」などの弾性体623により互いに連結され、その弾性体623により突部620の内部から外部に(表面側に)突出する方向に付勢されている。そのため、突起621は、図7に関して前述した変形例と同様に、突部620の側面の略垂直方向に移動することができる。その他の便座装置の構造については、図1および図2に関して前述した構造と同様である。
【0041】
そして、使用者が、ヒンジブロック520を突部620に挿入すると、突起621は、ヒンジブロック520から外力を受けて突部610の内側へ移動する。そうすると、ヒンジブロック520は、突部620の下方へさらに挿入される。そして、ヒンジブロック520に設けられた係合孔525が突起621の位置に略一致するところまでヒンジブロック520を突部620に挿入すると、その突起621は、係合孔525を通して突部620の外側へ移動する。そうすると、突起621と係合孔525とは自動的に係合し、ロックがかかる。
【0042】
これによれば、ヒンジブロック520および突部620の左右側面において、突起621と係合孔525とが係合し、より確実にロックがかかる。そのため、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック520を突部620により確実にロックさせることができる。すなわち、便座200および便蓋300がケーシング100から外れることをより確実に抑制することができる。また、その他の効果についても、図3〜図5に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0043】
一方、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合には、使用者は、まず、例えば指などにより左右側面の突起621を略同時に突部620の内側へ押す。そうすると、左右側面の突起621は、突部620の内側へ移動し、突起621と係合孔525との係合は外れ、ロックが解除される。使用者は、この状態のままで、便座200および便蓋300を持ち上げることによりケーシング100から外すことができる。
【0044】
図9は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる便座装置のヒンジブロックと突部との連接の内部構造を表す断面模式図である。
なお、図9(a)は、ヒンジブロックを突部に挿入する前の状態を表す断面模式図であり、図9(b)は、ヒンジブロックを突部に挿入した後の状態を表す断面模式図である。
【0045】
図3に関して前述したように、ケーシングの突部は、ヒンジブロックを挿入可能な凹部を有していてもよい。すなわち、本変形例の突部630は、ヒンジブロック530を挿入可能な凹部631を有する。また、突部630は、ヒンジブロック520に設けられた突起535と係合可能な係合孔633を有する。この係合孔633は、図9(a)および図9(b)に表したように、突部630において対向する側面に1つずつ設けられている。
【0046】
一方、本変形例のヒンジブロック530は、図1〜図8に関して前述したような凹部を有してはいない。本変形例のヒンジブロック530は、その下端部において、例えば「ゴム」などの弾性体により形成され、下方に突出した突出部531を有する。突出部531の側面には、突部630の係合孔633と係合可能な突起535を有する。この突起535は、突出部531の左右側面に1つずつ設けられている。また、突出部531の左右側面に設けられた突起535の間には、図9(a)および図9(b)に表したように、例えば「ばね」などの弾性体533が設けられている。そのため、突起535は、図7および図8に関して前述した変形例と同様に、ヒンジブロック530の側面の略垂直方向に移動することができ、弾性体533によりヒンジブロック530の外側(表面側)へ向かって付勢されている。
【0047】
そして、使用者が、ヒンジブロック530を突部630の凹部631に挿入すると、突起535は、突部630から外力を受けてヒンジブロック530の内側あるいは突部630の内側へ移動する。そうすると、ヒンジブロック530は、突部630の凹部631の下方へさらに挿入される。そして、ヒンジブロック530に設けられた突起535が係合孔633の位置に略一致するところまでヒンジブロック530を突部630の凹部631に挿入すると、その突起535は、係合孔633を通して突部630の外側へ移動する。そうすると、突起535と係合孔633とは自動的に係合し、ロックがかかる。
【0048】
本変形例によれば、ヒンジブロック530には突出部531が設けられ、突部630には上方に開口した凹部631が設けられているため、使用者は、挿入部(凹部631)を目視しやすく、ヒンジブロック530を突部630に挿入しやすい。また、図8に関して前述した変形例と同様に、ヒンジブロック530および突部630の左右側面において、突起535と係合孔633とが係合し、より確実にロックがかかる。すなわち、便座200および便蓋300がケーシング100から外れることをより確実に抑制することができる。また、その他の効果についても、図3〜図5に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0049】
一方、便座200および便蓋300をケーシング100から外す場合には、使用者は、まず、例えば指などにより左右側面の突起535を略同時に突部630の内側へ押す。そうすると、左右側面の突起535は、突部630の内側へ移動し、突起535と係合孔633との係合は外れ、ロックが解除される。使用者は、この状態のままで、便座200および便蓋300を持ち上げることによりケーシング100から外すことができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒンジブロック410を突部110に挿入すると、抜け防止としてのロックが自動的にかかる。これは、図6〜図9に関して前述した変形例についても同様である。そのため、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック410を突部110に係合(ロック)させることを忘れることはない。つまり、使用者が便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けたときに、ヒンジブロック410を突部110に確実にロックさせることができる。そのため、使用者が、便座200および便蓋300をケーシング100に取り付けた後に便座200の前端部に勢いよく座った場合でも、ヒンジブロック410が突部110から外れる、すなわち便座200および便蓋300がケーシング100から外れることを抑制することができる。また、より安全性を高めることができ、より低コストで便座200および便蓋300の抜け防止としてのロック機構を設けることができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ヒンジブロック410や突部110などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや係合凸部416や係合凹部111の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0052】
10 便座装置、 100 ケーシング、 110 突部、 111 係合凹部、 200 便座、 210 回動ブロック挿入部、 220 支持部、 300 便蓋、 310 回動ブロック挿入部、 410 ヒンジブロック、 411 ヒンジブロック本体、 412 凹部、 413 支持孔、 415 ヒンジカバー、 416 係合凸部、 417 軸支部、 418 弾性体、 420 回動ブロック、 421 ヒンジ胴部、 423 ヒンジ軸、 510 ヒンジブロック、 511 ヒンジブロック本体、 512 凹部、 513 支持孔、 515 係合孔、 520 ヒンジブロック、 521 ヒンジブロック本体、 522 凹部、 525 係合孔、 530 ヒンジブロック、 531 突出部、 533 弾性体、 535 突起、 610 突部、 611 突起、 611a 鍔部、 613 弾性体、 615 突壁、 620 突部、 621 突起、 623 弾性体、 630 突部、 631 凹部、 633 係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着部を有するケーシングと、
前記装着部に装着されるヒンジブロックと、
基端部を回動中心として前記ヒンジブロックに回動自在に軸支される便座と、
を備え、
前記装着部および前記ヒンジブロックのいずれか一方は、いずれか他方を挿入可能な凹部を有し、
前記装着部および前記ヒンジブロックは、前記凹部へ前記いずれか他方を挿入した状態において前記凹部からの前記いずれか他方の抜けを抑制する係合部を有することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記ヒンジブロックは、
ヒンジブロック本体と、
前記ヒンジブロック本体に対して回動可能に支持され、少なくとも一部が弾性体により前記ヒンジブロック本体の方向に付勢されたカバー部材と、
を有し、
前記係合部は、
前記装着部および前記カバー部材のいずれか一方に設けられた係合凸部と、
前記装着部および前記カバー部材のいずれか他方に設けられ、前記係合凸部と係合可能な係合凹部と、
を有し、
前記係合凸部と前記係合凹部とは、前記凹部への前記いずれか他方の挿入により互いに係合し、前記カバー部材が前記弾性体の付勢力に抗って回動されることにより互いの係合が外れることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記ヒンジブロック本体に対して回動可能に支持された部分よりも上側において、前記弾性体による付勢力に抗って押圧可能な押圧部を有することを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
前記係合部は、
前記突部および前記カバー部材のいずれか一方に設けられ、弾性体により付勢された突起と、
前記突部および前記カバー部材のいずれか他方に設けられ、前記突起と係合可能な係合孔と、
を有し、
前記突起と前記係合孔とは、前記凹部への前記いずれか他方の挿入により互いに係合し、前記突起が前記弾性体の付勢力に抗って押圧されることにより互いの係合が外れることを特徴とする請求項1記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−246773(P2010−246773A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100325(P2009−100325)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】