説明

便座装置

【課題】人体検知部分の構成を簡素し、かつ便座装置の機能状態を報知する部分の視認性を向上することができる便座装置を提供する。
【解決手段】本体と、本体に設けられた便座と、便座を加熱する加熱器と、本体に設けられ、人体を検知しかつ便座装置の機能状態を報知する検知/報知部4と、を備え、検知/報知部4は、人体を検出する反射型の赤外線センサと、可視光を発して便座装置の機能状態を報知する報知灯23と、赤外線センサ及び報知灯23を覆うように設けられ、赤外線を透過しかつ所定範囲の可視光透過率を有するカバー21とを備え、かつ報知灯23から発せられた可視光がカバー21にスポット形状の光る領域31を形成するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便座装置に関し、特に人体を検知する部分及び便座が温まったことを報知する部分の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に便座装置においては、使用者が便座に着座したときに、冷たさを感じないように便座をヒータによって温める。しかし、便座を常時温めて置くことは、省エネルギ(energy saving)の観点から好ましくない。そこで、トイレ(toilet)に人体センサを設置し、使用者がトイレに入室したことを人体センサが検知すると便座を温め、便座が温まるとそのことを報知灯によって報知するよう構成された便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような便座装置によれば、便座を温めるためのエネルギを節約することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−253724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の便座装置においては、以下のような課題があった。すなわち、人体検知センサが便座装置本体とは別体として設けられるため、構成が複雑になる。また、便座が温まったことを報知するランプが便蓋に隠れる位置に設置されているために、使用者が見難い。また、便座装置の他の機能状態を報知するランプも使用者が見易い方が良い。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、人体検知部分の構成を簡素し、かつ便座装置の機能状態を報知する部分の視認性を向上することができる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る便座装置は、本体と、前記本体に設けられた便座と、前記便座を加熱する加熱器と、前記本体に設けられ、人体を検知しかつ便座装置の機能状態を報知する検知/報知部と、を少なくとも有しており、前記検知/報知部は、前記人体を検出する反射型の赤外線センサと、可視光を発して前記便座装置の機能状態を報知する報知灯と、前記赤外線センサ及び前記報知灯を覆うように設けられ、赤外線を透過しかつ所定範囲の可視光透過率を有するカバーと、を備え、かつ、前記報知灯から発せられた可視光が前記カバーにスポット形状の光る領域を形成するよう構成されている。
【0007】
前記検知/報知部において、所定の光軸上に前記報知灯と光通過孔を有する遮光体と前記カバーとが順に設けられ、前記遮光体は光通過孔を前記光軸が通るように設けられていてもよい。
【0008】
前記カバーは、該カバーで覆われた部分が見えない程度の可視光透過率を有することが好ましい。
【0009】
前記カバーの可視光透過率が2%以上かつ10%以下であることが好ましい。
【0010】
前記カバーの赤外線透過率が28%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましい。
【0011】
前記本体は、前記便座の基端が設けられた部分から該便座に沿って延出する腕部を備え、前記腕部の先端部に前記検知/報知部が設けられていてもよい。
【0012】
前記検知/報知部は、前記便座が温まったことを報知するよう構成されており、前記報知灯は、可視光を発して前記便座が温まったことを報知するよう構成されていてもよい。
前記便座装置は、開閉により前記便座を開放し及び覆うように前記本体に設けられた便蓋と、制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記赤外線センサが前記人体を検出すると、前記便蓋を開き、かつ前記加熱器によって前記便座を温めるよう構成されていてもよい。
【0013】
前記制御部は、前記便座が温まると、前記報知灯を点灯するよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上に説明したように構成され、人体検知部分の構成を簡素し、かつ便座装置の機能状態を報知する部分の視認性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る便座装置の概要を示す斜視図である。
【図2】図2は図1の腕部の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2のA部の部分拡大図である。
【図4】図4は図1の腕部の構成を示す平面図である。
【図5】図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。
【図6】図6はカバーを外した状態における検知/報知部を示す斜視図である。
【図7】図7は図6における検知/報知部の部分拡大図である。
【図8】図8はカバーの厚み及び組成をパラメータとして変化させた実施例1〜実施例5の赤外線透過率及び可視光透過率を示す表である。
【図9】図9は図1の便座装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態2に係る便座装置の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。また、本発明は以下の実施の形態には限定されない。
【0017】
(実施の形態1)
[ハードウェアの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る便座装置の概要を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態1の便座装置101Aは、便器200の上に載置されて設置される。便座装置101Aは、本体1と、便座2と、便蓋3と、検知/報知部4と、を備えている。
【0018】
本体1は基部1aと腕部(arm portion)1bとを有している。基部1aは、便座装置1の基幹部分であり、便器200の上に載置されている。基部1aには、便座2と弁蓋3とが、それぞれ互いに独立して、それぞれの基端を中心に倒伏位置と起立位置との間で回動自在なように取り付けられている。なお、以下では便宜上、便座2及び弁蓋3が起立位置から倒伏位置へ向かって回動することをそれぞれ「閉じる」と呼び、便座2及び弁蓋3が倒伏位置から起立位置へ向かって回動することを「開く」と呼ぶ。便座2は、手動により開閉可能なように構成されている。便座2は、楕円環形状に形成されていて、閉じた状態で便器200上に位置するよう構成されている。便座2の内部にはヒータ(heater)47が配設されている(図9参照)。ヒータ47については、後で詳しく説明する。弁蓋3は、手動により開閉可能なように構成されている。弁蓋3は、閉じた状態で便座2を覆うように構成されている。なお、基部1aには、使用者が便座2に着座したことを検知する着座センサ(sensor)5が設けられている。
【0019】
本体1の腕部1bは、基部1aから閉じた状態の便座2に沿って延出するように形成されている。腕部1bの上面には、便座装置1を操作するための操作部10(詳しくは図2参照)が設けられている。また、腕部1bの先端部には、検知/報知部4が設けられている。検知/報知部4は、人体を検知しかつ便座装置101Aの機能状態を報知する機能を有する。以下では、検知/報知部4が、便座装置101Aの機能状態の一例として、便座2が温まったことを報知するよう構成された例を説明する。検知/報知部4がこれ以外の便座装置101Aの機能状態を報知する構成は、本実施の形態1の変形例として後述する。なお、検知/報知部4の設置位置は例示であり、検知/報知部4を本体1の他の部分に設けてもよい。但し、腕部1bの先端部は、本体のうちでは、便座装置1に近づく使用者(人体)に最も近く、かつ、当該使用者が視認しやすい部分であるので、検知/報知部4を腕部1bの先端部に設けると、便座装置1に近づく使用者(人体)を好適に検知することができ、かつ便座装置1に近づく使用者が検知/報知部4を好適に視認することができる。
【0020】
<検知/報知部の構成>
次に、本発明を特徴付ける検知/報知部4の構成を詳しく説明する。
【0021】
図2は図1の腕部の構成を示す斜視図である。図3は、図2のA部の部分拡大図である。図4は図1の腕部の構成を示す平面図である。図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。図6はカバーを外した状態における検知/報知部を示す斜視図である。図7は図6における検知/報知部の部分拡大図である。
【0022】
図2及び図3に示すように、検知/報知部4は、本体1の腕部1b(以下、単に腕部1bという)とともに全体として腕形状を成すように形成されている。また、検知/報知部4は、カバー(cover)21を通してその内部を見ることができないように構成されている。
【0023】
図4乃至図7に示すように、検知/報知部4は、報知灯23と、遮光部24と、人体センサとしての反射型赤外線センサ27(特に図7参照)と、カバー21と、を備えている。腕部1bの外殻は、腕形状の筐体22で構成されている。この腕形状の筐体22の先端部に開口(窓)28が形成されている。この開口28にカバー21が着脱自在に嵌め込まれている。カバー21は、開口28に嵌め込まれた状態で、筐体22の一部を成すような形状に形成されている。また、カバー21は、赤外線を透過し、かつ、該カバー21で覆われた部分が見えない程度の可視光透過率を有する材料で構成されている。筐体21の開口28に臨む部分には、報知灯23と反射型赤外線センサ27とを支持する支持部22aが設けられている。この支持部22aに、報知灯23と反射型赤外線センサ27とが設けられている。反射型赤外線センサ27は、その発光部及び受光部の指向方向が開口28を向くように設けられている。これにより、反射型赤外線センサ27の発光部から発せられた赤外線がカバー21を透過して、外部に放射され、便座装置101Aの近傍に居る人体で反射された赤外線がカバー21を透過して反射型赤外線センサの受光部で受光される。報知灯23と反射型赤外線センサ27とは、例えば、横方向に並ぶように設けられているが、任意の並び方で設けることができる。
【0024】
報知灯23は可視光を発するように構成されていて、後述するように便座2が温まると点灯(正確には連続点灯)される。具体的には、報知灯23は、例えば、可視光を発光するLED(light-emitting diode)で構成されている。もちろん、他の光源で構成してもよい。報知灯23は、例えば、その光軸26がカバー21を通るように設置されている。換言すると、検知/報知部4においては、カバー21を通る所定の光軸26が想定されていて、この光軸26にその光軸が一致するように報知灯23が設けられている。そして、この光軸上の報知灯23とカバー21との間に位置するように遮光部24が筐体22に設けられている。遮光部24には光通過孔25が形成されている。この光通過孔25は、光軸26が通るように形成されている。これにより、報知灯23から発せられた可視光が遮光体24の光通過孔25を通過してビーム(beam)状に形成される。このビーム状の可視光がカバー21を通過すると、カバー21の当該可視光が通過する部分が、スポット(spot)形状の光る領域31となる。このスポット形状の光る領域31から発せられる可視光は、カバー21を透過する可視光とカバー21で散乱される可視光との双方を含む。これにより、不透明な(内部が見えない)カバー21にスポット形状の光る領域31が孤立して存在するので、単一色の周囲の領域の中に光る領域31がくっきりと浮かび上がって見え、光る領域31が明瞭に視認される(図3参照)。従って、便座2が温まったことを報知する部分の視認性が向上する。なお、光る領域31の形状は特に限定されず、任意の形状とすることができる。
【0025】
<カバーの構成>
次に、カバー21の構成について詳しく説明する。カバー21は、赤外線を透過すること、可視光を照射するとスポット形状の光る領域が形成されること、及びカバーの内部(カバーで覆われた部分)が見えないことの3つの条件を満たすことが必要とされる。
【0026】
そこで、本発明者は、実施例1乃至5の5つのカバーを作成して、この3つの条件が満たされるカバーの構成を検討した。
【0027】
図8はカバーの厚み及び組成をパラメータとして変化させた実施例1〜実施例5の赤外線透過率及び可視光透過率を示す表である。
【0028】
図8に示すように、実施例1のカバーにおいては、厚みが0.8mmであり、材料がHDPE(High Density Polyethylene)+酸化チタン(顔料:含有率=0.24質量%)であり、赤外線透過率が35%であり、可視光透過率が2%以上10%以下であり、可視光が後述の実施例3よりもより良好に散乱された。この実施例1のカバーは、赤外線を透過する。また、実施例1のカバーの内部(カバーで覆われた部分)は見えなかった。そして、実施例1のカバーにビーム状の可視光を照射すると、照射部分にスポット形状の光る領域が後述の実施例2よりもより明瞭に形成された。
【0029】
実施例2のカバーにおいては、厚みが1.2mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料:含有率=0.24質量%)であり、赤外線透過率が20%であり、内部が殆ど見えない程度の可視光透過率であり、可視光が散乱された。また、実施例2のカバーにビーム状の可視光を照射すると、照射された可視光が僅かに透過し、照射部分にスポット形状の光る領域が僅かに形成された。
【0030】
実施例3のカバーにおいては、厚みが0.8mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料:含有率=0.1質量%以下)であり、赤外線透過率が35%であり、内部が良く見える程度の可視光透過率であり、可視光が僅かに散乱された。そして、実施例3のカバーにビーム状の可視光を照射すると、照射された可視光が殆んど透過し、照射部分にスポット形状の光る領域が僅かに形成された。
【0031】
実施例4のカバーにおいては、厚みが1.0mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料:含有率=0.24質量%)であり、赤外線透過率が28%であり、可視光透過率が2%以上8%以下であり、可視光が実施例3よりもより良好に散乱された。この実施例4のカバーも、赤外線を透過する。また、実施例4のカバーの内部(カバーで覆われた部分)は見えなかった。そして、実施例4のカバーにビーム状の可視光を照射すると、照射部分にスポット形状の光る領域が、実施例1より少し不明瞭であるが実施例2よりも明瞭に形成された。
【0032】
実施例5のカバーにおいては、厚みが0.6mmであり、材料がHDPE+酸化チタン(顔料:含有率=0.24質量%)であり、赤外線透過率が45%であり、可視光透過率が5〜20%で内部が見え、可視光が僅かに散乱された。そして、実施例5のカバーにビーム状の可視光を照射すると、照射された可視光が殆んど透過し、照射部分にスポット形状の光る領域が僅かに形成された。
【0033】
以上の実施例1〜実施例5のカバーを用いた検討から、実施例1のカバーは、便座装置101Aの検知/報知部4のカバーとして、実施例1〜実施例5のカバー中で最も好適なものであり、実施例4のカバーも好適なものであることが確認された。また、カバー21の可視光透過率は2%以上10%以下であることが好ましく、このときのカバー21の赤外線透過率は28%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましいことが確認された。
【0034】
[制御系統の構成]
図9は図1の便座装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【0035】
図9に示すように、便座装置101Aの本体1は、その内部に制御部41を備えている。制御部41は、例えば、マイクロコンピュータ(microcomputer)とその周辺機器で構成される。なお、本発明において、制御部とは単独の制御部のみならず、複数の制御部からなる制御部群をも意味する。従って、制御部41は、単独の制御部によって集中制御するよう構成されていてもよく、分散配置された複数の制御部が協働して分散制御するよう構成されていてもよい。
【0036】
便座2の内部には、既述のように、ヒータ47が配設されている。ヒータ47は、楕円環状の便座2の内部に、平面視において基端から先端に向けて開いたU字状の領域に渡って配設されている。ヒータ47は、この領域においてジグザク状に配設されている。ヒータ47は、後述するように、使用者の人体が検知されてから極短時間で使用者が冷たさを感じない程度の所定の温度に便座2を温める必要があるため、比較的大きな消費電力(例えば1.2Kw)のヒータで構成される。ヒータ47は、ヒータ駆動部44によって通電される。ヒータ駆動部44は、ヒータ47への通電量を制御部41によって制御される。
【0037】
便座2には、便座2の温度を検知する便座温度センサ46が配設されている。便座温度センサ46検知された温度は温度測定部45に入力される。温度測定部45は、便座温度センサ46で検知された温度に基づいて便座2の温度を測定し、これを制御部41に出力する。本体1の腕部1bには便座温調ランプ(lamp)43が配設されている。便座温調ランプ43は、制御部41によって点灯及び消灯を制御される。便座温調ランプ43は、例えば、LED(light emitting diode)で構成される。また、本体1の適所には室温センサ42が配設されている。室温センサ42で検知された室温は制御部41に入力される。室温センサ42及び便座温度センサ46は、例えば、サーミスタ(thermistor)等で構成される。
【0038】
操作部10には、便座2の温度を設定する操作ボタン等が設けられている。これらの操作ボタンの操作出力は制御部41に入力される。人体センサとしての赤外線センサ27の検知出力は制御部41に入力される。着座センサ5は、例えば、反射型赤外線センサで構成されていて、その検知出力が制御部41に入力される。また、報知灯23の点灯及び消灯が制御部41によって制御される。
【0039】
[動作]
次に、以上のように構成された便座装置101Aの動作を説明する。
【0040】
<便座温度の設定>
便座2の温度制御においては、待機温度と、限界温度と、設定温度との3種類の温度が用いられる。待機温度は、便座装置2が使用されていない状態において維持される温度であり、予め制御部41に記憶されて設定されている。待機温度は、例えば、18℃に設定されている。限界温度は、使用者が冷たさを感じないと想定される温度であり、予め制御部41に記憶されて設定されている。限界温度は、例えば、29℃に設定されている。なお、待機温度は、使用者の人体が検知されてから所定時間(例えば6秒)内に、ヒータ46を全定格で動作させて便座2を加熱することによりその温度から限界温度まで昇温可能な温度として設定される。設定温度は、便座装置2が使用されている状態において維持される温度である。使用者が操作部10の所定の操作ボタンを操作して所望の設定温度を入力すると、これが制御部41に記憶されて設定温度として設定される。なお、操作部10には、複数の設定温度レベルに対応させて複数の温度調整ランプ43が設けられており、使用者が上記所定の操作ボタンを操作すると、制御部41の制御により、この操作に対応する温度調整ランプ43が点灯するように構成されている。従って、使用者は所定の操作ボタンを操作して点灯する温度調整ランプ43を見ながら所望の設定温度レベルを選択し、それによって、設定温度を設定することができる。
【0041】
<使用動作>
制御部41は、便座装置2が使用されない状態(着座センサ5が使用者の便座2からの離座を検知した後の状態)では、ヒータ駆動部44を介して便座2の温度を待機温度に制御する。この際、制御部41は、便座2の表面温度を正確に待機温度に制御するために、温度測定部45で測定される便座2の温度と室温センサ42で検知される室温との双方に基づいてヒータ47による便座2の加熱量を制御する。そして、使用者がトイレに入室して便座装置101Aに近づくと、制御部41は、検知/報知部4の反射型赤外線センサ27の検知出力に基づいて使用者の人体を検知する。ここで、本実施の形態1では、検知/報知部4が本体1の腕部1bの先端部に設けられているので、便座装置2に近づく使用者の人体を好適に検出することができる。そして、制御部41は、ヒータ駆動部44を介してヒータ47により便座2を全定格で加熱するとともに、検知/報知部4の報知灯23を点滅させる。そして、制御部41は、温度側定部45によって測定される便座2の温度が限界温度に到達すると、報知灯23を連続点灯させる。これにより、使用者に便座2が温まったことが報知される。このとき、図3に示すように、検知/報知部4においては、報知灯23から発せられる可視光によって、不透明なカバー21にスポット形状の光る領域31が形成され、これが使用者に明瞭に視認される。従って、便座2が温まったことを報知する部分の視認性が向上する。制御部41は、便座2の温度が限界温度に到達した後は、便座2の温度を設定温度に制御する。
【0042】
一方、使用者が便座2に着座すると、制御部41は着座センサ5の検知出力に基づいてこれを検知する。その後、使用者が便座2から離座すると、制御部41は着座センサ5の検知出力に基づいてこれを検知する。そして、これを契機として、便座2の温度を待機温度に制御する。
【0043】
なお、便座装置101Aにおいて、構成を簡素化する場合には、便蓋3を省略してもよい。
【0044】
[変形例]
本変形例は、検知/報知部4及び報知灯23が、便座装置101Aの便座が温まったこと以外の機能状態を報知するよう構成されている。これ以外の点は上記と同様である。
【0045】
検知/報知部4及び報知灯23は、例えば、便座装置101Aの電源の入り切り状態、又は便座2の暖房の設定の有無を報知するよう構成されてもよい。
【0046】
また、検知/報知部4及び報知灯23が、便座温調ランプ43に代わって、当該便座温調ランプ43の機能を持ってもよい。この場合、例えば、報知灯23の輝度又は色が複数の設定温度レベルに対応させられる。使用者は所定の操作ボタンを操作して報知灯23の輝度又は色を見ながら所望の設定温度レベルを選択し、それによって、設定温度を設定することができる。報知灯23の色を複数の設定温度レベルに対応させる場合には、例えば、報知灯23を複数の設定温度レベルにそれぞれ対応する複数の色のLEDで構成すればよい。
【0047】
また、着座センサ5が使用者の着座を検知している間中、報知灯23を点灯させるように構成してもよい。これにより、着座センサ5を着衣が覆っている場合又は着衣が黒色で着座センサ5が着座を検知しない場合には報知灯23が点灯しないので、使用者がそれに気が付いて着衣を直す等することになる。その結果、使用者に起因する着座の不検知を低減することができる。
【0048】
また、例えば、検知/報知部4及び報知灯23は基本的に上記のように便座が温まったことを報知するが、季節が夏である場合のように、便座2の温度が十分高くてヒータ47が便座2を加熱しない場合には、報知灯23が点灯しないよう構成してもよい。
【0049】
さらに、検知/報知部4及び報知灯23は、これら以外の機能状態を報知するよう構成されてもよい。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、実施の形態1の便座装置を、洗浄機能を備えかつ便蓋を自動的に開閉するよう変形した構成例を示すものである。
【0051】
図10は本実施の形態2に係る便座装置の概要を示す斜視図である。
【0052】
図10に示すように、本実施の形態2の便座装置101Bは、実施の形態1の便座装置において、便器ノズル300と、図示されないお尻洗浄ノズル及びビデ洗浄ノズルとを備えている。これらの各ノズルは、水道水配管と接続される洗浄水供給機構(図示せず)に接続されている。洗浄水供給機構は、各ノズルに洗浄水を供給する。便器ノズル300は、便器200の内面に洗浄水を噴出してこれを洗浄する。お尻洗浄ノズル及びビデ洗浄ノズルは、それぞれ、着座した使用者のお尻及び局所に洗浄水を噴出する。これらの機能は周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。操作部10には、これらの機能を利用するための操作ボタンが設けられており、これらの操作ボタンを操作すると、制御部41(図9参照)がその操作に応じて各ノズルによる洗浄動作を制御し、所要の洗浄が行われる。
【0053】
さらに、本実施の形態2では、図示されない駆動装置を制御部41が制御することによって弁蓋3を開閉するよう構成されている。具体的には、制御部41は、反射型赤外線センサ27によって使用者の人体を検知すると便蓋3を開き、着座センサ5によって使用者が便座2から離座したことを検知すると、所定時間後、便蓋3を閉じるように構成されている。
【0054】
このように構成された本実施の形態2の便座装置101Bによっても、実施の形態1の便座装置101Aと同様の効果が得られる。
【0055】
なお、実施の形態2の便座装置101Bを実施の形態1の変形例のように変形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る便座装置は、体検知部分の構成を簡素し、かつ便座装置の機能状態を報知する部分の視認性を向上することができる便座装置等として有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 本体
1a 基部
1b 腕部
2 便座
3 便蓋
4 検知/報知部
5 着座センサ
10 操作部
21 カバー
22 筐体
23 報知灯
24 遮光部
25 光通過孔
26 光軸
27 反射型赤外線センサ(人体センサ)
28 開口(窓)
31 光る領域
41 制御部
42 室温センサ
43 便座温調ランプ
44 ヒータ駆動部
45 温度測定部
46 便座温度センサ
47 ヒータ
101A,101B 便座装置
200 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられた便座と、
前記便座を加熱する加熱器と、
前記本体に設けられ、人体を検知しかつ便座装置の機能状態を報知する検知/報知部と、
を少なくとも有しており、
前記検知/報知部は、前記人体を検出する反射型の赤外線センサと、可視光を発して前記便座装置の機能状態を報知する報知灯と、前記赤外線センサ及び前記報知灯を覆うように設けられ、赤外線を透過しかつ所定範囲の可視光透過率を有するカバーと、を備え、かつ、前記報知灯から発せられた可視光が前記カバーにスポット形状の光る領域を形成するよう構成されている、
便座装置。
【請求項2】
前記検知/報知部において、所定の光軸上に前記報知灯と光通過孔を有する遮光体と前記カバーとが順に設けられ、前記遮光体は光通過孔を前記光軸が通るように設けられている、請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記カバーは、該カバーで覆われた部分が見えない程度の可視光透過率を有する、請求項1に記載の便座装置。
【請求項4】
前記カバーの可視光透過率が2%以上かつ10%以下である、請求項3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記カバーの赤外線透過率が28%以上である、請求項4に記載の便座装置。
【請求項6】
前記本体は、前記便座の基端が設けられた部分から該便座に沿って延出する腕部を備え、前記腕部の先端部に前記検知/報知部が設けられている、請求項1に記載の便座装置。
【請求項7】
前記検知/報知部は、前記便座が温まったことを報知するよう構成されており、前記報知灯は、可視光を発して前記便座が温まったことを報知するよう構成されている、請求項1に記載の便座装置。
【請求項8】
前記便座装置は、開閉により前記便座を開放し及び覆うように前記本体に設けられた便蓋と、制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記赤外線センサが前記人体を検出すると、前記便蓋を開き、かつ前記加熱器によって前記便座を温めるよう構成されている、請求項7に記載の便座装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記便座が温まると、前記報知灯を点灯するよう構成されている、請求項8に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−67610(P2011−67610A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176498(P2010−176498)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】