保冷容器とセンサ付真空断熱パネル
【課題】本願発明の課題は、断熱機能に優れ、しかも周辺温度を検知するとともにその検知温度を送信できるセンサ付真空断熱パネルとこれを用いた保冷容器を提供することによって、従来の保冷容器が抱える問題を解消することにある。
【解決手段】本願発明は、温度検知という性質上、通常は断熱環境に置かれることのない温度センサを、あえて真空断熱パネル内に設置するという発想に基づいて行われたものであり、具体的には、周辺温度の検知が可能な温度センサが設置されたセンサ付真空断熱パネルとこれを用いた保冷容器について開発したものである。
【解決手段】本願発明は、温度検知という性質上、通常は断熱環境に置かれることのない温度センサを、あえて真空断熱パネル内に設置するという発想に基づいて行われたものであり、具体的には、周辺温度の検知が可能な温度センサが設置されたセンサ付真空断熱パネルとこれを用いた保冷容器について開発したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食材や食品、あるいは化粧品や薬品など、保冷を必要とする物品を搬送する際に用いられる保冷容器に関するものであり、より具体的には、センサを備えた真空断熱パネルとこれを用いた保冷容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、就業主婦の増加、高齢者世帯の増加に伴い、食材の宅配サービスの需要が拡大している。食材の宅配サービスとは、食材の販売事業者が需要者のもとに食材を届けるサービスであり、週に1回程度の頻度で需要者の注文に応じた食材を宅配するものである。
【0003】
宅配される食材には、常温管理できるものに限らず要冷蔵の食材や要冷凍の食材も含まれるため、発泡スチロールなどの断熱材を使用した保冷容器に収容して搬送している。また夏場に宅配されることもあり、あるいは需要者に手渡しされず指定された場所(例えば玄関前)に置いて帰ることもあるので、保冷容器の中には食材とともにドライアイスや蓄冷剤を入れているのが現状である。なお、多くの食材の宅配事業者では、「要冷凍食材」を宅配する場合にはドライアイスを保冷容器内に同梱し、「要冷蔵食材」を宅配する場合には蓄冷剤を同梱している。
【0004】
このように従来の保冷容器は、ドライアイスや蓄冷剤で冷却し、かつ発泡スチロールなどで断熱することによって、保冷容器内の食材を保冷する(冷却状態を保つ)ものである。しかしながら、発泡スチロールの熱伝導率は空気と同じ0.02〜0.03w/mk程度でそれほど断熱性に優れるものではなく、また時間とともにドライアイスや蓄冷剤の冷却能力も衰えていくので、従来の保冷容器では長時間にわたって食材を保冷することはできなかった。
【0005】
食材の宅配も通常の宅配と同様、一回の配送で複数の宅配先を訪れるため、交通事情によっては予想よりも長い時間がかかって届けられることもある。あるいは、需要者に手渡しする予定で宅配したにもかかわらず、その需要者が不在ということもある。このような場合、宅配者は、保冷容器内の温度状態を確認することができないので、そのまま食材を指定場所に置いていくか、あるいは持ち帰るべきか、判断に迷うこととなる。
【0006】
また、保冷容器の故障によって、あるいはドライアイスや蓄冷剤の入れ忘れによって、図らずも保冷されない状態で食材を届けてしまうことがある。通常、宅配者が保冷容器内を確認することはないので、この場合保冷されていない状態の食材をそのまま需要者が手にする結果となる。
【0007】
このような状況を回避するため、温度検知可能なセンサを有する無線センサを保冷容器内に配置するとともに品質(温度品質)管理センタを設置して、温度異常を生じた保冷容器は回収するようなシステムも考えられる。しかしこの場合、無線センサが保冷容器内で低温に曝され、ドライアイスや蓄冷剤による結露に曝される結果、無線センサの電源であるバッテリが急速に劣化して早々に機能しなくなり、無線センサひいては前記システムそのものが適切に運用されなくなる。
【0008】
あるいは現状の改善策として、現在使用されている発泡スチロール製の保冷容器を、より断熱性の高い材料を用いた保冷容器に変更することも考えられる。この方法は有効であるが、食材の宅配サービスの需要拡大に伴って現在大量に保冷容器が使用されていることを考えると、全ての保冷容器に対応するには時間がかかるため即効性にやや欠けるうえ、保冷容器内の温度管理ができないという問題については解決できない。
【0009】
その他、保冷容器内に同梱するドライアイスや蓄冷剤を通常の設計量よりも多くして保冷可能期間を長引かせることも考えられるが、ドライアイスや蓄冷剤を多くした分だけ収容できる食材の量が減ることとなり、食材の宅配事業者としては採用し難い。そこで、特許文献1では、保冷容器の蓋部分に空間を設け、この空間内にドライアイスや蓄冷剤を格納できる宅配用保冷容器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−154966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら特許文献1によれば、保冷容器全体の体積が大きくなり、その結果、一度の配送で多くの需要者宅を回ることができなくなるので、食材の宅配事業者としては採用し難い。そのうえ、保冷容器の故障やドライアイス等の入れ忘れによって、保冷されない状態で食材を届けてしまう問題、つまり保冷容器内の温度管理ができないという問題を解消することもできない。
【0012】
本願発明の課題は、断熱機能に優れ、しかも周辺温度を検知するとともにその検知温度を送信できる真空断熱パネル及びこれを用いた保冷容器を提供することによって、前記問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、温度検知という性質上、通常は断熱環境に置かれることのない温度センサを、あえて真空断熱パネル内に設置するという発想に基づいて行われたものであり、具体的には、周辺温度の検知が可能なセンサ部を有する温度センサが設置されたセンサ付真空断熱パネル及びこれを用いた保冷容器について開発したものである。
【0014】
本願発明の保冷容器は、容器本体と蓋を備える容器の内部に、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルを、配置してなる保冷容器であって、前記容器本体の内面及び前記蓋の内面のうち、一部又は全面に前記真空断熱パネルが配置されるとともに、真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたものである。
【0015】
本願発明の保冷容器は、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルで形成された容器本体と、この真空断熱パネルで形成された蓋と、該容器本体と該蓋によって形成される収容空間と、を備え、真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたものとすることもできる。
【0016】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの芯材の一部に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が嵌合可能な嵌合凹部が設けられ、前記嵌合凹部内に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が設置されたものとすることもできる。
【0017】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの芯材の一方の面に、バッテリが配置され、前記芯材の他方の面に、温度センサが配置されたものとすることもできる。
【0018】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、前記外被材のうち、通信部を覆う範囲が電波透過性素材であるものとすることもできる。
【0019】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、前記外被材のうち、温度センサを覆う範囲が熱伝導性素材であるものとすることもできる。
【0020】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルが、温度センサに加え、湿度センサ、加速度センサ、真空センサのうちいずれか1又は2以上を、外被材の内側に備えたものとすることもできる。
【0021】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルが、温度センサとその他のセンサで検知した検知データを記録できる記憶部が、外被材の内側に設けられたものとすることもできる。
【0022】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたものとすることもできる。
【0023】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが充電式であり、前記バッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたものとすることもできる。
【0024】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが非接触の充電式であるものとすることもできる。
【0025】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、板状の芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記外被材の一部が板状の金属製外被材で他が樹脂シートの外被材であり、又は前記外被材の全部が板状の金属製外被材である。
【0026】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記温度センサで検知した検知データを記録できる記憶部を設けたものとすることもできる。
【0027】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたものとすることもできる。
【0028】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記バッテリが充電式であり、このバッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたものとすることもできる。
【0029】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、バッテリが非接触の充電式とすることもできる。
【発明の効果】
【0030】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは次のような効果がある。
(1)外被材の内側が真空状態であるため断熱性の良好なパネルとなる。
(2)通信部を備えているので、温度センサで検知した温度データを外部(例えば管理センタ)に送信することができ、受信したデータに基づいてセンサ付真空断熱パネルの温度管理を行うことができる。
(3)バッテリを外被材の内側に設けたので、低温環境で使用してもバッテリが低温に曝されることがなく、バッテリが劣化し難い。バッテリを芯材(断熱材)内に設ければバッテリがより劣化し難くなる。
(4)外被材の全部又は一部を熱伝導性素材又は/及び電波透過性素材としたので、温度センサでの温度検知が確実にでき、通信部がシールドされることなく、通信も確実にできる。
(5)外被材の内側の通信部と有線接続可能な接続具を設けたので有線通信もできる。
(6)通信部を無線式にすれば、本願発明のセンサ付真空断熱パネルで形成した保冷容器が遠隔地にあっても、保冷容器の温度管理をタイムリーに行うことができる。
(7)バッテリを充電式にし、充電電源を接続可能な充電端子を外被材の外側に設けたので、バッテリを充電して繰り返し使用できる。バッテリを非接触の充電式にすれば充電も容易になる。
(8)真空センサを設けた場合は、センサ付真空断熱パネルの真空状態を監視することができる。
(9)温度センサ、他のセンサ、バッテリ、通信部及びバッテリの二以上をユニット化すれば、それらを外被材内へ収容し易くなる。
【0031】
本願発明の保冷容器は次のような効果がある。
(1)本願発明のセンサ付真空断熱パネルを使用しているので断熱効率に優れ、同梱するドライアイスや蓄冷剤の量を従来よりも少量とすることができる。
(2)各種センサの検知データを、通信部を介して入手できるので保冷容器の真空管理、温度管理等を行うことができる。また、保冷容器内の要保冷品の品質管理を行うこともできる。
(3)バッテリがセンサ付真空断熱パネル内に設置されているので、結露が生ずるような高湿環境で使用しても、低温環境で使用してもバッテリが劣化しにくく、長期使用が可能となるので、各種センサでの真空検知、温度検知等が長期間に亘って確実にでき、真空管理、温度管理が確実にできる。
(4)保冷容器の底板や側壁だけでなく、蓋(天板)の内面にもセンサ付真空断熱パネルを貼り付けることができるので、この場合は断熱効果がさらに向上し、要保冷品の保冷が確実になる。
(5)現在使用されている保冷容器に本願発明のセンサ付真空断熱パネルを貼り付けることができるので、現状の保冷容器を有効活用でき、経済的にも自然環境的にも適する。
(6)センサ付真空断熱パネルは、表面が外被材で覆われているため洗浄することができ、保冷容器内の衛生状態を維持することが容易である。
(7)保冷容器に、加速度センサを備えたセンサ付真空断熱パネルを採用すると、例えば保冷容器で要保冷品を搬送している間に、要保冷品の周辺の振動状況を把握できるので、品質管理上さらに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】センサ付真空断熱パネルを用いた本願発明の保冷容器を示す斜視図。
【図2】現在利用されている保冷容器を示す断面図。
【図3】本願発明の保冷容器を正面から見た断面図。
【図4】本願発明のセンサ付真空断熱パネルを示す断面図で、(a)は無線センサを芯材に埋設した場合を示す断面図、(b)は無線センサを芯材の表面に配置した場合を示す断面図、(c)は本体部とアンテナ部を芯材の表面にバッテリを芯材に埋設した場合を示す断面図、(d)はアンテナ部とバッテリを芯材の一方の表面に配置し温度センサを芯材の他方の表面に配置した場合を示す断面図、(e)はアンテナ部とバッテリを芯材の一方の表面に配置し温度センサを芯材の他方の表面に配置した場合を示す断面図。
【図5】無線センサを説明するための詳細平面図。
【図6】蓋内にドライアイス等を収容することのできる保冷容器を正面から見た断面図。
【図7】センサ付真空断熱パネルに補強材を組み合わせた保冷容器を正面から見た断面図。
【図8】断熱材からなる壁材にセンサ付真空断熱パネルが内蔵された保冷容器を正面から見た断面図。
【図9】本願発明のセンサ付真空断熱パネルの他例を示す断面図。
【図10】本願発明のセンサ付真空断熱パネルの真空検知説明図。
【図11】本願発明のセンサ付真空断熱パネルを利用した保冷容器の他例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[実施形態1]
本願発明の保冷容器の実施形態の一例を図に基づいて説明する。図1は、本願発明の保冷容器1を示す斜視図である。この保冷容器1は、冷凍された食品(冷蔵食品)や冷蔵された食品(冷凍食品)などを収容することができるもので、容器本体2、蓋3、収容空間4、及び収容空間4内に配置されるセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7を備えている。なお、冷蔵食品や冷凍食品などは、消費されるまで低温状態を維持しておく必要があることから、これらを便宜上「保冷を必要とする物品」、あるいは単に「保冷食品」と呼ぶ。
【0034】
(保冷容器)
前記したように、保冷容器1は「保冷を必要とする物品」を収容して搬送することのできるものであり、その外形は容器本体2と蓋3によって形成されている。この容器本体2及び蓋3は新規に作成することもできるが、現在利用されている保冷容器B(図2に示す)をそのまま利用することもできる。現在大量に流通している既存の保冷容器Bを有効活用することによって、経済的な負担を軽減できるとともに、廃棄物を減らし自然環境にも配慮したものとなる。既存の保冷容器Bの容器本体2及び蓋3は、断熱性の材料が利用されており、代表的なものとしては発泡スチロールが挙げられるが、他にも各種ウレタン製のものが用いられることもある。
【0035】
図3は、本願発明の保冷容器1を正面から見た断面図である。この図及び図1に示すように容器本体2は、立設して対向する2枚の正面壁2aと、同じく立設して対向する2枚の側壁2bと、これら2枚の正面壁2a及び2枚の側壁2bの下端を塞ぐ底面壁2cによって形成され、これら壁面内には上部開放の収容空間4が設けられている。図1及び図3では、容器本体2を立設する4面の壁からなる平面視形状を長方形としているが、収容空間4を設けることができれば、この長方形に限らず他の形状、例えば平面視で多角形、長円形、その他の任意形状とすることができる。
【0036】
蓋3は、容器本体2の上方から被せて嵌合できるもので、容器本体2にこの蓋3を設置すると収容空間4が略密閉される。収容空間4内に収められる保冷食品F(図3)を外部の熱から遮断する(断熱する)ために、容器本体2と蓋3は確実に嵌合されることが望ましい。そのため、図3に示すように容器本体2の上部を凹形状にして蓋3の下側を凸形状にしたり、逆に容器本体2側が凸形状で蓋3の下側が凹形状としたり、一方に突起を設けて他方に溝部(孔部)を設けるなど種々の手段によることができるが、ここで例示したように蓋3の着脱が容易である手段が望ましい。
【0037】
図1や図3に示すように容器本体2の収容空間4を構成する正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、及び蓋3の内面(以下、これらを総称して「収容空間4の構成面」という。)には、発泡スチロールなどに比べると断熱性に優れる真空断熱パネルが設置される。この場合、真空断熱パネルは、各壁面に固定することも、あるいは固定せずに単に配置することもできる。なお、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、及び蓋3の「内面」とは、各表裏面のうち収容空間4側の面を指す。
【0038】
収容空間4内の断熱性を考えると、収容空間4の構成面の全てに真空断熱パネルが配置されることが望ましいが、利用環境によっては収容空間4の構成面のうち一部にのみ真空断熱パネルを配置することもできる。これら配置された真空断熱パネルのうち一部又は全部が、温度センサ5が設置されたものであり、これによって収容空間4内の温度、つまり保冷食品Fの環境温度を検知することができる。なお便宜上、温度センサ5が設置された真空断熱パネルを「センサ付真空断熱パネル6」とし、温度センサ5のない真空断熱パネルを「真空断熱パネル7」とする。
【0039】
(センサ付真空断熱パネル)
図4(a)〜(e)は、センサ付真空断熱パネル6を示す断面図である。これらの図に示すようにセンサ付真空断熱パネル6は、芯材8と外被材9を備えた真空断熱パネルに温度センサ5を取り付けたものであり、図4(a)〜(e)はそれぞれ温度センサ5の取付け方が異なるセンサ付真空断熱パネル6を示すものである。
【0040】
真空断熱パネルは、芯材8に外被材9で被せた状態で減圧し、外被材9の開口部を熱溶着(ヒートシール)したものである。芯材8の内部には多くの空隙が設けられており、ローラによる空気の押し出し、あるいは吸気によりこの空隙内の空気が排出されることによって、真空断熱パネルの内部は減圧され真空状態となる。このとき芯材8が湿気を帯びているとその後の真空状態が保たれ難いので、空隙内からの空気排出作業は、乾燥空気を送りながら行うなど乾燥環境下で実施するのが望ましい。なお、ここでいう真空状態とは、必ずしも絶対真空状態に限らず真空度の高い状態を指すもので、10−5Pa以下の絶対真空状態に近い状態を含め、10−5〜200Pa、望ましくは0.1〜100Pa程度の真空度となる状態も含まれる。
【0041】
より多くの空気を芯材8から排出できる方がより減圧され、つまりより高い真空度の真空断熱パネルが得られることとなる。そのため、芯材8の材質としては、内部に多くの空隙をもついわゆる多孔体が用いられ、例えば、グラスウール、セラミックファイバ、ロックウールなどの繊維素材、粉末シリカなどの粉体、有機又は無機の発泡体などを用いることができる。発泡スチロールやFRP等を使用することもできるが、断熱材は多くの空気を排出できる方が減圧され、高い真空状態にすることができるため、内部に多くの空隙や孔等(以下「空隙」という。)をもついわゆる多孔質のものが望ましい。スタイロホームも芯材8として利用できるが、割れやすいという面があるので使用状況によっては注意を要する。逆に、芯材8として利用するガラスウールは割れ難いという特性を有する。芯材8の材質、形状、サイズ、厚さ等はセンサ付真空断熱パネル6の用途に合わせて設計される。
【0042】
外被材9は、フィルム状、シート状、板状のものを使用することができる。外被材9はその内部を真空状態に保つためガスバリア性に富む材質で形成される必要がある。ガスバリア性に富む材料としては、ステンレススチール、アルミニウム、鉄といった金属、プラスチック(樹脂)、金属箔とプラスチックフィルムとをラミネートした複合材、プラスチックに金属を蒸着した複合材、金属シートと樹脂シートを貼り合わせた積層構造の複合材樹脂繊維製或いは天然繊維製の織布や不織布等の布とガスバリア性のある樹脂製、金属箔製等のフィルムやシート等とを積層した複合材等がある。これら外被材9の材質、厚さ、形状、サイズ、複合構造等は使用目的に応じて適宜採用することができる。外被材9は、フィルム状、シート状、板状のものを単独で使用することもできるが、芯材8の片面をフィルム状の外被材9で被覆し反対側面をシート状の外被材9で被覆することもできる。あるいは、図9のように芯材8の片面(図9では下面)に板状の外被材9aを配置し、芯材8の反対側面(図9では上面)をフィルム状やシート状の外被材9bを被せて芯材8を被覆することもできる。このように、フィルム状、シート状、板状のものを組み合わせて芯材8を被覆することもできる。場合によっては芯材8の両面に図9に示すような板状の外被材9aを配置し、その外側をさらにフィルム状やシート状の外被材9bで被覆して、その外被材9bの内側を真空にすることもできる。外被材9の材質、形状、サイズ、厚さ、強度等もセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7の用途に合わせて設計される。外被材9は同じあるいは異なる材質、構造のもの(いずれもガスバリア性のあるもの)を二重にして芯材8を被覆することもでき、二重被覆することにより、万が一いずれか一方の外被材9が損傷しても外被材9の内側の真空状態は確保される。
【0043】
アルミニウムをはじめとする金属製の素材を用いた外被材9は、熱伝導性が高いという特性がある半面、シールド性(電波遮蔽性)もある。後に説明するように、真空断熱パネルの内部に入れられる温度センサ5は周辺温度を検知し、この検知した結果は外部へ通信される。周辺温度を検知するという面ではアルミニウム素材は適しているが、通信するという面ではアルミニウム素材は適さない。
【0044】
一方、外被材9として、ナイロン系の素材を用いることもできるが、ナイロン系の素材は熱伝導性が低く、電波を透過しやすいという特性がある。つまり、アルミニウム素材とは逆で、通信するという面ではナイロン系の素材は適しているが、周辺温度を検知するという面ではナイロン系の素材は適さない。双方の特性を生かすべく、アルミニウム素材とナイロン系素材を組み合わせて外被材9とすることもできる。一例として、無線センサ13の温度センサ部に近接する(温度センサ部を覆う)範囲は熱伝導性の高いアルミニウム素材を用い、無線センサ13のアンテナ部に近接する(アンテナ部を覆う)範囲は電波透過性の良いナイロン系素材とする外被材9を用いることができる。
【0045】
芯材8の空隙内の空気が排出された状態、すなわち真空断熱パネルの内部が減圧された状態で外被材9の開口部がヒートシールされ、これによって真空度の高い状態を維持することができる。従って、外被材9は熱溶着可能な材料と組み合わされることが多い。例えば、アルミニウム箔の裏面(又は表裏面)にPET素材を重ねたものを、外被材9として用いるなど、アルミニウムをはじめとする金属製の板、フィルム、シート等にPET素材を組み合わせたもの(貼り合わせ、蒸着等したもの)を用いることができる。PET素材は90℃程度で溶着され、これに対して無線センサ13は通常200℃程度までは溶けることがないので、無線センサ13にとっては好適である。
【0046】
なお、芯材8や外被材9は、ここで例示したものに限らず、従来から真空断熱パネルとして用いられている素材、材質のものを使用することができ、特にサイズを大きめにし、更に折り曲げ可能な材質、厚さに設計すると、一枚のセンサ付真空断熱パネル6を折り曲げて、保冷容器1内に設置することができる。
【0047】
真空断熱パネルは、内部を真空状態(減圧状態)とすることで優れた断熱性能を有する。具体的には、真空断熱パネルの熱伝導率は0.002〜0.01w/mkであり、発泡スチロールの0.02〜0.03w/mk、空気の0.02w/mkに比べると、その断熱性能が顕著であることがわかる。この優れた断熱性能を有する真空断熱パネルを利用すれば、従来の保冷容器Bの断熱性能も格段に向上する。
【0048】
センサ付真空断熱パネル6は、外被材9内に、温度センサ5と、ここで検知した温度データを送信する通信部(送信部)12を備えている。温度センサ5で検知した温度データは、通信部12から例えば外部の管理センタや他の設備に無線送信され、管理センタや他の設備でデータ処理して、遠隔地から温度管理することもできる。前記通信は有線で行うこともできる。無線式の場合は通信部12にアンテナを内蔵或いは外付けすることができる。有線式の場合は外被材9の外に外部機器と電気的に接続可能なコネクタなど他の接続機器(接続具)を設けておき、それに接続された外部機器との間で有線通信することができる。
【0049】
本願発明では、温度センサ5で検知した温度データを、外被材9の内側に設けたデータロガー(記憶部)に記憶させておき、記憶されたデータを例えば外部の管理センタやその他の箇所で処理して温度状態を管理することもできる。データロガーには温度データだけでなく、他のセンサで検知されたデータ、例えば、真空データ、湿度データ、加速度データ等も記録することができる。湿度センサは、外被材9のガスバリア性が劣化又は破損して外部から外被材9の内側に侵入した場合の湿気を検知するものである。加速度センサは振動を感知できるものである。この加速度センサを設けることにより、例えば保冷容器1で保冷食品Fを搬送している間、保冷食品F周辺の振動状況が把握できるので、品質管理上から考えるとさらに好適である。
【0050】
センサ付真空断熱パネル6には、温度センサ5と通信部12、あるいはデータロガーや真空センサ14を作動させるためのバッテリ13cが設けられている。バッテリにはリチウム電池をはじめ長寿命の電池を使用することができる。この電池は、充電式のものでも非充電式のものでも使用可能である。充電式の場合は外被材9の外に充電用電源接続器(例えば、コンセント)を設けておき、それに電源を接続することにより充電することができる。近年は、非接触式の充電、例えば、電磁波を充電に利用する充電方法も研究され、実用化の目途が立っているので、非接触式で充電が可能な電池を使用することもできる。
【0051】
温度センサ5、通信部12、バッテリ13cを一体として備えたものが無線センサ13である。この無線センサ13は市販されていることもあって、現在では広く利用されている。この無線センサ13は、図5に示すような形態で、温度を検知する温度センサ部(温度センサ5)を有する本体部13a、アンテナ部13b(通信部12)、バッテリ13cの三つの部品を備えている。なお本願発明のセンサ付真空断熱パネル6は、少なくとも温度センサ5と通信部12を備えていればよく、これらが別体であっても、無線センサ13のように一体であってもよいが、以下では便宜上、センサ付真空断熱パネル6が無線センサ13(本体部13a、アンテナ部13b、バッテリ13cの三つの部品を有する)を備えた場合で説明する。また、近年では無線センサ13は小型化が進み、その外寸(長さ)が2〜4mmのものまであり、センサ付真空断熱パネル6に用いられる無線センサ13も小型の方が望ましいが、真空断熱パネルの内部に設置することのできるものであれば、その大きさや形状は任意に設計できる。
【0052】
センサ付真空断熱パネル6に用いられる無線センサ13は、専用のものとして別途作成してもよいが、市販されているものを使用することもできる。また、市販されている無線センサ13には、温度を検知することができる温度センサのほかに、湿度を検知することができる湿度センサや、振動の程度を検知できる加速度センサを備えたものもあるので、このような無線センサを利用することもできる。
【0053】
無線センサ13のバッテリ13cには、リチウム電池などが多用されている。リチウム電池等は、一般に低温環境や高湿環境では劣化が進みやすく、極端に寿命が短くなることが知られている。そのため無線センサ13は、常温環境であって高湿とならない環境で利用されることが多い。従って、保冷食品Fを搬送する保冷容器1内に無線センサ13を設置できれば、搬送中であっても保冷食品Fの環境温度を管理することができて好適であるが、保冷容器1内にはドライアイスD等が置かれるためにバッテリ13cの劣化(短寿命)問題が生じることとなって、従来では保冷容器1内に無線センサ13が設置されることはなかった。一方、本願発明は、断熱性能が高い真空断熱パネルの内部に無線センサ13を設置するので、収容空間4内の低温・高湿からバッテリ13cを保護することが可能となり、バッテリ13cの劣化問題が生じないことから、安心して保冷容器1内に無線センサ13を設けることができる。
【0054】
無線センサ13を真空断熱パネルの内部に設置する方法は、種々選択することが可能であり、その例を図4(a)〜(e)に示す。
【0055】
図4(a)は、無線センサ13を芯材8に埋設した場合を示す断面図である。この図に示すように、芯材8に設けられた埋設凹部10に無線センサ13を設置することができる。あるいは、本体部13a、アンテナ部13b、バッテリ13cの三つの部品のうちいずれか一つの部品を埋設凹部10に設置することもできるし、これら三つの部品から選ばれる二つの部品を埋設凹部10に設置することもできる。この場合、あらかじめ芯材8に埋設凹部10を設け、これに無線センサ13(又は前記三つの部品のうち少なくとも一つの部品)を設置し、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。無線センサ13(又は前記三つの部品のうち少なくとも一つの部品)を設置した後の埋設凹部10にできる空隙部は、外被材9を被せる前に熱伝導性の高い充填剤で注入しておくことも、あるいはそのまま空隙として残しておくこともできる。バッテリ13cが埋設凹部10に設置された場合、バッテリ13cは芯材8の略中心部に配置されることになるので、確実に外部の低温・高湿環境から守られる。
【0056】
図4(b)は、無線センサ13を芯材8の表面に配置した場合を示す断面図である。この図に示すように、芯材8と外被材9との間に無線センサ13を設置することができる。この場合、あらかじめ芯材8の表面(図では上面)に無線センサ13を取付け、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。本体部13aとアンテナ部13bは外被材9のみで覆われているので、温度検知や通信という点では好適である。このセンサ付真空断熱パネル6は、表面近くにバッテリ13cがあることから、バッテリ13cが配置されていない面(図では下面)が低温・高湿環境となる(具体的には保冷容器1の収容空間4側となる)ように配置して利用することが望ましい。
【0057】
図4(c)は、無線センサ13のうち本体部13aとアンテナ部13bを芯材8の表面に、バッテリ13cを芯材8に埋設した場合を示す断面図である。この場合、あらかじめ芯材8の一部にバッテリ13cを埋設するとともに、芯材8の表面に本体部13aとアンテナ部13bを取付け、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。本体部13aとアンテナ部13bは外被材9のみで覆われているので、温度検知や通信という点では好適である。しかもバッテリ13cは、芯材8の内部に配置されるので、外部の低温・高湿環境から守られる。なお、この図のセンサ付真空断熱パネル6も、バッテリ13cが配置されていない面(図では下面)が低温・高湿環境となる(具体的には保冷容器1の収容空間4側となる)ように配置して利用することが望ましい。
【0058】
図4(d)は、無線センサ13のうちアンテナ部13bとバッテリ13cを芯材8の一方の表面に配置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面に配置した場合を示す断面図である。この場合、芯材8の一方の表面(図では上面)にアンテナ部13bとバッテリ13cを設置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面(図では下面)まで伸ばして配置し、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。なお本体部13aの先端にある温度センサ5は、芯材8に設けた貫通孔や貫通溝の中を通過させて反対側の表面まで伸ばすことができる。
【0059】
図4(e)は、無線センサ13のうちアンテナ部13bとバッテリ13cを芯材8の一方の表面に配置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面に配置した場合を示す断面図である。この場合、芯材8の一方の表面(図では上面)付近にバッテリ13cを埋設するとともにアンテナ部13bを設置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面(図では下面)まで伸ばして配置し、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。なお本体部13aの先端にある温度センサ5は、芯材8に設けた貫通孔や貫通溝の中を通過させて反対側の表面まで伸ばすことができる。
【0060】
図4(d)及び図4(e)のセンサ付真空断熱パネル6は、アンテナ部13bが外被材9のみで覆われているので、通信という点で好適である。また、一方の芯材8表面(あるいは表面付近)にバッテリ13cが配置され、他方の芯材8表面に温度センサ5が配置されるので、例えばこのセンサ付真空断熱パネル6を、温度センサ5がある面(図では下面)を保冷容器1の収容空間4側となるように配置して利用すると、温度検知という点で好適であるとともに、バッテリ13cを低温・高湿環境から守るという点においても好適である。
【0061】
温度センサ5による温度検知、及びアンテナ部13bによる通信を考えた場合、本体部13aの先端にある温度センサ5やアンテナ部13b付近に用いられる外被材9の素材の選択が重要になる。前記したように、アルミニウムをはじめとする金属製の素材は熱伝導性が高いという特性がある半面、シールド性(電波遮蔽性)があり、一方ナイロン系の素材は熱伝導性が低く、電波を透過しやすいという特性がある。従って図4(d)や図4(e)に示すセンサ付真空断熱パネル6の場合、アンテナ部13bが配置された面(図では上面)は電波透過性のナイロン系の素材を用い、温度センサ5が配置された面(図では下面)は熱伝導性の高い金属製の素材を用いた外被材9とすることが望ましい。
【0062】
図4(a)〜(c)に示すセンサ付真空断熱パネル6の場合、全体を熱伝導性の高い金属製の素材とし、アンテナ部13bを覆う範囲だけ部分的に電波透過性のナイロン系の素材を用いた外被材9とすることもできる。あるいは、全体を電波透過性のナイロン系の素材とし、温度センサ5を覆う範囲だけ部分的に熱伝導性の高い金属製の素材を用いた外被材9とすることもできる。部分的に異なる素材のものとする(全体が金属製素材で一部ナイロン系素材、又はその逆とする)場合、当該部分を含む孔状や溝状となるように異なる素材部分を設けることができる。
【0063】
センサ付真空断熱パネル6には、温度センサ5(あるいは無線センサ13)に加えて真空センサ14を備えることもできる。この真空センサ14は、外被材9の内側の真空状態を検知できるものであり、ピラニ真空計、隔膜真空計、静電容量型真空センサ、マイクロメカニカル真空センサ等々各種のものがあり、これら各種の真空センサを使用できる。真空状態は減圧状態を意味するので、例えば圧力センサを使用することができる。芯材8内又は外被材9内に収容するため、できればこの真空センサ14には小型、薄型のものを選ぶのが望ましい。
【0064】
図10では、バッテリから供給される電源で真空センサ14を作動させ、真空センサ14で外被材9の内側の圧力を検知し、検知した電流(電圧)を増幅器Aで増幅し、増幅器Aの出力電圧を、比較器Cにおいてセンサ付真空断熱パネル6が必要とする適正な真空状態(外被材9内の適正圧力:基準圧力)Paと比較することにより、外被材9の内部が適正な真空状態に維持されているか否かを判別することができる。図10では検知した圧力をデジタルメータ15に表示して、外被材9の内部の真空状態を確認できるようにしてある。比較器Cの出力が前記基準圧力Paよりも高い場合は、リレー16により真空ポンプPの電磁弁を開いて、真空ポンプPで外被材9内を減圧することもできる。真空センサ14は全部を外被材9内に設けてもよいが、部分的に外被材9の外部に突出して取付けてもよい。いずれの場合も外被材9内の真空状態が損なわれないように取付ける。図10の真空センサ14の検知データは、センサ付真空断熱パネル6内に設けた通信部を介して増幅器Aに送信することもできる。
【0065】
真空センサ14、温度センサ5、通信部12、データロガーは、それぞれ個別に芯材8や外被材9の内部に設けることもできるが、一つにまとめてユニット化すると芯材8や外被材9内に収容し易い。
【0066】
(センサ付真空断熱パネルの配置)
前記したとおり、保冷容器1の収容空間4の構成面の全部又は一部は、センサ付真空断熱パネル6と真空断熱パネル7で構成される。例えば、図1及び図3に示すように、側壁2bの内面を無線センサ13が設置されたセンサ付真空断熱パネル6とし、正面壁2a、底面壁2c、及び蓋3の内面を無線センサ13のない真空断熱パネル7とすることができる。あるいは底面壁2cと蓋3の内面にセンサ付真空断熱パネル6を配置し、正面壁2aと側壁2bの内面に真空断熱パネル7を配置することもできる。要は、正面壁2aの2面のうちどちらか1面、側壁2bの2面のうちどちらか1面、底面壁2c、及び蓋3の内面の中から選ばれる少なくとも1面にセンサ付真空断熱パネル6を配置すれば、センサ付真空断熱パネル6と真空断熱パネル7は任意の組み合わせとすることができる。なお、センサ付真空断熱パネル6を配置しない内面には、全て真空断熱パネル7を配置することが望ましいが、真空断熱パネル7の配置を一部省略することもできる。
【0067】
「収容空間4の構成面」にセンサ付真空断熱パネル6を配置する場合、図3に示すような配置とすることが望ましい。すなわち、本体部13aの先端にある温度センサ5が収容空間4に近い位置となるように配置すると温度を検知する上で好適であり、収容空間4から見て側壁2b等の背面側となるように(収容空間4とバッテリ13cの間に断熱パネルが介在するように)バッテリ13cを配置すると、バッテリ13cが低温・高湿環境から守られるという点において好適である。なお、図3に示すように(図7や図8も同様)、センサ付真空断熱パネル6のアンテナ部13bは、芯材8に設けた貫通孔や貫通溝の中を通過させて反対側の表面(図3では収容空間4側)まで伸ばすこともできる。もちろん、アンテナ部13bを反対側まで伸ばさず、図4(a)〜(e)に示すようにアンテナ部13b全体を芯材8の同一面に配置することもできる。
【0068】
現在流通している既存の保冷容器には、図6のように蓋3内にドライアイスD等を収容するタイプのものもある。このようなタイプの既存保冷容器を利用して、センサ付真空断熱パネル6と真空断熱パネル7を配置することで本願発明の保冷容器1を作成することもできる。この場合、蓋3の内面に配置されるセンサ付真空断熱パネル6は、バッテリ13cが収容空間4側となるように配置されることが望ましい。これによって、蓋3内にあるドライアイスDや蓄冷剤による低温・高湿環境から、センサ付真空断熱パネル6がバッテリ13cを保護することができて好適である。
【0069】
以下、本願発明の保冷容器1を使用して保冷食品Fを宅配する場合について、一例を示す。
需要者から注文を受けると、指定された保冷食品Fが冷凍庫や冷蔵庫から取り出される。この低温状態の保冷食品Fは、ドライアイスDとともに保冷容器1の収容空間4内に入れられて蓋3が嵌められる。
保冷食品Fを収容した保冷容器1は搬送車に搭載されて、需要者のもとまで配送される。配送中、センサ付真空断熱パネル6の優れた断熱性能により、収容空間4内の保冷食品Fは長時間にわたって低温状態を維持することができる。
また、保冷容器1への収容時、搬送中、搬送先、それぞれの状況で収容空間4内の温度が検知されるとともに、その検知温度がアンテナ部13bによって発信され、例えば品質管理センタなど離れた場所で検知温度を受信できるので、搬送される食材の温度管理を容易に行うことができる。
【0070】
[他の実施形態]
本願発明の保冷容器の他の実施形態を、図7及び図8に基づいて説明する。図7は、センサ付真空断熱パネル6に補強材11を組み合わせた保冷容器1を正面から見た断面図であり、図8は、断熱材にセンサ付真空断熱パネル6が内蔵された壁材で構成された保冷容器1を正面から見た断面図である。
【0071】
本願発明の保冷容器1は、現在利用されている保冷容器B、あるいは新規に作成された容器本体2及び蓋3の内面に、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7を配置して形成される場合に限らず、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7自体によって容器本体2を形成し、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7によって蓋3を形成することもできる。すなわち、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7をそのまま正面壁2a、側壁2b、底面壁2cとし、蓋3とする。この場合、全てをセンサ付真空断熱パネル6とすることもできるし、一部のみをセンサ付真空断熱パネル6として他を真空断熱パネル7とすることも可能で、その配置・組合せは任意に設計できる。また、保冷容器1としての強度を補強する目的で、図7に示すように、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7で形成された容器本体2の外周に補強材11を取り付けることもできる。同じく、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7で形成された蓋3も補強材11で補強することができる。
【0072】
あるいは図9に示すセンサ付真空断熱パネル6(又は真空断熱パネル7)自体によって、容器本体2や蓋3を形成することもできる(図11)。図9に示すセンサ付真空断熱パネル6は、無線センサ13を芯材8内に設けた埋設凹部10に収容し、その芯材8の裏面に板状の金属製外被材9aを配置し、その芯材8の上に樹脂シートの外被材9bを被せ、そのシート状の外被材9bを板状の金属製外被材9aに密着し、板状の金属製外被材9aとシート状の外被材9bの内側を減圧して真空状態にしたものである。又は、図示しないが、図9に示す樹脂シートの外被材9bに代えて、芯材8上面に板状の金属製外被材9aを設置し、つまり芯材8を上下から板状の金属製外被材9aで挟み、両外被材9aの間を密封した後に、その内側を減圧して真空状態とすることもできる。
【0073】
このように、センサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7自体によって、容器本体2や蓋3を形成する場合、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、蓋3、をそれぞれ独立して作成した後に組み立てることができる。あるいは、十字状(プラス記号状)に連続形成された5枚のセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7を折り曲げて容器本体2を作成することも、サイコロの展開図状に連続形成された6枚のセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7を折り曲げて保冷容器1(つまり、蓋3付きの容器本体2)を作成することもできる。なおここで示した方法で作成された容器本体2や保冷容器1は、もちろんそのまま利用することもできるし、あるいは既存の容器内に設置して使用することもできる。
【0074】
また本願発明の保冷容器1は、図8に示すように、新規に作成される容器本体2及び蓋3の中に、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7をその作成の際に埋め込んでおく(内蔵しておく)ことによって形成することもできる。すなわち、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、蓋3、それぞれの部材内にあらかじめセンサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7が内蔵されたものを使用して、保冷容器1を完成させる。この場合、どの部材にセンサ付真空断熱パネル6を内蔵させて、どの部材に真空断熱パネル7を内蔵させるかは、任意に設計できる。
【0075】
その他、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、蓋3を発泡スチロールなどで形成する際、これらにセンサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7を嵌めこむことのできる嵌合凹部を設け、この嵌合凹部にセンサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7を設置して容器本体2や蓋3を作成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願発明の保冷容器は、食材の宅配用のほか化粧品や薬品などの搬送用としても応用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 保冷容器
2 容器本体
2a (本体の)正面壁
2b (本体の)側壁
2c (本体の)底面壁
3 蓋
4 収容空間
5 温度センサ
6 センサ付真空断熱パネル
7 真空断熱パネル
8 芯材
9 外被材
9a (板状の)外被材
9b (シート状の)外被材
10 埋設凹部
11 補強材
12 通信部
13 無線センサ
13a (無線センサの)本体部
13b (無線センサの)アンテナ部
13c (無線センサの)バッテリ
14 真空センサ
15 デジタルメータ
16 リレー
A 増幅器
B (既存の)保冷容器
C 比較器
D ドライアイス
F 保冷食品
P 真空ポンプ
Pa 基準圧力(基準値)
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食材や食品、あるいは化粧品や薬品など、保冷を必要とする物品を搬送する際に用いられる保冷容器に関するものであり、より具体的には、センサを備えた真空断熱パネルとこれを用いた保冷容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、就業主婦の増加、高齢者世帯の増加に伴い、食材の宅配サービスの需要が拡大している。食材の宅配サービスとは、食材の販売事業者が需要者のもとに食材を届けるサービスであり、週に1回程度の頻度で需要者の注文に応じた食材を宅配するものである。
【0003】
宅配される食材には、常温管理できるものに限らず要冷蔵の食材や要冷凍の食材も含まれるため、発泡スチロールなどの断熱材を使用した保冷容器に収容して搬送している。また夏場に宅配されることもあり、あるいは需要者に手渡しされず指定された場所(例えば玄関前)に置いて帰ることもあるので、保冷容器の中には食材とともにドライアイスや蓄冷剤を入れているのが現状である。なお、多くの食材の宅配事業者では、「要冷凍食材」を宅配する場合にはドライアイスを保冷容器内に同梱し、「要冷蔵食材」を宅配する場合には蓄冷剤を同梱している。
【0004】
このように従来の保冷容器は、ドライアイスや蓄冷剤で冷却し、かつ発泡スチロールなどで断熱することによって、保冷容器内の食材を保冷する(冷却状態を保つ)ものである。しかしながら、発泡スチロールの熱伝導率は空気と同じ0.02〜0.03w/mk程度でそれほど断熱性に優れるものではなく、また時間とともにドライアイスや蓄冷剤の冷却能力も衰えていくので、従来の保冷容器では長時間にわたって食材を保冷することはできなかった。
【0005】
食材の宅配も通常の宅配と同様、一回の配送で複数の宅配先を訪れるため、交通事情によっては予想よりも長い時間がかかって届けられることもある。あるいは、需要者に手渡しする予定で宅配したにもかかわらず、その需要者が不在ということもある。このような場合、宅配者は、保冷容器内の温度状態を確認することができないので、そのまま食材を指定場所に置いていくか、あるいは持ち帰るべきか、判断に迷うこととなる。
【0006】
また、保冷容器の故障によって、あるいはドライアイスや蓄冷剤の入れ忘れによって、図らずも保冷されない状態で食材を届けてしまうことがある。通常、宅配者が保冷容器内を確認することはないので、この場合保冷されていない状態の食材をそのまま需要者が手にする結果となる。
【0007】
このような状況を回避するため、温度検知可能なセンサを有する無線センサを保冷容器内に配置するとともに品質(温度品質)管理センタを設置して、温度異常を生じた保冷容器は回収するようなシステムも考えられる。しかしこの場合、無線センサが保冷容器内で低温に曝され、ドライアイスや蓄冷剤による結露に曝される結果、無線センサの電源であるバッテリが急速に劣化して早々に機能しなくなり、無線センサひいては前記システムそのものが適切に運用されなくなる。
【0008】
あるいは現状の改善策として、現在使用されている発泡スチロール製の保冷容器を、より断熱性の高い材料を用いた保冷容器に変更することも考えられる。この方法は有効であるが、食材の宅配サービスの需要拡大に伴って現在大量に保冷容器が使用されていることを考えると、全ての保冷容器に対応するには時間がかかるため即効性にやや欠けるうえ、保冷容器内の温度管理ができないという問題については解決できない。
【0009】
その他、保冷容器内に同梱するドライアイスや蓄冷剤を通常の設計量よりも多くして保冷可能期間を長引かせることも考えられるが、ドライアイスや蓄冷剤を多くした分だけ収容できる食材の量が減ることとなり、食材の宅配事業者としては採用し難い。そこで、特許文献1では、保冷容器の蓋部分に空間を設け、この空間内にドライアイスや蓄冷剤を格納できる宅配用保冷容器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−154966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら特許文献1によれば、保冷容器全体の体積が大きくなり、その結果、一度の配送で多くの需要者宅を回ることができなくなるので、食材の宅配事業者としては採用し難い。そのうえ、保冷容器の故障やドライアイス等の入れ忘れによって、保冷されない状態で食材を届けてしまう問題、つまり保冷容器内の温度管理ができないという問題を解消することもできない。
【0012】
本願発明の課題は、断熱機能に優れ、しかも周辺温度を検知するとともにその検知温度を送信できる真空断熱パネル及びこれを用いた保冷容器を提供することによって、前記問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、温度検知という性質上、通常は断熱環境に置かれることのない温度センサを、あえて真空断熱パネル内に設置するという発想に基づいて行われたものであり、具体的には、周辺温度の検知が可能なセンサ部を有する温度センサが設置されたセンサ付真空断熱パネル及びこれを用いた保冷容器について開発したものである。
【0014】
本願発明の保冷容器は、容器本体と蓋を備える容器の内部に、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルを、配置してなる保冷容器であって、前記容器本体の内面及び前記蓋の内面のうち、一部又は全面に前記真空断熱パネルが配置されるとともに、真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたものである。
【0015】
本願発明の保冷容器は、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルで形成された容器本体と、この真空断熱パネルで形成された蓋と、該容器本体と該蓋によって形成される収容空間と、を備え、真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたものとすることもできる。
【0016】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの芯材の一部に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が嵌合可能な嵌合凹部が設けられ、前記嵌合凹部内に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が設置されたものとすることもできる。
【0017】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの芯材の一方の面に、バッテリが配置され、前記芯材の他方の面に、温度センサが配置されたものとすることもできる。
【0018】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、前記外被材のうち、通信部を覆う範囲が電波透過性素材であるものとすることもできる。
【0019】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、前記外被材のうち、温度センサを覆う範囲が熱伝導性素材であるものとすることもできる。
【0020】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルが、温度センサに加え、湿度センサ、加速度センサ、真空センサのうちいずれか1又は2以上を、外被材の内側に備えたものとすることもできる。
【0021】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルが、温度センサとその他のセンサで検知した検知データを記録できる記憶部が、外被材の内側に設けられたものとすることもできる。
【0022】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたものとすることもできる。
【0023】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが充電式であり、前記バッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたものとすることもできる。
【0024】
本願発明の保冷容器は、センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが非接触の充電式であるものとすることもできる。
【0025】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、板状の芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記外被材の一部が板状の金属製外被材で他が樹脂シートの外被材であり、又は前記外被材の全部が板状の金属製外被材である。
【0026】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記温度センサで検知した検知データを記録できる記憶部を設けたものとすることもできる。
【0027】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたものとすることもできる。
【0028】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、前記バッテリが充電式であり、このバッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたものとすることもできる。
【0029】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは、バッテリが非接触の充電式とすることもできる。
【発明の効果】
【0030】
本願発明のセンサ付真空断熱パネルは次のような効果がある。
(1)外被材の内側が真空状態であるため断熱性の良好なパネルとなる。
(2)通信部を備えているので、温度センサで検知した温度データを外部(例えば管理センタ)に送信することができ、受信したデータに基づいてセンサ付真空断熱パネルの温度管理を行うことができる。
(3)バッテリを外被材の内側に設けたので、低温環境で使用してもバッテリが低温に曝されることがなく、バッテリが劣化し難い。バッテリを芯材(断熱材)内に設ければバッテリがより劣化し難くなる。
(4)外被材の全部又は一部を熱伝導性素材又は/及び電波透過性素材としたので、温度センサでの温度検知が確実にでき、通信部がシールドされることなく、通信も確実にできる。
(5)外被材の内側の通信部と有線接続可能な接続具を設けたので有線通信もできる。
(6)通信部を無線式にすれば、本願発明のセンサ付真空断熱パネルで形成した保冷容器が遠隔地にあっても、保冷容器の温度管理をタイムリーに行うことができる。
(7)バッテリを充電式にし、充電電源を接続可能な充電端子を外被材の外側に設けたので、バッテリを充電して繰り返し使用できる。バッテリを非接触の充電式にすれば充電も容易になる。
(8)真空センサを設けた場合は、センサ付真空断熱パネルの真空状態を監視することができる。
(9)温度センサ、他のセンサ、バッテリ、通信部及びバッテリの二以上をユニット化すれば、それらを外被材内へ収容し易くなる。
【0031】
本願発明の保冷容器は次のような効果がある。
(1)本願発明のセンサ付真空断熱パネルを使用しているので断熱効率に優れ、同梱するドライアイスや蓄冷剤の量を従来よりも少量とすることができる。
(2)各種センサの検知データを、通信部を介して入手できるので保冷容器の真空管理、温度管理等を行うことができる。また、保冷容器内の要保冷品の品質管理を行うこともできる。
(3)バッテリがセンサ付真空断熱パネル内に設置されているので、結露が生ずるような高湿環境で使用しても、低温環境で使用してもバッテリが劣化しにくく、長期使用が可能となるので、各種センサでの真空検知、温度検知等が長期間に亘って確実にでき、真空管理、温度管理が確実にできる。
(4)保冷容器の底板や側壁だけでなく、蓋(天板)の内面にもセンサ付真空断熱パネルを貼り付けることができるので、この場合は断熱効果がさらに向上し、要保冷品の保冷が確実になる。
(5)現在使用されている保冷容器に本願発明のセンサ付真空断熱パネルを貼り付けることができるので、現状の保冷容器を有効活用でき、経済的にも自然環境的にも適する。
(6)センサ付真空断熱パネルは、表面が外被材で覆われているため洗浄することができ、保冷容器内の衛生状態を維持することが容易である。
(7)保冷容器に、加速度センサを備えたセンサ付真空断熱パネルを採用すると、例えば保冷容器で要保冷品を搬送している間に、要保冷品の周辺の振動状況を把握できるので、品質管理上さらに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】センサ付真空断熱パネルを用いた本願発明の保冷容器を示す斜視図。
【図2】現在利用されている保冷容器を示す断面図。
【図3】本願発明の保冷容器を正面から見た断面図。
【図4】本願発明のセンサ付真空断熱パネルを示す断面図で、(a)は無線センサを芯材に埋設した場合を示す断面図、(b)は無線センサを芯材の表面に配置した場合を示す断面図、(c)は本体部とアンテナ部を芯材の表面にバッテリを芯材に埋設した場合を示す断面図、(d)はアンテナ部とバッテリを芯材の一方の表面に配置し温度センサを芯材の他方の表面に配置した場合を示す断面図、(e)はアンテナ部とバッテリを芯材の一方の表面に配置し温度センサを芯材の他方の表面に配置した場合を示す断面図。
【図5】無線センサを説明するための詳細平面図。
【図6】蓋内にドライアイス等を収容することのできる保冷容器を正面から見た断面図。
【図7】センサ付真空断熱パネルに補強材を組み合わせた保冷容器を正面から見た断面図。
【図8】断熱材からなる壁材にセンサ付真空断熱パネルが内蔵された保冷容器を正面から見た断面図。
【図9】本願発明のセンサ付真空断熱パネルの他例を示す断面図。
【図10】本願発明のセンサ付真空断熱パネルの真空検知説明図。
【図11】本願発明のセンサ付真空断熱パネルを利用した保冷容器の他例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[実施形態1]
本願発明の保冷容器の実施形態の一例を図に基づいて説明する。図1は、本願発明の保冷容器1を示す斜視図である。この保冷容器1は、冷凍された食品(冷蔵食品)や冷蔵された食品(冷凍食品)などを収容することができるもので、容器本体2、蓋3、収容空間4、及び収容空間4内に配置されるセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7を備えている。なお、冷蔵食品や冷凍食品などは、消費されるまで低温状態を維持しておく必要があることから、これらを便宜上「保冷を必要とする物品」、あるいは単に「保冷食品」と呼ぶ。
【0034】
(保冷容器)
前記したように、保冷容器1は「保冷を必要とする物品」を収容して搬送することのできるものであり、その外形は容器本体2と蓋3によって形成されている。この容器本体2及び蓋3は新規に作成することもできるが、現在利用されている保冷容器B(図2に示す)をそのまま利用することもできる。現在大量に流通している既存の保冷容器Bを有効活用することによって、経済的な負担を軽減できるとともに、廃棄物を減らし自然環境にも配慮したものとなる。既存の保冷容器Bの容器本体2及び蓋3は、断熱性の材料が利用されており、代表的なものとしては発泡スチロールが挙げられるが、他にも各種ウレタン製のものが用いられることもある。
【0035】
図3は、本願発明の保冷容器1を正面から見た断面図である。この図及び図1に示すように容器本体2は、立設して対向する2枚の正面壁2aと、同じく立設して対向する2枚の側壁2bと、これら2枚の正面壁2a及び2枚の側壁2bの下端を塞ぐ底面壁2cによって形成され、これら壁面内には上部開放の収容空間4が設けられている。図1及び図3では、容器本体2を立設する4面の壁からなる平面視形状を長方形としているが、収容空間4を設けることができれば、この長方形に限らず他の形状、例えば平面視で多角形、長円形、その他の任意形状とすることができる。
【0036】
蓋3は、容器本体2の上方から被せて嵌合できるもので、容器本体2にこの蓋3を設置すると収容空間4が略密閉される。収容空間4内に収められる保冷食品F(図3)を外部の熱から遮断する(断熱する)ために、容器本体2と蓋3は確実に嵌合されることが望ましい。そのため、図3に示すように容器本体2の上部を凹形状にして蓋3の下側を凸形状にしたり、逆に容器本体2側が凸形状で蓋3の下側が凹形状としたり、一方に突起を設けて他方に溝部(孔部)を設けるなど種々の手段によることができるが、ここで例示したように蓋3の着脱が容易である手段が望ましい。
【0037】
図1や図3に示すように容器本体2の収容空間4を構成する正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、及び蓋3の内面(以下、これらを総称して「収容空間4の構成面」という。)には、発泡スチロールなどに比べると断熱性に優れる真空断熱パネルが設置される。この場合、真空断熱パネルは、各壁面に固定することも、あるいは固定せずに単に配置することもできる。なお、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、及び蓋3の「内面」とは、各表裏面のうち収容空間4側の面を指す。
【0038】
収容空間4内の断熱性を考えると、収容空間4の構成面の全てに真空断熱パネルが配置されることが望ましいが、利用環境によっては収容空間4の構成面のうち一部にのみ真空断熱パネルを配置することもできる。これら配置された真空断熱パネルのうち一部又は全部が、温度センサ5が設置されたものであり、これによって収容空間4内の温度、つまり保冷食品Fの環境温度を検知することができる。なお便宜上、温度センサ5が設置された真空断熱パネルを「センサ付真空断熱パネル6」とし、温度センサ5のない真空断熱パネルを「真空断熱パネル7」とする。
【0039】
(センサ付真空断熱パネル)
図4(a)〜(e)は、センサ付真空断熱パネル6を示す断面図である。これらの図に示すようにセンサ付真空断熱パネル6は、芯材8と外被材9を備えた真空断熱パネルに温度センサ5を取り付けたものであり、図4(a)〜(e)はそれぞれ温度センサ5の取付け方が異なるセンサ付真空断熱パネル6を示すものである。
【0040】
真空断熱パネルは、芯材8に外被材9で被せた状態で減圧し、外被材9の開口部を熱溶着(ヒートシール)したものである。芯材8の内部には多くの空隙が設けられており、ローラによる空気の押し出し、あるいは吸気によりこの空隙内の空気が排出されることによって、真空断熱パネルの内部は減圧され真空状態となる。このとき芯材8が湿気を帯びているとその後の真空状態が保たれ難いので、空隙内からの空気排出作業は、乾燥空気を送りながら行うなど乾燥環境下で実施するのが望ましい。なお、ここでいう真空状態とは、必ずしも絶対真空状態に限らず真空度の高い状態を指すもので、10−5Pa以下の絶対真空状態に近い状態を含め、10−5〜200Pa、望ましくは0.1〜100Pa程度の真空度となる状態も含まれる。
【0041】
より多くの空気を芯材8から排出できる方がより減圧され、つまりより高い真空度の真空断熱パネルが得られることとなる。そのため、芯材8の材質としては、内部に多くの空隙をもついわゆる多孔体が用いられ、例えば、グラスウール、セラミックファイバ、ロックウールなどの繊維素材、粉末シリカなどの粉体、有機又は無機の発泡体などを用いることができる。発泡スチロールやFRP等を使用することもできるが、断熱材は多くの空気を排出できる方が減圧され、高い真空状態にすることができるため、内部に多くの空隙や孔等(以下「空隙」という。)をもついわゆる多孔質のものが望ましい。スタイロホームも芯材8として利用できるが、割れやすいという面があるので使用状況によっては注意を要する。逆に、芯材8として利用するガラスウールは割れ難いという特性を有する。芯材8の材質、形状、サイズ、厚さ等はセンサ付真空断熱パネル6の用途に合わせて設計される。
【0042】
外被材9は、フィルム状、シート状、板状のものを使用することができる。外被材9はその内部を真空状態に保つためガスバリア性に富む材質で形成される必要がある。ガスバリア性に富む材料としては、ステンレススチール、アルミニウム、鉄といった金属、プラスチック(樹脂)、金属箔とプラスチックフィルムとをラミネートした複合材、プラスチックに金属を蒸着した複合材、金属シートと樹脂シートを貼り合わせた積層構造の複合材樹脂繊維製或いは天然繊維製の織布や不織布等の布とガスバリア性のある樹脂製、金属箔製等のフィルムやシート等とを積層した複合材等がある。これら外被材9の材質、厚さ、形状、サイズ、複合構造等は使用目的に応じて適宜採用することができる。外被材9は、フィルム状、シート状、板状のものを単独で使用することもできるが、芯材8の片面をフィルム状の外被材9で被覆し反対側面をシート状の外被材9で被覆することもできる。あるいは、図9のように芯材8の片面(図9では下面)に板状の外被材9aを配置し、芯材8の反対側面(図9では上面)をフィルム状やシート状の外被材9bを被せて芯材8を被覆することもできる。このように、フィルム状、シート状、板状のものを組み合わせて芯材8を被覆することもできる。場合によっては芯材8の両面に図9に示すような板状の外被材9aを配置し、その外側をさらにフィルム状やシート状の外被材9bで被覆して、その外被材9bの内側を真空にすることもできる。外被材9の材質、形状、サイズ、厚さ、強度等もセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7の用途に合わせて設計される。外被材9は同じあるいは異なる材質、構造のもの(いずれもガスバリア性のあるもの)を二重にして芯材8を被覆することもでき、二重被覆することにより、万が一いずれか一方の外被材9が損傷しても外被材9の内側の真空状態は確保される。
【0043】
アルミニウムをはじめとする金属製の素材を用いた外被材9は、熱伝導性が高いという特性がある半面、シールド性(電波遮蔽性)もある。後に説明するように、真空断熱パネルの内部に入れられる温度センサ5は周辺温度を検知し、この検知した結果は外部へ通信される。周辺温度を検知するという面ではアルミニウム素材は適しているが、通信するという面ではアルミニウム素材は適さない。
【0044】
一方、外被材9として、ナイロン系の素材を用いることもできるが、ナイロン系の素材は熱伝導性が低く、電波を透過しやすいという特性がある。つまり、アルミニウム素材とは逆で、通信するという面ではナイロン系の素材は適しているが、周辺温度を検知するという面ではナイロン系の素材は適さない。双方の特性を生かすべく、アルミニウム素材とナイロン系素材を組み合わせて外被材9とすることもできる。一例として、無線センサ13の温度センサ部に近接する(温度センサ部を覆う)範囲は熱伝導性の高いアルミニウム素材を用い、無線センサ13のアンテナ部に近接する(アンテナ部を覆う)範囲は電波透過性の良いナイロン系素材とする外被材9を用いることができる。
【0045】
芯材8の空隙内の空気が排出された状態、すなわち真空断熱パネルの内部が減圧された状態で外被材9の開口部がヒートシールされ、これによって真空度の高い状態を維持することができる。従って、外被材9は熱溶着可能な材料と組み合わされることが多い。例えば、アルミニウム箔の裏面(又は表裏面)にPET素材を重ねたものを、外被材9として用いるなど、アルミニウムをはじめとする金属製の板、フィルム、シート等にPET素材を組み合わせたもの(貼り合わせ、蒸着等したもの)を用いることができる。PET素材は90℃程度で溶着され、これに対して無線センサ13は通常200℃程度までは溶けることがないので、無線センサ13にとっては好適である。
【0046】
なお、芯材8や外被材9は、ここで例示したものに限らず、従来から真空断熱パネルとして用いられている素材、材質のものを使用することができ、特にサイズを大きめにし、更に折り曲げ可能な材質、厚さに設計すると、一枚のセンサ付真空断熱パネル6を折り曲げて、保冷容器1内に設置することができる。
【0047】
真空断熱パネルは、内部を真空状態(減圧状態)とすることで優れた断熱性能を有する。具体的には、真空断熱パネルの熱伝導率は0.002〜0.01w/mkであり、発泡スチロールの0.02〜0.03w/mk、空気の0.02w/mkに比べると、その断熱性能が顕著であることがわかる。この優れた断熱性能を有する真空断熱パネルを利用すれば、従来の保冷容器Bの断熱性能も格段に向上する。
【0048】
センサ付真空断熱パネル6は、外被材9内に、温度センサ5と、ここで検知した温度データを送信する通信部(送信部)12を備えている。温度センサ5で検知した温度データは、通信部12から例えば外部の管理センタや他の設備に無線送信され、管理センタや他の設備でデータ処理して、遠隔地から温度管理することもできる。前記通信は有線で行うこともできる。無線式の場合は通信部12にアンテナを内蔵或いは外付けすることができる。有線式の場合は外被材9の外に外部機器と電気的に接続可能なコネクタなど他の接続機器(接続具)を設けておき、それに接続された外部機器との間で有線通信することができる。
【0049】
本願発明では、温度センサ5で検知した温度データを、外被材9の内側に設けたデータロガー(記憶部)に記憶させておき、記憶されたデータを例えば外部の管理センタやその他の箇所で処理して温度状態を管理することもできる。データロガーには温度データだけでなく、他のセンサで検知されたデータ、例えば、真空データ、湿度データ、加速度データ等も記録することができる。湿度センサは、外被材9のガスバリア性が劣化又は破損して外部から外被材9の内側に侵入した場合の湿気を検知するものである。加速度センサは振動を感知できるものである。この加速度センサを設けることにより、例えば保冷容器1で保冷食品Fを搬送している間、保冷食品F周辺の振動状況が把握できるので、品質管理上から考えるとさらに好適である。
【0050】
センサ付真空断熱パネル6には、温度センサ5と通信部12、あるいはデータロガーや真空センサ14を作動させるためのバッテリ13cが設けられている。バッテリにはリチウム電池をはじめ長寿命の電池を使用することができる。この電池は、充電式のものでも非充電式のものでも使用可能である。充電式の場合は外被材9の外に充電用電源接続器(例えば、コンセント)を設けておき、それに電源を接続することにより充電することができる。近年は、非接触式の充電、例えば、電磁波を充電に利用する充電方法も研究され、実用化の目途が立っているので、非接触式で充電が可能な電池を使用することもできる。
【0051】
温度センサ5、通信部12、バッテリ13cを一体として備えたものが無線センサ13である。この無線センサ13は市販されていることもあって、現在では広く利用されている。この無線センサ13は、図5に示すような形態で、温度を検知する温度センサ部(温度センサ5)を有する本体部13a、アンテナ部13b(通信部12)、バッテリ13cの三つの部品を備えている。なお本願発明のセンサ付真空断熱パネル6は、少なくとも温度センサ5と通信部12を備えていればよく、これらが別体であっても、無線センサ13のように一体であってもよいが、以下では便宜上、センサ付真空断熱パネル6が無線センサ13(本体部13a、アンテナ部13b、バッテリ13cの三つの部品を有する)を備えた場合で説明する。また、近年では無線センサ13は小型化が進み、その外寸(長さ)が2〜4mmのものまであり、センサ付真空断熱パネル6に用いられる無線センサ13も小型の方が望ましいが、真空断熱パネルの内部に設置することのできるものであれば、その大きさや形状は任意に設計できる。
【0052】
センサ付真空断熱パネル6に用いられる無線センサ13は、専用のものとして別途作成してもよいが、市販されているものを使用することもできる。また、市販されている無線センサ13には、温度を検知することができる温度センサのほかに、湿度を検知することができる湿度センサや、振動の程度を検知できる加速度センサを備えたものもあるので、このような無線センサを利用することもできる。
【0053】
無線センサ13のバッテリ13cには、リチウム電池などが多用されている。リチウム電池等は、一般に低温環境や高湿環境では劣化が進みやすく、極端に寿命が短くなることが知られている。そのため無線センサ13は、常温環境であって高湿とならない環境で利用されることが多い。従って、保冷食品Fを搬送する保冷容器1内に無線センサ13を設置できれば、搬送中であっても保冷食品Fの環境温度を管理することができて好適であるが、保冷容器1内にはドライアイスD等が置かれるためにバッテリ13cの劣化(短寿命)問題が生じることとなって、従来では保冷容器1内に無線センサ13が設置されることはなかった。一方、本願発明は、断熱性能が高い真空断熱パネルの内部に無線センサ13を設置するので、収容空間4内の低温・高湿からバッテリ13cを保護することが可能となり、バッテリ13cの劣化問題が生じないことから、安心して保冷容器1内に無線センサ13を設けることができる。
【0054】
無線センサ13を真空断熱パネルの内部に設置する方法は、種々選択することが可能であり、その例を図4(a)〜(e)に示す。
【0055】
図4(a)は、無線センサ13を芯材8に埋設した場合を示す断面図である。この図に示すように、芯材8に設けられた埋設凹部10に無線センサ13を設置することができる。あるいは、本体部13a、アンテナ部13b、バッテリ13cの三つの部品のうちいずれか一つの部品を埋設凹部10に設置することもできるし、これら三つの部品から選ばれる二つの部品を埋設凹部10に設置することもできる。この場合、あらかじめ芯材8に埋設凹部10を設け、これに無線センサ13(又は前記三つの部品のうち少なくとも一つの部品)を設置し、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。無線センサ13(又は前記三つの部品のうち少なくとも一つの部品)を設置した後の埋設凹部10にできる空隙部は、外被材9を被せる前に熱伝導性の高い充填剤で注入しておくことも、あるいはそのまま空隙として残しておくこともできる。バッテリ13cが埋設凹部10に設置された場合、バッテリ13cは芯材8の略中心部に配置されることになるので、確実に外部の低温・高湿環境から守られる。
【0056】
図4(b)は、無線センサ13を芯材8の表面に配置した場合を示す断面図である。この図に示すように、芯材8と外被材9との間に無線センサ13を設置することができる。この場合、あらかじめ芯材8の表面(図では上面)に無線センサ13を取付け、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。本体部13aとアンテナ部13bは外被材9のみで覆われているので、温度検知や通信という点では好適である。このセンサ付真空断熱パネル6は、表面近くにバッテリ13cがあることから、バッテリ13cが配置されていない面(図では下面)が低温・高湿環境となる(具体的には保冷容器1の収容空間4側となる)ように配置して利用することが望ましい。
【0057】
図4(c)は、無線センサ13のうち本体部13aとアンテナ部13bを芯材8の表面に、バッテリ13cを芯材8に埋設した場合を示す断面図である。この場合、あらかじめ芯材8の一部にバッテリ13cを埋設するとともに、芯材8の表面に本体部13aとアンテナ部13bを取付け、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。本体部13aとアンテナ部13bは外被材9のみで覆われているので、温度検知や通信という点では好適である。しかもバッテリ13cは、芯材8の内部に配置されるので、外部の低温・高湿環境から守られる。なお、この図のセンサ付真空断熱パネル6も、バッテリ13cが配置されていない面(図では下面)が低温・高湿環境となる(具体的には保冷容器1の収容空間4側となる)ように配置して利用することが望ましい。
【0058】
図4(d)は、無線センサ13のうちアンテナ部13bとバッテリ13cを芯材8の一方の表面に配置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面に配置した場合を示す断面図である。この場合、芯材8の一方の表面(図では上面)にアンテナ部13bとバッテリ13cを設置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面(図では下面)まで伸ばして配置し、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。なお本体部13aの先端にある温度センサ5は、芯材8に設けた貫通孔や貫通溝の中を通過させて反対側の表面まで伸ばすことができる。
【0059】
図4(e)は、無線センサ13のうちアンテナ部13bとバッテリ13cを芯材8の一方の表面に配置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面に配置した場合を示す断面図である。この場合、芯材8の一方の表面(図では上面)付近にバッテリ13cを埋設するとともにアンテナ部13bを設置し、本体部13aの先端にある温度センサ5を芯材8の他方の表面(図では下面)まで伸ばして配置し、その後に外被材9を被せて減圧し、外被材9の開口部をヒートシールすることで、センサ付真空断熱パネル6を完成させる。なお本体部13aの先端にある温度センサ5は、芯材8に設けた貫通孔や貫通溝の中を通過させて反対側の表面まで伸ばすことができる。
【0060】
図4(d)及び図4(e)のセンサ付真空断熱パネル6は、アンテナ部13bが外被材9のみで覆われているので、通信という点で好適である。また、一方の芯材8表面(あるいは表面付近)にバッテリ13cが配置され、他方の芯材8表面に温度センサ5が配置されるので、例えばこのセンサ付真空断熱パネル6を、温度センサ5がある面(図では下面)を保冷容器1の収容空間4側となるように配置して利用すると、温度検知という点で好適であるとともに、バッテリ13cを低温・高湿環境から守るという点においても好適である。
【0061】
温度センサ5による温度検知、及びアンテナ部13bによる通信を考えた場合、本体部13aの先端にある温度センサ5やアンテナ部13b付近に用いられる外被材9の素材の選択が重要になる。前記したように、アルミニウムをはじめとする金属製の素材は熱伝導性が高いという特性がある半面、シールド性(電波遮蔽性)があり、一方ナイロン系の素材は熱伝導性が低く、電波を透過しやすいという特性がある。従って図4(d)や図4(e)に示すセンサ付真空断熱パネル6の場合、アンテナ部13bが配置された面(図では上面)は電波透過性のナイロン系の素材を用い、温度センサ5が配置された面(図では下面)は熱伝導性の高い金属製の素材を用いた外被材9とすることが望ましい。
【0062】
図4(a)〜(c)に示すセンサ付真空断熱パネル6の場合、全体を熱伝導性の高い金属製の素材とし、アンテナ部13bを覆う範囲だけ部分的に電波透過性のナイロン系の素材を用いた外被材9とすることもできる。あるいは、全体を電波透過性のナイロン系の素材とし、温度センサ5を覆う範囲だけ部分的に熱伝導性の高い金属製の素材を用いた外被材9とすることもできる。部分的に異なる素材のものとする(全体が金属製素材で一部ナイロン系素材、又はその逆とする)場合、当該部分を含む孔状や溝状となるように異なる素材部分を設けることができる。
【0063】
センサ付真空断熱パネル6には、温度センサ5(あるいは無線センサ13)に加えて真空センサ14を備えることもできる。この真空センサ14は、外被材9の内側の真空状態を検知できるものであり、ピラニ真空計、隔膜真空計、静電容量型真空センサ、マイクロメカニカル真空センサ等々各種のものがあり、これら各種の真空センサを使用できる。真空状態は減圧状態を意味するので、例えば圧力センサを使用することができる。芯材8内又は外被材9内に収容するため、できればこの真空センサ14には小型、薄型のものを選ぶのが望ましい。
【0064】
図10では、バッテリから供給される電源で真空センサ14を作動させ、真空センサ14で外被材9の内側の圧力を検知し、検知した電流(電圧)を増幅器Aで増幅し、増幅器Aの出力電圧を、比較器Cにおいてセンサ付真空断熱パネル6が必要とする適正な真空状態(外被材9内の適正圧力:基準圧力)Paと比較することにより、外被材9の内部が適正な真空状態に維持されているか否かを判別することができる。図10では検知した圧力をデジタルメータ15に表示して、外被材9の内部の真空状態を確認できるようにしてある。比較器Cの出力が前記基準圧力Paよりも高い場合は、リレー16により真空ポンプPの電磁弁を開いて、真空ポンプPで外被材9内を減圧することもできる。真空センサ14は全部を外被材9内に設けてもよいが、部分的に外被材9の外部に突出して取付けてもよい。いずれの場合も外被材9内の真空状態が損なわれないように取付ける。図10の真空センサ14の検知データは、センサ付真空断熱パネル6内に設けた通信部を介して増幅器Aに送信することもできる。
【0065】
真空センサ14、温度センサ5、通信部12、データロガーは、それぞれ個別に芯材8や外被材9の内部に設けることもできるが、一つにまとめてユニット化すると芯材8や外被材9内に収容し易い。
【0066】
(センサ付真空断熱パネルの配置)
前記したとおり、保冷容器1の収容空間4の構成面の全部又は一部は、センサ付真空断熱パネル6と真空断熱パネル7で構成される。例えば、図1及び図3に示すように、側壁2bの内面を無線センサ13が設置されたセンサ付真空断熱パネル6とし、正面壁2a、底面壁2c、及び蓋3の内面を無線センサ13のない真空断熱パネル7とすることができる。あるいは底面壁2cと蓋3の内面にセンサ付真空断熱パネル6を配置し、正面壁2aと側壁2bの内面に真空断熱パネル7を配置することもできる。要は、正面壁2aの2面のうちどちらか1面、側壁2bの2面のうちどちらか1面、底面壁2c、及び蓋3の内面の中から選ばれる少なくとも1面にセンサ付真空断熱パネル6を配置すれば、センサ付真空断熱パネル6と真空断熱パネル7は任意の組み合わせとすることができる。なお、センサ付真空断熱パネル6を配置しない内面には、全て真空断熱パネル7を配置することが望ましいが、真空断熱パネル7の配置を一部省略することもできる。
【0067】
「収容空間4の構成面」にセンサ付真空断熱パネル6を配置する場合、図3に示すような配置とすることが望ましい。すなわち、本体部13aの先端にある温度センサ5が収容空間4に近い位置となるように配置すると温度を検知する上で好適であり、収容空間4から見て側壁2b等の背面側となるように(収容空間4とバッテリ13cの間に断熱パネルが介在するように)バッテリ13cを配置すると、バッテリ13cが低温・高湿環境から守られるという点において好適である。なお、図3に示すように(図7や図8も同様)、センサ付真空断熱パネル6のアンテナ部13bは、芯材8に設けた貫通孔や貫通溝の中を通過させて反対側の表面(図3では収容空間4側)まで伸ばすこともできる。もちろん、アンテナ部13bを反対側まで伸ばさず、図4(a)〜(e)に示すようにアンテナ部13b全体を芯材8の同一面に配置することもできる。
【0068】
現在流通している既存の保冷容器には、図6のように蓋3内にドライアイスD等を収容するタイプのものもある。このようなタイプの既存保冷容器を利用して、センサ付真空断熱パネル6と真空断熱パネル7を配置することで本願発明の保冷容器1を作成することもできる。この場合、蓋3の内面に配置されるセンサ付真空断熱パネル6は、バッテリ13cが収容空間4側となるように配置されることが望ましい。これによって、蓋3内にあるドライアイスDや蓄冷剤による低温・高湿環境から、センサ付真空断熱パネル6がバッテリ13cを保護することができて好適である。
【0069】
以下、本願発明の保冷容器1を使用して保冷食品Fを宅配する場合について、一例を示す。
需要者から注文を受けると、指定された保冷食品Fが冷凍庫や冷蔵庫から取り出される。この低温状態の保冷食品Fは、ドライアイスDとともに保冷容器1の収容空間4内に入れられて蓋3が嵌められる。
保冷食品Fを収容した保冷容器1は搬送車に搭載されて、需要者のもとまで配送される。配送中、センサ付真空断熱パネル6の優れた断熱性能により、収容空間4内の保冷食品Fは長時間にわたって低温状態を維持することができる。
また、保冷容器1への収容時、搬送中、搬送先、それぞれの状況で収容空間4内の温度が検知されるとともに、その検知温度がアンテナ部13bによって発信され、例えば品質管理センタなど離れた場所で検知温度を受信できるので、搬送される食材の温度管理を容易に行うことができる。
【0070】
[他の実施形態]
本願発明の保冷容器の他の実施形態を、図7及び図8に基づいて説明する。図7は、センサ付真空断熱パネル6に補強材11を組み合わせた保冷容器1を正面から見た断面図であり、図8は、断熱材にセンサ付真空断熱パネル6が内蔵された壁材で構成された保冷容器1を正面から見た断面図である。
【0071】
本願発明の保冷容器1は、現在利用されている保冷容器B、あるいは新規に作成された容器本体2及び蓋3の内面に、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7を配置して形成される場合に限らず、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7自体によって容器本体2を形成し、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7によって蓋3を形成することもできる。すなわち、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7をそのまま正面壁2a、側壁2b、底面壁2cとし、蓋3とする。この場合、全てをセンサ付真空断熱パネル6とすることもできるし、一部のみをセンサ付真空断熱パネル6として他を真空断熱パネル7とすることも可能で、その配置・組合せは任意に設計できる。また、保冷容器1としての強度を補強する目的で、図7に示すように、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7で形成された容器本体2の外周に補強材11を取り付けることもできる。同じく、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7で形成された蓋3も補強材11で補強することができる。
【0072】
あるいは図9に示すセンサ付真空断熱パネル6(又は真空断熱パネル7)自体によって、容器本体2や蓋3を形成することもできる(図11)。図9に示すセンサ付真空断熱パネル6は、無線センサ13を芯材8内に設けた埋設凹部10に収容し、その芯材8の裏面に板状の金属製外被材9aを配置し、その芯材8の上に樹脂シートの外被材9bを被せ、そのシート状の外被材9bを板状の金属製外被材9aに密着し、板状の金属製外被材9aとシート状の外被材9bの内側を減圧して真空状態にしたものである。又は、図示しないが、図9に示す樹脂シートの外被材9bに代えて、芯材8上面に板状の金属製外被材9aを設置し、つまり芯材8を上下から板状の金属製外被材9aで挟み、両外被材9aの間を密封した後に、その内側を減圧して真空状態とすることもできる。
【0073】
このように、センサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7自体によって、容器本体2や蓋3を形成する場合、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、蓋3、をそれぞれ独立して作成した後に組み立てることができる。あるいは、十字状(プラス記号状)に連続形成された5枚のセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7を折り曲げて容器本体2を作成することも、サイコロの展開図状に連続形成された6枚のセンサ付真空断熱パネル6や真空断熱パネル7を折り曲げて保冷容器1(つまり、蓋3付きの容器本体2)を作成することもできる。なおここで示した方法で作成された容器本体2や保冷容器1は、もちろんそのまま利用することもできるし、あるいは既存の容器内に設置して使用することもできる。
【0074】
また本願発明の保冷容器1は、図8に示すように、新規に作成される容器本体2及び蓋3の中に、センサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7をその作成の際に埋め込んでおく(内蔵しておく)ことによって形成することもできる。すなわち、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、蓋3、それぞれの部材内にあらかじめセンサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7が内蔵されたものを使用して、保冷容器1を完成させる。この場合、どの部材にセンサ付真空断熱パネル6を内蔵させて、どの部材に真空断熱パネル7を内蔵させるかは、任意に設計できる。
【0075】
その他、正面壁2a、側壁2b、底面壁2c、蓋3を発泡スチロールなどで形成する際、これらにセンサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7を嵌めこむことのできる嵌合凹部を設け、この嵌合凹部にセンサ付真空断熱パネル6又は真空断熱パネル7を設置して容器本体2や蓋3を作成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願発明の保冷容器は、食材の宅配用のほか化粧品や薬品などの搬送用としても応用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 保冷容器
2 容器本体
2a (本体の)正面壁
2b (本体の)側壁
2c (本体の)底面壁
3 蓋
4 収容空間
5 温度センサ
6 センサ付真空断熱パネル
7 真空断熱パネル
8 芯材
9 外被材
9a (板状の)外被材
9b (シート状の)外被材
10 埋設凹部
11 補強材
12 通信部
13 無線センサ
13a (無線センサの)本体部
13b (無線センサの)アンテナ部
13c (無線センサの)バッテリ
14 真空センサ
15 デジタルメータ
16 リレー
A 増幅器
B (既存の)保冷容器
C 比較器
D ドライアイス
F 保冷食品
P 真空ポンプ
Pa 基準圧力(基準値)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋を備える容器の内部に、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルを、配置してなる保冷容器であって、
前記容器本体の内面及び前記蓋の内面のうち、一部又は全面に前記真空断熱パネルが配置されるとともに、
真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、
前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項2】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルで形成された容器本体と、この真空断熱パネルで形成された蓋と、該容器本体と該蓋によって形成される収容空間と、を備え、
真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、
前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの芯材の一部に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が嵌合可能な嵌合凹部が設けられ、
前記嵌合凹部内に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が設置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの芯材の一方の面に、バッテリが配置され、
前記芯材の他方の面に、温度センサが配置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、
前記外被材のうち、通信部を覆う範囲が電波透過性素材であることを特徴とする保冷容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、
前記外被材のうち、温度センサを覆う範囲が熱伝導性素材であることを特徴とする保冷容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルが、温度センサに加え、湿度センサ、加速度センサ、真空センサのうちいずれか1又は2以上を、外被材の内側に備えたことを特徴とする保冷容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルが、温度センサとその他のセンサで検知した検知データを記録できる記憶部が、外被材の内側に設けられたことを特徴と保冷容器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたことを特徴とする保冷容器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが充電式であり、
前記バッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたことを特徴とする保冷容器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが非接触の充電式であることを特徴とする保冷容器。
【請求項12】
板状の芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記外被材の一部が板状の金属製外被材で他が樹脂シートの外被材であり、又は前記外被材の全部が板状の金属製外被材であることを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項13】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記温度センサで検知した検知データを記録できる記憶部を設けたことを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項14】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたことを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項15】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記バッテリが充電式であり、このバッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたことを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項16】
請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のセンサ付真空断熱パネルにおいて、
バッテリが非接触の充電式であることを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項1】
容器本体と蓋を備える容器の内部に、芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルを、配置してなる保冷容器であって、
前記容器本体の内面及び前記蓋の内面のうち、一部又は全面に前記真空断熱パネルが配置されるとともに、
真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、
前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項2】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルで形成された容器本体と、この真空断熱パネルで形成された蓋と、該容器本体と該蓋によって形成される収容空間と、を備え、
真空断熱パネルの一部又は全部が、センサ付真空断熱パネルであり、
前記センサ付真空断熱パネルの前記外被材の内側には、周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、設置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの芯材の一部に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が嵌合可能な嵌合凹部が設けられ、
前記嵌合凹部内に、温度センサ、通信部、及びバッテリの三つの部品のうち少なくとも一つの部品が設置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの芯材の一方の面に、バッテリが配置され、
前記芯材の他方の面に、温度センサが配置されたことを特徴とする保冷容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、
前記外被材のうち、通信部を覆う範囲が電波透過性素材であることを特徴とする保冷容器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材が、熱伝導性素材と電波透過性素材を組み合わせて形成されたものであり、
前記外被材のうち、温度センサを覆う範囲が熱伝導性素材であることを特徴とする保冷容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルが、温度センサに加え、湿度センサ、加速度センサ、真空センサのうちいずれか1又は2以上を、外被材の内側に備えたことを特徴とする保冷容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルが、温度センサとその他のセンサで検知した検知データを記録できる記憶部が、外被材の内側に設けられたことを特徴と保冷容器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたことを特徴とする保冷容器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが充電式であり、
前記バッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたことを特徴とする保冷容器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の保冷容器において、
センサ付真空断熱パネルの外被材の内側に設置されたバッテリが非接触の充電式であることを特徴とする保冷容器。
【請求項12】
板状の芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記外被材の一部が板状の金属製外被材で他が樹脂シートの外被材であり、又は前記外被材の全部が板状の金属製外被材であることを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項13】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記温度センサで検知した検知データを記録できる記憶部を設けたことを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項14】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記外被材の外側に、この外被材の内側に設置された通信部と有線接続可能な接続具を設けたことを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項15】
芯材にガスバリア性の外被材を被せた真空断熱パネルであって、
周辺温度の検知が可能な温度センサ、温度センサによる検知結果を通信可能な通信部、及びバッテリが、前記外被材の内側に設置され、
前記バッテリが充電式であり、このバッテリに充電電源を接続可能な充電端子が、センサ付真空断熱パネルの外被材の外側に設けられたことを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【請求項16】
請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のセンサ付真空断熱パネルにおいて、
バッテリが非接触の充電式であることを特徴とするセンサ付真空断熱パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−51647(P2012−51647A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34444(P2011−34444)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000155045)株式会社本宏製作所 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000155045)株式会社本宏製作所 (41)
【Fターム(参考)】
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