説明

保冷容器

【課題】積み作業における労力を軽減することで作業性を向上させることができる保冷容器を提供する。
【解決手段】大型魚を収容するための発泡合成樹脂製の保冷容器であって、上面が開口する箱状の容器本体10と、容器本体10の上面開口部を開閉するように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる上蓋20とを備え、複数個を上下に積み重ね可能に構成され、かつ、積み重ねた状態において上側の保冷容器の容器本体10の底部と下側の保冷容器の上蓋20の上部とが凹凸嵌合するように、容器本体の底部及び上蓋の上部に凹凸嵌合部を備えている保冷容器において、積み重ね状態に関する積み作業における下側の保冷容器に対する上側の保冷容器の摺動の摩擦を低減する低減手段A,Bを、容器本体10の底部及び上蓋20の上部のうちの少なくとも一方に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグロ、ブリ等の大型魚を保冷輸送する際に使用する保冷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型魚を収容して目的地へ輸送するための保冷容器として、発泡合成樹脂で形成されたものが知られている。このような保冷容器は、上面に開口部を有する箱状の容器本体と、容器本体の開口部を開閉するように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる上蓋とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる保冷容器は、容器本体の開口部から大型魚を収容して該開口部を上蓋で閉塞することで、大型魚を保冷状態で収容することができる。そして、大型魚を収容した保冷容器は、複数個を上下に積み重ねた状態で輸送(例えば、空輸や陸送など)される。尚、複数個の保冷容器を上下に積み重ねる際には、作業者は、上側になる保冷容器を下側になる保冷容器に対して摺動(具体的には、上側になる保冷容器を押して摺動)させて積み上げ作業を行っている。また、積み重ねた状態から個々の保冷容器を出す積み下ろし作業においては、作業者は、上側の保冷容器を下側の保冷容器に対して摺動(具体的には、上側になる保冷容器を引いて摺動)させている。尚、説明の都合上、以下、積み上げ作業および積み下ろし作業を纏めて、単に「積み作業」と称する。
【0004】
ところで、上記保冷容器は、大型魚を収容することができるように大きな寸法に構成しなければならないので、その分だけ保冷容器の肉厚が厚くなるなどして重量が大きくなったり、或いは、多くの発泡材料を必要としてコストが高くなったりしてしまう。そこで、このような大型魚用の保冷容器は、小型の保冷容器よりも発泡倍率を高く設定して形成されており、これによって重量やコストの抑制が図られている。
【0005】
ところが、上記のように高い発泡倍率により形成された保冷容器は、他の低い発泡倍率で形成した保冷容器に比べて柔らかく強度不足となる。このため、従来の保冷容器にあっては、その上部及び底部に凹凸構造が形成されており、かかる凹凸構造によって強度が確保されている。具体的には、前記容器本体の底部には、外周部よりも内側部分全体が下方に凸となる凸部が設けられており、前記上蓋の上部には、外周部よりも内側部分全体が下方に凹となる凹部が設けられている。尚、かかる凸部と凹部とは、複数個の保冷容器を上下に積み重ねた状態で、凸部が凹部に内嵌するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−151421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の保冷容器にあっては、発泡倍率が高く設定されているので、他の低い発泡倍率で形成した保冷容器に比べて全体的に柔らかくなっている。よって、大型魚を収容した保冷容器を上下に複数個積み重ねると、上下の保冷容器間で食い込みが生じてしまう。このように、上下の保冷容器間で食い込みが生じると、両者間の滑り性が悪くなる(具体的には、保冷容器どうしの摩擦係数が大きくなって摩擦力が大きくなる)から、前記積み作業における、上側の保冷容器を下側の保冷容器に対して摺動させるための労力が大きくなって作業性が悪い。
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、積み作業における労力を軽減することで作業性を向上させることができる保冷容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る保冷容器は、大型魚を収容するための発泡合成樹脂製の保冷容器であって、上面が開口する箱状の容器本体と、該容器本体の上面開口部を開閉するように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる上蓋とを備え、複数個を上下に積み重ね可能に構成され、かつ、該積み重ねた状態において上側の保冷容器の容器本体の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部とが凹凸嵌合するように、容器本体の底部及び上蓋の上部に凹凸嵌合部を備えている保冷容器において、前記積み重ね状態に関する積み作業における下側の保冷容器に対する上側の保冷容器の摺動の摩擦を低減する低減手段を、容器本体の底部及び上蓋の上部のうちの少なくとも一方に設けていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、積み作業における下側の保冷容器に対する上側の保冷容器の摺動の摩擦を低減する低減手段が、容器本体の底部及び上蓋の上部のうちの少なくとも一方に設けられていることによって、前記積み作業のときの上下の保冷容器間の摩擦が低減されるから、該積み作業における作業者の労力が軽減される。尚、「前記積み重ね状態に関する積み作業」とは、上側になる保冷容器を下側になる保冷容器に対して摺動させて複数個の保冷容器を上下に積み重ねる積み上げ作業と、前記積み重ねた状態から、上側の保冷容器を下側の保冷容器に対して摺動させて、個々の保冷容器とする積み下ろし作業とを含む概念である。
【0011】
また、本発明に係る保冷容器においては、前記低減手段は、上側の保冷容器の底部及び下側の保冷容器の上蓋の上部における前記摺動の際に互いに擦れ合う摺動部分に介在するように貼り付けられる摩擦係数低減用のテープであってもよい。
【0012】
かかる構成によれば、低減手段が、上側の保冷容器の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部との摺動部分に介在するように貼り付けられる摩擦係数低減用のテープであるので、かかるテープを摺動部分に貼り付けるだけで、低減手段を容易に設けることができる。また、低減手段を備えていない既存の保冷容器にも、テープを貼り付けるだけで低減手段を容易に設けることができる。
【0013】
また、本発明に係る保冷容器においては、前記低減手段は、上側の保冷容器の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部との前記摺動の際に互いに擦れ合う摺動面積を減らすように、前記凹凸嵌合部の凸部に形成される切欠き部であってもよい。
【0014】
かかる構成によれば、切欠き部が凹凸嵌合部の凸部に設けられているので、上側の保冷容器の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部との摺動面積を減らすことができるから、前記積み作業のときの上下の保冷容器間の摩擦を低減して作業者の労力を軽減することができ、併せて、保冷容器の軽量化も図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明によれば、積み作業における下側の保冷容器に対する上側の保冷容器を摺動の摩擦を低減する低減手段を、上側の保冷容器の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部のうちの少なくとも一方に設けることによって、積み作業における労力を軽減して作業性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る保冷容器の全体の縦断側面図である。
【図2】同実施形態に係る保冷容器の容器本体を示す図であって、(a)は底面図、(b)は平面図である。
【図3】(a)は図2(b)におけるA−A線断面図、(b)は図2(b)におけるB−B線断面図である。
【図4】同実施形態に係る保冷容器の上蓋を示す図であって、(a)は平面図、(b)は同図(a)におけるC−C線断面図、(c)は同図(a)におけるD−D線断面図である。
【図5】同実施形態に係る保冷容器を積み重ねる動作(積み上げ作業)を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は積み重ねた状態の縦断面図である。
【図6】第二実施形態に係る保冷容器を示す図であって、(a)は下側の保冷容器に上側の保冷容器を積み重ねる直前の平面図、(b)は保冷容器を積み重ねた状態の平面図である。
【図7】第三実施形態に係る保冷容器を示す図であって、(a)は下側の保冷容器に上側の保冷容器を積み重ねる直前の平面図、(b)は保冷容器を積み重ねた状態の平面図、(c)は容器本体の一部を省略した側面図である。
【図8】第四実施形態に係る保冷容器であって、下側の保冷容器に上側の保冷容器を積み重ねる直前の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る保冷容器の第一乃至第五実施形態について、図1〜図8を参酌して説明する。
【0018】
<第一実施形態>
図1〜図5に、本発明の第一実施形態に係る保冷容器を示している。
該保冷容器1は、図1に示すように、マグロ、ブリ等の大型魚を上端の上面開口部10aから収容することができる箱型状の発泡合成樹脂でなる容器本体10と、この容器本体10の上面開口部10aを閉じて密閉状態にするための発泡合成樹脂でなる上蓋20とから構成されている。尚、発泡合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の各種発泡合成樹脂が利用できる。発泡倍率としては、本第一実施形態では60倍としているが、40倍から80倍までの間の任意の値が強度及びコストの点で好ましいが、50倍から70倍までの間の任意の値がより好ましい。また、大型魚は、30kgから150kgまでの重量の魚を対象としているが、その中でも50kgから100kgまでの重量の魚を主としている。
【0019】
容器本体10は、図2(a),(b)及び図3(a),(b)に示すように、平面視略長方形状に形成され、大型魚を載置する載置面11Aを備えた底部11と、底部11の一対の長辺である左右の縁部に上方に向けて立設された左右の側壁12,12と、底部11の一対の短辺である前後の縁部から上方に向けて立設された前後の側壁13,13とを備え、これら4つの側壁12,13の上部に大型魚を出し入れするための前記上面開口部10aが形成されて構成されている。
【0020】
ここで、容器本体10の内部構造について説明すれば、底部11と左右の側壁12,12との間の稜部分に、下方に凹状になるよう湾曲した円弧状の傾斜面部14が前後の側壁13,13に近い前後の部分を除く所定の長さに亘って設けられている。
【0021】
傾斜面部14は、前後方向中央部分(底部11の長辺方向中央を中心として底部11の長辺寸法の約1/2から1/4程度の長さの部分)14aと、その中央部分14aの前後端に連設される前側部分14b及び後側部分14bとを備えている。中央部分14aは、大きな径(例えば、R50〜R200)を有する円弧面に形成され、前側部分14b及び後側部分14bは、中央部分14aの径よりも小さい径を有し、かつ、前後の側壁13,13に向かって次第に円弧の径が小さくなる先窄まりの円弧面に形成されている。
【0022】
また、前後の側壁13,13の内面には、大型魚Zの頭部又は尾部が当たる部分に、容器本体10や上蓋20を形成する発泡合成樹脂より硬質の板材で形成した補強板15が着脱可能に保持されている。この補強板15は、前後の側壁13,13の底部から上方の所定位置まで内方へ突出して形成された保持部16によって着脱可能に保持されている。尚、図1では、保持部16の高さが前後の側壁13,13の底部から上端までの距離の1/4の高さになっているが、補強板15を保持できるのであれば、どのような高さであってもよい。また、補強板15の材質、厚み及び面方向の大きさは、収容する大型魚Zの大きさや重量に応じて任意に選択することができる。更に、補強板15の材質としては、発泡合成樹脂より強度が高い材質、例えば、段ボール、プラスチック段ボール、各種プラスチック、ベニヤ板等が挙げられる。
【0023】
また、左右の側壁12,12及び前後の側壁13,13の上端面、即ち、容器本体10の上端面には、内縁全周に亘って上向きに突出する嵌合用凸条17が設けられている。
【0024】
底部11は、その下面(外面)側に、周方向全周に沿って同一幅に形成された偏平面を有する外周凹部19Aと、外周凹部19Aの径内側に、周方向全周に亘って下方(外方)に同一幅で突設された環状の凸条嵌合部19Bと、この凸条嵌合部19Bの径内側に切欠き形成された偏平面に形成された長方形状の凹部19C(切欠き部に相当する)とを備えている。尚、外周凹部19Aの表面である偏平面と凹部19Cの表面である偏平面とは、上下方向において同一高さになっている。
【0025】
また、底部11の外周凹部19Aの四隅のそれぞれには、保冷容器1を左右両側から両手で保持する(持ち上げる)ための保持部30が設けられている。保持部30は、外周凹部19Aの底面から更に上方に凹むように形成された左右一対の前側保持部30A,30Aと左右一対の後側保持部30B,30Bとから構成されている。これら保持部30A,30A、30B,30Bは、扇形に構成されているが、どのような形状であってもよい。
【0026】
上蓋20は、図4(a),(b),(c)に示すように、容器本体10の上面開口部10aを覆う平面視略長方形状の上部27と、該上部27の一対の長辺である左右の縁部から下方に向けて垂下された左右の側壁28,28と、上部27の一対の短辺である前後の縁部から下方に向けて垂下された前後の側壁29,29とを備え、底面(下面)側が開口した箱状に形成されている。前後及び左右の側壁29,29,28,28で形成される上蓋20の下端面には、外縁全周に亘って下向きに突出する嵌合用凸条18が設けられている。上蓋20は、嵌合用凸条18を容器本体10の嵌合用凸条17の外側に嵌合することによって、容器本体10の上面開口部10aを閉塞するように構成されている。
【0027】
また、上蓋20の上部27には、その上面側に、周方向全周に亘って同一幅で上向きに突設された環状の外周凸部32と、外周凸部32の径内側に凹設された偏平面の長方形状の凹条嵌合部20Aとを備えている。ここで、凹条嵌合部20Aは、前記凸条嵌合部19Bが嵌合(内嵌)可能なように形成されている。従って、保冷容器1を上下方向に積み重ねたときには、下側の保冷容器1の上蓋20の凹条嵌合部20Aに、上側の保冷容器1の容器本体10の凸条嵌合部19Bが凹凸嵌合する。これによって、上側の保冷容器1が下側の保冷容器1に対して前後方向及び左右方向のいずれの方向にも位置ずれすることがないように位置決めされる。尚、上蓋20の凹条嵌合部20Aと容器本体10の凸条嵌合部19Bとから凹凸嵌合部が構成されている。
【0028】
また、凹条嵌合部20Aの凹み深さは、前記凸条嵌合部19Bの高さよりも若干大きく形成されている。従って、図5(c)に示すように、保冷容器1を上下方向に積み重ねたときには、上側の保冷容器1の容器本体10の外周凹部19Aと、下側の保冷容器1の上蓋20の外周凸部32とが、後述のテープ31,31を介して重なり合い、前記凸条嵌合部19Bと前記凹条嵌合部20Aとが若干離間した配置となる。即ち、保冷容器1を上下方向に積み重ねた状態では、上側の保冷容器1の容器本体10の底部11と、下側の保冷容器1の上蓋20の上部27とは、互いの外周部分で重なり合い、それよりも径内側の部分では離間した状態となっている。
【0029】
前記構成の保冷容器1は、上下に複数個積み重ねた状態で輸送(例えば、空輸や陸送)される。ここで、複数個の保冷容器1を積み重ねた状態とするためには、下側の保冷容器1に対して上側の保冷容器1を積み上げる積み上げ作業が必要となる。一方、輸送先などで積み重ねた状態から個々の保冷容器1として下ろす際には、下側の保冷容器1に対して上側の保冷容器1を下ろす積み下ろし作業が必要となる。ここでは、かかる積み上げ作業と積み下ろし作業とを纏めて、単に「積み作業」と称する。この積み作業は、下側の保冷容器1に対して上側の保冷容器1を摺動させる作業を含む。具体的には、積み上げ作業では、作業者は、下側の保冷容器1に対して上側の保冷容器1を押して摺動させながら積み重ねる。一方、積み下ろし作業では、作業者は、積み重ねた上側の保冷容器1を下側の保冷容器1に対して引いて摺動させながら下ろす。このような積み作業に用いられる本発明の保冷容器1には、下側の保冷容器1に対して上側の保冷容器1を摺動させる際の摩擦を低減する低減手段が設けられている。本第一実施形態では、低減手段は、上蓋20に設けられている第1低減手段Aと、容器本体10に設けられている第2低減手段Bとからなっている。尚、上述のように、保冷容器1を上下方向に積み重ねた状態では、上側の保冷容器1の容器本体10の底部11と、下側の保冷容器1の上蓋20の上部27とは、互いの外周部分で重なり合い、それよりも径内側の部分では離間した状態となっている。よって、積み作業においては、上側の保冷容器1の底部11と下側の保冷容器1の上部27とは、全体ではなく部分的に摺動することとなる。そして、低減手段は、かかる部分的な摺動箇所に設けられている。以下、具体的に説明する。
【0030】
第1低減手段Aは、図4(a),(b),(c)に示すように、積み重ね状態における上側の保冷容器1の底部11と下側の保冷容器1の上部27との摺動部分に介在するように設けられている。具体的には、第1低減手段Aは、上側の保冷容器1の容器本体10の底部11に形成されている外周凹部19Aの表面(下面)と下側の保冷容器1の上蓋20の上部27に形成されている外周凸部32の表面(上面)との間に介在するように設けられている。本第一実施形態では、第1低減手段Aは、周方向全周に亘るように形成されている上蓋20の外周凸部32のうち、左右方向両側に位置する一対の長辺部分の上面に貼り付けられた摩擦係数低減用のテープ31,31である。このテープ31は、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)テープから構成する他、各種の合成樹脂製のテープ等であってもよい。
【0031】
第2低減手段Bは、図2(a)、図3(a),(b)に示すように、積み重ね状態における上側の保冷容器1の底部11と下側の保冷容器1の上部27とに形成される凹凸嵌合部の凸部を切欠いて形成される切欠き部である。本第一実施形態では、第2低減手段Bは、容器本体10の底部11の前記凸条嵌合部19Bの径内部分を切欠いて形成される前記凹部19Cである。この第2低減手段Bは、積み重ね状態における上側の保冷容器1の底部11と下側の保冷容器1の上部27とが摺動する摺動面積を減らすことで前記摩擦力を低減させるものである。尚、容器本体10の底部11の径内側を切り欠いた分だけ、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0032】
続いて、以上のように構成された保冷容器1の上に他の保冷容器1を摺動させて積み重ねる場合(つまり、積み上げ作業する場合)について、図5(a),(b)を用いて説明する。積み上げ作業では、まず、下側となる保冷容器1の長手方向一端部(積み上げ作業における、摺動方向後端部)に、上側となる他の保冷容器1(二点鎖線で示す)の長手方向他端部(積み上げ作業における、摺動方向前端部)を載置して、それから上側の保冷容器1を摺動方向(図示矢印方向)へ押して摺動させる。
【0033】
ここで、下側の保冷容器1と上側の保冷容器1との摺動部分は、下側の保冷容器1の上蓋20の外周凸部32に貼り付けられている第1低減手段Aであるテープ31,31の上面と、上側の保冷容器1の容器本体10の外周凹部19Aの左右両側部分の表面(下面)との第1摺動部分19Sである。
【0034】
また、本第一実施形態では、摺動部分は、前記第1摺動部分19Sの他に、下側の保冷容器1の上蓋20の外周凸部32の長手方向一端側(摺動方向後端側)の短辺部分の上面と、上側の保冷容器1の容器本体10の凸条嵌合部19Bの底面(下面)とが接触する第2摺動部分S,S(図5(a)の斜線部分)もある。この第2摺動部分S,Sの面積は、上側の保冷容器1の容器本体10の底部11に形成されている第2低減手段Bである凹部19C(切欠き部)によって低減されている。
【0035】
従って、積み上げ作業(具体的には、下側の保冷容器1の上で上側の保冷容器1を摺動させながら積み重ねる作業)を行うときに、第1摺動部分19Sではテープ31,31により摩擦が低減される。そして、第2摺動部分S,Sでは、その摺動面積が凹部19Cによって低減されていることから、その分だけ摩擦が低減される。尚、積み下ろし作業(具体的には、下側の保冷容器1の上から上側の保冷容器1を摺動させながら積み下ろす作業)であっても、積み上げ作業と同様に、第1摺動部分19Sではテープ31,31により摩擦が低減され、第2摺動部分S,Sでは、凹部19Cによって摺動面積が低減されて摩擦が低減される。このように、第1低減手段A及び第2低減手段Bによって、積み作業における下側の保冷容器1と上側の保冷容器1との間の摩擦力を低減することができるから、作業性を向上させることができる。
【0036】
また、積み作業における摺動に際しては、上側の保冷容器1の底部11の前記凸条嵌合部19Bが下側の保冷容器1の上部27の前記凹条嵌合部20Aによって、摺動方向(長手方向)にガイドされる。具体的には、前記凸条嵌合部19Bの長手方向の長辺部分が前記凹条嵌合部20Aの長手方向の長辺縁部によって左右方向(摺動方向と交差する方向)の位置ずれが規制された状態で長手方向(摺動方向)に沿って案内される。よって、上下の保冷容器1を正確に積み重ねることができる。
【0037】
そして、上側の保冷容器1の移動後は、図5(c)に示す断面図に示すように、下側の保冷容器1の上蓋20の凹条嵌合部20Aに上側の保冷容器1の凸条嵌合部19Bが嵌合し、凹凸嵌合状態で上下に積み重ねた状態になる。この嵌合状態では、凸条嵌合部19Bの底面(下面)と凹条嵌合部20Aの上面との間に、隙間bが発生している状態になっている。また、テープ31の厚みcよりも凸条嵌合部19Bの上下方向の厚みaの方が厚く(大きく)なるように設定している。このことから、上蓋20の外周凸部32の表面(上面)よりも凸条嵌合部19Bの底面(下面)が下方に位置して、凹条嵌合部20A内に凸条嵌合部19Bの底部(下部)が入り込んだ状態になっている。
【0038】
<第二実施形態>
図6(a),(b)に、本発明の第二実施形態に係る保冷容器を示している。尚、第一実施形態と共通する構成については、必要に応じて同一の符号を付してその説明を省略する。尚、図6(a)の右側に示す容器本体10は、底面図で示しており、左側の保冷容器1の上蓋20に積み重ねる際には、上下を反対にした姿勢にする。また、図6(b)は、左右一対の突起21,21が下側の保冷容器1の上蓋20の凹条嵌合部20Aに嵌合している状態を示している。
本第二実施形態に係る保冷容器1は、前記第一実施形態の保冷容器に対して低減手段の構成が異なる。以下、具体的に説明する。
【0039】
本第二実施形態に係る保冷容器1の上蓋20は、外周凸部32の上面に貼り付けられる第1低減手段としてのテープ31,31が設けられていない点を除き、前記第一実施形態の保冷容器の上蓋と同様の構成である。
【0040】
本第二実施形態に係る保冷容器1の底部11は、その下面(外面)側に、周方向全周に沿って同一幅に形成された偏平面の外周凹部19Aと、外周凹部19Aの径内側にて下方(外方)に突設される凸部33と、この凸部33を長手方向全域に亘って切欠いた分断凹部34(切欠き部に相当する)とを備えている。
【0041】
凸部33は、上蓋20の凹条嵌合部20Aに嵌合(内嵌)可能に構成されており、前記積み作業における摺動においてガイドとなると共に、積み重なった状態では上下の保冷容器1を位置決めするものである。
【0042】
分断凹部34は、凸部33の左右方向中央部を一定幅で長手方向全域に亘って切欠いて形成されている。よって、分断凹部34は、凸部33を左右方向で2つに分断しており、その長手方向両端部が外周凹部19Aの短辺部分に連続している。従って、凸部33は、換言すると、容器本体10の長手方向に沿って同一幅で延びる左右一対の突起21,21から構成されている。尚、分断凹部34の表面は偏平面となっており、外周凹部19Aの表面である偏平面と上下方向において同一高さ(つまり、面一)になっている。
【0043】
かかる構成の保冷容器1にあっては、前記積み作業を行う際には、下側の保冷容器1の上蓋20の外周凸部32の長辺部分である左右両側部分20B,20Bと、これらに対応する容器本体10の外周凹部19Aの長辺部分である左右両側部分10A,10Aとが摺動する(第1摺動部分35)とともに、左右一対の突起21,21の底面(下面)が、上蓋20の外周凸部32の短辺部分である後端部分20Cの上面に摺動する(第2摺動部分36)。かかる摺動部分のうち、第2摺動部分36においては、凸部33を長手方向全域に亘って切欠いて形成される分断凹部34によって摺動面積が低減されている。従って、積み作業における下側の保冷容器1と上側の保冷容器1との間の摩擦力を低減することができ、作業性を向上させることができる。
【0044】
<第三実施形態>
図7(a),(b),(c)に、本発明の第三実施形態に係る保冷容器を示している。尚、第一実施形態と共通する構成については、必要に応じて同一の符号を付してその説明を省略する。尚、図7(a)の右側に示す容器本体10は、底面図で示しており、左側の保冷容器1の上蓋20に積み重ねる際には、上下を反対にした姿勢にする。また、図7(b)は、左右一対の弟1突起部22A,22Aが下側の保冷容器1の上蓋20の凹条嵌合部20Aに嵌合している状態を示している。
本第三実施形態に係る保冷容器1は、前記第一実施形態の保冷容器に対して低減手段の構成が異なる。以下、具体的に説明する。
【0045】
本第三実施形態に係る保冷容器1の上蓋20の上部27は、その上面側に、外周部分のうち左右両側部分に突設される左右一対の第一外周凸条23,23と、外周部分のうち前後両側部分に突設される前後一対の第二外周凸条24,24と、第一外周凸条23,23及び第二外周凸条24,24よりも径内側に凹設される偏平面の凹条嵌合部20Aと、第二外周凸条24,24よりも径内側に離間するように、凹条嵌合部20Aの偏平面の前後両端部に突設される前後一対の突起部37,37とを備えている。
【0046】
第一外周凸条23,23は、上部27の前後方向全域に亘るように形成されている。第二外周凸条24,24は、上部27の左右両端部を除く中央領域にのみ形成されている。つまり、第二外周凸条24,24の左右両側には、第一外周凸条23,23の前端部(又は後端部)との間に形成されるガイド用凹部38が形成されている。よって、第一外周凸条23,23と第二外周凸条24,24とは連続しておらず、ガイド用凹部38が存在する4箇所にて途切れている。
【0047】
凹条嵌合部20Aは、上部27のうち、第一外周凸条23,23及び第二外周凸条24,24で囲まれる領域(径内側の領域)のほぼ全域に形成されている。凹条嵌合部20Aは、ガイド用凹部38に連続するように、該ガイド用凹部38の底面(下面)と面一になっている。つまり、上部27の上面は、凹条嵌合部20Aとガイド用凹部38とを合せた領域においてフラット面となっている。
【0048】
突起部37,37は、上部27の左右両端部を除く中央領域にのみ形成されており、左右方向の長さ及び位置は、第二外周凸条24,24の左右方向の長さ及び位置と同じである。よって、凹条嵌合部20Aの偏平面のうち突起部37,37の左右両側部分は、前記ガイド用凹部38と同じ左右幅になっている。
【0049】
本第三実施形態に係る保冷容器1の容器本体10の底部11は、その下面(外面)側に、周方向全周に沿って同一幅に形成された偏平面の外周凹部19Aと、外周凹部19Aの径内側にて下方(外方)に突設される凸部22と、凸部22の長手方向一端側を残して長手方向他端側に開放するように切欠いた凹部39(切欠き部に相当する)とを備えている。
【0050】
凸部22は、上蓋20の凹条嵌合部20Aに嵌合(内嵌)可能に構成されており、前記積み作業における摺動において、第一外周凸条23,23及びガイド用凹部38,38と協働してガイドとなると共に、積み重なった状態では、凹条嵌合部20Aに嵌合し、特に第二外周凸条24及び突起部37の間の領域に嵌合して上下の保冷容器1の前後左右位置を位置決めするものである。
【0051】
凹部39は、凸部22の左右方向中央部を一定幅で長手方向に沿って切欠いて形成されている。具体的には、凹部39は、凸部22の長手方向一端側を残して他端側全体を切欠いて形成されており、従って、凹部39は、その長手方向他端部において外周凹部19Aの短辺部分に連続している。尚、凸部22は、長手方向他端側に向けて開放した略コの字状の形状となっている。具体的には、凸部22は、容器本体10の長手方向に沿って同一幅で延びる左右一対の第1突起部22A,22Aと、これら第1突起部22A,22Aの長手方向一端部どうしを連結する第2突起部22Bとからなるコの字形状に構成されている。尚、凹部39の表面は偏平面となっており、外周凹部19Aの表面である偏平面と上下方向において同一高さ(つまり、面一)になっている。
【0052】
また、容器本体10の底部11の外周凹部19Aの四隅それぞれには、保冷容器1を左右両側から両手で保持する(持ち上げる)ための保持部30が形成されている。保持部30は、外周凹部19Aの底面から更に上方に凹むように形成された左右一対の前側保持部30A,30Aと左右一対の後側保持部30B,30Bとから構成されている。また、図7(c)に示すように、容器本体10の左右の側壁の前後方向一端部それぞれには、後側保持部30B,30Bから上方へ延設するように、上下方向に長く切欠いて形成された手掛部25が設けられている。尚、この手掛部25,25は、前記積み下ろし作業の際に保冷容器1を引き出すべく、作業者が手を掛けることができるように構成されている。
【0053】
かかる構成の保冷容器1にあっては、前記積み作業を行う際には、下側の保冷容器1の上蓋20の左右一対の第一外周凸条23,23と、これらに対応する容器本体10の外周凹部19Aの長辺部分である左右両側部分10B,10Bとが摺動し(摺動部分40)、左右一対の第1突起部22A,22Aが、第一外周凸条23,23及びガイド用凹部38,38によってガイドされる。よって、上側の保冷容器1の底面と下側の保冷容器1の上蓋20の上面との摺動面積を低減させることができ、積み作業における下側の保冷容器1と上側の保冷容器1との間の摩擦力を低減することができて作業性を向上させることができる。
【0054】
また、保冷容器1を上下に積み重ねた状態においては、図7(b)に示すように、下側の保冷容器1の上蓋20における第二外周凸部24と突起部37との間に、上側の保冷容器1の容器本体10における凸部22の第2突起部22Bが嵌合するから、上下の保冷容器1の位置ずれが効果的に抑制されて上下の保冷容器1の前後左右の位置決めがなされる。
【0055】
そして、積み下ろし作業の際には、前記積み重ね状態にある上側の保冷容器1の保持部30B,30B或いは手掛部25,25に手を掛けて、上側の保冷容器1の第2突起部22Bが下側の保冷容器1の第二外周凸部24と突起部37との間のスペースから離脱するように上側の保冷容器1を持ち上げる。そして、上側の保冷容器1の手掛部25,25に手を掛けて、該保冷容器1を手前側(後方側)に引き出して、保冷容器1を下ろす。尚、突起部37,37が前後に一対設けられているので、上蓋20を容器本体10に対して前後の方向性がないように構成することができる。
【0056】
<第四実施形態>
図8に、本発明の第四実施形態に係る保冷容器を示している。尚、第一実施形態と共通する構成については、必要に応じて同一の符号を付してその説明を省略する。尚、図8の右側に示す容器本体10は、底面図で示しており、左側の保冷容器1の上蓋20に積み重ねる際には、上下を反対にした姿勢にする。
【0057】
本第四実施形態に係る保冷容器1の上蓋20は、外周凸部32の上面に貼り付けられる第1低減手段としてのテープ31,31が設けられていない点を除き、前記第一実施形態の保冷容器の上蓋と同様の構成である。
【0058】
本第四実施形態に係る保冷容器1は、上蓋20に形成された凹条嵌合部20Aに嵌合(内嵌)する容器本体10の底部に形成した凸部26の底面26Aを粗面化処理することによって、低減手段を構成している。この凸部26は、外周凹部19Aよりも径内側全体を突設することで形成されており、その平坦な底面(下面)全体が粗面化処理されている。尚、粗面化処理する方法としては、機械加工、ショットブラストなどの機械的な方向の他、エッチング等の化学的な方法を用いることができる。
【0059】
<第五実施形態>
最後に、図示しないが、第五実施形態に係る保冷容器1について説明する。本第五実施形態に係る保冷容器1の上蓋20は、外周凸部32の上面に貼り付けられる第1低減手段としてのテープ31,31が設けられていない点を除き、前記第一実施形態の保冷容器の上蓋と同様の構成である。また、容器本体10は、粗面化処理していない点を除き、前記第四実施形態に係る保冷容器の容器本体と同様の構成である。そして、前記低減手段としての2枚のダンボール板が、積み重ね状態にある上下の保冷容器1の間に挟まれており、該ダンボール板によって摩擦を低減している。
【0060】
続いて、以上説明した5つの実施形態を含めた複数の実施例について行った荷重試験の結果を、表1を用いて説明する。試験方法は、前後方向の長さが1400mm、左右幅が550mm、高さが450mmで発泡倍率が60倍の保冷容器を上下2段に重ねにし、上側の保冷容器に60kgの分銅を入れ、下側の保冷容器を固定した状態で上側の保冷容器を摺動させることにより行った。測定対象は、摺動させる際の荷重である。
【0061】
比較例としての保冷容器は、ダンボール板を用いない点を除き、容器本体が第五実施形態で説明した容器本体と同様の構成であり、上蓋についても、第五実施形態の上蓋と同様の構成である。尚、表1においては、比較例における容器本体又は上蓋と同様の構成である容器本体又は上蓋については、「ブランク」と称している。
【0062】
実施例1は、前記第一実施形態に係る保冷容器であり、図2〜図4に示すように、上側の保冷容器の容器本体の底部に環状の凸条嵌合部を形成し、下側の保冷容器の上蓋の外周凸部の2つの長辺部分にテープを貼り付けた例である。実施例2は、前記第一実施形態に係る保冷容器において、上側の保冷容器の容器本体の底部に環状の凸条嵌合部を形成し、下側の保冷容器の上蓋をテープを設けずにブランクとした例である(図2、図4参照)。実施例3は、前記第一実施形態に係る保冷容器において、上側の保冷容器の容器本体をブランクとし、下側の保冷容器の上蓋の外周凸部の2つの長辺部分にテープを貼り付けた例である。実施例4は、前記第二実施形態に係る保冷容器であり、図6(a)に示すように、上側の保冷容器の容器本体の底部に左右一対の突起21,21で構成される凸部を形成し(表1では、平行抜きと称している)、下側の保冷容器の上蓋をブランクとした例である。実施例5は、前記第三実施形態に係る保冷容器であり、図7(a)に示すように、上側の保冷容器の容器本体の底部に第1突起部及び第2突起部で構成される凸部を形成し(表1では、コの字形状の突起部と称している)、下側の保冷容器の上蓋にガイド用凹部38を形成した例である(表1では、上面がフラットと称している)。実施例6は、前記第四実施形態に係る保冷容器であり、図8に示すように、上側の保冷容器の容器本体の底部を粗面化処理し、下側の保冷容器の上蓋をブランクとした例である。実施例7は、前記第五実施形態に係る保冷容器で、上側の保冷容器の容器本体をブランクとし、下側の保冷容器の上蓋をブランクとし、それらの間に2枚の段ボールを配置した例である。
【0063】
【表1】

【0064】
表1から考察すれば、実施例6の保冷容器の結果は荷重35kg(静摩擦係数0.56)であり、比較例の保冷容器の結果とほとんど変らない結果で実用的でないことがわかる。また、実施例2の保冷容器の結果は荷重30kg(静摩擦係数0.48)であり、実用上の最低限の条件(荷重30kg(静摩擦係数0.48))を満たすものである。
【0065】
そして、実施例1の保冷容器の結果は荷重25kg(静摩擦係数0.40)、実施例3の保冷容器の結果は荷重27kg(静摩擦係数0.43)、実施例4及び実施例5の保冷容器の結果はいずれも荷重28kg(静摩擦係数0.44)、実施例7の保冷容器の結果は荷重20kg(静摩擦係数0.32)であり、いずれも実用上の条件をクリアしているものであり、作業性の向上が期待できる結果となった。尚、かかる結果からすると、ダンボールやテープを保冷容器間に配置する構成が摩擦を低減するのに効果的であり、これらの次に接触面積を減らす構成が良い結果であると考えられる。
【0066】
尚、本発明に係る保冷容器は、上記第一乃至第五実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0067】
前記第一実施形態では、低減手段としてテープを用いたが、低摩擦のフィルムであってもよいし、保冷容器の表面を例えば熱処理することによって表面を硬く(所謂ハードサーフェス処理)して低減手段を構成してもよい。
【0068】
また、前記第一実施形態では、テープを上下の保冷容器が摺動部分の一部(具体的には、第1摺動部分のみ)に設けているが、摺動部分全てに設けてもよい。
【0069】
また、前記第一実施形態では、テープを上蓋20にのみ設けたが、容器本体10の底面にも設けてもよいし、或いは、容器本体10の底面にのみ設けてもよい。
【0070】
また、前記第一乃至第五実施形態では、保冷容器に補強板15を保持する保持部16を設けたが、保持部16が無い保冷容器であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…保冷容器、10…容器本体、10a…上面開口部、10A,10B…左右両側部分、11…底部、11A…載置面、12,13…側壁、14…傾斜面部、14a…中央部分、14b…前側部分、14b…後側部分、15…補強板、16…保持部、17…嵌合用凸条、18…嵌合用凸条、19A…外周凹部、19B…凸条嵌合部、19C…凹部、19S…摺動部分、20…上蓋、20A…凹条嵌合部、21…突起、22…凸部、22A,22B…突起部、23…第一外周凸条、24…第二外周凸条、25…手掛部、26…凸部、26A…底面、27…上部、28,29…側壁、30…保持部、30A…前側保持部、30B…後側保持部、31…テープ、32…外周凸部、A…第1低減手段、B…第2低減手段、Z…大型魚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型魚を収容するための発泡合成樹脂製の保冷容器であって、上面が開口する箱状の容器本体と、該容器本体の上面開口部を開閉するように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる上蓋とを備え、複数個を上下に積み重ね可能に構成され、かつ、該積み重ねた状態において上側の保冷容器の容器本体の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部とが凹凸嵌合するように、容器本体の底部及び上蓋の上部に凹凸嵌合部を備えている保冷容器において、
前記積み重ね状態に関する積み作業における下側の保冷容器に対する上側の保冷容器の摺動の摩擦を低減する低減手段を、容器本体の底部及び上蓋の上部のうちの少なくとも一方に設けていることを特徴とする保冷容器。
【請求項2】
前記低減手段は、上側の保冷容器の底部及び下側の保冷容器の上蓋の上部における前記摺動の際に互いに擦れ合う摺動部分に介在するように貼り付けられる摩擦係数低減用のテープであることを特徴とする請求項1に記載の保冷容器。
【請求項3】
前記低減手段は、上側の保冷容器の底部と下側の保冷容器の上蓋の上部との前記摺動の際に互いに擦れ合う摺動面積を減らすように、前記凹凸嵌合部の凸部に形成される切欠き部であることを特徴とする請求項1に記載の保冷容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23255(P2013−23255A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160103(P2011−160103)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】