説明

保安灯

【課題】商用交流電源側と電池側との絶縁を確実に図り、待機時の電池の消耗を抑制できる保安灯を提供する。
【解決手段】保安灯は、商用交流電源Eの電源で第1のLED素子26を点灯させる第1の点灯回路41と、電池12の電源で第2のLED素子27を点灯させる第2の点灯回路42とを備える。第1の点灯回路41と第2の点灯回路42とはフォトカプラ43で接続する。第2の点灯回路41には、フォトカプラ43がオン状態で電池12から微小電流を放電させる微小放電回路62を設ける。フォトカプラ43がオンし、微小放電回路62で微小電流が放電している状態では、トランジスタQ7がオフし、第2のLED素子27が消灯する。フォトカプラ43がオンからオフに切り換わり、微小放電回路62に微小電流が放電されなくなると、トランジスタQ7がオンし、第2のLED素子27が点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、停電時に電池の電源により光源を点灯させる保安灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保安灯としては、保安灯のプラグをコンセントに差し込んでおくことにより、常時は、周囲の明るさを検知し、暗くなることでプラグから供給される商用交流電源により光源を点灯させるナイトライトとして機能し、また、停電時は、保安灯内に収納されている電池の電源により上記と同一の光源を点灯させ、さらに、プラグをコンセントから外して携帯できるようにした保安灯がある。
【0003】
保安灯に用いられる電池には、保安灯のプラグをコンセントに差し込んでいる状態で商用交流電源により充電する二次電池が多く用いられているが、停電などにより二次電池が大きく消耗してしまうとその充電にはかなりの長時間が必要となり、頻繁な停電には対応できないことがある。
【0004】
そのため、入手性がよく、消耗すれば交換することができる一次電池を用いる保安灯がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3108623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一次電池を用いる保安灯では、電池が消耗したら交換するため、仮に、コンセントに差し込まれたまま、電池を交換しようとして電池の電極に接触しても感電しないように、商用交流電源側の回路と電池側の回路との絶縁が取られている必要がある。
【0007】
また、一次電池を用いる場合、点灯回路に接続するだけで電池からの放電が生じるため、待機時の電池からの放電が大きいと、電池の消耗が早くなり、必要なときに光源を点灯させることができなかったり、電池の交換頻度が多くなる問題がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、商用交流電源側と電池側との絶縁を確実に図り、待機時の電池の消耗を抑制できる保安灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の保安灯は、第1の光源および第2の光源、商用交流電源からの出力電力を変換した電源により第1の光源を点灯させる第1の点灯回路および電池を電源として第2の光源を点灯させる第2の点灯回路、さらに第1の点灯回路に商用交流電源が供給されていることでオンし、供給されなくなることでオフするフォトカプラを備える。第2点灯回路は、電池から放電される電源電圧を昇圧して第2の光源を点灯させる昇圧回路を備える。さらに、第2点灯回路は、フォトカプラがオンの状態で電池から微小電流を放電させる微小放電回路を備える。さらに、第2点灯回路は、オン時に電池から昇圧回路へ放電させ、オフ時に電池から昇圧回路への放電を停止するスイッチング素子を有し、フォトカプラがオンして微小放電回路に微小電流が放電されている状態でスイッチング素子をオフさせ、フォトカプラがオンからオフに切り換わって微小放電回路に微小電流が放電されなくなることでスイッチング素子をオンさせる点灯放電回路を備える。また、第2点灯回路は、点灯放電回路のスイッチング素子がオンしてから所定時間経過後に点灯放電回路のスイッチング素子をオフさせるタイマ回路を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、停電などにより第1の点灯回路に商用交流電源が供給されなくなったことをフォトカプラを通じて検知して第2の点灯回路により電池を電源として第2の光源を点灯させることができるため、商用交流電源を電源として第1の光源を点灯させる第1の点灯回路と電池を電源として第2の光源を点灯させる第2の点灯回路とを電気的に分離して絶縁を確実に図ることができ、さらに、第1の点灯回路に商用交流電源が供給されていることでオンしているフォトカプラに応動して、電池から昇圧回路の作動を制御する微小電流を放電させる微小放電回路を備えることにより、待機時の電池の消耗を微小電流によるものに抑制することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態を示す保安灯の回路図である。
【図2】同上保安灯の前面側の斜視図である。
【図3】同上保安灯の背面側の斜視図である。
【図4】同上保安灯の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図2ないし図4に示すように、保安灯11は、1.5Vの一次電池(乾電池)である1本の電池12を使用するもので、筐体13、光源部14、プラグ15、および点灯装置16などを備えている。なお、この保安灯11は、壁面に設置されているコンセントにプラグ15を差し込んで使用するもので、この使用状態を基準に保安灯11の上下、左右、前後(前面および背面)として説明する。
【0014】
筐体13の前面下部には窪み状の反射部18が形成され、この反射部18の上方に光源部14が配置されている。筐体13の背面下部には電池蓋19によって開閉される電池着脱口20が設けられ、この電池着脱口20の内側に電池12を着脱可能に収納する電池収納部21が形成されている。
【0015】
筐体13の上面には、ナイトライト機能を入り切りするスライド式の切換スイッチ22、電池12を電源として光源部14を点灯させるボタン式の入スイッチ23および消灯させるボタン式の切スイッチ24が配置されている。
【0016】
また、光源部14は、商用交流電源を電源として点灯する第1の光源としての半導体発光素子である第1のLED素子26と、電池12を電源として点灯する第2の光源としての半導体発光素子である第2のLED素子27とを有している。第1のLED素子26は、電球色とし、第2のLED素子27は白色としている。
【0017】
また、プラグ15は、絶縁性を有する合成樹脂製の保持部30、およびこの保持部30に一体的に保持された一対のプラグ刃31を有している。保持部30が筐体13に回動可能に保持されており、この保持部30を中心として、一対のプラグ刃31が筐体13の背面から垂直に突出する使用状態と、一対のプラグ刃31が筐体13の背面と平行となって筐体13の背面から突出しない収納状態とに回動可能としている。
【0018】
また、点灯装置16は、分割形成された複数の回路基板33を有し、そのうちの1つの回路基板33にはLED素子26,27が実装されている。
【0019】
次に、図1に示すように、点灯装置16は、商用交流電源を電源として第1のLED素子26を点灯させる第1の点灯回路41と、電池12を電源として第2のLED素子27を点灯させる第2の点灯回路42と、これら第1の点灯回路41と第2の点灯回路42とを電気的に分離して絶縁するとともに第1の点灯回路41から第2の点灯回路42への信号伝達を可能とするフォトカプラ43とを有している。
【0020】
第1の点灯回路41は、プラグ15から商用交流電源Eの出力電力を入力して所定の直流電源に変換する電源回路46、周囲の明るさに応じて第1のLED素子26を点灯または消灯させるナイトライト回路47、および停電を検知する停電検知回路48などを備えている。
【0021】
電源回路46では、商用交流電源Eの両極間にバリスターなどのサージ吸収素子ZNRが接続され、サージ吸収素子ZNRの両端に抵抗R1,R2がそれぞれ接続されているとともに抵抗R1と並列にコンデンサC1が接続されて商用交流電源を所定の電圧に降下させる抵抗ドロップ回路49が接続されている。抵抗ドロップ回路49の出力端には全波整流器DBの入力端が接続され、この全波整流器DBの出力端に平滑コンデンサC2が接続されている。
【0022】
また、ナイトライト回路47では、平滑コンデンサC2と並列に、ダイオードD1および抵抗R3とともに一定電圧を作るツェナーダイオードZD1の直列回路が接続されている。ツェナーダイオードZD1と並列に、平滑コンデンサC3と、抵抗R4,R5の分圧回路と、IC1とコンデンサC4の並列回路と、フォトダイオードPD1と抵抗R6の直列回路とが接続されている。フォトダイオードPD1は、保安灯11の周囲の明るさを検知するもので、保安灯11の周囲の明るさを検知可能な保安灯11内の位置に配置されている。
【0023】
フォトダイオードPD1のアノードと抵抗R6との間がオペアンプOP1のマイナス入力端子に接続され、分圧回路の抵抗R4,R5間が抵抗R7を介してオペアンプOP1のプラス入力端子に接続され、オペアンプOP1の出力端子とプラス入力端子との間に正帰還をかける抵抗R8が接続されている。オペアンプOP1のプラス入力端子と負極との間にコンデンサ5が接続されている。オペアンプOP1は、プラス入力端子に分圧回路の抵抗R4,R5間からの基準電圧が入力され、マイナス入力端子にフォトダイオードPD1からの周囲が明るさに応じた検知電圧が入力され、検知電圧が基準電圧を超えなければ出力端子の電位がLレベルとなり、検知電圧が基準電圧を超えれば出力端子の電位がHレベルとなる。
【0024】
オペアンプOP1の出力端子は抵抗R9を介してトランジスタQ1のベースに接続されている。抵抗R9とトランジスタQ1のベースとの間に抵抗R10およびコンデンサC6の一端が接続され、他端が負極に接続されている。
【0025】
トランジスタQ1のエミッタが負極に接続され、コレクタが第1のLED素子26のカソードに接続されている。第1のLED素子26のアノードは正極に対して抵抗R11および切換スイッチ22を介して接続されている。したがって、切換スイッチ22と第1のLED素子26とトランジスタQ1とが直列に接続されている。抵抗R11と切換スイッチ22との間にツェナーダイオードZD2のカソードが接続され、アノードが負極に接続されている。
【0026】
また、停電検知回路48は、第1の点灯回路41の電源電圧が所定の基準電圧より下がったらフォトカプラ43をオフさせるシュミットトリガ回路51を有している。このシュミットトリガ回路51は、オペアンプOP2を用い、オペアンプOP2のマイナス入力端子に分圧回路の抵抗R4,R5の間が接続され、プラス入力端子に正極が分圧回路の抵抗R12,R13間に接続され、出力端子とプラス入力端子との間に正帰還をかける抵抗R14が接続されている。オペアンプOP2は、マイナス入力端子に分圧回路の抵抗R4,R5間からの基準電圧が入力され、プラス入力端子に分圧回路の抵抗R12,R13間からの検知電圧が入力され、検知電圧が基準電圧より高ければ出力端子の電位がHレベルとなり、検知電圧が基準電圧より低くなれば出力端子の電位がLレベルとなる。
【0027】
オペアンプOP2の出力端子は抵抗R15を介してトランジスタQ2のベースに接続されている。抵抗R15とトランジスタQ2のベースとの間に抵抗R16およびコンデンサC7の一端が接続され、他端が負極に接続されている。
【0028】
トランジスタQ2のコレクタが抵抗R16を介して正極に接続され、エミッタがフォトカプラ43のフォトダイオードのアノードに接続されている。
【0029】
次に、第2の点灯回路42は、電池12から放電される電源電圧を昇圧して第2のLED素子27を点灯させる昇圧回路61と、フォトカプラ43がオンの状態で電池12から微小電流を放電させる微小放電回路62と、オン時に電池12から昇圧回路61へ放電させ、オフ時に電池12から昇圧回路61への放電を停止するスイッチング素子としてのトランジスタQ7を有し、フォトカプラ43がオンして微小放電回路62に微小電流が放電されている状態でトランジスタQ7をオフさせ、フォトカプラ43がオンからオフに切り換わって微小放電回路62に微小電流が放電されなくなることでトランジスタQ7をオンさせる点灯放電回路63と、点灯放電回路63のトランジスタQ7がオンしてから所定時間経過後に点灯放電回路63のトランジスタQ7を強制的にオフさせるタイマ回路64となどを備えている。
【0030】
微小放電回路62は、電池12の正極にフォトカプラ43のフォトトランジスタのコレクタが接続され、電池12の負極にフォトカプラ43のフォトトランジスタのエミッタが抵抗R21を介して接続されて構成されている。フォトカプラ43のフォトトランジスタがオンして微小放電回路62に流れる電流は、1.5μA程度で、電池12の自然放電の範囲より小さい値となっている。
【0031】
また、点灯放電回路63では、フォトカプラ43のフォトトランジスタのエミッタと抵抗R21との間がトランジスタQ3のベースに接続され、トランジスタQ3のエミッタが正極に接続され、トランジスタQ3のコレクタが抵抗R22,R23を介して負極に接続されている。
【0032】
抵抗R22,R23間がトランジスタQ4のベースに接続され、このトランジスタQ4のコレクタがタイマ回路64に接続され、エミッタが負極に接続されている。抵抗R23と並列にコンデンサC10が接続されている。そして、トランジスタQ4は、フォトカプラ43のオンオフ状態を検知するフォトカプラ動作検知回路66として構成されている。
【0033】
トランジスタQ3のコレクタと抵抗R22との間が抵抗R24,R25の直列回路に接続され、抵抗R25が負極に接続されている。抵抗R24,R25間がトランジスタQ5のベースに接続されている。抵抗R25と並列にコンデンサC11が接続されている。トランジスタQ5のコレクタが抵抗R26,R27の直列回路を介して正極に接続され、エミッタが負極に接続されている。
【0034】
抵抗R26と並列に抵抗R28およびコンデンサC12で構成される微分回路67が接続されている。微分回路67の出力部である抵抗R28とコンデンサC12との間にトランジスタQ6のベースが接続されている。トランジスタQ6のエミッタが正極に接続され、コレクタが抵抗R29および切スイッチ24を介して負極に接続されている。トランジスタQ6のエミッタとコレクタとの間に入スイッチ23が接続されている。
【0035】
入スイッチ23の正極側にトランジスタQ7のエミッタが接続され、このトランジスタQ7のエミッタとベースとの間に抵抗R30およびコンデンサC13が並列に接続されている。
【0036】
トランジスタQ7のベースが抵抗R31を介してトランジスタQ8のコレクタに接続され、トランジスタQ8のエミッタが負極に接続されている。トランジスタQ7のコレクタに抵抗R32を介してトランジスタQ8のベースおよびトランジスタQ9のコレクタが接続され、トランジスタQ9のエミッタが負極に接続されている。また、抵抗R29と切スイッチ24との間と抵抗R32とトランジスタQ8のベースとの間とが接続されている。トランジスタQ9のベースと負極との間には抵抗R33およびコンデンサC14が並列に接続され、トランジスタQ9のベースが抵抗R34を介してタイマ回路64に接続されている。
【0037】
そして、PNP形のトランジスタQ7とNPN形のトランジスタQ8とを組み合わせて、トランジスタQ7のオン状態を保持する自己保持回路68が構成されている。また、トランジスタQ9は、自己保持回路68によるトランジスタQ7のオン状態をタイマ回路64によって解除する自己保持解除回路69として構成されている。
【0038】
また、昇圧回路61は、電池12の1.5Vの電圧を3.3Vに昇圧し、その電圧をタイマ回路64および第2のLED素子27に供給するものである。点灯放電回路63の両極出力端間に、電解コンデンサC15が接続されているとともに、正極に接続されたインダクタL1を介してDC−DCコンバータIC71が接続され、さらに、正極に接続されたツェナーダイオードZD3を介して抵抗R35およびコンデンサC16の直列回路、平滑コンデンサC17、および抵抗R36が接続されて構成されている。
【0039】
また、タイマ回路64は、点灯放電回路63のトランジスタQ7がオンしてから例えば30分経過後に点灯放電回路63のトランジスタQ7を強制的にオフさせるためのタイマIC73を用いている。タイマIC73は、昇圧回路61の両極出力端子間に接続され、昇圧回路61で昇圧された電圧で動作する。トランジスタQ4のコレクタが抵抗R37を介して昇圧回路61の正極出力端子に接続され、トランジスタQ4のコレクタと抵抗R37との間がタイマIC73のセット端子に接続されている。昇圧回路61の両極出力端子間にコンデンサC18と抵抗R38およびツェナーダイオードZD4の並列回路とが接続され、コンデンサC18と抵抗R38およびツェナーダイオードZD4との間が抵抗R39を介してタイマIC73のリセット端子に接続されている。タイマIC73のデコード端子がトランジスタQ9のベースに接続されている。また、昇圧回路61の両極出力端子間に抵抗R40およびジャンパー線JP1が接続され、このジャンパー線JP1によって点灯放電回路63のトランジスタQ7がオンしてから強制的にオフするまでの時間を可変設定することが可能となっている。
【0040】
また、昇圧回路61の両極出力端子間には、第2のLED素子27とともに、第2のLED素子27の電圧調整用のダイオードD2が接続されている。
【0041】
次に、このように構成されている保安灯11を使用する場合には、プラグ15を筐体13の背面から突出するように回動させ、プラグ15を壁面のコンセントに差し込む。これにより、プラグ15を通じて商用交流電源Eが点灯装置16に供給される。
【0042】
点灯装置16に供給された商用交流電源Eは、第1の点灯回路41の抵抗ドロップ回路49で降圧され、全波整流器DBおよび平滑コンデンサC2によって整流平滑され、所定の電圧の直流電源に変換される。この直流電源がナイトライト回路47および停電検知回路48などに供給される。
【0043】
ナイトライト回路47では、オペアンプOP1のプラス入力端子に一定の基準電圧が入力され、マイナス入力端子にフォトダイオードPD1からの周囲が明るさに応じた検知電圧が入力される。そして、オペアンプOP1の出力端子の電位は、周囲が明るいために検知電圧が基準電圧を超えなければLレベルとなり、周囲が暗いために検知電圧が基準電圧を超えればHレベルとなる。
【0044】
周囲が明るく、オペアンプOP1の出力端子の電位がLレベルにあると、トランジスタQ1はオフ状態にある。そのため、切換スイッチ22がオン状態にあっても、第1のLED素子26に電流が流れず、第1のLED素子26は消灯している。
【0045】
周囲が暗く、オペアンプOP1の出力端子の電位がHレベルにあると、トランジスタQ1はオン状態にある。そのため、切換スイッチ22がオン状態にあると、第1のLED素子26に電流が流れ、第1のLED素子26が点灯する。なお、切換スイッチ22がオフ状態にあれば、トランジスタQ1がオン状態にあっても、第1のLED素子26に電流が流れず、第1のLED素子26は消灯している。
【0046】
また、停電検知回路48では、オペアンプOP2のマイナス入力端子に一定の基準電圧が入力され、マイナス入力端子に商用交流電源から変換された直流電源である検知電圧が入力される。そして、オペアンプOP2の出力端子の電位は、検知電圧が基準電圧より高ければHレベルとなり、検知電圧が基準電圧より低くなればLレベルとなる。
【0047】
商用交流電源Eが正常に供給されている場合には、オペアンプOP2の出力端子の電位がHレベルにあり、トランジスタQ2がオンし、フォトカプラ43のフォトダイオードに電流が流れ、フォトカプラ43がオンしている。
【0048】
フォトカプラ43のオン状態、すなわちフォトカプラ43のフォトトランジスタがオン状態にあると、微小放電回路62が形成され、この微小放電回路62によって電池12からの微小電流が放電される。
【0049】
微小放電回路62で微小電流が放電されている状態では、トランジスタQ3のエミッタ、ベース間にこのトランジスタQ3がオンする電流が流れないため、トランジスタQ3はオフ状態を保つ。そのため、点灯放電回路63のトランジスタQ7はオフ状態にあり、電池12からの電流は、微小放電回路62に流れるが、昇圧回路61、タイマ回路64および第2のLED素子27には流れず、第2のLED素子27は消灯している。
【0050】
また、商用交流電源Eの停電が発生した場合には、停電検知回路48のオペアンプOP2の出力端子の電位がLレベルに切り換わる。オペアンプOP2の出力端子の電位がLレベルになると、トランジスタQ2がオフし、フォトカプラ43がオフする。
【0051】
フォトカプラ43がオフし、すなわちフォトカプラ43のフォトトランジスタがオフすると、微小放電回路62による電池12からの微小放電が停止されるため、トランジスタQ3のエミッタ、ベース間にこのトランジスタQ3がオンする電流がながれるため、トランジスタQ3がオンし、続いてトランジスタQ5がオンし、さらに、微分回路67によってトランジスタQ6が一瞬オンする。トランジスタQ6が一瞬オンすることによりトランジスタQ8のベース電流が流れてトランジスタQ8がオンし、トランジスタQ8のオンによりトランジスタQ7のエミッタ、ベース間に電流が流れてトランジスタQ7がオンする。
【0052】
トランジスタQ7がオンすることにより、トランジスタQ7のコレクタ側からトランジスタQ8のベース電流が流れ、トランジスタQ8がオン状態を維持し、これにより、トランジスタQ7もオン状態を維持する。したがって、トランジスタQ7,Q8で構成される自己保持回路68によりトランジスタQ7のオン状態が自己保持される。
【0053】
トランジスタQ7がオンした点灯放電回路63により電池12からの電流が昇圧回路61に流れ、昇圧回路61で電池12の1.5Vの電圧を3.3Vに昇圧し、タイマ回路64および第2のLED素子27に供給する。これにより、第2のLED素子27が点灯し、タイマ回路64が動作して計時を開始する。
【0054】
タイマ回路64は、点灯放電回路63のトランジスタQ7がオンしてから例えば30分経過後に、タイマIC73のデコード端子からHレベルの信号を出力する。これにより、トランジスタQ9がオンするため、トランジスタQ8のベース電流が低下してトランジスタQ8がオフし、トランジスタQ7もオフする。すなわち、自己保持解除回路69により自己保持回路68による自己保持を解除する。トランジスタQ7のオフにより、点灯放電回路63から昇圧回路61、タイマ回路64および第2のLED素子27に流れなくなり、第2のLED素子27が自動的に消灯する。
【0055】
タイマ回路64を備えることにより、例えば地震発生時の停電時に避難するのに十分な時間だけ第2のLED素子27を点灯させた後には自動的に消灯させるため、電池12の消耗を抑制することができる。
【0056】
また、トランジスタQ7がオン状態にあるときには、フォトカプラ43がオフしていてトランジスタQ3がオンしているので、フォトカプラ動作検知回路66のトランジスタQ4がオンし、タイマIC73のセット端子にLレベルの信号が入力され、フォトカプラ43がオフしていていることを検知している。
【0057】
このトランジスタQ7がオン状態にあるときにおいて、商用交流電源Eの停電が解消されると、第1の点灯回路41により第1のLED素子26が点灯するとともに、フォトカプラ43がオンする。
【0058】
フォトカプラ43がオンすると、微小放電回路62で微小電流が放電されるために、トランジスタQ3がオフし、フォトカプラ動作検知回路66のトランジスタQ4もオフする。これにより、タイマIC73のセット端子にHレベルの信号が入力され、フォトカプラ43がオンしていていることを検知し、タイマIC73のデコード端子からHレベルの信号を出力する。そのため、トランジスタQ9がオンし、トランジスタQ8のベース電流が流れなくなってトランジスタQ8がオフし、トランジスタQ7もオフする。すなわち、自己保持解除回路69により自己保持回路68による自己保持を解除する。トランジスタQ7のオフにより、点灯放電回路63から昇圧回路61、タイマ回路64および第2のLED素子27に流れなくなり、第2のLED素子27が自動的に消灯する。
【0059】
これにより、停電からの復帰時には、第1のLED素子26が点灯し、第2のLED素子27が自動的に消灯し、電池12からの放電は微小放電回路62での微小放電のみとなり、電池12の消耗を抑制することができる。
【0060】
また、第2のLED素子27が点灯している状態で、切スイッチ24が操作されてこの切スイッチ24がオンすることにより、トランジスタQ9がオンしたときと同様に、トランジスタQ8のベース電流が流れなくなってトランジスタQ8がオフし、トランジスタQ7もオフする。これにより、自己保持解除回路69により自己保持回路68による自己保持を解除する。トランジスタQ7のオフにより、点灯放電回路63から昇圧回路61、タイマ回路64および第2のLED素子27に流れなくなり、第2のLED素子27が消灯する。
【0061】
また、停電状態で、かつ第2のLED素子27が消灯している状態で、入スイッチ23が操作されてこの入スイッチ23がオンすることにより、トランジスタQ8のベース電流が流れてトランジスタQ8がオンし、トランジスタQ8のオンによりトランジスタQ7のエミッタ、ベース間に電流が流れてトランジスタQ7がオンする。
【0062】
トランジスタQ7がオンすることにより、トランジスタQ7のコレクタ側からトランジスタQ8のベース電流が流れ、トランジスタQ8がオン状態を維持し、これにより、トランジスタQ7もオン状態を維持する。したがって、トランジスタQ7,Q8で構成される自己保持回路68によりトランジスタQ7のオン状態が自己保持される。
【0063】
そのため、トランジスタQ7がオンした点灯放電回路63により電池12からの電流が昇圧回路61に流れ、昇圧回路61で電池12の1.5Vの電圧を3.3Vに昇圧し、タイマ回路64および第2のLED素子27に供給する。これにより、第2のLED素子27が点灯する。この場合にも、タイマ回路64が動作し、所定時間後に自己保持解除回路69により自己保持回路68による自己保持を解除し、第2のLED素子27が自動的に消灯する。
【0064】
また、商用交流電源Eが供給され、かつ第2のLED素子27が消灯している状態で、入スイッチ23が操作されてこの入スイッチ23がオンすると、上述したように、トランジスタQ7がオン状態で自己保持され、昇圧回路61およびタイマ回路64が動作する。このとき、フォトカプラ動作検知回路66のトランジスタQ4はオフ状態にあり、タイマIC73のセット端子にHレベルの信号が入力されるため、タイマIC73はデコード端子からHレベルの信号を出力する。そのため、トランジスタQ9がオンし、トランジスタQ8のベース電流が流れなくなってトランジスタQ8がオフし、トランジスタQ7もオフする。すなわち、自己保持解除回路69により自己保持回路68による自己保持を解除する。これにより、第2のLED素子27が消灯状態を保つか、一時的に点灯した第2のLED素子27が消灯するため、第1のLED素子26が点灯可能な状態で、第2のLED素子27が点灯するのを防止し、電池12の消耗を抑制することができる。
【0065】
また、保安灯11は、プラグ15をコンセントから抜き外して携帯することができる。
【0066】
このとき、商用交流電源Eが供給されている状態で、プラグ15をコンセントから抜き外すと、上述した停電時と同様に、電池12の電源により第2のLED素子27が点灯し、タイマ回路64により所定時間後に第2のLED素子27が自動的に消灯する。
【0067】
携帯時で、かつ第2のLED素子27が点灯している場合に、切スイッチ24を操作すれば、上述した切スイッチ24の操作時と同様にして、第2のLED素子27が消灯する。また、第2のLED素子27が消灯している場合に、入スイッチ23を操作すれば、上述した入スイッチ23を操作時と同様にして、第2のLED素子27が点灯し、さらに、点灯後に切操作をしなければ、タイマ回路64によって所定時間後に第2のLED素子27が自動的に消灯する。
【0068】
また、携帯し終えた保安灯11のプラグ15をコンセントに差し込んで使用することができる。このとき、第2のLED素子27が点灯状態にあった場合、商用交流電源Eが供給されていると、上述した停電からの復帰時と同様にして、第2のLED素子27が消灯し、明るさに応じて第1のLED素子26が点灯または消灯状態を保つ。また、商用交流電源Eの停電状態にあると、上述した停電時の状態となり、第2のLED素子27が点灯状態を保つ。
【0069】
また、第2のLED素子27が消灯状態にあった場合、商用交流電源Eが供給されていると、第2のLED素子27は消灯状態を保ち、明るさに応じて第1のLED素子26が点灯または消灯状態を保つ。また、商用交流電源Eの停電状態にあると、上述した停電時と同様にして、第2のLED素子27が点灯する。
【0070】
このように構成された保安灯11によれば、停電などにより第1の点灯回路41に商用交流電源Eが供給されなくなったことをフォトカプラ43を通じて検知して第2の点灯回路42により電池12を電源として第2のLED素子27を点灯させることができるため、商用交流電源Eを電源として第1のLED素子26を点灯させる第1の点灯回路41と電池12を電源として第2のLED素子27を点灯させる第2の点灯回路42とを電気的に分離して絶縁を確実に図ることができる。
【0071】
さらに、第1の点灯回路41に商用交流電源Eが供給されていることでオンしているフォトカプラ43に応動して、電池12から昇圧回路61の作動を制御する微小電流を放電させる微小放電回路62を備えることにより、待機時の電池12の消耗を微小電流によるものに抑制することができる。例えば、昇圧回路61の後段にフォトカプラ43を設置した場合には、常に、電池12の電源電圧を昇圧回路61で昇圧することになるため、無駄な電力消費が多くなり、待機時の電池12の消耗が大きくなるが、本実施形態ではこのような課題を解決できる。
【0072】
また、商用交流電源Eの停電には、瞬時の停電する場合とともに、商用交流電源Eの電源電圧が徐々に低下するような停電がある。商用交流電源Eの電源電圧が徐々に低下するような停電の場合に、フォトカプラ43のオンからオフの急激に切り換えられないと、微分回路67が正常に動作せず、トランジスタQ6がオンせず、トランジスタQ7がオフのまま、第2のLED素子27が点灯しない場合がある。しかしながら、本実施形態では、シュミットトリガ回路51を備え、このシュミットトリガ回路51により第1の点灯回路41の電源電圧が所定の基準電圧より下がったらフォトカプラ43を強制的にオフさせるため、第2のLED素子27を確実に点灯させることができる。
【0073】
また、タイマ回路64を備えることにより、例えば地震発生時の停電時に避難するのに十分な時間だけ第2のLED素子27を点灯させた後には自動的に消灯させるため、電池12の消耗を抑制することができる。
【0074】
また、停電からの復帰時には、フォトカプラ動作検知回路66による検知に基づいて自己保持解除回路69が動作し、第2のLED素子27を自動的に消灯させることができるため、電池12からの放電は微小放電回路62での微小放電のみとなり、電池12の消耗を抑制することができる。
【0075】
また、商用交流電源Eが供給され、かつ第2のLED素子27が消灯している状態で、入スイッチ23が操作されても、フォトカプラ動作検知回路66による検知に基づいて自己保持解除回路69が動作し、第2のLED素子27が消灯状態を保つか、一時的に点灯した第2のLED素子27を消灯させるため、第1のLED素子26が点灯可能な状態で、第2のLED素子27が点灯するのを防止し、電池12の消耗を抑制することができる。
【0076】
また、ナイトライトとしての使用する第1のLED素子26は、波長の低い電球色に設定しているため、夜中にトイレなどに起きた際に、覚醒し難く、広範囲を照明することができる。一方、非常用の第2のLED素子27は、白色に設定しているため、少ない電流で必要とする照度を得ることができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
11 保安灯
12 電池
26 第1の光源としての第1のLED素子
27 第2の光源としての第2のLED素子
41 第1の点灯回路
42 第2の点灯回路
43 フォトカプラ
51 シュミットトリガ回路
61 昇圧回路
62 微小放電回路
63 点灯放電回路
64 タイマ回路
Q7 スイッチング素子としてのトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と;
商用交流電源からの出力電力を変換した電源により第1の光源を点灯させる第1の点灯回路と;
第1の点灯回路に商用交流電源が供給されていることでオンし、供給されなくなることでオフするフォトカプラと;
第2の光源と;
電池を電源とし、電池から放電される電源電圧を昇圧して第2の光源を点灯させる昇圧回路と、フォトカプラがオンの状態で電池から微小電流を放電させる微小放電回路と、オン時に電池から昇圧回路へ放電させ、オフ時に電池から昇圧回路への放電を停止するスイッチング素子を有し、フォトカプラがオンして微小放電回路に微小電流が放電されている状態でスイッチング素子をオフさせ、フォトカプラがオンからオフに切り換わって微小放電回路に微小電流が放電されなくなることでスイッチング素子をオンさせる点灯放電回路と、点灯放電回路のスイッチング素子がオンしてから所定時間経過後に放電回路のスイッチング素子をオフさせるタイマ回路を備えた第2の点灯回路と;
を具備していることを特徴とする保安灯。
【請求項2】
第1の点灯回路の電源電圧が所定の基準電圧より下がったらフォトカプラをオフさせるシュミットトリガ回路を具備している
ことを特徴とする請求項1記載の保安灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−244121(P2012−244121A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116147(P2011−116147)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】