説明

保持具

【課題】 平面状物品を保持する溝幅を拡げることができることにより、多数の平面状物品を保持させることができ、また、紐状体を保持させることのできる保持具を提供する。
【解決手段】 物品が挿入される溝部Dを備えた保持具Hであって、溝部Dは、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分Nを有し、溝幅を狭める方向にコイルスプリング61で移動可能に付勢され、物品を押し付けて保持する第1軟質部材51を備えた第1保持部材31を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車の車室内に取り付けられ、高速道路の通行カード、給油カードなどの平面状物品を保持することができるとともに、手提げ袋の提げ紐、ハンドバックの提げ紐などの紐状体を引っ掛けて保持させることのできる保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した従来の保持具として、固定部材と、この固定部材とで平面状物品を保持するように一端側を支点として付勢された保持部材とで構成され、固定部材と保持部材との間に平面状物品を挿入する溝部を備えたものが提案されている。
【特許文献1】特許第3479752号明細書
【特許文献2】特開2001−260735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の保持具は、一端(下端)側を支点として固定部材側へ保持部材が付勢された構成なので、固定部材と保持部材との間隔(溝部の幅)をあまり拡げることができず、保持できる平面状物品の枚数が少ないものであった。
また、固定部材と保持部材との間隔(溝部の幅)をあまり拡げることができず、溝部の幅も狭いので、紐状体を保持させることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、以下のような発明である。
(1)物品が挿入される溝部を備えた保持具であって、前記溝部は、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分を有し、前記溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、物品を押し付けて保持する保持部材を設けたことを特徴とする。
(2)(1)に記載の保持具において、前記狭窄部分は平面で、前記保持部材は前記狭窄部分に設けられていることを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載の保持具において、前記保持部材と、この保持部材と対向する部分との少なくとも一方に軟質部材を設けたことを特徴とする。
(4)物品が挿入される溝部を備えた保持具であって、前記溝部内には、溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、物品を押し付けて保持する少なくとも1つの軟質部材を設けたことを特徴とする。
(5)(4)に記載の保持具において、前記溝部とは別にフック部を設けたことを特徴とする。
(6)(3)または(4)に記載の保持具において、前記軟質部材に複数の突出部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、溝部は、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分を有し、溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、平面状物品を押し付けて保持する保持部材を設けたので、保持部材を付勢部材の付勢力に抗して移動させることにより、平面状物品を保持する溝幅を拡げることができることにより、多数の平面状物品を保持させることができ、また、紐状体を保持させることができる。
そして、狭窄部分を平面とし、保持部材を狭窄部分に設けたので、保持物を傷付けにくくなる。
さらに、保持部材と、この保持部材と対向する部分との少なくとも一方に軟質部材を設けたので、保持物をさらに傷付けにくくなるとともに、軟質部材の接触抵抗によって保持物が不用意に抜け出しにくくなる。
また、溝部内には、溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、物品を押し付けて保持する少なくとも1つの軟質部材を設けたので、保持物をさらに傷付けにくくなるとともに、軟質部材の接触抵抗によって保持物が不用意に抜け出しにくくなる。
そして、溝部とは別にフック部を設けたので、フック部に紐状体を保持させることができる。
さらに、軟質部材に複数の突出部を設けたので、軟質部材の接触抵抗を増大させることによって保持物がさらに不用意に抜け出しにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。
【0007】
図1はこの発明の第1実施例である保持具の分解斜視図、図2は図1に示した取付部材の平面図、図3は図2に示した取付部材の正面図、図4は図2に示した取付部材の右側面図、図5は図4のA−A線による断面図、図6は図1に示した各部材を組み立てた保持具の斜視図、図7は図6に示した保持具の平面図、図8は図6に示した保持具の右側面図、図9は図7のB−B線による断面図である。
【0008】
これらの図において、Hは保持具を示し、合成樹脂製の取付部材11と、この取付部材11に取り付けられる合成樹脂製の第1保持部材31と、この第1保持部材31に取り付けられる第1軟質部材51と、第1保持部材31を取付部材11から突出する方向へ付勢する第1付勢部材としてのコイルスプリング61と、取付部材11に取り付けられる合成樹脂製の第2保持部材71と、この第2保持部材71に取り付けられる第2軟質部材81とで構成されている。
【0009】
上記した取付部材11は、図1〜図5に示すように、縦長直方体形状の本体部12と、この本体部12の前端に所定の幅で周回させて設けられたフランジ部13と、本体部12の前側下端部に設けられた立方体状の突出部14と、本体部12の上端に、フランジ部13と所定間隔をあけて設けられた挟持突出部15と、本体部12の左右に、フランジ部13と所定間隔をあけて設けられた弾性挟持係止爪16と、本体部12の上側部分に、前方へ開放させて設けられた縦長直方体形状の収容凹部17と、この収容凹部17内の左右に前後方向へ設けられたガイドリブ18と、収容凹部17の底(後壁)の上下端部に設けられた矩形状の挿通孔19と、収容凹部17の底の中央部分に設けられた円形の挿通支持孔20と、突出部14から本体部12まで貫通させて設けられた正面視矩形の取付挿通孔21と、この取付挿通孔21に連通させて本体部12の左右の下端部分に設けられた矩形状の係止孔24とで構成されている。
そして、弾性挟持係止爪16は、本体部12に後側から前側へ連設された弾性片16aと、この弾性片16aの先端(前側)外側に外側へ向けて設けられ、前端側の係止部分がフランジ部13と所定間隔とされた爪部16bとで構成されている。
なお、本体部12の下端部分は、図4、図8および図9に示すように、フランジ部13と挟持突出部15との間の本体部12上端部分を中心とした円弧状とされている。
【0010】
上記した第1保持部材31は、取付部材11の収容凹部17内へ一部が移動可能に挿入される、前端部分が平面部とされた正面視縦長長方形の保持部32と、この保持部32の上側に設けられた、後側から前端へ下降する上側ガイド面33Uと、保持部32の下側に設けられた、前端から後側へ下降する下側ガイド面33Dと、保持部32の左右に前後方向へ設けられ、取付部材11のガイドリブ18に係合する被ガイド溝34と、保持部32の前端の平面部に設けられた第1軟質部材取付凹部35と、保持部32の上下端に後方へ向けて設けられた弾性係止爪38と、保持部32の後側中央に後方へ向けて設けられ、取付部材11の挿通支持孔20に移動(前後動)可能に挿通される付勢部材取付支柱39とで構成されている。
そして、弾性係止爪38は、保持部32に連設された弾性片38aと、この弾性片38aの先端(後端)外側に外側へ向けて設けられ、本体部12の後端に係合する爪部38bとで構成されている。
【0011】
上記した第1軟質部材51は、例えば、熱可塑性エラストマーや、ゴムなどで構成され、第1保持部材31の第1軟質部材取付凹部35に接着剤などで取り付けられる平板部52と、この平板部52から下降しながら平行に突出する複数の傾斜突出部53とで構成されている。
【0012】
上記した第2保持部材71は、取付部材11の本体部12と対向する保持部72と、この保持部72の上側に設けられた、前側から後端へ下降する上側ガイド面73と、保持部72に設けられた第2軟質部材取付凹部74と、保持部72の下端部後側に後側へ向けて連設され、取付挿入孔21へ挿入される中空四角柱状の挿入部76と、この挿入部76の左右に設けられた弾性係止爪77とで構成されている。
そして、弾性係止爪77は、挿入部76の後端に上下に向けて連設された弾性片77aと、この弾性片77aの中央外側に外側へ向けて設けられ、前端側の係止部分が取付部材11に設けられた係止孔24の前側縁に係合する爪部77bとで構成されている。
【0013】
上記した第2軟質部材81は、例えば、熱可塑性エラストマーや、ゴムなどで構成され、第2保持部材71の第2軟質部材取付凹部74に接着剤などで第1軟質部材51と対向させて取り付けられる平板部82と、この平板部82から下降しながら平行に突出し、第1軟質部材51の複数の傾斜突出部53に先端が当接する複数の傾斜突出部83とで構成されている。
【0014】
図4および図5において、Bは保持具Hを取り付ける、例えば、ダッシュボードを示し、取付部材11の本体部12を挿入することのできる、本体部12の大きさに対応させた縦長長方形状の取付孔hが設けられている。
図8および図9において、Dは第1保持部材31と第2保持部材71との間に形成された溝部を示し、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分Nが形成されている。
【0015】
次に、保持具Hの組立の一例について説明する。
まず、第1保持部材31の第1軟質部材取付凹部35に、第1軟質部材51の傾斜突出部53を下側へ向けた状態にして平板部52を接着剤で取り付けるとともに、第2保持部材71の第2軟質部材取付凹部74の第1軟質部材51と対向する部分に、第2軟質部材81の傾斜突出部83を下側へ向けた状態にして平板部82を接着剤で取り付ける。
このようにして第1軟質部材51および第2軟質部材81を取り付けると、第1軟質部材51の傾斜突出部53は保持部32から前方へ僅かに突出し、第2軟質部材81の傾斜突出部83は保持部72から後方へ僅かに突出する。
そして、付勢部材取付支柱39をコイルスプリング61内へ挿入した後、保持部32を弾性係止爪38側から取付部材11の収容凹部17内へ押し込む。
【0016】
このようにして保持部32を収容凹部17内へ押し込むと、爪部38bが本体部12に衝合することにより、弾性片38aが内側へ自身の弾性で撓むので、保持部32を収容凹部17内へ挿入することができ、ガイドリブ18が被ガイド溝34に係合する。
そして、保持部32を収容凹部17内へさらに挿入すると、爪部38bが挿通孔19を通過することにより、弾性片38aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、爪部38bが本体部12の後端に係合し、第1保持部材31が取付部材11から抜けなくなり、また、付勢部材取付支柱39の後端が挿通支持孔20に前後動可能に勘合してコイルスプリング61が圧縮されることにより、第1保持部材31はコイルスプリング61によって取付部材11から前方へ突出するように付勢される。
【0017】
次に、第2保持部材71の保持部72を上側にした状態で挿入部76を取付挿通孔21内へ押し込む。
このようにして挿入部76を取付挿通孔21内へ押し込むと、爪部77bが突出部14に衝合することにより、弾性片77aが内側へ自身の弾性で撓むので、挿入部76を取付挿入孔21内へ挿入することができる。
そして、保持部72が突出部14に衝合するまで挿入部76を取付挿入孔21内へ挿入すると、爪部77bが係止孔24と対向することにより、弾性片77aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、図8に示すように、爪部77bが係止孔24の前側縁(本体部12)に係合し、第2保持部材71が取付部材11から抜けなくなり、保持具Hの組立が完了する。
なお、保持具Hの組立が完了すると、第1保持部材31と第2保持部材71とは平行した平面を有する状態で対向する。
【0018】
次に、保持具HのダッシュボードBへの取付について説明する。
まず、図4に示すように、取付孔hの上端部分を形成するダッシュボードBの部分を、フランジ部13と挟持突出部15との間へ挿入し、この部分を回動中心として保持具Hを回動させる。
このようにして保持具Hを回動させると、爪部16bがダッシュボードBに衝合することにより、弾性片16aが内側へ自身の弾性で撓むので、本体部12を取付孔h内へ挿入することができる。
そして、フランジ部13が取付孔hを覆い隠し、ダッシュボードB全体に当接すると、爪部16bが取付孔hを通過することにより、弾性片16aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、図4および図5に示すように、爪部16bがダッシュボードBの裏側に係合し、保持具Hが取付孔hから抜けなくなり、保持具Hの取付が完了する。
【0019】
次に、保持具Hの動作について説明する。
先に、カードホルダとして使用する場合について説明する。
まず、図9の状態において、第1保持部材31の上側ガイド面33Uと、第2保持部材71の上側ガイド面73とをガイドとして第1保持部材31と第2保持部材71との間へ上側から平面状物品としてのカードを挿入すると、傾斜突出部53,83同士が下降した状態で接触しているので、カードを傾斜突出部53と傾斜突出部83との間を通過させることにより、カードを傾斜突出部53,83の間に保持(挟持)させることができる。
なお、第1保持部材31は、カードの厚さ分だけ、コイルスプリング61の付勢力に抗して保持面と直交する方向へ後退する。
【0020】
同様にしてカードを順次保持具Hに保持させる場合も、第1保持部材31がコイルスプリング61の付勢力に抗して保持面と直交する方向へ後退することにより、保持具Hにカードを保持させることができる。
【0021】
そして、カードを保持具Hから取り出す場合は、必要なカードを保持具Hから抜き出せばよい。
このようにしてカードを保持具Hから抜き出すと、第1保持部材31は、抜き出したカードの厚さ分だけ、コイルスプリング61の付勢力によって保持面と直交する方向へ前進し、カードを保持する。
【0022】
次に、フックとして使用する場合について説明する。
まず、図9の状態において、第1保持部材31の上側ガイド面33Uと、第2保持部材71の上側ガイド面73とをガイドとして第1保持部材31と第2保持部材71との間へ上側から紐状体としての、手提げ袋の提げ紐を挿入すると、傾斜突出部53,83同士が下降した状態で接触しているので、提げ紐を傾斜突出部53と傾斜突出部83との間を通過させることにより、提げ紐を溝部D内に保持させることができる。
なお、提げ紐が傾斜突出部53と傾斜突出部83との間を通過するときは、第1保持部材31はコイルスプリング61の付勢力に抗して後退し、提げ紐が傾斜突出部53と傾斜突出部83との間を通過し終えると、第1保持部材31はコイルスプリング61の付勢力によって元の位置まで前進する。
【0023】
そして、提げ紐を保持具Hの溝部D内から取り出す場合は、下側ガイド面33Dに提げ紐を押しつけながら持ち上げると、第1保持部材31がコイルスプリング61の付勢力に抗して後退することにより、傾斜突出部53と傾斜突出部83との間が提げ紐を通過できる間隔に広がるので、溝部Dから提げ紐を取り出すことができる。
このようにして提げ紐を溝部Dから取り出すと、第1保持部材31はコイルスプリング61の付勢力によって元の位置まで前進する。
【0024】
上述したように、この発明の第1実施例によれば、溝部Dは、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分Nを有し、溝幅を狭める方向にコイルスプリング61で移動可能に付勢され、平面状物品を押し付けて保持する第1軟質部材51を備えた第1保持部材31を設けたので、第1保持部材31をコイルスプリング61の付勢力に抗して移動させることにより、平面状物品を保持する溝幅を拡げることができることにより、多数の平面状物品を保持させることができ、また、紐状体を保持させることができる。
そして、第1保持部材31に第1軟質部材51を設け、この第1保持部材31と対向する第2保持部材71に第2軟質部材81を設けたので、保持物を傷付けにくくなるとともに、第1および第2軟質部材51,81の接触抵抗によって保持物が不用意に抜け出しにくくなる。
さらに第1および第2軟質部材51,81に複数の傾斜突出部53,83を設けたので、第1および第2軟質部材51,81の接触抵抗を増大させることによって保持物がさらに不用意に抜け出しにくくなる。
また、第1保持部材31に上、下側ガイド面33U,33Dを設け、第2保持部材71に上側ガイド面73を設けたので、挿入物を狭窄部分Nに引っかからないように案内することができる。
【0025】
図10はこの発明の第2実施例である保持具の縦断面図であり、図1〜図9と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図10は、図9に対応する縦断面図である。
【0026】
この第2実施例の保持具Hが第1実施例の保持具Hと異なるのは、第2保持部材71に第2軟質保持部材取付凹部を設けない点と、第2軟質部材を設けない点である。
【0027】
この第2実施例の保持具Hにおける、組立の一例についての説明、ダッシュボードへの取付の説明、および、動作についての説明は、第1実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
そして、この第2実施例の保持具Hにおいても、第1実施例の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
さらに、狭窄部分Nを平面とし、保持部材である第1軟質部材51を狭窄部分Nに設けたので、保持物を傷付けにくくなる。
【0028】
図11はこの発明の第3実施例である保持具の縦断面図であり、図1〜図10と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図11は、図9および図10に対応する縦断面図である。
【0029】
この第3実施例の保持具Hが第1実施例の保持具Hと異なるのは、第1保持部材31に第1軟質保持部材取付凹部を設けない点と、第1軟質部材を設けない点である。
【0030】
この第3実施例の保持具Hにおける、組立の一例についての説明、ダッシュボードへの取付の説明、および、動作についての説明は、第1実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
そして、この第3実施例の保持具Hにおいても、第2実施例の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
【0031】
図12はこの発明の第4実施例である保持具の縦断面図であり、図1〜図11と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図12は、図9〜図11に対応する縦断面図である。
【0032】
この第4実施例の保持具Hが第1実施例の保持具Hと異なるのは、第1実施例における第1保持部材31を合成樹脂製の第1保持部材31Aと、合成樹脂製の付勢部材取付部材41とに分割した点と、第2保持部材71の前側下端部にフック部75を設けた点である。
【0033】
上記した第1保持部材31Aは、取付部材11の収容凹部17内へ一部が挿入される、前端部分が平面部とされた正面視縦長長方形の保持部32Aと、この保持部32Aの上側に設けられた、後側から前端へ下降する上側ガイド面33Uと、保持部32Aの左右に前後方向へ設けられ、取付部材11のガイドリブ18に係合する被ガイド溝34(図示省略)と、取付部材11の挿通支持孔20に対応させて設けられた正面視矩形の挿通孔36と、この挿通孔36内の前端部分に設けられた係止部37と、保持部32Aの上下端に後方へ向けて設けられた弾性係止爪38とで構成されている。
そして、弾性係止爪38は、保持部32Aに連設された弾性片38aと、この弾性片38aの先端(後端)外側に外側へ向けて設けられ、本体部12の後端に係合する爪部38bとで構成されている。
【0034】
上記した付勢部材取付部材41は、保持部32Aの挿通孔36内を移動(前後動)可能で、係止部37に衝合する正面視矩形の軟質部材取付部42と、この軟質部材取付部42の中心に後方へ向かって設けられた付勢部材取付支柱43とで構成されている。
【0035】
次に、保持具Hの組立の一例について説明する。
まず、付勢部材取付部材41の軟質部材取付部42に、第1軟質部材51の傾斜突出部53を下側へ向けた状態にして平板部52を接着剤で取り付けるとともに、第2保持部材71の第2軟質部材取付凹部74の第1軟質部材51と対向する部分に、第2軟質部材81の傾斜突出部83を下側へ向けた状態にして平板部82を接着剤で取り付ける。
このようにして第2軟質部材81を取り付けると、第2軟質部材81の傾斜突出部83は保持部81から後方へ僅かに突出する。
そして、付勢部材取付支柱43をコイルスプリング61内へ挿入した後、軟質部材取付部42を第1保持部材31Aの挿通孔36内へ後側から挿入するとともに、保持部32Aを弾性係止爪38側から取付部材11の収容凹部17内へ押し込む。
【0036】
このようにして保持部32Aを収容凹部17内へ押し込むと、爪部38bが本体部12に衝合することにより、弾性片38aが内側へ自身の弾性で撓むので、保持部32Aを収容凹部17内へ挿入することができ、ガイドリブ18が被ガイド溝34に係合する。
そして、保持部32Aが本体部12に衝合するまで保持部32Aを収容凹部17内へ挿入すると、爪部38bが挿通孔19を通過することにより、弾性片38aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、爪部38bが本体部12の後端に係合し、第1保持部材31Aが取付部材11から抜けなくなり、また、付勢部材取付支柱43の後端が挿通支持孔20に前後動可能に勘合してコイルスプリング61が圧縮されることにより、付勢部材取付部材41はコイルスプリング61によって取付部材11から前方へ突出するように付勢される。
しかし、軟質部材取付部42が係止部37に衝合することにより、付勢部材取付部材41は第1保持部材31Aから突出せず、第1軟質部材51の傾斜突出部53が第1保持部材31Aから僅かに突出した状態になる。
【0037】
次に、第2保持部材71の保持部72を上側にした状態で挿入部76を取付挿通孔21内へ押し込む。
このようにして挿入部76を取付挿通孔21内へ押し込むと、爪部77bが突出部14に衝合することにより、弾性片77aが内側へ自身の弾性で撓むので、挿入部76を取付挿入孔21内へ挿入することができる。
そして、保持部72が突出部14に衝合するまで挿入部76を取付挿入孔21内へ挿入すると、爪部77bが係止孔24と対向することにより、弾性片77aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、図9に示すように、爪部77bが係止孔24の前側縁(本体部12)に係合し、第2保持部材71が取付部材11から抜けなくなり、保持具Hの組立が完了する。
なお、保持具Hの組立が完了すると、第1保持部材31Aと第2保持部材71とは平行した平面を有する状態で対向する。
そして、保持具HのダッシュボードBへの取付、および、動作についての説明は、第1実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
ただし、手提げ袋の提げ紐を保持させる場合は、フック部75を利用する。
【0038】
この第4実施例の保持具Hにおいても、第1実施例の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
そして、溝部Dとは別にフック部75を設けたので、フック部75に紐状体を保持させることができる。
【0039】
図13はこの発明の第5実施例である保持具の縦断面図であり、図1〜図12と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図13は、図9〜図12に対応する縦断面図である。
【0040】
この第5実施例の保持具Hが第4実施例の保持具Hと異なるのは、第2保持部材71に第2軟質保持部材取付凹部を設けない点と、第2軟質部材を設けない点である。
【0041】
この第5実施例の保持具Hにおける、組立の一例についての説明、ダッシュボードへの取付の説明、および、動作についての説明は、第4実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
そして、この第2実施例の保持具Hにおいても、第4実施例(第1実施例)の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
【0042】
図14はこの発明の第6実施例である保持具の、取付部材の一部分を破断しない状態の縦断面図、図15は図14に示した取付部材の一部分を示す斜視図であり、図1〜図13と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図14は、図9〜図13に対応する縦断面図である。
【0043】
この第6実施例の保持具Hが図12に示した第4実施例の保持具Hと異なるのは、取付部材11の取付挿通孔21の後側部分に係止段部23を形成するため、本体部12に係止段部形成凹部22を設けた点と、本体部12に係止孔を設けない点と、第1実施例から第5実施例の弾性係止爪に変えて新たな弾性係止爪78を設けた点と、フック部を設けない点と、第2付勢部材としてのコイルスプリング91を設けた点である。
【0044】
上記した係止段部23は、例えば、取付挿通孔21と相似形で、取付挿通孔21よりも大きな直方体形状の係止段部形成凹部22を取付挿通孔21と同軸に本体部12の後方へ開放させて設けることにより、本体部12に設けられている。
また、弾性係止爪78は、図15に示すように、挿入部76の後端に後側へ向けて連設された弾性片78aと、この弾性片78aの後端外側に外側へ向けて設けられた爪部78bとで構成されている。
【0045】
次に、保持具Hの組立の一例について説明する。
まず、付勢部材取付部材41の軟質部材取付部42に、第1軟質部材51の傾斜突出部53を下側へ向けた状態にして平板部52を接着剤で取り付けるとともに、第2保持部材71の第2軟質部材取付凹部74の第1軟質部材51と対向する部分に、第2軟質部材81の傾斜突出部83を下側へ向けた状態にして平板部82を接着剤で取り付ける。
このようにして第2軟質部材81を取り付けると、第2軟質部材81の傾斜突出部83は保持部81から後方へ僅かに突出する。
そして、付勢部材取付支柱43をコイルスプリング61内へ挿入した後、軟質部材取付部42を第1保持部材31Aの挿通孔36内へ後側から挿入するとともに、保持部32Aを弾性係止爪38側から取付部材11の収容凹部17内へ押し込む。
【0046】
このようにして保持部32Aを収容凹部17内へ押し込むと、爪部38bが本体部12に衝合することにより、弾性片38aが内側へ自身の弾性で撓むので、保持部32Aを収容凹部17内へ挿入することができ、ガイドリブ18が被ガイド溝34に係合する。
そして、保持部32Aが本体部12に衝合するまで保持部32Aを収容凹部17内へ挿入すると、爪部38bが挿通孔19を通過することにより、弾性片38aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、爪部38bが本体部12の後端に係合し、第1保持部材31Aが取付部材11から抜けなくなり、また、付勢部材取付支柱43の後端が挿通支持孔20に前後動可能に勘合してコイルスプリング61が圧縮されることにより、付勢部材取付部材41はコイルスプリング61によって取付部材11から前方へ突出するように付勢される。
しかし、軟質部材取付部42が係止部37に衝合することにより、付勢部材取付部材41は第1保持部材31Aから突出せず、第1軟質部材51の傾斜突出部53が第1保持部材31Aから僅かに突出した状態になる。
【0047】
次に、第2保持部材71の保持部72を上側にした状態で挿入部76を取付挿通孔21内へ押し込む。
このようにして挿入部76を取付挿通孔21内へ押し込むと、爪部78bが突出部14に衝合することにより、弾性片78aが内側へ自身の弾性で撓むので、挿入部76を取付挿入孔21内へ挿入することができる。
そして、保持部72が突出部14に衝合するまで挿入部76を取付挿入孔21内へ挿入すると、爪部78bが係止段部形成凹部22内に入ることにより、弾性片78aが自身の弾性で元の状態へ復帰するので、図14に示すように、爪部78bが係止段部23と対向した状態となる。
この状態で、上下の弾性片78aが入る大きさで、例えば、四角形に巻かれたコイルスプリング91を係止段部形成凹部22内へ後側から挿入しするとともに、弾性片78aの弾性を利用して、図14に示すように、コイルスプリング91を係止段部24と爪部78bとの間に装填することにより、第2保持部材71が取付部材11から抜けなくなり、保持具Hの組立が完了する。
なお、保持具Hの組立が完了すると、第1保持部材31Aと第2保持部材71とは平行した平面を有する状態で対向する。
そして、保持具HのダッシュボードBへの取付、および、動作についての説明は、第1実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
【0048】
この第6実施例の保持具Hにおいても、第1および第4実施例の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
【0049】
図16はこの発明の第7実施例である保持具の、取付部材の一部分を破断しない状態の縦断面図であり、図1〜図15と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図16は、図9〜図14に対応する縦断面図である。
【0050】
この第7実施例の保持具Hが第6実施例の保持具Hと異なるのは、第2保持部材71に第2軟質保持部材取付凹部を設けない点と、第2軟質部材を設けない点である。
【0051】
この第7実施例の保持具Hにおける、組立の一例についての説明、ダッシュボードへの取付の説明、および、動作についての説明は、第6実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
そして、この第7実施例の保持具Hにおいても、第6実施例の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
【0052】
図17はこの発明の第8実施例である保持具の、取付部材の一部分を破断しない状態の縦断面図であり、図1〜図16と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、図17は、図9〜図14および図16に対応する縦断面図である。
【0053】
この第8実施例の保持具Hが第6実施例の保持具Hと異なるのは、第1保持部材31Aに挿通孔および係止部を設けずに、新たに付勢部材取付支柱39Aを設けた点である。
【0054】
この第8実施例の保持具Hにおける、組立の一例についての説明、ダッシュボードへの取付の説明、および、動作についての説明は、第6実施例の保持具Hと同様になるので、その説明を省略する。
そして、この第8実施例の保持具Hにおいても、第6実施例の保持具Hと同様な効果を得ることができる。
【0055】
上記した実施例は、第1軟質部材51と第2軟質部材81との少なくとも一方を設けた例を示したが、図10の実施例において、第1保持部材31を図11の実施例の第1保持部材31に変えることにより、すなわち、溝部Dの、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分Nを設け、溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、平面状物品を押し付けて保持する保持部材を設けると、保持部材を付勢部材の付勢力に抗して移動させることにより、平面状物品を保持する溝幅を拡げることができることにより、多数の平面状物品を保持させることができ、また、紐状体を保持させることができる。
また、図16の実施例において、第1保持部材31Aを図17の実施例の第1保持部材31Aに変えても、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の第1実施例である保持具の分解斜視図である。
【図2】図1に示した取付部材の平面図である。
【図3】図2に示した取付部材の正面図である。
【図4】図2に示した取付部材の右側面図である。
【図5】図4のA−A線による断面図である。
【図6】図1に示した各部材を組み立てた保持具の斜視図である。
【図7】図6に示した保持具の平面図である。
【図8】図6に示した保持具の右側面図である。
【図9】図7のB−B線による断面図である。
【図10】この発明の第2実施例である保持具の縦断面図である。
【図11】この発明の第3実施例である保持具の縦断面図である。
【図12】この発明の第4実施例である保持具の縦断面図である。
【図13】この発明の第5実施例である保持具の縦断面図である。
【図14】この発明の第6実施例である保持具の、取付部材の一部分を破断しない状態の縦断面図である。
【図15】図14に示した取付部材の一部分を示す斜視図である。
【図16】この発明の第7実施例である保持具の、取付部材の一部分を破断しない状態の残した縦断面図である。
【図17】この発明の第8実施例である保持具の、取付部材の一部分を破断しない状態の縦断面図である。
【符号の説明】
【0057】
H 保持具
11 取付部材
12 本体部
13 フランジ部
14 突出部
15 挟持突出部
16 弾性挟持係止爪
16a 弾性片
16b 爪部
17 収容凹部
18 ガイドリブ
19 挿通孔
20 挿通支持孔
21 取付挿通孔
22 係止段部形成凹部
23 係止段部
24 係止孔
31 第1保持部材
31A 第1保持部材
32 保持部
32A 保持部
33U 上側ガイド面
33D 下側ガイド面
34 被ガイド溝
35 第1軟質部材取付凹部
36 挿通孔
37 係止部
38 弾性係止爪
38a 弾性片
38b 爪部
39 付勢部材取付支柱
39A 付勢部材取付支柱
41 付勢部材取付部材
42 軟質部材取付部
43 付勢部材取付支柱
51 第1軟質部材
52 平板部
53 傾斜突出部
61 コイルスプリング(第1付勢部材)
71 第2保持部材
72 保持部
73 上側ガイド面
74 第2軟質部材取付凹部
75 フック部
76 挿入部
77 弾性係止爪
77a 弾性片
77b 爪部
78 弾性係止爪
78a 弾性片
78b 爪部
81 第2軟質部材
82 平板部
83 傾斜突出部
91 コイルスプリング(第2付勢部材)
D 溝部
N 狭窄部分
B ダッシュボード
h 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が挿入される溝部を備えた保持具であって、
前記溝部は、底よりも上方に溝幅が狭まった狭窄部分を有し、
前記溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、物品を押し付けて保持する保持部材を設けた、
ことを特徴とする保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の保持具において、
前記狭窄部分は平面で、
前記保持部材は前記狭窄部分に設けられている、
ことを特徴とする保持具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の保持具において、
前記保持部材と、この保持部材と対向する部分との少なくとも一方に軟質部材を設けた、
ことを特徴とする保持具。
【請求項4】
物品が挿入される溝部を備えた保持具であって、
前記溝部内には、溝幅を狭める方向に付勢部材で移動可能に付勢され、物品を押し付けて保持する少なくとも1つの軟質部材を設けた、
ことを特徴とする保持具。
【請求項5】
請求項4に記載の保持具において、
前記溝部とは別にフック部を設けた、
ことを特徴とする保持具。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の保持具において、
前記軟質部材に複数の突出部を設けた、
ことを特徴とする保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−82738(P2006−82738A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270798(P2004−270798)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】