説明

保温具

【課題】 加温能力を大きくし、蓄熱材を短時間で加温して蓄熱することができる保温具を提供すること。
【解決手段】 蓄えた熱を放熱して利用する放熱体4と、温水コンセントに着脱自在に連結される温水コード6と、を備えた保温具。温水コード6は、温水を放熱体4に供給するための供給チューブ26と、放熱体4からの温水を戻すための戻しチューブ28とを有し、放熱体4は、熱を蓄える蓄熱材20と、蓄熱材20を加温するための温水チューブ24とを備え、温水チューブ26の一端部が供給チューブ26に接続され、その他端部が戻しチューブ28に接続され、温水コンセントからの温水が供給チューブ26、温水チューブ24及び戻しチューブ28を通して循環される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬、猫などのペット用保温具、湯たんぽなどの保温具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ペット用保温具として、電気ヒータを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このペット用保温具は、熱を蓄える蓄熱材と、蓄熱材を収容する容器本体と、容器本体に収容された電気ヒータと、電気ヒータに電気を供給するための電気コードとを備え、電気コードの一端部が容器本体に設けられた接続プラグに着脱自在に装着され、その他端部が壁などに設けられた電気コンセントに着脱自在に装着される。使用に際し、電気コードの一端側を接続プラグに接続し、またその他端部を電気コンセントに接続し、このように接続することによって、電気コンセントからの電気が電気コードを介して電気ヒータに供給され、電気ヒータにて発生した熱が蓄熱材に蓄えられ、このようにして容器本体の蓄熱材が加温される。そして、保温具として使用するときには、電気コードを容器本体及び電気コンセントから取り外し、このように外した状態にて所定の設置場所に設置する。かく設置すると、ペットは設置した容器本体の上面に座ったり、又は寝たりなどし、このようにすることによって、容器本体からの熱(蓄熱材から放熱された熱)がペットに伝わり、ペットを加温して寒さから守ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−341900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したペット保温具には、次の通りの解決すべき問題がある。即ち、熱源として電気ヒータを用いるので、加温能力が小さく、蓄熱材を所定温度まで加温して蓄熱するのに時間を要するという問題がある。また、蓄熱材を用いて熱を蓄熱するが、電気ヒータ自体が蓄熱効果が少ないので、多くの熱を蓄熱しようとすると、容器本体内に多量の蓄熱材を内蔵させる必要がある。
【0005】
本発明の目的は、加温能力を大きくし、蓄熱材を短時間で加温して蓄熱することができる保温具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の保温具は、蓄えた熱を放熱して利用する放熱体と、温水コンセントに着脱自在に連結される温水コードと、を備え、前記温水コードは前記温水コンセントからの温水を前記放熱体に供給するための供給チューブと、前記放熱体からの温水を前記温水コンセントに戻す戻しチューブとを有し、前記放熱体は、熱を蓄える蓄熱材と、前記蓄熱材を加温するための温水チューブとを備え、前記温水チューブの一端部が前記供給チューブに接続され、その他端部が前記戻しチューブに接続され、前記温水コンセントからの温水が前記供給チューブ、前記温水チューブ及び前記戻しチューブを通して循環されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の保温具では、前記温水コードは前記放熱体に着脱自在に連結され、前記温水コードの両端部には供給側開閉弁及び戻り側開閉弁が配設され、前記供給側チューブを前記温水コードの一端部に着脱自在に装着すると、前記供給側開閉弁が開状態に保持され、また前記戻り側チューブを前記温水コードの他端部に着脱自在に装着すると、前記戻り側開閉弁が開状態に保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の保温具によれば、放熱体には蓄熱材及び温水チューブが設けられ、温水コンセントからの温水が温水チューブを通して流れるので、温水からの熱が温水チューブを介して蓄熱材に伝達され、温水の熱を利用して効率良く蓄熱材に蓄熱することができる。また、蓄熱に用いる温水が温水チューブに存在するので、この温水も蓄熱材として機能し、保温具の蓄熱能力を高めることができる。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の保温具によれば、温水コードが放熱体に着脱自在に装着されるので、使用するときにはこの温水コードを保温具から外して用いることができ、これによって、使用する際の取扱いが容易となる。また、供給側開閉弁は閉状態に保持され、温水コードの供給側チューブを温水チューブの一端部に装着すると、この供給側開閉弁が開状態に保持され、また戻り側開閉弁も閉状態に保持され、温水コードの戻り側チューブを温水チューブの他端部に装着すると、この戻り側開閉弁が開状態に保持される。このように放熱体への温水コードの装着、取外しに関連して供給側開閉弁及び戻り側開閉弁が開閉されるので、放熱体の温水チューブに満たされた温水の漏出を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う保温具の最良の実施形態について説明する。図1は、一実施形態の保温具を示す斜視図であり、図2は、図1の保温具の要部を一部分解して示す斜視図であり、図3は、図1の保温具の操作部及びその近傍を拡大して示す斜視図であり、図4は、図1の保温具の制御を示すフローチャートである。
【0011】
図1及び図2において、図示の保温具2は、蓄熱した熱を放熱する放熱体4と、この放熱体4を通して温水を循環させるための温水コード6とを備えている。放熱体4は円筒状に形成された容器本体8を備え、この容器本体8は下部容器10及び上部容器12から構成されている。下部容器10は、円形状の底壁(図示せず)と、この底壁の外周部から上方に延びる周側壁14を有し、また上部容器12は、円形状の上壁16と、この上壁16の外周部から下方に延びる周側壁18を有し、上部容器12の周側壁14が下部容器10の周側壁14を被嵌するように装着され、これら両側壁14,18が例えば接着剤などによって固着される。このような保温具2は、ペット用保温具として好都合に用いることができる。
【0012】
下部容器10内には、熱を蓄えるための蓄熱材20が配設される。この蓄熱材20としては、図示するような固体状のものでもよく、或いは液体状のものでもよく、液体状のものにたっては伝熱性の高い容器、袋などに密封するようになる。この形態では、蓄熱材20の上面に凹溝22が設けられ、この凹溝22はこの上面のほぼ全域にわたるように彎曲して設けられている。
【0013】
下部容器10内には、更に、温水チューブ24が配設され、この温水チューブ24が蓄熱材20の凹溝22内に収容され、温水チューブ24内を流れる温水からの熱が後述するようにして蓄熱材20に蓄熱されるように構成されている。この温水チューブ24の両端部は、下部容器10の周側壁14に設けられた導出開口(図示せず)を通して外部に幾分突出し、この突出端部に温水コード6が接続される。
【0014】
温水コード6は、温水チューブ24に温水を供給するための供給チューブ26と、温水チューブ24からの温水を戻すための戻しチューブ28と、供給チューブ26及び戻しチューブ28を被う保護部材30とを有し、この保護部材30の一端部が上部容器12の周壁壁16に設けられた開口32を通して下部容器10の周側壁14に取り付けられる。供給チューブ26の一端部は温水チューブ24の一端部に接続され、また戻しチューブ28の一端部は温水チューブ24の他端部に接続される。尚、このような形態では、供給チューブ26及び戻しチューブ28と温水チューブ24とを一体的に接続するように構成することもできる。
【0015】
この温水コード6の他端部においては、供給チューブ26及び戻しチューブ28の他端部は保護部材30から露出して延びている。供給チューブ26の他端部には第1接続部材34が設けられ、戻りチューブ28の他端部には第2接続部材36が設けられている。また、室内の壁38には温水コンセント40が設けられ、この温水コンセント40には、温水を生成する熱源機(図示せず)の供給側に接続された供給側温水端子部42と、この熱源機の戻り側に接続された戻り側温水端子部44とが設けられている。温水コード6の供給チューブ26の第1接続部材34は温水コンセント40の供給側温水端子部42に着脱自在に接続され、その戻りチューブ28の第2接続部材36は温水コンセント40の戻り側温水端子部44に着脱自在に接続される。このように接続すると、温水コンセント40と放熱体4とが温水コード6を介して接続され、熱源機(図示せず)からの温水は、電気コンセント40の供給側温水端子部42、供給チューブ26、放熱体の温水チューブ24、戻りチューブ28及び温水コンセント40の戻り側温水端子部44を通して循環されて熱源機の戻り側に戻る。
【0016】
この実施形態では、温水コード6に操作部46が設けられている。図3をも参照して、この操作部46は、運転スイッチ48、温度設定手段50、表示装置52及び表示ランプ54を備えている。運転スイッチ48は保温具2の運転、運転停止を行うためのスイッチであり、押圧すると運転信号を生成して後述するようにして放熱体4の蓄熱体20への蓄熱が行われ、再度押圧するとその運転が停止する。表示ランプ54はLEDなどから構成され、保温具2が運転状態にあるときに点灯する。温度設定手段50は、蓄熱材20へ蓄熱するときの温度を設定するためのもので、設定温度を上昇操作する上昇スイッチ56と、設定温度を下降操作するための下降スイッチ58とから構成され、表示装置52は、温度設定手段50により設定された温度を表示する。
【0017】
このように温水コード6に操作部46が設けられていることに関連して、この操作部6から電気コード60が延び、その先端部は保護部材30から露出して延び、家庭用電源としての電気配線に電気的に接続された電気端子部62に電気的に接続される。また、放熱体4の蓄熱材20には収容凹部63が設けられ、この収容凹部63に温度センサ64が収容され、温度センサ64は蓄熱材20の温度(換言すると、蓄熱材20に蓄熱された熱量)を検知する。
【0018】
この保温具2では、更に、温水コード6の供給チューブ26に、例えば電磁弁から構成される温水開閉弁(図示せず)が配設されている。また、放熱体4の温水チューブ24からの温水の漏れを防止するために、温水コード6の供給チューブ26の他端部に供給側開閉弁66が配設され、その戻り側チューブ28の他端部に戻り側開閉弁68が配設される。供給側開閉弁66(及び戻り側開閉弁68)は、供給チューブ26(及び戻りチューブ28)が温水コンセント40から取り外された状態においては閉状態となって温水の漏れを防止し、この供給チューブ26(及び戻りチューブ28)が温水コンセント40に接続された状態においては開状態となって温水の流れを許容する。
【0019】
上述した保温具2は、例えば、次のようにして用いられる。図1〜図4を参照して、使用に際し、温水コード6を温水コンセント40に着脱自在に装着する。即ち、温水ホース6の供給チューブ26の第1接続部材34を温水コンセント40の供給側温水端子部42に接続するとともに、戻りチューブ28の第2接続部材36を温水コンセント40の戻り側温水端子部44に接続し、かく接続すると、供給側開閉弁66及び戻り側開閉弁68が開状態となる。
【0020】
このように接続した後、操作部46の運転スイッチ48を押圧して閉(オン)にする(ステップS1)。かくすると、熱源機(図示せず)が稼動し(ステップS2)、例えば燃焼バーナの燃焼による燃焼熱を利用して温水が生成され、また温水コード6の供給チューブ26の温水開閉弁(図示せず)が開状態となる(ステップS3)。かくすると、熱源機からの温水が供給チューブ26、放熱体4の温水チューブ24及び戻りチューブ28を通して循環され、温水チューブ24を流れる温水からの熱が温水チューブ24を介して伝達されて蓄熱材20に蓄熱される。また、このように熱源機からの温水の熱を利用して蓄熱材20を加温するので、短時間に蓄熱材20に熱を蓄熱することができる。
【0021】
このように蓄熱されて温度センサ64の検知温度が設定温度(温度設定手段50により設定される温度)以上まで上昇すると、更なる蓄熱が必要なくなるので、熱源機(図示せず)の運転が停止し(ステップS5)、温水開閉弁(図示せず)が閉状態となり、このようにして放熱体4が所定温度に加温される。
【0022】
このように加温した保温具2は適当な場所に設置される。そして、蓄熱材20からの放熱及び温水チューブ24内の温水からの放熱によって容器本体8が温められ、寒さからペットを守るための保温具として好適に用いることができ、また温水チューブ24中の温水も蓄熱材として作用するので、保温具2による保温時間を長く保つことができる。尚、温水コンセント40から離れた場所にて用いる場合、温水コード6を温水コンセント40から取り外して移動させればよい。温水コンセント40から温水コード6を取り外すと、供給チューブ26の供給側開閉弁66及び戻りチューブ28の戻り側開閉弁68が閉状態に保持されるので、供給チューブ26及び戻りチューブ28内の温水の外部への漏れが防止される。
【0023】
上述した実施形態では、操作部46は温水コード6に設けられているが、このように構成する必要はなく、例えば放熱体4に設けるようにしてもよく、或いは操作リモコンから構成するようにしてもよい。
【0024】
この保温具は、例えば、図5に示すように構成することもできる。図5は、変形形態の保温具の一部を示す斜視図である。尚、図5において、上述した実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0025】
図5において、この変形形態では、温水コード6Aの一端部が放熱体4Aに着脱自在に接続されるように構成されている。即ち、下部容器10の周側壁14には、図1の温水コンセント40と略同様に、供給側接続端子部72及び戻り側接続端子部74が設けられ、温水チューブ24の一端部が供給側接続端子部72に接続され、その他端部が戻り側接続端子部74に接続される。また、この供給側接続端子部72に関連して、温水チューブ24の一端部には供給側開閉弁(図示せず)が配設され、また戻り側接続端子部74に関連して、温水チューブ24の他端部には戻り側開閉弁(図示せず)が配設される。
【0026】
放熱体4Aの上述した構成に関連して、温水コード6Aの供給チューブ26の一端部に第3接続部材76が装着されるとともに、戻りチューブ28の一端部に第4接続部材78が装着される。尚、これら第3及び第4接続部材76,78は、上述した第1及び第2接続部材76,78と同様の構成のものでよく、この保温具2Aのその他の構成は、図1〜図4に示すものと実質上同一でよい。
【0027】
このような保温具2Aにおいては、使用に際して、温水コード6Aの一端部が放熱体4Aに着脱自在に装着され、その他端部が温水コンセント(図1参照)に着脱自在に装着される。供給チューブ26の第3接続部材76を供給側接続端子部72に着脱自在に装着すると、供給側開閉弁(図示せず)が閉状態から開状態になり、また戻りチューブ28の第4接続部材78を戻り側接続端子部74に着脱自在に装着すると、戻り側開閉弁(図示せず)が閉状態から開状態になり、供給チューブ26、温水チューブ24及び戻りチューブ28を通しての温水の上述した循環が可能となる。
【0028】
また、この保温具2Aでは、適宜の場所に設置するときには、温水コード6Aを放熱体4Aから取り外して持ち運ぶことができ、その取扱いが一層容易となる。第3接続部材76を供給側接続端子部72から取り外すと、供給側開閉弁が閉状態となり、また第4接続部材78を戻り側接続端子部74から取り外すと、戻り側開閉弁が閉状態となり、これによって、温水チューブ24内の温水の外部への漏れが防止される。
【0029】
以上、本発明に従う保温具の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、温水ホースが一つのホースから構成され、保護部材内に供給チューブ及び戻りチューブが内蔵されているが、この温水ホースを二つのホース(一方は供給チューブを内蔵するホースで、他方は戻りチューブを内蔵するホース)から構成するようにしてもよい。
【0031】
また、例えば、上述した実施形態では、本発明をペット用保温具に適用して説明したが、本発明はこのようなペット用保温具に限定されず、湯たんぽ、クッション、抱き枕などにも同様に適用して保温具として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に従う保温具の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の保温具の要部を一部分解して示す斜視図。
【図3】図1の保温具の操作部及びその近傍を拡大して示す斜視図。
【図4】図1の保温具の制御を示すフローチャート。
【図5】変形形態の保温具の一部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0033】
2,2A 保温具
4,4A 保温体
6,6A 温水コード
8 容器本体
20 蓄熱材
24 温水チューブ
26 供給チューブ
28 戻しチューブ
40 温水コンセント
46 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄えた熱を放熱して利用する放熱体と、温水コンセントに着脱自在に連結される温水コードと、を備え、前記温水コードは前記温水コンセントからの温水を前記放熱体に供給するための供給チューブと、前記放熱体からの温水を前記温水コンセントに戻す戻しチューブとを有し、前記放熱体は、熱を蓄える蓄熱材と、前記蓄熱材を加温するための温水チューブとを備え、前記温水チューブの一端部が前記供給チューブに接続され、その他端部が前記戻しチューブに接続され、前記温水コンセントからの温水が前記供給チューブ、前記温水チューブ及び前記戻しチューブを通して循環されることを特徴とする保温具。
【請求項2】
前記温水コードは前記放熱体に着脱自在に連結され、前記温水コードの両端部には供給側開閉弁及び戻り側開閉弁が配設され、前記供給側チューブを前記温水コードの一端部に着脱自在に装着すると、前記供給側開閉弁が開状態に保持され、また前記戻り側チューブを前記温水コードの他端部に着脱自在に装着すると、前記戻り側開閉弁が開状態に保持されることを特徴とする請求項1に記載の保温具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−232601(P2008−232601A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77290(P2007−77290)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】