説明

保温装置及び配膳車

【課題】2以上の保温庫を備え、少なくとも1つの保温庫を温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えて使用可能な保温装置又はその保温装置を備えた配膳車において、耐熱性にすぐ入れたエバポレータを必要とせず、かつ保温庫を冷蔵庫として使用する際の冷却効率を高くする。
【解決手段】第1保温庫31を温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えて使用可能であり、第2保温庫41を冷蔵庫として使用し、第1保温庫31には、その内部に温風又は熱風を供給するための加熱装置32のみが接続され、第2保温庫41には、その内部に冷風を供給するための冷却装置42のみが接続され、第1保温庫31の内部と第2保温庫41の内部は、開閉可能な弁12を備えた第1ダクト11で接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温蔵庫と冷蔵庫を備えた保温装置及びその保温装置を備えた配膳車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院、老人保健施設、ホテル、学校などの施設において食事を提供するにあたって、配膳車が用いられているが(例えば、特許文献1参照)、このような配膳車としては、調理された食品(食材も含む)を一旦3℃程度に冷蔵保存しておき、食事前の搬送中に冷蔵保存された食品を安全温度である75℃まで加熱して配膳する、いわゆるクックチル方式のものが提案されている。
【0003】
ところで、配膳車によって配膳される食品は加熱されたものだけでなく、低温状態に冷蔵されたものも含まれる。従って、温蔵庫(再加熱庫を兼ねる)と冷蔵庫を備えた配膳車も存在する(特許文献1参照)。一方、上記病院などのように、短時間の内に大量の配膳を行わなければならない場合、配膳に先立って冷蔵庫から大量の食品をトレイに並べ、さらに配膳車の温蔵庫及び冷蔵庫に移し替える作業は時間がかかるため、厨房業務運営上問題点となっている。また、夜間など、配膳車を使用していない状態では、その保管スペースが有効利用されていないという問題点も有していた。
【0004】
そこで、配膳時に温蔵庫として使用される保温庫を夜間は冷蔵庫として使用し、あらかじめ前日から食品を冷蔵庫として機能している保温庫に移し替えておき、配膳前の食品の移し替え作業時間の短縮を図ると共に、配膳車を大型の冷蔵庫として使用することによって、配膳車の保管スペースの有効利用を図ることが提案されている。
【0005】
温蔵庫と冷蔵庫を備えた従来の配膳車において、温蔵庫として使用される保温庫を冷蔵庫としても使用できるようにする場合を図5に例示する。図5に示すように、配膳車100は、熱的に絶縁された第1保温庫110及び第2保温庫120を備えている。第1保温庫110の少なくとも1つの側壁には、第1保温庫110の内部に温風又は冷風を送り込むための複数の吹き出し口111が設けられている。また、第1保温庫110の吹き出し口111が設けられている側壁の外側には、ダクト112が接続され、さらにダクト112には加熱用のヒータ113、冷却用の冷凍機エバポレータ(蒸発器)114及び送風機115が設けられている。すなわち、第1保温庫110は、必要に応じて温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えて使用できるように構成されている。
【0006】
同様に、第2保温庫120の少なくとも1つの側壁には、第2保温庫120の内部に冷風を送り込むための複数の吹き出し口121が設けられている。また、第2保温庫120の吹き出し口121が設けられている側壁の外側には、ダクト122が接続され、さらにダクト122には冷却用の冷凍機エバポレータ124及び送風機125が設けられている。すなわち、第2保温庫120は冷蔵庫としてのみ使用できるように構成されている。
【0007】
通常、クックチル方式による再加熱時には、再加熱庫として機能する第1保温庫110の内部温度は120〜130℃に達する。また、冷蔵庫として機能する第2保温庫120の内部温度は3〜10℃程度である。温蔵庫と冷蔵庫を備えた従来の配膳車100では、エバポレータ114がダクト112に設けられているので、再加熱時にヒータ113からの熱がエバポレータ114に直接加えられるため、耐熱性に優れたエバポレータが必要となる。エバポレータの耐熱性を高めるためには、表面にめっき処理を施したり、あるいは耐熱性に優れたステンレス製にするなど、通常のエバポレータよりも高価なものが必要である。また、加熱時には、エバポレータ内の冷媒を抜いて真空にすることも考えられるが、加熱時と冷却時の切り替え動作が複雑であり、誤動作又は故障の原因となる可能性がある。さらに、第1保温庫110を冷蔵庫として使用する場合、熱容量の大きなヒータ113をも冷却することとなり、冷却効率が低く、消費電力が大きくなるといった問題点を有している。
【特許文献1】特開2001−194051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、少なくとも2つの保温庫を備え、そのうち少なくとも1つの保温庫を温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えて使用可能な保温装置及びその保温装置を備えた配膳車において、耐熱性にすぐ入れたエバポレータを必要とせず、かつ保温庫を冷蔵庫として使用する際の冷却効率を高くすることが可能な保温装置及びその保温装置を備えた配膳車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、2つ又はそれ以上の保温庫を備え、少なくとも1つの第1保温庫を温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えて使用可能であり、前記第1保温庫以外の少なくとも1つの第2保温庫を冷蔵庫として使用する保温装置あって、前記第1保温庫には、その内部に温風を供給するための加熱装置のみが接続され、前記第2保温庫には、その内部に冷風を供給するための冷却装置のみが接続され、前記第1保温庫の内部と前記第2保温庫の内部は、開閉可能な弁を備えた第1ダクトで接続されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の保温装置において、前記第1ダクトは、前記冷却装置と前記第2保温庫を連通する第2ダクトに接続されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の保温装置において、前記第1ダクトの一部は、前記冷却装置と前記第2保温庫を連通する第2ダクトと並列に設けられ、前記冷却装置の近傍で前記第2ダクトと連通されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保温装置において、前記第1ダクトは、前記加熱装置と前記第1保温庫を連通する第3ダクトに連通されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保温装置において、前記第1保温庫の側壁には、前記第1ダクトと前記第1保温庫の内部とを連通する第1開口と、前記加熱装置と前記第1保温庫を連通する第3ダクトと前記第1保温庫の内部とを連通する第2開口が形成され、前記側壁の背面において、前記第1ダクトの一部と前記第3ダクトとが並列に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、配膳車であって、請求項1乃至5に記載の保温装置を移動装置に搭載してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、加熱装置を停止し、冷却装置のみを稼動させると共に、第1ダクトの弁を開くことにより、第1保温庫を冷蔵庫として使用することができる。逆に、冷却装置を停止し、加熱装置のみを稼動させると共に、第1ダクトの弁を開くことにより、第2保温庫を温蔵庫(再加熱庫を兼ねる)として使用することができる。また、第1ダクトの弁を閉じ、加熱装置及び冷却装置をそれぞれ稼動させることにより、第1保温庫を温蔵庫として、第2保温庫を冷蔵庫として使用することができる。その際、加熱装置から供給される温風の流路中には冷却装置のエバポレータは存在しないため、耐熱性に優れたエバポレータを用いる必要はない。また、冷却装置から供給される冷風の流路中には熱容量の大きなヒータは存在しないため、冷却効率を高くして、消費電力を低減することができる。なお、保温庫が2つしかない場合は、いずれか一方が加熱装置のみが接続された第1保温庫であり、他方が冷却装置のみが接続された第2保温庫であることは言うまでもない。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、第1ダクトは、冷却装置と第2保温庫を連通する第2ダクトに接続されているので、冷却装置から第2保温庫に向けて供給される冷風の一部分が第1ダクトを経て第1保温庫に供給される。そのため、保温装置のダクト構造複雑化することなく、第1保温庫を温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、第1ダクトは、冷却装置と第2保温庫を連通する第2ダクトと並列に設けられ、冷却装置の近傍で前記第2ダクトと連通されているので、冷却装置から第1ダクトを経て第1保温庫に供給される冷風の風量と、第2ダクトを経て第2保温庫に供給される冷風の風量をほぼ等しくすることができ、第1保温庫と第2保温庫を均等に、かつほぼ同じ時間で冷却することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、第1ダクトは、加熱装置と第1保温庫を連通する第3ダクトに連通されているので、加熱装置から第1保温庫に向けて供給される温風の一部分を、第1ダクトを経て第2保温庫に供給することができる。その結果、構造を複雑にすることなく、第2保温庫を温蔵庫として使用することができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、第1保温庫を冷蔵庫として使用する際、冷却装置から第1ダクトを経て供給される冷風は、第1開口から全て第1保温庫内に吹き出され、加熱装置側へはほとんど流れない。そのため、加熱装置などによって失われる熱量を低減することができ、冷却効率を高くして、消費電力の低減を図ることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、請求項1乃至5に記載の保温装置を移動装置に搭載して配膳車を構成しているので、あらかじめ前日から食品を冷蔵庫として機能している保温庫に移し替えておき、配膳前の食品の移し替え作業時間の短縮を図ると共に、配膳車を大型の冷蔵庫として使用することによって、配膳車の保管スペースの有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る保温装置及びそれを備えた配膳車について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る配膳車1の構成を示す。配膳車1は、基本的に、移動装置(台車)2と、移動装置2の上に搭載された保温装置3で構成されている。移動装置2は、自走式のものであってもよく、あるいは手押し式のものであってもよい。また、自走式移動装置の場合、地図上における自己位置を認識しながらあらかじめ設定されたルートに沿って自律移動するタイプのものの他、あらかじめ床に埋設された誘導装置に誘導されながら移動するタイプのもの、ガイドレールに沿って移動するタイプのものなど、あるいは配膳担当者によって操作されるタイプのものなどであってもよい。
【0022】
移動装置2が自律移動するタイプのものである場合、移動装置2は、モータにより駆動される駆動輪21及びサーボ機構により駆動される操舵輪22を含む走行装置23、あらかじめ設定されているルートに沿って走行するように走行装置23を制御する走行制御装置24などで構成されている。走行制御装置24は、CPU、ROM及びRAMなどで構成された演算処理装置25、ハードディスクなど不揮発性大容量の記憶装置26、配膳車1の周辺の画像を撮像する撮像装置27、障害物センサ28などで構成されている。記憶装置26は、地図情報として、あらかじめ設定されているルート、例えば厨房から配膳する部屋までの地図情報を記憶している。演算処理装置25は、撮像装置27により撮像された画像を処理して得られた画像データや障害物センサ28により得られた障害物までの距離に基づいて、配膳車1の周囲の壁や障害物などの周辺情報を取得し、得られた周辺情報と地図情報とを比較し、配膳車1が現在地図上のどの位置にいるのかを割り出し、自己位置を認識する。
【0023】
保温装置3は、それぞれ複数のトレイが収納される第1保温庫31及び第2保温庫41と、第1保温庫31側に設けられた加熱装置32と、第2保温庫41側に設けられた冷却装置42などで構成されている。第1保温庫31と第2保温庫41は、それぞれ他方の熱の影響を受けにくくするために、断熱材などで囲まれており、熱的に絶縁されている。配膳の際には、第1保温庫31は温蔵庫(クックチル方式による場合、再加熱庫を兼ねる)として使用され、第2保温庫41は冷蔵庫として使用される。
【0024】
ここで、「保温庫」とは、庫内温度を一定の範囲に維持しうる機能を有する食品保存庫をいい、「温蔵庫」とは、庫内温度を室温(例えば20℃)よりも高い温度範囲に維持するものをいい、「冷蔵庫」とは、庫内温度を室温よりも低い温度範囲に維持するものをいうものとする。また、「再加熱庫」とは、庫内温度を120〜130℃の高温に加熱しうるものをいう。
【0025】
加熱装置32は、第1保温庫31に向けて温風を供給するためのヒータ33及びファン34と、発生された温風を第1保温庫31まで誘導する第3ダクト35などを備えている。第3ダクト35とヒータ33との間には遮蔽壁36が設けられており、後述するように、第3ダクト35内に導入された冷風がヒータ33に直接当たらないように遮蔽されている。第1保温庫31の側壁の内、第2保温庫41と対向する側壁とは反対側の側壁31aには、複数の開口31bが形成されており、開口31bによって、第1保温庫31の内部と第3ダクト35の内部が連通されている。第3ダクト35に導入された温風又は冷風は、開口31bを通って第1保温庫31内に供給される。それによって、第1保温庫31内に収納された食品が加熱され、あるいは冷却される。
【0026】
冷却装置42は、第2保温庫41に向けて冷風を供給するための冷凍機エバポレータ43及びファン44と、発生された冷風を第2保温庫41まで誘導する第2ダクト45などを備えている。第2保温庫41の側壁の内、第1保温庫31と対向する側壁とは反対側の側壁41aには、複数の開口41bが形成されており、開口41bによって、第2保温庫41の内部と第2ダクト45の内部が連通されている。第2ダクト45に導入された冷風は、開口41bを通って第2保温庫41内に供給される。それによって、第2保温庫41内に収納された食品が冷却される。なお、各開口41bから第2保温庫41内に供給される冷風の温度及び流量が均一になるように、第2ダクト45とエバポレータ43との間には遮蔽壁46が設けられている。
【0027】
第1保温庫31及び第2保温庫41内には、それぞれ温度センサ51及び52が設けられている。温度制御装置50は、CPU、ROM及びRAMなどで構成されており、温度センサ51及び52により検出される温度に基づいて、ヒータ33及び冷凍機のオン/オフ、及びファン34及び44の風量を制御し、第1保温庫31及び第2保温庫41内の温度を所定の温度に加熱し、冷却しあるいは所定の温度範囲に保つ。
【0028】
ファン34及び44としては、例えばシロッコファン、クロスフローファン、プロペラファンなどを用いることができる。また、ヒータ33としては、例えばシーズヒータ、パネルヒータ、PTCヒータなどを用いることができる。
【0029】
例えば、第1保温庫31及び第2保温庫41の上部には、第2ダクト45と第3ダクト35の上部、すなわち、第1保温庫31及び第2保温庫41をそれぞれ本来の温蔵庫及び冷蔵庫として使用するときの温風及び冷風の流れの下流側に第1ダクト11が接続され、連通されている。また、第1ダクト11の中央部には、開閉可能な弁12が設けられている。第1保温庫31を温蔵庫として使用し、かつ第2保温庫41を冷蔵庫として使用する場合には、弁12は閉じられている。一方、第1保温庫31を冷蔵庫として使用する場合には、弁12は開かれている。弁12としては、例えばボールバルブやバタフライ弁などを用いることができる。
【0030】
配膳時は、上記のように弁12を閉じ、加熱装置32及び冷却装置42をそれぞれ稼動させることによって、第1保温庫31を温蔵庫として、第2保温庫41を冷蔵庫として使用することができる。この場合、加熱装置32から供給される温風の流路中には冷却装置のエバポレータは存在しないため、耐熱性に優れたエバポレータを用いる必要がなくなる。一方、夜間などにおいては、弁12を開き、加熱装置32を停止し、冷却装置42のみを稼動させることにより、第1保温庫31を冷蔵庫として使用することができる。その際、冷却装置42で発生された冷風は、第2ダクト45に導入され、開口41bから第2保温庫41の内部に流れると共に、一部分はさらに第1ダクト11を経て第3ダクト35に導入され、開口31bから第1保温庫31の内部に流れる。その結果、第1保温庫31及び第2保温庫41に収納された食品の温度が所定の温度(低温)に維持され、冷蔵される。この場合、冷却装置42から供給される冷風の流路中には熱容量の大きなヒータは存在しないため、すなわち、ヒータ33は遮蔽壁36により遮蔽されているため、ヒータ33によって奪われる熱量は非常に少なく、冷却効率を高くして、冷却装置42による消費電力を低減することができる。なお、配膳される食品の内容によっては、全て再加熱を必要とするものである場合もあり得る。その場合には、配膳の際、冷却装置42を停止し、加熱装置32のみを稼動させると共に、第1ダクトの弁を開くことにより、第2保温庫31を温蔵庫(再加熱庫を兼ねる)として使用することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、加熱装置32に接続された第1保温庫31と冷却装置42に接続された第2保温庫41をそれぞれ1つずつ備えた場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方が1つで他方が2つ以上であってもよいし、それぞれ2つ以上であってもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る保温装置及びそれを備えた配膳車の変形例を示す。図1に示す構成例では、第1ダクト11を第2ダクト45の上部で連通した場合を示したが、図2に示す変形例では、第1ダクト11の一部11aは、冷却装置42と第2保温庫41を連通する第2ダクト45と並列に設けられ、冷却装置42の近傍で第2ダクト45と連通されている。その他の構造は図1に示す構成例と同様である。
【0033】
このような構成によれば、冷却装置42から第1ダクト11を経て第1保温庫31に供給される冷風の風量と、第2ダクト45を経て第2保温庫41に供給される冷風の風量をほぼ等しくすることができ、第1保温庫31と第2保温庫41を均等に、かつほぼ同じ時間で冷却することができる。
【0034】
図3は、本実施形態に係る保温装置及びそれを備えた配膳車の他の変形例を示す。図4は、この変形例における第1保温庫31の側壁31aに形成された第1開口31b及び第2開口31cと第1ダクト11及び第3ダクト35の関係を示す。図3及び図4において、破線で示す矢印は、第1保温庫31を温蔵庫として使用する際に、加熱装置32から供給される温風の流れを示す。また、実線で示す矢印は、第1保温庫31を冷蔵庫として使用する際に、冷却装置42から第1ダクト11を経て供給される冷風の流れを示す。
【0035】
図3及び図4に示す変形例では、第1保温庫31の側壁31aに、第1ダクト11と第1保温庫31の内部とを連通する第1開口31bと、加熱装置32と第1保温庫31を連通する第3ダクト35と第1保温庫31の内部とを連通する第2開口31cが形成されている。また、第1保温庫31の側壁31aの背面において、第1ダクト11の一部11bと第3ダクト35が並列に設けられ、それぞれ他方とは連通しないように遮蔽されている。第1開口31bと第2開口31cの数及び位置は特に限定されない。
【0036】
このような構成によれば、第1保温庫31を冷蔵庫として使用する際、冷却装置42から第1ダクト11を経て供給される冷風は、第1開口31bから全て第1保温庫31内に吹き出され、加熱装置32側へはほとんど流れない。そのため、加熱装置32などによって失われる熱量を低減することができ、冷却効率を高くして、冷却装置42の消費電力の低減を図ることができる。
【0037】
また、本発明は、上記のような移動装置(台車)を備えた配膳車に限定されるものではなく、移動装置を備えていない固定式の保温装置であってもよい。また、温度制御装置50にタイマー機能及び弁12の開閉制御機能を持たせておけば、あらかじめ設定された時間(例えば夜中又は早朝)に弁12を閉じ、加熱装置32を稼動させることによって、適温に調理された食品を適時に配膳することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る保温装置を備えた配膳車の構成を示す図。
【図2】上記実施形態における変形例の構成を示す図。
【図3】上記実施形態における他の変形例を示す図。
【図4】図3に示す変形例における第1保温庫の側壁の背面におけるダクト及び開口の構成を示す図。
【図5】従来の保温装置を備えた配膳車の構成を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 配膳車
2 移動装置(台車)
3 保温装置
11 第1ダクト
11a、11b 第1ダクトの一部
12 弁
31 第1保温庫
31a 側壁
31b 第1開口
31c 第2開口
32 加熱装置
33 ヒータ
34 ファン
35 第3ダクト
36 遮蔽壁
41 第2保温庫
42 冷却蔵置
43 エバポレータ
44 ファン
45 第2ダクト
46 遮蔽壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ又はそれ以上の保温庫を備え、少なくとも1つの第1保温庫を温蔵庫と冷蔵庫のいずれかに切り替えて使用可能であり、前記第1保温庫以外の少なくとも1つの第2保温庫を冷蔵庫として使用する保温装置であって、
前記第1保温庫には、その内部に温風を供給するための加熱装置のみが接続され、
前記第2保温庫には、その内部に冷風を供給するための冷却装置のみが接続され、
前記第1保温庫の内部と前記第2保温庫の内部は、開閉可能な弁を備えた第1ダクトで接続されていることを特徴とする保温装置。
【請求項2】
前記第1ダクトは、前記冷却装置と前記第2保温庫を連通する第2ダクトに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の保温装置。
【請求項3】
前記第1ダクトの一部は、前記冷却装置と前記第2保温庫を連通する第2ダクトと並列に設けられ、前記冷却装置の近傍で前記第2ダクトと連通されていることを特徴とする請求項1に記載の保温装置。
【請求項4】
前記第1ダクトは、前記加熱装置と前記第1保温庫を連通する第3ダクトに連通されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保温装置。
【請求項5】
前記第1保温庫の側壁には、前記第1ダクトと前記第1保温庫の内部とを連通する第1開口と、前記加熱装置と前記第1保温庫を連通する第3ダクトと前記第1保温庫の内部とを連通する第2開口が形成され、
前記側壁の背面において、前記第1ダクトの一部と前記第3ダクトとが並列に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保温装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保温装置を移動装置に搭載してなることを特徴とする配膳車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−236382(P2009−236382A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81864(P2008−81864)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】